JP4072735B2 - 荷重及びヒステリシスを低減した空気圧ブースタ - Google Patents
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Description
本発明は一般的に空気圧ブレーキブースタに関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、内部で可動隔壁が前方室と後方室とを画定している剛性ケーシング;比較的高い圧力を供給する第1圧力源に接続される第1入口と、比較的低い圧力を供給する第2圧力源及びブースタの前方室に接続される第2入口と、圧力を制御される後方室に接続される出口とが内部に開口し、可動隔壁によって携行され得る中空ピストン;入口のいずれか一方と出口との間の連通を選択的に確立するようにピストン内に組込まれた弁を包含しており、この弁自体が、外側で第2入口が開口しているピストンの内方クラウン部によって形成された第1環状弁座;軸線方向に閉止され、出口に接続される通路を画成する間隙をもって第1弁座内に配置され、且つ、第1環状弁座よりも前方室から遠位にある休止位置と、少なくとも第1環状弁座と同じように前方室に接近する駆動位置との間でこの第1弁座内を軸線方向に摺動できる第2環状弁座;一方において、第1弁座から幾分離れてピストン内に密封態様で装架され内部を第1源に接続されている後方部分と、他方において、ピストンの軸線に沿って移動でき前方室に向かって指向する第1軸線方向に弾性力によって押圧されている環状作用面とを呈する管形状の閉止部材を包含し、この環状作用面が、第2弁座の休止位置ではこの第2弁座と相互作用して出口を通路を介して第2源に接続し、第2弁座の駆動位置では第1弁座と相互作用して出口をこの通路を介して第1源に接続することができる一方、すべての場合に2つの入口の間の連通を阻止しており、閉止部材の環状作用面がその内径部によって後方部分に結合され、2つの弁座の間に形成した通路に連通する少なくとも1つのオリフィスを穿設されており、ピストンの内周部及び閉止部材の作用面の端縁が、第2弁座の駆動位置に関してそれらの一方が他方を密封態様で閉鎖することを保証するに十分である接触圧力を発揮するように形作られている空気圧ブレーキブースタに関する。
【0003】
この型式のブースタが、第WO94/04403号として公開された国際特許文献に記載されている。
【0004】
周知のブースタそしてこの文献に記載されたブースタにおける問題は、ブースタをその駆動位置から休止位置へ戻すときの力が、ブースタを駆動するために克服するべき力とは同じ強さではないため、これらのブースタの作動において望ましくないヒステリシスを生じさせることである。
【0005】
閉止部材の環状作用面にオリフィスを穿設することで、環状作用面を第1軸線方向に押圧する弾性力を小さくし、ヒステリシスの軽減に寄与し得るが、ピストンの内周部及び閉止部材の作用面の端縁は、それらの間の密封を確保するために十分な接触圧力で互いに接触している。
【0006】
本発明は、この望ましくないヒステリシスをさらに低減することを目的としている。
【0007】
従って、本発明のブースタは、本質的に、第2環状弁座がその駆動位置から幾分離れている時に、この第2環状弁座がその駆動位置にある時に発揮される接触圧力よりも小さい接触圧力を発揮させるようにするものである。
【0008】
このため、本発明における第1の発明によると、上記前文に記載された空気圧ブレーキブースタは、閉止部材の作用面の端縁が密封リップを有し、ピストンの内周部が、第1軸線方向に垂直で第1環状弁座に接近する平面において、この環状弁座そして前方室からこの平面が離隔するにつれて拡がっていることを特徴としている。
【0009】
本発明における第2の発明によると、空気圧ブレーキブースタは、ピストンの内周部が第1環状弁座と略同一平面の第3弁座を有し、第2入口が第1及び第3弁座の間に開口し、閉止部材の作用面の端縁が、第1軸線方向に垂直な平面において、その周辺部の少なくとも大部分にわたりピストンの内周部から遠位にあることを特徴としている。
【0010】
後者の場合、閉止部材の作用面は、好適には、この作用面が第3弁座と接触しようとする厚肉部を呈する周辺区域を越えるまでその面の中央部分にわたって延在する剛性インサートによって補強されている。
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例として添付図面を参照して行う本発明の下記説明から明らかとなるであろう。
【0012】
本発明が単に空気圧ブースト式ブレーキ装置に対してなした改良に関し、またこのブレーキ装置の一般的な構成及び作動が当業者にはよく知られているので、このブレーキ装置は、ここでは本発明が提供する改良を全体的に理解できる程度にだけ思い起こすこととする。
