JP4068447B2 - 長尺材用吊具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、管材等の長尺材をクレーンで搬送する際に用いる長尺材用吊具に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋳造直後の鋳鉄管は、高温で人手による玉掛け作業を行うことが安全上好ましくないため、鋳造機の周辺に設けた適当な高さの置台に一定本数まで一時的に置き、天井クレーンに吊り下げた専用の吊具を用いて次工程へ搬送するようにしていることが多い。このように、工場や倉庫内で管材等の長尺材を天井クレーンで搬送する際には、長尺材の搬送に適した専用の吊具を使用することにより、玉掛け作業をなくして、安全性の確保と作業効率の向上を図っている。
【0003】
このような長尺材用の吊具としては、クレーンに吊り下げられる吊りビームに垂直なアームを取り付け、その下端に長尺材を載せる爪を設けたものが、従来からよく用いられている。この種の吊具で長尺材を搬送するときは、置台等に置かれた長尺材を爪に載せる際に、吊具を爪が長尺材と直交する方向に向いた状態で長尺材の側方から水平移動させ、長尺材の下方に爪を差し込むようにしている。このため、予め長尺材をその側方に爪の長さ以上のスペースができるように置いておく必要があり、置場効率が低くなる問題があった。
【0004】
これに対して、吊りビームに取り付けたアームを垂直な軸のまわりに回動可能とした長尺材用吊具(例えば、特許文献1、2参照。)を使用すれば、吊具を爪が長尺材の長手方向に向いた状態で長尺材の上方から側面近傍に下降させた後、アームを回動させることにより、爪を水平旋回させて長尺材の下方に入り込ませることができ、長尺材の側方にとるスペースを少なくして置場効率を向上させることができる。また、長尺材の側方のスペースを広げることなく、爪を長くして載せられる長尺材の本数を増やし、搬送能力の向上を図ることもできる。
【0005】
【特許文献1】
実開平1−65288号公報
【特許文献2】
特開平8−208174号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したアームの回動により爪が水平旋回するタイプの吊具では、通常、長尺材搬送中に爪が旋回しないように、アームの回動をロックするロック機構が設けられている。しかし、このロック機構は、一般に、アームの回動により爪が長尺材を載せる位置にきたときに、クレーン運転手がその状態を確認して作動させ、搬送完了後に解除するか、リミットスイッチの入切等の電気信号により自動的に作動および解除させるようになっており、運転手の誤操作や電装機器の故障等に起因する誤動作により搬送中に解除状態になる可能性がある。このため、ロック解除状態での搬送中に他の構造物との接触等により爪が旋回し、長尺材を落下させてしまうおそれがある。
【0007】
また、このタイプの吊具は、上記ロック機構をアームの回動とは別の動力で駆動する必要があるため、その制御を含めた構造が複雑でメンテナンスしにくいうえ、ロック機構の動作時間の分だけ搬送能力の向上代が減少する問題もある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、アームの回動により爪が水平旋回する長尺材用吊具において、搬送中の長尺材の落下を簡単な構成で確実に防止できるようにすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明は、爪に長尺材を載せたときに、その自重を利用してアームのロック機構を機械的に作動させるようにしたのである。これにより、ロック解除状態で長尺材を搬送することがなくなり、搬送中の爪の旋回による長尺材の落下を確実に防止することができる。
【0010】
具体的には、前記爪の載置面に上下動自在なプレートを取り付け、このプレートと前記ロック機構とをリンク機構により連動させて、前記爪に載せた長尺材により前記プレートが下降したときに、前記リンク機構を介してプレートの下降に連動したロック機構が前記アームの回動をロックするようにしたのである。
【0011】
前記アームの回動をロックするロック機構としては、前記アームに、ロックピンをその軸方向に前記リンク機構によって移動するように取り付け、前記吊りビームには、前記ロックピンが嵌まり込む孔を設け、前記ロックピンと孔は、前記アームを前記爪に長尺材を載せる位置に回動させたときに対向するようになっており、前記プレートの下降に連動して前記ロックピンが孔に挿入されるようにしたものを採用することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図7に基づき、この発明の実施形態を説明する。この長尺材用吊具は、鋳鉄管搬送用で、図1に示すように、矩形断面の吊りビーム1の両端に設けたアーム支持部1aにより、逆L字形のアーム2の基部2aを回動可能に支持し、各アーム2の下端にアーム基部2aと平行な水平方向の爪3を設けて、各爪3を吊りビーム1と直交する方向に向けた状態(アーム開状態)で、鋳鉄管を両方の爪3に複数同時に載せられるようにしたものである。各爪3の管載置面には、上下動自在で、鋳鉄管の自重により爪3上面と同じ高さまで下降するプレート4が取り付けられている。
【0013】
前記吊りビーム1は、その中央部から上方に延びる一対のブラケット5間にローラ6が水平に取り付けられており、このローラ6に天井クレーンのフックFが掛けられて吊り下げられる。また、吊り下げたときのバランスは、吊具全体がアーム開状態で若干前上がりとなるように設計されている。これは、爪3に鋳鉄管を載せたときに吊具が前下がりとなって管が落下しやすくなることを防止するためである。前上がりの角度は、吊りビーム1中央部から前方に延びる一対のブラケット7に、吊具の使用状況に応じた適当な重量のバランスウエイト8を載せることにより調整される。
