JP2005279361A - 廃材の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バイオマスとコンクリートとの含有廃材から有害物質を排出せず炭酸固化材と高純度水素を得る技術の提供
【解決手段】バイオマスとコンクリートを含む廃材に水蒸気と酸素を供給して反応させ、バイオマスを水素と二酸化炭素とにガス化する。ガス化された二酸化炭素をコンクリート含有廃材に吹き込み固定して炭酸固化材とする。二酸化炭素以外の水素を含む混合ガスを活性炭に通してタールを除去し、水蒸気を凝縮して除去した混合ガスを精製し高純度の水素を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、バイオマスとコンクリートを含む廃材、とくに建設廃材から高純度の水素を製造するとともに二酸化炭素を固定して、炭酸固化材を製造するための処理技術に関する。更に詳しくは、バイオマスをガス化して、水素と二酸化炭素を生成し、二酸化炭素をコンクリート含有廃材に固定して廃材を炭酸固化材とし、且つ混合ガスの精製工程を経て高純度の水素を取り出す廃材の処理方法に関する。
最近、防火対策の強化等でコンクリートを含む建築材料が多量に使用されている。このような建築材料は、廃材となった場合その処理が問題となっている。環境を悪化させない処理、即ち、環境負荷の小さな処理法や再資源化する方法等が望まれている。
また、このようなコンクリート含有建設廃材は、多くの場合カルシウムの酸化物の他に、木材などのバイオマスや、硫酸カルシウムを主成分とする石膏などを多く含んでいる。従って、環境保全、地球温暖化防止の上で優れた方法により処理し再資源化することが一層重要となっている。特に建設廃木材は、従来から燃焼や埋め立てにより処理されているため、その処理結果は二酸化炭素に転換するだけになっている。また、多くの建設廃材はバイオマスとコンクリート含有の混合物廃材として発生する場合が多く、コンクリートのみを再利用する場合、バイオマスとの分離工程が必要となる。
そのため、バイオマスを含む建設廃材から一酸化炭素、二酸化炭素を放出させず水素を取り出すことは、地球温暖化抑制という観点から、極めて重要な技術となる。さらに建設廃材に石膏(硫酸カルシウム)を含む場合には、その処理過程で硫黄化合物を排出しないようにしなければならない。ところで、硫酸カルシウムは熱的に安定であり、高温で分解され二酸化硫黄を発生する(特許文献1参照)。また、硫酸カルシウムは、水素、一酸化炭素といった還元ガス存在下で700℃以上では、以下に示すように硫酸カルシウムは硫化カルシウムに転化される。冷却過程で、水蒸気、二酸化炭素が存在すると、炭酸化が進行し硫化水素を生成する(特許文献2,3参照)。
CaSO+4H → CaS+4HO …(1)
CaSO+4CO → CaS+4CO …(2)
CaS+HO+CO → CaCO+HS(冷却過程) …(3)
最近の研究によると、カルシウム(Ca)を含む廃材においては、二酸化炭素(CO)との反応により炭酸カルシウムを生成させて、COを例えばスラグに吹き込み固定化(炭酸固化技術)して炭酸固化ブロックを製造し、これを埋め立て用や海産資源(主に海藻)の再生・養殖用としてこの廃材を再利用することが報告されている(非特許文献1参照)。しかし、この炭酸固化のためには、所定の圧力の下でCOを別に導入する必要がある。
バイオマスは、水蒸気などのガス化剤の存在下では、通常700℃以上でガス化され、水素、一酸化炭素、二酸化炭素などを生成し、水素エネルギーに変換することができる。しかし、建築廃材に共存するバイオマスの水蒸気ガス化を行うと、硫酸カルシウムがCaSに転化され、冷却過程で水蒸気、二酸化炭素共存下で炭酸化が起こり、硫化水素が生成する(上記反応式(3))。従来このように種々の問題点を有しているが、高純度を要する燃料電池用の水素の需要を考慮すると、建設廃材であっても共存するバイオマスから高純度の水素を取り出すことが望まれる。
したがって、低環境負荷型に対応し、大量に発生している建築廃材から再資源化できる有効な処理方法の開発が望まれる。同一出願人は、これまで、二酸化炭素吸収物質(以下、CO吸収物質という)の共存下で、石炭、石油、プラスチックおよびバイオマス等の有機物を水蒸気をガス化剤としてガス化し、水素を製造する方法をいくつか提案してきた。例えば、上記有機物をCO吸収物質共存下で超臨界水と反応させ、超臨界水を還元して水素を製造する方法を提案した(特許文献4,5参照)。
具体的に言えば、圧力22MPa以上、温度600℃以上の条件の下で、上記有機物は超臨界水と反応し、完全にガス化される。このガス化反応により生成したガスの組成は、一酸化炭素、水蒸気、二酸化炭素及び水素を主な成分とするものとなり、各組成ガスは、次の化学平衡式により化学平衡に達する。
CO+HO ⇔ CO+H …(4)
