JP4073196B2 - 仮着積層体、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、仮着積層体を構成する1以上の積層シートが、剥離後において、再付着することのない仮着積層体、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、配送伝票のような積層体にあっては、配送伝票を被着体に貼着するに際し、配送伝票と被着体とが剥離しないよう、感圧接着層には接着力の強い感圧型接着剤が用いられていた。
一方、保険等の年末調整用証明葉書のように、感圧型接着剤を用いるが、その接着力を調整して、剥離することができ、該剥離片を再利用することができるようにしたものも存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、通常の感圧型接着剤を使用した配送伝票等は、配送伝票等を破壊することなく剥離することは困難なことから、これを再利用することはできなかった。
一方、上記した葉書にあっては、再利用することはできるものの、剥離片の剥離後に、ローラー等で加圧すれば、再度、接着することから、必ずしも秘密を保持することができるとはいえなかった。
従って、この発明は、剥離後の用紙が再利用でき、秘密保持が容易で、再接着することのない仮着積層体、及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは鋭意研究の結果、本発明に到達したものである。
即ち、本発明は、接着剤成分たるバインダーに脂肪族物質を配合することにより、接着剤の分子凝集力を、基材や表面紙との接着力より低下させうること、かかる配合物を接着剤として用いることにより、接着剤層(仮着層)が凝集破壊し、最早、再接着することはないことを見出したことからなされたものである。
【0005】
この発明の請求項1に記載の仮着積層体は、基材上に、凝集破壊を生ずる仮着層を介し、1以上の積層シートが積層された積層体であって、仮着層がバインダーとしてのデンプン系高分子化合物とバインダーの凝集力調整用としての脂肪族物質を含有してなる層であり、かつ仮着層における脂肪族物質の含有量が、デンプン系高分子化合物100重量部当たり8.2〜18.2重量部であることを特徴とする、仮着積層体である。
この発明の請求項2に記載の仮着積層体は、基材上に、凝集破壊を生ずる仮着層を介し、1以上の積層シートが積層された積層体であって、仮着層がバインダーとしてのデンプン系高分子化合物とバインダーの凝集力調整用としての脂肪族物質を含有してなる層であり、かつ仮着層の剥離力が10g/50mm〜100g/50mmであることを特徴とする、仮着積層体である。
この発明の請求項3に記載の仮着積層体は、脂肪族物質が脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族炭化水素、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸塩の1種以上であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の仮着積層体である。
この発明の請求項4に記載の仮着積層体は、長尺状の前記基材上に、1以上の積層シートが仮着層を介して複数連続して積層された、請求項1ないし3に記載の仮着積層体である。
この発明の請求項5に記載の仮着積層体の製造方法は、請求項1ないし4に記載の仮着積層体の製造において、ウェットラミネーション法によることを特徴とする、仮着積層体の製造方法である。
この発明の請求項6に記載の仮着積層体の製造方法は、請求項1ないし4に記載の仮着積層体の製造において、基材上または積層シート上に仮着層を形成する際に、基材上または積層シート上に浸透防止層を設けた後に、浸透防止層上に仮着層を形成するための接着剤を塗布することを特徴とする、請求項5に記載の仮着積層体の製造方法である。
【0006】
【作用】
仮着積層体は、凝集破壊する仮着層が1以上存在し、該仮着層に応力を加えれば、該仮着層において凝集破壊が生じ、接着剤自身が破壊され、再接着することはない。
【0007】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかになろう。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施の形態である、仮着積層体の断面を表示したものである。
図2は、本発明の他の実施の形態である、仮着積層体の断面を表示したものである。
図3は、本発明の一実施の形態である、仮着積層体が連続して形成されている状態を示す斜視図である。
