以下に、本願発明を具体化した実施形態を、普通型コンバインに搭載した車両用駆動装置の図面に基づいて説明する。まず、図1〜図3を参照しながら、コンバインの概略構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。
図1〜図3に示す如く、作業車両としての普通型コンバインは、走行部としてのゴムクローラ製の左右一対の履帯2にて支持された走行機体1を備える。走行機体1の前部には、稲、麦、大豆又はトウモロコシ等の未刈り穀稈を刈取りながら取込む刈取部3が単動式の昇降用油圧シリンダ4にて昇降調節可能に装着されている。
走行機体1の左側には、刈取部3から供給された刈取穀稈を脱穀処理するための脱穀部9を搭載する。脱穀部9の下部には、揺動選別及び風選別を行うための穀粒選別機構10を配置する。走行機体1の前部右側には、オペレータが搭乗する運転台5を搭載する。動力源としてのエンジン7を、運転台5(運転座席42の下方)に配置する。運転台5の後方(走行機体1の右側)には、脱穀部9から穀粒を取出すグレンタンク6と、トラック荷台(またはコンテナなど)に向けてグレンタンク6内の穀粒を排出する穀粒排出コンベヤ8を配置する。穀粒排出コンベヤ8を機外側方に傾倒させて、グレンタンク6内の穀粒を穀粒排出コンベヤ8にて搬出するように構成している。
刈取部3は、脱穀部9前部の扱口9aに連通したフィーダハウス11と、フィーダハウス11の前端に連設された横長バケット状の穀物ヘッダー12とを備える。穀物ヘッダー12内に掻込みオーガ13(プラットホームオーガ)を回転可能に軸支する。掻込みオーガ13の前部上方にタインバー付き掻込みリール14を配置する。穀物ヘッダー12の前部にバリカン状の第1刈刃15を配置する。穀物ヘッダー12前部の左右両側に左右の分草体16を突設する。また、フィーダハウス11に供給コンベヤ17を内設する。供給コンベヤ17の送り終端側に位置する扱口9aに刈取り穀稈投入用ビータ18(フロントロータ)を設ける。フィーダハウス11の下面部と走行機体1の前端部とは昇降用油圧シリンダ4を介して連結され、後述する刈取入力軸89(フィーダハウスコンベヤ軸)を昇降支点として、刈取部3が昇降用油圧シリンダ4にて昇降動する。
上記の構成により、左右の分草体16間の未刈り穀稈の穂先側が掻込みリール14にて掻込まれ、未刈り穀稈の稈元側が第1刈刃15にて刈取られ、掻込みオーガ13の回転駆動によって、穀物ヘッダー12の左右幅の中央部寄りのフィーダハウス11入口付近に刈取穀稈が集められる。穀物ヘッダー12の刈取穀稈の全量は、供給コンベヤ17によって搬送され、ビータ18によって脱穀部9の扱口9aに投入されるように構成している。なお、穀物ヘッダー12を水平制御支点軸回りに回動させる水平制御用油圧シリンダ(図示省略)を備え、穀物ヘッダー12の左右方向の傾斜を前記水平制御用油圧シリンダにて調節して、穀物ヘッダー12、及び第1刈刃15、及び掻込みリール14を圃場面に対して水平に支持することも可能である。
図1及び図3に示す如く、脱穀部9の扱室内に扱胴21を回転可能に設ける。走行機体1の前後方向に延長させた扱胴軸20に扱胴21を軸支する。扱胴21の下方側には、穀粒を漏下させる受網24を張設する。なお、扱胴21前部の外周面には、螺旋状のスクリュー羽根状の取込み羽根25が半径方向外向きに突設されている。
上記の構成により、ビータ18によって扱口9aから投入された刈取穀稈は、扱胴21の回転によって走行機体1の後方に向けて搬送されながら、扱胴21と受網24との間等にて混練されて脱穀される。受網24の網目よりも小さい穀粒等の脱穀物は受網24から漏下する。受網24から漏下しない藁屑等は、扱胴21の搬送作用によって、脱穀部9後部の排塵口23から圃場に排出される。なお、扱胴21の上方側には、扱室内の脱穀物の搬送速度を調節する複数の送塵弁(図示省略)を回動可能に枢着する。前記送塵弁の角度調整によって、扱室内にある脱穀物の搬送速度(滞留時間)を、刈取穀稈の品種や性状に応じて調節できる。
一方、脱穀部9の下方に配置された穀粒選別機構10として、グレンパン及びチャフシーブ及びグレンシーブ及びストローラック等を有する比重選別用の揺動選別盤26を備える。また、穀粒選別機構10として、揺動選別盤26に選別風を供給する送風ファン状の唐箕29等を備える。扱胴21にて脱穀されて受網24から漏下した脱穀物は、揺動選別盤26の比重選別作用と送風ファン状の唐箕29の風選別作用とにより、穀粒(精粒等の一番物)、穀粒と藁の混合物(枝梗付き穀粒等の二番物)、及び藁屑等に選別されて取出される。
揺動選別盤26の下側方には、穀粒選別機構10として、一番コンベヤ機構30及び二番コンベヤ機構31を備える。揺動選別盤26及び送風ファン状の唐箕29の選別によって揺動選別盤26から落下した穀粒(一番物)は、一番コンベヤ機構30及び揚穀コンベヤ32によってグレンタンク6に収集される。穀粒と藁の混合物(二番物)は、二番コンベヤ機構31及び二番還元コンベヤ33等を介して揺動選別盤26の選別始端側に戻され、揺動選別盤26によって再選別される。藁屑等は、走行機体1後部の排塵口23から圃場に排出されるように構成する。
更に、図1〜図4に示す如く、運転台5には、操縦コラム41と、オペレータが座乗する運転座席42とを配置している。操縦コラム41には、エンジン5の回転数を調節するアクセルレバー40と、オペレータの回転操作にて走行機体1の進路を変更する丸形状の操縦ハンドル43と、走行機体1の移動速度を切換える主変速レバー44及び副変速レバー45と、刈取部3を駆動または停止操作する刈取クラッチレバー46と、脱穀部9を駆動または停止操作する脱穀クラッチレバー47が配置されている。また、グレンタンク6の前部上面側にサンバイザー支柱48を介して日除け用の屋根体49を取付け、日除け用の屋根体49にて運転台5の上方側を覆っている。
図1及び図2に示す如く、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム50を配置している。トラックフレーム50には、履帯2にエンジン7の動力を伝える駆動スプロケット51と、履帯2のテンションを維持するテンションローラ52と、履帯2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ53と、履帯2の非接地側を保持する中間ローラ54とを設けている。駆動スプロケット51によって履帯2の前側を支持させ、テンションローラ52によって履帯2の後側を支持させ、トラックローラ53によって履帯2の接地側を支持させ、中間ローラ54によって履帯2の非接地側を支持させている。
次に、図4〜図6を参照してコンバインの駆動構造を説明する。図4〜図6に示す如く、直進ポンプ64a及び直進モータ64bを有する走行変速用の直進油圧無段変速機64をミッションケース63に設ける。走行機体1前部の右側上面にエンジン7を搭載し、走行機体1前部で且つエンジン7の左側にミッションケース63を配置している。エンジン7から左側方に突出させた出力軸65と、ミッションケース63から左側方に突出させたミッション入力軸66を、エンジン出力ベルト67で動力伝達可能に連結している。加えて、昇降用油圧シリンダ4等を駆動する作業部チャージポンプ68及び冷却ファン69をエンジン7に配置し、作業部チャージポンプ68及び冷却ファン69をエンジン7にて駆動する。
また、旋回ポンプ70a及び旋回モータ70bを有する操舵用の旋回油圧無段変速機70をミッションケース63に設け、ミッション入力軸66を介して直進油圧無段変速機64及び旋回油圧無段変速機70にエンジン7出力を伝達させる一方、操縦ハンドル43と主及び副変速レバー44,45とで、直進油圧無段変速機64と旋回油圧無段変速機70とを出力制御し、直進油圧無段変速機64及び旋回油圧無段変速機70を介して左右の履帯2を駆動し、圃場内等を走行移動するように構成している。実施形態では、ミッションケース63の右側面上部に直進及び旋回油圧無段変速機64,70を配置している。直進及び旋回油圧無段変速機64,70とミッションケース63とによって、本願発明の車両用駆動装置を構成している。
図4及び図5に示す如く、脱穀部9の前面側には、扱胴軸20の前端側を軸支する扱胴駆動ケース71を配置している。そして、扱胴21を駆動させる左右横長の扱胴入力軸72を扱胴駆動ケース71に軸支する。また、脱穀部9の左右に貫通させるカウンタ軸73を備える。脱穀部9の左右一側から左右他側に亘るカウンタ軸73を、扱胴21の下方を通って脱穀部9を左右方向に貫通するように設けている。カウンタ軸73の右側端部に作業部入力プーリ83を設けている。エンジン7の出力軸65に、テンションプーリ形の脱穀クラッチ84と作業部駆動ベルト85とを介して、カウンタ軸73の右側端部を動力伝達可能に連結している。
カウンタ軸73よりも上方且つ扱胴21の前方に、走行機体1左右向きに延設された扱胴入力軸72と、走行機体1左右向きに配置されたビータ18と、走行機体1左右向きに延設された刈取入力軸89を設けている。加えて、カウンタ軸73の駆動力を扱胴入力軸72に伝達する扱胴入力機構90として、扱胴駆動プーリ86,87と扱胴駆動ベルト88とを備え、エンジン7からの駆動力が伝達されるカウンタ軸73のエンジン7側一端部に扱胴入力機構90(扱胴駆動プーリ86,87と扱胴駆動ベルト88)を配置する。また、カウンタ軸73の駆動力を刈取入力軸89に伝達する刈取入力機構100として、刈取り駆動プーリ106,107と刈取り駆動ベルト114を備え、扱胴入力機構90が配置されたエンジン7側一端部とは反対側となるカウンタ軸73の他端部に刈取入力機構100(刈取り駆動プーリ106,107と刈取り駆動ベルト114)を配置する。