その際、各組成ガスの割合は、圧力と温度等の条件により決まる平衡値に留まるため、全体に占める水素の割合は30%程度にしかならない。そこで、予め反応場にCO吸収物質(例えばCaO)を過剰に共存させて、生成ガス中から二酸化炭素を吸収させて除去する。これにより、前記化学平衡式(4)を、二酸化炭素と水素を生成する方向(即ち紙面に対して右向き)に反応を進行させることができる。この反応により新たに生成された二酸化炭素は、更にCO吸収物質と反応してCO吸収物質に吸収される。このようにして順次反応が進み、最終的にはガス中の水素の割合を80%程度にまで向上させることができる。
しかし、上記特許文献4,5に記載された方法では、反応場における反応条件が圧力22MPa以上、温度600℃以上という超臨界状態を形成しなければならないのが難点である。特に、22MPa以上という非常に高い圧力環境を形成しなければならず、装置の設計あるいは操業の安全性の達成の点で必ずしも容易でないという問題があった。
そこで本出願人らは、反応場の圧力をより低くした条件でも水素を効率的に製造する方法を探り、圧力を8MPa以下に下げても水素の収率がそれほど低下せず、更に反応場に対する有機物やCaO、水等の供給方法を工夫すれば、温度600〜900℃の条件下で、圧力を3MPa以下にまで下げても効率的に水素が得られることを見出した(特許文献6,7参照)。
また本出願人らは、水蒸気還元の出発物質をバイオマスに限定したため、CO吸収物質共存下、3MPa未満という非常に緩やかな反応条件下で、効率よく水蒸気の還元を行うことができ、二酸化炭素をほとんど含まない非常にクリーンな水素エネルギーに変換する水素製造方法を既に特許に出願している。
これらの水素製造法は、水素の製造過程において生成する二酸化炭素を、CO吸収物質に吸収させて積極的に除去するものである。最終的な生成ガス中に二酸化炭素をほとんど含まない非常にクリーンな水素エネルギーを作り出すものとして、地球温暖化防止の観点からも有効である。また、木材廃材などの廃棄物系バイオマスを、クリーンな水素エネルギーに変換し、再利用することを可能にする点でも非常に優れた技術である。
水素を燃料電池などの燃料として利用するときは、高純度の水素が要求される。ところが、バイオマスのガス化で得られるガスは、水素の他に一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、水蒸気、酸素などのガスが混在する場合が多い。従って、高純度の水素を得るには、共存する一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、水蒸気や酸素などを効果的に除去しなければならない。この水素の高純度化では、PSA法(Pressure Swing Adsorption 圧力変動吸着)やパラジウム膜透過法などの技術が使われている(非特許文献2参照)。
一方、水蒸気ガス化法をバイオマスとコンクリート含有建築廃材へ応用する場合、水素、メタンや水蒸気ばかりでなく、一酸化炭素、二酸化炭素、硫黄化合物など、環境に有害なガスが排出されることもある。従って、この方法の場合に、バイオマスをコンクリート含有建設廃材共存下で、操業に安全な穏やかな反応条件で水蒸気ガス化して、有害物質を排出せず高純度の水素を生成し、有効に廃材を処理することが望まれる。
尚、バイオマスとは、石炭や石油等の化石燃料を除いた生物由来の有機資源を意味し、森林や農作物、海藻・魚介類、又はこれらを利用した後の有機性廃棄物などをも含む再生可能な有機資源である。
特開昭54−17399号公報 特開昭61−63504号公報 特開昭61−61615号公報 特開2000−143202号公報 特開2000−153252号公報 特開2001−19402号公報 特開2001−302206号公報 NKK技報 No.178,p.43(2002年) 高純度化技術体系、第3巻 高純度物資製造プロセス 大矢晴彦監修
本発明は、このような技術的背景に基づいてなされたものであり、下記の目的を達成するものである。
本発明の目的は、バイオマスとコンクリートとの含有廃材から有害物質を排出しない反応条件でバイオマスをガス化して、効果的に水素と二酸化炭素を生成して、生成する二酸化炭素(CO)をコンクリート廃材に固定して(炭酸固化技術)、炭酸固化材にし再利用することのできる廃材の処理技術を提供することにある。本発明の他の目的は、バイオマスとコンクリートとの含有廃材から生成された水素を含む混合ガスを精製して高純度の水素を取り出すことのできる廃材の処理技術を提供することにある。
前記課題を解決するために次のような手段をとる。即ち、
本発明1の廃材の処理方法は、所定量のバイオマスとコンクリートを含む廃材から、水素と二酸化炭素の固化物を得るための処理方法であって、前記所定量のバイオマスとコンクリートを含む廃材に水蒸気と酸素を供給して反応させ、前記バイオマスを水素と二酸化炭素とにガス化し、廃材を炭酸固化材にするため前記ガス化された二酸化炭素をコンクリート含有廃材に吹き込み固定し、前記二酸化炭素以外の水素を含む混合ガスを活性炭に通してタールを除去し、前記混合ガスの水蒸気を凝縮して除去し、前記タールと水蒸気の除去された前記混合ガスを精製し高純度の水素を得ることを特徴とする。