【0013】
概略的に、この型式のブレーキ装置はブースタ1とマスターシリンダ2とを包含する。
【0014】
ブースタ自体は、空気圧ピストン5を携行できる可動隔壁4によって2つの室3a及び3bに密封態様で区分された剛性ケーシング3を包含しており、この空気圧ピストンはケーシング3内を移動できる。
【0015】
マスターシリンダ2によって前面を密封態様で閉鎖された前方室3aは、逆止弁6を介して低圧力源Dに常時接続されている。
【0016】
対照的に、後方室3bは低圧力源D又は例えば大気圧Aのような高圧力源に選択的に接続される。
【0017】
このため、後方室3bへの連通は弁7及びプランジャ8によって制御され、このプランジャは制御ロッド10を介してブレーキペダル9に連結されている。
【0018】
制御ロッド10が右方に引張られている休止位置にある時、弁7はブースタの2つの室3a及び3bの連通を通常確立する。
【0019】
それから後方室3bが前方室3aと同じ部分真空を受けるので、ピストン5は戻しスプリング11によって休止位置へ右方に向けて押し戻される。
【0020】
制御ロッド10の左方への移動によるプランジャ8の駆動は、まず第1に、室3a及び3bを互いに隔離するように弁7を変位させ、次いで第2に、後方室3bをフィルタ14を介して大気圧Aに開放するようにこの弁を変位させる。
【0021】
従って、可動隔壁4によって感知される2つの室間の圧力差は、ピストン5を携行しながら隔壁を左方に変位させるようにスラストをこの隔壁に発揮し、そしてこのピストンがスプリング11を圧縮しながら変位される。
【0022】
制御ロッド10によってプランジャ8に発揮される制動力又は“入力”と、可動隔壁4のスラストから生じるブレーキ倍力又は“ブースト力”は、反動ディスク12において結合して駆動力を構成し、この駆動力はプッシュロッド13を介してマスターシリンダに伝えられる。
【0023】
弁7と、これと相互作用する部材とから成る組立体は、ブースタの空気圧制御のための装置を構成する。
【0024】
より詳細には、このような装置は慣例的に、3つの流路15,16及び17と、空気圧ピストン5自体と、第1及び第2環状弁座18,19と、環状の閉止部材21とを包含する。
【0025】
3つの流路自体は、大気圧Aのような比較的高い圧力を供給する第1源に接続される第1入口15と、真空Dのような比較的低い圧力を供給する第2源及びブースタの前方室3aに接続される第2入口16と、ブースタの後方室3bに接続されこの室内の圧力を制御できる出口17とを包含する。
【0026】
これら流路の各々は、入口15及び16のいずれか一方と出口17との間で選択された連通を確立できるように中空空気圧ピストン5内に開口する。
【0027】
第1環状弁座18は、その外側で第2入口16が開口しているピストンの内方クラウン部によって形成される一方、第2環状弁座19はプランジャ8の端部の周辺部によって形成される。
【0028】
プランジャ8の摺動のため、第2弁座19は、第1環状弁座18よりも前方室3aから遠位にある図1に示した休止位置と、少なくとも第1弁座18と同じようにこの前方室に接近する図2及び図3に示した駆動位置との間で変位することができる。
【0029】
図1に示すように、第2弁座19は、出口17に接続される通路20を画成する間隙を備えて第1弁座18の内側に配置されている。
【0030】
管形状の閉止部材21は、一方において、第1弁座18から幾分離れてピストン5内に密封態様で装架され内部を第1源Aに接続されている後方部分21aと、他方において、ピストンの軸線に沿って移動でき前方室3aに向かって指向する第1軸線方向Xに弾性力によって押圧されている環状作用面21bとを有する。
【0031】
第2弁座19の休止位置(図1)では、環状作用面21bはこの第2弁座と相互作用して通路20を介して出口17を第2源Dに接続し、第2弁座19の駆動位置では、環状作用面21bは、最初に第1弁座18及び第2弁座19と相互作用して通路20を2つの入口15及び16から隔離し(図2及び図3)、それから第1弁座18と相互作用してこの同じ通路20を介して出口17を第1源Aに接続するようになっており、プランジャ8の位置とは無関係に、2つの入口15及び16の間の連通は阻止されている。
【0032】
より詳細には(図2ないし4)、本発明は、閉止部材の環状作用面21bがその内径部を介して後方部分21aに結合され且つ2つの弁座18,19の間に形成した通路20に連通する少なくとも1つのオリフィス23を穿設されるようにしたブースタに関している。
【0033】
