JP4073780B2 - マスタシリンダ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、作動液を貯留するリザーバと、シリンダ孔を有するシリンダ本体と、前記シリンダ孔に摺動可能に嵌装される作動ピストンと、前記シリンダ孔に画成されて前記作動ピストンの前端面が臨む、出力ポートに連なる液圧室とを備え、作動ピストンの前進により液圧室に液圧を発生させて、自動車等のブレーキやクラッチ等の負荷を作動するようにしたマスタシリンダの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
かゝるマスタシリンダは、例えば下記特許文献1に開示されているように、既に広く知られている。
【0003】
【特許文献1】
実開平6−42499号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のマスタシリンダでは、作動ピストンの、液圧室に臨む加圧面の面積は、その全作動ストロークに亙り一定である。このため、作動ピストンの限られた作動ストロークによって、負荷に対する液圧の急速充填と高出力の発揮とを、共に満足させることが困難である。即ち、作動ピストンの加圧面積を大きく設定して、負荷に対する作動液の急速充填を可能にすれば、作動ピストンの作動ストロークを短くして、マスタシリンダの短縮化を可能にするが、負荷に対する高出力の発揮が困難となり、反対に作動ピストンの加圧面積を小さく設定して、負荷に対する高出力の発揮を可能にすれば、作動ピストンの作動ストロークが長くなってしまい、マスタシリンダの短縮化が困難となる。
【0005】
本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたもので、作動ピストンの限られた作動ストロークによって、負荷に対する作動液の急速充填と高出力の発揮とを可能にした、新規なマスタシリンダを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、作動液を貯留するリザーバと、シリンダ孔を有するシリンダ本体と、前記シリンダ孔に摺動可能に嵌装される作動ピストンと、前記シリンダ孔に画成されて前記作動ピストンの前端面が臨む、出力ポートに連なる液圧室とを備えるマスタシリンダにおいて、前記作動ピストンを、前記シリンダ孔に摺動可能に嵌合して前端面を前記液圧室に臨ませる大径ピストン部と、この大径ピストン部の後端に連設されて、前記シリンダ本体の後端壁に液密且つ摺動自在に支承される、前記大径ピストン部より小径の小径ピストン部とで構成すると共に、前記大径ピストン部及び後端壁間に加圧面積調節室を画成し、前記リザーバ及び加圧面積調節室間を接続する第1通路に第1開閉弁を、また前記液圧室及び加圧面積調節室間を接続する第2通路に第2開閉弁をそれぞれ介装し、車両の車輪ブレーキに、前記出力ポートと、液圧ポンプの吐出側とを並列に接続すると共に、この液圧ポンプの吸入側に、前記液圧室及び第2開閉弁間の前記第2通路から分岐した吸入通路を接続したことを特徴とする。
【0007】
この特徴によれば、第1開閉弁を開、第2開閉弁を閉の状態にすることにより、作動ピストンの液圧室に対する有効加圧面積は、大径ピストン部の断面積となり、また第1開閉弁を閉、第2開閉弁を開の状態にすることにより、作動ピストンの液圧室に対する有効加圧面積は、大径ピストン部及び小径ピストン部の断面積の差となる。したがって第1及び第2開閉弁を切換制御することにより、作動ピストンの限られた作動ストロークにおいて、負荷に対する作動液の急速充填と高出力の発揮とを効果的に行うことができ、マスタシリンダの全長の短縮化に寄与し得る。
【0008】
しかもシリンダ本体のシリンダ孔は、従来一般のマスタシリンダと同様に全長に亙り同径のストレートシリンダ孔とすることができ、シリンダ本体の製作性が良好である。
【0009】
