JP6324299B2 - 作業車用の伝動装置 - Google Patents
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[1]遠近移動に伴って係脱される駆動側クラッチ体と従動側クラッチ体とを備え、従動側クラッチ体を駆動側クラッチ体へ近づける側へ弾性付勢する付勢手段を備えるとともに、その付勢手段の付勢力に抗して従動側クラッチ体を駆動側クラッチ体から離れる側へ操作する押圧ピストンを備え、その押圧ピストンと従動側クラッチ体との当接箇所にスラストベアリングを介装させたもの(例えば特許文献1参照)。
[2]]遠近移動に伴って係脱される駆動側クラッチ体と従動側クラッチ体とを備え、従動側クラッチ体を駆動側クラッチ体へ近づける側へ弾性付勢する付勢手段を備えるとともに、その付勢手段の付勢力に抗して従動側クラッチ体を駆動側クラッチ体から離れる側へ操作する押圧ピストンを備え、その押圧ピストンと従動側クラッチ体との当接箇所にスラストベアリングを介装させ、前記従動側クラッチ体に、スラストベアリングの径方向での位置移動を規制するようにスラストベアリングの内周側に位置する係止支持部を形成したもの(例えば特許文献2参照)。
特許文献2に記載された構造のように、スラストベアリングの内周側に位置する係止支持部を形成したものでは、メンテナンスに際して押圧ピストンと従動側クラッチ体とが分解されても、スラストベアリングの内周側には係止支持部が存在しているので、そのスラストベアリングの脱落を回避し易い点で有用である。
しかしながら、係止支持部が存在するところの前記特許文献2に記載された構造のものであっても、駆動回転中に、従動側クラッチ体に大きな負荷が作用して駆動側クラッチ体による回転を伝えられず従動側クラッチ体が駆動側クラッチ体から離れる側へ弾き出されるような場合には、スラストベアリングと押圧ピストンとが離れて、両者の間にスラストベアリングの駆動軸の軸線方向での移動を許容する間隔が生じてしまう。そして、その間隔が生じたことでスラストベアリングが係止支持部の突出端を越えて駆動軸の軸線方向に移動することが可能となるので、スラストベアリングの径方向移動を阻止することができなくなってしまう虞があり、この点で改善の余地がある。
また、クラッチ切り状態の従動側クラッチ体を駆動側クラッチ体に係合させてクラッチ入り状態に切り換えようとする際、互いの歯部が噛み合わずに、駆動回転中の駆動側クラッチ体の回転によって従動側クラッチ体が非係合側へ弾き出された状態となって、スラストベアリングが押圧ピストンや従動側クラッチ体から離れ、脱落してしまう虞があり、この点で改善の余地がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の技術手段は、駆動軸と一体に回転する駆動側クラッチ体と、前記駆動軸に対して、その駆動軸の軸心周りで相対回転、及び前記軸心に沿う方向で相対移動自在に外嵌する従動側クラッチ体とを備え、前記駆動側クラッチ体と前記従動側クラッチ体とのそれぞれは、前記駆動側クラッチ体に対する前記従動側クラッチ体の遠近移動に伴って係脱される歯部を備え、前記従動側クラッチ体を前記駆動側クラッチ体へ近づける係合側へ弾性押圧する付勢手段と、前記従動側クラッチ体を前記付勢手段の付勢力に抗して前記駆動側クラッチ体から離れる係合解除側へ操作する押圧ピストンとを備え、前記押圧ピストンと前記従動側クラッチ体との当接箇所にスラストベアリングを介装し、前記従動側クラッチ体に、前記スラストベアリングの径方向での位置移動を規制するように前記スラストベアリングの内周側に位置して前記駆動側クラッチ体側へ突出する係止支持部を形成してあり、前記スラストベアリングの前記押圧ピストンとの当接箇所から前記係止支持部の突出端部までの前記軸心に沿う方向での長さは、前記駆動側クラッチ体の歯部と前記従動側クラッチ体の歯部との、前記軸心に沿う方向での係合代よりも長く設定され、前記駆動側クラッチ体の歯部と前記従動側クラッチ体の歯部とは、互いに対向して係合するドッグクラッチによって構成されていることである。
上記解決手段1にかかる発明によると、係止支持部の軸心方向長さは、スラストベアリングの押圧ピストンに対する当接箇所から突出端部まで長さが、駆動側クラッチ体と従動側クラッチ体との歯部同士の軸心方向での係合代よりも長くなるように設定されているので、スラストベアリングの係止支持部からの脱落を確実に回避して、スラストベアリングの変形や損傷を避けやすいという利点がある。
つまり、駆動側クラッチ体と従動側クラッチ体との歯部同士が噛み合った状態での駆動回転中に、従動側クラッチ体に大きな負荷が作用するなどして従動側クラッチ体が回転され難くなると、駆動側クラッチ体の回転動力によって従動側クラッチ体が駆動側クラッチ体から軸心方向で離れる側へ弾き出されるように動作することがある。このとき、前記係合代に相当する量だけ従動側クラッチ体が駆動側クラッチ体から離れる側へ移動しても、この状態でのスラストベアリングと押圧ピストンとの間隔は前記係合代と同程度であるから、これよりも長く設定されている係止支持部が存在することで、スラストベアリングの係止支持部からの脱落を確実に回避することができる。これによって、スラストベアリングが脱落して損傷したり変形したりするという不具合を避け易くなる。
