JP4068870B2 - トルクリミッタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、装置に一定範囲のトルクを伝達するトルクリミッタにおいて、該トルクリミッタが作動を開始するタイミングの精度(以下「作動精度」とする)を高め、装置への過負荷軽減等を図る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、コンバインでは、刈取部の前部に、穀稈を分草する分草板や、穀稈を起立させて後方の掻込装置や各搬送装置に送り込む引起し装置が配設され、該引起し装置は、外周上に一定間隔で複数のタインを設けたチェーンと、該チェーンを覆う引起ケース等から構成される。そして、左右方向に列設した引起ケースからは、タインが対向して突出され、穀稈を取り入れ、引き起こす、引起し作用面が形成されており、該引起し作用面において、エンジンから引起し駆動軸を介して伝達される動力によりチェーンが回転駆動され、該チェーン上のタインが上昇する構成となっている。しかし、作物が倒伏し、コンバインの走行速度が速すぎる場合や木片等固いものを巻き込んだ場合等には、引起し装置に過大な負荷がかかり、引起し作用面で詰まりが発生したり回転が停止し、甚だしい場合には、タインの折損やチェーンの破断等が発生する、という問題があった。そこで、エンジンから刈取部へ動力を伝達する刈取入力軸に連結された回動ギアケース等に、爪式トルクリミッタやピンなどの動力断接装置を設け、過負荷時には動力を遮断できるようにしている。なお、この爪式トルクリミッタは、爪状の係合体間に付勢バネなどで加圧して滑り摩擦抵抗を付与しておき、所定のトルクが作用すると、この滑り摩擦抵抗にうち勝って係合体間が摺動して動力が遮断されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、該動力断接装置に前記爪式トルクリミッタを用いると、係合体間が摺動する際の騒音が大きく、加えて、低速・高荷重の負荷が作用すると、係合体間に介在する潤滑油の油膜が損なわれ易いため、静摩擦と動摩擦が間欠的に作用して前記滑り摩擦抵抗が不安定となり、作動精度が悪い、という問題があった。さらに、作業効率改善の観点から、このようなトルクリミッタなどの動力断接装置が作動する前に、事前に引起し装置への過負荷を検知することにより、タインの折損やチェーンの破断等の引起し装置の破損だけでなく、引起し作用面での詰まりの発生や回転駆動の停止による作業中断をも未然に防止可能な技術が、強く求められている。また、前記動力断接装置は、刈取部への動力入力部の入口近傍に配置されており、刈取部の動力伝達経路の最下手側にある引起し装置からは最も遠い位置にあるため、引起し装置にかかる負荷は、動力伝達経路途中の多数の分岐位置などで増減されて動力断接装置まで正確に伝わらない。そのため、該動力断接装置による動力遮断時が、引起し装置に破損等の起こる実際の過負荷時と一致せず、作動精度が一層悪化する、という問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
装置に一定範囲のトルクを伝達するトルクリミッタ(3)において、前記装置を駆動する駆動軸又は入力軸の軸芯を中心に回転する駆動体であるアウターディスク(121)と、該アウターディスク(121)の回転軌道に沿って配設された複数のローラ(123)と、該ローラ(123)を挟んで前記アウターディスク(121)に軸方向に対向する従動体であるインナーディスク(120)と、前記ローラ(123)を一定間隔で転動自在に保持する保持体であるケージ(122)とを備えると共に、該ローラ(123)の転動軸(133)を、前記アウターディスク(121)の回転軸芯を含む平面に対して傾斜させて構成し、前記アウターディスク(121)とインナーディスク(120)との間の圧力を外部より調整する作動圧調整機構を設け、前記トルクリミッタ(3)は、潤滑油が循環可能な油路を形成して強制潤滑可能な構造とし、該強制潤滑可能構造は、アウターケース(124)内側に、内油溜まり(152)を形成し、アウターケース(124)外側に、外油溜まり(153)を形成し、前記アウターケース(124)に複数の油孔(124a)を開口し、前記内外の油溜まり(152・153)間を連通すると共に、前記駆動軸又は入力軸に、軸芯方向の途中から半径方向に屈曲された油路(151)を穿孔し、前記インナーディスク(120)の内周縁に切り込みを入れて油路(120a・120a)を形成し、前記内油溜まり(152)内を軸心方向に連通して、潤滑油が内油溜まり(152)内を自由に流れるように構成し、該トルクリミッタ(3)が回転すると、遠心力や、前記アウターディスク(121)とケージ(122)とインナーディスク(120)からなる積層部(127)内での加圧力等によって、潤滑油が前記アウターケース(124)の複数の油孔(124a)、前記駆動軸又は入力軸の油路(151)、前記インナーディスク(120)の油路(120a)を介して流動し、トルクリミッタ(3)を強制的に潤滑する構成としたものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
図1はコンバインの全体左側面図、図2は同じく平面図、図3は同じく右側面図、図4は同じく正面図、図5はエンジンから刈取部各部への動力伝達構成を示すスケルトン図、図6は刈取部の側面図、図7は引起し縦フレームの側面一部断面図、図8は同じく下部の側面一部断面図、図9は第2トルククラッチの側面一部断面図、図10は引起し変速装置の側面一部断面図、図11は第1トルククラッチの側面一部断面図、図12は引起し縦フレーム上部の側面一部断面図、図13はアウターケースの側面断面図、図14は同じく平面図、図15は押さえプレートの側面断面図、図16はアウターディスクの側面断面図、図17はケージの側面断面図、図18は同じく平面図、図19はインナーディスクの側面断面図、図20は同じく平面図、図21は積層部の分解斜視図、図22は過負荷防止機構の制御ブロック図、図23は同じくフローチャートである。