本発明2の廃材の処理方法は、本発明1において、前記所定量のバイオマスとコンクリートを含む廃材に水蒸気と酸素を供給して反応させる工程は、バイオマスを圧力0.6〜1.0MPa、温度500〜700℃の条件下で反応させることを特徴とする。
本発明3の廃材の処理方法は、本発明1において、前記所定量のバイオマスとコンクリートを含む廃材に水蒸気と酸素を供給して反応させる工程は、バイオマス中の炭素のモル数[C]に対する廃材中のカルシウムのモル数[Ca]の比[Ca]/[C]が0.5〜4の範囲であることを特徴とする。
本発明4の廃材の処理方法は、本発明1から3において、前記所定量のバイオマスとコンクリートを含む廃材に水蒸気と酸素を供給して反応させる工程は、前記バイオマス中の炭素のモル数[C]に対して、反応場に供給する前記水蒸気のモル数[HO]の比[HO]/[C]が2以上であることを特徴とする。
本発明5の廃材の処理方法は、本発明1から4において、前記所定量のバイオマスとコンクリートを含む廃材に水蒸気と酸素を供給して反応させる工程は、前記バイオマス中の炭素のモル数[C]に対して反応場に供給する前記酸素のモル数[O]の比[O]/[C]が、0.5以下であることを特徴とする。
本発明6の廃材の処理方法は、本発明1から5において、前記二酸化炭素以外の水素を含む混合ガスを活性炭に通してタールを除去する工程は、前記活性炭の温度が500℃以下であることを特徴とする。
本発明7の廃材の処理方法は、本発明1から6において、前記タールと水蒸気の除去された混合ガスを精製し高純度の水素を得る工程は、前記混合ガスをPSA(Pressure Swinng Adsorption 圧力変動吸着)法により精製することを特徴とする。
本発明8の廃材の処理方法は、本発明1から6において、前記タールと水蒸気の除去された混合ガスを精製し高純度の水素を得る工程は、前記混合ガスをパラジウム膜透過法を用いて精製することを特徴とする。
本発明9の廃材の処理方法は、本発明7において、前記PSA法により精製される温度は20℃±10℃であることを特徴とする。
本発明10の廃材の処理方法は、本発明8において、前記パラジウム膜透過法により精製される温度は350〜500℃であることを特徴とする。
本発明者は、このような課題背景に対して鋭意研究を重ねた結果、バイオマスは揮発分が多く、それ自体が熱化学的に分解し易いことを見出していた。前述のように、適量のバイオマスをコンクリート含有建設廃材と共存させ、水蒸気と酸素を含むガス化剤と圧力0.6〜1.0MPa、温度500〜700℃の条件で反応させてガス化すれば、廃材から硫黄化合物を生成することなく、効率的に主として水素、メタンおよび二酸化炭素が生成される。この生成された内二酸化炭素がコンクリートに完全に固定され炭酸固化し、水素とメタン等からなる残りの混合ガス中のタールを500℃以下の活性炭で除去し、更に水蒸気を凝縮して除去した後に、パラジウム膜透過法又はPSA法を用いて、高純度の水素を製造できる処理技術を完成させたものである。
コンクリート含有廃材への炭酸固化においては、理論的にはCOと反応してCaCOを生成するカルシウム(Ca)のモル数[Ca]に対して、バイオマスから生成されるCOのモル数の比が1になるように廃材にバイオマスを共存させて、バイオマスから発生するCOは完全に廃材に固定化することができる。バイオマスのガス化率は、良くて80%であるので、コンクリート廃材中のカルシウム(Ca)のモル数[Ca]に対して、バイオマス中の炭素(C)のモル数の比[Ca]/[C]が1以上であれば、常にバイオマスのガス化で生成されるCOは、完全にコンクリートに固定化することができる。
勿論、コンクリート中のカルシウム(Ca)のモル数[Ca]には、コンクリート中のセメントに微量含まれる石膏のカルシウム(Ca)は除かれている。このように、ガス化されたCOをコンクリートに固定するので、ガス化されているCOは減少し前記化学平衡式(4)を、二酸化炭素と水素を生成する方向(即ち右向き)に反応を進行させることができる。本発明はこの目的に沿ったものであれば、前記発明1〜10の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた構成も当然採用可能である。
本発明によれば、適量のバイオマスをコンクリート含有の建設廃材と共存させて、水蒸気と酸素を含むガス化剤と圧力0.6〜1.0MPa、温度500〜700℃の条件で反応させてガス化し、廃材から硫黄化合物が排出されずに、効率的に主として水素と二酸化炭素が生成されて、二酸化炭素がコンクリートに完全に固定され固化される。この二酸化炭素の固定された酸化固化物は再資源の形で有効に再利用できる。更に、水素を含む混合ガス中のタールや水蒸気を除去した後に、例えば、パラジウム膜透過法やPSA法を用いて混合ガスを精製し、高純度の水素を取り出すことができるようになった。この水素は燃料電池にも利用できる高純度のものである。
