JP4073006B2 - パッド材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばベッド用パッドや、座布団や、車椅子の座当て・背当てや、車両用シートの座当て・背当て等に好適なパッド材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用シートなどに適用される座布団や座当てのパッド等において、発汗に伴う不快感を防止するための技術として、例えば特開平9−108072号のような吸濕具を備えた座布団が知られており、この技術では、通気性に富む布製の袋の内部に、天然繊維または合成樹脂繊維等の繊維性素材を収容するとともに、繊維の隙間に高分子系の吸濕性に富む吸水性ポリマーの極微細粒物体を充填することにより吸濕シートを作製し、この吸濕シートを、荒めの網状の布製カバーで覆うようにして座布団の上に取付けるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような技術は、吸水性ポリマーの吸濕度が飽和状態に近くなると、表面のドライタッチ性が損なわれるようになり、また、座布団の体圧分散効果も充分でないという問題があった。
【0004】
そこで本発明は、吸湿度が高まってもドライタッチ性が損なわれず、また体圧分散効果の高いパッド材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、少なくとも三層の材料が通気性や通水性を保持した状態で積層されるパッド材において、前記三層の材料を、吸湿性に優れた吸湿シートと、この吸湿シートの下方に積層され且つ無膜化処理された無膜ウレタンフォームと、この無膜ウレタンフォームの下方に積層されたハニカム繊維材から構成するようにした。
【0006】
このように吸湿シートと無膜ウレタンフォームとハニカム繊維材を積層し、通気性や通水性が確保されるようにすれば、吸湿シートに吸われた水分の拡散や発散が促進され、常にドライタッチの感触を維持できるとともに、無膜ウレタンフォームによって体圧分散効果を高めることが出来、しかも、ハニカム繊維材によって形態保持性や通気性や体圧分散性を向上させることができ、底付き感を無くして水分の分散性や発散性を高めることができる。ここで、ハニカム繊維材とは、繊維を多角形状で立体のハニカム構造に編みあげたものである。なお、ハニカム繊維材の下面に防滑性を向上させる目的で、アクリル樹脂や天然ゴム、合成ゴム等を塗布一体化させることにより、使用時の安全性を向上させることができる。
【0007】
ここで、本明細書における吸湿性に優れた吸湿シートとしては、例えば、100ccの水を滴下した後、滴下部分を100g/cm2の圧力で3分間加圧し、次いで、同部分に濾紙を載せて100g/cm2の圧力で1分間加圧したとき、濾紙に捕捉される水分が10cc程度以下のものをいう。
また、無膜ウレタンフォームとは、セル(気泡)の薄膜が除去されて骨格のみで形成されるウレタンフォームで、通気性、通水性に優れた特性を有するものであり、この際、例えば配合剤により膜を除去する方法と、後処理によって膜を除去する方法とがある。
【0008】
また本発明では、前記無膜ウレタンフォームを、セル数が13〜25個/インチ、JIS K 6400のB法による通気度が3.0dm 3 /s以上であるようにした。
これは、セル数が13個/インチ未満であると、耐久性に劣るようになり、25個/インチを超えると、通気性、通水性が悪くなるとともに、通気度が3.0dm 3 /s未満であると、放湿性が悪くなる傾向があるからである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。
ここで図1は吸湿シートと無膜ウレタンフォームを積層したパッド材の説明図で、(a)は平面図、(b)は断面図、図2は吸湿シートの一例の断面図、図3は本発明に係るパッド材の第1構成例の説明図で、(a)は平面図、(b)は断面図、図4はパッド材の第2構成例の説明図で、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【0010】
本発明に係るパッド材は、例えばベッド用パッドや、座布団や、車椅子の座当て・背当てや、車両用シートの座当て・背当て等に好適なパッドとして構成され、吸湿度が高まってもドライタッチ性が損なわれず、また体圧分散効果を高めることが出来るようにされている。
【0011】
まず、本発明に係るパッド材を説明する前に、本発明に係る吸湿シート2と、無膜ウレタンフォーム3を積層したパッド材を説明する。このパッド材1Aは、図1に示すように、上面層の吸湿シート2と、中間層の無膜ウレタンフォーム3と、下面層の裏地材4の三層構造にされ、側面が生地5で覆われるとともに周縁部が縫製により縫合され、全体がキルティング加工されている。
【0012】
前記吸湿シート2は、100ccの水を滴下した後、滴下部分を100g/cm2の圧力で3分間加圧し、その後、同部分に濾紙を載せて100g/cm2の圧力で1分間加圧したとき、濾紙に捕捉される水分が10cc程度以下になるような吸湿性に優れたシートとしており、本実施例では、図2に示すように、上下の外層部10、11の間に中層部12が積層された三層構造のシートとされ、中層部12としては、超極細繊維を使用することにより、外層部10、11に付着した水分を毛細管現象により例えば850cc/m2程度のすばやい速度(綿に較べて約5倍の速度)で中層部12に吸い込むようにされるとともに、繊維自身は水を吸わず、乾燥時間が綿の半分程度の短い時間になるようにしている。
また、100ccの水を滴下する上記の方法で測定した濾紙の水分量が0.5〜2ccのものとしている。
【0013】
