JP4067946B2 - 開閉蓋のロック機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、開閉蓋のロック機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子機器等における開閉蓋のロック機構は、例えば、図4に示すように、ツマミ101を紙面に向かって左方向に移動させると、ツマミ101と一体形成されたピン部材102により、ロック部材103が左方向に移動し、開閉蓋104に設けられた係止部105がロック部材103から解放され開閉蓋104のロックが解除される。
ところが、この開閉蓋104のロック機構においては、ツマミ101を一方向(左方向)にしか移動させることができないため、図4に示すようなロック機構においては、左利きの使用者は操作をしやすいが、右利きの使用者は操作しにくく違和感を感じることがあった。
そこで、このような問題を解決するものとして、使用者の利き手が左右いずれであっても、ツマミを違和感無く動かしてロック解除できる開閉蓋のロック機構が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の開閉蓋のロック機構においては、本体側に設けられたロック部材が開閉蓋側に設けられた係止部との係合位置を中心として両方向へスライド可能とされているため、ツマミをどちらに動かしてもロックが解除される仕組みとなっており、使用者の利き手に関わらず操作しやすい機構となっている。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−170255号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1においては、ツマミの移動に伴ってロック部材もツマミと同じ方向に移動するため、ロック部材の移動するスペースを係止部との係合位置から両側に確保する必要があった。そのため、ロック機構の小型化を図るうえでの障害となっていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、使用者の利き手がいずれであっても違和感無くロックを解除することができ、且つロック部材の移動スペースを必要最小限に抑えることができる開閉蓋のロック機構を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、所定方向に移動して容器本体に設けられた開閉蓋をロックし、前記所定方向と反対方向に移動して前記開閉蓋のロック解除を行うロック部材と、前記開閉蓋をロックした状態のときに、前記所定方向と反対方向に沿って移動可能な第1のスライダと、前記開閉蓋をロックした状態のときに、前記所定方向に沿って移動可能な第2のスライダと、前記第1のスライダと前記第2のスライダとを互いに相反する方向に同時に移動させる移動機構と、前記第1のスライダ及び前記第2のスライダをスライド移動させる力を付与するツマミと、を備え、前記第1のスライダと前記第2のスライダのそれぞれに前記ロック部材を設け、前記ツマミを右方向又は左方向にスライド移動させる力を付与したときに、何れの方向に力を付与した場合も、前記第1のスライダと前記第2のスライダとを互いに相反する方向に同時に移動させてロック解除を行うことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記移動機構は、前記第1のスライダに設けられた第1のラックギヤと、前記第2のスライダに設けられた第2のラックギヤと、前記第1のラックギヤと前記第2のラックギヤとの間に固定され、前記第1のラックギヤと前記第2のラックギヤとに噛み合うピニオンギヤと、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記移動機構は、前記第1のスライダに設けられた第1の係合部と、前記第2のスライダに設けられた第2の係合部と、一端が前記第1の係合部に摺動自在に係合され、他端が前記第2の係合部に摺動自在に係合されるとともに、中心位置が回動自在に固定された回動部材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態である開閉蓋のロック機構について詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1に示すように、開閉蓋(図示しない)のロック機構100は、例えば、ポータブルCD機器やポータブルMD機器に用いられるものであり、本体機器(図示しない)に固定された固定プレート10に設けられている。開閉蓋のロック機構100は、開閉蓋(図示しない)のロックを解除する方向にスライド移動可能な第1のスライダとしての左スライダ1、左スライダ1と反対方向にスライド移動可能な第2スライダとしての右スライダ2と、左スライダ1と右スライダ2とを連結するコイルバネ3と、左スライダ1と右スライダ2とを互いに反対方向にスライド移動させる移動機構4と、開閉蓋の係止部20に係止されて開閉蓋を本体機器にロックするロック部材としてのロック爪5と、左スライダ1及び右スライダ2をスライド移動させる力を付与するツマミ6等を備えている。
