JP4066786B2 - 力学量センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、加速度、角加速度、角速度、荷重等の力学量を検出する力学量センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧電振動子を備えた加速度センサとして、本願出願人は特許文献1を出願している。
【0003】
この加速度センサは、加速度によって加わる応力が互いに逆である2つの圧電振動子と、2つのコンデンサを含む負荷インピーダンスでブリッジ回路を構成し、その平均出力間に分圧インピーダンス回路を設け、その分圧インピーダンス回路の分圧点の信号を帰還信号処理回路によって2つの圧電振動子の接続点に帰還させて発振回路を構成し、ブリッジ回路の平均出力間の発振出力位相差を検出して、これを加速度検出信号として出力するものである。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−243757号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
(1)回路部でのばらつき要因に関して
上記加速度センサは、重力加速度等の直流成分の加速度を検出することができること、共振周波数が高い場合にも圧電振動子が持つ静電容量の影響を受けにくく、高感度な検出が可能であること、高周波電圧信号を高精度なゲインで増幅する必要が無いこと、等の種々の特徴を備えている。
【0006】
しかし、この前述の加速度センサにおいては、2つの圧電振動子と2つのコンデンサを含む負荷インピーダンスとでブリッジ回路を構成しているので、ブリッジが平衡状態にならないと発振出力位相差が0にならない。すなわち2つの圧電振動子に加わる応力が共に0であっても、加速度センサの出力が0にならない。また、圧電振動子間のばらつきが大きい場合に、負荷インピーダンスを調整して、圧電振動子間のばらつきをキャンセルできる、というメリットがある反面、圧電振動子間のばらつきが元々小さくて調整不要な場合には、負荷インピーダンスの特性を揃えるといった余分な作業が必要になる。
【0007】
(2)圧電振動子と回路との配置に関して
上記加速度センサは、負荷インピーダンスに比較して大きな静電容量を用いるため、回路基板の寄生容量の影響を受けにくく、コーティングや気密封止パッケージが不要である、といった特徴を備えている。
【0008】
しかし、この前述の加速度センサにおいては、圧電振動子と回路との距離を数cm程度にとどめる必要があった。これは、コルピッツ発振回路の原理を用いているための制約であり、回路の入力インピーダンスが高く、また、回路への入力電圧が高いため、配線抵抗やインダクタンス成分の影響を受けやすいことに起因している。すなわち、圧電振動子と回路との間隔は10cm以上になる用途が想定されるため、原理的に、圧電振動子と回路間の距離をその程度に離しても問題が生じにくい検出方式が望まれている。
【0009】
(3)加速度に対する感度の最良点の調整に関して
上記加速度センサは、位相シフト回路によって、加速度に対する感度を最良点に合わせることができるが、位相シフト回路による位相シフト量の制御が困難であった。
【0010】
なお、上述の課題は、加速度を検出する加速度センサに限らず、角加速度、角速度、荷重等の力学量に応じて圧電振動子に流れる電流が変化するようにした場合に生じる共通の課題である。
【0011】
この発明の目的は、上述した各種の課題を解消し、2つの圧電振動子の特性ばらつきの低減に伴う回路部の無調整化およびばらつき要因の削減を可能とし、また、圧電振動子と回路部間の距離を離せるようにし、さらに位相シフト回路による位相シフト量の制御を不要とした力学量センサを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は、力学量によって加わる応力が互いに逆である2つの圧電振動子と、前記2つの圧電振動子に対して共通に電圧信号を印加する回路と、前記2つの圧電振動子に流れる電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換回路と、当該電流電圧変換回路の出力電圧信号の位相差を検出して力学量検出信号を出力する位相差信号処理回路を設けて力学量センサを構成する。これにより、測定環境の影響を受けにくくし、安定した力学量の測定を可能とする。