また車両の車輪ブレーキを作動してその運動制御を行うために液圧ポンプを作動する際には、第1及び第2開閉弁を共に開とすることにより、液圧ポンプの吸入側を第1及び第2通路を通してリザーバに直接連通させ、その作動液を液圧ポンプに吸入させることができ、したがってその吸入抵抗を小さく抑えて、液圧ポンプの負荷を軽減することができると共に、マスタシリンダの液圧室の減圧を防ぐことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面に示す本発明の好適な実施例に基づき以下に説明する。
【0011】
図1は本発明の実施例に係る自動車のブレーキ用タンデム型マスタシリンダの縦断側面図、図2は図1における第1及び第2開閉弁の、急速充填時の作用説明図、図3は同第1及び第2開閉弁の、高出力時の作用説明図、図4は同第1及び第2開閉弁の、液圧ポンプ作動時の作用説明図、図5は自動車のブレーキ装置全体の液圧回路図である。
【0012】
先ず、図1において、符号Mは自動車の2系統式ブレーキ用のタンデム型マスタシリンダであり、そのシリンダ本体1に形成されたシリンダ孔2は、シリンダ本体1と一体の前端壁1aと、シリンダ本体1にシール部材3を介して嵌合、固定される後端壁1bとで前後両端が閉塞されている。このシリンダ孔2には前部作動ピストン4f及び後部作動ピストン4rが摺動可能に嵌装され、その前部作動ピストン4fと前端壁1aとの間に前部液圧室5fが画成され、前部及び後部作動ピストン4f,4r間に後部液圧室5rが画成され、これら前部及び後部液圧室5f,5rに連なる第1及び第2出力ポート31a,31bがシリンダ本体1に穿設される。
【0013】
後部作動ピストン4rは、大径ピストン部4raと、この大径ピストン部4raの後端に一体に連設され、それより小径の小径ピストン部4rbとからなっており、大径ピストン部4raはシリンダ孔2に摺動可能に嵌合され、この大径ピストン部4raの前端には、シリンダ孔2の内周面に密接するカップシール10が装着される。小径ピストン部4rbは、シリンダ本体1の後端壁1bにシール部材6を介して液密且つ摺動可能に支承される。この小径ピストン部4rbは中間にフランジ7を一体に有しており、このフランジ7が後端壁1bの前端面に当接することにより、後部作動ピストン4rの後退限が規定されるようになっている。このような後部作動ピストン4rの大径ピストン部4raと、シリンダ本体1の後端壁1bとの間に加圧面積調節室8が画成される。また小径ピストン部4rbには、ブレーキペダルP(図5参照)に連動するプッシュロッド9が連接される。
【0014】
シリンダ本体1には、その上面に開口する前部及び後部作動液入口20f,20rが形成され、これらに作動液を貯留するリザーバRの前部及び後部液溜め室Rf、Rrがそれぞれ接続される。
【0015】
図1及び図2に示すように、シリンダ本体1には、また、リザーバRの後部液溜め室Rr及び前記加圧面積調節室8間を接続する第1通路21と、第2出力ポート31b及び加圧面積調節室8間を接続する第2通路22とが設けられ、その第1通路21には常開型の電磁弁からなる第1開閉弁23が、また第2通路22には常閉型の電磁弁からなる第2開閉弁24がそれぞれ介装される。
【0016】
再び図1において、後部作動ピストン4rの前端には位置決めボルト12が螺着され、この位置決めボルト12の軸部に摺動可能に嵌合される釣り鐘型のリテーナ13と後部作動ピストン4rとの間に、後部作動ピストン4rを後退方向に付勢する後部戻しばね14rが縮設される。リテーナ13は、後部作動ピストン4rが後退限に位置するとき、位置決めボルト12の頭部12aとの当接位置に後部戻しばね14rにより保持され、このときのリテーナ13に前部作動ピストン4fが当接することにより、前部作動ピストン4fの後退限が規定されるようになっている。この前部作動ピストン4fを後退方向に付勢する前部戻しばね14fが前部液圧室5fに縮設される。
【0017】