【0010】
固定プレート10は、左スライダ1及び右スライダ2がスライド移動する場合のガイドとなる段付きガイドピン7a,7bを備えている。段付きガイドピン7a,7bは、外径の異なる二つのピンが一体形成されたものである。また、固定プレート10の上端部には、厚さ方向に曲成された舌片10bが一体形成され、固定プレート10の下端部には、厚さ方向に曲成されたガイド壁10cが一体形成されている。
【0011】
左スライダ1は、略L字状の板材から形成されており、短尺部11と長尺部12とを有する。短尺部11は固定プレート10の下端側に位置し、長尺部12が固定プレート10の上端側に沿うように設置されている。左スライダ1の長尺部12にはロック爪5が長尺部12と一体形成されている。
また、左スライダ1には、スライド移動の際のガイドとなるガイド溝13が長尺部12の長手方向に沿った方向に延びて形成され、このガイド溝13には、固定プレート10に固定された段付きガイドピン7aが係合されている。
【0012】
また、左スライダ1の短尺部11には、ツマミ6のピン部材8a(後述する)と係合する凹部14が形成されている。
また、左スライダ1の長尺部12には、上ラックギヤ41(後述する)が設けられている。
更に、左スライダ1の長尺部12の先端部には、右スライダ2とコイルバネ3で連結するためのバネ係止部15が形成されている。
【0013】
右スライダ2は、略L字状の板材から形成されており、短尺部21と長尺部22とを有する。右スライダ2の長尺部22は、固定プレート10の下端側に位置しており、左スライダ1の長尺部22と上下方向に対向するように配置されている。
また、右スライダ2の短尺部21には、スライド移動の際のガイドとなるガイド溝23が長尺部22の長手方向に沿った方向に延びて形成され、このガイド溝23には、固定プレート10に固定された段付きガイドピン7bが係合されている。
【0014】
また、右スライダ2の短尺部21には、ツマミ6のピン部材8b(後述する)と係合する凹部24が形成されている。
また、右スライダ2の長尺部22のうち、左スライダ1の長尺部12に設けられた上ラックギヤ41に対向する位置には、下ラックギヤ42(後述する)が設けられている。
更に、右スライダ2の短尺部21の先端部には、左スライダ1とコイルバネ3で連結するためのバネ係止部25が形成されている。
【0015】
コイルバネ3は、左スライダ1のバネ係止部15と右スライダ2のバネ係止部25とを連結し、左スライダ1と右スライダ2とを所定距離以上離間させた場合に、左スライダ1と右スライダ2とに元の位置に戻そうとする付勢力を作用させるものである。
コイルバネ3は、ロック爪5が開閉蓋をロックしている場合に、小さな衝撃等によってロック爪5が係止部20から外れることのない程度の付勢力をかけた状態で、左スライダ1と右スライダ2とを連結している。
【0016】
移動機構4は、左スライダ1に設けられた上ラックギヤ41と、右スライダ2に設けられた下ラックギヤ42と、上ラックギヤ41と下ラックギヤ42とに噛み合うとともに、固定プレート10のほぼ中央位置に固定されたピニオンギヤ43とを備えている。
【0017】
上ラックギヤ41は、左スライダ1の長尺部12に一体形成されており、ピニオンギヤ43の上部と噛み合わされている。
下ラックギヤ42は、右スライダ2の長尺部22に一体形成されており、ピニオンギヤ43の下部と噛み合わされている。
ピニオンギヤ43は、上ラックギヤ41と下ラックギヤ42とに挾まれた状態で固定プレート10に設けられた軸部材43aに取り付けられている。
【0018】
ロック爪5は、左スライダ1に一体形成されており、その先端部が長尺部12の先端部に向けて突出した形状となっている。ロック爪5は、突出した部分が開閉蓋の係止部20と係合することで開閉蓋を本体機器にロックする。
【0019】
ツマミ6は、開閉蓋のロック及びロック解除を行う時に使用者が操作する部分であり、また、ツマミ6の裏面には、段付きガイドピン7a,7b及び軸部材43aの長手方向(即ち、紙面に対して手前から奥に延びる方向)に沿って延びるピン部材8a,8bが一体形成されている。