以下、図面に基づいて、所定量のバイオマスとコンクリート含有廃材、特に建設廃材を例に処理技術について説明する。図1は、バイオマスのガス化および二酸化炭素(CO)固定化部1と、高純度水素製造部2とからなる本発明の廃材処理に関わる概要を示すブロック図である。バイオマスのガス化および二酸化炭素固定化部1は、バイオマスとコンクリート含有廃材とを水蒸気と酸素と反応させて効率的に水素と二酸化炭素を生成し、生成した二酸化炭素をコンクリート廃材に固定し炭酸固化物を製造する。高純度水素製造部2では、生成された混合ガスからタールや水蒸気を除去した後、この水素を含む混合ガスをパラジウム膜透過法(以下「Pd膜透過法」という)又は圧力変動吸着(PSA)を用いて精製し、高純度の水素を製造する。
本発明は、廃材の処理方法であるが、本実施の形態においては、特にコンクリートを含有する建設廃材の処理とこれに伴うバイオマスの処理について説明する。コンクリートを含む建築廃材への二酸化炭素(CO)固定をバイオマスの水蒸気および酸素との反応によるガス化に限定することで、バイオマスのガス化のための反応場の圧力を3MPa未満という低圧であっても、有害物質を排出しないで効率的に水素と二酸化炭素を生成し、生成した二酸化炭素は完全に廃材に固定して炭酸固化物にし再資源物として利用が可能な形態にした点、これに伴いバイオマスも効果的に高純度の水素にすることができるようにした点に特徴がある。
次に、このように、低圧条件下でバイオマスを効率的に水素と二酸化炭素にガス化し、コンクリート含有建設廃材から有害物質を排出しないで、二酸化炭素を固定する(バイオマスのガス化および二酸化炭素固定化部1)ことができることについて、以下説明する。先ず、バイオマスに関し、例えば、コナラ材や杉材等の木質系のバイオマスを加熱すると、全重量のうち70%程度が揮発するということが、本発明者等の実験で確認されている。
これは、木質系のバイオマスには、セルロースやヘミセルロース等の高温で揮発する成分(即ち揮発分)が多く含まれているためである。即ち、例えば、セルロース(一般式は(C10)のように電気陰性度の高い酸素等を多く含む有機物は、固体状のバイオマス中では主に水素結合により結合しているからである。このような成分を含むバイオマスを加熱すると、こうした水素結合が比較的容易に切断され、セルロース等が気化(揮発)するのである。
このような傾向は他の種類のバイオマスでも見られ、バイオマスは、石炭等の化石燃料と比較して、一般に揮発分を非常に多く含む。また、酸素等を多く含むと、ガス化したバイオマスは分子内反応等により比較的容易に熱化学的分解を生じる。つまり、バイオマスの化学式をCxHyOzと表すと、
CxHyOz→(x−z)C+zCO+(y/2)H …(5)
の反応により、熱化学的に分解する。更に、
C+HO→H+CO …(6)
C+CO→2CO …(7)
等の反応を生じて、連鎖的にガス状の炭素分を分解しながら、比較的容易に上記の化学平衡[化学平衡式(4)参照]に達する。
また、バイオマスは、ガス化によりタール分が発生し、このタールを含むと混合ガスは水蒸気による改質反応(即ち水蒸気改質反応)を受け易くなるという特質を有する。即ち、バイオマスがガス化すると、上記反応式(5)のように自ら熱化学的に分解するものもあるが、ガス化により発生したタールを共存する水蒸気の影響による反応で、一酸化炭素や水素等が生成するのである。
このように、バイオマスは、石炭等の化石燃料と比較して揮発分を非常に多く含むという特質を有し、更に熱化学的分解の経路又はこの水蒸気改質反応の経路をたどることで、容易に一酸化炭素や水素等に分解・改質される。そのため、従来のように高圧条件にしなくても、上記化学平衡式(4)の化学平衡に容易に達することができるのである。
尚、例えば、α−アルミナやZrO等の金属酸化物担体に固定化されたNi、Ru、Pt又はPd触媒といった炭化水素改質触媒を反応場に共存させれば、より容易にバイオマスのガス化を促進させることができる。バイオマスを水蒸気および酸素と反応させガス化させると、反応場の圧力を低圧(即ち3MPa未満)にしてもバイオマスが効率よくガス化されて、上記化学平衡式(4)は化学平衡に達し得る。
しかし、後述する実施例に示すように、実際に、バイオマスとしてコナラ材の木屑を用いた実験では、反応場の圧力を0.3MPaから2.5MPaまで変化させたところ、0.6MPa近傍で水蒸気の水素への変換率が最大になり、更に昇圧すると寧ろ変換率が下がるという結果が得られている。
この結果は、CO生成にバイオマスやバイオマス廃材を用いる場合には、上記のように低圧でも可能であるということよりは、寧ろ、積極的に3MPa未満の低圧状態にすることの方が効果的であるということを示唆している。バイオマスのガス化や水蒸気の還元過程は、上記反応式(4)〜(7)等の種々の反応が複合的に進行する複雑な過程であるから確定的なことは実験等経験的に確認する必要はあるが、少なくとも次のようなことは言える。
即ち、先述したバイオマスの熱化学的分解反応[反応式(5)参照]やバイオマスガス化由来のタールの水蒸気改質反応は、共に全組成ガスのモル数が増加する反応であるため、高圧下よりは低圧条件下で進行し易い。従って、上記の水素製造実験で、0.6MPaから昇圧すると水素への変換率が下がることから、圧力を上げると、バイオマス自体の揮発が阻害され、バイオマスの熱化学的分解反応やタールの水蒸気改質反応が進行し難くなるため、水素への変換が阻害される。
