JP4070476B2 - 二重共焦点走査顕微鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源の照明ビーム路と、検知器の検知ビーム路とを有する二重共焦点走査顕微鏡に関する。
【0002】
EP0491289A1から、光源の光が2つのビーム路に分割され、各部分ビームがそれぞれ1つの顕微鏡対物レンズによって共通の対象点にフォーカスされる二重共焦点走査顕微鏡は公知である。ここで2つの顕微鏡対物レンズはこれらの共通の対象物面の異なる側に配置されている。対象点には干渉的照明によって干渉パターンが結像され、このパターンは構造的干渉の際に1つのメインマキシマム(ピーク)と複数のサブマキシマム(ピーク)を有する。対象領域ないしは共通の顕微鏡対物レンズ焦点にある照明パターンは二重共焦点照明点画像関数(照明PSF)とも称される。二重共焦点照明だけが実現されている場合、これはいわゆるタイプAの二重共焦点走査顕微鏡に関する。照明PSFにより照明された対象物からは検知光が出射し、ここで検知光は例えば、蛍光光、反射光または透過光とすることができる。2つの部分ビーム路の光学的行程差が検知光のコヒーレント長よりも小さい場合、検知光は検知ホール絞りで干渉することができる。顕微鏡対物レンズによって結像され、干渉する検知光または干渉しない検知光はここで照明パターンを形成し、この照明パターンは検知点画像関数(検知PSF)と称される。例えば対象物が1つの部分ビームからの光だけによって照明されるため、ただ1つの二重共焦点検知だけが実現されるべき場合、これはいわゆるタイプBの二重共焦点走査顕微鏡に関する。二重共焦点照明も二重共焦点検知も実現されている場合には、タイプCの二重共焦点走査顕微鏡が問題となる。
【0003】
二重共焦点照明PSFおよび/または検知PSFはサブマキシマムを有しており、このサブマキシマムは一般的に光軸に沿って配置されている。二重共焦点走査顕微鏡では、干渉照明ないしは干渉検知によって従来の(走査)顕微鏡と比較して比較的に高い軸方向分解能が達成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
二重共焦点走査顕微鏡により記録(撮像)された対象物の画像は、照明PSFおよび/または検知PSFのメインマキシマムから生じる寄与(成分)を主として有している。しかしさらにこの画像には、照明PSFおよび/または検知PSFのサブマキシマムから生じる成分が重畳されている。これらの画像成分は邪魔である(ノイズとなる)から一般的には再構成(再現ないし復元、Rekonstruktion)法によって、記録された画像から後で取り除かれる。ここではまず第1に逆フィルタリング法が適用される。この逆フィルタリング法はプログラムモジュールの形態でコンピュータに実現されている。しかし再構成法は、サブマキシマムの強度が照明PSFないしは検知PSFのメインマキシマムの強度と比較して明らかにに50%より低い場合にだけ上手く適用することができる。この前提が満たされなければ、再現(復元)された画像のノイズ成分が過度に高くなるか、またはサブマキシマムの寄与(成分)を画像から完全に取り除くことができなくなる。そのため記録された対象物構造の「ゴースト構造」が画像に残ってしまう。さらに一義的な対象物分析ないし画像解釈が困難となるか、まったく不可能になってしまう。
【0005】
従って本発明の課題は、再構成法の問題をその根本から回避することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の視点において、冒頭に述べた形式の本発明の二重共焦点走査顕微鏡は上記課題を請求項1の構成によって解決する。即ち、本発明の二重共焦点走査顕微鏡は、光源の照明ビーム路と、検知器の検知ビーム路とを有する二重共焦点走査顕微鏡において、照明ビーム路および/または検知ビーム路に作用する少なくとも1つの光学的構成部材が設けられており、該光学的構成部材は、光の振幅、位相および偏光の1つ又は2以上に影響を与えるように構成されており、これにより光の特性が二重共焦点照明ビーム路および/または検知ビーム路において変化され、該光学的構成部材(24,25)によって、二重共焦点照明点画像関数および/または検知点画像関数(PSF)の形状が変化される、ことを特徴とする。