【0006】
初めに、本発明に係わるコンバインの全体構成について、図1乃至図4により説明する。なお、本実施例では、本発明を、コンバインの刈取部、及び該刈取部に搭載したトルクリミッタによって説明しているが、本発明の適用範囲は、トラクタ、田植機、除雪機、運搬機、野菜収穫機などのいわゆる農業機械・道路機械等や、それに搭載したトルクリミッタであってもよく、作動精度が問題となる装置への適用であれば、特に、限定されるものではない。コンバインは、左右のクローラ式走行装置18L・18Rにより走行可能とし、19L・19Rは、トラックフレーム1に架設する左右の機体フレーム、20は、フィードチェーン23等を左側に張架して扱胴21及び処理胴を内蔵する脱穀部、71は、該脱穀部20の下方に位置し、脱穀された穀粒を選別する選別装置、29は、該選別装置71により選別された穀粒を揚穀筒30を介して搬入する穀粒タンク、17は、該穀粒タンク29の穀粒を機外に搬出する排出オーガであり、27は、排藁チェーン28の終端を臨ませる排藁処理部である。
【0007】
そして、22は、刈刃24や引起し装置31等を備える刈取部、34は、該刈取部22後方で、丸型の操向ハンドル32や運転席33を配置したキャビン、70は、該キャビン34側方の左機体フレーム19L前部上で、前記刈取部22を上下又は左右に回動自在に支持する回動支持部、25は、該回動支持部70上の刈取部22を、刈取フレーム26を介して昇降させる油圧シリンダである。
【0008】
前記キャビン34の下方で前記右機体フレーム19Rの前部には、エンジン35、該エンジン35冷却用のラジエータ102などからなる空冷装置2、及びミッションケース36が配置され、エンジン35からの動力により、クローラ式走行装置18L・18Rを駆動して走行すると共に、穀稈をコンバインの前方から連続的に刈取って脱穀するように構成している。
【0009】
次に、エンジン35から刈取部22の入力部までの動力伝達構成について、図5、図6により説明する。エンジン35には、図示せぬピストンの往復運動を回転運動に換えるクランク軸51が機体前後方向に延設され、該クランク軸51前端は、自在継手付きドライブシャフト63を介して、ミッションケース36上部に付設された入力ケース79に連結されている。
【0010】
該入力ケース79の左側面には、静油圧式無段変速装置(以下「HST」とする)を収納するHSTケース118が設けられ、該HSTケース118内には、前方から順に旋回用HST38、直進用HST37が配設され、該直進用HST37からは、直進用HST37の出力軸である直進モータ軸114に連結した直進駆動軸81が左側方に突設されており、エンジン35からの回転力を、直進用HST37内で正逆の回転方向と回転数増減の制御を行った後、ミッションケース36内に伝達する一方、直進駆動軸81からも走行速度に比例した駆動力を出力するようにしている。
【0011】
そして、前記エンジン35の左側方には、各処理系へ適正速度を分配可能なカウンターケース64が配設され、該カウンターケース64からは、複数の入力軸75・76や出力軸91・92・93・94が突設されている。このうちの車速同調入力軸75には、ベルト65を介して前記直進駆動軸81が連結されており、直進用HST37からの走行回転をカウンターケース64内に入力するようにしている。
【0012】
該カウンターケース64内においては、車速同調入力軸75は、ワンウェイクラッチ61、刈取変速装置62及び複数のギアを介して前記刈取出力軸92に連結され、更に、該刈取出力軸92は、前記回動支点部70に設けた中間伝達機構77を介して刈取入力軸72に連結連動されている。
【0013】
該中間伝達機構77においては、回動支持部70が、前記機体フレーム19等からなる構成フレーム上に立設された側面視台形の左右の支持台154・155と、該両支持台154・155上部間に左右方向に橋架された支持体156とから構成されており、該支持体156の左部には、前記刈取フレーム26の後左端を嵌装支持するための支持孔156aが開口され、該支持孔156aを中心に、刈取部22を機体左方に回動してサイドオープンできるようにしている。
【0014】
該支持孔156aには回動体158が水平回動可能に枢支され、該回動体158には、入力軸101の右部が上下回動可能に軸支されると共に、該入力軸101右部上には中間ギア107が固設されている。一方、入力軸101の左端には、刈取入力プーリ104が固設され、該刈取入力プーリ104は、前記刈取出力軸92上の出力プーリ96とベルト106により連結連動され、該ベルト106の途中部には、テンションプーリ103が配置されると共に、該テンションプーリ103は、牽引バネ105によって前斜め下方に向かって常時付勢されており、刈取部22を左方にサイドオープンした場合でもベルト106が弛まないようにしている。
【0015】
そして、前記中間ギア107には刈取入力ギア108が噛合され、該刈取入力ギア108には前記刈取入力軸72の左端が連結され、該刈取入力軸72を介して、前記直進用HST37から伝達されてきた車速同調回転を刈取部22に入力できるようにしている。
【0016】
次に、刈取部22の構造、及び該刈取部22内における動力伝達構成について、図1、図5、図6により説明する。前記回動体158から右方には、刈取入力軸72を内部に軸支する筒状の第1刈取フレーム39が延設され、該第1刈取フレーム39の右側より前下方には、筒状の第2刈取フレーム40が延設され、該第2刈取フレーム40の下端は、左右横方向に伸延する筒状の第3刈取フレーム41の途中部に連結されている。
【0017】
