JP4067601B2 - 廃棄物処理体およびその製造方法並びにその製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大深度地下に処分される廃棄物処理体およびその製造方法並びにその製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、高レベル放射性廃棄物のように環境や人体に長期間に亘って悪影響を及ぼす廃棄物を大深度地下に埋設または保管して処分する方法が実施されている。この廃棄物の処分においては、大深度地下に処分後に廃棄物中の処分対象物が廃棄物から漏洩して周辺に拡散しないように、廃棄物が長期間に亘って処分対象物の状態を保持していることが重要である。
【0003】
従って、従来より廃棄物を安定化させる各種の処理方法が提案および開発されており、例えば特公昭57−960号公報には、ブロック状の廃棄物を容器に充填すると共に、容器内の空隙部に金属粉末等の不燃性粉末を充填し、脱気しながら容器を密閉した後、熱間等方圧加圧処理を施して塊状の廃棄物処理体にする処理方法が開示されている。そして、この処理方法によれば、廃棄物処理体の酸化や窒化を不燃焼粉末により抑制することによって、真密状態に減容固化して得られた廃棄物処理体の強い結合力を長期間に亘って維持させることが可能になっている。
【0004】
また、特公平8−20557号公報には、アルカリ金属の水酸化物や酸化物を添加した水ガラスにより廃棄物を固化して廃棄物処理体とする処理方法が開示されている。そして、この処理方法によれば、廃棄物処理体のアルカリ性をアルカリ金属により維持し、無機塩類の結晶水の生成を防止することにより固化状態を長期間に亘って維持させることが可能になっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のように廃棄物処理体の酸化や窒化、結晶水の発生を防止することによって、廃棄物処理体が処分当初の形状を維持していても、大深度地下の環境が低酸素濃度による還元性条件であるため、廃棄物中の処分対象物がイオン化して地下水に溶解し易い形態に変質し、結果として早期に外部に漏洩することになるという問題がある。
【0006】
即ち、図4に示すように、地上の環境は、高い酸素濃度により酸化性条件(高Eh)になっている一方、大深度地下の環境は、地上の大気中の酸素濃度よりも大幅に酸素濃度が低いため、還元性条件(低Eh)になっている。
【0007】
従って、廃棄物が処分対象物である“I”を“AgI”の金属化合物の形態で含んでいた場合、酸化性条件の地上に存在していれば、“AgI”が水に浸漬されたときでも、低溶解度([Ag+ ][I- ]=10- 16)であるため、AgI→Ag+ +I- の化学式のように“Ag”および“I”がイオン化して溶解することは殆どない。
【0008】
一方、“AgI”が還元性条件の大深度地下に存在している場合には、還元性条件による還元剤がAgI+e- →Ag0 +I- の反応を招来して“I”のイオン化を促進する。従って、このような状態で地下水に浸漬された場合には、6AgI+3H2 O→6Ag0 +5I- +IO3 - +6H+ の化学式のように、イオン化した多量の“I- ”が地下水に溶解するため、廃棄物処理体が処分当初の形状を維持していても、地下水を介して早期に外部に漏洩して拡散することになる。
【0009】
そこで、本発明は、大深度地下の環境が還元性条件であることに着目し、このような還元性条件の環境下に処分しても、金属化合物の還元による処分対象物のイオン化を長期間に亘って阻止することができる廃棄物処理体およびその製造方法並びにその製造装置を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、還元性条件の大深度地下に処分されたときのヨウ素イオンの浸出を抑制するように処理された廃棄物処理体であって、前記ヨウ素イオンを含む化合物と、前記化合物よりも大きな酸素ポテンシャルを有し、当該化合物の還元を阻止する高酸素ポテンシャル材とを有したことを特徴としている。