【0007】
さらに、各従属請求項の特徴も本発明の第2以降の各視点として、夫々本発明の対象をなす。第2の視点において、該光学的構成部材によって、二重共焦点照明点画像関数および/または検知点画像関数(PSF)の形状が変化されることを特徴とする。第3の視点において、複数の該光学的構成部材が設けられており、照明ビーム路には、検知ビーム路とは異なる別の光学的構成部材が設けられていることを特徴とする。第4の視点において、該光学的構成部材は、照明光および/または検知光の波面を変調することを特徴とする。第5の視点において、該光学的構成部材は、顕微鏡対物レンズひとみ(26)またはその光学的共役面に配置されていることを特徴とする。第6の視点において、該光学的構成部材として、振幅および/または位相フィルタが設けられており、または遅延および/または位相プレートが設けられており、または液晶デバイスが設けられており、または部分的振幅可変素子が設けられており、または適応型光学系が設けられていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明によればまず、二重共焦点照明の特性変化がサブマキシマムから生じる検知された寄与(成分)を(除去することができないときでも)格段に低減できることが認識される。検知特性の変化、または照明特性と検知特性の変化も同様に、サブマキシマムからの検知された寄与(成分)を減少させることができる。サブマキシマムの減少によって再構成法を上手く適用することができ、それどころか理想的な場合では省略することができる。
【0009】
従って本発明では、少なくとも1つの光学的構成部材が二重共焦点走査顕微鏡のビーム路に配置され、このとき光学的構成部材は照明ビーム路または検知ビーム路、または照明および検知ビーム路に設けることができる。ただ1つの光学的構成部材が照明ビーム路に配置される場合、このことにより二重共焦点照明の特性が変化するだけである。光学的構成部材を検知ビーム路だけに配置することは二重共焦点検知の特性を対応して変化させる。光学的構成部材を照明および検知ビーム路に配置することは二重共焦点照明と検知の特性に作用する。ここで光学的構成部材はこれが、光学的構成部材と交互作用する光の振幅および/または位相および/または偏光に影響を与えるように構成されている。ここで交互作用とは例えば、透過、反射、または、(例えば部分的に反射性に構成された光学的構成部材における)透過と反射の組み合わせと理解されたい。
【0010】
具体的な実施形態では、光学的構成部材によって二重共焦点照明PSF(Punktbildfunktion)および/または検知PSFの形状(波形)を変化することができる。ここではとりわけ、二重共焦点照明PSFおよび/または検知PSFの軸方向に配置されたサブマキシマムの形状を所期の(意図する)ように変化することがあり、同様にメインマキシマムの変化も考えられる。二重共焦点走査顕微鏡の動作が破壊的ないし相殺的(destruktiv)干渉の存在に基づき構成されている場合に対しては、光学的構成部材が破壊的干渉により結像された双方のメインマキシマムの形状(波形)も変化させることができる。
【0011】
さらに照明PSFおよび/または検知PSFの軸方向に配置されたサブマキシマムはその位置を変化することができる。このようにして、光学的構成部材を次のように構成することができる。すなわち、照明PSFおよび/または検知PSFの軸方向に配置されたサブマキシマムの位置を変化させて、照明PSFおよび/または検知PSFのメインマキシマムとサブマキシマムの間の間隔を変化させ、有利には拡大させるように構成することができる。メインマキシマムとサブマキシマムとの間の間隔を拡大することができれば、サブマキシマムにより惹起される検知寄与(成分)を減少ないしは最小化することができる。なぜならこの検知寄与(成分)を共焦点検知ピンホールによってほぼ除去することができるからである。このことが可能であるのは、検知ピンホールの比較的に小さな直径により二重共焦点走査顕微鏡の軸方向検知領域が減少するからである。二重共焦点照明PSFおよび/または検知PSFの形状の位置変化も同様に行われる。
【0012】
光学的構成部材は特に有利には、その使用によって照明PSFおよび/または検知PSFのサブマキシマムの強度が減少するように構成されている。このことにより特に有利には照明PSFおよび/または検知PSFのサブマキシマムによって惹起された、検知される寄与(成分)を同じように低減することができる。
【0013】
特に有利には、光学的構成部材によって照明PSFおよび検知PSFのサブマキシマムを異なる位置に配置することができる。共焦点走査顕微鏡の場合と同じように二重共焦点走査顕微鏡でも、全体PSFが照明PSFと検知PSFとの積によって与えられるから、全体PSFのサブマキシマムの強度を有利には次のようにして低減ないしは最小化することができる。すなわち照明PSFおよび検知PSFのメインマキシマムが同じ位置となるが、しかし照明PSFと検知PSFのサブマキシマムは異なる位置に来るようにするのである。従って積形成によってメインマキシマムだけが高い強度値を有し、サブマキシマムではそうならない。サブマキシマムは二重共焦点走査顕微鏡ではとりわけ光軸に沿って、すなわち軸方向に配置されているから、サブマキシマムを異なる軸方向位置に配置すれば、照明PSFおよび検知PSFのサブマキシマムの強度を低減することができる。
【0014】
特に有利な実施形態では、複数の光学的構成部材が、光の振幅および/または位相および/または偏光を調整するために設けられている。例えば二重共焦点走査顕微鏡の部分ビーム路の1つには他方の部分ビーム路におけるのとは別の光学的部材を配置することができる。さらに照明ビーム路には検知ビーム路とは異なる別の光学的構成部材を配置することができる。さらにこれらの場合で、光学的構成部材は、二重共焦点照明および/または検知の特性が信号効率並びに結像アーチファクトの最小化の点で最適になるよう構成される。
【0015】
二重共焦点照明および/または検知の特性を変化するために、光学的構成部材は照明光および/または検知光の波面を変調する。ここでは時間的および/または空間的変調を行うことができる。しかし空間的変調の方が有利である。従って例えば、2つの光学的構成部材を使用する場合、構成部材によって惹起された光の空間的変調が時間的に変化可能であることも考えられる。この場合はとりわけ、対象物を2回、本発明の二重共焦点走査顕微鏡により記録(撮像)することができる。この場合、2つの光学的構成部材の変調は第2の対象物検知の際にそれぞれちょうど反対に実行される。従って検知された2つの対象物データセットから計算により最適な対象物データセットを抽出することができる。
【0016】
特に有利には、光学的構成部材は顕微鏡対物レンズひとみに配置される。通常は対物レンズ自体にある顕微鏡対物レンズのひとみ面に接近することは困難であるから、有利にはフィルタ個所としてひとみ面に対して光学的に共役の面を選択する。このような構成では、光学的構成部材のデザインないしは形状を比較的簡単に計算することができる。このための基本は、光に影響を与える光学的構成部材が顕微鏡対物レンズひとみないしはこれに対して光学的に共役な面に配置されている場合、フーリエ光学系の方法を利用できることである。もちろん光学的構成部材を照明ビーム路および/または検知ビーム路の任意の個所に配置することも可能であるが、しかしこの場合に対しては場合により複雑な光学的構成部材計算が必要である。
【0017】
光学的構成部材として具体的には、振幅フィルタおよび/または位相フィルタを設けることができる。これらのフィルタは相応に、光の振幅および/または位相に影響を与える。フィルタは光軸に対して横方向に、異なる振幅特性ないしは位相特性を有するように設けられる。さらに光学的構成部材として遅延プレートおよび/または位相プレートを用いることができる。
【0018】
特に有利な構成では、光学的構成部材として液晶デバイス(LCD)を設けることができる。LCDを使用することによって特に有利には、光学的構成部材をフレキシブルかつ可変に構成することができる。カラーLCDを使用すれば特に有利には、個々の波長ないしは個々の波長領域の光を選択的に制御することができる。
【0019】
さらに光学的構成部材として部分的に振幅の変化する素子を用いることができる。これはとりわけ、領域的に異なるフィルタ特性を有するグレーフィルタである。
【0020】
まったく一般的には光学的構成部材として、照明光および/または検知光の波面を変化させる他の素子を設けることも考えられる。例えばここでは、光学的構成部材として適応型(adaptiv)光学系を設けることができることを述べておく。これは具体的には変形可能なミラーである。変形可能なミラーは例えば、変形可能なミラー面とベースプレートの間に圧電素子が配置され、この圧電素子が個別に異なるように制御されるよう構成することができる。従って種々異なる圧電素子の制御に依存してミラー面を変形することができる。
【0021】
さらに光学的構成部材が、偏光および/または波長の異なる光に対して異なる作用を有するようにすることができる。従って光学的構成部材は、振幅、位相および/または偏光を変化するその特性を介して、−所定の偏光方向の光に対して−少なくとも領域的に反射性の作用を及ぼす。光学的構成部材は、同様に少なくとも領域的に光の偏光を次のように制御することができる。すなわち光の偏光状態が別の偏光状態に移行するように制御することができる。ここでは光の偏光方向を単純に回転するものとする。しかしサーキュラー(円)偏光から楕円偏光又は線形偏光へ、またはその逆に移行することも同様に考えられる。しかし光学的構成部材は二色性(ダイクロイック)フィルタとして構成することもできる。この場合、そのフィルタ作用は所定の波長領域の光にだけ作用する。
【0022】
【実施例】
以下に、本発明の好適な実施例について説明する。
図1は、照明ビーム路1,光源2および検知器4の検知ビーム路3を有する二重共焦点走査顕微鏡を示す。
【0023】
光源2の光はレンズ5によって照明ピンホール6にフォーカスされる。照明ピンホール6はレンズ7,8によって第1中間結像される。照明ビーム路1の光は従って二色性ビームスプリッタ9によってビーム偏向装置10の方向に反射される。二色性ビームスプリッタ9とビーム偏向装置10との間にはビーム路を視準化(平行光線に)するレンズ(コリメータ)12が設けられている。ビーム偏向装置10はミラーを有し、このミラーは照明光を反射する。ビーム偏向装置10のミラーは2つの軸を中心に回動可能に支承されており、従ってミラーを適切に回動(旋回)することによって照明光を偏向ないしは走査することができる。ビーム偏向装置10とビームスプリッタ11との間には2つのレンズ13,13が配置されている。ビームスプリッタ11は照明ビーム路1を2つの部分ビーム路14,15に分割する。この部分ビーム路14,15を通過する光はそれぞれミラー16,17で反射される。2つの顕微鏡対物レンズ18,19はそれぞれ部分ビーム路14,15に配置されている。2つの顕微鏡対物レンズ18,19は照明ビーム路1の照明光を、共通の対象物面に配置された対象物20にフォーカスする。概略的に示した対象物20は生物学的対象物であり、蛍光色素によって特別にマークされている。適切な波長の照明光は蛍光色素を蛍光励起する。対象物20から放射された蛍光光は顕微鏡対物レンズ18,19により集光され、照明ビーム路を反対方向に通過し、二色性ビームスプリッタ9に達する。蛍光光のストークスシフト(Stokes-Shift)に基づき、蛍光光は二色性ビームスプリッタ9を通過することができる。従って検知光は2つのレンズ21,22を介して検知ピンホール23にフォーカスされる。2つの顕微鏡対物レンズ18,19の焦点面からの光は検知ピンホール23を通過することができ、そして最終的に検知器4により検知される。
【0024】
従って照明ビーム路は光源2から二色性ビームスプリッタ9を介してビーム偏向装置10,ビームスプリッタ11へと経過する。さらに照明ビーム路には2つの部分ビーム路14,15も所属し、これら部分ビーム路は夫々対象物20まで伸びている。検知ビーム路は対象物20からビームスプリッタ11へと経過し、これも2つの部分ビーム路14,15を含んでいる。従って検知ビーム路3の有効部分はビーム偏向装置10へ、そして検知器4へと経過(到達)する。