そして、該第3刈取フレーム41の左側端部より前上方へ向けては、筒状の引起し縦フレーム42を立ち上げるとともに、該第3刈取フレーム41の右側端部より前上方へ向けて、図示せぬ支持フレームを立ち上げ、両フレームの上端間には引起し横フレーム43を横架している。該引起し横フレーム43の左右途中部より後方には、水平フレーム44を突設し、該水平フレーム44下面途中部より図示せぬフレームを前記第2刈取フレーム40の途中部に固設している。更に、前記第3刈取フレーム41の左右側部からは、それぞれ前方へ向けて左右一対の下側連結フレーム45・45を延設している。
【0018】
このような複数のフレームから成る刈取フレーム26の前部には、穀稈を起立させる引起し装置31や、穀稈を分草する分草板46が配設され、このうちの引起し装置31は、複数の引起タイン47を有する引起しケース48より構成されており、該引起しケース48の下部は、前記下側連結フレーム45の途中部より上方に立設した支持体49の上部に固設されている。そして、引起ケース48の引起タイン47は対向するようにして配置することにより、穀稈を取り入れて引き起こす作用面を設けて6条分を引き起こすようにしている。なお、下側連結フレーム45の前後途中部間には、刈刃装置50が支持フレーム52を介して固設されている。
【0019】
また、前記引起し装置31より後方には各搬送装置が配設されている。つまり、引起し装置31の引起ケース48の直後方には、引き起こされた穀稈の株元側を掻込むスターホイル53や掻込ベルト54から成る掻込装置55と、掻込んだ穀稈株元を切断する前記刈刃装置50とが設けられ、さらに、該刈刃装置50の上方には、前記掻込装置55により掻き込まれた穀稈の株元を後方に送る複数の下部搬送装置56が配置されている。該下部搬送装置56上方には、刈取穀稈の穂部を搬送する複数の上部搬送装置57や穂先搬送装置58が配置されている。
【0020】
そして、前記下部搬送装置56終端位置において、穀稈の株元側は、下部搬送装置56後方の縦搬送装置59に受け継がれると共に、穀稈の穂先側は、上部搬送装置57の後半部で挟持して搬送され、その後、縦搬送装置59の送り終端部の補助搬送チェーン60に受け継がれ、前記フィードチェーン23に適正姿勢で穀稈を受け継ぎ、穂先を後方の脱穀部20に供給して脱穀処理するようにしている。
【0021】
このような構造の刈取部22内において、各駆動部への動力は次のようにして伝達される。すなわち、前記第1刈取フレーム39内部に枢支された刈取入力軸72の右端部にはベベルギア87が固設され、該ベベルギア87はベベルギア88に噛合され、該ベベルギア88は、前記第2刈取フレーム40内に前後方向に枢支された刈取縦軸82の後端に固設されている。そして、該刈取縦軸82の前端は、ベベルギア89・90を介して、前記第3刈取フレーム41内の刈取横軸83に左右略中央で連結連動され、該刈取横軸83の左端は、前記引起し縦フレーム42に内装された引起し第1入力軸84の下端に、ベベルギア97・98及び第2トルクリミッタ4を介して連結連動されている。
【0022】
この引起し縦フレーム42内において、前記引起し第1入力軸84の上方には、引起し第1入力軸84に平行に引起し第2入力軸85が軸支され、該引起し第1入力軸84と引起し第2入力軸85との間は、引起し変速装置66を介して高速・中速・低速の3段変速可能に連結され、さらに、該引起し第2入力軸85の上部は、第1トルクリミッタ3及びベベルギア99・100を介して、前記引起し横フレーム43内で左右方向に軸支された引起し駆動軸86に連結連動されている。
【0023】
該引起し駆動軸86上には複数のベベルギア67が固設され、該ベベルギア67は複数のベベルギアを介して伝動軸69に連結され、該伝動軸69の前端にはスプロケット68が固設されており、該スプロケット68を駆動スプロケットとしてチェーンが巻回され、引起し駆動軸86からの動力により、チェーン外周に固設された前記引起タイン47が回転駆動するようにしている。一方、伝動軸69の後端は、前記穂先搬送装置58内で巻回されたチェーン74の駆動軸111に、連結パイプ109を介して連結されており、該チェーン74外周に固設されたタイン73も、前記引起タイン47と同時に回転駆動するようにしている。
【0024】
また、前記上部搬送装置57・縦搬送装置59の駆動軸は、連結パイプ110に内設された複数の伝達軸やベベルギアを介して前記刈取縦軸82に連結連動されて、さらに、前記下部搬送装置56、及び掻込装置55のスターホイル53や掻込ベルト54の駆動軸は、複数の伝達軸やベベルギアを介して伝達軸115の右端に連結され、該伝達軸115の左端は、ベベルギア116・117を介して前記引起し第1入力軸84の途中部に連結連動されている。
【0025】
次に、前記引起し装置31までの動力伝達経路内に設けた前記第1トルクリミッタ3に関し、その詳細な配置構成と構造について、図7、図10乃至図24により説明する。図7に示すように、第1トルクリミッタ3は、引起し縦フレーム42の上端部近傍に、つまり、引起し第2入力軸85から引起し駆動軸86への動力伝達位置にあたるベベルギア99・100の上手側から、前記引起し変速装置66までの間に配置されている。
【0026】
そして、図7、図11、図13乃至図21、図24に示すように、前記引起し第2入力軸85の駆動側にあたるアウター側軸85aの上部に、引起し縦フレーム42に軸支された回動体129の下部が外嵌して上下摺動可能にスプライン嵌合され、該回動体129の上端外側面には、筒状のアウターケース124の下端が外嵌固定されている。
【0027】