以上のように、バイオマスは、3MPa未満でもそれ自身が十分容易にガス化するうえ、寧ろ低圧である方が効率的に熱化学的分解や水蒸気改質反応が進行するため、上記化学平衡式(4)に示す化学平衡に達し易い。また、その際の反応温度は、後述する実施例に示すように、反応効率等の観点から500〜800℃が好ましく、600〜750℃であればより好ましい。
しかし、700℃以上では、共存水素によるコンクリートに含まれる硫酸カルシウムの硫化カルシウムへの転化および硫酸カルシウム自身の分解によってHSやSOxの生成が起こり易くなるので、本発明におけるガス化反応は500〜700℃が好ましく、バイオマスの熱分解および水蒸気改質反応が吸熱反応であるという観点からより好ましくは600〜700℃である。
反応場に予めCO吸収物質を含むコンクリート含有建設廃材を共存させておくと、上記化学平衡式(4)に示す化学平衡にある生成ガス中の二酸化炭素がこの廃材中のCO吸収物質と反応して減少する。
今、CO吸収物質をXで表すと、この反応は、
X+CO → XCO …(8)
と表すことができる。因みに、XCOはCO吸収物質(X)がCOを吸収して生成した化合物を示し、例えば、CO吸収物質がCaOであれば、XCOは、
CO+CaO → CaCO3 …(9)
の反応で生じるCaCOのことを指す。
そして、この反応により生成ガス中から二酸化炭素が減少すると、上記化学平衡式(4)に示す化学平衡は、右方向、即ち二酸化炭素と水素を生成する方向に反応が進む。新たに生成された二酸化炭素は、次から次へとコンクリート含有廃材中のCaと反応して吸収される。このようにCOが吹き込まれCaと反応して固定されたコンクリート含有廃材は炭酸固化材として有効に再資源化することができる。このような反応が順次進み、最終的には相対的にガス中の水素の割合が向上し、バイオマスから効率よく水素を製造することが可能となるのである。
そのため反応場に、コンクリート含有廃材が吸収可能な量の二酸化炭素を生成するバイオマスを予め共存させておけば、コンクリート含有廃材は生成された二酸化炭素を残さず吸収し、二酸化炭素を固定することが可能となる。従って、反応させる廃材としては、もともとバイオマスを含んでいるコンクリート含有廃材にさらに追加の形でバイオマスを含めたものとなる。
上記反応式(8)に示すように、廃材中のCa化合物であるCO吸収物質と二酸化炭素とは、通常、1対1で反応し、二酸化炭素はバイオマス中の炭素原子が酸化されて生成されるから、反応場に供給する廃材中の量は、反応場におけるバイオマス中の炭素のモル数[C]に対する廃材中のCaのモル数[Ca]の比[Ca]/[C]が1以上であることが必要である。
しかし、バイオマスの割合が過剰に少なくなると、今度は二酸化炭素の固定化が低くなり、水素の生成効率も低下することになる。そのため、反応場に供給するCO吸収物質の量は、バイオマス中の炭素のモル数[C]に対するCO吸収物質のモル数の比[Ca]/[C]が0.5〜4の範囲であれば好ましく、0.8〜2の範囲であればより好ましい。
本発明のコンクリート含有建設廃材を中心とする廃材の処理に用いるコンクリート廃材中のCO吸収物質としては、主として、CaO,Ca(OH),Caのシリケート化合物などのCa化合物であるが、Mg、Feの酸化物(MgO、FeO、Fe、Fe)及び同種金属の水酸化物(Mg(OH)、Fe(OH)、Fe(OH))及び同種金属のシリケート化合物などであってもよい。コンクリート含有廃材は、二酸化炭素を吸収して炭酸塩を形成するため、温室効果ガスとして放出することなく反応場から取り出すことができる。
さて、以上述べてきた本発明の構成、即ち、バイオマスをコンクリート含有建設廃材と共存させて、コンクリート廃材から有害物質を排出しない反応条件でバイオマスをガス化して、効果的に主として水素と二酸化炭素を生成し、生成したCOをコンクリート廃材に固定してコンクリート廃材を処理し、且つバイオマスから主として水素を製造するコンクリート含有廃材の処理における全反応を1つの反応式で表すならば、バイオマス中の炭素(C)1原子につき、
C+2HO+X → XCO+2H …(10)
の化学反応が生じ、水蒸気が水素に還元される(XはCO吸収物質)。
詳細に言えば、バイオマス中にも水素原子や酸素原子が多量に含まれるが、上記反応式(10)に示すように、反応場におけるバイオマス中の炭素のモル数[C]に対する水蒸気のモル数[HO]の比[HO]/[C]が、2以上になるように水蒸気を供給すれば、バイオマスを残さず反応させることができる。
ところで、バイオマスをガス化した後、なおも生成物中にタール分やチャー(タールが重合した固体、あるいは揮発分が抜けた後の固体)が残ることがある。このような場合には、反応場に供給するバイオマスや水蒸気に加え、更に酸素を供給することが好ましい。このように酸素を加えると、バイオマスガス化由来のタールやガス化されなかったチャー中の炭素を燃焼させ、タールやチャーの発生量を低減させることができる。
