JP3710675B2 - 窒素原子含有有機物の処理方法および処理装置 - Google Patents
窒素原子含有有機物の処理方法および処理装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3710675B2 JP3710675B2 JP2000087471A JP2000087471A JP3710675B2 JP 3710675 B2 JP3710675 B2 JP 3710675B2 JP 2000087471 A JP2000087471 A JP 2000087471A JP 2000087471 A JP2000087471 A JP 2000087471A JP 3710675 B2 JP3710675 B2 JP 3710675B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gas
- water
- ammonia
- containing organic
- nitrogen atom
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Treatment Of Water By Oxidation Or Reduction (AREA)
- Treatment Of Sludge (AREA)
- Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
- Catalysts (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒素原子含有有機物処理方法および窒素原子含有有機物処理装置に係り、特に、下水処理場において発生する有機性汚泥や、エッチング加工を伴う化学工場から排出される窒素系有機アルカリ含有廃液等の窒素原子含有有機物の処理方法および処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現代社会においては、多種多様な窒素原子含有有機物が廃棄物として排出されている。例えば、下水処理場において発生する有機性汚泥はその代表例であり、一般には濃縮後脱水して焼却処分されている。他にはエッチング加工を伴う化学工場から排出される窒素系有機アルカリ含有廃液が挙げられるが、これも通常は廃棄業者に委託して焼却処分されている。近年では活性汚泥法による微生物分解も広く実施されているが、下水処理の場合と同じく余剰活性汚泥が生じており、これも焼却による処分が一般的である。
【0003】
しかし、これらの窒素原子含有有機物を焼却するとNOXなどの窒素を含有する有害物質が生成し、排ガスからこれを除去するための大規模脱硝設備が必要になり、設備コストや運転コストが嵩むという欠点があった。
【0004】
この問題を解決する処理手法として、コンパクトな装置で窒素原子含有有機物中の炭素原子を二酸化炭素に、窒素原子を無害な窒素ガスへと完全分解することが可能な超臨界水酸化処理法や触媒湿式酸化処理法が注目を集めている。
【0005】
これらの手法で通常酸化剤として用いる空気等の酸素含有ガスは、数MPa〜数10MPaの高圧ガスを圧縮注入する必要があり、さらにこの高圧ガスを大量に必要としている。
【0006】
高圧ガスの製造、あるいは高圧ガスの取扱いには手間がかかるため、窒素原子含有有機物の無害化処理に用いる高圧ガス量を低減することが求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来窒素含有有機物の無害化処理には大量の酸素含有高圧ガスを必要とするという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みて為されたものであり、少量の酸素含有高圧ガスで窒素原子含有有機物を無害化処理し、かつメタンや水素などの燃料ガスを生成し得る窒素原子含有有機物処理方法、あるいは装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の窒素原子含有有機物処理方法は、300℃〜500℃の温度に加熱された水中で、窒素原子含有有機物を還元触媒に接触させて水を還元物質として還元し、アンモニアと難水溶性成分とを含む混合流体を生成する還元処理工程と、前記難水溶性成分をガス化し、前記混合流体を難水溶性ガスとアンモニア液とに分離する分離工程と、前記アンモニア液を酸化し、窒素ガスおよび水を生成する酸化処理工程とを有することを特徴としている。
【0010】