更に、図4に示す如く、走行機体1上面側のうち脱穀部9前方に、刈取り支持枠体36を設置している。刈取り支持枠体36の前面側に刈取り軸受体を介して走行機体1左右向きに刈取入力軸89を回動可能に軸支すると共に、刈取り支持枠体36の内部にビータ軸82を介してビータ18を回動可能に軸支する。また、刈取り支持枠体36の左側外面に正逆転切換ケース121を取付けると共に、刈取り支持枠体36の上面側に扱胴駆動ケース71を取付けている。
一方、フィーダハウス11内の供給コンベヤ17を駆動する左右向きの刈取入力軸89を備える。エンジン7からカウンタ軸73のエンジン7側一端部に伝達された刈取駆動力を、エンジン7とは反対側となるカウンタ軸73の他端部から、刈取正逆転切換ケース121の正逆転伝達軸122に伝達させる。刈取正逆転切換ケース121の正転用ベベルギヤ124又は逆転用ベベルギヤ125を介してビータ軸82を駆動する。また、ビータ18が軸支されたビータ軸82から、刈取入力軸89に前記刈取駆動力を伝達させるよう構成している。
すなわち、図5に示す如く、左右向きのビータ軸82にビータ18を軸支し、ビータ軸82のエンジン7側一端部から刈取部3にエンジン7の駆動力を伝達するものであり、ビータ軸82におけるエンジン7とは反対側となる左右他端部に刈取正逆転切換ケース121を配置し、エンジン7とは反対側となるカウンタ軸73の他端部から、刈取正逆転切換ケース121にエンジン7の駆動力を伝達するように構成している。
また、図5に示す如く、脱穀部9前側に左右向きの扱胴入力軸72を備え、エンジン7からカウンタ軸73におけるエンジン7側一端部に伝達された駆動力を、扱胴入力軸72におけるエンジン7側一端部に伝達するものであり、脱穀部9前側に扱胴入力軸72を設け、走行機体1左右向きに扱胴入力軸72を配置し、走行機体1前後向きに配置する扱胴軸20に扱胴21を軸支し、扱胴入力軸72におけるエンジン7とは反対側となる左右他端部にベベルギヤ機構75を介して扱胴軸20前端側を連結すると共に、カウンタ軸73におけるエンジン7とは反対側となる左右他端部から、脱穀後の穀粒を選別する穀粒選別機構10と刈取部3とにエンジン7の駆動力を伝達させるよう構成している。
エンジン7に近い側のカウンタ軸73の右側端部に、扱胴駆動プーリ86,87と扱胴駆動ベルト88とを介して、扱胴入力軸72の右側端部を連結する。左右方向に延設した扱胴入力軸72の左側端部に、ベベルギヤ機構75を介して扱胴軸20の前端側を連結する。カウンタ軸73の右側端部から扱胴入力軸72を介して扱胴軸20の前端側にエンジン7の動力を伝達させ、扱胴21を一方向に回転駆動させるように構成している。一方、送風ファン状の唐箕29を軸支した唐箕軸76の左側端部に、唐箕駆動プーリ101,102と唐箕駆動ベルト103とを介して、エンジン7から離れた側のカウンタ軸73の左側端部を連結している。カウンタ軸73の左側端部から唐箕軸76の左側端部にエンジン7の動力を伝達させ、唐箕29を一方向に回転駆動させるように構成している。
更に、一番コンベヤ機構30の一番コンベヤ軸77の左側端部と、二番コンベヤ機構31の二番コンベヤ軸78の左側端部とに、コンベヤ駆動ベルト111を介して唐箕軸76の左側端部を連結している。揺動選別盤26後部を軸支したクランク状の揺動駆動軸79の左側端部に揺動選別ベルト112を介して二番コンベヤ軸78の左側端部を連結している。従って、オペレータの脱穀クラッチレバー47操作によって脱穀クラッチ84が入り切り制御され、脱穀クラッチ84の入り操作によって穀粒選別機構10の各部と扱胴21が駆動されるように構成している。
なお、一番コンベヤ軸77を介して揚穀コンベヤ32が駆動されて、一番コンベヤ機構30の一番選別穀粒がグレンタンク6に収集される。また、二番コンベヤ軸78を介して二番還元コンベヤ33が駆動されて、二番コンベヤ機構31の藁屑が混在した二番選別穀粒(二番物)が揺動選別盤26の上面側に戻される。また、排塵口23に藁屑飛散用のスプレッダ(図示省略)を設ける構造では、スプレッダ駆動プーリ104とスプレッダ駆動ベルト105を介して、前記スプレッダに唐箕軸76の左側端部を連結する。
一方、ビータ18を軸支するビータ軸82を備える。エンジン7から離れた側のビータ軸82の左側端部に正逆転切換ケース121を配置する。正逆転切換ケース121内にビータ軸82の左側端部を挿入すると共に、正逆転伝達軸122と正逆転切換軸123を正逆転切換ケース121に設ける。ビータ軸82と正逆転伝達軸122とを略同一軸心線上に配置する。刈取り駆動プーリ106,107、刈取り駆動ベルト114及び刈取クラッチ115(テンションプーリ)を介して、カウンタ軸73の左側端部に正逆転伝達軸122の左側端部を連結する。
図5に示す如く、供給コンベヤ17の送り終端側を軸支するコンベヤ入力軸としての刈取入力軸89を備える。穀物ヘッダー12の右側部背面側にヘッダー駆動軸91を回転自在に軸支する。刈取駆動チェン116及びスプロケット117〜119を介して、左右方向に延設したヘッダー駆動軸91の左側端部に、ビータ軸82の右側端部と刈取入力軸89の右側端部とを動力伝達可能に連結する。掻込みオーガ13を軸支する掻込み軸93を備える。掻込み軸93の右側端部に、掻込み駆動チェン92を介してヘッダー駆動軸91の中間部を連結している。
また、掻込みリール14を軸支するリール軸94を備える。リール軸94の右側端部に、中間軸95及びリール駆動チェン96,97を介してヘッダー駆動軸91の中間部を連結している。ヘッダー駆動軸91の右側端部には、第1刈刃駆動クランク機構98を介して第1刈刃15が連結されている。刈取クラッチ115の入り切り操作によって、供給コンベヤ17、掻込みオーガ13、掻込みリール14及び第1刈刃15が駆動制御されて、圃場の未刈り穀稈の穂先側を連続的に刈取るように構成している。
図5に示す如く、正逆転伝達軸122に一体形成する正転用ベベルギヤ124と、刈取入力軸89に回転自在に軸支する逆転用ベベルギヤ125と、正転用ベベルギヤ124に逆転用ベベルギヤ125を連結させる中間ベベルギヤ126を、正逆転切換ケース121に内設する。正転用ベベルギヤ124と逆転用ベベルギヤ125に中間ベベルギヤ126を常に歯合させる。一方、ビータ軸82にスライダ127をスライド自在にスプライン係合軸支する。爪クラッチ形状の正転クラッチ128を介して正転用ベベルギヤ124にスライダ127を係脱可能に係合可能に構成すると共に、爪クラッチ形状の逆転クラッチ129を介して逆転用ベベルギヤ125にスライダ127を係脱可能に係合可能に構成している。
また、スライダ127を摺動操作する正逆転切換軸123を備え、正逆転切換軸123に正逆転切換アーム130を設け、正逆転切換レバー(正逆転操作具)操作にて正逆転切換アーム130を揺動させて正逆転切換軸123を回動し、正転用ベベルギヤ124又は逆転用ベベルギヤ125にスライダ127を接離させ、正転クラッチ128若しくは逆転クラッチ129を介して、正転用ベベルギヤ124又は逆転用ベベルギヤ125にスライダ127を択一的に係止し、正逆転伝達軸122に刈取入力軸89を正転連結させたり逆転連結させたりするように構成している。
図5に示す如く、テンションプーリ形のオーガクラッチ56及びオーガ駆動ベルト57を介して、エンジン7の出力軸65にオーガ駆動軸58の右側端部を連結する。オーガ駆動軸58の左側端部にベベルギヤ機構59を介してグレンタンク6底部の横送りオーガ60前端側を連結する。横送りオーガ60の後端側にベベルギヤ機構61を介して穀粒排出コンベヤ8の縦送りオーガ62を連結している。また、オーガクラッチ56を入り切り操作する穀粒排出レバー55を備える。グレンタンク6前面のうち運転座席42後方の前面に穀粒排出レバー55を取付け、運転座席42側からオペレータが穀粒排出レバー55を操作可能に構成している。
図1、図2及び図4に示す如く、バリカン状の第1刈刃15と略同一長さ形状のバリカン状の第2刈刃133を備える。走行機体1に第2刈刃133を装着する第2刈刃フレームとして、左側フレーム134、右側フレーム135及び中央フレーム136を備える。左側フレーム134、右側フレーム135及び中央フレーム136の先端側に、第2刈刃台137を固着し、第2刈刃機構132を構成している。
第2刈刃台137の両端部に左右の接地橇体138を設ける。第2刈刃台137のうち左右の接地橇体138の間に第2刈刃133を往復動可能に取付ける。一方、走行機体1の運転台フレームに右側フレーム135の基端側を回動可能に支持している。また、走行機体1の前側フレームに中央フレーム136の基端側を回動可能に支持している。
図5に示す如く、正逆転切換ケース121から第2刈刃133に駆動力を伝達する第2刈刃駆動機構171を備える。第2刈刃駆動機構171は、第2刈刃133に駆動力を伝達する第2刈刃駆動軸172と、ベベルギヤ機構173を介して第2刈刃駆動軸172に連結する偏心回転軸174と、偏心回転軸174に連結する第2刈刃駆動クランク機構175を有する。正逆転切換ケース121内に第2刈刃駆動軸172の一端側を突入させて、第2刈刃駆動軸172に前記中間ベベルギヤ126を係合軸支し、中間ベベルギヤ126を介して正逆転伝達軸122に第2刈刃駆動軸172を連結している。
第2刈刃駆動クランク機構175は、偏心回転軸174に設ける偏心回転体177と、偏心回転体177に連結する揺動回転軸178と、揺動回転軸178に連結する揺動駆動アーム179と、揺動駆動アーム179に第2刈刃133を連結する押し引きロッド180とを備える。なお、第2刈刃駆動軸172とベベルギヤ機構173に代えて、正逆転伝達軸122に偏心回転軸174を連結させる一組のスプロケットと伝動チェンを設け、前記スプロケットと伝動チェンを介して正逆転伝達軸122から第2刈刃駆動クランク機構175に第2刈刃133駆動力を伝達するようにしてもよい。