また、クラッチ切り状態の従動側クラッチ体を駆動側クラッチ体に係合させてクラッチ入り状態に切り換えようとする際、互いの歯部が噛み合わずに、駆動回転中の駆動側クラッチ体の回転によって従動側クラッチ体が一時的に非係合側へ弾き出されたとしても、駆動側クラッチ体と従動側クラッチ体との歯部同士の係合代よりも長く設定されている係止支持部が存在することで、この場合にも、スラストベアリングの係止支持部からの脱落を回避し易くなる。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記係止支持部は前記スラストベアリングの内周に沿った円筒状に形成されているということである。
上記の解決手段2にかかる発明によると、スラストベアリングの内周側を支持する係止支持部が、円筒状に形成されているので、環状のスラストベアリングの姿勢を精度良く維持して安定良く位置保持し易いという利点がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、駆動軸と一体に回転する駆動側クラッチ体と、前記駆動軸に対して、その駆動軸の軸心周りで相対回転、及び前記軸心に沿う方向で相対移動自在に外嵌する従動側クラッチ体とを備え、前記駆動側クラッチ体と前記従動側クラッチ体とのそれぞれは、前記駆動側クラッチ体に対する前記従動側クラッチ体の遠近移動に伴って係脱される歯部を備え、前記従動側クラッチ体を前記駆動側クラッチ体へ近づける係合側へ弾性押圧する付勢手段と、前記従動側クラッチ体を前記付勢手段の付勢力に抗して前記駆動側クラッチ体から離れる係合解除側へ操作する押圧ピストンとを備え、前記押圧ピストンと前記従動側クラッチ体との当接箇所にスラストベアリングを介装し、前記従動側クラッチ体に、前記スラストベアリングの径方向での位置移動を規制するように前記スラストベアリングの内周側に位置して前記駆動側クラッチ体側へ突出する係止支持部を形成してあり、前記スラストベアリングの前記押圧ピストンとの当接箇所から前記係止支持部の突出端部までの前記軸心に沿う方向での長さは、前記駆動側クラッチ体の歯部と前記従動側クラッチ体の歯部との、前記軸心に沿う方向での係合代よりも長く設定され、前記従動側クラッチ体に、前記スラストベアリングの外周側に位置して前記駆動側クラッチ体側へ突出する外周係止部を形成してあるということである。
上記の解決手段4にかかる発明によると、スラストベアリングを、内周側の係止支持部と外周側の外周係止部との両者で径方向の両側から挟み込む状態で支持するので、駆動軸の軸心に対するスラストベアリングの傾きも抑制し易くて、より安定良く支持し得る利点がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、駆動軸と一体に回転する駆動側クラッチ体と、前記駆動軸に対して、その駆動軸の軸心周りで相対回転、及び前記軸心に沿う方向で相対移動自在に外嵌する従動側クラッチ体とを備え、前記駆動側クラッチ体と前記従動側クラッチ体とのそれぞれは、前記駆動側クラッチ体に対する前記従動側クラッチ体の遠近移動に伴って係脱される歯部を備え、前記従動側クラッチ体を前記駆動側クラッチ体へ近づける係合側へ弾性押圧する付勢手段と、前記従動側クラッチ体を前記付勢手段の付勢力に抗して前記駆動側クラッチ体から離れる係合解除側へ操作する押圧ピストンとを備え、前記押圧ピストンと前記従動側クラッチ体との当接箇所にスラストベアリングを介装し、前記従動側クラッチ体に、前記スラストベアリングの径方向での位置移動を規制するように前記スラストベアリングの内周側に位置して前記駆動側クラッチ体側へ突出する係止支持部を形成してあり、前記スラストベアリングの前記押圧ピストンとの当接箇所から前記係止支持部の突出端部までの前記軸心に沿う方向での長さは、前記駆動側クラッチ体の歯部と前記従動側クラッチ体の歯部との、前記軸心に沿う方向での係合代よりも長く設定され、前記従動側クラッチ体の前記係止支持部よりも前記駆動軸に近い側の部分に、前記従動側クラッチ体の前記駆動側クラッチ体に対向する側に存在する空間と、その反対側に位置する空間とを連通させる透孔が形成されているということである。
上記の解決手段4にかかる発明によると、駆動側クラッチ体に対向する側に存在する空間と、その反対側に位置する空間とを連通させる透孔が存在することにより、それぞれの空間にわたって存在する油の流通を円滑にして、付勢手段や押圧ピストンによる従動側クラッチ体の動作を行わせ易くなる利点がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記透孔は、前記従動側クラッチ体の周方向で隣り合う前記歯部同士の中間位置に形成されているということである。
上記の解決手段5にかかる発明によると、隣り合う歯部が存在する箇所の間に透孔を形成するので、歯部の一部が透孔によって切り欠かれたりすることもなく、従動クラッチ体の強度低下が少ない状態で透孔を形成することができる点でも有利である。
本発明を実施するための形態の一例を、図面の記載に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る作業車用の伝動装置を適用した、作業車の一例である普通形コンバイン(全稈投入形コンバイン)の全体を示している。
図3及び図4に示すように、エンジン3の出力軸に備えた出力プーリ(図示せず)と、HST30の入力軸38の入力プーリ38aとの間には、エンジン3の駆動力を伝える伝動ベルト37が掛け渡されている。入力軸38及び入力プーリ38aを支承する入力ケース39は、入力プーリ38aが存在する側とは反対側の端部がHST30の変速ケース35に連結固定され、入力軸38の長手方向での中間部に相当する箇所がトランスミッション4のミッションケース40の上部に固定されている。
