JP4070911B2 - 含水性可食材を芯材とする被覆菓子およびその製造方法 - Google Patents

含水性可食材を芯材とする被覆菓子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含水性可食材を芯材とする被覆菓子、に関するものである。詳しくは、本発明は、含水性可食材からなる芯材、前記芯材の表面上に被覆形成された可食性粉末剤からなる水分遮断層、および前記水分遮断層上に被覆形成された可食性コーティング材からなるコーティング層、を有してなることを特徴とする含水性可食材を芯材とする被覆菓子、に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ナッツ類、焼き菓子、果肉、ヌガー等を芯材とし、その外側をチョコレートやクリーム等でコーティングした被覆菓子は、味のハーモニーや良好な食感の観点から、注目されている。
ところが、芯材として、水分を多く含む材料(例えば糖蜜漬けしたフルーツなど)を使用し、これにチョコレート等をコーティングすると、得られた製品は、時間が経つにつれてその表面にピンホール等を生じて、内部の水分(例えば糖蜜)が外部まで滲みだしてきてしまうことがある。このような滲みだしを生じた製品は、製品表面がべとつくこととなり、取扱性も悪化するので、商品としての価値がいきおい低下することとなる。また、このような製品は、商品としての外観、あるいは喫食の際の食感等の観点からも望ましくない。
【0003】
そこで従来は、このような芯材からの水分の滲みだしを防止するため、例えば、糖蜜漬けされたオレンジピールのような芯材をチョコレート等でコーティングする前に予め該芯材表面を乾燥させておく方法、あるいはコーティングを2度行う方法、のような手段が採用されていた。
【0004】
しかしながら、前者の芯材を予め乾燥させる方法では、芯材表面に乾燥ムラが生じ易く、このため製品の食感(特に硬さ)にばらつきが生じてしまい、一定の品質の製品を得ることは困難であった。また、後者のコーティングを2度行う方法では、コーティング層の製品全体における比率が高くなってしまうため、得られた製品の味のバランスが崩れてしまう等の問題が生じていた。
さらに、前記したオレンジピール等よりもさらに水分含有量が多いものを芯材として使用する場合には、前記した従来法により製品内部からの滲みだしの問題を回避することは困難であった。
【0005】
このため、含水性の芯材からの水分の滲みだしを生じ難い被覆菓子製品であって、優れた食感および味わいを有するもの、が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
[発明の概要]
本発明者らは、今般、芯材として使用される含水性の可食材を、水分吸着性を有すると考えられる粉末剤、または水分滲出による芯材表面のべたつきを防止する性質を有する粉末剤で覆うことにより、内部の芯材からの水分の滲出を有効に遮断することができるとの知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、可食性コーティング材で被覆された被覆菓子であって、少なくとも消費者が喫食目的で保存する期間中は内部芯材からの外部への水分の滲みだしが防止され、しかも良好な食感を有する被覆菓子、を提供することを目的とする。
【0008】
本発明による含水性可食材を芯材とする被覆菓子は、
含水性可食材からなる芯材、
前記芯材の表面上に被覆形成された可食性粉末剤からなる水分遮断層、および前記水分遮断層上の全体または一部に被覆形成された、1種以上の可食性コーティング材からなるコーティング層、
を有してなることを特徴とするものである。
また、本発明による含水性可食材を芯材とする被覆菓子の製造方法は、芯材である含水性可食材の表面上に、可食性粉末剤を被覆することにより水分遮断層を形成させ、その水分遮断層上の全体または一部に、1種以上のコーティング材を被覆することによりコーティング層を形成させること、を含むことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の含水性可食材を芯材とする被覆菓子では、可食性粉末剤からなる水分遮断層が芯材表面上を覆っているので、芯材中の水分が芯材から外部へ流出することが妨げられることとなる。このため、菓子外部への水分流出を防止でき、さらに、コーティング層に生じたピンホール等によって製品がさらに損傷を受けることを防止することができる。