上記の構成により、偏心回転軸174の一方向回転を、揺動回転軸178の揺動回転(一定範囲内で正逆転させる往復回転)に変換して、揺動駆動アーム179を揺動させ、押し引きロッド180を介して第2刈刃133を往復摺動させ、第1刈刃15にて刈取られた直後の圃場の残稈(穀稈の株元側)を第2刈刃133にて切断し、圃場に残る株元の高さを低くするように構成している。
また、図4に示すように、第2刈刃駆動軸172を内設する円筒状の伝動フレーム181と、ベベルギヤ機構173を内設する四角箱状のベベルギヤケース182を備える。正逆転切換ケース121に伝動フレーム181の一端側を着脱可能に締結し、伝動フレーム181の他端側にベベルギヤケース182を着脱可能に締結している。即ち、偏心回転軸174、ベベルギヤケース182、伝動フレーム181を介して、正逆転切換ケース121に左側フレーム134を支持している。なお、第2刈刃駆動クランク機構175は、左側フレーム134に着脱可能に支持した第2刈刃駆動カバー185内に配置している(図1及び図3参照)。
上記の構成により、刈取クラッチ115の入り操作によって刈取部3を駆動することにより、第1刈刃15と共に第2刈刃133が作動し、第1刈刃15によって圃場の未刈り穀稈の穂先側を刈取り、その穀稈の穂先側をフィーダハウス11から脱穀部9に搬入し、穀粒選別機構10からグレンタンク6に穀粒を取出す。一方、第1刈刃15によって圃場の穀稈が刈取られた跡に残る切株(残稈)は、第2刈刃133にて適宜高さに切断され、収穫作業後に圃場に残る切株(株元)の高さが略一定高さに低く揃えられる。収穫作業後の圃場に残る切株の高さを低くすることにより、圃場の後処理作業性(耕耘作業性等)を向上できる。
次に、図5及び図6を参照しながら、ミッションケース63等の動力伝達構造について説明する。図6に示す如く、ミッションケース63に、直進ポンプ64a及び直進モータ64bを有する走行変速用の直進油圧無段変速機64と、旋回ポンプ70a及び旋回モータ70bを有する操舵用の旋回油圧無段変速機70とを設ける。直進ポンプ64aのポンプ軸258及び旋回ポンプ70aのポンプ軸259に、ミッションケース63のミッション入力軸66をそれぞれギヤ連結させて駆動するように構成している。ミッション入力軸66のうちミッションケース63外の突出端側に設けたミッション入力プーリ169にエンジン出力ベルト67を掛け回している。ミッション入力プーリ169にエンジン出力ベルト67を介してエンジン7の出力を伝達し、直進ポンプ64a及び旋回ポンプ70aを駆動させる。
図6に示す如く、エンジン7の出力軸65から出力される駆動力は、エンジン出力ベルト67及びミッション入力軸66を介して、直進ポンプ64aのポンプ軸258及び旋回ポンプ70aのポンプ軸259にそれぞれ伝達される。直進油圧無段変速機64では、ポンプ軸258に伝達された動力にて、直進ポンプ64aから直進モータ64bに向けて作動油が適宜送り込まれる。同様にして、旋回油圧無段変速機70では、ポンプ軸259に伝達された動力にて、旋回ポンプ70aから旋回モータ70bに向けて作動油が適宜送り込まれる。なお、旋回ポンプ70aのポンプ軸259には、直進ポンプ64a、直進モータ64b、旋回ポンプ70a及び旋回モータ70bに作動油を供給する変速機チャージポンプ151を取り付けている。
直進油圧無段変速機64は、操縦コラム41に配置した主変速レバー44や操縦ハンドル43の回動操作量に応じて、直進ポンプ64aにおける回転斜板の傾斜角度を変更調節することによって、直進モータ64bへの作動油の吐出方向及び吐出量を変更する。その結果、直進モータ64bから突出した直進モータ軸260の回転方向及び回転数が任意に調節される。
図6に示す如く、直進モータ軸260の回転動力は、直進伝達ギヤ機構250から副変速ギヤ機構251に伝達される。副変速ギヤ機構251は、互いに連動する副変速シフタ252,253によって切換える副変速低速ギヤ254、副変速中速ギヤ255及び副変速高速ギヤ256を備えている。低速用副変速シフタ252は、副変速ギヤ機構251の出力側に位置する駐車ブレーキ軸265(副変速出力軸)に軸支している。高速用副変速シフタ253は、直進伝達ギヤ機構250を構成する副変速カウンタ軸270に軸支している。操縦コラム41に配置した副変速レバー45の操作にて、直進モータ軸260の出力回転数は、低速、中速又は高速という三段階の変速段に択一的に切り換えられる。実施形態では、副変速の低速と中速との間に、中立位置(副変速の出力が零になる位置)を設けている。
図6に示す如く、駐車ブレーキ軸265(副変速出力軸)には、ドラム式の駐車ブレーキ266を設けている。副変速ギヤ機構251からの回転動力は、駐車ブレーキ軸265に固着した副変速出力ギヤ267から左右の差動機構257に伝達される。左右の差動機構257はそれぞれ遊星ギヤ機構268を備えている。駐車ブレーキ軸265上には直進用パルサ292を設けている。直進用パルサ292の外周側には直進車速センサ293(図9参照)を対向配置している。直進車速センサ293によって、直進出力の回転数(直進車速、副変速出力ギヤ267の変速出力とも言える)が検出される。
図6に示す如く、左右各遊星ギヤ機構268は、副変速出力ギヤ267に噛み合う一つのサンギヤ271と、サンギヤ271に噛み合う複数の遊星ギヤ272と、遊星ギヤ272に噛み合うリングギヤ273と、複数の遊星ギヤ272を同一円周上に回転可能に配置したキャリア274とをそれぞれ備えている。左右のキャリア274は、同一軸線上(後述するサンギヤ軸275及び左右の強制デフ出力軸277の軸線上)において適宜間隔を空けた状態で相対向して位置している。左右のサンギヤ271はサンギヤ軸275の軸方向両端側に固着している。サンギヤ軸275の軸方向中途部にはセンタギヤ276を固着している。
左右各リングギヤ273は、内周面の内歯を複数の遊星ギヤ272に噛み合わせた状態で、サンギヤ軸275と同心状に配置している。各リングギヤ273外周面の外歯は、後述する左右旋回出力用の中間ギヤ287,288を介して操向出力軸285に連結している。各リングギヤ273は、キャリア274の外側面から左右外向きに突出した左右の強制デフ出力軸277に回転可能に被嵌している。左右の強制デフ出力軸277に、ファイナルギヤ278a,278bを介して左右の車軸278が連結されている。左右の車軸278には駆動スプロケット51を取り付けている。従って、副変速ギヤ機構251から左右の遊星ギヤ機構268に伝わった回転動力は、左右の車軸278から各駆動スプロケット51に同方向の同一回転数にて伝達され、左右の履帯2を同方向の同一回転数にて駆動させ、走行機体1を直進(前進、後退)移動させる。
旋回油圧無段変速機70は、操縦コラム41に配置した主変速レバー44や操縦ハンドル43の回動操作量に応じて、旋回ポンプ70aにおける回転斜板の傾斜角度を変更調節することによって、旋回モータ70bへの作動油の吐出方向及び吐出量を変更する。その結果、旋回モータ70bから突出した旋回モータ軸261の回転方向及び回転数が任意に調節される。操向カウンタ軸280(詳細は後述する)上には旋回用パルサ294を設けている。旋回用パルサ294の外周側には旋回車速センサ295(図9参照)を対向配置している。旋回車速センサ295によって、旋回出力の回転数(旋回車速とも言える)が検出される。
図6に示す如く、ミッションケース63内には、旋回モータ軸261(操向入力軸)上に設けた湿式多板形の旋回ブレーキ279(操向ブレーキ)と、旋回モータ軸261に上流減速ギヤ281を介して連結した操向カウンタ軸280と、操向カウンタ軸280に下流減速ギヤ286を介して連結した操向出力軸285と、左リングギヤ273に逆転ギヤ284を介して操向出力軸285を連結させた左入力ギヤ機構282と、右リングギヤ273に操向出力軸285を連結させた右入力ギヤ機構283とを設けている。
旋回モータ軸261の回転動力は、上流減速ギヤ281経由で操向カウンタ軸280に伝達される。操向カウンタ軸280に伝わった回転動力は、左入力ギヤ機構282の左中間ギヤ287と逆転ギヤ284とを経由した逆転回転動力として、左リングギヤ273に伝達される一方、右入力ギヤ機構283の右中間ギヤ288を経由した正転回転動力として、右リングギヤ273に伝達される。
副変速ギヤ機構251を中立にした場合は、直進モータ64bから左右の遊星ギヤ機構268への動力伝達が阻止される。副変速ギヤ機構251を中立以外の変速段に設定した場合は、副変速低速ギヤ254、副変速中速ギヤ255又は副変速高速ギヤ256を介して直進モータ64bから左右の遊星ギヤ機構268へ動力伝達される。
一方、旋回ポンプ70aの出力を中立(ニュートラル)状態とし、且つ旋回ブレーキ279を入り状態とした場合は、旋回モータ70bから左右の遊星ギヤ機構268への動力伝達が阻止される。旋回ポンプ70aの出力を中立以外の状態とし、且つ旋回ブレーキ279を切り状態とした場合は、旋回モータ70bの回転動力が、左入力ギヤ機構282及び逆転ギヤ284を介して左リングギヤ273に伝達される一方、右入力ギヤ機構283を介して右リングギヤ273に伝達される。
旋回モータ70bの正回転(逆回転)時は、互いに逆方向の同一回転数で左リングギヤ273が逆転(正転)し右リングギヤ273が正転(逆転)する。つまり、各モータ軸260,261の変速出力は、副変速ギヤ機構251若しくは左右の差動機構257をそれぞれ経由して左右の履帯2の駆動スプロケット51にそれぞれ伝達され、走行機体1の車速(走行速度)及び進行方向が決定される。