すなわち、窒素原子含有有機物を直接酸化せずに、一度還元工程を経てアンモニアを生成し、アンモニアのみを酸化することを特徴としている。そのために、直接窒素原子含有有機物を酸化する場合に比べ、使用する酸化剤の量を軽減することが可能になる。
【0011】
前記分離工程後に、前記難水溶性ガスを除去する工程を有し、難水溶性ガスを除去した後に前記酸化処理工程を行うことが好ましい。
【0012】
窒素原子含有有機物は、還元処理工程によって、メタンや水素などの難水溶性成分と、アンモニア成分とに分解される。一方、アンモニアの酸化処理時にメタンが共存すると、酸化剤はメタンの酸化も行ってしまうために、アンモニアを完全に酸化するための酸化剤の量が増加してしまう。
【0013】
そこでアンモニアは水溶性の高い物質であり、メタンや水素は難水溶性の材料であることから、還元処理後に冷却すると、難水溶性材料が選択的にガス化することを利用して、ガス化された難水溶性ガスを除去し、残されたアンモニア液のみを酸化処理することで、より少量の酸化剤の使用で、窒素原子含有有機物の窒素原子を窒素ガス化することが可能になる。
【0014】
あるいは、前記酸化処理工程は、前記難水溶性ガスおよびアンモニアを、固体状の酸化触媒粒子が充填された酸化処理容器内に注入する工程と、この酸化処理容器内に酸素を注入する工程とからなることが好ましい。
【0015】
前述したように、窒素原子含有有機物は、還元処理後冷却することにより難水溶性ガスとアンモニアとに分離した後、酸化処理に供される。この酸化処理を、固体状の酸化触媒粒子が充填された酸化処理容器中で行うと、粒子表面に液体成分(アンモニア)が付着し、粒子間に難水溶性ガスと酸化ガスが分離した2相状態になり、酸化触媒表面に付着したアンモニア液を選択的に酸化することが可能なため、難水溶性ガス中のメタンや水素の酸化を少なくし、ひいては酸化剤ガスの使用量をより軽減することができる。
【0017】
また、前記分離された難水溶性ガスおよびアンモニアから前記難水溶性ガスを除去する難水溶性ガス除去手段を付加することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施形態を図1を用いて説明する。
【0019】
図1は、本発明の窒素原子含有有機物処理装置の基本構成を示す図面である。
【0020】
まず、被処理物(出発状態では窒素原子含有有機物と水からなる混合流体)には還元処理工程が施される。
【0021】
被処理物(出発状態では窒素原子含有有機物と水からなる混合流体)を高圧ポンプ1により還元処理容器4に加圧された状態で搬送する。この搬送中に被処理物は加熱炉3を通過し、300℃以上に加熱される。
【0022】
還元処理容器4中には窒素原子含有有機物の還元触媒が充填されており、加熱された水中で窒素原子含有有機物を還元し、主に、メタン、水素および二酸化炭素からなる難水溶性成分と、アンモニアとを生成し、被処理物はこれらの混合流体となる。
【0023】
例えば窒素原子含有有機物がアラニンCH3CH(NH2)COOHの場合下記式(1)の反応により、メタン、水素および二酸化炭素からなる難水溶性成分と、アンモニアとが生成される。
このようにして還元処理工程を施した被処理物は、引続き分離工程が施される。
【0024】
分離工程においては、まず還元された被処理物を冷却器5によって水の臨界温度未満に冷却処理される。この冷却処理によって、被処理物中の難水溶性成分はガス化し、被処理物は難水溶性ガスとアンモニア液との2相状態に分離される。なお、冷却処理には冷却器5を必ずしも使用する必要はなく、還元された被処理物を自然冷却することで2相状態に分離してもよい。
【0025】
この分離工程を経た被処理物は、次にガス除去工程を施す。
【0026】
分離工程を経た被処理物は、気液分離器6に搬送される。気液分離器6には、所定容積の容器の上部および下部に被処理物の排出口が設けられており、また液面コントローラー10により制御されている。容器上部に分離された難水溶性ガスは上部の排出口から除去され、容器下部に存在するアンモニア液は下部の排出口から酸化処理工程へ供される。
【0027】
酸化処理工程へ供されるアンモニア液は、酸化処理容器8へ搬送される。酸化処理容器内には、酸化触媒が収納されており、いわゆる触媒湿式酸化処理が施される。すなわち、酸化触媒とアンモニア液が共存する酸化処理容器内に、高圧コンプレッサーなどの酸化剤ガス供給手段7により高圧酸素ガス(あるいは空気などの酸素含有ガス)を供給することでアンモニアを水と窒素ガスに分解する。
【0028】
例えば生成された水と窒素ガスは、更に冷却器9によって冷却された後、気液分離器12によって分離し、必要に応じ再利用すればよい。
【0029】