また、上記反応式(6)の反応(C+HO→H+CO)は比較的大きなエンタルピー変化を伴う吸熱反応であるため、上記燃焼により発生した反応熱をこの反応で要求される熱量に充てることができる。その結果、この反応熱の分だけ反応場を加熱する電気炉等にかかる負担を軽減することができ、電力消費量を低減させることが可能となる。しかし、その際、酸素をあまり過剰に供給すると、二酸化炭素が大量に発生する。その結果、生成した二酸化炭素の大部分は、廃材中のCO吸収物質と反応して吸収されてしまい、水蒸気の水素への還元に何ら寄与しないものとなる。
反応場に供給する酸素は、水素により廃材中の硫酸カルシウムを硫化カルシウムへ変化させず、バイオマスにいわゆる不完全燃焼を起こさせて一酸化炭素を生成する程度の量である。そうすれば、一酸化炭素が上記化学平衡式(4)を介して効果的に水蒸気を還元して水素を発生させることができる。本発明者らの実験によって、反応場の内部におけるバイオマス中の炭素のモル数[O]の比([O]/[C])が、0.5以下になるように供給すると、バイオマスの水素と二酸化炭素へのガス化が促進されることを確認している。
このことは、実際に本発明であるバイオマスとコンクリート含有廃材とを水蒸気と酸素と反応させて効率的に水素と二酸化炭素を生成し、生成した二酸化炭素をコンクリート廃材に固定し、水素を製造する処理技術を適用した水素製造装置等の設計や作業設定の構築に非常に重要となる。
通常、実験的には、バイオマス等を非反応性のキャリアガス(例えば窒素ガス等)と共に反応場に供給する。しかし、バイオマス中の炭素のモル数[C]に対する酸素のモル数[O]の比([O]/[C])が0.5以下の酸素が混入してもよいのであれば、バイオマス中の空気をキャリアガスで置換するという煩瑣な作業を省略することができるからである。
以上、本発明においてバイオマスをガス化して、二酸化炭素をコンクリート含有廃材に固定する機構を説明してきたが、本発明はこの実施形態にのみ限定されるものではなく、その本質を逸脱しない範囲で、他の種々の更なる変形例が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記の説明は、所定量のバイオマスとして主にコナラ材や杉材等の木質系のバイオマスを例にとったが、他の海藻や魚介類、又はこれらを利用した後の有機性廃棄物などでもまったく同様に説明することができ、これらのバイオマスも本発明のガス化に用いるバイオマスとして当然用いることが可能である。勿論、建設廃材に含まれるバイオマスも同様に使用することができ、廃材中のバイオマスが量的に少ない場合は新たに他のバイオマスを加えることができる。
次に、バイオマスをガス化して二酸化炭素を廃材に固定した(バイオマスのガス化および二酸化炭素固定化部1)後の、水素を主成分とする混合ガスの高純度化(高純度水素製造部2)について述べる。高純度水素製造部2は、タール除去装置、水蒸気除去装置、貯蔵タンク、および水素精製装置よりなる。貯蔵タンクは、ブースターを備えており、水素精製に適した混合ガスの流量や圧力に調整して、水素精製装置に送る。水素精製装置は、Pd膜透過法またはPSA法により混合ガスを高純度の水素ガスに精製する。
バイオマスのガス化および二酸化炭素固定化部1を出る混合ガスは、水素を主成分とし、メタン、窒素、水蒸気(または水)、タールなどを含んでいる。まず、混合ガス中のタールを、活性炭を充填したタール除去装置で除去する。この時タール除去温度は400℃以下とする。その後、水蒸気(水)を水蒸気除去装置で凝縮除去する。タールおよび水蒸気(水)の除去温度に関しては、水素精製を行う温度に応じて室温(20℃±10℃)付近から500℃の範囲で選択できる。
タールおよび水蒸気(水)を除去した後の混合ガスは、ブースターを備えた貯蔵タンクに送られ、水素精製に適した流量や圧力に調整して水素精製装置に送られる。水素精製装置では、350〜500℃でPd膜透過法、または室温近傍の温度でPSA法(Pressure Swing Adsorption法)により残存メタン、窒素などを除去して高純度水素を製造することができる。このようにして、混合ガスから高純度の水素を得ることができる。水素精製の工程で、Pd透過膜を用いる場合、350℃より低い温度では、水素の透過速度が小さくなり、また相変態が起きやすくなり耐久性も低下する。
また、実用的なPd透過膜の組成としては、Pd−Ag合金からなるものは透過速度が大きいのでよい。Pd透過膜の形状は細管にしてもよいが、膜の厚さを薄くして水素の透過速度を大きくするためには、多孔性セラミックスや多孔性ステンレスなどの支持体上にPd透過膜を形成した形態で用いる方がよい。
又、バイオマスのガス化工程で、バイオマスが完全にガス化されず、タール成分が幾分かは生成される場合がある。この高純度水素製造部2を機能的に作動させるためには、タールなどの混入をさけなければならない。タールを含む混合ガスを表面積と平均細孔径の大きい活性炭で処理することによって、500℃以下で混合ガス中のタールを効果的に除去することができる。