機体フレーム10上に搭載されたエンジン3は、運転部Bの運転座席2の下方位置にあって、そのエンジン3の上方側が箱状のエンジンカバー11で覆われている。運転座席2はエンジンカバー11の上面に備え付けられていて、エンジンカバー11が運転座席2の支持台として用いられている。
このエンジンカバー11の外側部には吸気ケース11Aが備えられ、吸気ケース11Aの外面側には冷却風の吸気するため防塵網が張設された吸気部11Bが形成されている。 運転座席2の前方側には操縦塔12が立設され、操縦塔12の上面側に、自走機体Aの操向制御を行う操作具と、刈取処理装置Cの昇降制御を行う操作具とを兼ねる操作レバー13が、前後及び左右に揺動自在に設けられている。
図1に示すように、運転座席2の左側部には、操縦塔12の左横端部位置から後方側へ向けて延設されたサイドパネル14が設けられている。このサイドパネル14の前端部の上面には、自走機体Aの走行速度を制御する変速操作具として、主変速レバー15と副変速レバー16とが設けられている。
排出クラッチレバーは、エンジン3からの駆動力をグレンタンクEの底スクリュー21に対して断続する排出クラッチG(図1参照)の入り切り操作を行って、アンローダFによる穀粒排出を可能にする状態と穀粒排出を停止する状態とに切換操作するための操作具である。
刈取処理装置Cは、植立穀稈の穂先側を掻き込みリール5の回転作動により掻き起こし、その穀稈の株元をカッター6で切断するように構成されている。刈り取られた穀稈(刈取穀稈)は、横送りオーガ7によって横送りされてフィーダ8の入り口近くに寄せ集められる。その全稈がフィーダ8により後方送りされて脱穀装置Dに送り込まれるように構成されている。
また、刈取処理装置Cは、フィーダ8の後端部側に備えたフィーダ駆動軸(図示せず)を支点にして上下揺動自在に構成されている。フィーダ8の上下揺動は、機体フレーム10とフィーダ8の下部とにわたって設けられた油圧シリンダ等のアクチュエータ18によって行われる。このアクチュエータ18の作動による揺動量の設定により穀稈の刈高さの調節が可能に構成されている。
脱穀装置Dは、扱室に供給された刈取穀稈の扱き処理を行うように自走機体Aの前後方向に沿う姿勢の軸心周りに駆動回転する軸流型の扱胴(図示せず)、及び扱き処理によって得られた処理物から穀粒を選別する選別処理装置(図示せず)を備えている。
この選別処理装置においては、選別された穀粒のうち、一番物は揚穀装置9によってグレンタンクEに供給し、二番物は二番還元装置19によって扱胴が旋回する扱室(図示せず)に戻され、穀粒以外の藁屑等は、選別処理装置の後部から自走機体Aの後方に落下放出される。
グレンタンクEは、揚穀装置9から供給される穀粒を貯留するためのタンク本体20を備えている。
このタンク本体20は、自走機体Aへの収納姿勢で、機体前方側に向く前壁20aと、機体後方側に向く後壁20bと、左右の横壁20cとを備えて、ほぼ矩形箱状に形成されている。また、タンク本体20は、自走機体Aの後部位置の縦向き姿勢の上下軸心Y周りでの旋回により自走機体Aに収納される作業姿勢と、自走機体Aから横方向に張り出す点検姿勢とに、姿勢切換自在に支持されている。
このグレンタンクEの旋回中心となる前記上下軸心Yは、タンク本体20の後面側に設けたアンローダFが備える縦搬送筒23の筒軸心と合致するように構成されている。
タンク本体20の底壁の大部分は、タンク本体20が自走機体Aに収納された作業姿勢において、揚穀装置9から供給される穀粒がタンク本体20の左右方向での底部中央側へ集められるように、左右方向で中央側ほど低位となる先細り形状の傾斜面に形成されている。このような構造であるため、底スクリュー21は、タンク本体20の左右方向でのほぼ中央位置に配設されている。
タンク本体20の後壁20bには、底スクリュー21から送られる穀粒をアンローダFに送る排出用筒部22が後方向きに突出する状態で設けられている。排出用筒部22は、後端側が上向きに屈曲形成され、その上向きの端面にアンローダFの縦搬送筒23の下端側が接続されている。
縦搬送筒23の内部に設けられた縦スクリュー軸23Aの下端部のベベルギヤ(図示せず)に対して、底スクリュー21のスクリュー軸21Aの後端部に備えたベベルギヤ(図示せず)を噛合させて動力を伝達するように構成されている。これによって、底スクリュー21からアンローダFの縦搬送筒23側へ穀粒が搬出される状態となる。
アンローダFは、上向きに立設された直管状の縦搬送筒23と、その縦搬送筒23の上端部に接続された横搬送筒24とを備えて構成されている。横搬送筒24は、縦搬送筒23とともに前記上下軸心Y回りで左右揺動可能に、かつ、水平横軸心X回りで起伏揺動可能に構成されている。
縦搬送筒23は、内部に前記縦スクリュー軸23Aを内装していて、底スクリュー21の後端部から送り出される穀粒を上昇搬送する上向きの縦搬送経路を構成している。縦搬送筒23の上端部に接続された横搬送筒24は、内部に横スクリュー軸24Aを内装していて、縦搬送筒23の上端部から受け継いだ穀粒を、水平方向などの機体外方側へ向けて搬送する横向きの搬送経路を構成している。