前記無膜ウレタンフォーム3は、本実施例の場合、ポリウレタンフォームのセル(気泡)から薄い膜を除去して骨格のみにして、通気性や通水性を高めたものを使用しており、この際、セル数が13〜25個/インチ、JIS K 6400のB法による通気度が3.0dm3/s、好ましくは4.7dm3/s以上であるものが適している。これは、セル数が13個/インチ未満であると、耐久性に劣るようになり、25個/インチを超えると、通気性、通水性が悪くなるとともに、通気度が3.0dm3/s未満であると、放湿性が悪くなる傾向がある。
【0014】
尚、このような無膜ウレタンフォーム3は、前述のように、配合剤によって膜を除去する方法と、後処理によって膜を除去する方法があるが、一般的には、配合剤による場合は除膜率が悪くなるため、後処理によって除去する方法が採られることが多い。因みに、後処理で膜を除去する方法として、例えばアルカリ処理法や、爆発処理法や、その他の熱処理等が採用される。
【0015】
前記裏地材4は、この本構成例の場合、キルティング加工の都合上設けるようにしており、本実施例では、ポリエステル製のメッシュ素材としている。
また、前記生地5は、本実施例の場合、ポリエステル生地としており、側面を覆って外観性の向上を図るとともに、積層物の端部を保護するようにしている。
【0016】
以上のような吸湿シート2と、無膜ウレタンフォーム3と、裏地材4の三層はキルティング加工によって積層一体化されており、吸湿シート2と無膜ウレタンフォーム3の間、及び無膜ウレタンフォーム3と裏地材4の間は、いずれも通気性と通水性が確保されている。このため、吸湿シート2で吸い込まれた水分は、広く拡散して発散、放湿性が向上するようにされるとともに、全体の通気性が良好にされている。
また、無膜ウレタンフォーム3によってクッション性が良好であり、体圧分散効果が得られる。
【0017】
それでは、本発明に係る第1構成例のパッド材1Bについて図3に基づき説明する。
この構成例は、吸湿シート2と、無膜ウレタンフォーム3と、ハニカム繊維材6の三層構造とされ、吸湿シート2と無膜ウレタンフォーム3は、前記例と同様の構成であるが、前記例の裏地材4の代わりにハニカム繊維材6を使用している点だけが異なっている。また、側面を生地5で覆って縫い付け、全体をキルティング加工している点も前記例と同様である。
【0018】
前記ハニカム繊維材6は、実施例の場合、ナイロン・ポリエステル糸を使用して六角形に編んだ繊維を重ね合わせて編み上げることにより、ハニカム立体構造にしており、形態保持性、通気性、クッション性に優れるとともに、汗や湿気をすばやく吸収して拡散、発散、放湿できるようにされている。
また、本実施例では、ハニカム繊維材6の下面に滑り止めのための天然ゴム7がトッピングされている。
【0019】
以上のようなパッド材1Bは、全体がキルティング加工されていることから、吸湿シート2と無膜ウレタンフォーム3の間、及び無膜ウレタンフォーム3とハニカム繊維材6の間は、いずれも通気性、通水性が確保されており、吸湿シート2に吸われた水分の拡散、発散効果が一層良好となる。
また、ハニカム繊維材6の作用によって形態保持性やクッション性も良好で、体圧分散効果が高く、底付き感がない。
【0020】
次に第2構成例のパッド材1Cについて図4に基づき説明する。
この構成例は、第1構成例の吸湿シート2と、無膜ウレタンフォーム3と、ハニカム繊維材3の積層物と同じ積層構造であり、40cm角程度のサイズで、キルティング加工を施さないで、特に車椅子の座布団用として構成されたものである。
【0021】
そしてこの場合は、側面を覆う生地5を周縁部に縫い付ける際、積層物全体を縫合、一体化しているが、前記例と同様に、吸湿性や、水分の拡散、発散性が良好であり、しかも、形態保持性やクッション性も良好で、体圧分散効果が高い。
【0022】
尚、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは本発明の技術的範囲に属する。
例えば、吸湿シート2の具体的構成は任意であり、また、裏地材4や、側面を覆う生地5や、ハニカム繊維材6の裏側の天然ゴム7は必須の要件ではない。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本発明に係るパッド材は、吸湿性に優れた吸湿シートと、無膜化処理された無膜ウレタンフォームと、ハニカム繊維材とを積層し、通気性と通水性を持たせるようにしたため、吸湿シートに吸われた水分の拡散や発散が促進され、常にドライタッチの感触を維持できるとともに、無膜ウレタンフォームによって体圧分散効果を高めることが出来、しかもハニカム繊維材によって形態保持性や通気性や体圧分散性が更に向上し、水分の拡散、発散、放湿効果を一層高めることができる。
この際、無膜ウレタンフォームのセル数や通気度を所定の範囲にすることで、通気性、通水性、放湿性を良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 吸湿シートと無膜ウレタンフォームを積層したパッド材の説明図で、(a)は平面図、(b)は断面図
【図2】 吸湿シートの一例の断面図
【図3】 本発明に係るパッド材の第1構成例の説明図で、(a)は平面図、(b)は断面図
【図4】 パッド材の第2構成例の説明図で、(a)は平面図、(b)は断面図
【符号の説明】
1A、1B、1C…パッド材、2…吸湿シート、3…無膜ウレタンフォーム、4…裏地材、6…ハニカム繊維材。
Claims (2)
- 少なくとも三層の材料が通気性や通水性を保持した状態で積層されるパッド材であって、前記三層の材料は、吸湿性に優れた吸湿シートと、この吸湿シートの下方に積層され且つ無膜化処理された無膜ウレタンフォームと、この無膜ウレタンフォームの下方に積層されたハニカム繊維材であることを特徴とするパッド材。
- 前記無膜ウレタンフォームは、セル数が13〜25個/インチ、通気度が3.0dm 3 /s以上であることを特徴とする請求項1に記載のパッド材。
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