【0010】
よって、本発明に従うことにより、含水性可食材を芯材とする被覆菓子に生じ易い、菓子製品表面のべたつき等の問題を解決することができ、さらには、液糖を多く含んだフルーツのような水分含有量のさらに多いものを芯材として用いた場合であっても、良好な食感と品質保持性の双方に優れた被覆菓子を製造することが可能となる。
【0011】
また、前記したように、水分の流出が抑えられるということは、同時に、芯材に含まれる水分を製品内にさらに長期間保持できることも意味している。このようにして製造された菓子は、このような水分保持効果によって、一定期間保存した後であっても軟らかな性状と湿感を呈することができ、これにより、複数種類の食材の組み合わせにより発現する、より良好な食感と味わいを達成することができる。
【0012】
本発明はまた、前記した従来法のように強制乾燥させる必要がないため、食感や品質のばらつきが生じ難くくなるといった利点も有している。また、本発明の被覆菓子では、コーティング材の使用量を少なくしてコーティング層を薄くすることができるので、芯材の素材自体のおいしさを引き出しやすいという利点も有している。さらに、コーティング層を薄くできるということは、従来の2度コーティング法の場合のように、味のバランスが崩れたりするといった問題も生じ難くくなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
[発明の具体的説明]
含水性可食材
本発明における含水性可食材には、水分を含有する可食性の材料であればいずれのもの包含されるが、例えば、青果(例えば生果実)、砂糖漬け食品(例えば甘納豆等)、糖蜜漬け食品(例えば糖蜜漬けフルーツ若しくは野菜等)、加工したフルーツ若しくは野菜食品(例えば、焼きフルーツ、煮野菜、ジャム類、漬け物類等)、加工食品(例えばフルーツケーキ等)、ゼリー、寒天等が、本発明における典型的な含水性可食材として例示することができる。
【0014】
本発明の好ましい態様においては、含水性可食材は、糖蜜漬けフルーツ(例えば糖蜜漬けイチゴやリンゴ、若しくはオレンジピール等)または糖蜜漬け野菜のような糖蜜漬け食品であるのが好ましい。
本発明のより好ましい態様においては、含水性可食材は、糖蜜漬けイチゴまたはオレンジピールであるのが好ましい。
【0015】
本発明の被覆菓子における芯材は、前述した含水性可食材からなるものである。このとき、本発明の被覆菓子における芯材は、前記例示の含水性可食材の単独のものからなることもできるが、2種以上を組み合わせたものからなることもできる。さらに、本発明における芯材には、前記例示の材料を未加工状態で利用するのが普通であるが、さらにこれら材料に加熱・冷凍、乾燥、さらには凝固剤を用いた凝固処理等のような加工処理を行った後のものを利用してもよい。
【0016】
可食性粉末剤
本発明における可食性粉末剤には、芯材表面にコーティングすることにより芯材内部からの水分の滲出を遮断することができるものであれば、いずれの可食性の粉末材料も包含される。このような可食性粉末剤としては、水分吸着性を有すると考えられるもの、または水分滲出に伴う前記芯材表面のべたつきを防止できる性質を有するものが挙げられる。具体的には、このような可食性粉末剤としては、例えば、α化澱粉(例えば、馬鈴薯架橋α化澱粉、甘藷架橋α化澱粉、タピオカ架橋α化澱粉、コーン架橋α化スターチ、ワキシコーン架橋α化澱粉等)、澱粉(例えば、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、ワキシコーンスターチ、小麦澱粉、小麦架橋澱粉、甘藷加工澱粉等)、糖類(例えば、トレハロース、マンニトール、無水結晶マルトース、マルチトール、ラクチトール等)、乳製品類(例えば、乳糖、脱脂粉乳、全粉乳、ホエーパウダー等)、シクロデキストリン、粉末オブラート、粉末ゼラチン、油脂類(例えば、粉末油脂(油分100〜30%、糖類、カゼインの賦形剤10〜70%のもの)等)、乳化剤(例えばグリセリン脂肪酸エステル等)、タルク、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、油脂コーティング粉糖、などが好ましい例として挙げられる。