図4は、本発明のさらなる他の実施の形態である、仮着積層体が被着体に貼付された状態を示す斜視図である。
図5は、本発明のさらなる他の実施の形態である、複数の仮着層を有する仮着積層体の正面図である。
【0009】
本発明の仮着積層体10は、仮着層14を介して、1以上の積層シートが積層されたものであり、配送伝票、確認票、カード、通知用葉書、証明用葉書、商品ラベル、シール、抽選券、表示札、受領票等に用いられる。
【0010】
本発明である仮着積層体10は、その積層体内に凝集破壊を生ずる仮着層14を有するものである。凝集破壊を生ずる仮着層14を有する限り、仮着層を除く仮着積層体中の積層シート12についての制限はない。また、仮着層14の数も制限はない。
ここで、凝集破壊とは接着剤による接合部、即ち、仮着層14を形成する接着剤の分子凝集力(すなわち接着剤自体の強度)が小さいため、接着剤の内部において生ずる破壊現象をいい、凝集力が接着力より大きい場合に生ずる界面破壊とは異なる。
積層シート12は、上質紙、コート紙、アート紙等の紙、ポリプロピレン等の合成樹脂からなる合成紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂からなるフィルムやシート等であるが、これらに限定するものではない。
なお、本明細書においては、積層シート12が2以上の場合において、内部の積層シート12と区別するために、積層シート12のうち、最上層の積層シート12を表面紙121と記載することがある。また、積層シート12が1のとき、その積層シート12を表面紙121と記載することがある。
表面紙121となる積層シート12は、感熱記録紙、熱転写用紙、インクジェット用記録用紙等の機能性を有する用紙であってもよい。
表面紙121は、凸版印刷、凹版印刷、平板印刷等により印刷されているのが一般的であるが、積層シート12においても、たとえば、通常の凸版印刷や凹版印刷、平板印刷等により、印刷がなされていてもよい。
更に、積層シート12には、表面層、アンダーコート層、障壁層、浸透防止層、保護層、保護膜等を設けてもよい。
【0011】
仮着積層体10は、例えば、基材16、仮着層14、表面紙121を順次積層してなる、仮着層が1層の仮着積層体10であってもよい。また、基材16、仮着層14、積層シート12、仮着層14、表面紙121を順次積層してなる、仮着層が2層である仮着積層体10のように、複数の仮着層14が存在する仮着積層体10であってもよい。
また、一実施形態として図示する図2のように、基材16の表面に仮着層14が、裏面には粘着剤層18又は粘着剤層18を介してセパレータ20が設けられてなる、仮着積層体10であってもよい。
【0012】
これらは、その用途により仮着積層体10の構成が設定される。
例えば、図3のごとく基材16上に、仮着層14を介して、表面紙たる複数の商品説明カード122を連続して形成しておけば、商品の包装体中に該カードを入れるのに好都合である。包装体中に該カードを挿入するにあたり、該カードを単に重ね合わせた場合に比べ、カードを1枚ずつ取るのが容易で、該カードを2枚以上商品に入れるという無駄もなくなる。
即ち、基材16と仮着層14との接着力、仮着層14と積層シート(表面紙)12との接着力が、いずれも仮着層14を形成する接着剤の凝集力よりも大きくなるように設定され、その用途により積層構造が決定される。
【0013】
仮着層14は、基材16や積層シート12の全面に形成されていなくてもよい。この場合には、仮着層14の一部を欠くため、仮着層14により仮着されていない部分が、積層シート12を剥離するための手がかりとなり、剥離を容易に行うことができる。
また、仮着層積層体10にその幅方向において、その一端から他端に亘って、ミシン目又は切れ目32をいれておいてもよい。この場合には、積層シート12を個々別々に剥離することができる。
例えば、図4に示すように、仮着積層体10に切れ目32を入れておくと、ABCDEが記載された部分の第1の表面紙121aと、abcdeが記載された部分の第2の表面紙121bとを、個々別々に、仮着層14を凝集破壊させて積層シート12を剥すこともできる。
【0014】
基材16として使用されるのは、上質紙、コート紙、アート紙等の紙、ポリプロピレン等の合成樹脂からなる合成紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂からなるフィルムやシート等であるが、これらに限定するものではない。
【0015】
仮着層14において凝集破壊が生ずるが、かかる仮着層14は、主としてバインダーと脂肪族物質から形成される。
【0016】