さらに、ピストン5の内周部50及び閉止部材21の作用面の端縁210の両方は、少なくとも或る条件のもとでは、一方が他方を密封態様で閉鎖することを保証するに十分である接触圧力を互いに発揮するように形作られており、従って、閉止部材21の後方部分21aの外側及び作用面21bの裏面側は、オリフィス23を介してのみ外部に向かって開口する室22を一緒に画成する。
【0034】
結果的に、この構成のために、閉止部材21を第1軸線方向Xに押圧するスプリング24は、図1に示したような従来のブースタにおいて設けられるスプリングに比べ、比較的小さい力を発揮すればよい。
【0035】
本発明は、第2弁座19がその駆動位置から幾分離れている時に、この第2弁座19が図2ないし4に示したその駆動位置にある時に発揮する接触圧力よりも小さい接触圧力を互いに発揮するようにピストンの内周部50及び作用面21bの端縁210が形作られるようにすることによって、この構成をさらに完全なものとすることを可能にしている。
【0036】
この作動特性は、閉止部材の作用面の端縁210が密封リップ211(図2)を有している場合に、第1軸線方向Xに垂直で第1弁座18に接近する平面Pにおいて観察されるピストンの内周部50が、この弁座そして前方室からこの平面が離隔するにつれて拡がるようにすることによって、得られる。
【0037】
例えば、図2に示すように、内周部50は、ブースタの後方に向かって拡開する切頭円錐形状を採用してよい。
【0038】
これらの条件のもとでは、室22の密封を保証するのに丁度必要であるピストンの内周部50に対するリップ211の摩擦は、実際には図2に示した駆動位置でのみ起こるので、駆動の終りにおけるブースタのその休止位置への戻りは、リップ211の存在に拘わらず大きい寄生摩擦力を生じさせることはなく、このリップの自然状態の形状は、後方への摺動に比べ前方への摺動を相当有利にしている。
【0039】
また、所望の作動特性は、図3に示されている本発明の第2実施例に示すように、ピストンの内周部50が第1弁座18と略同一平面の第3弁座25を有し、第2入口16が第1及び第3弁座18,25の間に開口し、閉止部材の作用面の端縁210が、第1軸線方向Xに垂直な平面Qにおいて、その周辺部の少なくとも大部分にわたりピストン5の内周部50から遠位にあるようにすることによっても、得られる。
【0040】
これらの条件のもとでは、ピストンの内周部50に対する閉止部材の作用面の端縁210の摩擦は、僅少であるばかりでなく、ブースタの駆動位相とその休止位置への戻り位相との間で全体的に不変である。
【0041】
この第2実施例の好適な変形例が図4に示されている。
【0042】
この変形例によると、閉止部材21の作用面21bは、この作用面が第3弁座25と接触しようとする厚肉部213を呈する周辺区域を越えるまでその面の中央部分にわたって延在する剛性インサート212によって補強されている。
【0043】
この構成は、より容易に寸法上の製造公差から免れることを可能としており、ブースタの駆動時に厚肉部213が第3弁座25に早目に接触し、インサート212によって強化されていない端縁210が、作用面21bを第1弁座18に当接させ得るように変形する。
【図面の簡単な説明】
【図1】閉止部材をその休止位置で示す、従来のブースタを用いる空気圧ブースト式ブレーキ装置の概略断面図である。
【図2】閉止部材をその駆動位置で示す、本発明の第1実施例によるブースタの部分断面図である。
【図3】閉止部材をその駆動位置で示す、本発明の第2実施例によるブースタの部分断面図である。
【図4】図3のブースタの変形例を示す部分断面図である。
Claims (3)
- 内部で可動隔壁(4)が前方室(3a)と後方室(3b)とを画定している剛性ケーシング(3);比較的高い圧力を供給する第1圧力源(A)に接続される第1入口(15)と、比較的低い圧力を供給する第2圧力源(D)及びブースタの前方室(3a)に接続される第2入口(16)と、圧力を制御される後方室(3b)に接続される出口(17)とが内部に開口し、可動隔壁によって携行され得る中空ピストン(5);入口(15,16)のいずれか一方と出口(17)との間の連通を選択的に確立するようにピストン内に組込まれた弁(7)を包含しており、この弁自体が、外側で第2入口(16)が開口しているピストンの内方クラウン部によって形成された第1環状弁座(18);軸線方向に閉止され、出口(17)に接続される通路(20)を画成する間隙をもって第1環状弁座(18)内に配置され、且つ、第1環状弁座(18)よりも前方室(3a)から遠位にある休止位置と、少なくとも第1環状弁座(18)と同じように前方室(3a)に接近する駆動位置との間でこの第1環状弁座(18)内を軸線方向に摺動できる第2環状弁座(19);一方において、第1環状