該アウターケース124の内には、ドーナツ盤状の複数のアウターディスク121・121・・・が、軸芯方向に摺動可能にスプライン嵌合されると共に、隣接するアウターディスク121間にはドーナツ盤状のインナーディスク120・120・・・が配置されており、該インナーディスク120は、引起し第2入力軸85の従動側にあたるインナー側軸85bの外周に、軸芯方向に摺動可能にスプライン嵌合されている。そして、該インナーディスク120と前記アウターディスク121との間には、多数のローラ123・123・・・が引起し第2入力軸85の軸芯を中心とした回転軌道に沿って配設されると共に、該ローラ123・123・・・は、ドーナツ盤状のケージ122に円周方向に開口された多数の孔122a内に転動自在に収容されている。なお、ゲージ122が前記インナーディスク120側やアウターディスク121側にずれて倒れ込んだり、ゲージ122自体の剛性が不足してトルクリミッタ作動中にゲージ122が変形したりするのを防ぐため、図18に示すように、ケージ122には、軸心方向に肉厚の外縁部122bを設けているが、この倒れ込み等が特に問題にならない場合には、図24に示すように、前記外縁部122bを省くようにしてもよい。この場合には、トルクリミッタ3内部の内油溜まり152内の潤滑油が回動に伴う遠心力によって半径方向に流動する際、外縁部122bによって邪魔されることがないため、潤滑油はトルクリミッタ3外部の外油溜まり153に更に円滑に流れ出し、後で詳述する強制潤滑による潤滑効率を一層高めることができるのである。
【0028】
これらアウターディスク121・ケージ122・インナーディスク120等から成る積層部127の一方には、インナー側軸85b上部にスプライン嵌合された前記ベベルギア99が配置される。積層部127の他方には、インナー側軸85bにスプライン嵌合された押えプレート125が配置されている。そして、該押えプレート125は、インナー側軸85bの鍔部132に外嵌固定された皿バネなどの弾性部材126によって付勢されており、前記積層部127が、ベベルギア99と押えプレート125との間で常時一定の圧力(以下「積層間圧」とする)で加圧された状態となっている。ここで、図18に示すように、前記ローラ123は、転動軸133が駆動体121の回転軸を含む平面134に対して角度θだけ傾斜するように配置されている。
【0029】
このような構成において、引起し第2入力軸85のアウター側軸85aを回転駆動させると、回動体129と一緒にアウターケース124が回動し、各ローラ123がアウターディスク121とインナーディスク120に接しながら転動し、これに追従してケージ123も回転する。その際、各ローラ123は、アウターディスク121の回転軌道に対して前記角度θだけ傾斜した方向135に転動しようとするのを、ケージ122で規制されながらアウターディスク121の回転軌道の方向136に沿って移動するため、前記積層間圧に比例した摩擦抵抗が発生し、しかも、各ローラ123は転動しながら滑り摩擦を発生させるので、静摩擦は発生せず、常に動摩擦による安定した摩擦抵抗力が得られるのである。
【0030】
これに、前記引起し装置31に過大な負荷がかかり、アウター側軸85aとインナー側軸85b間のトルク差が増加して、ローラ123による前記摩擦抵抗力を上回ると、アウターディスク121とインナーディスク120間が摺動するようになり、動力が遮断される。この際、第1トルクリミッタ3は、引起し装置31を駆動する引起し駆動軸86のすぐ上手位置にあたる引起し第2入力軸85上に配設されており、引起し装置31から第1トルクリミッタ3までの伝達経路長さを非常に短くすることができる。なお、第1トルクリミッタ3は、引起し駆動軸86の始端部近傍に配置しても良く、引起し装置31への負荷のかかり具合を正確に検出でき、負荷発生時には動力を迅速に遮断可能な位置であれば、引起し駆動軸86上でもかまわない。
【0031】
すなわち、機体前方に刈取部22を配置し、該刈取部22には、前から順に引起し装置31、掻込装置55、搬送装置56・57などを配設したコンバインにおいて、前記引起し装置31を駆動する引起し駆動軸86と引起し入力軸84・85との間にトルクリミッタ3を介設し、該トルクリミッタ3により、引起し装置31への動力のみを断接可能な構成としたので、引起し装置31からトルクリミッタ3までの経路長を短くすると共に分岐部を少なくして、該トルクリミッタ3が、引起し装置31への過負荷時を正確に検知することができ、トルクリミッタ3の作動精度を向上させることができるのである。
【0032】
さらに、図18、図21に示すように、前述の如く、トルクリミッタ3は、引起し駆動軸86又は引起し入力軸84・85の軸芯を中心に回転する駆動体であるアウターディスク121と、該アウターディスク121の回転軌道に沿って配設された複数のローラ123と、該ローラ123を挟んで前記アウターディスク121に軸方向に対向する従動体であるインナーディスク120と、前記ローラ123を一定間隔で転動自在に保持する保持体であるケージ122とを備えると共に、該ローラ123の転動軸133を前記アウターディスク121の回転軸を含む平面134に対して傾斜させて構成したので、駆動体であるアウターディスク121と従動体であるインナーディスク120との間には、ローラ123による安定した滑り摩擦が発生し、トルクリミッタ3の作動精度を更に向上させることができる。
【0033】
また、図11、図12に示すように、前記インナー側軸85b下部は、回動体129にブッシュ119を介して内挿支持されると共に、インナー側軸85b上部は、引起し縦フレーム42と引起し横フレーム43との間に介設された継手ケース137内に内挿され、該継手ケース137内に垂設されたガイドパイプ140により支持されている。そして、インナー側軸85b上端にはネジ部85cが突設され、該ネジ部85cは、前記継手ケース137上部に設けた作動圧調整ナット139に螺挿されており、該作動圧調整ナット139を回動することにより、インナー側軸85bを上下動できるようにしている。さらに、作動圧調整ナット139には、取付蓋138が上方から覆設されており、該取付蓋138は、ボルト140・141により前記継手ケース137上部に着脱可能に設けられており、これら取付蓋138、作動圧調整ナット139等から作動圧調整機構143が形成されている。
【0034】