すなわち、旋回モータ70bを停止させて左右リングギヤ273を静止固定させた状態で直進モータ64bを駆動させると、直進モータ軸260の回転出力は左右サンギヤ271に左右同一回転数で伝達され、遊星ギヤ272及びキャリア274を介して左右の履帯2が同方向の同一回転数にて駆動され、走行機体1が直進走行する。
逆に、直進モータ64bを停止させて左右サンギヤ271を静止固定させた状態で旋回モータ70bを駆動させると、旋回モータ軸261の回転動力によって、左リングギヤ273が正回転(逆回転)し右リングギヤ273は逆回転(正回転)する。その結果、左右の履帯2の駆動スプロケット51の一方が前進回転して他方が後退回転し、走行機体1はその場で方向転換(信地旋回、スピンターンとも言う)される。
また、直進モータ64bで左右サンギヤ271を駆動させながら旋回モータ70bで左右リングギヤ273を駆動させると、左右の履帯2の速度に差が生じ、走行機体1は、前進若しくは後退しながら、信地旋回半径より大きい旋回半径で左又は右に旋回(Uターン)する。このときの旋回半径は左右の履帯2の速度差に応じて決まる。エンジン7の走行駆動力が左右の履帯2に常に伝達された状態で左又は右に旋回移動する。
次に、図7を参照しながら、車両用駆動装置の油圧回路構造について説明する。車両用駆動装置の油圧回路200には、直進ポンプ64a、直進モータ64b、旋回ポンプ70a、旋回モータ70b及び変速機チャージポンプ151を備えている。直進ポンプ64aと直進モータ64bとは、直進第一油路201a及び直進第二油路201bによって閉ループ状に接続している。直進第一油路201a及び直進第二油路201bが直進閉油路201を構成している。旋回ポンプ70aと旋回モータ70bとは、旋回第一油路202a及び旋回第二油路202bによって閉ループ状に接続している。旋回第一油路202a及び旋回第二油路202bが旋回閉油路202を構成している。エンジン7の回転動力で直進ポンプ64a及び旋回ポンプ70aを駆動させ、直進ポンプ64aや旋回ポンプ70aの斜板角を制御することによって、直進モータ64bや旋回モータ70bへの作動油の吐出方向及び吐出量が変更され、直進モータ64bや旋回モータ70bが正逆転作動する。
図7に示すように、車両用駆動装置の油圧回路200は、主変速レバー44の手動操作に対応して切り換え作動する直進バルブ203と、直進バルブ203を介して変速機チャージポンプ151に接続した直進シリンダ204とを備えている。直進バルブ203を切り換え作動させると、直進シリンダ204が作動して直進ポンプ64aの斜板角を変更させ、直進モータ64bの直進モータ軸260回転数を無段階に変化させたり逆転させたりする直進変速動作が実行される。また、車両用駆動装置の油圧回路200は、直進変速用の油圧サーボ機構205をも備えている。直進ポンプ64aの斜板角制御によって直進バルブ203が中立復帰するフィードバック動作を油圧サーボ機構205で実行させ、主変速レバー44の手動操作量に比例して直進ポンプ64aの斜板角を変化させ、直進モータ60bの直進モータ軸260回転数を変更させる。
一方、車両用駆動装置の油圧回路200は、操縦ハンドル43の手動操作に対応して切り換え作動する旋回バルブ206と、旋回バルブ206を介して変速機チャージポンプ151に接続した旋回シリンダ207とを備えている。旋回バルブ206を切り換え作動させると、旋回シリンダ207が作動して旋回ポンプ70aの斜板角を変更させ、旋回モータ70bの旋回モータ軸261回転数を無段階に変化させたり逆転させたりする左右旋回動作が実行され、走行機体1が走行方向を左右に変更して圃場枕地で方向転換したり進路を修正したりする。また、車両用駆動装置の油圧回路200は旋回変速用の油圧サーボ機構208をも備えている。旋回ポンプ70aの斜板角制御によって旋回バルブ206が中立復帰するフィードバック動作を油圧サーボ機構208にて行わせ、操縦ハンドル43の手動操作量に比例して旋回ポンプ70aの斜板角を変化させ、旋回モータ70bの旋回モータ軸261回転数を変更させる。
図7に示すように、両閉油路201,202の全ての油路201a,201b,202a,202bには、チャージ分岐油路219(詳細は後述する)を接続している。チャージ分岐油路219と直進第一油路201aとの間に、直進第一油路201aに対するチェック弁211を設けている。チャージ分岐油路219と直進第二油路201bとの間には、直進第二油路201bに対するチェック弁211を設けている。従って、直進閉油路201は二つのチェック弁211を備えている。また、チャージ分岐油路219と旋回第一油路202aとの間に、旋回第一油路202aに対するチェック弁212を設けている。チャージ分岐油路219と旋回第二油路202bとの間には、旋回第二油路202bに対するチェック弁212を設けている。従って、旋回閉油路202も二つのチェック弁212を備えている。
直進第一油路201aと直進第二油路201bとには直進バイパス油路213を接続している。直進バイパス油路213には直進側双方向リリーフ弁215を設けている。旋回第一油路202aと旋回第二油路202bとには旋回バイパス油路214を接続している。旋回バイパス油路214には旋回側双方向リリーフ弁216を設けている。従って、各閉油路201,202は一つの双方向リリーフ弁215,216を備えている。
さて、変速機チャージポンプ151の吸入側は、ミッションケース63内にあるストレーナ217に接続している。変速機チャージポンプ151の吐出側にはチャージ導入油路218を接続している。チャージ導入油路218の下流側にチャージ分岐油路219を接続している。前述の通り、チャージ分岐油路219は、両閉油路201,202の全ての油路201a,201b,202a,202bに接続している。従って、エンジン7駆動中は、変速機チャージポンプ151からの作動油が両方の閉油路201,202に常時補充される。チャージ分岐油路219は、直進バルブ203を介して直進シリンダ204に接続していると共に、旋回バルブ206を介して旋回シリンダ207に接続している。チャージ分岐油路219は、余剰リリーフ弁220を介して、後述する無段変速ケース323ひいてはミッションケース63に接続している。従って、変速機チャージポンプ151からの作動油の余剰分は、余剰リリーフ弁220を介して、無段変速ケース323経由でミッションケース63内に戻される。
次に、図1〜図3及び図8を参照して、操縦ハンドル43などの運転操作構造を説明する。図8に示す如く、運転台5におけるオペレータ搭乗用の足載せ平坦部を構成するステップフレーム311を備える。走行機体1の上面側に複数の支脚フレーム312を立設させ、支脚フレーム312上端側にステップフレーム311を架設する。ステップフレーム311の右側機外側部の支脚フレーム312の側面に乗降用ステップ(図示省略)を固着し、乗降用ステップ(図示省略)の機内側部に作動油タンク315を配置すると共に、走行機体1上面のうちステップフレーム311前端部下方に、油圧バルブユニット体314を取付けている。
また、操向操作軸316と無段変速操作軸317を有するステアリングケース318を備える。ステップフレーム311前部下面側の左右の支脚フレーム312間にケース支持横フレーム319の両端を連結し、略水平なケース支持横フレーム319にステアリングケース318を着脱可能に締結固定する。油圧バルブユニット体314の直上にケース支持横フレーム319を介してステアリングケース318が多段状に支持される。ステアリングケース318の上面から上方に向けて操向操作軸316を突設させ、操縦ハンドル43にステアリング軸321を介して操向操作軸316を連結させると共に、ステアリングケース318の左側面から左側方に向けて無段変速操作軸317を突設させ、主変速レバー44に無段変速操作ロッド322を介して無段変速操作軸317を連結させる。
加えて、直進油圧無段変速機64と旋回油圧無段変速機70とを組付けた無段変速ケース323を備える。ミッションケース63の上部右側に無段変速ケース323を固着し、無段変速ケース323の前後面に、直進用及び旋回用の各無段変速操作アーム体324を配置させている。ステアリングケース318の背面側に設ける直進制御リンク345と旋回制御リンク346に、直進用及び旋回用の各無段変速操作アーム体324をそれぞれ連結させ、操縦ハンドル43の操向操作と主変速レバー44の変速操作にて、直進油圧無段変速機64と旋回油圧無段変速機70とを作動制御し、左右履帯2の進路と移動速度を変更可能に構成している。
なお、平面視で四角形のステップフレーム311の右側下方に作動油タンク315を配置し、ステップフレーム311の左側下方に無段変速ケース323を配置すると共に、ステップフレーム311の前部下方に油圧バルブユニット体314とステアリングケース318とを上下多段状に配置したから、作動油タンク315と無段変速ケース323の間に形成されるスペースを介して、ステアリングケース318後部のエンジン7(作動油ポンプ)と前方の油圧バルブユニット体314と作動油タンク315と各部の油圧アクチュエータ(昇降用油圧シリンダ4)との間に油圧配管を容易に延設できると共に、油圧機器のメンテナンス作業性などを向上できる。
次に、図8〜図10を参照しながら、ミッションケース63の概略構造について説明する。図8に示すように、走行機体1の上面右側にエンジン7を搭載し、走行機体1の左右幅中央の前方にミッションケース63を配置している。エンジン7の出力軸65の左側端部にエンジン出力プーリ168を軸支し、ミッションケース63の上部左側にあるミッション入力プーリ169とエンジン出力プーリ168とに、エンジン出力ベルト67を掛け回している。エンジン出力ベルト67を介して、エンジン7の出力がミッションケース63の各油圧無段変速機64,70にそれぞれ伝達される。