これにより、高酸素ポテンシャル材が廃棄物処理体を酸化性条件にするため、処分された廃棄物処理体が大深度地下の還元性条件に曝された場合でも、この還元性条件が処分直後に廃棄物処理体内のヨウ素イオンを含む化合物に作用することはない。従って、化合物の還元が防止されるため、化合物中のヨウ素イオンが処分直後にイオン化して浸出することがない。また、時間の経過に従って還元性条件による還元剤が廃棄物処理体に作用したとき、高酸素ポテンシャル材が電子と優先的に結び付き、還元剤によるヨウ素イオンを含む化合物の還元を阻止するため、ヨウ素イオンのイオン化が遅延することになる。これにより、廃棄物処理体は、長期間に亘って化合物の状態でヨウ素イオンを保持するため、例えば地下水に浸漬された場合でも、ヨウ素イオンが地下水に溶け込むことが殆どなく、長期間に亘ってヨウ素イオンの浸出を抑制することができる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の廃棄物処理体であって、前記化合物と高酸素ポテンシャル材とが固化体にされたことを特徴としている。また、請求項3の発明は、請求項1記載の廃棄物処理体の製造方法であって、前記廃棄物処理体を固化体にするように固化処理することを特徴としている。
これにより、固化体にすることにより還元性条件の雰囲気との接触面積を低減させることができるため、ヨウ素イオンを含む化合物の還元を一層低減させることができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3記載の廃棄物処理体の製造方法であって、前記固化処理を固化材料の充填により行うことを特徴としている。
これにより、固化材料を充填するという簡単な作業により廃棄物処理体を得ることができる。
【0013】
請求項5の発明は、請求項3記載の廃棄物処理体の製造方法であって、前記固化処理を熱間等方圧加圧処理により行うことを特徴としている。
これにより、廃棄物処理体が減容固化することによって、還元性条件の雰囲気との接触面積を一層低減させることができるため、還元性条件による化合物の還元を極めて低減させることができる。さらに、熱間等方圧加圧処理時の処理温度により固化体表面に層を生成させ、この表面の層により化合物からイオン化して遊離したヨウ素イオンを固化体の内部に留めておくことができる。
【0014】
請求項6の発明は、還元性条件の大深度地下に処分されたときのヨウ素イオンの浸出を抑制するように処理された廃棄物処理体の製造装置であって、前記ヨウ素イオンを含む化合物と、前記化合物よりも大きな酸素ポテンシャルを有し、当該化合物の還元を阻止する高酸素ポテンシャル材とを混合する混合手段と、前記混合手段により混合された混合物に対して熱間等方圧加圧処理を行う加圧手段とを有していることを特徴としている。
これにより、混合手段と加圧手段との簡単な構成により廃棄物処理体を製造することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1ないし図3に基づいて以下に説明する。
本実施形態に係る廃棄物処理体は、図1に示すように、放射性核種の“ 129I”等を含んだ化合物である“AgI”と、“AgI”よりも大きな酸素ポテンシャルを有した高酸素ポテンシャル材である“Fe2 O3 ”と、これらの“AgI”および“Fe2 O3 ”を固化体にする固化材料とを有している。尚、廃棄物処理体1は、簡単な構成の製造装置で製造されるように、“AgI”と“Fe2 O3 ”とを混合する混合装置21と、混合装置21により混合された混合物に対して熱間等方圧加圧処理を行う加圧装置22とを有した製造装置により製造されている。
【0016】
上記の酸素ポテンシャルは、電子e- との結び付き易さを意味しており、大きな酸素ポテンシャルを有した“Fe2 O3 ”は、固化体の内部を地上と同一環境の酸化性条件の高酸化還元電位(高Eh)にしていると共に、固化体の内部に存在する還元剤と優先的に結び付き、還元剤による“AgI”の還元を阻止するようになっている。
【0017】