このような構成において、取付蓋138を取り外して作動圧調整ナット139を回転して、インナー側軸85bを下降させると、前記鍔部132も下降し、アウターディスク121とインナーディスク120間の間隔が大きくなり、弾性部材126による積層間圧が低下する。そのため、該積層間圧に比例するローラ123による摩擦抵抗力も低下し、より小さなトルク差で、アウターディスク121とインナーディスク120が摺動して動力が遮断されるようになる。一方、作動圧調整ナット139を逆回転してインナー側軸85bを上昇させると、鍔部132も上昇してアウターディスク121とインナーディスク120間の間隔が小さくなり、弾性部材126による積層間圧が高くなる。そのため、より大きなトルク差で、初めてアウターディスク121とインナーディスク120が摺動して動力が遮断されるようになる。つまり、取付蓋138を取り外して作動圧調整ナット139でインナー側軸85bを昇降させることにより、積層間圧を変化させてトルクリミッタ3の作動圧を容易に調整できるようにしており、これにより、作物の倒伏状況や密度、走行速度、搬送状況などによって変化する引起し装置31への負荷に対し、トルクリミッタ3の作動感度を外部から容易に適正化することができる。
【0035】
すなわち、トルクリミッタ3の駆動体であるアウターディスク121と従動体であるインナーディスク120との間の圧力を外部より調整する作動圧調整機構143を設けるので、作業者は、トルクリミッタ3の作動圧を、引起し装置3への負荷状況に応じた適正な値に迅速に設定することができ、引起し作用面で詰まりや、タインの折損、チェーンの破断等を確実に防止することができるのである。
【0036】
また、図11、図22、図23に示すように、前記ベベルギア99の下端外周には検出用ギア99aが形成され、該検出用ギア99aの延長面上の引起し縦フレーム42には、磁電形などの回転数センサ144が取り付けられ、該回転数センサ144のセンサ部144aは、前記検出用ギア99aに対向して設けられており、従動側のインナー側軸85bの回転数を検出可能としている。一方、前記回動体129の下端外周にも検出用ギア129aが形成され、該検出用ギア129aの延長面上の引起し縦フレーム42にも、磁電形などの回転数センサ145が取り付けられ、該回転数センサ145のセンサ部145aは、前記検出用ギア129aに対向して設けられており、駆動側のアウター側軸85aの回転数を検出可能としている。
【0037】
そして、これら回転数センサ144・145は、いずれもコントローラ5に接続され、該コントローラ5は、前記キャビン34内に配置された警報ランプや警報アラームなどの警報装置148に接続されており、コントローラ5に入力された軸回転数信号に基づき、過負荷発生状態を作業者に報知するようにしている。更に、前記コントローラ5には、電動シフトモータ149を介して前記引起し変速装置66が接続されると共に、電動クラッチモータ150を介して前記刈取変速装置62が接続されており、前記コントローラ5に入力された軸回転数信号に基づき、引起し装置31だけへの入力や、刈取部22全体への入力を減速したり、中立位置にして動力を遮断できるようにして、過負荷防止機構157を形成している。
【0038】
このような構成においては、回転数センサ144・145による引起し過負荷防止処理159は次のようにして行う。つまり、前記回転数センサ145により検出した駆動側のアウター側軸85aの回転速度V1と、前記回転数センサ144により検出した従動側のインナー側軸85bの回転速度V2とを比較し(ステップ160)、該回転速度V2が前記回転速度V1よりも所定速度VL(以下「限界速度差」とする)以上小さくなった場合には、コントローラ5から警報信号が前記警報装置148に伝達され、警報装置148が作動する(ステップ161)。更に、図示せぬ自動制御スイッチを「ON」にしている場合には(ステップ162:Y)、前記コントローラ5から駆動信号が前記電動シフトモータ149や電動クラッチモータ150に伝達され、引起し変速装置66や刈取変速装置62を中立にして動力を遮断したり、減速を行い(ステップ163)、手動モードにしている場合には(ステップ162:N)、作業者が引起し装置31の状況から判断して、引起し変速装置66や刈取変速装置62などを操作するようにしている。なお、前記限界速度差を小さく設定すると軽度の詰まりでも過負荷防止機構157が作動し、大きく設定しすぎると過負荷防止機構157の作動開始が遅れ、タインの折損やチェーンの破断等が発生するため、適正な値に設定する必要がある。
【0039】
すなわち、トルクリミッタ3の駆動体であるアウターディスク121と、従動体であるインナーディスク120に、それぞれ回転速度を検出する回転数センサ144・145を設け、該回転数センサ144・145により検出されたインナーディスク120の回転速度V2が、アウターディスク121の回転速度V1よりも所定速度である限界速度差VL以上小さくなると警報を発するようにしたので、トルクリミッタ3などの動力断接装置が作動する前に、事前に引起し装置31への過負荷を検知することができ、タインの折損やチェーンの破断等の破損はもとより、引起し作用面での詰まりの発生や回転駆動の停止による作業中断をも未然に防止することができる。また、動力断接装置で誤動作が生じたような場合でも、引起し装置への過負荷を確実に防止することができるのである。
【0040】
また、図11に示すように、前記引起し第2入力軸のインナー側軸85bと、アウターケース124内側との間に、前記内油溜まり152が形成され、アウターケース124外側と引起し縦フレーム42内側との間に、前記外油溜まり153が形成され、さらに、アウターケース124下方の回動体129と、引起し縦フレーム42内側との間には、下油溜まり161が形成されている。そして、円筒状のアウターケース124に複数の油孔124aが半径方向に開口されており、前記内外の油溜まり152・153間を連通すると共に、インナー側軸85bには軸芯方向の途中から半径方向に屈曲された油路151が穿孔されており、前記内油溜まり152と下油溜まり161との間を連通している。更に、図20に示すように、ドーナツ盤状のインナーディスク120の内周縁には矩形状の切り込みを入れて油路120a・120aを形成し、前記内油溜まり152内を軸心方向に連通して、潤滑油が内油溜まり152内を自由に流れるようにしている。
