JP4071894B2 - 円筒形状試料用のx線元素マッピング装置 - Google Patents

円筒形状試料用のx線元素マッピング装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒形状試料用のX線元素マッピング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
試料を載置する試料ステージと、前記試料にX線を照射するX線管と、このX線照射により前記試料において生ずる蛍光X線を検出するX線検出器とを備えるX線元素マッピング装置を用いたマッピングは、X線が照射されている位置に、試料の各測定点を適宜移動させることにより行われる。そして、従来のX線元素マッピング装置では、前記試料の移動を、試料を載置した試料ステージを水平方向に動かすことによって行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の構成では、試料が円筒形状である場合、X線が照射される位置に、試料の各測定点を移動させるためには、曲面的な外面を有する円筒形状試料を水平方向つまり平面的に移動させるだけでは対応することができず、人の手によって、何度も試料を載置しなおす必要があることから手間がかかり、また、平面的な試料に比べて、得られるマッピング像の精度が悪くなるという問題があった。
【0004】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、円筒形状試料のマッピングを容易に、かつ精度良く行うことのできるX線元素マッピング装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の円筒形状試料用のX線元素マッピング装置は、円筒形状試料を載置する試料ステージと、前記試料にX線を照射するX線管と、このX線照射により前記試料において生ずる蛍光X線を検出するX線検出器とを備え、前記試料ステージ上に、円筒形状試料をその軸芯回りに回動自在に保持し、また、前記試料ステージを少なくとも円筒形状試料の軸芯方向に移動自在とした円筒形状試料用のX線元素マッピング装置であって、
試料ステージが移動機構に保持される一方、
試料ステージの上に、円筒形状試料の両端が保持される一対の軸受け部を設け、一対の軸受け部のうち、一方の軸受け部は、回転軸部に設けられて回転軸部と共に回転する挟持部を円筒形状試料の一端に嵌め込み可能に有するとともに、他方の軸受け部は、円筒形状試料の軸芯方向へ移動可能な回転軸部に設けられてこの回転軸部と共に回転する挟持部を円筒形状試料の他端に嵌め込み可能に有する
【0006】
上記の構成により、円筒形状試料のマッピングを容易に、かつ精度良く行うことのできるX線元素マッピング装置を提供することが可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を、図を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施例における円筒形状試料用のX線元素マッピング装置Dの構成を概略的に示す斜視図である。
円筒形状試料用のX線元素マッピング装置Dは、円筒形状試料Sが設置される試料ステージ1と、前記円筒形状試料SにX線を照射するX線管2と、このX線照射により前記円筒形状試料Sにおいて生ずる蛍光X線を検出するX線検出器3とを備えている。
【0008】
図2は上記円筒形状試料用のX線元素マッピング装置Dの構成を概略的に示す図である。
X線管2からの入射X線aが試料ステージ1上の円筒形状試料Sの一部に照射され、蛍光X線bが発生する。この蛍光X線bは例えば半導体検出器(SSD)よりなるX線検出器3で検出される。上記X線検出器3からの出力はパルスプロセッサー(図示せず)で処理され、円筒形状試料S中に含まれる元素とその強度を分析する。その後、このパルスプロセッサーからの信号はコンピュータデータ処理部4に入力され、装置全体を統括制御するコンピュータ5にて画像表示などが行われる。
【0009】
そして、円筒形状試料S全体にわたって測定を行うには、前記X線管2を制御するためのX線管コントローラ6と、試料ステージ1を所定の方向に動かすステージコントローラ7とにコンピュータデータ処理部4からの信号を入力する。すると、前記X線管2からのX線が照射される位置に円筒形状試料Sの各測定点が動かされることにより、各測定点における蛍光X線が検出され、円筒形状試料S中の各測定点の蛍光X線の種類と強度から含有元素の分布が測定される。
【0010】
図3は円筒形状試料用のX線元素マッピング装置Dの主要部の構成を概略的に示す斜視図である。
試料ステージ1の上には、円筒形状試料Sの両端が保持される軸受け部8、9が設けられており、軸受け部8には、回転伝達ベルト10を介して回転用モータ11が接続されている。また、螺軸21と一対のガイド杆22とモータ23を有する移動機構Mに、前記試料ステージ1が保持されている。詳述すると、前記ガイド杆22および螺軸21には、試料ステージ1の下部に設けられたガイド部24および内部に雌ねじが形成されている雌ねじ部材25(図4参照)が外嵌されている。そして、前記モータ23により螺軸21を回転させると、螺軸21に外嵌された雌ねじ部材25が試料ステージ1に保持された円筒形状試料Sの軸芯方向(以下、X方向という)に移動し、それに伴って試料ステージ1もガイド杆22に沿ってX方向に移動する構成となっている。