【0013】
また、この発明は、前記2つの圧電振動子に対して共通に電圧信号を印加する回路を、前記電流電圧変換回路から出力される、前記2つの圧電振動子に流れる電流信号の和の電圧信号から、該電圧信号に対して同位相の電圧信号を前記2つの圧電振動子へ正帰還させる電圧増幅回路により構成し、該電圧増幅回路と、前記圧電振動子と、前記電流電圧変換回路とによって発振動作させるように力学量センサを構成する。
【0014】
これにより、2つの圧電振動子に加わる応力に対する共振周波数の鋭敏な変化を利用して、力学量を高感度に検出できるようにする。また、発振動作の動作点に2つの圧電振動子の特性を反映させて、2つの圧電振動子に加わる応力に対する発振周波数変化の関係を安定化させる。
【0015】
また、この発明の力学量センサは、前記電圧増幅回路を、定電流回路と、電流スイッチ回路とからなる電圧振幅制限回路を含むものとし、その電圧振幅制限回路により、前記2つの圧電振動子に対して共通に印加する電圧信号の電圧振幅を制限する。これにより圧電振動子の駆動電圧を一定にし、回路の動作を安定化させ、圧電振動子の発熱も低減させる。
【0016】
また、この発明の力学量センサは、その発振動作の周波数を、圧電振動子の共振周波数域の周波数とする。圧電振動子は、その共振周波数域でインピーダンスが低いため、電流電圧変換回路に流れる電流が増し、ゲインが大きくなり、安定に発振動作する。このことにより、加わる力学量に応じた力学量の検出信号の変化感度を高める。
【0017】
また、この発明の力学量センサは、その圧電振動子の共振周波数域を、該圧電振動子のアドミタンス位相が0±45[deg] となる範囲とする。このことにより、加わる力学量に応じた電流電圧変換回路の出力電圧信号の位相差変化を、より直線的とし、広いダイナミックレンジで力学量を検出できるようにする。
【0018】
また、この発明の力学量センサは、前記電流電圧変換回路として、入力された電流信号に対して逆位相の電流信号を発生させて、前記入力された電流信号を打ち消し、前記逆位相の電流信号を2つに分配する差動増幅回路を2つ備え、該2つの差動増幅回路の2つの分配電流信号のうち、一方の電流信号ずつを同一のインピーダンス素子に流し、他方の電流信号を、それぞれ別のインピーダンス素子に流して、出力すべき電圧信号を発生させるように構成する。
【0019】
このように、2つの圧電振動子に流れる電流位相の変化を、2つの差動増幅回路により電圧変化に変換することによって、同相成分のノイズ(ドリフト)を除去できるようにする。
【0020】
また、この発明の力学量センサは、前記インピーダンス素子として抵抗を用いる。これにより低コスト化を図り、且つ2つの圧電振動子に流れる電流と同位相の電圧信号を取り出し、前記電圧増幅回路による圧電振動子に対する正帰還を容易に行えるようにする。
【0021】
また、この発明の力学量センサは、前記差動増幅回路として、第1・第2のトランジスタのエミッタまたはソース同士を接続し、その接続点とアナロググランドとの間に第1の抵抗を接続し、第3・第4のトランジスタのエミッタ同士またはソース同士を接続し、その接続点とアナロググランドとの間に第2の抵抗を接続し、第1〜第4のトランジスタのベースまたはゲートを定電圧源に接続し、第2・第3のトランジスタのコレクタ同士またはドレイン同士を接続するとともに、該コレクタまたはドレインと電源ライン間に第5の抵抗を接続し、第1・第4のトランジスタのコレクタまたはドレインと電源ライン間に第3・第4の抵抗をそれぞれ接続して構成する。
【0022】
このようにベース接地増幅回路またはゲート接地型増幅回路を構成して、増幅回路への入力インピーダンスを低くし、入力容量を小さくして、周波数特性が良好な電圧増幅回路および発振回路を構成する。