【0041】
このような構成において、トルクリミッタ3を構成するアウターケース124、アウターディスク121、インナーディスク120、回動体129等が回動すると、潤滑油が、遠心力や前記積層部127内での加圧力等によって、前記油孔124a、油路151・120aを介して隙間なく流動し、トルクリミッタ3が強制的に潤滑されるのである。
【0042】
すなわち、トルクリミッタ3には、潤滑油が循環可能な油路120a・124a・151を形成して強制潤滑可能な構造とするので、摩擦面における潤滑油の油膜が損なわれることがなく、ローラ123による滑り摩擦が一層安定化し、トルクリミッタ3の作動精度を更に向上させることができる。また、トルクリミッタ3全体が油溜まり内に浸った状態にあるため、摩擦面での摺動に伴う騒音が一層小さくなり、装置周囲や作業等の環境改善を図ることができるのである。
【0043】
ここで、前記引起し変速装置66について説明する。図10に示すように、前記引起し第1入力軸84のアウター側軸84b上部には、上から順に大径ギア165、中径ギア166、小径ギア167が固設され、一方、前記アウター側軸84bに平行に、引起し第2入力軸85のアウター側軸85aが設けられ、該アウター側軸85aの上下端部には、内側面に噛合歯を固設した高速クラッチギア168と低速クラッチギア170が遊嵌され、このうちの高速クラッチギア168は前記大径ギア165に、低速クラッチギア170は前記小径ギア167に常時噛合されている。
【0044】
さらに、この高速クラッチギア168と低速クラッチギア170との間には、左右両側面に噛合歯を固設した爪式クラッチ169が、左右摺動可能にスプライン嵌合されると共に、該爪式クラッチ169には、シフトフォーク172が係合され、該シフトフォーク172は、フォーク軸171上を移動可能に外嵌され、変速操作レバー173などの操作手段に連結連動されている。
【0045】
このような構成において、変速操作レバー173を操作してシフトフォーク172により爪式クラッチ169を上方に摺動すると、該爪式クラッチ169と高速クラッチギア168の噛合歯が係合し、アウター側軸84b→大径ギア165→高速クラッチギア168→爪式クラッチ169→アウター側軸85aのようにして、高速駆動力が伝達される。同様にして、変速操作レバー173を操作し、爪式クラッチ169を下降して外周のギア部を中径ギア166に噛合すると、アウター側軸84b→中径ギア166→爪式クラッチ169→アウター側軸85aと中速駆動力が伝達され、更に、変速操作レバー173を操作し、爪式クラッチ169を下降して、該爪式クラッチ169の噛合歯を低速クラッチギア170の噛合歯に係合すると、アウター側軸84b→小径ギア167→低速クラッチギア170→爪式クラッチ169→アウター側軸85aのようにして、低速駆動力が伝達される。さらに、これら引起し3段変速に加え、爪式クラッチ169の噛合歯や外周のギア部のいずれも、ギア165・166・167の噛合歯やギア部と係合しない中立位置まで摺動することにより、動力を簡単に遮断することができる。
【0046】
次に、前記第1トルクリミッタ3とは別位置に配置した第2トルクリミッタ4について、図5、図7乃至図9、図22により説明する。この第2トルクリミッタ4は、引起し縦フレーム42の下端部近傍に配設され、詳しくは、前記刈取横軸83から引起し第1入力軸84への動力伝達位置にあたるベベルギア97・98の下手側から、前記下部搬送装置56・掻込装置55への動力分岐位置にあたるベベルギア116・117までの間に配置されている。
【0047】
そして、前記引起し第1入力軸84の従動側にあたるアウター側軸84bの下部に、引起し縦フレーム42に軸支された回動体174の上部が外嵌して上下摺動可能にスプライン嵌合され、該回動体174の下端外側面には、筒状のアウターケース175の下端が外嵌固定されている。
【0048】
該アウターケース175の内側にも、前記第1トルクリミッタ3と同様に、アウターディスク176・ローラ177・ケージ178・インナーディスク179から積層部180が形成され、該積層部180の下方には、インナー側軸84a下部にスプライン嵌合された前記ベベルギア98が配置される一方、積層部180の上方には、インナー側軸84a上部にスプライン嵌合された押えプレート181が配置されている。そして、該押えプレート181は、インナー側軸84a上部の鍔部182に外嵌固定された弾性部材183によって下方に付勢されており、前記積層部180が、ベベルギア98と押えプレート181との間で常時一定の積層間圧で加圧された状態となっている。
【0049】
このような構成において、引起し第1入力軸84のインナー側軸84aを回転駆動させると、ベベルギア98と一緒にインナーディスク179が回動し、各ローラ177がインナーディスク179とアウターディスク176に接しながら転動し、これに追従してケージ178も回転し、この時、傾斜して配置されたローラ177で発生する動摩擦により、前記第1トルクリミッタ3と同様に、安定した摩擦抵抗力が得られるようにしている。
【0050】
そして、アウター側軸84bとインナー側軸84a間のトルク差が増加し、該トルク差がローラ177による前記摩擦抵抗力を上回ると、アウターディスク176とインナーディスク179間が摺動し動力が遮断される。このトルク差を発生するアウター側軸84bへの抵抗力としては、前記引起し装置31にかかる過負荷以外に、第2トルクリミッタ4より下手側の伝達軸115を介して連結される下部搬送装置56や掻込装置55にかかる過負荷も含まれている。
【0051】
つまり、第2トルクリミッタ4は、引起し装置31を駆動する引起し駆動軸86より上手側で、しかも、下部搬送装置56や掻込装置55を駆動する伝達軸115のすぐ上手位置にあたる引起し第1入力軸84下部上に配設されており、引起し時だけでなく掻き込んで株元を把持して搬送するといった、最も詰まりなどのトラブルが発生しやすい刈取初期段階全体での過負荷を、最短経路で正確に検知して動力を遮断できるようにしている。
