JP4067231B2 - 車両用表示装置のフロントカバー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の運転席前方に設備される車両用表示装置のフロントカバーであって、特にフロントカバーの裏側に配設されている透過表示ユニットからの表示を透過表示させる透過表示部と、フロントカバーの表側に配設されている反射表示ユニットからの表示を反射表示させる反射表示部を備えたフロントカバーを安価に提供することができるフロントカバーの構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車室内に設備される車両用表示装置の従来例として、例えば図4で示すように計器ケース1の内部に、ウォーニング表示、燃料残量表示、エンジン冷却水温度表示等を表示する透過表示ユニット2を設備し、また計器ケース1の外側上部で表示面が下向きに設置されていて、車速及びエンジン回転数を表示する反射表示ユニット3を備え、さらに上記計器ケース1の前面には、図5で示すように、上記透過表示ユニット2からの表示を運転者方向へ透過表示せしめるための透過表示部4と、上記反射表示ユニット3からの表示を運転者方向へ反射表示せしめるための反射表示部5を備えたフロントカバー6が被着されている。尚、反射表示部5に対応するフロントカバー6の裏面側には、反射表示像に二重像が発生しないように黒色処理がなされている。
【0003】
さらにかかるフロントカバーの周縁各所には、上記フロントカバー6を上記の計器ケース1に固定するための取付孔7を穿設している取付片8及びフロントカバーの下縁と計器ケース1の下縁との間に形成される隙間より計器ケース1内へ塵埃が侵入されることを防ぐためのフランジ9が形成されている。
【0004】
そして、上記フロントカバー6にあっては、その一部に反射表示部5を、またその他部に透過表示部4を形成すると共に、そのフロントカバーの前面には損傷を防止するためのハードコートを施す必要があり、このために上記フロントカバーを製造する製作工程では、フロントカバーを樹脂成形するために使用する金型の表側に位置される一方の型面に、ハードコート層が既に施されている透過性のCFIシートをセット(インサート)し、またその金型の裏側に位置される他方の型面に透過表示部4の対応部分を除いて黒色印刷が既に施されている遮光性のPSIシートをセット(インサート)し、それら金型の型閉め後、フロントカバーの生地となるPC(ポリカーボネート)樹脂を射出して、上記透過表示部4及び反射表示部5を有するフロントカバーを樹脂成形しているものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記のような工程でフロントカバーを製作する方法では、双方金型の型面にハードコート層が施されているCFIシート及び黒色印刷が施されているPSIシートを予めセットする必要があり、このためにそれらシートを凹凸面又は段差面を有する型面に沿って緊張状態で貼着位置決めすることは不可能であることから、凹凸部又は段差面を有しかつハードコート層をCFIシートで形成するフロントカバーを、上記製法手順によって成形することは不可能であった。
【0006】
また図6で示すように、前記同様に透過表示部4と反射表示部5を備えた運転席前方に位置する反射表示領域部分10と、この反射表示領域部分10の横方向に隣設(運転席と助手席との略中間位置)して、例えばナビゲーション、テレビ等の像を表示する直視表示ユニット(図示せず)からの表示像を透過表示する透過部分11とが一体に形成された横長略方形のフロントカバー12が知られているが、このフロントカバー12の場合は、上記反射表示領域部分10の傾斜面と、透過部分11の傾斜面との間に、それら傾斜面の角度の違いにより生じる段差部13が形成されるているために、かかる段差部13を有するフロントカバーの全面にCFIシートの貼着によるハードコート処理を施すことは不可能であった。
【0007】