【0017】
本発明の好ましい態様においては、可食性粉末剤としては、α化澱粉が好ましい。
このような可食性粉末剤は、天然産のものであっても、合成されたものであってもよい。また、これら可食性粉末剤には、市販のものをそのまま若しくは加工した後に使用することができる。
【0018】
本発明においては、可食性粉末剤として、前記例示のものを単独で使用することもできるが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明における可食性粉末剤は、前記例示のものの他に、コーティング性、層安定性または得られる風味等を考慮して、香料、調味料、着色剤、結合剤、吸湿剤等の任意の可食性補助成分をさらに含んでもよい。この場合、用いる可食性補助成分の配合量は、使用目的、望まれる効果等の観点から適宜選択することができる。
【0019】
本発明における可食性粉末剤の粒径は、前記含水性可食材からなる芯材の表面上を覆うことにより、芯材内部からの水分滲出を防止できるのであれば、いずれの大きさであってもよい。このような可食性粉末剤の粒径は、使用される含水性可食材の種類、状態、その水分含量、または、使用される可食性粉末剤の種類、適用手段等により、種々変化させることができる。
【0020】
例えば、このような可食性粉末剤の平均粒径としては、一般的には100μm程度以下であるのが普通であるが、本発明においては、平均粒径が例えば10〜100μm程度のものであっても使用可能である。
【0021】
本発明においては、芯材を覆う可食性粉末剤の量は、芯材からの水分滲出を防止するのに有効かつ充分な量であるのが好ましい。
本発明の一つの態様においては、該可食性粉末剤の量は、例えば、芯材の重量に対して3重量%以上である。
【0022】
本発明の被覆菓子における水分遮断層は、前記可食性粉末剤からなるものである。このとき水分遮断層は、前記含水性可食材からなる芯材の表面上をこの可食性粉末剤が覆うことにより形成される。このような水分遮断層により、内部芯材から滲みだしてくる水分が外部に滲出することが防止される。
【0023】
また、水分遮断層は、前記芯材の表面全体上を、この可食性粉末剤が均一に覆うことにより形成されたものであるのが好ましい。なお、ここでいう「均一」とは、少なくとも芯材内部からの水分滲出が実質的に防止できる程度に芯材を可食性粉末剤が覆っている状態であって、同時に、製造された菓子製品に形態上、性状上、または食感上の不均衡を生ずることがない程度に、芯材表面上を可食性粉末剤が覆っている状態をいう。
すなわち、本発明においては、芯材表面上に可食性粉末剤で覆った場合に、該表面上で局所的に覆っている該粉末剤量が多かったり、少なかったりする箇所が生じて、食する部分により食感上の不均衡がある状態、すなわち所謂ムラのある状態は望ましいものではないが、排除するものでもない。
【0024】
従って、可食性粉末剤が均一に芯材表面を覆っている状態には、少なくとも芯材内部からの水分滲出を防止できる程度に芯材を可食性粉末剤が覆っているのであれば、芯材表面を可食性粉末剤の粒子が密に覆う場合だけでなく、微視的に見れば該粒子同士が断続した部分も存在しつつ覆っているような状態も含まれる。すなわち、本発明における水分遮断層には、一般的には層(例えば薄膜の状態)のように観念されるものの他に、層状にはならずに前記のように単に可食性粉末剤の粒子に覆われている状態(断続のある部分も含む状態)も含まれる。
【0025】
可食性コーティング材
本発明における可食性コーティング材としては、芯材である含水性可食材を覆って、形態の安定した被覆菓子を形成できるのであれば、いずれの可食性素材も使用可能であるが、例えば、チョコレート、クリーム、食用油脂、シェラック等が典型的なものとして例示される。