前部作動ピストン4fの前端部と後端部には、それぞれシリンダ孔2の内周面に密接する前後一対のカップシール15,15′がそれぞれ装着され、前部作動ピストン4fの中間部には、前部作動液入口20fに連通する円筒状の補給液室16が画成される。そして前部作動ピストン4fには、補給液室16及び前部液圧室5f間を連通、遮断するセンタバルブ17が設けられる。このセンタバルブ17は、前部作動ピストン4fが後退限に位置するときは補給液室16及び前部液圧室5f間を連通し、前部作動ピストン4fが後退限から僅かに前進すると、補給液室16及び前部液圧室5f間の連通を遮断するようになっている。
【0018】
一方、後部液圧室5r側のシリンダ孔2の内面には、前記第2通路22に連なるリリーフポート18が開口しており、このリリーフポート18は、後部作動ピストン4rが後退限に位置するとき、前部作動ピストン4fのカップシール10の直前に位置を占めて、第2通路22及び後部液圧室5r間を連通し、後部作動ピストン4rが後退限から僅かに前進すると、上記カップシール10の後方に相対的に移るように配置される。
【0019】
図5において、マスタシリンダMの第1及び第2出力ポート31a,31bに個別に接続された第1、第2入力液路32a,32bと、左前輪用車輪ブレーキBa、右後輪用車輪ブレーキBb、右前輪用車輪ブレーキBc及び左後輪用車輪ブレーキBdに個別に接続された第1〜第4出力液路42a〜42dとの間にモジュレータ33が介裝される。
【0020】
モジュレータ33はブレーキ制御弁手段34を備え、このブレーキ制御弁手段34は、左前輪用車輪ブレーキBa、右後輪用車輪ブレーキBb、右前輪用車輪ブレーキBc及び左後輪用車輪ブレーキBdにそれぞれ個別に対応した第1〜第4入口弁35a〜35dと、前記各車輪ブレーキBa〜Bdにそれぞれ個別に対応した第1〜第4出口弁36a〜36dとからなっており、各入口弁35a〜35dは常開型電磁弁で構成され、また各出口弁36a〜36dは常閉型電磁弁で構成される。そして、第1、第2入口弁35a,35bの入口に第1入力液路32aが、第3、第4入口弁35c,35dの入口に第2入力液路32bがそれぞれ接続される。また第1入口弁35aの出口及び第1出口弁36aの入口に第1出力液路42aが、第2入口弁35bの出口及び第2出口弁36bの入口に第2出力液路42bが、第3入口35cの出口及び第3出口弁36cの入口に第3出力液路42cが、第4入口弁35dの出口及び第4出口弁36dの入口に第4出力液路42dがそれぞれ接続される。
【0021】
第1、第2出口弁36a,36bの出口は第1減圧液路37aを介して第1液圧ポンプ38aの吸入ポートに接続され、第3、第4出口弁36c,36dの出口は第2減圧液路37bを介して第2液圧ポンプ38bの吸入ポートに接続され、第1、第2減圧液路37a,37bには、減圧用の第1、第2リザーバ39a,39bと、各リザーバ39a,39bから対応する液圧ポンプ38a,38b側への作動液の一方向への流れを許容するチェック弁40とが介装される。
【0022】
第1液圧ポンプ38aの吐出ポートは、第1昇圧液路41aを介して第1、第2入口弁35a,35bの入口に接続され、第2液圧ポンプ38bの吐出ポートは、第2昇圧液路41bを介して第3、第4入口弁35c,35d の入口に接続される。また第1、第2液圧ポンプ38a,38bの吐出ポートには、その吐出圧の脈動を吸収する第1、第2ダンパ43a,43bが接続される。これら液圧ポンプ38a,38bは、共通の電動モータ47で駆動されるようになっている。
【0023】
第1、第2入力液路32a,32bには、これに対する第1、第2昇圧液路41a,41bの接続点より上流側で常開型電磁弁からなるカット弁44が介装される。
【0024】
第1液圧ポンプ38a吸入ポートには、カット弁44より上流の第1入力液路32aから分岐した吸入通路45が接続され、この吸入通路45には常開型の吸入弁46が介装される。