ミッションケース63は、上下に長く左右に分割可能な二つ割り構造であり、複数ボルトでの締結によって中空略箱形の形態になっている。ミッションケース63下部は、左右外向きに張り出した二股状で且つ下向き突出していて、大まかにいって正面視略門形状になっている。ミッションケース63の左右両側面下部から下向き突出したギヤケース部335には、左右外向きに突出する車軸ケース336をそれぞれボルト締結している。左右の車軸ケース336内にそれぞれ車軸278を回転可能に軸支している。左右の車軸278の突出端部に駆動スプロケット51(図1、図2及び図6参照)を取り付けている。図8に示すように、左右のギヤケース部335の底部はミッションケース63の底部よりも下方に位置していて、左右の車軸ケース336よりもミッションケース63の底部の方が高くなっている。
ミッションケース63の上部右側には、直進及び旋回油圧無段変速機64,70を組み付けた無段変速ケース323を取り付けている。この場合、無段変速ケース323内の前部側に直進油圧無段変速機64(直進ポンプ64a及び直進モータ64b)が位置し、後部側に旋回油圧無段変速機70(旋回ポンプ70a及び旋回モータ70b)が位置している。ミッションケース63内には、図6を用いて説明した副変速ギヤ機構251や差動機構257等のギヤトレインを収容している。
無段変速ケース323の前面側には、直進ポンプ64aの斜板を操作して直進モータ64bへの作動油の吐出方向及び吐出量を変更する直進操作軸325を前向きに突出させている。直進操作軸325を軸心回りに回動操作すれば、直進ポンプ64aの斜板角が変更され、直進モータ64bへの作動油の吐出方向及び吐出量が変更される。無段変速ケース323の後面側には、旋回ポンプ70aの斜板を操作して旋回モータ70bへの作動油の吐出方向及び吐出量を変更する旋回操作軸326を後向きに突出させている。旋回操作軸326を軸心回りに回動操作すれば、旋回ポンプ70aの斜板角が変更され、旋回モータ70bへの作動油の吐出方向及び吐出量が変更される。
図9に示すように、無段変速ケース323右外側面のうち旋回ポンプ70aとの対応箇所に、変速機チャージポンプ151を取り付けている。変速機チャージポンプ151は、上下に延びる吸引ホース337を介して、ミッションケース63内底側にあるストレーナ221(図7参照)に接続している。前述した通り、変速機チャージポンプ151は、旋回ポンプ70aのポンプ軸259で回転駆動する。ミッションケース63内底側の作動油は、変速機チャージポンプ151の駆動によって、ストレーナ221及び吸引ホース337を変速機介してチャージポンプ151に吸い込まれ、油圧回路200の各油路201,202,211,212,217〜210,222〜224等に供給される。
図9に示すように、ミッションケース63右側面のうち旋回モータ70bの下方に、駐車ブレーキ266を制動操作する駐車ブレーキアーム338を設けている。駐車ブレーキアーム338の制動操作によって駐車ブレーキ266を制動作動させると、駐車ブレーキ軸265及び副変速出力ギヤ267が回転不能にロックされ、左右の駆動スプロケット51に向かう直進出力が停止する。なお、操縦ハンドル43及び副変速ギヤ機構251が中立である場合は、旋回ブレーキ279が旋回モータ軸261を停止(回転不能)状態に維持する。その結果、旋回モータ70bの出力、すなわち、左右の駆動スプロケット51に向かう旋回出力が停止する。
図8〜図10に示すように、ミッションケース63前面側には、副変速ギヤ機構251の副変速シフタ252,253を操作する副変速アーム339を設けている。副変速アーム339は、操縦コラム41上の副変速レバー45に連動連結している。副変速レバー45を介しての副変速アーム339の操作によって、副変速シフタ252,253が互いに連動して切換操作され、直進モータ軸260の出力回転数が低速、中速又は高速という三段階の変速段に択一的に切り換えられる。
図8及び図10に示すように、ミッションケース63の上部左側には、直進ポンプ64a及び旋回ポンプ70aに動力伝達可能に連結したミッション入力軸66を外向きに突設している。ミッション入力軸66の突出端側にミッション入力プーリ169を固着し、ミッション入力プーリ169にエンジン出力ベルト67を巻き掛けている。ミッションケース63内の上部前側には油溜り340(図11参照)を形成している。詳細な図示は省略するが、ミッションケース63のうち油溜り340の上面側に上外部配管の一端側を接続し、上外部配管の他端側を無段変速ケース323の上面側に接続している。ミッションケース63内底側から変速機チャージポンプ151で吸い上げられた作動油は、無段変速ケース323内の油圧無段変速機64,70で使用され、無段変速ケース323から上外部配管を介して油溜り340に流れ込んで貯留される。
ミッションケース63左側面のうちミッション入力プーリ169の下方には横外部配管341を配置している。横外部配管341はミッションケース63に対して外付けしている。横外部配管341の一端側は、ミッションケース63左側面の油溜り340の箇所に接続している。横外部配管341の他端側は、ミッションケース63左側面の旋回モータ軸261(旋回ブレーキ279)の箇所に接続している。油溜り340内の作動油は、旋回モータ軸261の旋回ブレーキ279に直接送られる。油溜り340からの作動油によって旋回ブレーキ279が潤滑される。
ミッションケース63左側面のうち横外部配管341の下方には、駐車ブレーキ軸265上の直進用パルサ292に対する直進車速センサ293と、操向カウンタ軸280の旋回用パルサ294に対する旋回車速センサ295とを設けている。両車速センサ293,295は、ミッションケース63左側面において前後に並んでいて、直進車速センサ293が前側に、旋回車速センサ295が後側に位置している。実施形態では、フェイルセーフの観点から、いずれの車速センサ293,295も対応するパルサ292,294に対して二個ずつある。
なお、直進用パルサ292は、従来構造(例えば特開2012−82918号公報等参照)よりも大径化し、所定幅の厚みを設けている(図12及び図14参照)。そして、直進用パルサ292の厚みのある外周側を直進車速センサ293で検出するように構成している。これらは、直進用パルサ292及び直進車速センサ293がミッションケース63の左外側に大きく張り出さないようにして、刈取部3等との干渉を回避する目的で成されているものである。
ところで、図19には、車軸ケース336に対する車軸278及び駆動スプロケット51の取り付け構造を示している。図19に示すように、車軸ケース336内には、両シールド形軸受388を介して車軸278を回転可能に軸支している。車軸278の先端側は車軸ケース336から左右外向きに突出させている。車軸278の先端側には、駆動スプロケット51のボス部51aが嵌まるスプライン部278cと、座金389を介してナット390がねじ込まれるネジ部278dとを形成している。車軸278のスプライン部278cに駆動スプロケット51のボス部51aをスプライン嵌合させ、車軸278のネジ部278dに座金389を介してナット390をねじ込むことによって、車軸278の先端側に駆動スプロケット51を一体回転するように装着している。
車軸ケース336の開口側には、両シールド形軸受388の左右外側をシールする軸受オイルシール391を嵌め込んでいる。駆動スプロケット51のボス部51aから左右内向きに延出させた軸受シールカラー51bの外周側に軸受オイルシール391を被嵌している。軸受オイルシール391によって車軸ケース336の開口側を閉塞している。駆動スプロケット51の左右内側の側面には、環状の巻き付き防止輪体392を軸受シールカラー51bと同心状に位置するように、左右内向きに突出形成している。車軸278の先端側に駆動スプロケット51を装着した状態では、車軸ケース336の開口外周側の段部336aに巻き付き防止輪体392が被嵌される。車軸ケース336の段部336aと巻き付き防止輪体392との嵌り合いによって、車軸ケース336と駆動スプロケット51との間に圃場の藁草や泥土等が入り込むのを防止している。
車軸ケース336の内周側には、両シールド形軸受388の左右外側への位置ずれを規制する止めリング393を着脱可能に装着している。車軸278のうち両シールド形軸受388よりも左右内側の部位には、両シールド形軸受388の左右内側への位置ずれを規制する位置決めカラー394を被嵌している。車軸278の先端側に駆動スプロケット51を装着した状態では、止めリング393と位置決めカラー394とによって両シールド形軸受388を位置ずれ不能に挟持している。駆動スプロケット51の軸受シールカラー51bが止めリング393に当接している。
車軸278のスプライン部278cの先端側と座金389との間には、ゴム製で環状のパッキン体395を配置している。パッキン体395は、スプライン部278cの先端側と座金389とに密接している。実施形態では、駆動スプロケット51のボス部51aと車軸278のスプライン部278cとの間に、潤滑油(グリース又はギヤオイル)を封入している。パッキン体395の密接構造によって、ボス部51aとスプライン部278cとの間からの潤滑油漏れを抑制すると共に、ボス部51aとスプライン部278cとの間、ひいては車軸ケース336内への泥水等の侵入を抑制している。パッキン体395を用いることによって、ボス部51aとスプライン部278cとの間のシール性を、従来構造(例えば特開2012−231707号公報等参照)よりも向上させている。