【0026】
本発明においては、このような可食性コーティング材としては、チョコレートまたはクリームが好ましい。本発明のさらに好ましい態様においては、前記可食性コーティング材はチョコレートであるのが好ましい。
なお、ここでいうチョコレートには、ホワイトチョコレート、ビターチョコレート、スイートチョコレート、またはミルクチョコレート等のような公知ないし市場において入手可能な各種のチョコレートが含まれる。
【0027】
本発明においては、可食性コーティング材として、前記例示のものを単独で使用することもできるが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0028】
また、本発明における可食性コーティング材は、前記例示のものの他に、コーティング性、層安定性または付加される風味等を考慮して、香料、調味料、洋酒、果汁、着色剤、光沢剤、結合剤等の任意の可食性補助成分をさらに含んでもよい。この場合、用いる可食性補助成分の配合量は、使用目的等の観点から適宜選択することができる。
【0029】
さらに、本発明における可食性コーティング材は、上記で例示したもの及び補助成分の他に、さらに固形物を含むことも可能である。このような固形物としては、例えば、ナッツ類(例えば、アーモンド、カシュナッツ、ピーナッツ、マロン等)、焼き菓子類(例えば、ビスケット、クラッカー、米菓等)、パフ類(例えばライスパフ等)、乾燥フルーツ類(例えばレーズン等)、フレーク状チョコレートなどのような可食性のある固形物が例示される。このような固形物を可食性コーティング材が含むことにより、前記例示のコーティング材のみで製造した被覆菓子とは、異なった食感および風味を菓子製品に与えることができる。
【0030】
また、本発明においては、前記固形物を、可食性コーティング材がコーティング層を形成した後に、そのコーティング層上に付着させ、菓子製品を製造することもできる。
【0031】
固形物の使用量は、可食性コーティング材のコーティング性を妨げるものでない限り、適宜選択することができる。
【0032】
本発明においては、1種以上の可食性コーティング材を用いて、前記の水分遮断層上の全体または一部を覆うことにより、コーティング層を形成させる。
従って、コーティング材によるコーティング層は、前記の水分遮断層の全面上を覆うように形成されてもよいが、該水分遮断層の一部のみを覆うようにコーティング層を形成して、残りの部分については水分遮断層が露出していてもよい。また、この露出部分に別の可食性コーティング材や前記固形物を適用することもできる。
コーティング層はまた、1層のみでなく2以上の層からなっていてもよい。すなわち、該コーティング層は、同一若しくは異なる種類の可食性コーティング材による積層構造により形成されていてもよい。
【0033】
コーティング層の厚み、換言すれば、使用される可食性コーティング材の量は、使用する可食性コーティング材の種類または芯材の種類、得られる食感もしくは風味等を考慮して、適宜選択することができる。
【0034】
本発明においては、可食性コーティング材の使用量は、例えば、最終製品の10〜50重量%程度であり、好ましくは25〜35重量%程度である。
【0035】
本発明によれば、従来の製品に比べてコーティング層の厚さを薄くすることができるので、本発明に従う被覆菓子は、従来にない良好な食感を有することができ、さらに芯材との間でハーモニーのあるの食感と味わいを達成することができる。
【0036】
被覆菓子の製造方法
本発明の含水性可食材を芯材とする被覆菓子は、以下のようにして製造することができる。
先ず、含水性可食材を用意し、その含水性可食材の表面上に、可食性粉末剤を被覆することにより、水分遮断層を形成させる。
このような可食性粉末剤の被覆処理は、使用する可食性粉末剤の種類、性質、芯材である含水性可食材の種類等を考慮して、慣用の手段および装置を適宜選択して行うことができる。また、可食性粉末剤の被覆は、含水性可食材の表面上に均一に行われるのが好ましい。
【0037】