【0011】
図4は円筒形状試料用のX線元素マッピング装置Dの主要部の構成を概略的に示す縦断面図である。
前記軸受け部8は、ほぼ円柱形状の回転軸部12と、回転軸部12の一端にビス止めなどで固定されたプーリー13と、回転軸部12の他端にビス止めなどで固定された挟持部14と、内部に設けたベアリング15により回転軸部12の中央部を回動自在に保持する保持部16とからなる。
【0012】
前記プーリー13の外周に設けられた凹入部17には、前記回転伝達ベルト10が掛けられ、前記回転用モータ11の回転が、回転伝達ベルト10を介してプーリー13に伝わるようになっている。
【0013】
前記挟持部14の外周の先端側には、先端に向かって細くなるテーパ面が形成され、円筒形状試料Sの一端に嵌め込むことができるようになっているとともに、後端側には、鍔部14aが設けられている。
【0014】
前記軸受け部9の構成において、前記軸受け部8の回転軸部12、挟持部14およびベアリング15とほぼ同じ構造のものは、それぞれ回転軸部12’、挟持部14’およびベアリング15’として一部の説明を省く。軸受け部9の回転軸部12’の先端には、軸受け部8と同様に挟持部14’が設けられているが、ビス止めなどで固定されているのではなく、ベアリング15’によって回転軸部12’の軸芯回りに回動自在に接続されている。また、回転軸部12’の後端側は、先端側よりも断面の径が大きくなっているとともに、本体18と、伝動機構17とハンドル部19とからなる調節機構20に接続されており、ハンドル部19を回転させると、その回転が伝達機構17に伝達され、伝達機構17により、回転軸部12’がX方向へ移動することから、円筒形状試料Sの軸芯方向の長さに応じてハンドル部19の回転を調整することにより、一端に挟持部14が嵌め込まれている円筒形状試料Sの他端に、挟持部14’を嵌め込むことができる。
【0015】
上記の構成では、試料ステージ1をX方向にのみ移動可能としているが、これに限るものではなく、例えば、従来のXY方向に移動可能な試料ステージに対応させるために、試料ステージ1をY方向(図4の奥行き方向)に移動可能としてもよい。
【0016】
また、上記の構成では、挟持部14、14’を円筒形状試料Sの両端の内側にそれぞれ嵌め込むとしているが、これに限るものではなく、例えば、挟持部14、14’を、円筒形状試料Sの両端の外側を保持するように構成してもよい。
【0017】
次に、前記X線元素マッピング装置Dへの設置方法および測定方法について説明する。 まず、挟持部14を円筒形状試料Sの一端に嵌め込み、X方向に移動自在な挟持14’を適宜調節して他端に嵌め込めば、後端の鍔部14a、14a’により円筒形状試料Sを挟持することができ、以上で設置は完了する。そして、この挟持状態にある円筒形状試料Sは、回転用モータ11の操作により、軸芯回りに自在に回転させることが可能となるため、この軸芯回りの回転と、試料ステージ1のX方向の移動とを連動させれば、円筒形状試料Sの外周全面に対するマッピングを容易に行うことができる。
【0018】
図5(A)は、円筒形状試料用のX線元素マッピング装置Dによる円筒形状試料Sの測定方法の構成を概略的に示す部分拡大斜視図である。
円筒形状試料Sの各測定部分のマッピング像は、X線管2から照射されたX線aにより発生した蛍光X線bを、X線検出器3で検出すれば得ることができる。まず、円筒形状試料Sに軸芯回りの回転を加えずにX方向へだけ適宜移動させる。そして、円筒形状試料Sの特定部分の一端から他端までのマッピッグ像が得られれば、円筒形状試料SのX方向への移動を止め、軸芯回りの回転を適宜加える。その後、軸芯回りの回転を止めるとともに、再び円筒形状試料SをX方向へだけ適宜移動させ、円筒形状試料Sの前記と異なる特定部分の一端から他端までのマッピングを行う。このような操作を繰り返せば、円筒形状試料S全面のマッピングを平面的に得ることができる。この場合の円筒形状試料Sに対するX線照射部分の軌跡cは、図5(B)のようになる。
【0019】
また、上記の方法に代えて、次のようにしてもよい。即ち、まず、円筒形状試料SをX方向へは移動させず、軸芯回りの回転だけを加えて一回転させる。そして、特定部分の一周分のマッピグ像が得られれば、円筒形状試料Sの軸芯回りの回転を止め、X方向へ適宜移動させた後、再び円筒形状試料Sに軸芯回りの回転だけを加えて特定部分の一周分のマッピングを行う。このような操作を繰り返しても、円筒形状試料S全面のマッピングを平面的に得ることができる。この場合の円筒形状試料Sに対するX線照射部分の軌跡cは、図5(C)のようになる。
【0020】