好ましい表面積および平均細孔径は、それぞれ500m/g以上および0.5nmである。より好ましくは、それぞれ1000m/g以上および0.1nm以上である。この表面積と平均細孔径の大きい活性炭からなるタール除去装置を500℃以下で作用させるとトータルシステムの安全性や機能性は向上させることができる。使用する活性炭の量は、ガス化されるバイオマスの量(即ち生成するタール量)によって決められる。また、この活性炭を用いたタール除去装置では、炭化水素、硫黄化合物なども除去することができる。このようにタールの除去された混合ガスは、前述のとおり水蒸気を除去し、貯蔵タンクへ貯蔵し、水素精製装置を介して高純度の水素を得ることができる。
以上、バイオマスをガス化して二酸化炭素を廃材に固定した(バイオマスのガス化および二酸化炭素固定化部1)後の、水素を主成分とする混合ガスの高純度化システム(高純度水素製造部2)について説明してきたが、本発明はこの実施形態にのみ限定されるものではなく、その本質を逸脱しない範囲で、他の種々の更なる変形例が可能であることは言うまでもない。又、本発明は、建設廃材以外の廃材にも適用できることはいうまでもない。
更に、本発明に用いられる高純度水素製造システムは、一般的にバイオマスをガス化して高純度の水素を製造するときは常に用いることができ、タール除去装置を付加した高純度水素製造法では、前述以外に硫黄化合物を含むような排ガスを含み一般的な燃焼排ガス中の水素の高純化にも使用することができることはいうまでもない。
以下、コンクリート含有廃材へのCO固定化(実施例1)と高純度水素製造(実施例2)からなる廃材処理の実験段階での実施例について述べる。尚、本発明は、これらの実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。
バイオマスのガス化および二酸化炭素固定の評価は、図2に示すオートクレーブ3(インコネル製)を有するバッチ式ガス化装置を用いて行った。オートクレーブ3は電気炉7で熱せられている。オートクレーブ3で発生したガスはガス収集バッグ5を有する密閉装置4に送られる。密閉装置4のガス量は積算流量計6で測定される。
バイオマスは、コナラ材又は杉材(ともにサイズ500μm〜1mm)を用いた。コンクリート含有廃材としては、積水化学工業株式会社製の外壁材(シンセライト)を用いた。
コンクリート含有廃材の再資源化処理で生成したガス組成は、ガスクロマトグラフ、検知管により測定した。
[実験1]
バッチ式ガス化装置(図2参照)のオートクレーブ3中にコナラ材20mg、コンクリート含有廃材250mg及び水50mgを導入した。このときのコンクリート廃材中のCa量[Ca]のコナラ材の炭素量[C]に対するモル比([Ca]/[C])が3、コナラ材の炭素[C]に対する水蒸気のモル比([HO]/[C])が2であった。更に、コナラ材の炭素[C]に対する酸素の量[O]のモル比([O]/[C])が0.3となるようにオートクレーブ3中に酸素を供給した。このようにコナラ材、コンクリート廃材、水及び酸素を導入し、反応温度を650℃に固定して、圧力0.8MPaで10分間廃材処理を行った。
[実験2]
実験1と同様な装置と装置に導入するコナラ材、コンクリート廃材、水及び酸素を同じにして、反応温度を650℃、反応圧0.6MPaで10分間廃材処理を行った。
[実験3]
実験1と同様な装置を用いて、[Ca]/[C]比が3、[HO]/[C]比が2、[O]/[C]比が0.1となるようにコナラ材、コンクリート含有廃材および水を導入した。反応温度を650℃に固定して、圧力0.6MPaで10分間廃材処理を行った。
[結果]
生成したガスの成分は約90%が水素、少量のメタンであった。
反応後、コンクリート含有廃材に塩酸を添加して得られたガスを分析したところ、二酸化炭素が検出された。つまり、バイオマスガス化により発生した二酸化炭素がコンクリート含有廃材に固定されたことが分かった。検知管によるガス成分分析から、硫黄化合物は検出されなかった。
各圧力で得られた水素の生成は、理論収率(投入炭素1モルに対して水素2.05モル)に対して、35%(0.8MPa、[O]/[C]=0.4)、45%(0.6MPa、[O]/[C]=0.4)、及び55%(0.6MPa、[O]/[C]=0.1)であった。
本実施例の圧力、酸素濃度の条件で得られたコナラ材のガス化と二酸化炭素固定では、低圧で、低酸素濃度のとき高いガス化率が得られた。
コンクリート廃材へのCO固定化と水素製造からなる廃材の再資源化処理の実験室レベルの評価は、実施例1で得られた各混合ガスを更に図3に示す水素高純化システム(高純度水素製造部2)により工程順に従って処理した。
実験1で得られた各混合ガスは、タール除去装置8、水蒸気除去装置9、貯蔵タンク10、ブースター11、マスフローコントローラー12を介して水素精製装置13に送られ、高純度水素となる。タール除去装置8は、350℃に保持され、混合ガスはブースター11を備えた貯蔵タンク10で2MPaに調整されて、混合ガス導入前に真空排気され、350℃に保持されたPd−Ag合金組成のPd透過膜を有する水素精製装置13に流速50cc/minで導入した。また、Pd膜透過法の代わりに、室温に保たれたPSA法を用いた水素精製に関する検討も行った。この水素高純化システムによる実験1の混合ガスの処理は、各水素精製装置13を用い合計50回行った。