また、このとき必要に応じて、可食性粉末剤を使用する前に、含水性可食材に前処理を施すこともできる。
このような前処理としては、例えば、含水性可食材が糖蜜漬けフルーツである場合には、該フルーツから糖蜜をその後の処理工程の妨げにならない程度に除く工程、すなわち蜜切り処理、が挙げられる。より具体的な例により説明すれば、糖蜜漬けされたフルーツ(例えば糖蜜漬け丸粒イチゴ)を使用する場合には、その表面上に可食性粉末剤を被覆する前に、入手された糖蜜漬けフルーツをメッシュネット上に載せ、少なくとも3時間以上(好ましくは24時間以上)自重で蜜切りさせるのが好ましい。従って、このような処理を該前処理として行うことができる。
【0038】
一方、可食性コーティング材を別途用意する。このとき、例えば該コーティング材がチョコレートであるような場合には、必要に応じてチョコレートの調温処理等を行っておいてもよい。
【0039】
このように別途用意された1種以上の可食性コーティング材を、芯材表面に形成された水分遮断層上にコーティングして、エンロービング処理を行う。
このようなエンロービング処理は、使用するコーティング材の種類、性質、芯材である含水性可食材、および可食性粉末剤の種類等を考慮して、慣用の手段または装置を適宜選択して行うことができる。
また、このエンロービング処理により形成されるコーティング層は、菓子製品全体を覆うように形成されてもよいが、一部のみを覆うように形成されてもよい。
【0040】
前記のエンロービング処理後、必要に応じて、可食性コーティング材をコーティングした被覆菓子を冷却することができる。
以上のようにして、本発明の水性可食材を芯材とする被覆菓子が形成される。
【0041】
このようにして製造された被覆菓子は、少なくとも消費者が喫食目的で保存する期間中は内部芯材から水分の滲みだしを起こさないものであり、同時に、既に前述したように軟らかな性状と質感を呈するものである。
通常は、上記のような製造方法により作られた被覆菓子製品は、包装され箱詰めされた後、流通にのせられて消費者のもとへ送られる。
本発明の被覆菓子の食べ方としては、そのまま又は必要に応じて冷蔵庫で冷やして食べるのが好ましい。
【0042】
【実施例】
下記は、本発明の例を示して本発明を具体的に説明するものである。本発明は、これらに限定されるものではない。
【0043】
試験1
芯材として糖蜜漬けフルーツ、具体的にはオレンジピール、を用いて下記の試験を行った。
次に、下記に示した処理を行い、芯材表面上に水分遮断層を形成させた(例1B〜1E)。また、比較例として、芯材表面に可食性粉末剤を使用しない場合の試験も行った(例1A)。
【0044】
水分遮断層を形成させるための処理
・例1A: 未処理。
・例1B: 可食性粉末剤として、α化澱粉を使用した(本発明)。
・例1C: 可食性粉末剤は使用せずに、オレンジピールについて常温で24時間、自重蜜切りのみを行った。
・例1D: 可食性粉末剤として、ココアパウダーを使用した。
・例1E: 芯材表面のべたつきをなくすため、該表面をアルコールで処理した。
【0045】
次に、可食性コーティング材としてチョコレートを使用して、芯材表面上にさらにコーティングを行い、これらを冷却した。これにより、コーティング層をさらに形成させ、被覆菓子を製造した。
製造された被覆菓子をそれぞれプラスチックフィルムにより包装して、モデル製品とし、これら温度25℃、湿度65%の条件下に放置して、製品の状態を経時的に観察した。
【0046】
結果を下記表1に示す。
なお、表中において、「○」は芯材内部からの水分の滲みだしが起こらず、良好な製品品質を示している状態を示している。一方、「×」は内部からの水分の滲みだしが起こっている場合であり、また、「××」は滲みだした水分に含まれていた糖が製品一部表面で乾燥して白色化している状態であって、前記「×」の場合よりさらに品質が悪化した状態を示している。さらに「×××」は滲みだした水分と糖により製品表面にべたつきを生じている場合であり、これは前記「××」の場合よりも品質が悪化した状態である。
【0047】
【表1】
Figure 0004070911
【0048】