すなわち、本発明においては式(1)で示す反応により、窒素含有有機物中の窒素原子はアンモニアに還元され、引続き次式(2)の酸化処理における反応によってアンモニア中の窒素原子は、窒素ガスとなる。したがって、窒素原子を持つ有害物質の含まない状態に分解することができる。
【0030】
図2に第1の実施形態の変形例を示し、以下にその説明をする(同一符号の説明は省く)。
【0031】
図2では、酸化処理容器8で酸化処理された水および窒素ガスの持つ熱を、熱交換器2を介して、窒素原子含有有機物および水からなる被処理物を加熱している。このようにすることで、加熱炉3による加熱処理を補助することができる。
【0032】
また、気液分離器6における被処理物の温度やpHによっては、気液分離器6から除去される難水溶性ガス中に、気化されたアンモニアが混入されている恐れがある。図2では、気液分離器から排出されるガス成分をさらに冷却する冷却器17、冷却されて液化したアンモニア含有水から難水溶性ガスを除去する気液分離器18、圧力コントローラー15によって制御される圧力制御弁16と、気液分離器18中のアンモニア含有水の液面を調整するために、液面コントローラー19によって制御された液面制御弁20を設けることで、気液分離器6の上部から排出された難水溶性ガス中に含有されるアンモニアを捕集している。
【0033】
また、気液分離器18で捕集されたアンモニアは、気液分離器6で分離されたアンモニア液と共に酸化処理容器8に搬送される。
【0034】
さらに、気液分離器18を経た難水溶性ガス中の水素ガスおよびメタンガスは、加熱炉3の燃料ガスとして使用している。なお、気液分離器18の下部からの液体の流出量を積極的に制御するために、液面制御弁20の代わりに同じく液面コントローラー19により制御される小型のポンプを設置することも可能である。この小型ポンプは単独で設置してもよいし、液面制御弁20と直列に設置してもよい。
【0035】
第1の実施形態の第2変形例を図3に示す。
【0036】
図2に示す窒素原子含有有機物処理装置に、さらに、気液分離器6の直前に、圧力コントローラー21と、これにより制御される圧力制御弁22とを設置している。冷却器5においては、流体の温度を圧力制御弁22の耐熱温度以下にまで冷却し、圧力制御弁22による減圧を可能にする。これにより、高圧コンプレッサー7による空気等の注入圧力を減圧された系内の圧力にまで低下させることが可能になり、運転コストが更に削減される。
【0037】
なお、図2に示す処理装置と同様に、気液分離器18の下部からの液体の流出量を積極的に制御するために、液面制御弁20の代わりに同じく液面コントローラー19により制御される小型のポンプを設置することも可能である。この小型ポンプは単独で設置してもよいし、液面制御弁20と直列に設置してもよい。
【0038】
図4に第1の実施形態の第3の変形例を示す。
【0039】
図4では、図2に示す処理装置における圧力制御弁16を、気液分離器18の直前に移動し、液面制御弁20の代わりに同じく液面コントローラー19により制御される小型高圧ポンプ23を設置した。圧力制御弁16以降においては流体は常温常圧付近であり、気液分離器18の下方から流出する液体は小型高圧ポンプ23により再び昇圧輸送される。これにより、気液分離器18を耐圧容器にする必要がなくなり、処理装置の簡素化につながる。
【0040】
なお、図3に示す処理装置と同様に、冷却器5において流体の温度が圧力制御弁の耐熱温度以下にまで冷却される場合は、気液分離器6の直前に、圧力コントローラーと、これにより制御される圧力制御弁とを設置してもよい。圧力制御弁による減圧により、高圧コンプレッサー7による空気等の注入圧力を減圧された系内の圧力にまで低下させることが可能になり、運転コストが更に削減される。
【0041】
図5に第1の実施形態の第4の変形例を示す。
【0042】
図5に示す処理装置は、図2の処理装置に熱交換器24を追加設置し、還元処理容器4から気液分離器6に搬送される被処理物を、気液分離器6で分離した冷却済みのアンモニア液を利用して、熱交換器24で冷却している。
【0043】
この装置においては、気液分離器6に流入する被処理物をより確実に冷却できるため、アンモニアのほぼ全量が液相にトラップされると共に、熱交換器24によりアンモニア液が酸化処理容器8の入口温度にまで再加熱される。
【0044】
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0045】
図6は、本発明の第2の実施形態の窒素原子含有有機物の処理装置である。
【0046】
被処理物に分離工程を施すまでの工程は、第1の実施形態と同じであり、説明を省く。
【0047】