【0052】
すなわち、機体前方に刈取部22を配置し、該刈取部22には、前から順に引起し装置31、掻込装置55、各搬送装置56・57などを配設したコンバインにおいて、前記引起し駆動軸86に動力を伝達する引起し入力軸84より上手側で、しかも、下部搬送装置56や掻込装置55への伝達軸115の直ぐ上手側にトルクリミッタ4を配置したので、引起し装置31からトルクリミッタ4までの経路長を短くすると共に分岐部を少なくできる上、下部搬送装置56や掻込装置55もトルクリミッタ4より下手側にあるため、刈取初期段階全体での過負荷発生を正確に検知することができるのである。
【0053】
また、前記インナー側軸84a下部は、ベベルギア98に内挿された後、前記第3刈取フレーム41左端内に内挿され、該第3刈取フレーム41左端内に垂設されたガイドパイプ184により支持されている。そして、インナー側軸84a下端にはネジ部84cが突設され、該ネジ部84cは、作動圧調整ナット185内に螺挿されており、該作動圧調整ナット185を回動することにより、インナー側軸84aを上下動できるようにしている。さらに、作動圧調整ナット185には、取付蓋186が下方から覆設されており、該取付蓋186を取り外して作動圧調整ナット185を回転しインナー側軸84aを昇降させることにより、前記第1トルククラッチ3と同様に、前記積層部180の積層間圧を変化させてトルクリミッタ4の作動圧を容易に調整できるようにしている。これにより、作物の倒伏状況や密度、走行速度などによって変化する刈取初期段階での負荷に対し、トルクリミッタ4の作動感度を外部から容易に調整し適正化することができるようにしている。
【0054】
また、前記回動体174の上端外周とベベルギア98の上端外周には、それぞれ検出用ギア174a・98aが形成され、該検出用ギア174a・98aの延長面上の引起し縦フレーム42には回転数センサ146・147が取り付けられ、従動側のアウター側軸84bと駆動側のインナー側軸84aの回転数を検出可能としている。
【0055】
そして、これら回転数センサ146・147は、いずれも前記コントローラ5に接続されており、該コントローラ5に入力された軸回転数信号に基づき、前記第1トルククラッチ3と同様にして、引起し装置31への入力や、刈取部22全体への入力を減速したり、中立位置にして動力を遮断できるようにしている。これにより、刈取初期段階での過負荷が発生しても、動力断接装置が作動する前に、事前に検知し、タイン47の折損やチェーンの破断等の破損はもとより、引起し作用面での詰まりの発生や回転駆動の停止による作業中断をも未然に防止することができる。
【0056】
また、前記引起し第1入力軸のインナー側軸84a周囲には、内油溜まり187と外油溜まり188が形成され、さらに、ベベルギア98を内挿する第3刈取フレーム41左端部には下油溜まり189が形成されている。そして、円筒状のアウターケース175には複数の油孔175aが半径方向に開口されており、前記内外の油溜まり187・188間を連通すると共に、インナー側軸84aには軸芯方向の途中から半径方向に屈曲された油路190が穿孔されており、前記内油溜まり187と下油溜まり189との間を連通している。
【0057】
このようにして、第2トルクリミッタ4を構成するアウターケース175、アウターディスク176、インナーディスク179、回動体174等が回動すると、潤滑油が、遠心力や前記積層部180内での加圧力等によって、前記油孔175aや油路190を介して隙間なく流動し、第2トルクリミッタ4が強制的に潤滑され、ローラ177による滑り摩擦が一層安定化し、第2トルクリミッタ4の作動精度を更に向上させることができるのである。
【0058】
また、トルクリミッタの駆動体と従動体に、それぞれ回転速度を検出する回転数センサを設け、該回転数センサにより検出された従動体の回転速度が、駆動体の回転速度よりも所定速度以上小さくなると警報を発するようにしたので、トルクリミッタが作動する前に、事前に装置への過負荷を検知することができる。
【0059】
また、トルクリミッタが精度良く作動し、また、引起し装置への負荷状況に応じた適正値へも迅速に設定されて、引起し作用面で詰まりや、タインの折損、チェーンの破断等を確実に防止できる。また、トルクリミッタなどの動力断接装置が作動する前に、事前に引起し装置への過負荷を検知することができ、タインの折損やチェーンの破断等の破損はもとより、引起し作用面での詰まりの発生や回転駆動の停止による作業中断をも未然に防止することができ、更に、動力断接装置で誤動作が生じたような場合でも、引起し装置への過負荷を確実に防止することができる。
【0060】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、次のような効果を奏するものである。
装置に一定範囲のトルクを伝達するトルクリミッタ(3)において、前記装置を駆動する駆動軸又は入力軸の軸芯を中心に回転する駆動体であるアウターディスク(121)と、該アウターディスク(121)の回転軌道に沿って配設された複数のローラ(123)と、該ローラ(123)を挟んで前記アウターディスク(121)に軸方向に対向する従動体であるインナーディスク(120)と、前記ローラ(123)を一定間隔で転動自在に保持する保持体であるケージ(122)とを備えると共に、該ローラ(123)の転動軸(133)を、前記アウターディスク(121)の回転軸芯を含む平面に対して傾斜させて構成し、前記アウターディスク(121)とインナーディスク(120)との間の圧力を外部より調整する作動圧調整機構を設け、前記トルクリミッタ(3)は、潤滑油が循環可能な油路を形成して強制潤滑可能な構造とし、該強制潤滑可能構造は、アウターケース(124)内側に、内油溜まり(152)を形成し、アウターケース(124)外