また、横搬送筒24の水平横軸心X回りでの起伏揺動は、縦搬送筒23の上部との間にわたって設けられた油圧シリンダ25の伸縮作動によって行われるように構成されている。
刈取処理装置Cの昇降作動や、走行変速、及び操向操作を行うための油圧駆動系について説明する。
刈取処理装置Cは、図2に示すように、昇降用の油圧制御ユニット27の作動によって昇降作動するように構成されている。油圧制御ユニット27には、オイルタンク28に貯留されているオイルが第1油圧ポンプ29の作動によって供給される。油圧制御ユニット27は、機体フレーム10とフィーダ8とにわたって架設した前記油圧シリンダ等のアクチュエータ18、及び、このアクチュエータ18に対する操作圧を変更する昇降用のバルブユニット(図示せず)、などを備えている。
昇降用のバルブユニットは、操作レバー13に昇降用の機械式連係機構(図示せず)を介して連係している。そして、操作レバー13の前後方向での揺動操作に基づいて、オイルタンク28と第1油圧ポンプ29と昇降シリンダとの間におけるオイルの流れを制御することにより、アクチュエータ18に対する操作圧を変更するように構成している。この構成から、操作レバー13を前後方向に揺動操作することにより、刈取処理装置Cを、収穫対象の未刈り穀稈を収穫する下側の作業領域と収穫しない上側の非作業位置とに昇降させることができる。
つまり、HST30は、走行変速用の主変速装置として機能するように構成した状態で自走機体Aに装備されている。
ステアリング用のバルブユニット103は、操作レバー13の左右方向での操作に基づいて各サイドクラッチブレーキユニット48の油室100に対するオイルの流れを切り替える切替バルブ104、及び、操作レバー13の操作に基づいて左右のサイドクラッチブレーキユニット48の油室100に対するリリーフ圧を変更する可変リリーフバルブ105、などを備えている。このように、操作レバー13の左右方向での揺動操作によって、自走機体Aの操向操作が行われる。
次に、トランスミッション4の構成について説明する。
図3〜6に示すように、トランスミッション4は、鋳造品で構成されたミッションケース40に、左右向きの入力軸44と従動軸45とサイドクラッチ軸46、コンスタントメッシュ式の選択歯車式に構成した副変速機構47、一対のサイドクラッチブレーキユニット48、及び、左右の伝動機構49、などを内蔵して、入力軸44から入力された動力を変速して伝動下手側の走行駆動軸50へ出力するように構成されている。ミッションケース40の下部には、左右の対応するクローラ走行装置1にわたる左右向きの左右の走行駆動軸50、及び、左右の走行駆動軸50を個別に外囲した状態で回転可能に支持する左右の駆動軸ケース51、などを備えている。各伝動機構49は、サイドクラッチ軸46と走行駆動軸50との間に中継軸98を備え、その中継軸98を含めた配設された減速ギヤ伝動機構によって構成されている。
また、ミッションケース40には、図5及び図6に示すように、ミッションケース40の上部に、サイドクラッチブレーキユニット48等の油圧機器で使用された作動油が戻されてくる給油口41と、ミッションケース40の空気を抜くためのエアー抜き孔42とが設けられている。給油口41には油圧機器からの作動油を導く給油管41aが接続されている。エアー抜き孔42には、取り外すことでエアー抜きを行い易くでき、装着することで外部からの異物が侵入しないようにするための栓体42aが装着されている。
流下ガイド板部43は、給油口41から注入される作動油が直接に機器配設用空間40Sの液面に落下しないように、給油口41の直下に対向する箇所に庇状の案内面43aを備えている。この案内面43aは、給油口41の下方に近い側がエアー抜き孔42に近い側よりも低くなるように、給油口41の下方に近い側ほど下位となる傾斜状に形成されている。
案内面43aのうち、エアー抜き孔42に近い側の端部は、エアー抜き孔42よりも手前で、エアー抜き孔42側と給油口41側とが隔絶されるようにミッションケース40の内面に一体に接続している。給油口41の下方に近い側では、案内面43aの一部が給油口41の下方近くでV字状に屈曲形成されて、案内面43aの上に注入された作動油を集めながら流下させる注ぎ口部43bが設けられている。
トランスミッション4の入力軸44は、その入力側の端部となる右端部(図4中では左側)を、HST30の出力軸34に、筒軸59を介してスプライン嵌合することにより、出力軸34の軸心を中心にして出力軸34と一体回転するように構成されている。
シフト機構66は、低速従動ギヤ61又は高速従動ギヤ65の何れかを選択する第1シフタ67、及び中速従動ギヤ63を選択する第2シフタ68を備えて、選択された何れかの従動ギヤ61,63,65から変速動力を取り出して従動軸45に伝えるように構成されている。
シフトフォーク69は、変速支軸70上でシフトフォーク69を左右方向に摺動操作する操作アーム72、及び、操作アーム72を支持する前後向きの変速操作軸73、連係アーム77などの、副変速用の機械式連係機構78を介して副変速レバー16に連係されている。
サイドクラッチ軸46は、ミッションケース40における機器配設用空間40Sの上下中間部に配備している。そして、その左右中間位置に、出力ギヤ81と噛み合い連動する伝動回転体としての大径の伝動ギヤ82を、サイドクラッチ軸46と伝動ギヤ82とが相対摺動不能な状態で一体回転するようにスプライン嵌合している。つまり、従動軸45からサイドクラッチ軸46にわたる伝動構造を、出力ギヤ81及び伝動ギヤ82によるギヤ伝動式に構成して、副変速機構47による変速後の動力を、従動軸45からサイドクラッチ軸46に減速伝達するように構成している。