また、“AgI”および“Fe2 O3 ”を固化する固化材料は、ホウケイ酸ガラスやCASガラス等の酸化物系ガラスからなっており、固化体をガラス化することによって、固化体の機械的強度を増大させるようになっている。尚、固化材料としては、セメントを用いることもできる。そして、固化体は、外部に存在する湿気や地下水による水分から遮断されるように、“Ti”や“Cu”等の金属製のカプセル2に密封状態で収容されている。
【0018】
さらに、廃棄物処理体1は、固化体の機械的強度を一層向上させると共に減容するように、熱間等方圧加圧処理(HIP処理)が施されている。熱間等方圧加圧処理は、450℃〜750℃の処理温度下で窒素やアルゴン等の不活性ガスを圧力媒体としながら1000kg/cm2 の圧力を付与する処理条件に設定されている。そして、このような処理条件で熱間等方圧加圧処理が施された廃棄物処理体1は、固化体の表面に高温の処理温度による層を有しており、この表面の層は、拡散係数が内部の10-4倍程度の核種保持機能を備えることによって、“I- ”の放出を防止するようになっている。
【0019】
上記の構成において、廃棄物処理体1の製造方法について説明する。
先ず、原子力発電所や再処理施設等の原子力施設から“AgIO3 ”や“AgI”等の吸着した廃銀吸着材が廃棄物として排出されると、この廃銀吸着材中の化合物である“AgI”の還元を阻止するように、“AgI”よりも大きな酸素ポテンシャルを有した“Fe2 O3 ”を高酸素ポテンシャル材として選定し、廃銀吸着材および“Fe2 O3 ”を酸化物系ガラスからなる固化材料と共に混合した後、カプセル2に充填する。
【0020】
この後、カプセル2内の充填物を外部の水分から遮断させるように、カプセル2を溶接により密封する。そして、このカプセル2の充填物をガラス化して固化体にすると共に減容させるように、熱間等方圧加圧処理を施して廃棄物処理体1とする。この際、熱間等方圧加圧処理の処理条件は、450℃〜750℃の処理温度下で窒素やアルゴン等の不活性ガスを圧力媒体としながら1000kg/cm2 の圧力を付与するように設定されており、この処理条件下においては、全量の“AgIO3 ”が“AgI”に変換すると共に、ガラス化した充填物の固化体の表面に核種保持機能を備えた層が生成する。従って、製造された廃棄物処理体1は、ガラス化および減容した固化体により形状を長期間に亘って保持することが可能になっている。
【0021】
次に、廃棄物処理体1の処分後の動作について説明する。
上記のようにして製造された廃棄物処理体1は、図示しないドラム缶に収容された後、大深度地下に形成された処分場に運搬されて処分される。処分された廃棄物処理体1は、大深度地下の処分場が低酸素濃度であるため、還元性条件(低Eh)の環境下に存在することになる。そして、この還元性条件が廃棄物処理体1内の“AgI”に対して処分直後に作用した場合には、AgI+e- →Ag0 +I- の反応が生じることによって、イオン化した“I- ”が処分後の僅かな期間に生成することになる。
【0022】
ところが、廃棄物処理体1内におけるガラス化した固化体は、高酸素ポテンシャル材の“Fe2 O3 ”により酸化性条件(高Eh)にされている。従って、廃棄物処理体1の周囲の還元性条件が固化体の“AgI”に対して処分直後に作用することがないため、イオン化した“I- ”が処分後の僅かな期間に生成することはない。また、時間の経過に従って還元性条件による還元剤が廃棄物処理体1内に作用することになるが、高酸素ポテンシャル材の“Fe2 O3 ”が還元剤と優先的に結び付き、電子e- による“AgI”の還元を阻止するため、イオン化した“I- ”の生成が遅延することになる。そして、このようにして“I- ”が生成された場合でも、ガラス化した固化体の表面に核種保持機能を備えた層が“I- ”の放出を防止している。従って、固化体を覆うカプセル2が破損等することによって、固化体が地下水に接触することになっても、“I”の地下水への溶解が僅かであるため、処分場周辺から“I- ”が漏洩することによる環境汚染は極めて小さなものになる。
【0023】
次に、高酸素ポテンシャル材の“Fe2 O3 ”が処分対象物の“AgI”の還元を抑制することを下記の試験結果に基づいて説明する。