ピン部材8aは、左スライダ1の凹部14と係合し、ピン部材8bは、右スライダ2の凹部24と係合するように形成されており、ツマミ6を左右に動かすことでピン部材8a,8bが凹部14,24に係合して左スライダ1及び右スライダ2を押すことにより、ロック及びロック解除を行う。
【0020】
次に、開閉蓋のロック及びロック解除の機構の作用について説明する。
図1(a)に示すように、開閉蓋をロックした状態では、ピン部材8aは左スライダ1の凹部14に係合し、ピン部材8bは右スライダ2の凹部24に係合した状態となっている。また、コイルバネ3は、小さな衝撃等によってロック爪5が係止部20から外れることのない程度の付勢力をかけた状態で、左スライダ1と右スライダ2とを連結している。また、段付きガイドピン7aは、ガイド溝13の左端に位置し、段付きガイドピン7bは、ガイド溝14の右端に位置している。
【0021】
ここで、ツマミ6を左方向(ロック爪5がロック解除する方向。以下同じ。)にスライドさせると、図1(b)に示すように、ツマミ6に一体形成されたピン部材8aが凹部14を左方向に押し、左スライダ1が左方向にスライド移動する。このとき、左スライダ1は、段付きガイドピン7aがガイド溝13の右端に突き当たるまでスライド移動することができる。左スライダ1が左方向にスライド移動すると、左スライダ1に一体形成されたロック爪5と開閉蓋の係止部20との係止状態が解放されるので、開閉蓋のロックが解除される。
【0022】
また、左スライダ1が左方向にスライド移動することで、左スライダ1に形成された上ラックギヤ41も左方向にスライド移動する。上ラックギヤ41が左方向にスライド移動すると、上ラックギヤ41に噛み合うピニオンギヤ43は軸部材43aを回転中心として反時計回りに回転する。ピニオンギヤ43が反時計回りに回転すると、ピニオンギヤ43に噛み合う下ラックギヤ42が右方向(ロック爪5がロックする方向。以下同じ。)にスライド移動する。これに伴い、下ラックギヤ42が一体形成されている右スライダ2も右方向にスライド移動する。
【0023】
そして、左スライダ1が左方向にスライド移動し、右スライダ2が右方向にスライド移動することにより、コイルバネ3を係止しているバネ係止部15とバネ係止部25とが更に離間するので、コイルバネ3が伸びることとなる。コイルバネ3が伸びることにより、コイルバネ3には、元に戻ろうとする付勢力が作用するため、ツマミ6にかけている力を解放すると、コイルバネ3の付勢力により、左スライダ1は右方向にスライド移動し、右スライダ2は左方向に移動し、各スライダ1,2はスライド移動前の位置に復帰する。
【0024】
一方、図1(a)に示す開閉蓋のロック状態から、ツマミ6を右方向にスライドさせると、図1(c)に示すように、ツマミ6に一体形成されたピン部材8bが凹部24を右方向に押し、右スライダ2が右方向にスライド移動する。このとき、右スライダ2は、段付きガイドピン7bがガイド溝23の左端に突き当たるまでスライド移動することができる。右スライダ2が右方向にスライド移動すると、右スライダ2に形成された下ラックギヤ42も右方向にスライド移動する。下ラックギヤ42が右方向にスライド移動すると、下ラックギヤ42に噛み合うピニオンギヤ43は軸部材43aを回転中心として反時計回りに回転する。ピニオンギヤ43が反時計回りに回転すると、ピニオンギヤ43に噛み合う上ラックギヤ41が左方向にスライド移動する。これに伴い、上ラックギヤ41が一体形成されている左スライダ1も左方向にスライド移動する。左スライダ1が左方向にスライド移動することにより、左スライダ1に一体形成されたロック爪5と開閉蓋の係止部20との係止状態が解放されるので、開閉蓋のロックが解除される。
【0025】
そして、右スライダ2が右方向にスライド移動し、左スライダ1が左方向にスライド移動することにより、コイルバネ3を係止しているバネ係止部15とバネ係止部25とが更に離間するので、コイルバネ3が伸びることとなる。コイルバネ3が伸びることにより、コイルバネ3には、元に戻ろうとする付勢力が作用するため、ツマミ6にかけている力を解放すると、コイルバネ3の付勢力により、右スライダ2は左方向にスライド移動し、左スライダ1は右方向に移動し、各スライダ1,2はスライド移動前の位置に復帰する。
【0026】