冷却器5により難水溶性ガスとアンモニア液とに分離された被処理物は、酸化処理工程に供される。
【0048】
第1の実施形態においてはアンモニア液のみを酸化処理容器に搬送したが、本実施形態においては、難水溶性ガスとアンモニア液とを酸化処理容器に搬送する。
【0049】
酸化処理容器8には、固体状態の酸化触媒粒子が充填されており、被処理物と高圧コンプレッサーなどの酸化剤ガス供給手段7から供給される酸化剤ガスが供給される。
【0050】
図7は、本実施形態における酸化処理容器内での被処理物および酸化剤ガスの様子を示す断面図である。
【0051】
酸化処理容器8内では、固体状の酸化触媒粒子81が充填されており、さらに酸化剤ガスおよび被処理物中の難水溶性ガスからなる気相82と、被処理物中のアンモニア液からなる液相83が存在する。
【0052】
触媒81表面はアンモニア液83に接して濡れており、その一方で難水溶性の燃料ガスの大部分は気相82中に気泡として存在している。酸化触媒は、アンモニアだけでなく、難水溶性ガス中に含まれるメタンガスなども酸化する能力があるが、酸化触媒81表面に液相が選択的に付着しているため、アンモニアに比べてメタンガスなどのガス成分の触媒反応は進行しにくい。また、塩基性を示す溶解アンモニアは触媒表面の酸点に吸着するので、その意味では中性のメタンや水素よりも反応面で有利である。これらの理由から、共に容易には酸化され難い物質であるものの、燃料ガスの酸化よりもアンモニアの酸化の方が優先的に生じ、被処理物に含まれる被酸化性物質の全てを窒素、二酸化炭素、水等に転換するのに必要な理論酸素量に比べて大幅に少ない量の酸素を用いて有害物質であるアンモニアを無害な窒素ガスに転換し、同時にメタンや水素等の燃料ガスを回収することが可能になる。
【0053】
このようにして難水溶性ガスと、アンモニアを酸化して生成された窒素ガスと、水とからなる最終処理生成物は、必要に応じ熱交換器2により冷却された後、気液分離器6に搬送される。
【0054】
気液分離器6では、圧力コントローラー15により制御される圧力制御弁16と、液面コントローラー10により制御され、気液分離器6の液面位を調節するための液面制御弁11とを調整することで、最終的に、二酸化炭素ガス、メタンガス、水素ガスおよび窒素ガスからなる気体成分と、水とに分解処理される。
【0055】
図6においては、気体成分は既知の分離方法によって各ガスに分離され、燃料となるメタンガスなどは加熱炉3の燃料として使用している。
【0056】
本実施形態では、難水溶性ガスとアンモニア液とを分離する工程を必要としないために、窒素原子含有有機物の処理を簡便な装置で行うことが可能である。ただし、より確実にアンモニアを分解することを考慮すれば、第1の実施形態と組合わせて行えばよい。
【0057】
本発明に係る窒素原子含有有機物は、前述したように、例えば下水処理場において発生する有機性汚泥や、半導体デバイスの製造廃液中に含まれており具体的には、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などが挙げられる。
【0058】
本発明に係る還元触媒は、窒素原子含有有機物を還元し、メタンやアンモニアを生成するものであれば特に限定されず、例えばルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、ニッケルおよびこれらの化合物から選ばれる少なくとも一種をアルミナ、ジルコニア、チタニアなどの既知の担体に担持したものを用いることができる。形状は、粒状、ペレット状、ハニカム状など特に限定されるものではない。
【0059】
また、本発明に係る還元処理工程における被処理物の加熱温度は、水が亜臨界状態になる温度程度以上、具体的には300℃〜500℃の範囲内に加熱することが望ましい。加熱温度が300℃程度に満たないと還元反応が進まなくなる恐れがあり、加熱温度が500℃を超えると還元処理容器の耐圧性が低下する可能性があり実用的でない。
【0060】
なお、還元処理工程時の加熱温度が超臨界温度以上の場合、前述したように通常還元処理後に冷却することで、アンモニアと難水溶性ガスに分離するが、例えば亜臨界温度の時には、混合流体は、アンモニアを含有する亜臨界水と難水溶性ガスに分離される。すなわち、還元処理温度を制御することで、還元処理工程時と同時に分離工程を行うことも可能である。
【0061】