バインダーとしては、特に、好ましくは水系樹脂が用いられる。水系樹脂は、乾燥後に凝集破壊が生じても再接着することはなく、環境や人体に悪影響を与えるおそれのある有機溶剤が含まれていないので、製造作業中や製品取扱中に、これらの有機溶剤による悪影響を受けることがないからである。
ここで、水系樹脂とは水が分散媒になり得る樹脂をいい、水に可溶な樹脂(水溶性高分子化合物)が該当する。
【0017】
水溶性高分子化合物としては、酸化デンプン、酵素変性デンプン、熱化学変性デンプン、デキストリン、カルボキシメチルスターチ、ヒドロキシエチルスターチ、リン酸エステル化デンプン、ジアルデヒドデンプン、カチオンデンプン等のデンプン系高分子化合物が該当する。
水系樹脂は、これらの1種以上が用いられる。
この水系樹脂に脂肪族物質を添加することにより、比較的少ない添加量で凝集力を凝集破壊する程度に、低下させることができる。
【0018】
脂肪族物質としては、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族炭化水素、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸塩等が該当し、常温で固体のものをいう。
脂肪酸は、いわゆる高級脂肪酸といわれるもので、一般にRCOOH(Rは飽和または不飽和の炭化水素)であらわされる化合物であり、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が該当する。
脂肪族アルコールとしては、いわゆる、高級アルコールといわれるもので、一般にROH(Rは飽和または不飽和の炭化水素)であらわされる化合物である。たとえば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレインアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール等が該当する。
脂肪族炭化水素は、脂肪族化合物に属する炭化水素をいい、たとえば、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パラフィン、ポリオレフィンワックス等が該当する。
脂肪酸エステルとしては、一価アルコールと高級脂肪酸のエステル、多価アルコールと高級脂肪酸の(部分)エステル等があり、たとえば、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、フタル酸ジステアリル、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート等が該当する。
脂肪酸アミドは高級脂肪酸のアミドおよびビスアミドであり、たとえば、N,N´−エチレンビス(ステアロアミド)、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、N,N´−メチレンビス(ステアロアミド)、メチロールステアロアミド等が該当する。
脂肪酸塩としては、高級脂肪酸のバリウム、カルシウム等の金属塩であり、たとえば、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等、またはこれらの複合体、たとえば、ステアリン酸亜鉛とステアリン酸バリウムの複合体が該当する。
【0019】
仮着層14にはバインダー、脂肪族系物質以外に、分散剤、消泡剤、レベリング剤等の添加剤が含有されていてもよい。
【0020】
接着剤が示す剥離力は、好ましくは10g/50mm〜100g/50mmであり、より好ましくは20g/50mm〜70g/50mmである。10g/50mm以下であれば、意図せざるような小さな応力で仮着層14が破壊する恐れがあり、100g/50mm以上では、仮着層14を凝集破壊させて積層シート12を剥しとるのに、相当に大きい力を加えなければならず、このため仮着層14以外の部分も破壊する恐れがある。
ここで、剥離力はJIS K 6854に規定されるT型剥離による剥離接着強さの試験方法に準じた方法で測定した場合での剥離力をいう。即ち、引張試験装置(東洋ボールドウィン製 UTM−III−100)を用い、試験片幅50mm、剥離速度300mm/minにてT型剥離をさせたときの剥離力である。
【0021】
基材16の他の片面に形成された粘着剤層18は、他物に対し貼着するための粘着力を仮着積層体10に与えるためのものであり、たとえば、アクリル系共重合樹脂、ゴム系粘着剤等の公知の粘着剤等が用いられる。
なお、セパレータ20も、例えば、ポリエチレン・ラミネートタイプ、グラシンタイプ、スーパーカレンダードタイプ、クレーコートタイプ、水系樹脂コートタイプ、フィルムタイプ等の公知のセパレータが用いられる。
【0022】