本第1の実施の形態の開閉蓋のロック機構100によれば、ツマミ6を左方向に動かして、左スライダ1を左方向にスライド移動した場合には、左スライダ1に一体形成されているロック爪5も左方向にスライド移動するので、開閉蓋をロック解除することができる。一方、ツマミ6を右方向に動かして、右スライダ2を右方向にスライド移動した場合には、下ラックギヤ42の右方向への動きをピニオンギヤ43に伝達してピニオンギヤ43を反時計回りに回転させ、回転したピニオンギヤ43がその回転を上ラックギヤ41に伝達することで、左スライダ1を左方向にスライド移動させることとなるので、開閉蓋をロック解除することができる。
また、左スライダ1は、ツマミ6を左右いずれの方向に動かしても左方向にしか動くことがないので、左スライダ1に一体形成されたロック爪5も左方向にしか動かないこととなる。
【0027】
従って、ツマミ6は左右いずれの方向に動かしてもロック爪5のついた左スライダ1を左方向にスライド移動させることができるので、使用者の利き手が左右いずれであっても違和感無くロックを解除することができ、且つロック爪5の移動スペースをロック位置の左側に設けるだけでよいので、ロック爪5の移動に必要なスペースを最小限に抑えることができる。
また、各スライダ1,2をスライド移動させる移動機構4は、左スライダ1に一体形成された上ラックギヤ41と、右スライダ2に一体形成された下ラックギヤ42と、上ラックギヤ41と下ラックギヤ42とに噛み合うピニオンギヤ43とから形成されているので、同一平面上で動力の伝達を行うことができることとなって、移動機構4を両スライダ1,2の厚さ内に設けることが可能となり、開閉蓋のロック機構100の薄型化、小型化を図ることができる。
【0028】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態における開閉蓋のロック機構200について説明する。なお、本実施の形態における開閉蓋のロック機構200は、第1の実施の形態における移動機構4を他の異なる構成としたものである。よって、本実施の形態では、移動機構9について説明し、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については同一符号を付して説明を省略する。
移動機構9は、左スライダ1に設けられた第1の係合部としての上溝部91と、右スライダ2に設けられた第2の係合部としての下溝部92と、一端が上溝部91に摺動自在に係合され、他端が下溝部92に摺動自在に係合され、上溝部91と下溝部92とを結ぶ直線上で、その中心が回動自在に固定された回動部材93とを備えている。
【0029】
上溝部91は、左スライダ1の長尺部12の高さ方向に沿って形成されており、この上溝部91内に回動部材93の一端部に設けられた係合ピン93a(後述する)が係合されている。
【0030】
下溝部92は、右スライダ2の長尺部22の高さ方向に沿って形成されており、この下溝部92内に回動部材93の他端部に設けられた係合ピン93b(後述する)が係合されている。
【0031】
回動部材93は、略棒状に形成された板材であり、その一端部には、左スライダ1の長尺部12の厚さ方向(紙面の手前から奥に延びる方向)に沿って延びる係合ピン93aが設けられている。また、回動部材93の他端部には、右スライダ2の長尺部22の厚さ方向(紙面の手前から奥に延びる方向)に沿って延びる係合ピン93bが設けられている。なお、係合ピン93aは上溝部91内を左スライダ1の高さ方向(紙面の上下方向)に摺動自在に係合され、係合ピン93bは下溝部92内を右スライダ2の高さ方向(紙面の上下方向)に摺動自在に係合されている。また、回動部材93の長手方向の中心が、固定プレート10に設けられた軸部材93cに回動自在に固定されている。
【0032】
次に、開閉蓋のロック及びロック解除の機構の作用について説明する。
図2(a)に示すように、開閉蓋をロックした状態では、ピン部材8aは左スライダ1の凹部14に係合し、ピン部材8bは右スライダ2の凹部24に係合した状態となっている。また、コイルバネ3は、小さな衝撃等によってロック爪5が係止部20から外れることのない程度の付勢力をかけた状態で、左スライダ1と右スライダ2とを連結している。また、段付きガイドピン7aは、ガイド溝13の左端に位置し、段付きガイドピン7bは、ガイド溝14の右端に位置している。
【0033】
ここで、ツマミ6を左方向にスライドさせると、図2(b)(c)に示すように、ツマミ6に一体形成されたピン部材8aが凹部14を左方向に押し、左スライダ1が左方向にスライド移動する。このとき、左スライダ1は、段付きガイドピン7aがガイド溝13の右端に突き当たるまでスライド移動することができる。左スライダ1が左方向にスライド移動すると、左スライダ1に一体形成されたロック爪5と開閉蓋の係止部20との係止状態が解放されるので、開閉蓋のロックが解除される。