表1の結果から分かるように、芯材のオレンジピール表面上に何も処理せずにチョコレートコーティングを行った場合(例1A)は、製造後3日目で、菓子内部からの水分の浸みだしが起こり、製品の品質を維持することはできなかった。同様に、例1C〜1Eの場合も、製造後3〜8日で水分の浸みだしが生じ、製造初期の品質を維持することはできなかった。
【0049】
一方、可食性粉末剤としてα化澱粉を使用した場合(例1B)については、14日間放置したものであっても、菓子内部からの水分の浸みだしは起こらず、被覆菓子は製造当初の品質を維持することができた。
すなわち、本発明に従う構成を被覆菓子が採用することにより、水分を多く含むオレンジピールを芯材として使用した場合であっても、品質保持性の高い被覆菓子製品を製造できることがわかった。
【0050】
試験2
芯材として糖蜜漬けイチゴを用いて下記の試験を行った。該糖漬けイチゴは、6メッシュのネット上にのせ、24時間自重で密切りを行った後に本試験に使用した。
芯材表面上をコーティングする可食性粉末剤として、α化澱粉を使用した。
このとき、使用するα化澱粉の量を、該イチゴ重量に対して0、1、2、3、4、5および10重量%に設定して、それぞれ芯材表面上に均一に適用し、可食性粉末剤からなる水分遮断層を形成させた。
【0051】
次に、可食性コーティング材としてチョコレートを使用して、芯材表面上にさらにコーティングを行った後、冷却し、コーティング層を形成させて、被覆菓子を製造した。
製造された被覆菓子をそれぞれプラスチックフィルムにより包装して、モデル製品とし、これら温度25℃、湿度65%の条件下に放置して、製品の状態を経時的に観察した。
【0052】
結果を下記表2に示す。
なお、表中において、「○」は芯材内部からの水分の滲みだしが起こらず、良好な製品品質を示している状態を示している。一方、「×」は内部からの水分の滲みだしが起こっている状態を示している。
【0053】
【表2】
Figure 0004070911
【0054】
可食性粉末剤であるα化澱粉を全く使用しないか、あるいはその使用量が2%以下である場合には、糖蜜漬けイチゴにα化澱粉を充分にコーティングすることができなかった。このため、表2の結果から分かるように、得られた菓子製品は満足のいく品質保持性を得ることはできなかった。
【0055】
一方、α化澱粉を該イチゴ重量に対して3重量%以上使用した場合には、製品を10日間放置した場合であっても、菓子内部からの水分の浸みだしは起こらず、被覆菓子製品は製造当初の状態を維持することができた。
すなわち、本発明に従う被覆菓子の構成を採用し、さらにα化澱粉の使用量が3重量%以上である場合には、水分を多く含んだ糖漬けイチゴを芯材として使用した場合であっても、品質保持性の高い被覆菓子製品を製造できることがわかった。

Claims (5)

  1. 糖蜜漬けフルーツからなる芯材、
    前記芯材の表面上に被覆形成されたα化澱粉からなる水分遮断層、および
    前記水分遮断層上の全体または一部に被覆形成された、1種以上の可食性コーティング材からなるコーティング層、
    を有してなることを特徴とする、糖蜜漬けフルーツを芯材とする被覆菓子であって、
    可食性コーティング材がチョコレートまたはクリームである、被覆菓子
  2. 糖蜜漬けフルーツが、糖蜜漬けイチゴである、請求項に記載の被覆菓子。
  3. 水分遮断層を構成するα化澱粉の量が、芯材の重量に対して3重量%以上の量である、請求項1または2に記載の被覆菓子。
  4. コーティング層のコーティング材が、チョコレートである、請求項1〜のいずれか一項に記載の被覆菓子。
  5. 芯材である糖蜜漬けフルーツの表面上に、α化澱粉を被覆することにより水分遮断層を形成し、
    その水分遮断層上の全体または一部に、1種以上のコーティング材を被覆することによりコーティング層を形成することを含むことを特徴とする、糖蜜漬けフルーツを芯材とする被覆菓子の製造方法であって、
    可食性コーティング材がチョコレートまたはクリームである、製造方法
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