仮着積層体10の仮着層14は、ウェットラミネーション法により作製されるのが好ましい。ウェットラミネーション法にあっては、ラミネート加工がしやすく、加工コストが安い等による。更に、バインダーとして水系樹脂を用いれば、有機溶剤が含まれていないので、発火の恐れも回避できる等、有機溶剤による悪影響を受けることがない。
ウェットラミネーション法においては、ラミネート後、分散媒を蒸散させる必要のあることから、基材16及び積層シート12の両者、又は、基材16或いは積層シート12の一方が多孔性であることを要する。
基材16又は積層シート12の一方に接着剤を塗布し、基材16と積層シート12とをラミネートするまでに、接着剤が乾燥すると、最早、接着力を有さなくなるため、積層シート12をラミネートする時点において、接着剤は湿潤状態にあることを要する。
仮着層14を形成するにあたり、ウェットラミネーション法にあっては、まず、基材16又は積層シート12の一方に、仮着層14となる接着剤を塗布する。次いで、吸水性を有する積層シート12又は吸水性を有する基材16を接着剤が湿潤状態にあるうちに、接着剤上にラミネートする。ラミネートすることにより、上記吸水性を有する積層シート12又は吸水性を有する基材16に分散媒が吸収・蒸散され、接着剤が乾燥し、仮着層14となる。
接着剤を塗布する場合、塗布される基材16又は積層シート12に分散媒の浸透防止層を設け(図1には記載せず)、吸水性を有する積層シート12又は吸水性を有する基材16をラミネートする前に、接着剤の分散媒が基材16又は積層シート12に吸水されることを防ぐという方法を用いることもでき、湿潤状態を保持するうえにおいて好ましい。例えば、アクリル樹脂エマルジョンを塗布して浸透防止層を形成した後、仮着層14を形成する接着剤を塗布し、湿潤状態において、ラミネートするのが好ましい。
また、アート紙等の表面コート紙を基材16又は積層シート12に用いて、これに接着剤を塗布する場合には、表面コート材が分散媒の浸透防止機能を有するため、浸透防止層を設ける必要はない。従って、加工コストの低減等を図ることができる。
なお、仮着層14の形成は、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等によりなされるが、仮着層14の形成は基材16又は積層シート12の全面のみでなく、基材14又は積層シート12の一部に仮着層14が形成されていてもよい。
仮着層14を形成する接着剤量は乾燥重量で3g/m2以上が好ましい。これより少ないと接着力が問題となる恐れがある。なお、接着剤量は1回の塗工で付与できる量が好ましく、例えば、乾燥重量で200g/m2である。
【0023】
上記において、基材16又は積層シート12の一方に接着剤を塗布し、仮着層14を形成する方法につき説明したが、別の製造方法として基材16及び積層シート12の両方に接着剤を塗布し、基材16と積層シート12とをラミネートする方法もある。
【0024】
また、仮着層14が複数存在する仮着積層体10にあっては、順次、上記記載のように接着剤を塗布し、仮着積層体10上に、更に仮着層14を介し積層シート12を積層することにより、複数の仮着層14を有する仮着積層体10が形成される。
複数の仮着層14を有する仮着積層体10にあっては、より上層の仮着層14の凝集力を、より下層の仮着層14より小さくすることは、上層から順に積層シート14を剥離することができるので、好ましい構成である。
一方、粘着剤層18を有し、複数の仮着層14を有する仮着積層体10にあっては、基材16に最も近い仮着層14の凝集力を最小とし、該仮着層14より上層の仮着層14を、上記に記載した構成とすることは、仮着積層体10を剥離後、積層シート12を順次剥離することができるので、上記とは異なる好ましい構成である。
【0025】
ところで、浸透防止層、保護層、表面層等を形成するバインダーとしては、アクリル系樹脂、アイノマー樹脂、イソブチレン/無水マレイン酸共重合樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合樹脂、ブタジエン/スチレン/メチルメタクリレート共重合樹脂、メチルメタクリレート/ブタジエン共重合樹脂、エチレン/塩化ビニル共重合樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸共重合樹脂、スチレン/無水マレイン酸共重合樹脂、スチレン/アクリル共重合樹脂、スチレン/アクリル/ブタジエン共重合樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ブタジエン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、塩素化エチレンビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、スチレン・ブタジエンゴム、メタクリレート・ブタジエンゴム、ゼラチン、カゼイン、デンプン及びその誘導体などが選択でき、これらの単体か、または2種以上を混合したものを用いてもよい。