【0034】
また、左スライダ1が左方向にスライド移動することで、上溝部91に係合する係合ピン93aは、上溝部91内を上下方向に摺動しながら左方向に移動する。係合ピン93aが左方向に移動すると、回動部材93は軸部材93cを回動中心として反時計回りに回動する。回動部材93が反時計回りに回動すると、回動部材93の他端部も軸部材93cを回動中心として反時計回りに回動し、回動部材93の他端部に設けられた係合ピン93bは、下溝部92内を上下方向に摺動しながら右方向に移動する。これに伴い、右スライダ2も右方向にスライド移動する。
【0035】
そして、左スライダ1が左方向にスライド移動し、右スライダ2が右方向にスライド移動することにより、コイルバネ3を係止しているバネ係止部15とバネ係止部25とが更に離間するので、コイルバネ3が伸びることとなる。コイルバネ3が伸びることにより、コイルバネ3には、元に戻ろうとする付勢力が作用するため、ツマミ6にかけている力を解放すると、コイルバネ3の付勢力により、左スライダ1は右方向にスライド移動し、右スライダ2は左方向に移動し、各スライダ1,2はスライド移動前の位置に復帰する。
【0036】
一方、図2(a)に示す開閉蓋のロック状態から、ツマミ6を右方向にスライドさせると、ツマミ6に一体形成されたピン部材8bが凹部24を右方向に押し、右スライダ2が右方向にスライド移動する。このとき、右スライダ2は、段付きガイドピン7bがガイド溝23の左端に突き当たるまでスライド移動することができる。
【0037】
右スライダ2が右方向にスライド移動することで、下溝部92に係合する係合ピン93bは、下溝部92内を上下方向に摺動しながら右方向に移動する。係合ピン93bが右方向に移動すると、回動部材93は軸部材93cを回動中心として反時計回りに回動する。回動部材93が反時計回りに回動すると、回動部材93の一端部も軸部材93cを回動中心として反時計回りに回動し、回動部材93の一端部に設けられた係合ピン93aは、上溝部91内を上下方向に摺動しながら左方向に移動する。これに伴い、左スライダ1も左方向にスライド移動する。左スライダ1が左方向にスライド移動することにより、左スライダ1に一体形成されたロック爪5と開閉蓋の係止部20との係止状態が解放されるので、開閉蓋のロックが解除される。
【0038】
そして、右スライダ2が右方向にスライド移動し、左スライダ1が左方向にスライド移動することにより、コイルバネ3を係止しているバネ係止部15とバネ係止部25とが更に離間するので、コイルバネ3が伸びることとなる。コイルバネ3が伸びることにより、コイルバネ3には、元に戻ろうとする付勢力が作用するため、ツマミ6にかけている力を解放すると、コイルバネ3の付勢力により、右スライダ2は左方向にスライド移動し、左スライダ1は右方向に移動し、各スライダ1,2はスライド移動前の位置に復帰する。
【0039】
本第2の実施の形態の開閉蓋のロック機構200によれば、ツマミ6を左方向に動かして、左スライダ1を左方向にスライド移動した場合には、左スライダ1に一体形成されているロック爪5も左方向にスライド移動するので、開閉蓋をロック解除することができる。一方、ツマミ6を右方向に動かして、右スライダ2を右方向にスライド移動した場合には、係合ピン93bの右方向への動きを回動部材93に伝達して回動部材93を軸部材93cを回動中心として反時計回りに回動させ、回動した回動部材93がその回動を係合ピン93aに伝達することで、係合ピン93aを左方向に移動させ、左スライダ1を左方向にスライド移動させることとなるので、開閉蓋をロック解除することができる。
また、左スライダ1は、ツマミ6を左右いずれの方向に動かしても左方向にしか動くことがないので、左スライダ1に一体形成されたロック爪5も左方向にしか動かないこととなる。
【0040】
従って、ツマミ6は左右いずれの方向に動かしてもロック爪5のついた左スライダ1を左方向にスライド移動させることができるので、使用者の利き手が左右いずれであっても違和感無くロックを解除することができ、且つロック爪5の移動スペースをロック位置の左側に設けるだけでよいので、ロック爪5の移動に必要なスペースを最小限に抑えることができる。
また、各スライダ1,2をスライド移動させる移動機構9は、左スライダ1に設けられた上溝部91と、右スライダ2に設けられた下溝部92と、上溝部91に係合する係合ピン93aと下溝部92に係合する係合ピン93bとを有する回動部材93と、から形成されているので、同一平面上で動力の伝達を行うことができることとなって、開閉蓋のロック機構200の薄型化、小型化を図ることができる。