弁座(18)から幾分離れてピストン内に密封態様で装架され内部を第1圧力源(A)に接続されている後方部分(21a)と、他方において、ピストンの軸線に沿って移動でき前方室(3a)に向かって指向する第1軸線方向(X)に弾性力によって押圧されている環状作用面(21b)とを呈する管形状の閉止部材(21)を包含し、この環状作用面が、第2環状弁座(19)の休止位置ではこの第2環状弁座と相互作用して出口(17)を通路(20)を介して第2圧力源(D)に接続し、第2環状弁座(19)の駆動位置では第1環状弁座(18)と相互作用して出口(17)をこの通路を介して第1圧力源(A)に接続することができる一方、すべての場合に2つの入口(15,16)の間の連通を阻止しており、閉止部材(21)の環状作用面(21b)がその内径部によって後方部分(21a)に結合され、2つの環状弁座(18,19)の間に形成した通路(20)に連通する少なくとも1つのオリフィス(23)を穿設されており、ピストンの内周部(50)及び閉止部材の作用面の端縁(210)が、第2環状弁座(19)の駆動位置に関してそれらの一方が他方を密封態様で閉鎖することを保証するに十分である接触圧力を発揮するように形作られている空気圧ブレーキブースタにおいて、閉止部材の作用面の端縁(210)が密封リップ(211)を有し、ピストンの内周部(50)が、第1軸線方向(X)に垂直で第1環状弁座(18)に接近する平面(P)において、この第1環状弁座そして前方室からこの平面が離隔するにつれて拡がっていることを特徴とする空気圧ブレーキブースタ。
- 内部で可動隔壁(4)が前方室(3a)と後方室(3b)とを画定している剛性ケーシング(3);比較的高い圧力を供給する第1圧力源(A)に接続される第1入口(15)と、比較的低い圧力を供給する第2圧力源(D)及びブースタの前方室(3a)に接続される第2入口(16)と、圧力を制御される後方室(3b)に接続される出口(17)とが内部に開口し、可動隔壁によって携行され得る中空ピストン(5);入口(15,16)のいずれか一方と出口(17)との間の連通を選択的に確立するようにピストン内に組込まれた弁(7)を包含しており、この弁自体が、外側で第2入口(16)が開口しているピストンの内方クラウン部によって形成された第1環状弁座(18);軸線方向に閉止され、出口(17)に接続される通路(20)を画成する間隙をもって第1環状弁座(18)内に配置され、且つ、第1環状弁座(18)よりも前方室(3a)から遠位にある休止位置と、少なくとも第1環状弁座(18)と同じように前方室(3a)に接近する駆動位置との間でこの第1環状弁座(18)内を軸線方向に摺動できる第2環状弁座(19);一方において、第1環状弁座(18)から幾分離れてピストン内に密封態様で装架され内部を第1圧力源(A)に接続されている後方部分(21a)と、他方において、ピストンの軸線に沿って移動でき前方室(3a)に向かって指向する第1軸線方向(X)に弾性力によって押圧されている環状作用面(21b)とを呈する管形状の閉止部材(21)を包含し、この環状作用面が、第2環状弁座(19)の休止位置ではこの第2環状弁座と相互作用して出口(17)を通路(20)を介して第2圧力源(D)に接続し、第2環状弁座(19)の駆動位置では第1環状弁座(18)と相互作用して出口(17)をこの通路を介して第1圧力源(A)に接続することができる一方、すべての場合に2つの入口(15,16)の間の連通を阻止しており、閉止部材(21)の環状作用面(21b)がその内径部によって後方部分(21a)に結合され、2つの環状弁座(18,19)の間に形成した通路(20)に連通する少なくとも1つのオリフィス(23)を穿設されており、ピストンの内周部(50)及び閉止部材の作用面の端縁(210)が、第2環状弁座(19)の駆動位置に関してそれらの一方が他方を密封態様で閉鎖することを保証するに十分である接触圧力を発揮するように形作られている空気圧ブレーキブースタにおいて、ピストンの内周部(50)が第1環状弁座(18)と略同一平面の第3弁座(25)を有し、第2入口(16)が第1及び第3弁座の間に開口し、閉止部材の作用面の端縁(210)が、第1軸線方向(X)に垂直な平面(Q)において、その周辺部の少なくとも大部分にわたりピストンの内周部から遠位にあることを特徴とする空気圧ブレーキブースタ。
- 請求項2記載のブースタにおいて、閉止部材の作用面(21b)が、この作用面が第3弁座(25)と接触しようとする厚肉部(213)を呈する周辺区域を越えるまでその面の中央部分にわたって延在する剛性インサート(212)によって補強されていることを特徴とするブースタ。
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