【0024】
先ず、“AgI”の試薬からなる試料1と、“AgI”の試薬に“Fe2 O3 ”を混合した試料2とを用意した。また、“AgI”とホウケイ酸ガラスと“Fe2 O3 ”とを100:0:0および80:5:15の比率で含むようにそれぞれ調合した後、熱間等方圧加圧処理を施すことにより固化体とすることによって、100%の“AgI”からなる100%HIP固化体(試料3)と、80%の“AgI”からなる80%HIP固化体(試料4)とを用意した。さらに、これらの試料3および試料4を粉砕することによって、粒状の100%HIP固化体粉砕物(試料5)と80%HIP固化体粉砕物(試料6)とを用意した。
【0025】
次に、上記の各試料1〜6から所定重量をそれぞれ秤量し、表面積を測定した。この後、図2に示すように、これら所定重量の試料1〜6を各ビーカ10にそれぞれ投入すると共に、6.2mmol/リットルとなるように還元剤(Na2 S2 O6 ・2H2 O)を蒸留水に溶解させた水溶液をビーカ10にそれぞれ投入した。そして、各ビーカ10をグローブボックス11内の恒温槽12にセットすることによって、35℃の水溶液に試料1〜6を浸漬させた状態で放置した。この後、ガス循環装置13を作動させることによって、グローブボックス11内を大深度地下と同様の低酸素濃度(1ppm未満)の環境に設定すると共に、ビーカ10の水溶液に3%H2 −N2 混合ガスを10分/週の割合で吹き込んだ。そして、このような条件下での試験を7日間継続した後、水溶液中に溶解した“I- ”のヨウ素浸出量(μg/ml)を求め、1リットル当たりの表面積に対するヨウ素浸出率(μg−I/cm2 )を求めた。
【0026】
この結果、表1および図3に示すように、試薬の状態の試料1・2の関係においては、高酸素ポテンシャル材の“Fe2 O3 ”を含有しない試料1が0.56のヨウ素浸出率であるのに対し、“Fe2 O3 ”を含有した試料2が0.44のヨウ素浸出率であることから、試料1よりも試料2の方がヨウ素浸出率が低いという結果が得られた。また、HIP固化体粉砕物の試料5・6の関係においては、“Fe2 O3 ”を含有しない試料5が0.24のヨウ素浸出率であるのに対し、“Fe2 O3 ”を含有した試料6が検出下限以下であることから、試料5よりも試料6の方がヨウ素浸出率が低いという結果が得られた。
【0027】
これにより、“Fe2 O3 ”を含有していれば、試料2のように“AgI”と混合しただけの形態であっても、試料6のように熱間等方圧加圧処理(HIP処理)による固化体を粉砕した形態であっても、ヨウ素浸出率が減少することが判明した。尚、熱間等方圧加圧処理(HIP処理)による固化体の試料3・4の関係においては、両者共に検出下限以下であるため、“Fe2 O3 ”の効果を確認することはできなかったが、これら試料3・4の固化体を粉砕した試料5・6の結果から“Fe2 O3 ”を含有した試料4の方がヨウ素浸出率が低下していることは明白である。
【0028】
さらに、試料1・3・5の関係から、熱間等方圧加圧処理を施せば、ヨウ素浸出率を低減することができ、試料5のように処理後に粉砕した場合でも、未処理の試料1よりもヨウ素浸出率を低減できることが判明した。そして、これら試料1・3・5に“Fe2 O3 ”を含有させた試料2・4・6は、未含有の試料1・3・5よりもヨウ素浸出率が低減しているため、“Fe2 O3 ”を含有したHIP固化体が最も望ましい処理形態であり、この処理形態であれば、処分後に外力等により固化体が粉砕されても、長期間に亘ってヨウ素の浸出を低減できることが判明した。
【0029】
【表1】
【0030】
以上のように、本実施形態の廃棄物処理体1は、図1に示すように、還元性条件の大深度地下に処分されたときの放射性核種である“I”(処分対象物)の浸出を抑制するように処理されたものであって、“I”を含む大気中では低溶解性の“AgI”(化合物)と、“AgI”よりも大きな酸素ポテンシャルを有した“Fe2 O3 ”(高酸素ポテンシャル材)とを有した構成にされている。
【0031】