本発明に係る酸化触媒は、アンモニア液を酸素含有下で酸化可能なものであれば特に限定されずに使用することができる。例えばルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金、ニッケル、マンガン、バナジウムおよびこれらの化合物から選ばれる少なくとも一種をアルミナ、ジルコニア、チタニア、これらの複合酸化物等の既知の担体に担持したものを使用することができる。また、形状は、粒状、ペレット状、ハニカム状など特に限定されるものではない。
【0062】
ただし、第二の実施形態のように、酸化処理において、触媒表面に選択的にアンモニア液を付着させ、難水溶性ガスと触媒とを直接接触させないようにするためには、例えば触媒表面に平均表面粗さ10〜1000μmの凹凸を形成するなどしてアンモニア液とのぬれ性を高めることが望ましい。
【0063】
また、酸化処理工程は、150℃以上、水の臨界温度未満の温度域で行うことが望ましい。150℃未満の温度では、酸化反応が進まない恐れがあり、水の臨界温度以上の温度域では、難水溶性ガスとアンモニアが均一相を形成するためにアンモニアの酸化が優先的に生じないという問題が生じる。
【0064】
酸化処理工程において、酸化処理容器に注入される酸化剤ガスとしては、空気、酸素ガスなどを用いることができ、また、アンモニア液の全てを窒素、水などに転換するのに必要な理論酸素量の1.0〜3.0倍、好ましくは1.0〜1.5倍の酸素を含む酸化剤ガスを使用すればよい。
【0065】
また、酸化剤ガスは、酸化処理容器の入口において酸化剤ガスの全量を注入してもよいが、窒素ガス生成反応における硝酸や亜硝酸といった副生成物の生成を抑制するために、これを流れ方向に分割して注入してもよい。
【0066】
【実施例】
実施例1〜4
表1に示す4種の窒素原子含有有機物(下水汚泥1:実施例1、下水汚泥2:実施例2、水酸化テトラメチルアンモニウム廃水(TMAH廃水):実施例3およびアクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂):実施例4)を準備した。
【表1】
なお、TOCは全有機炭素を、T−Nは全窒素を示す。また、必要空気量とは、従来の手法により、直接窒素原子含有有機物中のC/H/Nを完全に酸化しCO2/H2O/N2に転換するのに必要な理論空気量を指す。
【0067】
図2に示す窒素原子含有有機物処理装置を用い、表1に示す窒素原子含有有機物を分解処理した。
【0068】
その時のポンプ1の圧力、還元処理容器4および酸化処理容器8の条件、気液分離器6および気液分離器18の条件を表2に示す。
【表2】
なお、注入空気の量は、酸化処理容器8の直前における被処理物中のC/H/Nを完全に酸化して、CO2/H2O/N2に転換するのに必要な理論空気量の1.1倍当量に設定した値であり、理論空気量の算出は、酸化処理容器8の直前においてサンプリングした被処理物の組成を予め分析することで設定した。
【0069】
このような条件で分解処理した時の分解生成物の測定を行った結果を表3に示す。
【表3】
なお、表3中、液体とは、気液分離器12から排出される液体成分(アンモニア液を酸化処理した後の液体成分)であり、この液体成分中に残存する窒素含有物の濃度を調べた。
【0070】
表3中の気体とは、気液分離器18から排出される難水溶性ガスおよび気液分離器12から排出される気体成分を示す。
【0071】
表3から分かるように、分解生成物中にNOxは存在せず、アンモニア量も極わずかな値になるまで分解することができた。
【0072】
また、表1に示す、従来の還元処理を施さずに、直接酸化処理するのに必要な必要空気量に対し、本実施例における高圧空気の量はそれぞれ、29.0%、20.0%、31.8%、24.7%であり、使用する高圧空気の量を約1/3以下に抑えることが可能であった。
【0073】
実施例5〜7
窒素原子含有有機物として、実施例1で用いた下水汚泥を使用し、図3(実施例5)、図4(実施例6)、図5(実施例7)に示す処理装置を用いて表4に示す条件で処理した。
【表4】
このような条件で分解処理した時の結果を表5に示す。
【表5】
なお、表5中、実施例7においては、気液分離器18の行に示す数値は気液分離器6における処理結果である。
【0074】
表5から分かるように、従来の還元処理をせずに、直接酸化処理を施す場合に比べ、高圧空気量をそれぞれ14.8%、29.0%、8.8%と少量にすることが可能であり、また、燃料ガスと水質良好な処理水を得ることができた。
【0075】
実施例8、9、10
窒素原子含有有機物として、実施例1で用いた下水汚泥を使用し、図6に示す処理装置を用いて表6に示す条件で処理した。
【表6】
本実施例における注入空気量は、被処理物中の窒素原子が還元処理容器4において全てNH3に転換し、さらに酸化処理容器8で全てのNH3をN2に転換するのに必要な理論空気量の1.3倍当量とした。