次に、トランスミッション4における左右のサイドクラッチブレーキユニット48に関する構成について説明する。
そして、サイドクラッチ軸46の軸上において、伝動ギヤ82を中心にした左右対称になるように伝動ギヤ82を挟んだ状態で左右に分散配備してある。左側のサイドクラッチブレーキユニット48が、左側の伝動機構49及び左側の走行駆動軸50を介して左側のクローラ走行装置1に作用し、かつ、右側のサイドクラッチブレーキユニット48が、右側の伝動機構49及び右側の走行駆動軸50を介して右側のクローラ走行装置1に作用するように構成されている。
このサイドクラッチブレーキユニット48に対して、伝動上手側から伝えられる動力を伝達する駆動軸に相当するところの軸が前記サイドクラッチ軸46である。
出力ギヤ81及び伝動ギヤ82を介して伝動上手側の従動軸45からの駆動力が伝えられるサイドクラッチ軸46に対して、そのサイドクラッチ軸46の軸心方向での摺動による着脱可能な筒軸85が、相対回転可能な状態でサイドクラッチ軸46に外嵌されている。
そして、サイドクラッチ軸46の軸端部近くに形成したスプライン部46Aに駆動側クラッチ体87が、サイドクラッチ軸46と一体回動するようにスプライン嵌合されている。そのサイドクラッチ軸46に外嵌する筒軸85の外端側の軸端部近くに形成した第1スプライン軸部85Aに、従動側クラッチ体86が筒軸85と一体回動するようにスプライン嵌合されている。
駆動側クラッチ体87と従動側クラッチ体86とは、サイドクラッチ軸46の軸心方向で互いに対向する面のそれぞれに、歯部86A,87Aを備え、駆動側クラッチ体87に対する従動側クラッチ体86の遠近移動に伴って互いの歯部86A,87Aが係脱されるように、ドッグクラッチ型式のサイドクラッチ83を構成している。
したがって、従動側クラッチ体86が、圧縮バネ88の作用によって入り位置に摺動することにより、従動側クラッチ体86の歯部86Aと駆動側クラッチ体87の歯部87Aとが噛み合う伝動状態に切り替わり、かつ、圧縮バネ88の作用に抗して切り位置に摺動することにより、従動側クラッチ体86の歯部86Aと駆動側クラッチ体87の歯部87Aとが噛み合いを解除する遮断状態に切り替わるように構成されている。
従動側クラッチ体86の径方向で、内周側のスプラインボス部86Bと外周側のリム部86Cとの中間位置には、サイドクラッチ軸46の軸心方向で前記駆動側クラッチ体87が存在する機体横外方側へ向けて突出する円筒状の係止支持部86Dが設けられている。
また、係止支持部86Dの存在箇所よりも径方向での内方側箇所には、複数の内歯状の前記歯部86Aを周方向に一定ピッチで形成することにより、筒状の係止支持部86Dの内周側に歯部86Aが位置するように設けられている。したがって、この従動側クラッチ体86の歯部86Aに噛合するところの駆動側クラッチ体87の外歯状の歯部87Aも、係止支持部86Dの存在箇所よりも径方向での内方側箇所に位置する状態で、駆動側クラッチ体87の周方向に一定ピッチで形成されている。
サイドブレーキ84は、摺動ユニット91に外嵌して一体回転する複数のセパレータプレート95、複数のセパレータプレート95とサイドクラッチ軸46の軸心方向に交互に配置する複数のブレーキディスク96と単一のプレッシャプレート97、及び、複数のブレーキディスク96と単一のプレッシャプレート97とを回り止め状態で支持するブレーキハウジング94、などを備えて構成されている。
スプラインボス92と筒軸85と従動側クラッチ体86と圧縮バネ88とストッパ89とバネ受け90とによって、サイドクラッチ軸46に対して、サイドクラッチ軸46の軸心方向に着脱可能に一体摺動する摺動ユニット91を構成している。
従動側クラッチ体86を押圧操作するための押圧ピストン101は次のように構成されている。
摺動ユニット91は、従動側クラッチ体86がミッションケース40に備えた環状のシリンダ空間となる油室100に対向する状態でサイドクラッチ軸46の軸上に装備されている。そして、この油室100に、従動側クラッチ体86を摺動操作する環状の押圧ピストン101を、サイドクラッチ軸46の軸心方向に摺動可能な状態で嵌入装備している。このように、押圧ピストン101及び油室100が環状に形成されている。
又、バルブユニット103の作動による油室100の減圧に伴って、サイドクラッチ軸46の軸心に沿ってサイドクラッチ軸46の軸端側に摺動し、この摺動により、対応する従動側クラッチ体86を圧縮バネ88の作用によって制動位置からクラッチ切り位置に摺動し、その後、クラッチ切り位置からクラッチ入り位置に摺動操作される。
逆に、操作レバー13を中立位置から右方に揺動操作することにより、ステアリング用のバルブユニット103を減圧状態から右昇圧状態に切り替えることができ、これにより、左側の従動側クラッチ体86を入り位置に維持しながら、右側の従動側クラッチ体86を入り位置から切り位置又は制動位置に摺動させることができ、結果、走行状態を、直進状態から右側のクローラ走行装置1を従動又は制動させて車体を右方向に旋回させる右旋回状態に切り替えることができる。そして、左旋回状態又は右旋回状態において、操作レバー13を中立位置に揺動操作することにより、ステアリング用のバルブユニット103を左昇圧状態又は右昇圧状態から減圧状態に切り替えることができ、これにより、切り位置又は制動位置に位置する左右いずれか一方の従動側クラッチ体86を入り位置に摺動させることができ、結果、走行状態を、左旋回状態又は右旋回状態から直進状態に切り替えることができる。