これにより、“Fe2 O3 ”が廃棄物処理体1を酸化性条件にするため、処分された廃棄物処理体1が大深度地下の還元性条件に曝された場合でも、この還元性条件が処分直後に廃棄物処理体1内の“AgI”に作用することはない。従って、“AgI”の還元が防止されるため、“AgI”中の“I”が処分直後にイオン化して析出することがない。また、時間の経過に従って還元性条件による電子e- が廃棄物処理体1に作用したとき、“Fe2 O3 ”が還元剤と優先的に結び付き、還元剤による“AgI”の還元を阻止するため、“I”のイオン化が遅延することになる。これにより、廃棄物処理体1は、長期間に亘って低溶解性の“AgI”の状態で“I”を保持するため、例えば地下水に浸漬された場合でも、“I”が地下水に溶け込むことが殆どなく、長期間に亘って“I”の拡散を抑制することができる。
【0032】
尚、本実施形態においては、処分対象物である放射性核種の“I”を“AgI”の金属化合物により保持し、“Fe2 O3 ”を高酸素ポテンシャル材として使用した場合について説明したが、これに限定されることはない。即ち、処分対象物は、金属化合物以外の化合物で保持されていても良い。また、処分対象物は、“I”以外の放射性核種であっても良いし、環境に悪影響を及ぼす重金属類であっても良い。また、高酸素ポテンシャル材は、金属化合物等の化合物よりも電子e- と優先的に結び付くように、この化合物よりも大きな酸素ポテンシャルを有していれば良く、例えば“AgI”の金属化合物に対しては、酸化タングステン“WO3 ”や五酸化バナジウム“V2 O5 ”、酸化銀“Ag2 O”を用いることもできる。
【0033】
また、本実施形態の廃棄物処理体1の製造方法は、廃棄物処理体1を固化体にするように固化処理するようになっている。これにより、廃棄物処理体1を固化体にすれば、還元性条件の雰囲気との接触面積を低減させることができるため、“AgI”の還元が一層低減した廃棄物処理体1を得ることができる。
【0034】
即ち、固化処理は、ホウケイ酸ガラスやCASガラス等の酸化物系ガラス、セメント等の固化材料を充填し、熱間等方圧加圧処理を施すことにより行われている。尚、固化材料の充填による固化処理と、熱間等方圧加圧処理による固化処理との何れか一方を行っても良い。そして、固化材料の充填による固化処理を行った場合には、固化材料の充填という簡単な作業により固化した廃棄物処理体1を得ることができる。また、熱間等方圧加圧処理により固化処理を行った場合には、廃棄物処理体1が減容固化することによって、還元性条件の雰囲気との接触面積を一層低減させることができるため、還元性条件による“AgI”の還元を極めて低減させることができる。
【0035】
また、熱間等方圧加圧処理を行った場合には、処理温度により固化体表面に層を生成させることができるため、この層を生成するための加熱処理を省略することができる。尚、熱間等方圧加圧処理を行わない場合には、加熱処理により層を生成することが望ましい。これは、本実施形態のように処分対象物が放射性核種“I”であった場合に、“AgI”からイオン化した“I- ”を表面の層により固化体の内部に留めておくことができるからである。
【0036】
【発明の効果】
請求項1の発明は、還元性条件の大深度地下に処分されたときのヨウ素イオンの浸出を抑制するように処理された廃棄物処理体であって、前記ヨウ素イオンを含む化合物と、前記化合物よりも大きな酸素ポテンシャルを有し、当該化合物の還元を阻止する高酸素ポテンシャル材とを有した構成である。
これにより、高酸素ポテンシャル材が廃棄物処理体を酸化性条件にするため、処分された廃棄物処理体が大深度地下の還元性条件に曝された場合でも、この還元性条件が処分直後に廃棄物処理体内のヨウ素イオンを含む化合物に作用することはない。従って、金属化合物の還元が防止されるため、金属化合物中のヨウ素イオンが処分直後にイオン化して浸出することがない。また、時間の経過に従って還元性条件による還元剤が廃棄物処理体に作用したとき、高酸素ポテンシャル材が電子と優先的に結び付き、還元剤によるヨウ素イオンを含む化合物の還元を阻止するため、ヨウ素イオンのイオン化が遅延することになる。これにより、廃棄物処理体は、長期間に亘って化合物の状態でヨウ素イオンを保持するため、例えば地下水に浸漬された場合でも、ヨウ素イオンが地下水に溶け込むことが殆どなく、長期間に亘ってヨウ素イオンの浸出を抑制することができるという効果を奏する。