[結果]
両水素精製装置から得られた各混合ガスの成分をガスクロマトグラフで分析したところ、いずれも水素以外のガスは検出されなかった。
[結果及び評価]
水素、メタン、タールの3種類の混合ガスを、水素高純化システムを用いて精製した結果では、混合ガスの精製を、各水素精製装置で50回繰り返してもタールによるシステムの目詰まりもなく、効果的に水素精製が行われたことを確認した。
本発明の廃材の処理方法は、特に建設廃材から高純度の水素を製造し、かつCOをコンクリート含有廃材に固定して炭酸固化材にすることで、再資源化、即ち、海洋資源(主に海藻)等の再生に利用できる技術である。リサイクル率が低い木材廃材の有効な処理という廃棄物処理の観点から、水素を大量に使用する将来の社会を睨み、これに対応できる技術として高純度水素製造技術の開発の観点から、又、海洋資源の復元の観点から、将来、本発明は産業上有効に利用されることが期待される。
図1は、コンクリート含有建設廃材の処理工程を示すブロック図である。 図2は、バッチ式反応試験装置を示す処理装置の説明用模式図である。 図3は、バッチ式ガス化およびCO固定化後の混合ガス中から高純度水素を得るための工程を示すフロー図である。
符号の説明
1…バイオマスのガス化および二酸化炭素(CO)固定化部
2…高純度水素製造部
3…オートクレーブ
4…密閉容器
5…ガス収集バッグ
6…積算流量計
7…電気炉
8…タール除去装置
9…水蒸気除去装置
10…貯蔵タンク
11…ブースター
12…マスフローコントローラー
13…水素精製装置

Claims (10)

  1. 所定量のバイオマスとコンクリートを含む廃材から、水素と二酸化炭素の固化物を得るための処理方法であって、
    前記所定量のバイオマスとコンクリートを含む廃材に水蒸気と酸素を供給して反応させ、
    前記バイオマスを水素と二酸化炭素とにガス化し、
    前記廃材を炭酸固化材にするため前記ガス化された二酸化炭素をコンクリート含有廃材に吹き込み固定し、
    前記二酸化炭素以外の水素を含む混合ガスを活性炭に通してタールを除去し、
    前記混合ガスの水蒸気を凝縮して除去し、
    前記タールと水蒸気が除去された前記混合ガスを精製し、
    高純度の水素を得ることを特徴とする廃材の処理方法。
  2. 請求項1記載の廃材の処理方法において、
    前記所定量のバイオマスとコンクリートを含む廃材に水蒸気と酸素を供給して反応させる工程は、前記バイオマスを圧力0.6〜1.0MPa、温度500〜700℃の条件下で反応させることを特徴とする廃材の処理方法。
  3. 請求項1に記載の廃材の処理方法において、
    前記所定量のバイオマスとコンクリートを含む廃材に水蒸気と酸素を供給して反応させる工程は、前記バイオマス中の炭素のモル数[C]に対する廃材中のカルシウムのモル数[Ca]の比[Ca]/[C]が0.5〜4.0の範囲であることを特徴とする廃材の処理方法。
  4. 請求項1ないし3に記載の廃材の処理方法の選択される1項において、
    前記所定量のバイオマスとコンクリートを含む廃材に水蒸気と酸素を供給して反応させる工程は、前記バイオマス中の炭素のモル数[C]に対して、反応場に供給する前記水蒸気のモル数[HO]の比[HO]/[C]が2以上であることを特徴とする廃材の処理方法。
  5. 請求項1ないし4に記載の廃材の処理方法の選択される1項において、
    前記所定量のバイオマスとコンクリートを含む廃材に水蒸気と酸素を供給して反応させる工程は、前記バイオマス中の炭素のモル数[C]に対して反応場に供給する前記酸素のモル数[O]の比[O]/[C]が、0.5以下であることを特徴とする廃材の処理方法。
  6. 請求項1ないし5に記載の廃材の処理方法の選択される1項において、
    前記二酸化炭素以外の水素を含む混合ガスを活性炭に通してタールを除去する工程は、前記活性炭の温度が500℃以下であることを特徴とする廃材の処理方法。
  7. 請求項1ないし6に記載の廃材の処理方法の選択される1項において、
    前記タールと水蒸気の除去された混合ガスを精製し高純度の水素を得る工程は、前記混合ガスを圧力変動吸着により精製することを特徴とする廃材の処理方法。
  8. 請求項1ないし6に記載の廃材の処理方法の選択される1項において、
    前記タールと水蒸気の除去された混合ガスを精製し高純度の水素を得る工程は、前記混合ガスをパラジウム膜透過法を用いて精製することを特徴とする廃材の処理方法。
  9. 請求項7に記載の廃材の処理方法において、
    前記圧力変動吸着により精製される温度は20℃±10℃であることを特徴とする廃材の処理方法。
  10. 請求項8に記載の廃材の処理方法において、
    前記パラジウム膜透過法により精製される温度は350〜500℃であることを特徴とする廃材の処理方法。
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