図7乃至図10に示すように、従動側クラッチ体86は次のように構成されている。
押圧ピストン101の押し操作と圧縮バネ88との戻し操作とで、サイドクラッチ軸46の軸心方向で摺動操作される従動側クラッチ体86は、図7に示されるように駆動側クラッチ体87と噛合したクラッチ入り位置と、図8に示されるように、駆動側クラッチ体87との噛合が解除され、かつサイドブレーキ84が制動状態となるクラッチ切り及び制動位置とに移動可能に構成されている。
上記のクラッチ入り位置では、押圧ピストン101が最収縮姿勢で、従動側クラッチ体86は圧縮バネ88で横外側に押されて駆動側クラッチ体87と噛合し、従動側クラッチ体86にサイドクラッチ軸46からの駆動力が伝達される。また、クラッチ切り及び制動位置では、圧縮バネ88の付勢力に抗して押圧ピストン101が最大伸長姿勢となり、従動側クラッチ体86と駆動側クラッチ体87との噛合が解除された後、複数のセパレータプレート95及びブレーキディスク96を圧接して、サイドクラッチ軸46からの駆動力の伝達を解除するとともに、従動側クラッチ体86からの動力が伝達される走行駆動軸50への伝動機構49に対して制動力が付与される。
従動側クラッチ体86に備えられた係止支持部86Dは、スラストベアリング80の押圧ピストン101との当接箇所から係止支持部86Dの突出端部までの軸心方向での長さL2が、駆動側クラッチ体87の歯部87Aと従動側クラッチ体86の歯部86Aとの、前記軸心方向での係合代L1よりも長く設定されている。
このように構成された従動側クラッチ体86の係止支持部86Dは、サイドクラッチ軸46の軸心方向で常に押圧ピストン101と重複する状態に維持される。
つまり、図7に示されるクラッチ入り位置でも、図8に示される制動作用位置でも、そのクラッチ入り位置と制動作用位置との中間位置でも、従動側クラッチ体86に対して押圧ピストン101の押し操作力と圧縮バネ88との戻し操作力とが互いに逆向きに作用している。したがって、通常の作動状態では、従動側クラッチ体86と押圧ピストン101とは、間にスラストベアリング80を挟み込んだ状態で、これらの三者が一体的に移動して、サイドクラッチ83の入り切りや、サイドブレーキ84の制動作動あるいは制動解除の操作が行われる。
このような状態では、押圧ピストン101の先端部からスラストベアリング80や従動側クラッチ体86が離れてしまうが、この状態でも、押圧ピストン101と係止支持部86Dとは、図9に示すように重複代L3だけ、サイドクラッチ軸46の軸心方向で重複した状態に維持される。
また、係止支持部86Dの外周面と、スラストベアリング80の内周面とは、ほぼ同径に形成されていて、スラストベアリング80を係止支持部86Dに外嵌させた状態で、筒状の係止支持部86Dの軸線方向に沿って力を加えることによって抜き差しが可能である程度に構成されている。
また、このように係止支持部86Dの突出長さが長く形成されていることにより、メンテナンスを行うときに、駆動側クラッチ体87と従動側クラッチ体86とを分解した際にも、従動側クラッチ体86の装着箇所86Fに装備されていたスラストベアリング80が簡単に抜け落ちるような不具合を生じ難い点でも有利である。
この外周係止部86Gは、スラストベアリング80の外周側に接して受け止め支持することにより、内周側の係止支持部86Dのみでスラストベアリング80を支持する場合よりも、より安定的に支持し易い点で有利である。
透孔86Eは、従動側クラッチ体86のうちの、サイドクラッチ軸46の軸心方向における横外方側に向く面と、その反対側の横内方側に向く面とにわって形成され、従動側クラッチ体86の歯部86Aと駆動側クラッチ体87の歯部87Aとが存在する空間と、その反対側でセパレータプレート95やブレーキディスク96が位置する空間とを連通させるように機能するものである。
図11に示すように、ミッションケース40の後側には、左右の半割ケース40L,40Rのそれぞれに、機体フレーム10に対する取付用のボルト孔40cを設けてある。この取付用のボルト孔40cは、左右で同一仕様に形成されたものであり、左右何れの側の取付用のボルト孔40cを用いても機体フレーム10に対してミッションケース40を取り付けることができる。
したがって、ミッションケース40を機体フレーム10に取り付けるにあたり、左右の取付用のボルト孔40cのうち、何れか一方の側のボルト孔40cを介して左右の半割ケース40L,40Rのうちの何れか一方を機体フレーム10に取り付け、その一方の半割ケース40L(又は40R)に対して、残りの他方の半割ケース40R(又は40L)を取り付けることによって、機体フレーム10にミッションケース40を取り付けることができる。
尚、ミッションケース40の取り付けは、機体フレーム10に直接的に固定するものに限らず、別途取り付け部材を用いて間接的に取り付けても良いし、機体フレーム10以外の機体固定部に取り付けるものであっても良い。