【0025】
一方、第2液圧ポンプ38bの吸入ポートには、前記マスタシリンダMの後部液圧室5r及び第2開閉弁24間の第2通路22から分岐した吸入通路25が接続され。
【0026】
次に、この実施例の作用について説明する。
〔制動初期〕
図2に示すように、通常は、常開型の第1開閉弁23は開き状態を、また常閉型の第2開閉弁24は閉じ状態をそれぞれ保っており、これにより加圧面積調節室8は後部液溜め室Rrと連通するが、後部液圧室5rとは遮断される。そこで、ブレーキペダルPの踏み込み操作により、プッシュロッド9を介して後部作動ピストン4rを前方へ押動すれば、カップシール10が直ちにリリーフポート18の開口端を前方へ横切るので、後部作動ピストン4rの前進に応じて後部液圧室5rに液圧が発生する。これに伴ない前部作動ピストン4fも前方へ押動されると、直ちにセンタバルブ17が閉じるので、前部作動ピストン4fの前進に応じて前部液圧室5fにも液圧が発生する。そして、前部液圧室5fに発生した液圧は、第1出力ポート31aから第1入力液路2a、カット弁14、第1、第2入口弁5a,5b 及び第1、第2出力液路12a,12bを経て左前輪用車輪ブレーキBa及び右後輪用車輪ブレーキBbに供給され、それらを作動する。また後部液圧室5rに発生した液圧は、第2出力ポート31bから第2入力液路2b、カット弁14、第3、第4入口弁5c,5d 及び第3、第4出力液路12c,12dを経て右前輪用車輪ブレーキBc及び左後輪用車輪ブレーキBdに供給され、それらを作動する。
【0027】
一方、加圧面積調節室8は、後部作動ピストン4rの前進に応じて容積を拡大するが、それに伴ない後部液溜め室Rrから作動液を単に引き込むだけで、後部作動ピストン4rの作動に何等の影響も及ぼさない。
【0028】
このときの後部作動ピストン4rの後部液圧室5rに対する有効加圧面積Aは大径ピストン部4raの断面積で決まる。即ち、後部作動ピストン4rの大径ピストン部4raの直径をDとすると、
A=πD2 /4
となる。したがって、大径ピストン部4ra及びシリンダ孔2の直径を大きく設定すれば、後部作動ピストン4rは勿論、前部作動ピストン4fの比較的少ない前進ストロークにより、比較的多量の作動液を第1及び第2出力ポート31a,31bから送り出すことができ、各系統のブレーキの無効作動間隙を速やかに排除して、各ブレーキの応答性を高めることができる。
〔制動後期〕
後部作動ピストン4rの前進量が所定値以上となったときは、図3に示すように、第1及び第2開閉弁23,24に順次通電して、先ず第1開閉弁23を閉じ、次いで第2開閉弁24を開き、これにより加圧面積調節室8及び後部液溜め室Rr間を遮断すると共に、加圧面積調節室8及び後部液圧室5r間を連通させる。その結果、後部作動ピストン4rの前進により後部液圧室5rから押し出される作動液の一部は、容積を拡大する加圧面積調節室8に吸収される。
【0029】
このときの後部作動ピストン4rの後部液圧室5rに対する有効加圧面積A′は、大径ピストン部4ra及び小径ピストン部4rbの断面積の差で決まる。即ち、後部作動ピストン4rの大径ピストン部4raの直径をD、小径ピストン部4rbの直径をdとすると、
A′=π(D−d)2 /4
となり、制動初期のAより小さい。したがって、後部作動ピストン4rの前進により、後部液圧室5rは勿論、前部液圧室5fをも効果的に増圧せしめ、各系統のブレーキを強力に作動することができる。
【0030】
こうして、後部作動ピストン4rの有効加圧面積を、それらの作動ストローク前半と後半とで切り換えることにより、前部及び後部作動ピストン4f,4rの限りある作動ストロークにより、負荷に対する作動液の急速充填と高出力の発揮とを効果的に行うことができ、マスタシリンダMの全長の短縮化に寄与し得る。しかもシリンダ本体1のシリンダ孔2は、従来一般のマスタシリンダと同様に全長に亙り同径のストレートシリンダ孔とすることができ、シリンダ本体1の製作性も良好である。