側に、外油溜まり(153)を形成し、前記アウターケース(124)に複数の油孔(124a)を開口し、前記内外の油溜まり(152・153)間を連通すると共に、前記駆動軸又は入力軸に、軸芯方向の途中から半径方向に屈曲された油路(151)を穿孔し、前記インナーディスク(120)の内周縁に切り込みを入れて油路(120a・120a)を形成し、前記内油溜まり(152)内を軸心方向に連通して、潤滑油が内油溜まり(152)内を自由に流れるように構成し、該トルクリミッタ(3)が回転すると、遠心力や、前記アウターディスク(121)とケージ(122)とインナーディスク(120)からなる積層部(127)内での加圧力等によって、潤滑油が前記アウターケース(124)の複数の油孔(124a)、前記駆動軸又は入力軸の油路(151)、前記インナーディスク(120)の油路(120a)を介して流動し、トルクリミッタ(3)を強制的に潤滑する構成としたので、前記トルクリミッタには、潤滑油が循環可能な油路を形成して強制潤滑可能な構造とするので、摩擦面における潤滑油の油膜が損なわれることがなく、ローラによる滑り摩擦が一層安定化し、トルクリミッタの作動精度を更に向上させることができる。また、トルクリミッタ全体が油溜まり内に浸った状態にあるため、摩擦面での摺動に伴う騒音が一層小さくなり、装置周囲の環境改善を図ることができるのである。
また、摩擦面における潤滑油の油膜が損なわれることがなく、ローラによる滑り摩擦が一層安定化し、トルクリミッタの作動精度を更に向上させることができ、更に、トルクリミッタ全体が油溜まり内に浸った状態にあるため、摩擦面での摺動に伴う騒音が一層小さくなり、作業等の環境改善を図ることができるのである。
【0061】
また、駆動体と従動体との間に、ローラによる安定した滑り摩擦が発生し、トルクリミッタの作動精度を大きく向上させることができる。
また、前記駆動体と従動体との間の圧力を外部より調整する作動圧調整機構を設けるので、トルクリミッタの作動圧を装置への負荷状況に応じた適正な値に迅速に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 コンバインの全体左側面図である。
【図2】 同じく平面図である。
【図3】 同じく右側面図である。
【図4】 同じく正面図である。
【図5】 エンジンから刈取部各部への動力伝達構成を示すスケルトン図である。
【図6】 刈取部の側面図である。
【図7】 引起し縦フレームの側面一部断面図である。
【図8】 同じく下部の側面一部断面図である。
【図9】 第2トルククラッチの側面一部断面図である。
【図10】 引起し変速装置の側面一部断面図である。
【図11】 第1トルククラッチの側面一部断面図である。
【図12】 引起し縦フレーム上部の側面一部断面図である。
【図13】 アウターケースの側面断面図である。
【図14】 同じく平面図である。
【図15】 押さえプレートの側面断面図である。
【図16】 アウターディスクの側面断面図である。
【図17】 ケージの側面断面図である。
【図18】 同じく平面図である。
【図19】 インナーディスクの側面断面図である。
【図20】 同じく平面図である。
【図21】 積層部の分解斜視図である。
【図22】 過負荷防止機構の制御ブロック図である。
【図23】 同じくフローチャートである。
【図24】 別形態のケージの平面図である。
【符号の説明】
3 トルクリミッタ
22 刈取部
31 引起し装置
55 掻込装置
56・57 搬送装置
84・85 引起し入力軸
86 引起し駆動軸
120 従動体
120a・124a・151 油路
121 駆動体
122 保持体
123 ローラ
133 転動軸
134 平面
143 作動圧調整機構
144・145 回転数センサ
V1 駆動体の回転速度
V2 従動体の回転速度
VL 所定速度

Claims (1)

  1. 装置に一定範囲のトルクを伝達するトルクリミッタ(3)において、前記装置を駆動する駆動軸又は入力軸の軸芯を中心に回転する駆動体であるアウターディスク(121)と、該アウターディスク(121)の回転軌道に沿って配設された複数のローラ(123)と、該ローラ(123)を挟んで前記アウターディスク(121)に軸方向に対向する従動体であるインナーディスク(120)と、前記ローラ(123)を一定間隔で転動自在に保持する保持体であるケージ(122)とを備えると共に、該ローラ(123)の転動軸(133)を、前記アウターディスク(121)の回転軸芯を含む平面に対して傾斜させて構成し、前記アウターディスク(121)とインナーディスク(120)との間の圧力を外部より調整する作動圧調整機構を設け、前記トルクリミッタ(3)は、潤滑油が循環可能な油路を形成して強制潤滑可能な構造とし、該強制潤滑可能構造は、アウターケース(124)内側に、内油溜まり(152)を形成し、アウターケース(124)外側に、外油溜まり(153)を形成し、前記アウターケース(124)に複数の油孔(124a)を開口し、前記内外の油溜まり(152・153)間を連通すると共に、前記駆動軸又は入力軸に、軸芯方向の途中から半径方向に屈曲された油路(151)を穿孔し、前記インナーディスク(120)の内周縁に切り込みを入れて油路(120a・120a)を形成し、前記内油溜まり(152)内を軸心方向に連通して、潤滑油が内油溜まり(152)内を自由に流れるように構成し、該トルクリミッタ(3)が回転すると、遠心力や、前記アウターディスク(121)とケージ(122)とインナーディスク(120)からなる積層部(127)内での加圧力等によって、潤滑油が前記アウターケース(124)の複数の油孔(124a)、前記駆動軸又は入力軸の油路(151)、前記インナーディスク(120)の油路(120a)を介して流動し、トルクリミッタ(3)を強制的に潤滑する構成としたことを特徴とするトルクリミッタ。
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