【0041】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲内で自由に変更が可能である。例えば、図3に示すように、右スライダ2にもロック爪5を設け、開閉蓋の係止部20を両端側からロックするようにしてもよい。この時、ロック爪5が一つの場合と同じロック強度でよい場合には、一つのロック爪5に必要なロック強度が半分で済むので、一つのロック爪5が係止部20と係合すべき面積を半分にすることができる。これにより、例えば、ロック爪5の先端の突出量を半分にすることで、ロックを解除するために必要な移動スペースを小さくすることができ、開閉蓋のロック機構の小型化を図ることができる。また、2カ所から係止部20をロックすることができるので、ロックを更に強固なものとすることができる。
また、第2の実施の形態における移動機構9を構成する上溝部91,下溝部92は、溝に限られるものではなく、長孔等でもよい。なお、長孔にすると、係合ピン93a,93bが各スライダ1,2から離脱することがなくなるという点で好適である。
また、各ラックギヤ41,42は、各スライダ1,2の長尺部と一体形成されていても良いし、別個取り付けても良い。また、コイルバネ3の弾性率は任意であり、用途に合わせて変更可能である。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、使用者の利き手がいずれであっても違和感無くロックを解除することができ、且つロック部材の移動スペースを必要最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における開閉蓋のロック機構を説明する概要図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態における開閉蓋のロック機構を説明する概要図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における変形例の開閉蓋のロック機構を説明する概要図である。
【図4】従来技術における開閉蓋のロック機構を説明する概要図である。
【符号の説明】
1 左スライダ(第1のスライダ)
2 右スライダ(第2のスライダ)
4,9 移動機構
41 上ラックギヤ(第1のラックギヤ)
42 下ラックギヤ(第2のラックギヤ)
43 ピニオンギヤ
5 ロック爪(ロック部材)
91 上溝部(第1の係合部)
92 下溝部(第2の係合部)
93 回動部材
100,200 開閉蓋のロック機構

Claims (3)

  1. 所定方向に移動して容器本体に設けられた開閉蓋をロックし、前記所定方向と反対方向に移動して前記開閉蓋のロック解除を行うロック部材と、
    前記開閉蓋をロックした状態のときに、前記所定方向と反対方向に沿って移動可能な第1のスライダと、
    前記開閉蓋をロックした状態のときに、前記所定方向に沿って移動可能な第2のスライダと、
    前記第1のスライダと前記第2のスライダとを互いに相反する方向に同時に移動させる移動機構と、
    前記第1のスライダ及び前記第2のスライダをスライド移動させる力を付与するツマミと、
    を備え、
    前記第1のスライダと前記第2のスライダのそれぞれに前記ロック部材を設け、
    前記ツマミを右方向又は左方向にスライド移動させる力を付与したときに、何れの方向に力を付与した場合も、前記第1のスライダと前記第2のスライダとを互いに相反する方向に同時に移動させてロック解除を行うことを特徴とする開閉蓋のロック機構。
  2. 前記移動機構は、
    前記第1のスライダに設けられた第1のラックギヤと、
    前記第2のスライダに設けられた第2のラックギヤと、
    前記第1のラックギヤと前記第2のラックギヤとの間に固定され、前記第1のラックギヤと前記第2のラックギヤとに噛み合うピニオンギヤと、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の開閉蓋のロック機構。
  3. 前記移動機構は、
    前記第1のスライダに設けられた第1の係合部と、
    前記第2のスライダに設けられた第2の係合部と、
    一端が前記第1の係合部に摺動自在に係合され、他端が前記第2の係合部に摺動自在に係合されるとともに、中心位置が回動自在に固定された回動部材と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の開閉蓋のロック機構。
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