【0076】
このような条件で分解処理した時の結果を表7に示す。
【表7】
表7から分かるように、従来の還元処理をせずに、直接酸化処理を施す場合に比べ、高圧空気量をそれぞれ8.8%と少量にすることが可能であり、また、燃料ガスと水質良好な処理水を得ることができた。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、酸化剤ガスの使用量を抑え、窒素原子含有有機物を無害化処理することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態を示す窒素原子含有有機物処理装置を示す図。
【図2】 図1に示す窒素原子含有有機物処理装置の第1の変形例を示す図。
【図3】 図1に示す窒素原子含有有機物処理装置の第2の変形例を示す図。
【図4】 図1に示す窒素原子含有有機物処理装置の第3の変形例を示す図。
【図5】 図1に示す窒素原子含有有機物処理装置の第4の変形例を示す図。
【図6】 本発明の第2の実施形態を示す窒素原子含有有機物処理装置を示す図。
【図7】 本発明に係る酸化処理容器内での被処理物および酸化剤ガスの様子を示す断面図である。
【符号の説明】
1…高圧ポンプ
2、24…熱交換器
3…加熱炉
4…還元処理容器
5、9、17…冷却器
6、12、18…気液分離器
7…高圧コンプレッサー
8…酸化処理容器
10、13、19…液面コントローラー
11、14、20…液面制御弁
15、21…圧力コントローラー
16、22…圧力制御弁
23…小型高圧ポンプ
Claims (2)
- 300℃〜500℃の温度に加熱された水中で、窒素原子含有有機物を還元触媒に接触させて水を還元物質として還元し、アンモニアと難水溶性成分とを含む混合流体を生成する還元処理工程と、前記難水溶性成分をガス化し、前記混合流体を難水溶性ガスとアンモニア液とに分離する分離工程と、前記アンモニア液を酸化し、窒素ガスおよび水を生成する酸化処理工程とを有することを特徴とする窒素原子含有有機物の処理方法。
- 前記酸化処理工程は、前記難水溶性ガスおよびアンモニア液を、固体状の酸化触媒が充填された酸化処理容器内に注入する工程と、この酸化処理容器内に酸化剤ガスを注入する工程とからなることを特徴とする請求項1記載の窒素原子含有有機物の処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000087471A JP3710675B2 (ja) | 2000-03-27 | 2000-03-27 | 窒素原子含有有機物の処理方法および処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000087471A JP3710675B2 (ja) | 2000-03-27 | 2000-03-27 | 窒素原子含有有機物の処理方法および処理装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001269672A JP2001269672A (ja) | 2001-10-02 |
JP3710675B2 true JP3710675B2 (ja) | 2005-10-26 |
Family
ID=18603476
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000087471A Expired - Fee Related JP3710675B2 (ja) | 2000-03-27 | 2000-03-27 | 窒素原子含有有機物の処理方法および処理装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3710675B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111573897A (zh) * | 2020-05-27 | 2020-08-25 | 新奥科技发展有限公司 | 循环水系统的水净化方法 |
-
2000
- 2000-03-27 JP JP2000087471A patent/JP3710675B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001269672A (ja) | 2001-10-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6464867B1 (en) | Apparatus for producing water containing dissolved ozone | |