尚、段差部13は次の理由により発生する。運転席前方部分の透過表示部4と反射表示部5を備えた反射表示領域部分10のフロントカバーの傾斜面は、車両のサイドガラス等から外景がフロントカバー12に映り込み、運転者に視認されることを防止するため、フロントカバー12を上下方向に湾曲させ、運転者のアイレンジ方向へ反射させないようにすると共に、反射表示ユニット3(図4)による表示を、運転者のアイレンジ方向へ反射せしめるために、傾斜面の概略傾斜角度をθ1(不図示)とする必要があり、またそのフロントカバー12正面の上記直視表示ユニットによる透過表示部分11の平均的な傾斜面は、プロントカバー12の裏側に直視表示ユニットを収納するためのスペースを確保せしめるために、さらにはフロントカバー6(図4)の表面による外光反射等による映り込みを防止するために、上記反射表示ユニット3に対応する反射表示領域部分10の傾斜面の傾斜角度θ1よりも、大きい傾斜角度θ2(不図示)に設定されることから、そのフロントカバー12における反射表示ユニット3による反射表示領域部分10と、直視表示ユニットによる透過表示部分11との間には三次元曲面からなる略三角形状の段差部13が形成される。
【0008】
そこで上記のように透過表示部4と反射表示部5とを備えたフロントカバーを製作する他の製作手段として、予め所定の形状に金型形成された透明なるフロントカバー本体の裏面には、マスキング等により上記透過表示部4を除いた反射表示部5のみに黒色等の遮光塗料をスクリーン印刷手段を用いて塗装し、またフロントカバー本体の表面には、ハードコート塗料によるハードコート層をスクリーン印刷手段を用いて塗装することも考えられるが、この場合図7で示すように、フロントカバー本体6の辺縁には、取付ねじ挿通孔7を穿設してなる複数個の取付片8及びフロントカバー本体6と上記計器ケース1との間に生じる隙間から、その計器ケース1内に向けて塵埃が侵入されることを防ぐためのフランジ9がフロントカバー本体の表面又は裏面方向へ突設されているために、これらの取付片8及びフランジ9に邪魔されて、上記遮光塗料又はハードコート塗料によるスクリーン印刷層をフロントカバー本体への表裏面に均一施すことが困難とされていた。
【0009】
本発明は、かかる従来の事実に鑑みてなされたもので、予め所定の形状に形成されたフロントカバー本体の裏面に、スクリ−ン印刷手段による遮光塗料の塗装を可能とするフロントカバー本体の形状に設定することを第1の目的とする。
【0010】
また本発明では、フロントカバー本体表面へのハードコート塗料の塗布を浸漬塗装手段を用いて塗装し、フロントカバー本体の形状に拘束されることなく、ハードコート層を容易かつ安価に設けることを第2の目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、本発明の請求項1では、車両用表示装置の前面に取付けられるフロントカバーであって、透明樹脂材料で形成されたフロントカバー本体(21)の裏面には、一部の透過表示部(22)を除いて遮光層(31)を設け、該フロントカバー本体(21)の表面にはハードコート層(33)を設けた車両用表示装置のフロントカバーにおいて、上記遮光層(31)を設けるべきフロントカバー本体(21)の周縁部に形成される突起部(29、30)をフロントカバー本体の表面方向へ突設せしめて、フロントカバー本体裏面での遮光塗料のスクリーン印刷を可能ならしめた車両用表示装置のフロントカバーであることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図面に示す実施の形態に基いて詳細に説明する。
【0014】
図1において、21は本実施の形態である、フロントカバー本体であって、このフロントカバー本体21の外形は、従来例の図6で図示したフロントカバー本体と同様に、透過表示ユニット(不図示)による表示を透過せしめるための透過表示部22と、反射表示ユニット(不図示)による表示を反射表示せしめるための反射表示部23を有する第1の表示部24と、直視表示ユニット(不図示)による表示像を透過する直視表示部25を有する第2の表示部26を有し、その第1の表示部24と第2の表示部26との間には表示面の傾斜の違いにより生じる段差面27が形成されている。
【0015】
即ちこのフロントカバー本体21は、透明又は半透明で光透過性を有する樹脂(PMMA又はPC)により横長略長方形に形成されており、その周縁各所にはハウジングへの不図示の取付ねじを挿通するための取付孔28を穿設してなる取付片29が一体に形成されており、またフロントカバー本体21の下縁には、該フロントカバー本体21の下縁とハウジング開口部下縁との隙間等から、そのハウジング内への塵埃の侵入を防ぐためのフランジ(鍔片)30が一体に形成されている。かかる正面形状のフロントカバー本体21の側端面、所謂断面形状は図2で示すように、その前面21Aに向って緩やかな凹曲面となるように湾曲されており、またその後面21Bは必然的にも凸曲面となるように形成されている。
【0016】