【0023】
また、この発明の力学量センサは、前記位相差信号処理回路を、前記電流電圧変換回路の出力電圧を差動型で入力し、位相差を電圧信号として出力する差動型位相差電圧変換回路とする。これにより同相成分のノイズを除去し、全体にノイズ成分の少ない、力学量に応じた電圧信号を得る。
【0024】
また、この発明の力学量センサは、前記2つの圧電振動子にそれぞれ直列に抵抗を接続する。これにより、圧電振動子に加わる応力に対する検出感度の安定化と温度特性の補償を行う。
【0025】
上記力学量としては、たとえば加速度、角加速度、角速度、荷重を検出する。
【0026】
【発明の実施の形態】
まず、各実施形態の加速度センサに備える圧電振動子の構成について、図9〜図11を参照して説明する。
図9は加速度検出素子の全体の斜視図、図10はその分解斜視図、図11は図10における要部の更なる分解斜視図である。
この加速度検出素子10は、2つの圧電振動子Sa,Sbを絶縁性セラミック等からなる絶縁ケース5,6内に両持ち梁構造で収納支持している。この例では、圧電振動子Sa,Sbはユニモルフ型検出素子である。短冊形状の圧電セラミック板の表裏両主面にそれぞれ電極21,22および31,32を形成した共振子20,30を、それぞれベース板23,33の一面に接着や半田付け等により接合することにより一体化している。この共振子20,30は、共にエネルギー閉じ込め型厚みすべり振動モードの共振子であり、共振子20,30の長さ方向に分極している。表裏面の電極21,22および31,32は、一端部を共振子20,30の中央部で対向させ、他端部を共振子20,30の異なる端部へ引き出している。
【0027】
ベース板23,33は共振子20,30と同一長さ、同一幅に形成された絶縁板であり、圧電振動子Sa,Sbの加速度の作用に伴う曲げ中性面が、共振子20,30とベース板23,33との接合面よりベース板23,33側になるように設定している。ベース板23,33は、共振子20,30より曲げ剛性の高い材料で構成している。また、このベース板23,33は、質量体(重り)として機能させるため質量をなるべく大きなものとしている。ベース板23,33の共振子20,30との対向面には、共振子20,30の閉じ込め振動の範囲より広くかつ加速度によって撓む範囲より小さな空隙を形成するための凹部23a,33aを形成している。これにより、共振子20,30の閉じ込め振動が拘束されず、且つ加速度によって共振子20,30とベース板23,33とが一体に撓むようにしている。
【0028】
上記2個の圧電振動子Sa,Sbは、共振子20、30が互いに相反方向を向き、且つ加速度Gの印加方向にそれぞれ独立して撓み得るように、長手方向両端部を、スペーサ層である接着層4を介して対面接合している。圧電振動子Sa,Sbの加速度Gの印加方向の外側面は、左右一対のケース部材5,5によって覆っている。ケース部材5は断面コ字形に形成しており、その両端突出部5aを圧電振動子Sa,Sbの両端部外側面(共振子20,30の露出面)に接着固定している。そのため、ケース部材5と圧電振動子Sa,Sbとの間には、ケース部材5の凹部5bによって、加速度Gに伴い圧電振動子Sa,Sbが撓み得る空間を形成している。
【0029】
また、圧電振動子Sa,Sbとケース部材5とで形成される上下の開放面を上下一対のカバー部材6,6によって覆っている。カバー部材6の内面には、圧電振動子Sa,Sbとの接触を防止するための凹部6aを形成していて、その外周部を開放面に接着固定している。そのため、圧電振動子Sa,Sbの加速度Gによる変位部分は、ケース部材5およびカバー部材6によって完全に密閉している。
【0030】
共振子20,30に形成した電極21,22および31,32のうち、電極21,32は、圧電振動子Sa,Sbとケース部材5とで形成される開放面に設けた帯状の内部電極51によって互いに導通させ、且つケース部材5の外側面まで引き出している。また、電極22は上側の開放面に形成した内部電極52によってケース部材5の外側面まで引き出し、電極31は下側の開放面に形成した内部電極53によってケース部材5の異なる外側面まで引き出している。
【0031】
ケース部材5およびカバー部材6の外表面には、図1に示すように、外部電極61,62,63を形成していて、上記内部電極51,52,53は、それぞれ外部電極61,62,63に接続している。これによって、表面実装型のチップ型加速度検出素子10を得る。
【0032】
次に、この圧電振動子の特性を図8を参照して説明する。図8において、(A)は、その図中に示した回路で、電圧源の周波数を変化させたときの電流の位相(すなわちアドミタンス位相)の変化を示している。また、実線は応力を印加していない状態、破線は応力を印加した状態である。図8の(B)は(A)における共振周波数域の拡大図である。
【0033】
図8において、位相が0[deg] になる周波数は、圧電振動子の共振周波数である。図8から明らかなように、応力印加により、共振周波数がfr(0)からfr(x)に変化したことが分る。また、電圧源の周波数をfr(0)に固定しておくと、位相は応力印加によりφ(0)からのφ(y)に変化することが分る。ここで、圧電振動子の電気機械品質係数をQm、 応力による共振周波数変化率をD(fr)とすると、φ(y)は、近似的に(1)式となる。
【0034】
φ(y)=(360/π)×Qm×D(fr) [deg] …(1)
さて、第1の実施形態に係る加速度センサの構成を図1〜図4を参照して説明する。
図1は加速度センサ全体の構成を示すブロック図である。ここで10は加速度によって加わる応力の方向が互いに逆である2つの圧電振動子Sa,Sbからなる加速度検出素子である。電流電圧変換−信号加算回路11は、加速度検出素子10の2つの圧電振動子Sa,Sbに流れる電流信号を電圧信号に変換して、Sa信号およびSb信号を出力する。また、両信号の加算信号を出力する。
【0035】
電圧増幅−振幅制限回路12は、上記加算信号を電圧増幅するとともに、その振幅制限を行い、加速度検出素子10に対して電圧信号Voscを出力する。この電圧信号Voscは、2つの圧電振動子Sa,Sbの共通接続点に印加する。
【0036】
位相差電圧変換回路13は、この発明に係る「位相差信号処理回路」に相当する回路であり、電圧信号として変換されたSa信号とSb信号との位相差に比例した電圧信号を生成する。
【0037】
増幅−フィルタ回路14は、位相差電圧変換回路13により変換された電圧信号を所定のゲインで増幅し、不要な周波数帯域の成分を除去して、加速度検出信号として出力する。
【0038】
図1の回路で、圧電振動子SaとSbの共振周波数を揃え、Voscの周波数をSaとSbの共振周波数をfr(0)とし、圧電振動子Sa、圧電振動子Sbには、それぞれ圧縮(引っ張り) 、引っ張り(圧縮)という具合に、逆相の応力が印加されると、増幅−フィルタ回路14から出力信号を取り出すことができる。
【0039】
Voscは、圧電振動子Sa,Sb、電流電圧変換−信号加算回路11、および電圧増幅−振幅制限回路12の回路をループとする自励振発振系の電圧信号である。
【0040】
Voscの周波数は、圧電振動子SaとSbの共振周波数に限らず、図8に示した周波数−位相特性が略直線と見なせる周波数に設定しておけば、加速度信号を検出することができる。実用的には、アドミタンス位相が±45[deg] 以内となる周波数であれば良い。なお、最も加速度検出感度が高くなるのは、Voscの周波数を、圧電振動子SaとSbの共振周波数に一致させたときである。
【0041】
圧電振動子SaとSbの共振周波数が揃っていない場合でも、Voscの周波数が、圧電振動子SaとSbのアドミタンス位相が、±45[deg] 以内となるようにすれば実用的な感度となる。好ましくは、Voscの周波数がSaの共振周波数とSbの共振周波数の中間であれば良い。
【0042】
圧電振動子Sa、圧電振動子Sbには、それぞれ圧縮(引っ張り) 、引っ張り(圧縮)という具合に、逆相の応力が印加されるので、圧電振動子SaとSbの特性変化が常に逆相となるため、加算すると打ち消し合い、電流電圧変換−信号加算回路11から出力される加算信号は、加速度印加によらず常に同じ特性となるので、加速度印加によって圧電振動子SaとSbの特性が変化しても、Voscの周波数は変動しない。