JPH0377691A (ja) | 廃水の処理方法 | |
RU2006118297A (ru) | Установка и способ очистки сточных вод | |
JPH01140564A (ja) | アンモニア除去装置及びその方法 | |
EP1610883B1 (en) | Method for treating an exhaust gas | |
JP4703227B2 (ja) | 廃水の処理方法 | |
JP3710675B2 (ja) | 窒素原子含有有機物の処理方法および処理装置 | |
JP2007229553A (ja) | 含窒素有機物の処理装置及び処理方法 | |
JP4074071B2 (ja) | 有機化合物の処理方法 | |
JP2000117273A (ja) | 廃水の処理方法 | |
JP2000117272A (ja) | 廃水の処理方法 | |
KR100951955B1 (ko) | 유기폐수 및 무기폐수의 혼합 처리방법 및 처리장치 | |
JP3495904B2 (ja) | Tmah廃液の超臨界水酸化処理方法 | |
Vicente et al. | Catalytic wet oxidation of phenol with homogeneous iron salts | |
JPH11226583A (ja) | アンモニアや有機態窒素を含む有機物の超臨界水酸化方法及び装置 | |
JPS62132589A (ja) | 廃水の湿式酸化処理方法 | |
JP2000167570A (ja) | 排水の処理方法 | |
JP3906666B2 (ja) | 窒素化合物含有水の処理方法及び処理装置 | |
KR100770823B1 (ko) | 질소함유 유기화합물의 분해 방법 및 장치 | |
JP3792856B2 (ja) | 有機性汚泥の超臨界水酸化方法 | |
JP2002355698A (ja) | 有機性汚泥の超臨界水酸化分解方法およびその装置 | |
JP2005254136A (ja) | 有機物含有水のオゾン処理装置 | |
JP2899270B1 (ja) | 排ガス中のダイオキシンの除去方法 | |
JP2005246329A (ja) | 含窒素有機化合物の高温高圧処理方法 | |
JPH03296487A (ja) | 高濃度有機性廃水の処理方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20031127 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040213 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040412 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20040528 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040623 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040823 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050802 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050810 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090819 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090819 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100819 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100819 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110819 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110819 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120819 Year of fee payment: 7 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |