JP4694538B2 - 走査型光学顕微鏡 - Google Patents

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Description

本発明は、走査型光学顕微鏡に関するものである。
従来、例えば、レーザー走査型顕微鏡(以下、LSMという。)において、標本の三次元像を得るためには、標本または対物レンズを機械的に光軸方向に移動させて、標本内部の各面における光学像を順次取り込んでいく必要があった。しかし、この方法は機械的駆動を必要とするために、位置制御を高い精度と再現性で実現することは困難である。また、標本を移動させる方法においては、標本が大きい場合には高速走査ができない等の問題があった。
さらに、生体標本を観察する際に、標本を培養液に浸した状態で対物レンズを走査すると、その振動による悪影響を観察する標本に与えることになり、好ましくない。
これらの問題点を解決する方法として、アダプティブ光学装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
このアダプティブ光学装置は、光学的パワー(屈折力)を変化させることのできる光学素子(波面変換素子)を備えた顕微鏡である。図20および図21に、その構成図を示す。このアダプティブ光学装置は、観察光路および/または照明光路内に波面変換素子を有し、その波面変換素子を用いて光学系の焦点距離を変化させると共に、この焦点距離変化に伴って生じる収差も補正するものである。
こうすることによって、対物レンズと標本との距離を変更することなく、物体空間内での焦点の形成と移動、さらに、収差補正を行うことができる。
特開平11−101942号公報(第3,5頁、図1b,7)
しかしながら、上記の従来技術においては次のような不都合が生じる。それは、物体空間内で焦点移動を行い、さらに収差補正を行う場合に、軸上収差を補正するように波面変換素子を調整すると、軸外収差が悪化してしまうという不都合である。本来、対物レンズは、物体が所定の位置にあるときは軸外の光束に対しても、収差が補正されている。そのため、この所定の位置にある物体からの光束については、軸上と軸外の光束に対して収差が補正されている。しかし、焦点の移動が行われると、その移動量に応じて軸上の収差と軸外の収差に違いが大きくなる。そのために、軸上収差のみを補正するように波面変換素子を調整すると、軸外収差が十分に補正されていない状態になる。その結果、光軸から離れた位置つまり、物体高が高い所では本来の対物レンズと同じ性能を発揮できないことになる。
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は軸外での性能劣化が少ない、波面変換素子を用いたLSM等の走査型光学顕微鏡を提供することにある。
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
請求項1に係る発明は、光源と、形状を制御可能であって前記光源から発せられた照明光を反射する反射面を有し、前記照明光に波面変換を与える波面変換素子と、該波面変換素子から発せられた前記波面変換後の光束を走査する光走査手段と、該光走査手段によって偏向した光束を集光して光スポットを形成する対物レンズと、試料から発せられた信号光を検出する検出器とを備え、前記波面変換素子によって前記波面変換を行なうことで、前記光スポットを前記対物レンズの光軸方向に沿って移動させる走査型光学顕微鏡において、前記対物レンズの光軸からの前記試料のずれを所定の方向を基準として表した前記試料の物体高を、前記対物レンズの設計時における物体側焦点位置である基準位置に対して前記光軸方向の所定の位置において、0より大きく0.07以下の値であるhに対して、−h、0、h(mm)としたときの各物体高における波面収差が最小となるように前記反射面の形状をそれぞれ最適化し、前記物体高が、−hからhまでの物体高参照値であるときの前記試料の画像を得るときには、前記反射面の形状を、前記物体高に対して最適されたいずれかの前記反射面の形状であって前記物体高参照値に対するStrehl比が所定の値以上となる形状にする走査型光学顕微鏡を提供する。
この発明によれば、光源から発せられた照明光が波面変換素子に照射された際に、照明光に波面変換が与えられる。これにより、光束の波面収差を調整することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の走査型光学顕微鏡において、前記物体高が−hからhまでの範囲において、Strehl比が80%以上である画像を取得する走査型光学顕微鏡を提供する。
本発明によれば、光走査手段による走査箇所に応じた収差の補正を波面変換素子によって行わせることにより、光軸上のみならず光軸外においても適正な収差の補正を行うことができるという効果を奏する。
以下に本発明の実施形態を示す。なお、説明に用いる図中において、繰り返し用いられる同一の要素には同一の記号を付し、重複する説明は行わない。また、光束が入射してくる方向を前側、出射していく方向を後側とし、光源1としてレーザー発振器を用いたLSMを用いて説明する。
(第1の実施形態)
図1〜図6を用いて、本発明の第1実施形態に係る走査型光学顕微鏡を説明する。
本実施形態に係る走査型光学顕微鏡は、図1に示されるように、レーザ光源11と、該レーザ光源11から発せられた照明光に任意の波面変換を与える形状可変ミラー(波面変換素子)22と、該形状可変ミラー22から発せられた波面変換後の照明光を光軸に直行する方向に偏向して走査する光束走査手段(光走査手段)3と、該光束走査手段3によって偏向された光束を試料に集光する対物レンズ4と、該試料から発せられた信号光を検出する検出器53とを備えている。
図中、符号12は、レーザ光源11から発せられた照明光を平面波に変換するコリメータレンズ、符号51はダイクロイックミラー、符号71,72,73は、それぞれ第1〜第3のリレー光学系、符号74は結像レンズ、符号52は集光レンズ、符号61はコントローラをそれぞれ示している。
図1において、光源としてのレーザー光源11から発せられた照明光は、コリメータレンズ12によって平面波に変換され、ダイクロイックミラー51を透過した後に、形状可変ミラー22に入射させられる。形状可変ミラー22は、反射面の形状を電気的制御によって制御可能なミラーである。照明光は、この形状可変ミラー22において、後述する所定の波面変換が行われた後に第1のリレー光学系71に入射させられる。第1のリレー光学系は、その前側焦平面が形状可変ミラー22とほぼ一致するように配置されている。第1のリレー光学系71を透過した光束は、次に第2のリレー光学系72を透過し、その後側焦平面に配置されている光束走査手段3に入射する。ここで、第1のリレー光学系71と第2のリレー光学系72とは、第1のリレー光学系71の後側焦平面と第2のリレー光学系72の前側焦平面とがほぼ一致するように配置されている。このため、光束走査手段3と形状可変ミラー22とは共役な面となる。
光束走査手段3はx,yの2つの軸回りに回転可能なジンバルミラーからなる。このジンバルミラーによって、入射光束の向きを適切に変更することで、試料面に入射する光束をx,y方向に走査できるようになっている。
光束走査手段3で特定の角度に反射された光束は、第3のリレー光学系73に入射させられる。その後、結像レンズ74に入射させられ、最後に対物レンズ4を透過させられることで、試料に照明光であるレーザ光束が集光させられる。ここで、光束走査手段3、第3のリレー光学系73、結像レンズ74、対物レンズ4と試料はテレセントリックな光学系で形成され、それぞれの前側焦平面と後側焦平面がほぼ同一となるようになっている。
試料が蛍光色素で染色されている場合、レーザ光束が集光した試料からは蛍光が発せられる。また、レーザ光束の反射光も生じる。これらの光は照明光束が通ってきた光路と同じ光路を逆向きに進む。すなわち、試料から、対物レンズ4、結像レンズ74、第3のリレー光学系73、光束走査手段3、第2のリレー光学系72、第1のリレー光学系71と通過し、形状可変ミラー22で反射される。
形状可変ミラー22で反射された光束は、ダイクロイックミラー51において、検出すべき特定の波長の蛍光のみが反射され、集光レンズ52に入射させられる。集光レンズ52の後側焦平面には検出器53が配置されているので、検出器53には目的とする波長の反射光束が検出されるようになっている。
本実施形態で用いた第1のリレー光学系71、第2のリレー光学系72、第3のリレー光学系73および結像レンズ74、対物レンズ4のスペックは以下の通りである。また、それらの光学系を図2に示す。特に、対物レンズ4については図3に示す。
(第1実施形態における光学系のデータ)
r1=∞ (ミラー) d1=50
r2=-25.631 d2=10 nd1=1.4874 ν1=70.2
r3=-164.105 d3=10 nd2=1.8061 ν2=40.95
r4=-659.797 d4=40
r5=∞(中間像) d5=40
r6=659.7975 d6=10 nd3=1.8061 ν3=40.95
r7=164.1045 d7=10 nd4=1.4874 ν4=70.2
r8=25.63101 d8=50
r9=∞ (ミラー) d9=37.3651
r10=1212.995 d10=5 nd5=1.8051 ν5=25.44
r11=57.36292 d11=15.1608 nd6=1.6584 ν6=50.86
r12=-61.0926 d12=0.4
r13=62.28262 d13=12.26901 nd7=1.7352 ν7=41.08
r14=-553.53 d14=7.822072
r15=106.5274 d15=8 nd8=1.8051 ν8=25.44
r16=32.42464 d16=5.825666
r17=41.53822 d17=12.35056 nd9=1.6031 ν9= 60.7
r18=502.3809 d18=16.76495r19=∞ (中間像) d19=157.1352
r20=-40.6619 d20=3.0298 nd10=1.6445 ν10=40.82
r21=50.71 d21=6.0238 nd11=1.834 ν11=37.16
r22=-84.3099 d22=0.6973
r23=102.8477 d23=3.4742 nd12=1.8061 ν12=40.95
r24=37.5679 d24=7.7321 nd13=1.4874 ν13=70.2
r25=-68.7541 d25=192.2649
r26=∞ (仮想面) d26=25.8253
r27=6.2506 d27=2.5 nd14=1.58144 ν14=40.75
r28=-52.3711 d28=4.4943 nd15=1.50378 ν15=66.81
r29=2.88 d29=1.6475
r30=-3.2217 d30=4.5641 nd16=1.52944 ν16=51.72
r31=4.0244 d31=4 nd17=1.497 ν17=81.1
r32=-10.2367 d32=0.9834
r33=-29.9783 d33=1 nd18=1.59551 ν18=39.29
r34=7.0332 d34=5.2 nd19=1.43875 ν19=94.97
r35=-4.9117 d35=1.6666 nd20=1.7865 ν20=50
r36=-11.7215 d36=0.4583
r37=55.5525 d37=3.55 nd21=1.56907 ν21=71.3
r38=-11.7026 d38=0.15
r39=15.047 d39=3.8257 nd22=1.43875 ν22=94.97
r40=-38.5186 d40=1 nd23=1.7865 ν23=50
r41=8.3387 d41=4.5 nd24=1.497 ν24=81.1
r42=-14.0213 d42=0.25
r43=8.8777 d43=2.3 nd25=1.56907 ν25=71.3
r44=22.9988 d44=0.2
r45=4.8697 d45=2.8313 nd26=1.7865 ν26=50
r46=4.7504 d46=1.6786 nd27=1.51633 ν27=64.15
r47=∞ d47=2.00275 nd29=1.33304 ν29=55.79
r48=∞ (物体面)
また、本実施形態において波面変換素子として採用している形状可変ミラー22は、光学系のデータにおいてr1で示されているミラーである。この形状可変ミラー22の反射面の形状Z(x,y)は、次の数1に示すような自由曲面として表される。
Figure 0004694538
次に、形状可変ミラー22の動作方法について具体的に説明する。光源11から発せられたレーザ光の波長を488nmとし、焦点位置を基準位置からΔZだけ移動させ、その位置において形状可変ミラー22の形状を最適にした場合を考える。そして、この状態において、焦点位置(集光位置)に形成された光スポットが持つ収差量を、指標としてStrehl比を用いて示すことにする。図4〜図6では、Strehl比を、物体高との関係で示している。ここで、ΔZの符号は、基準位置より対物レンズに近づく方向をマイナス、遠ざかる方向をプラスにとっている。ここで、基準位置とは対物レンズの設計時における物体側焦点位置である。また、形状可変ミラーの最適な形状を図7〜図9に示す。図7〜図9において、レーザ光束はz,y平面内でz軸に対して−45度の方向から入射するものとする。
図4は、ΔZ=0μm(基準位置)において、物体高が0mmの位置で波面収差が最小となるように形状可変ミラー22を最適化した場合のStrehl比(波面収差変化)を示している。この図によれば、−0.075mm〜0.075mmの範囲(物体高)において、Strehl比が85%以上である。よって、この範囲では良好な画像を取得できることが確認できる。
一方、ΔZ=−10μmの位置におけるStrehl比について、図5に示す。ここで、物体高が0mmの位置で波面収差が最小となるように形状可変ミラー22の面形状を最適化する(第1設定状態)と、物体高の絶対値が大きくなるにつれてStrehl比の低下が生じる。この場合、Strehl比が85%以上の範囲は、−0.065mm〜0.065mmの範囲であり、ΔZ=0μmの場合より狭くなる。そのため、このような面形状のままだと、ΔZ=−10μmの位置において、ΔZ=0μmのときと同じ範囲(物体高)で良好な画像を獲得することができない。
そこで、物体光が0mm以外の位置で、形状可変ミラー22の面形状を変化させることにする。例えば、物体高が0.07mmの位置において波面収差が最小になるように形状可変ミラー22の面形状の最適化を行う(第2設定状態)と、Strehl比が85%以上の領域は、0.08〜0.01mmの範囲となる。
一方、物体高が−0.07mmの位置において波面収差が最小となるように形状可変ミラー22の面形状の最適化を行う(第3設定状態)と、Strehl比が85%以上の領域は−0.08〜−0.01mmの範囲となる。
したがって、ΔZ=−10μmの場合には、形状可変ミラー22の面形状を−0.08mm〜−0.02mmの範囲では第3設定状態、−0.02mm〜0.02mmの範囲では第1設定状態、0.02mm〜0.08mmの範囲では第2設定状態にすればよい。このように、各範囲に対して形状可変ミラー22の面形状を最適化する動作を各1回、合計3回行えばよい。このようにすることで、物体高として−0.08mm〜0.08mmの範囲について良好な(収差の少ない)画像を獲得することができる。上記範囲は、ΔZ=0μmのときよりも広いので、ΔZ=0μmのときと同じ物体高(範囲)で良好な画像を獲得することができる。
さらに、ΔZ=−25μmの位置におけるStrehl比について、図6に示す。ここで、物体高が0mmの位置で波面収差が最小となるように形状可変ミラー22の面形状を最適化する(第1設定状態)と、物体高の絶対値が大きくなるに従ってStrehl比の低下が生じる。この場合、Strehl比が85%以上の範囲は、−0.045mm〜0.045mmの範囲であり、ΔZ=0μmの場合より狭くなる。そのため、このような面形状のままだと、ΔZ=−25μmの位置において、ΔZ=0μmのときと同じ範囲(物体高)で良好な画像を獲得することができない。
そこで、物体光が0mm以外の位置で、形状可変ミラー22の面形状を変化させることにする。例えば、物体高が0.07mmの位置において波面収差が最小になるように形状可変ミラー22の面形状の最適化を行う(第2設定状態)と、Strehl比が85%以上の領域は、0.045mm〜0.08mmの範囲となる。一方、物体高が−0.07mmの位置において波面収差が最小となるように形状可変ミラー22の面形状の最適化を行う(第3設定状態)と、Strehl比が85%以上の領域は−0.08mm〜−0.045mmの範囲となる。
したがって、ΔZ=−25μmの場合には、形状可変ミラー22の面形状を−0.08mm〜−0.045mmの範囲では第3設定状態、−0.045mm〜0.045mmの範囲では第1設定状態、0.045mm〜0.08mmの範囲では第2設定状態にすればよい。このように、各範囲に対して形状可変ミラー22の面形状を最適化する動作を各1回、合計3回行えばよい。このようにすることで、物体高として−0.08mm〜0.08mmの範囲について良好な(収差の少ない)画像を獲得することができる。上記範囲は、ΔZ=0μmのときよりも広いので、ΔZ=0μmのときと同じ物体高(範囲)で良好な画像を獲得することができる。
本実施形態に係る走査型光学顕微鏡で用いた形状可変ミラー22の自由曲面のパラメータを表1〜表3に示す。
Figure 0004694538
Figure 0004694538
Figure 0004694538
さらに、本実施形態において、第1のリレー光学系71を構成するレンズの少なくとも1つを光軸方向に沿って移動させる等のズーム機構を設けると、デフォーカス成分を減少させることが可能となる。その結果、形状可変ミラー22と組み合わせることによって、収差がより補正された画像を獲得することが可能となる。
また、本実施形態で用いた形状可変ミラー22は、図7〜図9に示すように、ミラーの中心部が固定され、周辺部が変形するタイプの形状可変ミラーである。
しかしながら、後述するように、ミラーの周辺部が固定され、中心部が変形するタイプの形状可変ミラーも用いることができる。周辺が固定された形状可変ミラーの場合でも、補正する収差量は中心固定のものと同様であるので、当然、最適な表面の形状は図7〜図9に示した形状と近いものとなる。
本実施形態のように形状可変ミラー22に対して斜めに光束を入射させる場合、光線が反射する方向(図中のy方向)における変位量は、ミラーの中心から一端に向かう方向(第1方向)と、中心から他端に向かう方向(第2方向)とで異なる。なお、第1方向と第2方向は正反対の方向である。例えば、ΔZ=−25μm(図9)において物体高0mmで最適化した場合、形状可変ミラー22の変位量は、y=−1.2mmの位置において0.00757mmである。また、y=1.2mmの位置における形状可変ミラー22の変位量は、0.00796mmとなる。このことから、y軸方向に沿って形状可変ミラー22の変位量が異なることが判る。
前述のように、周辺固定タイプの形状可変ミラー22の場合には、周辺ではミラーの形状が変化しない。そのため、上述のように第1方向と第2方向とで変位量が異なる場合には、各々の方向でのy方向の変位する領域が異なるようにミラーの形状を作成しておけば、形状可変ミラー22のz方向の変位量も少なくてすむ。一例として、図10に、ΔZ=−25μmの場合に、周辺固定タイプの形状可変ミラー22を用いた場合を示す。この例では、ミラーの変化領域が、x方向に−1.2mm〜1.2mm、y方向に−1.6mm〜1.6mmの範囲である場合と、x方向に−1.2mm〜1.2mm、y方向に−1.6mm〜1.5mmの範囲である場合の2つの場合についての形状可変ミラー22の形状を示す。
また、その場合のStrehl比と物体高との関係を図11に示す。なお、曲面形状の係数は表4に示す通りである。
Figure 0004694538
図10の(b),(c)により、y方向の変化領域の両端の絶対値が異なるように設定することで、形状可変ミラー22の変位量を小さくすることが可能となることが判る。一方、性能に関しては物体高が大きい領域での劣化が見られるが、形状可変ミラー22の変位量が小さい分、製造も容易であり、またその制御も容易になる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る走査型光学顕微鏡について、図12〜図18を参照して以下に説明する。本実施形態に係る走査型光学顕微鏡は、図12に示されるように、第1実施形態に係る走査型光学顕微鏡と比較して、第1のリレー光学系71および第2のリレー光学系72の代わりに、第1および第2のミラー光学系75,76を用いている点において相違している。このように構成することで、構成要素を簡潔にし、なおかつ第1のリレー光学系71と第2のリレー光学系72を用いることにより生じていた色収差をなくすことができる。
したがって、第3のリレー光学系73および結像レンズ74、対物レンズ4のスペックは第1実施形態と同じである。第1および第2のミラー光学系75,76のスペックを表5に示す。
Figure 0004694538
第1実施形態と同様に、光源としてのレーザー光源11から発せられた照明光はコリメータレンズ12によって平面波に変換され、形状可変ミラー22に入射させられる。その反射面においては、後述する所定の波面変換が行われる。波面変換が行われた光束は、次にその前側焦平面が形状可変ミラー22にほぼ一致する位置に配置された第1のミラー光学系75に入射させられる。
第1のミラー光学系75において反射された光束は、次に第2のミラー光学系76において反射され、その後側焦平面に配置された光束走査手段3に入射させられる。ここで、第1のリレー光学系75の後側焦平面と第2のリレー光学径76の前側焦平面とがほぼ一致するように配置されている。したがって、光束走査手段3と形状可変ミラー22とは共役な位置関係となっている。
この後の光束走査手段3以降については第1実施形態と同様の作用となる。なお、本実施形態では基準となるStrehl比として第1実施形態ほど高性能ではないが、顕微鏡として性能を満足する80%に設定している。
本実施形態に係る走査型光学顕微鏡において、使用波長を488nmとし、第1実施形態と同様に焦平面を変化させた場合の、波面収差と物体高との関係について図13〜図15に示す。図13は、ΔZ=0μmの場合であり、この場合には軸上で波面収差が少なくなるように形状可変ミラー22を変形すると、物体高として−0.07mm〜0.07mmの範囲でStrehl比が80%以上であることが判り、この範囲内では良好な画像を獲得することができる。
一方、図14に示すようにΔZ=−10μmの位置で、軸上の波面収差が最小となるように形状可変ミラー22の調整を行うと、Strehl比が80%以上となる範囲は、物体高−0.06〜0.06mmの範囲となり、精度良く観察可能な範囲が狭められる。そこで、物体高−0.07mmにおいて波面収差が最小となるように形状可変ミラー22の形状を補正すると、Strehl比が85%以上の有効な範囲は、−0.08mm〜−0.02mm程度までとなる。同様に物体高0.07mmの位置において波面収差が最小となるように形状可変ミラー22の面形状を補正すると、物体高0.02mm〜0.08mmの範囲が、Strehl比85%以上の有効な領域となる。したがって、形状可変ミラー22の形状を3回変化させることで、−0.08〜0.08mmの全域にわたって、Strehl比が80%以上の良好な画像を獲得することができる。
さらに、ΔZ=−25μmの位置に対しては、図15に示すように、軸上で波面収差が最適となるよう形状可変ミラー22の形状の補正を行うと、Strehl比が80%以上を満足する物体高の範囲は−0.05mm〜0.05mmの範囲と狭くなる。しかし、物体高が−0.07mmの位置で波面収差が最適となるように形状可変ミラー22を最適化すると、−0.08mm〜−0.04mmの領域がStrehl比が80%以上となり、同様に物体高が0.07mmの位置で波面収差が最適となるように形状可変ミラー22を最適化すると、0.04mm〜0.08mmの領域でStrehl比が80%以上となる。したがって、−0.08mm〜0.08mmの範囲を走査する際に形状可変ミラー22の形状を3回以上変形することで、全領域にわたってStrehl比が85%以上の良好な画像を獲得することができる。また、本実施形態での形状可変ミラー22の形状を図16〜図18に、その場合の形状可変ミラー22の形状を表す数1の係数をそれぞれ表6〜表8に示す。
Figure 0004694538
Figure 0004694538
Figure 0004694538
図19に本実施形態の変形例について示す。図19の変形例は、第2実施形態と比較すると、第2のミラー光学系76の代わりに第2の波面変換素子としての形状可変ミラー23を用いている点において異なる。このように形状可変ミラー22,23を2枚用いると制御が煩雑になる可能性があるが、収差補正能力を大きく向上させることが可能となる。さらに、開口絞り81を第1のミラー光学系75と形状可変ミラー23との間に配置することで、NAは小さくなるものの、収差の大きな軸外光をカットできる。したがって、形状可変ミラー22の制御を容易にすることも可能となる。
なお、上記実施形態では、波面変換素子として、電気的な信号でその反射面の形状を制御可能な形状可変ミラー22,23を例に挙げて説明したが、その他の液晶やフォトリフラクティブ結晶等の位相変調可能な素子も適用可能であることは明らかである。
この発明の第1の実施形態に係る走査型光学顕微鏡を示す模式図である。 図1の走査型光学顕微鏡の一部の光学系を示す光路図である。 図1の走査型光学顕微鏡の対物レンズを示す光路図である。 ΔZ=0μmとして、形状可変ミラーを最適化した場合のStrehl比の変化を示す図である。 ΔZ=−10μmとして、形状可変ミラーを最適化した場合のStrehl比の変化を示す図である。 ΔZ=−25μmとして、形状可変ミラーを最適化した場合のStrehl比の変化を示す図である。 ΔZ=0μmの場合の中心固定した形状可変ミラーの形状を示す(a)斜視図、(b)x方向断面図および(c)y方向断面図である。 ΔZ=−10μmの場合の中心固定した形状可変ミラーの形状を示す(a)斜視図、(b)x方向断面図および(c)y方向断面図である。 ΔZ=−25μmの場合の中心固定した形状可変ミラーの形状を示す(a)斜視図、(b)x方向断面図および(c)y方向断面図である。 周辺固定した形状可変ミラーの形状を示す(a)斜視図、(b)x方向断面図および(c)y方向断面図である。 図10の形状可変ミラーにおける物体高とStrehl比との関係を示す図である。 この発明の第2の実施形態に係る走査型光学顕微鏡を示す模式図である。 ΔZ=0μmとして、形状可変ミラーを最適化した場合のStrehl比の変化を示す図である。 ΔZ=−10μmとして、形状可変ミラーを最適化した場合のStrehl比の変化を示す図である。 ΔZ=−25μmとして、形状可変ミラーを最適化した場合のStrehl比の変化を示す図である。 ΔZ=0μmの場合の中心固定した形状可変ミラーの形状を示す(a)斜視図、(b)x方向断面図および(c)y方向断面図である。 ΔZ=−10μmの場合の中心固定した形状可変ミラーの形状を示す(a)斜視図、(b)x方向断面図および(c)y方向断面図である。 ΔZ=−25μmの場合の中心固定した形状可変ミラーの形状を示す(a)斜視図、(b)x方向断面図および(c)y方向断面図である。 図12の走査型光学顕微鏡の変形例を示す模式図である。 従来の走査型光学顕微鏡の構成を示す模式図である。 図20の走査型光学顕微鏡の制御構成を示す図である。
符号の説明
3 光束走査手段(光走査手段) 4 対物レンズ 11 レーザ光源(光源) 22 形状可変ミラー(波面変換素子) 23 形状可変ミラー(第2の波面変換素子) 53 検出器 71,72,73,75,76 リレー光学系(伝送光学系) 81 開口絞り

Claims (2)

  1. 光源と、形状を制御可能であって前記光源から発せられた照明光を反射する反射面を有し、前記照明光に波面変換を与える波面変換素子と、該波面変換素子から発せられた前記波面変換後の光束を走査する光走査手段と、該光走査手段によって偏向した光束を集光して光スポットを形成する対物レンズと、試料から発せられた信号光を検出する検出器とを備え、前記波面変換素子によって前記波面変換を行なうことで、前記光スポットを前記対物レンズの光軸方向に沿って移動させる走査型光学顕微鏡において、
    前記対物レンズの光軸からの前記試料のずれを所定の方向を基準として表した前記試料の物体高を、前記対物レンズの設計時における物体側焦点位置である基準位置に対して前記光軸方向の所定の位置において、0より大きく0.07以下の値であるhに対して、−h、0、h(mm)としたときの各物体高における波面収差が最小となるように前記反射面の形状をそれぞれ最適化し、
    前記物体高が、−hからhまでの物体高参照値であるときの前記試料の画像を得るときには、前記反射面の形状を、前記物体高に対して最適されたいずれかの前記反射面の形状であって前記物体高参照値に対するStrehl比が所定の値以上となる形状にすることを特徴とする走査型光学顕微鏡。
  2. 前記物体高が−hからhまでの範囲において、Strehl比が80%以上である画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の走査型光学顕微鏡。
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