次に、主として図11〜図13を参照しながら、ミッションケース63の内部構造について説明する。図11〜図13に示すように、ミッションケース63内底側には、左右一対の差動機構257(遊星ギヤ機構268)を配置している。各遊星ギヤ機構268は、左右に延びるサンギヤ軸275に固着したセンタギヤ276を挟んで左右に振り分けて置かれている。遊星ギヤ機構268の上方側には、副変速ギヤ機構251の出力側に位置する駐車ブレーキ軸265と操向出力軸285と逆転ギヤ284の回転軸とを前後に並べて配置している。なお、操向出力軸285の中途部(左中間ギヤ287と右中間ギヤ288との間)に、下流減速ギヤ286と常時噛み合う中央中間ギヤ289を固着している。実施形態において、センタギヤ276と中央中間ギヤ289とは、センタギヤ276を通常の平歯車形状にすると中央中間ギヤ289に干渉するような位置関係にある。このため、実施形態のセンタギヤ276は、外周部を左側に湾曲させた略椀形状になっていて(外周部を回転中心から左側にオフセットさせていて)、操向出力軸285上の中央中間ギヤ289との干渉を回避している。
遊星ギヤ機構268と操向出力軸285との前後方向の間で且つ上方側に、副変速カウンタ軸270を配置している。副変速カウンタ軸270の後方側には操向カウンタ軸280を配置している。副変速カウンタ軸270の上方側には直進モータ軸260を配置している。操向カウンタ軸280の上方側には旋回モータ軸261を配置している。旋回モータ軸261上には旋回ブレーキ279を設けている。直進モータ軸260の上方側には直進ポンプ64aのポンプ軸258を配置している。旋回モータ軸261の上方側には旋回ポンプ70aのポンプ軸259を配置している。両ポンプ軸258,259の前後方向の間で且つ上方側には、ミッション入力軸66を配置している。
図11に示すように、ミッションケース63内において、エンジン7駆動中の作動油面の高さ位置は、駐車ブレーキ軸265及び操向出力軸285が作動油に浸漬する程度に設定している。このため、ミッションケース63内では、副変速カウンタ軸270及び操向カウンタ軸280、並びにこれらより上方にある軸66,258〜261が作動油面より上方に位置している。これら七本の軸66、258〜261,270,280は作動油に浸った状態で回転することがなく、撹拌抵抗が増大(動力損失が増大)するのを抑制している。
図11、図12及び図14に示すように、変速ギヤ機構の一例である副変速ギヤ機構251は、入力側ギヤ部351と出力側ギヤ部352とに分かれている。実施形態では、入力側ギヤ部351として、入力側変速軸である副変速カウンタ軸270に、低速中継ギヤ354と中速中継ギヤ355と高速中継ギヤ356とを軸支している。低速中継ギヤ354と中速中継ギヤ355とは副変速カウンタ軸270に固着している。高速中継ギヤ356は副変速カウンタ軸270に回転可能に遊嵌している。また、出力側ギヤ部352として、出力側変速軸である駐車ブレーキ軸265に、副変速低速ギヤ254と副変速中速ギヤ255と副変速高速ギヤ256とを軸支している。副変速低速ギヤ254と副変速中速ギヤ255とは駐車ブレーキ軸265に回転可能に遊嵌している。副変速高速ギヤ256は駐車ブレーキ軸265に固着している。低速用副変速シフタ252のスライド移動によって、副変速低速ギヤ254と副変速中速ギヤ255とが駐車ブレーキ軸265に択一的に連結される。高速用副変速シフタ253のスライド移動によって、副変速高速ギヤ256が副変速カウンタ軸270に連結される。
図11から分かるように、ミッションケース63内において、副変速の入力側である副変速カウンタ軸270は、副変速の出力側である駐車ブレーキ軸265より上方に位置している。従って、ミッションケース63内では、副変速カウンタ軸270に取り付けた入力側ギヤ部351(354〜356)と、駐車ブレーキ軸265に取り付けた出力側ギヤ部352(254〜256)とを上下に振り分けて近接配置している。また、前述の通り、ミッションケース63内において、エンジン7駆動中の作動油面の高さ位置は、駐車ブレーキ軸265が作動油に浸漬する程度に設定している。従って、出力側ギヤ部352の一部は、ミッションケース63内の作動油に浸漬している。入力側ギヤ部351は、ミッションケース63内の作動油面より上方に位置していて、作動油に浸った状態で回転することがない。
図14に示すように、副変速の入力側である副変速カウンタ軸270には、出力側ギヤ部352(254〜256)ではね上げた作動油を入力側ギヤ部351(354〜356)に導くT字状の潤滑通路357を形成している。実施形態では、ミッションケース63の左右両内壁に嵌合凹所358,359を形成している。右嵌合凹所358には、開放形軸受360を介して副変速カウンタ軸270の一端側を回転可能に嵌め込んでいる。左嵌合凹所359には、開放形軸受361を介して副変速カウンタ軸270の他端側を回転可能に嵌め込んでいる。副変速カウンタ軸270の一端面には、潤滑通路357の流入口357aを開口させている。潤滑通路357の流入口357aは右嵌合凹所358に臨ませている。副変速カウンタ軸270の外周面には、潤滑通路357の二箇所の流出口357bを開口させている。潤滑通路357の各流出口357bは、高速用副変速シフタ253に近接した高速中継ギヤ356の内周側に臨ませている。
この場合、出力側ギヤ部352(254〜256)ではね上げた作動油は、高速用副変速シフタ253を含む入力側ギヤ部351(354〜356)に外周側からはねかかる。また、はね上げられた作動油の一部は、右側の開放形軸受360を介して右嵌合凹所358内に入り込み、右嵌合凹所358に連通した潤滑通路357を介して高速中継ギヤ356やその周辺にある高速用副変速シフタ253に供給される。その結果、高速中継ギヤ356や高速用副変速シフタ253が潤滑される。
上記の記載並びに図11、図12及び図14から明らかなように、エンジン7の動力を無段階に変速する無段変速機64,70と、前記無段変速機64,70の変速出力を複数段階に切り換える変速ギヤ機構251を内蔵したミッションケース63とを備える車両用駆動装置において、前記変速ギヤ機構251は入力側ギヤ部351と出力側ギヤ部352とに分かれており、前記出力側ギヤ部352の一部は前記ミッションケース63内の作動油に浸漬し且つ前記入力側ギヤ部351は前記ミッションケース63内の作動油面より上方に位置するように、前記ミッションケース63内に前記入力側ギヤ部351と前記出力側ギヤ部352とを上下に振り分けて近接配置しているから、前記出力側ギヤ部352の回転によって、前記作動油面より高位置にある前記入力側ギヤ部351に作動油をはねかけでき、従って、前記ミッションケース63内の作動油面を高く設定して作動油使用量を増大させなくても、前記入力側ギヤ部351を確実に潤滑できる。前記入力側ギヤ部351を作動油に浸漬させないから、動力損失の増大や作動油温度の著しい上昇といった問題を抑制できる。
特に、実施形態によると、前記出力側ギヤ部352ではね上げた作動油を前記入力側変速軸270の前記潤滑通路357経由で前記入力側ギヤ部351の内周側に供給できるから、前記入力側ギヤ部351の潤滑性(具体的には高速用副変速シフタ253や高速中継ギヤ356)をより一層向上できる。
図10、図12及び図15に示すように、ミッションケース63左側面のうち横外部配管341の下方には、筒状部としてのPTOボス部365を一体形成している。PTOボス部365には、刈取部3や脱穀部9等に動力伝達する軸部材としてのPTO軸366(図16参照)を装着可能になっている。実施形態の普通型コンバインでは、エンジン7の駆動力を直接、刈取部3や脱穀部9等に伝達する構成を採用しているため、PTO軸366が不要である。このため、PTOボス部365には、PTO軸366を装着せずに、PTOボス部365の開口を封止蓋364で閉塞している(図12及び図15参照)。
図16には、本願の車両用駆動装置を自脱型コンバインに適用し、PTOボス部365にPTO軸366を装着した例を示している。図16の例では、PTOボス部365に軸受体367,368を介してPTO軸366を回転可能に軸支している。軸受体367,368はPTO軸366の軸方向に並んで一対ある。PTO軸の外端側(ミッションケース63外の端部)には、PTOプーリ369を装着している。PTO軸366の内端側(ミッションケース63内の端部)には、副変速カウンタ軸270から動力伝達される回転部材としてのPTO出力ギヤ370を装着している。この場合、副変速カウンタ軸270のうち低速中継ギヤ354と中速中継ギヤ355との間に、PTO入力ギヤ371を装着している。PTO入力ギヤ371はPTO出力ギヤ370と常時噛み合っている。従って、直進モータ軸260及び副変速カウンタ軸270を経由した駆動力(直進モータ64bの駆動力)によって、PTO軸366はエンジン7駆動中に常時回転駆動する。
PTOボス部365の内周側には、半径外向きに突出した段差部373,374を形成している。PTOボス部365内周側のうちミッションケース63外寄りの箇所に、第一軸受体367に対応した第一段差部373を形成している。PTOボス部365内周側のうちミッションケース63内寄りの箇所に、第二軸受体368に対応した第二段差部374を形成している。PTO軸366の端部には、軸受体367,368の内径よりも大径の大径部375を形成するか又は軸受体367,368の内径よりも大径のPTO出力ギヤ370を着脱可能に装着している。図16の例では、PTO軸366の外端側に、第一軸受体367の内径よりも大径の大径部375を形成している。PTO軸366の内端側には、第二軸受体368よりも大径のPTO出力ギヤ370を軸方向にスライド可能で且つ相対回転不能に連結している(スプライン嵌合させている)。