【0025】
本発明によれば、照明ビーム路1上に作用する光学的構成部材24が設けられている。この光学的構成部材は、照明ビーム路1の光の振幅および位相を調整するように構成されている。さらに本発明によれば、検知ビーム路3に配置された光学的構成部材25が設けられており、これも同様に検知光の振幅と位相を調整する。
【0026】
図2は、図1の二重共焦点走査顕微鏡を示す。ここでは光学ビーム路を示す実線が光学的構成部材24と25から顕微鏡対物レンズひとみ26までの結像ビーム路を示す。
【0027】
図3は、図1の二重共焦点走査顕微鏡の照明PSFの正規化された強度線図である。しかしここでは2つの光学的構成部材24,25は使用されていない。この線図では、照明光の正規化強度が、2つの顕微鏡対物レンズ18,19の焦点領域にある図1に破線で示された光軸27に沿った位置座標の関数として示されている。z座標300では照明PSFのメインマキシマムが見られ、これは正規化強度1を有する。メインマキシマムの横、右と左には2つの第2のサブマキシマムが見られ、これらは約0.5の正規化強度を有する。
【0028】
図4は、図3との相違として、本発明により光学的構成部材24が照明ビーム路に配置された場合の二重共焦点走査顕微鏡の照明PSFを示す。ここでも、照明光の正規化強度は、光軸27に沿った(z方向)位置座標の関数として示されている。本発明では光学的構成部材24は、照明光の振幅および位相を調整するように構成されている。これにより、二重共焦点照明の特性が変化する。従って図4から、光学席構成部材24によって二重共焦点照明PSFが図3の照明PSFの波形形状に対して変化していることが分かる。さらに図4では、z座標300に正規化強度1を有するメインマキシマムのあることが分かる。このメインマキシマムは図3のメインマキシマムに対して僅かに拡大された半値幅(FWHM;Full-Width-Half-Maximum)を有する。さらに図4のメインマキシマムの横には複数のサブマキシマムがあり、とりわけメインマキシマムに隣接する2つのサブマキシマムはz座標の約210と約390にある。この2つのサブマキシマムの形状は図3の2つのサブマキシマムに対して変化している。それらの位置も図3の照明PSFと比較して変化している。さらにそれぞれ2つの別のサブマキシマムも見られる。これら2つの別のサブマキシマムは約0.9の正規化強度を以て、約150と約450のz座標に配置されている。さらに2つのサブマキシマムが約0.25の正規化強度を以てz座標約50と約550に配置されている。
【0029】
図4の照明PSFを図3のそれと比較すると、メインマキシマムとサブマキシマムとの間隔が図4では拡大されていることが分かる。メインマキシマムと2つの第1サブマキシマムとの間隔のこの拡大によって、それ自体で見ても、約100nmのメインマキシマムの半値幅FWHMが得られる。なぜなら、図4に示されている全てのサブマキシマムは検知ホール絞り23により低減(reduce)されるからである。従ってこのような二重共焦点走査顕微鏡の軸方向分解能は約100nmである。計算器支援された逆畳み込み(Entfaltung)演算ないしは検知された画像データの逆フィルタリングはサブマキシマムが小さいことにより格段に簡素化される。
【0030】
図5は、タイプCの二重共焦点走査顕微鏡の全体PSFを示す。ここでは単に光学的構成部材24が照明ビーム路1で使用されているだけであり、他の光学的構成部材は設けられていない。従って図5に示した全体PSFは、一方では図4の照明PSFに、他方では図3(のそれ)に比較しうるPSF、すなわち検知PSFを基礎とするものである。照明PSFと検知PSFの積により、図5に示した全体PSFが得られる。この線図にも同様に、全体PSFの正規化強度が、光軸27に沿ったz座標の関数としてプロットされている。ここではとりわけ、ただ1つのメインマキシマム(同様にz座標300の位置)が正規化強度1で存在することが明りょうに示されている。図5のサブマキシマムは、図3と図4のPSFと比較してほとんど役目を果たさないか、無視することができる。このことはとりわけ、図4と図3の照明PSFのサブマキシマムに比較し得る検知PSFの基礎となるサブマキシマムが種々異なる軸方向位置にあるためである。従って、照明PSFと検知PSFの積形成によってメインマキシマムがサブマキシマムの場合よりさらに(サブマキシムと比べて相対的に)増強される。