また、仕様の異なる別々の機種に対して共通のミッションケース40を用いることができるようにすることが可能となる。つまり、別々の機種毎に、ミッションケース40の左右の半割ケース40L,40Rのうちの何れか選択して機体固定部に取り付けるようにする等、取り付け形態を変更して共通部品を使用することが可能となり、これによって部品点数の削減による構造の簡素化を図り得る点でも有利である。
そして、このガスケット58のうち、油圧通路40dの周辺に存在する部位では、ミッションケース40の内部空間である機器配設用空間40S側へ向けて少し切り込ませた形状の脆弱部58aを形成してある。これは、油圧通路40dに高圧が作用するなどして、ガスケット58が破損するような事態が発生した場合に、ミッションケース40の外側よりも、ミッションケース40の内部空間である機器配設用空間40S側へ向けて亀裂等の破損部58bが生じ易くなるようにしたものである。
このようにしたことにより、ガスケット58が破損して、油圧通路40dからの油漏れが生じる事態となっても、その油漏れの方向がミッションケース40の内部空間である機器配設用空間40S側へ向くように制御されるので、ミッションケース40外へ油が漏れ出すような不具合を回避し易いものである。
そして、この走行駆動軸50と、走行駆動軸50を支承する駆動軸ケース51の外端部と、前記駆動スプロケット1Aの内端側の面と、駆動軸ケース51の外端部の外端部近くに設けたボールベアリング52との間に存在する空間部に、次のように構成されたシール構造が設けられている。
また、シール材54と駆動スプロケット1Aとの間に生じる空間部に、泥土等の侵入を抑制するカバー部材55が、駆動軸ケース51の軸端部に固定され、駆動軸ケース51と一体回動するように構成されている。
インナーシール部材56は、全体がほぼ断面L字状に形成されていて、外周側に備えた金属製摺接部材56Aの内周側にゴム製シール材56Bが貼着され、カラー53の外周側に、カラー53と一体回動するように強く嵌め込まれている。
アウターシール部材57は、金属製の芯金57Aをゴム製材料からなる接触シール材57Bに内包した状態で形成され、駆動軸ケース51の内周面側に嵌め込まれて、駆動軸ケース51と一体回動するように構成されている。
したがって、アウターシール部材57の接触シール材57Bがインナーシール部材56の金属製摺接部材56Aの外面側に摺接しながら、走行駆動軸50の回転に伴って、インナーシール部材56とアウターシール部材57とが相対回動するように構成されている。
これにより、インナーシール部材56の金属製摺接部材56Aに対してアウターシール部材57の接触シール材57Bが比較的強く当接するようにして、インナーシール部材56とアウターシール部材57との間でのシール性能が向上するようにしても、金属製摺接部材56Aの耐久性を良好に保ち、シール性能の向上と耐久性の向上とを図り得る利点がある。
上記の実施形態では、シール材54のインナーシール部材56として、全体がほぼ断面L字状に形成されていて、外周側に備えた金属製摺接部材56Aの内周側にゴム製シール材56Bが貼着された構造のものを例示した。そして、これをカラー53の外周に対して、カラー53と一体回動するように強く嵌め込まれた構造のものを示したが、これに限られるものではない。
例えば、図16に示すように、カラー53が上述のインナーシール部材56の一部である金属製摺接部材56Aとしての役割も果たすように、カラー53の一端部にフランジ状の摺接部53Aを一体形成して、この摺接部53Aにアウターシール部材57を摺接させるようにした構造のものであってもよい。
このようにカラー53にフランジ状の摺接部53Aを形成する構造では、カラー53の焼き入れ加工などに際して、フランジ状の摺接部53Aも同時的に加工され、表面の硬度を高め、耐摩耗性を向上させることができる。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、シール構造として、軸端側の前後がボールベアリング52のインナーレースと駆動スプロケット1Aの内端側の面とに圧接する状態で、走行駆動軸50と一体回転するように設けられたカラー53を備えるにあたり、カラー53の径方向の肉厚d1と、駆動スプロケット1Aの対向箇所の径方向の肉厚d2とがほぼ同程度に構成されたものを示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、図17に示されるように、カラー53の径方向の肉厚d1よりも、駆動スプロケット1Aの対向箇所の径方向の肉厚d2が大であるように構成してもよい。このように構成すれば、カラー53の外周面と駆動軸ケース51の内周面との間に介装したシール材54が駆動スプロケット1A側へ抜け出すことを規制する機能を得られる。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、スラストベアリング80の装着箇所86Fよりも径方向での外方側に位置する部分に、装着箇所86Fで油室100と対向してスラストベアリング80を受ける底面よりも油室100側へ突出する外周係止部86Gを設けた構造のものを例示したが、これに限られるものではない。例えば、この外周係止部86Gを備えずに、装着箇所86Fよりも径方向での外方側に位置する部分も、装着箇所86Fと面一な構造のものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、従動側クラッチ体86の歯部86Aと駆動側クラッチ体87の歯部87Aとが存在する空間と、その反対側でセパレータプレート95やブレーキディスク96が位置する空間とを連通させる透孔86Eを、従動側クラッチ体86を貫通する状態で設けた構造のものを例示したが、これに限られたものではない。