〔アンチロック制御〕
上記ブレーキ時、車輪がロック状態に入りそうになると、第1〜第4入口弁35a〜35dのうちロック状態になろうとした車輪に対応する入口弁を励磁して閉弁すると共に、第1〜第4出口弁36a〜36dのうち上記車輪に対応する出口弁を励磁して開弁する。すると、上記車輪に対応する車輪ブレーキの液圧の一部が対応する開弁した出口弁及びそれの対応する減圧液路37a,37bを通して第1リザーバ39a又は第2リザーバ39bに吸収されて、その車輪ブレーキが減圧されることになる。
【0031】
その車輪ブレーキの液圧を一定に保持する場合には、その車輪ブレーキに対応する入口弁35a〜35dを励磁して閉弁すると共に、出口弁36a〜36dを消磁して閉弁状態にすればよく、ブレーキ液圧を増圧する際には、入口35a〜35dを消磁して開弁すると共に、出口弁36a〜36dを消磁して閉弁した状態にすればよい。このように制御することにより車輪をロックさせることなく、効率良く制動することができる。
【0032】
このようなアンチロック制御中は、電動モータ47に通電して、それを作動せしめ、第1、第2液圧ポンプ38a,38b を駆動し続ける。これにより第1、第2液圧ポンプ38a,38bが第1、第2リザーバ39a,39bに吸収されたブレーキ液を吸入し、それを昇圧液路41a,41bを通して第1、第2入力液路32a,32bに還流させる。このような還流によって、リザーバ39a,39bの作動液の吸収によるブレーキペダルPの踏み込み量の増加が抑制される。
〔車両の運動制御〕
車両の姿勢制御やトラクション制御のために、マスタシリンダMの作動に依存されずに、所定の車輪ブレーキを作動する場合には、図4に示すように、第1開閉弁23は常開にしたまゝで、第2開閉弁24に通電して、それを開く。そして電動モータ47を作動して、第1、第2液圧ポンプ38a,38bを駆動すると共に、カット弁44を励磁して閉弁し、また吸入弁46を励磁して開弁し、また入口弁35a〜入口弁35d中、制動すべき車輪ブレーキに対応するもののみを常開状態に残して、他のものは励磁して閉弁する。
【0033】
すると、第1液圧ポンプ38aは、吸入通路45、第1入力液路32a、マスタシリンダMの前部液圧室5f及び開弁状態のセンタバルブ17を通して前部液溜め室Rfの作動液を吸入し、昇圧液路41a及び常開状態の入口弁を通して所定の車輪ブレーキのみに供給すると共に、その作動液のマスタシリンダM側への流れを閉弁状態のカット弁44により阻止するので、所定の車輪ブレーキを作動して、車両の姿勢制御やトラクション制御等の運動制御を行うことができる。その際、上記センタバルブ17は、前部液圧室5fが減圧するに応じて開弁開度を広げる機能を有するので、第1液圧ポンプ38aの吸入抵抗を極力軽減して、前部液圧室5fの減圧を防ぐことができる。
【0034】
一方、第2液圧ポンプ38bは、第1及び第2通路21,22、並びに吸入通路25を通して後部液溜め室Rrの作動液を直接吸入することで、第2液圧ポンプ38bの吸入抵抗による負荷を効果的に軽減することができると共に、後部液圧室5rの減圧を効果的に防ぐことができる。したがって、後部液溜め室Rr及び後部液圧室5r間の連通、遮断機構としては、その間を連通するリリーフポート18と、それを後部作動ピストン4rの後退・前進に応じて開・閉するカップシール10とからなる、簡単で安価な機構の採用が可能となり、マスタシリンダMの構成の簡素化及び全長の短縮化に寄与し得る。