大径部375と第一段差部373とによって第一軸受体367を軸方向両側から挟持している。また、PTO出力ギヤ370と第二段差部374とによって第二軸受体368を軸方向両側から挟持している。すなわち、大径部375又はPTO出力ギヤ370とPTOボス部365内の段差部373,374とによって、軸受体367,368を挟持しているのである。そして、PTO軸366のうちPTO出力ギヤ370よりも更にミッションケース63内寄りの部位に止め輪376を着脱可能に取り付けている。
上記のように構成すると、ミッションケース63を左右に分離した状態で止め輪376を外せば、PTO軸366をPTOボス部365から簡単に引き抜きできる。逆に、PTOボス部365にPTO軸366を装着する際は、ミッションケース63を左右に分離した状態でPTOボス部365に一対の軸受体367,368を装着した後、ミッションケース63外側から両軸受体367,368の内周側にPTO軸366を差し込み、PTO軸366の内端側にPTO出力ギヤ370をスプライン嵌合させて止め輪376を装着すればよい。両段差部373,374の存在によって、PTO軸366及びPTO出力ギヤ370の装着だけで両軸受体367,368を位置規制できる。
従って、PTO軸366やPTO出力ギヤ370等の着脱及び封止蓋364の脱着によって、PTO軸366ありの仕様やPTO軸366なしの仕様に、車両用駆動装置(ミッションケース63)の構成を簡単に変更できる。一種類の車両用駆動装置(ミッションケース63)を自脱型コンバイン用と普通型コンバイン用との二仕様で共用でき、製作コストの抑制を図れる。なお、図16の例では、PTO軸366において大径部375を挟んだ両側の軸径を同一径に設定している。
上記の記載並びに図12,図15及び図16から明らかなように、エンジン7の動力を変速するミッションケース63を備える車両用駆動装置において、前記ミッションケース63に形成した筒状部365に、軸受体367,368を介して軸部材366を回転可能に軸支しており、前記筒状部365の内周側には、半径内向きに突出した段差部373,374を形成しており、前記軸部材366の端部には、前記軸受体367,368の内径よりも大径の大径部375を形成するか又は前記軸受体367,368の内径よりも大径の回転部材370を着脱可能に装着しており、前記大径部375又は前記回転部材370と前記筒状部365内の段差部373,374とによって前記軸受体367,368を挟持しているから、前記軸受体367,368の位置規制のために止め輪等の専用部品を用いる必要がない。従って、部品点数を抑制して前記軸部材366の軸支構造を簡素化でき、組み付け作業を合理化して製造コストを抑制できる。
特に、図16の例によると、前記軸受体367,368は、前記軸部材366の軸方向に並んで一対あり、前記段差部373,374は、前記一対の軸受体367,368のうち前記ミッションケース63外寄りにある第一軸受体367に対応した第一段差部373と、前記一対の軸受体367,368のうち前記ミッションケース63内寄りにある第二軸受体368に対応した第二段差部374とに分かれており、前記軸部材366のうち前記ミッションケース63外寄りの端部に前記大径部375を形成しており、前記軸部材366のうち前記ミッションケース63内寄りの端部に前記回転部材370を着脱可能に装着しており、前記大径部375と前記第一段差部373とによって前記第一軸受体367を挟持すると共に、前記回転部材370と前記第二段差部374とによって前記第二軸受体368を挟持し、前記軸部材366のうち前記回転部材370よりも更に前記ミッションケース63内寄りの部位に止め輪376を取り付けているから、一つの前記止め輪376だけで、前記軸部材366、前記一対の軸受体367,368及び前記回転部材370を前記ミッションケース63の筒状部365に適式に取り付けでき、極めて簡便に前記軸部材366の組み付けを行える。前記軸部材366の軸支構造に関してメンテナンス性の向上を図れる。
また、前記軸部材366において前記大径部375を挟んだ両側の軸径を同一径に設定しているから、前記軸部材366の加工コストを低減でき、ひいては部品コスト低減に寄与するのである。
さて、既述ではあるが、実施形態の車両用駆動装置において、旋回モータ軸261上には湿式多板形の旋回ブレーキ279を設けている(図13及び図17参照)。実施形態では、ミッションケース63左側面の上下中途部に装着穴379を開口させている。筒状のブレーキハウジング380を装着穴379に嵌め込んだ状態でボルト締結している。旋回モータ軸261は円筒状のブレーキ筒軸部381を備えている。無段変速ケース323から突出した旋回モータ軸261の突端部にブレーキ筒軸部381をスプライン嵌合させることによって、ブレーキ筒軸部381を含む旋回モータ軸261をミッションケース63内に延長させている。
ミッションケース63右内壁に、開放形軸受382を介してブレーキ筒軸部381の右端側を回転可能に軸支している。ブレーキ筒軸部381はブレーキハウジング380の内部側に入り込んでいる。ブレーキハウジング380の左底部に取り付け凹所383を形成している。ブレーキハウジング380の取り付け凹所383に、開放形軸受384を介してブレーキ筒軸部381の左端側を回転可能に嵌め込んでいる。つまり、ミッションケース63内には、一対の開放形軸受382,384を介してブレーキ筒軸部381を含む旋回モータ軸261を回転可能に軸支している。ブレーキハウジング380の左底部に横外部配管341の他端側を外側から接続することによって、横外部配管341の他端側とブレーキ筒軸部381とを連通させている。
ブレーキ筒軸部381の右端側には、操向カウンタ軸280上の上流減速ギヤ281と常時噛み合う旋回入力ギヤ385を取り付けている。ブレーキ筒軸部381の左右中途部にはインナーハブ386をスプライン嵌合させている。ブレーキハウジング380内周面とインナーハブ386外周面とに摩擦板380a,386aを交互に設けている。ブレーキ筒軸部381のうち左側の開放形軸受384とインナーハブ386との間には圧縮バネ399を被嵌している。旋回モータ70b出力が所定トルク以下の場合、圧縮バネ399の弾性復原力によって摩擦板380a,386a同士が圧接し合ってブレーキ筒軸部381を制動させ、旋回モータ軸261を停止(回転不能)状態に維持する。
ブレーキ筒軸部381の側周部分には、ブレーキ筒軸部381内外を連通させる複数の潤滑穴387を形成している。実施形態では、インナーハブ386の内周側(スプライン部)と旋回入力ギヤ385の内周側とに向けて、潤滑穴387群を開口させている。油溜り340内の作動油は、横外部配管341から取り付け凹所383、ブレーキ筒軸部381内周側及び各潤滑穴387を経由して、摩擦板380a,386a群に集中的に供給される。つまり、油溜り340からの作動油によって旋回ブレーキ279が潤滑される。
ブレーキハウジング380が筒状であるため、摩擦板380a,386a群に集中的に供給された作動油はブレーキハウジング380内部側にも溜まり易くなっている。ここで、ブレーキ筒軸部381を軸支する左側の軸受384は開放形のものであるが、当該左側の開放形軸受384に対する取り付け凹所383のぬすみを小さくすることによって、左側の開放形軸受384からブレーキ筒軸部381外への作動油の漏れ出しを抑制している。
前述の通り、実施形態において、副変速カウンタ軸270及び操向カウンタ軸280や、これらより上方の軸66,258〜261は、作動油に浸った状態では回転しない。このため、動力損失の低減には寄与するものの、摩耗や寿命低下等が懸念される。そこで、図18に示す構造を採用してもよい。すなわち、ミッションケース63左側面の油溜り340の箇所に、横外部配管341とは別に、第二横外部配管396の一端側を接続し、第二横外部配管396の他端側をミッションケース63左側面の副変速カウンタ軸270の箇所に接続する。また、ミッションケース63には、油溜り340の箇所と直進モータ軸260の箇所とをつなぐ第一内部油路397を形成すると共に、横外部配管341の他端側又は旋回モータ軸261(旋回ブレーキ279)の箇所と、操向カウンタ軸280の箇所とをつなぐ第二内部油路398を形成するのである。このように構成すると、直進モータ軸260、副変速カウンタ軸270及び操向カウンタ軸280も、油溜り340からの作動油によって潤滑できることになる。
次に、図20〜図22を参照しながら、無段変速ケース323等からなる油圧式変速装置の油路構造について説明する。実施形態の油圧式変速装置は、油圧ポンプ64a,70a及び油圧モータ64b,70bを組み合わせてなる油圧無段変速機64,70の対を内蔵した無段変速ケース323と、無段変速ケース323の一側面に取り付けた油路ブロック401とを備えている。この場合、ミッションケース63の上部右側に、油路ブロック401を介して無段変速ケース323を取り付けている。ミッションケース63と無段変速ケース323とによって油路ブロック401を挟持している。
無段変速ケース323の前後中途部の前寄りに、直進ポンプ64a及び直進モータ64bからなる直進油圧無段変速機64を内蔵している。実施形態では、無段変速ケース323内の上側に直進ポンプ64aを、下側に直進モータ64bを位置させている。無段変速ケース323の前後中途部の後寄りに、旋回ポンプ70a及び旋回モータ70bからなる旋回油圧無段変速機70を内蔵している。実施形態では、無段変速ケース323内の上側に旋回ポンプ70aを、下側に旋回モータ70bを位置させている。従って、無段変速ケース323内において、油圧ポンプ64a,70a同士が前後に並ぶと共に、油圧モータ64b,70b同士も前後に並んでいる。なお、変速機チャージポンプ151は、無段変速ケース323右外側面のうち旋回ポンプ70aとの対応箇所に位置している。