【0031】
図1と図2の実施例では、2つの光学的構成部材24と25が設けられている。ここで照明ビーム路1の光学的構成部材24は検知ビーム路3の光学的構成部材25とは別である。
【0032】
図2から、2つの光学的構成部材24,25は顕微鏡対物レンズひとみ26に対して光学的に共役な面に配置されていることが特に明瞭である。
【0033】
図6と図7は、光学的構成部材24の光学的特性を示す。光学的構成部材24は、照明光の位相並びに振幅を調整するフィルタである。図6の線図には、回転対称に構成された光学的構成部材24の透過特性が、その半径rを顕微鏡対物レンズの焦点距離で割ったものの関数として示されている。この線図から、透過特性は半径値0,すなわち光軸27の個所では0.2の透過値を有することが分かる。さらに、2つの異なる個所で透過値がゼロである。すなわち0.4と0.8の間で透過値が2つゼロである。最後に光学的構成部材24は、顕微鏡対物レンズの焦点距離で割った光軸からの距離が1であるときに値1の透過値を有する。
【0034】
図7の線図には、回転対称の構成部材24の波長当たりの位相シフトが、同様に半径rを顕微鏡対物レンズの焦点距離で割ったものの関数としてプロットされている。波長当たりの位相シフトは0.5の値を、図6の線図の2つのミニマムの間の個所で有することが分かる。光学的構成部材24の他の個所では全て位相シフトは発生しない。
【0035】
【発明の効果】
本発明の第1の視点において、その基本構成(請求項1)により、所定の課題が達成される。即ち、再構成法に因る問題を本質的に回避することができる。
さらに、本発明の第2以下の各視点(請求項2以下)により、付加的な利点が、既述のとおり達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の概略図である。
【図2】図1の実施例の概略図であり、ここではフィルタ結像のビーム路が示されている。
【図3】二重共焦点走査顕微鏡の照明PSFを示す線図である。
【図4】本発明の光学的構成部材を使用した場合の二重共焦点走査顕微鏡の照明PSFを示す線図である。
【図5】タイプCの二重共焦点走査顕微鏡の全体PSFを示す線図である。
【図6】光学的構成部材の透過特性を示す線図である。
【図7】光学的構成部材の位相シフトを示す線図である。

Claims (4)

  1. 光源(2)の照明ビーム路(1)と、検知器(4)の検知ビーム路(3)とを有する二重共焦点走査顕微鏡において、
    照明ビーム路および/または検知ビーム路(1,3)に作用する少なくとも1つの光学的構成部材(24,25)が設けられており、
    該光学的構成部材は、光の振幅、位相および偏光の1つ又は2以上に影響を与えるように構成されており、
    これにより光の特性が二重共焦点照明ビーム路(1)および/または検知ビーム路(3)において変化され、
    該光学的構成部材(24,25)によって、二重共焦点照明点画像関数および/または検知点画像関数(PSF)の形状が変化される、
    ことを特徴とする二重共焦点走査顕微鏡。
  2. 複数の該光学的構成部材(24,25)が設けられており、
    照明ビーム路(1)には、検知ビーム路(3)とは異なる別の光学的構成部材(24,25)が設けられている、請求項1記載の走査顕微鏡。
  3. 該光学的構成部材(24,25)は、照明光および/または検知光の波面を変調する、請求項1または2記載の走査顕微鏡。
  4. 該光学的構成部材(24,25)は、顕微鏡対物レンズひとみ(26)またはその光学的共役面に配置されている、請求項1〜3のいずれか一記載の走査顕微鏡。
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