【0035】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、作動液を貯留するリザーバと、シリンダ孔を有するシリンダ本体と、前記シリンダ孔に摺動可能に嵌装される作動ピストンと、前記シリンダ孔に画成されて前記作動ピストンの前端面が臨む、出力ポートに連なる液圧室とを備えるマスタシリンダにおいて、前記作動ピストンを、前記シリンダ孔に摺動可能に嵌合して前端面を前記液圧室に臨ませる大径ピストン部と、この大径ピストン部の後端に連設されて、前記シリンダ本体の後端壁に液密且つ摺動自在に支承される、前記大径ピストン部より小径の小径ピストン部とで構成すると共に、前記大径ピストン部及び後端壁間に加圧面積調節室を画成し、前記リザーバ及び加圧面積調節室間を接続する第1通路に第1開閉弁を介装し、また前記液圧室及び加圧面積調節室間を接続する第2通路に第2開閉弁を介装したので、第1及び第2開閉弁を切換制御することにより、作動ピストンの限られた作動ストロークにおいて、負荷に対する作動液の急速充填と高出力の発揮とを効果的に行うことができ、マスタシリンダの全長の短縮化に寄与し得る。しかもシリンダ本体のシリンダ孔は、従来一般のマスタシリンダと同様に全長に亙り同径のストレートシリンダ孔とすることができ、シリンダ本体の製作性が良好である。
【0037】
また特に車両の車輪ブレーキに、前記出力ポートと、液圧ポンプの吐出側を並列に接続し、この液圧ポンプの吸入側に、前記液圧室及び第2開閉弁間の前記第2通路から分岐した吸入通路を接続したので、車両の車輪ブレーキを作動してその運動制御を行うために液圧ポンプを作動する際には、第1及び第2開閉弁を共に開とすることにより、液圧ポンプの吸入側を第1及び第2通路を通してリザーバに直接連通させ、その作動液を液圧ポンプに吸入させることができ、したがってその吸入抵抗を小さく抑えて、液圧ポンプの負荷を軽減することができると共に、マスタシリンダの液圧室の減圧を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る自動車のブレーキ用タンデム型マスタシリンダの縦断側面図
【図2】 図1における第1及び第2開閉弁の、急速充填時の作用説明図
【図3】 同第1及び第2開閉弁の、高出力時の作用説明図
【図4】 同第1及び第2開閉弁の、液圧ポンプ作動時の作用説明図
【図5】 自動車のブレーキ装置全体の液圧回路図
【符号の説明】
M・・・・・マスタシリンダ
R・・・・・リザーバ
1・・・・・シリンダ本体
2・・・・・シリンダ孔
4r・・・・作動ピストン
4ra・・・大径ピストン部
4rb・・・小径ピストン部
8・・・・・加圧面積調節室
21・・・・第1通路
22・・・・第2通路
23・・・・第1開閉弁
24・・・・第2開閉弁
25・・・・吸入通路
38b・・・液圧ポンプ
Claims (1)
- 作動液を貯留するリザーバ(R)と、シリンダ孔(2)を有するシリンダ本体(1)と、前記シリンダ孔(2)に摺動可能に嵌装される作動ピストン(4r)と、前記シリンダ孔(2)に画成されて前記作動ピストン(4r)の前端面が臨む、出力ポート(31b)に連なる液圧室(5r)とを備えるマスタシリンダにおいて、
前記作動ピストン(4r)を、前記シリンダ孔(2)に摺動可能に嵌合して前端面を前記液圧室(5r)に臨ませる大径ピストン部(4ra)と、この大径ピストン部(4ra)の後端に連設されて、前記シリンダ本体(1)の後端壁(1b)に液密且つ摺動自在に支承される、前記大径ピストン部(4ra)より小径の小径ピストン部(4rb)とで構成すると共に、前記大径ピストン部(4ra)及び後端壁(1b)間に加圧面積調節室(8)を画成し、
前記リザーバ(R)及び加圧面積調節室(8)間を接続する第1通路(21)に第1開閉弁(23)を、また前記液圧室(5r)及び加圧面積調節室(8)間を接続する第2通路(22)に第2開閉弁(24)をそれぞれ介装し、
車両の車輪ブレーキ(Bc、Bd)に、前記出力ポート(31b)と、液圧ポンプ(38b)の吐出側とを並列に接続すると共に、この液圧ポンプ(38b)の吸入側に、前記液圧室(5r)及び第2開閉弁(24)間の前記第2通路(22)から分岐した吸入通路(25)を接続したことを特徴とするマスタシリンダ。
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