無段変速ケース323内部のうち直進油圧無段変速機64よりも前側に、直進変速用の油圧サーボ機構205を配置している。無段変速ケース323内部のうち旋回油圧無段変速機70よりも後側に、旋回変速用の油圧サーボ機構208を配置している。すなわち、無段変速ケース323内において両油圧無段変速機64,70を挟んで両端側に、各油圧無段変速機64,70を作動させる油圧サーボ機構205,208を振り分けて配置している。なお、無段変速ケース323の前外側面に直進操作軸325を前向きに突出させ、無段変速ケース323の後外側面に直進操作軸325を後向きに突出させている。詳細な図示は省略するが、直進操作軸325に直進用の無段変速操作アーム体324(図8参照)を連結し、旋回操作軸326に旋回用の無段変速操作アーム体324を連結している。
油路ブロック401には、各油圧無段変速機64,70に対する閉ループ油路201,202と、両方の閉ループ油路201,202をつなぐチャージ分岐油路219とを形成している。実施形態では、直進ポンプ64a及び直進モータ64bを挟んで前側に縦長の直進第一油路201aを形成し、後側に縦長の直進第二油路201bを形成している。直進第一油路201a及び直進第二油路201bが直進ポンプ64a並びに直進モータ64bを閉ループ状に接続している。直進第一油路201a及び直進第二油路201bが直進用の閉ループ油路に相当する直進閉油路201を構成している。また、旋回ポンプ70a及び旋回モータ70bを挟んで前側に縦長の旋回第一油路202aを形成し、後側に縦長の旋回第二油路202bを形成している。旋回第一油路202a及び旋回第二油路202bが旋回ポンプ70a並びに旋回モータ70bを閉ループ状に接続している。旋回第一油路202a及び旋回第二油路202bが旋回用の閉ループ油路に相当する旋回閉油路202を構成している。従って、油路ブロック401内では、前から直進第一油路201a、直進第二油路201b、旋回第一油路202a、旋回第二油路202bの順に並んでいる。
油路ブロック401内の上部側には、チャージ油路としてのチャージ分岐油路219を前後に延びるように形成している。チャージ分岐油路219は、両閉油路201,202の全ての油路201a,201b,202a,202b、すなわち直進第一油路201a、直進第二油路201b、旋回第一油路202a及び旋回第二油路202bの上部側を前後に貫いている。図20から分かるように、チャージ分岐油路219と、チャージ分岐油路219は、両閉油路201,202の全ての油路201a,201b,202a,202bとは、互いに直交する関係にある。
また、チャージ分岐油路219の前後中央部にチャージ導入油路218の吐出側を連通させている。すなわち、油路ブロック401は、チャージ分岐油路219の前後中央部の上方となる上面部分に、チャージ導入油路218の吐出側と連結される連通口218aを開口させて設けており、当該連通口218aを下方向に穿設してチャージ分岐油路219と連通させている。これにより、油路ブロック401外部で変速機チャージポンプ151の吐出側と連通したチャージ導入油路218が、連通口218aを介して、油路ブロック401内のチャージ分岐油路219と連通する。
図20〜図22に示すように、チャージ分岐油路219の前後各端部は、サーボ油路402,403を介して、対応する油圧サーボ機構205,208に連通している。チャージ分岐油路219と各油圧サーボ機構205,208とをつなぐサーボ油路402,403は、チャージ分岐油路219に直交し且つ互いに平行状に延びるように、油路ブロック401から無段変速ケース323に向けて形成している。実施形態では、無段変速ケース323内の前端内側に、直進変速用の油圧サーボ機構205に対する直進サーボ油路402を、無段変速ケース323の前側面(直進変速用の油圧サーボ機構205寄りの側面)に沿わせて左右横向きに延びる直線状に形成している。無段変速ケース323内の後端内側に、旋回変速用の油圧サーボ機構208に対する旋回サーボ油路403を、無段変速ケース323の後側面(旋回変速用の油圧サーボ機構208寄りの側面)に沿わせて左右横向きに延びる直線状に形成している。従って、両サーボ油路402,403は、図21の平面視で左右横向きの直線状に延び且つ互いに平行状に並んでいる。両サーボ油路402,403の間に、両油圧無段変速機64,70が位置している。
このように構成すると、各油圧サーボ機構205,208に対するサーボ油路402,403を、無段変速ケース323における各油圧サーボ機構205,208寄りの側面(前側面や後側面)に沿わせて直線状に且つ極力短縮化して形成できる。従って、無段変速ケース323や油路ブロック401に各サーボ油路402,403を形成し易くて加工性がよく、低コストに製造できる。
図20に示すように、両閉油路201,202の全ての油路201a,201b,202a,202bと、チャージ分岐油路219との直交箇所には、チェック弁211,212を配置している。実施形態では、両閉油路201,202の全ての油路201a,201b,202a,202bを、油路ブロック401の上端面側で開口させ、当該開口部からチェック弁211,212を下向きに挿入して装着している。チャージ分岐油路219と直進第一油路201aとの直交箇所に、直進第一油路201aに対するチェック弁211を装着し、チャージ分岐油路219と直進第二油路201bとの直交箇所に、直進第二油路201bに対するチェック弁211を装着している。そして、チャージ分岐油路219と旋回第一油路202aとの直交箇所に、旋回第一油路202aに対するチェック弁212を装着し、チャージ分岐油路219と旋回第二油路202bとの直交箇所に、旋回第二油路202bに対するチェック弁212を装着している。従って、前述の通り、各閉油路201,202にチェック弁211,212を二つずつ備えている。油路ブロック401の上端面には、四つのチェック弁211,212の頭部が前後に並んでいる。また、油路ブロック401の上端面には、前から二番目のチェック弁211と前から三番目のチェック弁212との間に、連通口218aが設けられており、チャージ分岐油路219につながるチャージ導入油路218の吐出側が連結されている。
油路ブロック401内の下部側には、チャージ分岐油路219と平行状に延びるバイパス油路213,214を、各閉油路201,202に対応させて形成している。直進第一油路201aと直進第二油路201bとは直進バイパス油路213でも連通している。また、旋回第一油路202aと旋回第二油路202bとは旋回バイパス油路214でも連通している。各閉油路201,202とこれに対応するバイパス油路213,214との直交箇所には、双方向リリーフ弁215,216を配置している。実施形態では、直進閉油路201のうち直進第一油路201aと直進バイパス油路213との直交箇所に、直進側双方向リリーフ弁215を位置させている。直進バイパス油路213は油路ブロック401の前端面側で開口していて、当該開口部から直進側双方向リリーフ弁215を後向きに挿入して装着している。また、旋回閉油路202のうち旋回第一油路202aと旋回バイパス油路214との直交箇所に、旋回側双方向リリーフ弁216を位置させている。旋回バイパス油路214は油路ブロック401の後端面側で開口していて、当該開口部から旋回側双方向リリーフ弁216を前向きに挿入して装着している。従って、前述の通り、各閉油路201,202は双方向リリーフ弁215,216を一つずつ備えている。
このように構成すると、各閉油路201,202に対してチェック弁211,212と双方向リリーフ弁215,216とを別々に分けて配置することになるから、例えば特許文献1に記載されるような高価なチェックリリーフ弁を用いなくて済み、この点でも、無段変速ケース及び油路ブロックからなる油圧式変速装置の低コスト化に貢献するのである。
図21及び図22に示すように、チャージ分岐油路219の一端側に、チャージ分岐油路219中の作動油の余剰分を排出する余剰リリーフ弁220を接続している。実施形態の余剰リリーフ弁220は、チャージ分岐油路219のうち旋回第二油路202bに対するチェック弁212と旋回サーボ油路403の入口部との間につながっていて、無段変速ケース323内部に位置させている。従って、変速機チャージポンプ151からの作動油の余剰分は、余剰リリーフ弁220経由で無段変速ケース323内部にこぼれ落ちることになる。その後、ミッションケース63内に戻される。
図20〜図22に示すように、チャージ分岐油路219の前後各端部は、チャージ分岐油路219よりも下側に位置するとともにチャージ分岐油路219に対して直交する方向に伸びるサーボ油路402,403それぞれと連結している。サーボ油路402,403は、油路ブロック401及び無段変速ケース323に設けられており、無段変速ケース323の前後端面に設けられた油圧サーボ機構205,208内の直進バルブ203及び旋回バルブ206のポートに連通している。これにより、油圧サーボ機構205では、チャージ導入油路218から油路ブロック401に供給される作動油が、チャージ分岐油路219及びサーボ油路402を通じて、直進バルブ203及び直進シリンダ204に供給される。同様に、油圧サーボ機構208では、チャージ導入油路218から油路ブロック401に供給される作動油が、チャージ分岐油路219及びサーボ油路403を通じて、旋回バルブ206及び旋回シリンダ207に供給される。