このように上記フロントカバー本体21の全形は、その周縁に、該フロントカバー本体21を計器ケース(図示せず)に取付けるために使用する取付片29及び防塵用のフランジ30等が形成されているが、かかる取付片29及びフランジ30は、フロントカバー本体21の後面21B方向へ突出しないように形状設定がなされている。つまり上記の取付片29及びフランジ30は、フロントカバー本体21の前面21A方向へ突設されているものである。
【0017】
このように、フロントカバー本体21の後面21B側にはその後面21Bより突き出る突起部がないために、そのフロントカバー本体21の後面21Bに、通常のスクリーン印刷を施すことが可能となり、このためスクリーン印刷手段を採用して遮光層を施すことが可能である。
【0018】
従って上記フロントカバー本体21の後面21Bに、上記反射表示部23を構成するための遮光層31を設けるには、図2の(ハ)で示すように先ずは、上記フロントカバー本体21における後面21Bの上記透過表示部22該当位置にマスク32によってマスキングを行なった後、その後面21B全体に例えば黒色塗料等による遮光層31をスクリーン印刷手段によって施す(図3(イ)参照)。
【0019】
次に上記遮光層31が乾燥固化した後に、マスク32を除去したフロントカバー本体21を、所定のコーティング液が充填されている液槽(図示せず)の液中へ浸漬(ディッピング)し、次いでこれを液中より引き上げて乾燥することにより、フロントカバー本体21の前後全面にハードコート層33が形成され、目的とするフロントカバーを得ることができる。
【0020】
尚、図示せぬが、黒色塗装等による遮光層31については、ハードコード後処理でも可能である。
【0021】
以上のようにして構成されるフロントカバーは、そのフロントカバー本体21の後面21Bに突起部がないために、その後面に通常のスクリーン印刷手段を用いて遮光層31を形成することができる。またフロントカバー本体21の全面にハードコート層33を設ける手段としてフロントカバー本体21を液中へ浸漬するディッピングを採用しているために、フロントカバー本体21全面へのハードコート層の形成作業がきわめて容易である。
【0022】
【発明の効果】
以上のように本発明のフロントカバーは、そのフロントカバー本体の後面所望個所にスクリーン印刷手段を用いて遮光層を設け、またそのフロントカバー本体の全面にはディッピング手段を用いてハードコート層を設けるフロントカバーの構成となしたものであるから、車両用計器装置の複雑化に伴ない、形状が多様化し、及び前後面の凹凸が複雑となっているフロントカバー本体であっても、そのフロントカバー本体の裏面に所望の遮光層を施すことが容易であり、さらにはそのフロントカバー本体の全面にハードコート層を容易かつ安価に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明よりなるフロントカバーの実施の形態を示した正面図。
【図2】本発明よりなるフロントカバーの実施の形態を示した断面図であって、(イ)は図1のA−A線断面図、(ロ)はB−B線断面図、(ハ)はマスキングと遮光層を設けた時の断面説明図。
【図3】それぞれの要部拡大断面図であって、(イ)は図2(ハ)におけるX部拡大図、(ロ)は図2(イ)におけるY部拡大図。
【図4】従来の車両用表示装置の概略側面図。
【図5】従来の車両用表示装置に用いられているフロントカバーの正面図。
【図6】従来の他の車両用表示装置に用いられるフロントカバーの正面図。
【図7】図5におけるD−D線断面図。
【符号の説明】
21…フロントカバー本体
22…透過表示部
23…反射表示部
24…第1の表示部
25…直視表示部
26…第2の表示部
27…段差面
28…取付孔
29…取付片
30…フランジ
31…遮光層
32…マスク
33…ハードコート層
Claims (1)
- 車両用表示装置の前面に取付けられるフロントカバーであって、透明樹脂材料で形成されたフロントカバー本体(21)の裏面には、一部の透過表示部(22)を除いて遮光層(31)を設け、該フロントカバー本体(21)の表面にはハードコート層(33)を設けた車両用表示装置のフロントカバーにおいて、
上記遮光層(31)を設けるべきフロントカバー本体(21)の周縁部に形成される突起部(29、30)をフロントカバー本体の表面方向へ突設せしめて、フロントカバー本体裏面での遮光塗料のスクリーン印刷を可能ならしめたことを特徴とする車両用表示装置のフロントカバー。
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