例えば、このような透孔86Eを設けずに、ミッションケース40の内部で、従動側クラッチ体86とその従動側クラッチ体86が内装されている部分との間隙を大きくするなどして、従動側クラッチ体86の移動方向前後における作動油の流動抵抗を減らすようにしたり、あるいは、従動側クラッチ体86と筒軸85とのスプライン嵌合箇所の融通を大きくするなどしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
86 従動側クラッチ体
86A 歯部
86D 係止支持部
86E 透孔
87 駆動側クラッチ体
87A 歯部
88 付勢手段
101 押圧ピストン
L1 係合代
L2 長さ
Claims (5)
- 駆動軸と一体に回転する駆動側クラッチ体と、
前記駆動軸に対して、その駆動軸の軸心周りで相対回転、及び前記軸心に沿う方向で相対移動自在に外嵌する従動側クラッチ体とを備え、
前記駆動側クラッチ体と前記従動側クラッチ体とのそれぞれは、前記駆動側クラッチ体に対する前記従動側クラッチ体の遠近移動に伴って係脱される歯部を備え、
前記従動側クラッチ体を前記駆動側クラッチ体へ近づける係合側へ弾性押圧する付勢手段と、
前記従動側クラッチ体を前記付勢手段の付勢力に抗して前記駆動側クラッチ体から離れる係合解除側へ操作する押圧ピストンとを備え、
前記押圧ピストンと前記従動側クラッチ体との当接箇所にスラストベアリングを介装し、
前記従動側クラッチ体に、前記スラストベアリングの径方向での位置移動を規制するように前記スラストベアリングの内周側に位置して前記駆動側クラッチ体側へ突出する係止支持部を形成してあり、
前記スラストベアリングの前記押圧ピストンとの当接箇所から前記係止支持部の突出端部までの前記軸心に沿う方向での長さは、前記駆動側クラッチ体の歯部と前記従動側クラッチ体の歯部との、前記軸心に沿う方向での係合代よりも長く設定され、
前記駆動側クラッチ体の歯部と前記従動側クラッチ体の歯部とは、互いに対向して係合するドッグクラッチによって構成されている作業車用の伝動装置。 - 前記係止支持部は前記スラストベアリングの内周に沿った円筒状に形成されている請求項1記載の作業車用の伝動装置。
- 駆動軸と一体に回転する駆動側クラッチ体と、
前記駆動軸に対して、その駆動軸の軸心周りで相対回転、及び前記軸心に沿う方向で相対移動自在に外嵌する従動側クラッチ体とを備え、
前記駆動側クラッチ体と前記従動側クラッチ体とのそれぞれは、前記駆動側クラッチ体に対する前記従動側クラッチ体の遠近移動に伴って係脱される歯部を備え、
前記従動側クラッチ体を前記駆動側クラッチ体へ近づける係合側へ弾性押圧する付勢手段と、
前記従動側クラッチ体を前記付勢手段の付勢力に抗して前記駆動側クラッチ体から離れる係合解除側へ操作する押圧ピストンとを備え、
前記押圧ピストンと前記従動側クラッチ体との当接箇所にスラストベアリングを介装し、
前記従動側クラッチ体に、前記スラストベアリングの径方向での位置移動を規制するように前記スラストベアリングの内周側に位置して前記駆動側クラッチ体側へ突出する係止支持部を形成してあり、
前記スラストベアリングの前記押圧ピストンとの当接箇所から前記係止支持部の突出端部までの前記軸心に沿う方向での長さは、前記駆動側クラッチ体の歯部と前記従動側クラッチ体の歯部との、前記軸心に沿う方向での係合代よりも長く設定され、
前記従動側クラッチ体に、前記スラストベアリングの外周側に位置して前記駆動側クラッチ体側へ突出する外周係止部を形成してある作業車用の伝動装置。 - 駆動軸と一体に回転する駆動側クラッチ体と、
前記駆動軸に対して、その駆動軸の軸心周りで相対回転、及び前記軸心に沿う方向で相対移動自在に外嵌する従動側クラッチ体とを備え、
前記駆動側クラッチ体と前記従動側クラッチ体とのそれぞれは、前記駆動側クラッチ体に対する前記従動側クラッチ体の遠近移動に伴って係脱される歯部を備え、
前記従動側クラッチ体を前記駆動側クラッチ体へ近づける係合側へ弾性押圧する付勢手段と、
前記従動側クラッチ体を前記付勢手段の付勢力に抗して前記駆動側クラッチ体から離れる係合解除側へ操作する押圧ピストンとを備え、
前記押圧ピストンと前記従動側クラッチ体との当接箇所にスラストベアリングを介装し、
前記従動側クラッチ体に、前記スラストベアリングの径方向での位置移動を規制するように前記スラストベアリングの内周側に位置して前記駆動側クラッチ体側へ突出する係止支持部を形成してあり、
前記スラストベアリングの前記押圧ピストンとの当接箇所から前記係止支持部の突出端部までの前記軸心に沿う方向での長さは、前記駆動側クラッチ体の歯部と前記従動側クラッチ体の歯部との、前記軸心に沿う方向での係合代よりも長く設定され、
前記従動側クラッチ体の前記係止支持部よりも前記駆動軸に近い側の部分に、前記従動側クラッチ体の前記駆動側クラッチ体に対向する側に存在する空間と、その反対側に位置する空間とを連通させる透孔が形成されている請求項1〜3のいずれか一項記載の作業車用の伝動装置。 - 前記透孔は、前記従動側クラッチ体の周方向で隣り合う前記歯部同士の中間位置に形成されている請求項4記載の作業車用の伝動装置。
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