【0037】
請求項2の発明は、請求項1記載の廃棄物処理体であって、前記化合物と高酸素ポテンシャル材とが固化体にされた構成である。また、請求項3の発明は、請求項1記載の廃棄物処理体の製造方法であって、前記廃棄物処理体を固化体にするように固化処理する構成である。
これにより、固化体にすることにより還元性条件の雰囲気との接触面積を低減させることができるため、ヨウ素イオンを含む化合物の還元を一層低減させることができるという効果を奏する。
【0038】
請求項4の発明は、請求項3記載の廃棄物処理体の製造方法であって、前記固化処理を固化材料の充填により行う構成である。
これにより、固化材料を充填するという簡単な作業により廃棄物処理体を得ることができるという効果を奏する。
【0039】
請求項5の発明は、請求項3記載の廃棄物処理体の製造方法であって、前記固化処理を熱間等方圧加圧処理により行う構成である。
これにより、廃棄物処理体が減容固化することによって、還元性条件の雰囲気との接触面積を一層低減させることができるため、還元性条件による金属化合物の還元を極めて低減させることができる。さらに、熱間等方圧加圧処理時の処理温度により固化体表面に層を生成させ、この層により化合物からイオン化して遊離したヨウ素イオンを固化体の内部に留めておくことができるという効果を奏する。
【0040】
請求項6の発明は、還元性条件の大深度地下に処分されたときのヨウ素イオンの浸出を抑制するように処理された廃棄物処理体の製造装置であって、前記ヨウ素イオンを含む化合物と、前記化合物よりも大きな酸素ポテンシャルを有し、当該化合物の還元を阻止する高酸素ポテンシャル材とを混合する混合手段と、前記混合手段により混合された混合物に対して熱間等方圧加圧処理を行う加圧手段とを有している構成である。
これにより、混合手段と加圧手段との簡単な構成により廃棄物処理体を製造することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】廃棄物処理体の製造過程と処分後の状態を示す説明図である。
【図2】廃棄物処理体の試験方法を示す説明図である。
【図3】各試料のヨウ素浸出率を示すグラフである。
【図4】大深度地下の処分場における廃棄物処理体の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 廃棄物処理体
2 カプセル
21 混合装置
22 加圧装置
Claims (6)
- 還元性条件の大深度地下に処分されたときのヨウ素イオンの浸出を抑制するように処理された廃棄物処理体であって、
前記ヨウ素イオンを含む化合物と、
前記化合物よりも大きな酸素ポテンシャルを有し、当該化合物の還元を阻止する高酸素ポテンシャル材と
を有したことを特徴とする廃棄物処理体。 - 前記化合物と高酸素ポテンシャル材とが固化体にされたことを特徴とする請求項1記載の廃棄物処理体。
- 請求項1記載の廃棄物処理体の製造方法であって、
前記廃棄物処理体を固化体にするように固化処理することを特徴とする廃棄物処理体の製造方法。 - 前記固化処理を固化材料の充填により行うことを特徴とする請求項3記載の廃棄物処理体の製造方法。
- 前記固化処理を熱間等方圧加圧処理により行うことを特徴とする請求項3記載の廃棄物処理体の製造方法。
- 還元性条件の大深度地下に処分されたときのヨウ素イオンの浸出を抑制するように処理された廃棄物処理体の製造装置であって、
前記ヨウ素イオンを含む化合物と、前記化合物よりも大きな酸素ポテンシャルを有し、当該化合物の還元を阻止する高酸素ポテンシャル材とを混合する混合手段と、
前記混合手段により混合された混合物に対して熱間等方圧加圧処理を行う加圧手段と
を有していることを特徴とする廃棄物処理体の製造装置。
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