また、適宜の速度で円筒形状試料SをX方向へ移動させると同時に、軸芯回りの回転を加えながらマッピングをおこなってもよい。この場合には、円筒形状試料Sのマッピグを連続的に行うことができる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の円筒形状試料用のX線元素マッピング装置は、試料を載置する試料ステージと、前記試料にX線を照射するX線管と、このX線照射により前記試料において生ずる蛍光X線を検出するX線検出器とを備えるX線元素マッピング装置において、前記試料ステージ上に、円筒形状試料をその軸芯回りに回動自在に保持し、さらに、前記試料ステージを少なくとも円筒形状試料の軸芯方向に移動自在としたことから、円筒形状試料のマッピングを容易に、かつ精度良く行うことのできるX線元素マッピング装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例における円筒形状試料用のX線元素マッピング装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】 上記円筒形状試料用のX線元素マッピング装置の構成を概略的に示す図である。
【図3】 円筒形状試料用のX線元素マッピング装置の主要部の構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】 円筒形状試料用のX線元素マッピング装置の主要部の構成を概略的に示す縦断面図である。
【図5】 (A)は円筒形状試料用のX線元素マッピング装置による円筒形状試料の測定方法の構成を概略的に示す部分拡大斜視図であり、(B)および(C)は、円筒形状試料用のX線元素マッピング装置により、X方向および軸芯回りの回転方向にマッピグを行った場合の円筒形状試料に対するX線照射部分の軌跡を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1…試料ステージ、2…X線管、3…X線検出器、8,9…軸受け部、12,12’…回転軸部、14,14’…挟持部、D…円筒形状試料用のX線元素マッピング装置、S…円筒形状試料、M…移動機構

Claims (2)

  1. 円筒形状試料を載置する試料ステージと、前記試料にX線を照射するX線管と、このX線照射により前記試料において生ずる蛍光X線を検出するX線検出器とを備え、前記試料ステージ上に、円筒形状試料をその軸芯回りに回動自在に保持し、また、前記試料ステージを少なくとも円筒形状試料の軸芯方向に移動自在とした円筒形状試料用のX線元素マッピング装置であって、
    試料ステージが移動機構に保持される一方、
    試料ステージの上に、円筒形状試料の両端が保持される一対の軸受け部を設け、一対の軸受け部のうち、一方の軸受け部は、回転軸部に設けられて回転軸部と共に回転する挟持部を円筒形状試料の一端に嵌め込み可能に有するとともに、他方の軸受け部は、円筒形状試料の軸芯方向へ移動可能な回転軸部に設けられてこの回転軸部と共に回転する挟持部を円筒形状試料の他端に嵌め込み可能に有することを特徴とする円筒形状試料用のX線元素マッピング装置。
  2. 移動機構は、螺軸と一対のガイド杆とモータを有し、ガイド杆および螺軸には、試料ステージの下部に設けられたガイド部および内部に雌ねじが形成されている雌ねじ部材が外嵌され、前記モータにより前記螺軸を回転させると、前記螺軸に外嵌された雌ねじ部材が試料ステージに保持された円筒形状試料の軸芯方向に移動し、それに伴って試料ステージが前記ガイド杆に沿って円筒形状試料の軸芯方向に移動するよう構成される一方、
    一方の軸受け部には、回転伝達ベルトを介して回転用モータが接続されており、前記一方の軸受け部は、回転軸部と、この回転軸部の一端に固定されたプーリーと、前記回転軸部の他端に固定された挟持部と、内部に設けたベアリングにより前記回転軸部の中央部を回動自在に保持する保持部とからなり、前記プーリーの外周に設けられた凹入部には、前記回転伝達ベルトが掛けられ、前記回転用モータの回転が、回転伝達ベルトを介してプーリーに伝わるように構成されており、 前記挟持部の外周の先端側には、先端に向かって細くなるテーパ面が形成され、円筒形状試料の一端に嵌め込み可能に構成されているとともに、前記挟持部の外周の後端側には、鍔部が設けられており、
    また、他方の軸受け部は、一方の軸受け部の回転軸部、挟持部およびベアリングと同じ構造の回転軸部、挟持部およびベアリングをそれぞれ有し、他方の軸受け部の回転軸部の先端には挟持部が設けられ、この挟持部は、回転軸部に固定されることなく、ベアリングによって回転軸部の軸芯回りに回動自在に接続されており、また、この回転軸部の後端側は、先端側よりも断面の径が大きくなっているとともに、本体と、伝動機構とハンドル部とからなる調節機構に接続されており、このハンドル部を回転させると、その回転が伝達機構に伝達され、伝達機構により、回転軸部が円筒形状試料の軸芯方向へ移動可能に構成されている請求項1に記載の円筒形状試料用のX線元素マッピング装置。
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