【0043】
なお、図8に示したように、圧電振動子の位相特性にはアドミタンス位相が、±45[deg] 以内となる領域が2箇所(共振周波数域と反共振周波数域)があるが、反共振周波数域では、圧電振動子のインピーダンスが高いので、電流電圧変換−信号加算回路11に流入する電流が少なくなることにより、ゲインが小さくなり発振しない。
【0044】
これに対し、共振周波数域では、圧電振動子のインピーダンスが低いために、電流電圧変換−信号加算回路11に電流が多く流れ、ゲインが大きくなるので、安定に発振する。
【0045】
共振周波数域では、圧電振動子のインピーダンスと電流電圧変換−信号加算回路11の入力インピーダンスが、双方とも低く、また、整合も取りやすいため、C/N比を向上させることが容易である。
【0046】
図2は、図1に示した電流電圧変換−信号加算回路11の回路図である。この回路は、4つのトランジスタQ11,Q12,Q21,Q22と、5つの抵抗R1〜R5とから構成している。図2に示すように、トランジスタQ11とQ21のエミッタ同士を接続し、その接続点とアナロググランドとの間に抵抗R1を接続している。また、Q12とQ22のエミッタ同士を接続し、その接続点とアナロググランドとの間に抵抗R2を接続している。Q11,Q12,Q21,Q22のすべてのベースを定電圧源Vregに接続している。また、Q11とQ12のコレクタ同士を接続し、その接続点と電源Vcc間に抵抗R5を接続している。また、Q21,Q22のコレクタと電源との間に抵抗R3,R4をそれぞれ接続している。
【0047】
上記トランジスタQ11,Q12,Q21,Q22は同一特性のトランジスタである。抵抗R1とR2は同じ値であり、抵抗R3とR4も同じ値である。また、抵抗R1〜R5の温度特性は同じである。
【0048】
この回路はベース接地型増幅回路である。すなわち、圧電振動子Saを介して、Q11,Q21のエミッタとR1との接続点に電流Iaが注入されると、その電流を打ち消すように、Q11とQ21とから電流が流れる。同様に、圧電振動子Sbを介して、Q12,Q22のエミッタとR2との接続点に電流Ibが注入されると、その電流を打ち消すように、Q12とQ22とから電流が流れる。このため、圧電振動子Sa,Sbからこの増幅回路を見た入力インピーダンスは非常に低くなる。
【0049】
Q11とQ21の特性は同じであり、ベースが同電位であるので、Q11とQ21のコレクタには同じ電流が流れる。同様に、Q12とQ22の特性は同じであり、ベースが同電位であるので、Q12とQ22のコレクタには同じ電流が流れる。
【0050】
Q11,Q12,Q21,Q22の特性が同じで、ベース電位が同電位、且つR1=R2であるため、圧電振動子Sa,Sbから見た入力インピーダンスは等しい。この入力インピーダンスをZinと置くと、Zinは次の式で表される。
【0051】
Zin=1/{(1/Ri)+(1+hfe)/hie }× 1/2 …(2)
但し、
Ri=R1=R2
hfe:エミッタ接地時での小信号電流増幅率
hie:エミッタ接地時でのベース−エミッタ間の入力インピーダンス
である。
【0052】
ここで、hfe=300、hie=1kΩ、Ri=100Ωとすれば、入力インピーダンスZinは1.6Ωとなり、非常に低い入力インピーダンスとなる。このように入力インピーダンスが非常に低くなるため、次の効果が得られる。
【0053】
(1) 電流電圧変換−信号加算回路の入力部の静電容量の変動による影響を受けない。
(2) 電流電圧変換−信号加算回路を構成する回路基板等に生じる寄生容量の影響を受けない。
(3) 加速度検出素子10と電流電圧変換−信号加算回路11との間の配線に抵抗やインダクタンス成分があっても、上記(1),(2) の効果により、電流電圧変換−信号加算回路へ入力される電流信号Ia,Ibに位相変動が生じない。
【0054】
そのため、加速度検出素子10と電流電圧変換−信号加算回路11との距離を離しても、その影響が非常に少ない。