【0026】
以下において、例示により、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
【例】
バインダーとして日本NSC社製デンプン系高分子水溶液(8V9090A)を、脂肪族物質として日本NSC社製脂肪酸エマルジョン(8V9090B)を用い、表1に示す接着剤を作製した。
【0028】
【表1】
【0029】
表1に示す接着剤を、積層シートたる79.6g/m2の両面コート紙に、乾燥重量で10g/m2 塗布し、湿潤状態において、基材たる67.0g/m2の上質紙をラミネートし、仮着積層体を作製した。
【0030】
この仮着積層体の剥離力を測定した結果、及び、仮着積層体の性能を表2に示す。
なお、仮着積層体の性能は、○、△、▲、×で評価した。
○:仮着層において凝集破壊が生じ、剥離後の再接着は生じなかった。
△:仮着層において凝集破壊が生じ、剥離後の再接着は生じなかったが、小さな力で凝集破壊が生じる恐れがある。
▲:仮着層において凝集破壊が生じ、再接着は生じなかったが、剥離のために大きな力を要し、仮着層以外の部分が破壊する恐れがある。
×:仮着層が凝集破壊せず、仮着層以外の部分が破壊した。
【0031】
【表2】
【0032】
表2より明らかなように、剥離後の再接着が生じない仮着積層体が得られた。
【0033】
【発明の効果】
剥離後の用紙が再利用でき、秘密保持が容易な、再接着することのない、仮着積層体、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である、仮着積層体の断面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態である、仮着積層体の断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態である、仮着積層体が連続して形成されている状態を示す斜視図である。
【図4】本発明のさらなる他の実施の形態である、仮着積層体が被着体に貼付された状態を示す斜視図である。
【図5】本発明のさらなる他の実施の形態である、複数の仮着層を有する仮着積層体の正面図である。
【符号の説明】
10 仮着積層体
12 積層シート
121 表面紙
121a 第1の表面紙
121b 第2の表面紙
122 商品説明ラベル
14 仮着層
16 基材
18 粘着剤層
20 セパレータ
22 被着体
30 他の仮着積層体
32 切れ目又はミシン目
Claims (6)
- 基材上に、凝集破壊を生ずる仮着層を介し、1以上の積層シートが積層された積層体であって、前記仮着層がバインダーとしてのデンプン系高分子化合物と前記バインダーの凝集力調整用としての脂肪族物質を含有してなる層であり、かつ前記仮着層における前記脂肪族物質の含有量が、前記デンプン系高分子化合物100重量部当たり8.2〜18.2重量部であることを特徴とする、仮着積層体。
- 基材上に、凝集破壊を生ずる仮着層を介し、1以上の積層シートが積層された積層体であって、前記仮着層がバインダーとしてのデンプン系高分子化合物と前記バインダーの凝集力調整用としての脂肪族物質を含有してなる層であり、かつ前記仮着層の剥離力が10g/50mm〜100g/50mmであることを特徴とする、仮着積層体。
- 前記脂肪族物質が脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族炭化水素、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸塩の1種以上であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の仮着積層体。
- 長尺状の前記基材上に、1以上の前記積層シートが前記仮着層を介して複数連続して積層された、請求項1ないし3に記載の仮着積層体。
- 請求項1ないし4に記載の仮着積層体の製造において、ウェットラミネーション法によることを特徴とする、仮着積層体の製造方法。
- 請求項1ないし4に記載の仮着積層体の製造において、前記基材上または前記積層シート上に前記仮着層を形成する際に、前記基材上または前記積層シート上に浸透防止層を設けた後に、前記浸透防止層上に前記仮着層を形成するための接着剤を塗布することを特徴とする、請求項5に記載の仮着積層体の製造方法。
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