【0014】
また、吊りビーム1上面側には、モータ9を内蔵する駆動伝達部1bが設けられ、後述するように、このモータ9を駆動することにより、両方のアーム2が同時に回動して、それぞれの爪3が概ね水平な面内で旋回するようになっている。なお、モータ9を駆動する電力は、クレーン側キャブタイヤケーブルとコンセント接続されたキャブタイヤケーブル(図示省略)を介して供給される。
【0015】
前記各アーム2は、図2(a)、(b)に示すように、その基部2aに設けた回動軸10を、アーム支持部1aの上下のベアリング11、12により概ね垂直に支持されており、回動軸10の上端に設けた傘歯車10aが、モータ9で駆動される駆動シャフト13の先端の傘歯車13aと噛み合っている。なお、両傘歯車10a、13aの噛み合わせ部はギアカバー14に、駆動シャフト13の軸部はシャフトカバー15にそれぞれ覆われている。
【0016】
前記モータ9を駆動すると、駆動シャフト13を介して、2本のアーム2が同時にそれぞれの回動軸10の軸心のまわりに回動する。各アーム2が、その基部2aと吊りビーム1とが直交する図2(a)の位置(開位置)から、基部2aと吊りビーム1とが平行となる図2(b)の位置(閉位置)へと回動してくると、基部2a側面に取り付けたストッパ板16が吊りビーム1のアーム支持部1a側面に当接するとともに、図示省略した閉側リミットスイッチが作動してモータ9の操作信号が切れ、アーム2の回動が停止する。同様に、アーム2が閉位置から開位置へ回動してきたときも、後述するように、機械的および電気的に回動が停止する。すなわち、各アーム2は、開位置および閉位置で精度よく停止するようになっている。
【0017】
なお、アーム2回動中には、他の構造物との干渉等により回動動作が阻害される場合があるが、駆動シャフト13とモータ9との間にはトルクリミッタが介装されているため(図示省略)、アーム2にトルクを伝達する各部材が破損するおそれは少ない。
【0018】
図3は、アーム2が閉位置にあるとき(アーム閉状態)の吊具を背面側から見たものである。この図3および図4に示すように、この吊具では、アーム2の回動をロックするロック機構として、アーム基部2a側面にロックピン17を取り付けるとともに、吊りビーム1のアーム支持部1a側面に取り付けた張出板18に、ロックピン17と概ね同径の孔19を設けている。
【0019】
前記ロックピン17は、アーム基部2aの側面から突出する一対のブラケット20に支持された筒状のガイド21に軸方向移動自在に挿通され、その頭部とガイド21上端面との間に組み込んだばね22により上方へ付勢されて、アーム2に沿って設けたリンク機構23の一端部に当接している。このリンク機構23は、その他端側を爪3基端部でプレート4を上下動自在に支持する支持部材24の一つに連結されて、プレート4とロックピン17とを連動させるようになっている。従って、アーム閉状態では、上方へ付勢されたロックピン17がリンク機構23の一端部を押し上げることにより、プレート4が爪3上面よりも高い位置に保持されている。なお、ロックピン17上半部およびリンク機構23はリンクカバー25に覆われている。
【0020】
図4の一点鎖線および図5に示すように、アーム2が開位置まで回動したときには、アーム基部2aの側面に取り付けたストッパ板26が張出板18の側面に当接するとともに、図示省略した開側リミットスイッチが作動してモータ9の操作信号が切れて、アーム2が停止し、ロックピン17と張出板18の孔19とが水平方向のずれなく対向する。
【0021】
アーム2が開位置で停止していても、爪3に鋳鉄管が載せられていなければ、図6(a)および図7(a)に示すように、ばね22で上方へ付勢されたロックピン17はリンク機構23を介してプレート4を持ち上げた状態にあり、アーム2の閉側への回動が可能である。
【0022】
一方、図6(b)および図7(b)に示すように、アーム2の開位置で爪3に鋳鉄管(図6(b)の一点鎖線)を載せると、プレート4が管の自重で下降することにより、リンク機構23の一端部がロックピン17を押し下げ、ロックピン17の下端部が張出板18の孔19に挿入されて、アーム2の回動がロックされる。
【0023】
すなわち、この吊具では、アームの回動をロックするロック機構の作動および解除が、鋳鉄管の積み下ろしと同時に自動的に行われる。
【0024】
この吊具を用いて鋳鉄管を搬送する手順は、まず、クレーンに吊り下げた吊具を、アーム2を閉じた状態で、所定の高さの置台に複数並列に置かれた鋳鉄管の上方から側面近傍に下降させた後、アーム2を開方向へ90°回動させることにより、爪3を水平旋回させて管の下方に入り込ませる。
【0025】
次に、吊具を上昇させて爪3に鋳鉄管を載せ、所定の場所まで搬送する。このとき、アームの回動は、前述のように、爪3に載せた管の自重により自動的かつ機械的にロックされ、ロック状態がクレーン運転手の誤操作や電装機器の故障による誤動作で解除されることがない。従って、搬送中に吊具や管が他の構造物と接触したりしても爪3が旋回する可能性はなく、管の落下事故を確実に防止することができる。
【0026】
そして、所定の場所で鋳鉄管を爪3から降ろすと、自動的にアーム2のロック状態が解除されるので、次の搬送の準備としてアーム2を再び閉位置まで回動させておく。
【0027】
なお、本発明は、上述した実施形態のような鋳鉄管搬送用吊具に限らず、各種の管や形鋼等の長尺材を搬送するための吊具にも適用することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、この発明は、アームの回動をロックするロック機構が、爪に載せた長尺材の自重によって機械的に作動するようにしたので、誤操作や誤動作によりロック解除状態で長尺材を搬送することがなくなり、搬送中の爪の旋回による長尺材の落下を確実に防止することができる。
【0029】
また、ロック機構の作動および解除の仕組みが、リンク機構を利用した簡単な構成で、アームの回動とは別の動力を必要としないたため、メンテナンスがしやすく、ロック機構の動作時間の搬送能力への影響もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の長尺材用吊具のアーム開状態の外観斜視図
【図2】a、bは、それぞれ図1の吊具のアーム回動構造を示す要部拡大斜視図
【図3】図1の吊具のアーム閉状態の要部の背面図
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図
【図5】図1の背面側からリンクカバーを除いて見た要部拡大斜視図
【図6】a、bは、それぞれ図1の吊具のロック機構の動作の説明図
【図7】a、bは、それぞれ図1の吊具のロック機構の解除状態および作動状態を示す要部の縦断面図
【符号の説明】
1 吊りビーム
1a アーム支持部
1b 駆動伝達部
2 アーム
2a 基部
3 爪
4 プレート
5 ブラケット
6 ローラ
7 ブラケット
8 バランスウエイト
9 モータ
10 回動軸
10a 傘歯車
11、12 ベアリング
13 駆動シャフト
13a 傘歯車
14 ギアカバー
15 シャフトカバー
16 ストッパ板
17 ロックピン
18 張出板
19 孔
20 ブラケット
21 ガイド
22 ばね
23 リンク機構
24 支持部材
25 リンクカバー
26 ストッパ板
F フック
Claims (2)
- クレーンに吊り下げられる吊りビーム1に、垂直な軸のまわりに回動する上下方向のアーム2を取り付けて、アーム2下端に長尺材を載せる水平方向の爪3を設け、この爪3に長尺材を載せた状態で前記アーム2の回動をロックするロック機構を備えた長尺材用吊具において、
前記爪3の載置面に上下動自在なプレート4を取り付け、このプレート4と前記ロック機構とをリンク機構23により連動させて、前記爪3に載せた長尺材により前記プレート4が下降したときに、前記リンク機構23を介してプレート4の下降に連動したロック機構が前記アーム2の回動をロックするようにしたことを特徴とする長尺材用吊具。 - 前記アーム2の回動をロックするロック機構が、前記アーム2に、ロックピン17をその軸方向に前記リンク機構23によって移動するように取り付け、前記吊りビーム1には、前記ロックピン17が嵌まり込む孔19を設け、前記ロックピン17と孔19は、前記アーム2を前記爪3に長尺材を載せる位置に回動させたときに対向するようになっており、前記プレート4の下降に連動して前記ロックピン17が孔19に挿入されるようしたものであることを特徴とする請求項1に記載の長尺材用吊具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002370432A JP4068447B2 (ja) | 2002-12-20 | 2002-12-20 | 長尺材用吊具 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002370432A JP4068447B2 (ja) | 2002-12-20 | 2002-12-20 | 長尺材用吊具 |
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JP2004196532A JP2004196532A (ja) | 2004-07-15 |
JP4068447B2 true JP4068447B2 (ja) | 2008-03-26 |
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JP2002370432A Expired - Lifetime JP4068447B2 (ja) | 2002-12-20 | 2002-12-20 | 長尺材用吊具 |
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JP (1) | JP4068447B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103395683A (zh) * | 2013-08-13 | 2013-11-20 | 上海电气电站设备有限公司 | 一种u字型水平起吊装焊工具 |
-
2002
- 2002-12-20 JP JP2002370432A patent/JP4068447B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103395683A (zh) * | 2013-08-13 | 2013-11-20 | 上海电气电站设备有限公司 | 一种u字型水平起吊装焊工具 |
CN103395683B (zh) * | 2013-08-13 | 2015-06-17 | 上海电气电站设备有限公司 | 一种u字型水平起吊装焊工具 |
Also Published As
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JP2004196532A (ja) | 2004-07-15 |
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