【0055】
なお、この実施形態では、入力インピーダンスZinを1.6Ωに設定したが、これに限るものではない。加速度検出素子10と電流電圧変換−信号加算回路11との距離を数十cm程度離すことを目的とする場合、発振周波数が数MHzであれば(発振動作については後述する)、数百Ω程度であっても問題とはならない。すなわち、入力インピーダンスをどの程度まで低くするかは、加速度検出素子10と電流電圧変換−信号加算回路11との距離及び設置環境を考慮して適宜決定すればよい。
【0056】
ここで、電流電圧変換−信号加算回路11から出力するSa信号、Sb信号、加算信号の出力レベル(振幅)は、圧電振動子Sa,Sbを介して入力される電流をIa,Ibとした場合、それぞれ次の式で表される。
【0057】
Sa信号レベル=R3×Ia/2 …(3)
Sb信号レベル=R4×Ib/2 …(4)
加算信号レベル=R5×(Ia+Ib)/2 …(5)
上記3つの信号出力レベルを同じにするため、R3,R4,R5の抵抗比を2:2:1となるように定めている。(3)式,(4)式より、この回路が、圧電振動子Sa,Sbに流れる電流を電圧信号に変換する、電流−電圧変換器として作用していることがわかる。また、(5)式より、圧電振動子Sa,Sbを介して流れる電流Ia,Ibを加算して電圧信号に変換する、信号加算回路として作用していることがわかる。
【0058】
ここで、上記電流信号Ia,Ibは次の式で表される。
【0059】
Ia=Vosc/Z(Sa) …(6)
Ib=Vosc/Z(Sb) …(7)
但し、
Z(Sa):発振周波数における圧電振動子Saのインピーダンス
Z(Sb):発振周波数における圧電振動子Sbのインピーダンス
Vosc:電圧増幅−振幅制限回路12からの出力電圧
である。
【0060】
ところで、この加速度センサの、加速度に対する感度が最も高くなるのは、圧電振動子Sa,Sbの2つの圧電振動子に流れる電流Ia,Ibの和(Ia+Ib)の位相と、電圧増幅−振幅制限回路12の出力電圧Voscの位相とが同位相になる時である。前述した特願2001−42130で示した回路では、位相回路で最適ポイントを設定する必要があったが、本願によれば、Sa,Sbの2つの圧電振動子に流れる電流信号を利用することにより、位相回路が不要になる。電流電圧変換−信号加算回路11と電圧増幅−振幅制限回路12のトータルで、加算信号と電圧信号Voscとが同位相となるように回路を構成するだけでよい。
【0061】
電流電圧変換−信号加算回路11は、図2に示したようにベース接地型増幅回路で構成しているので、圧電振動子Sa,Sbに流れる電流Ia,Ibの和(Ia+Ib)の位相と加算信号の電圧とは同位相であり、また電圧増幅−振幅制限回路12でも、入力信号である加算信号と出力電圧Voscとは同位相となるように回路を構成している。したがって、この2つの回路でのトータルの位相は0(同位相)となる。
【0062】
なお、図2に示した例では、バイポーラ型のトランジスタを用いたが、これに限らず、FET(電界効果型トランジスタ)用いても実現できる。この場合バイポーラ型トランジスタのベース,エミッタ,コレクタを、FETのゲート,ソース,ドレインにそれぞれ対応させる。
【0063】
また、トランジスタの数は4つに限らず、入力インピーダンスを下げる目的等で、トランジスタQ11,Q12,Q21,Q22に対して並列にトランジスタを接続してもよい。
【0065】
図2に示したように、インピーダンス素子として抵抗R1〜R5を用いたことにより、全体に低コスト化が図れ、また、Ia,Ib,(Ia+Ib)信号と同位相の電圧信号を容易に得ることができる。この効果はベース接地型増幅回路に限らない。
【0066】
このように、力学量によって加わる応力が互いに逆である2つの圧電振動子と、この2つの圧電振動子に対して共通に電圧信号を印加する回路と、2つの圧電振動子に流れる電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換回路と、当該電流電圧変換回路の出力電圧信号の位相差を検出して力学量検出信号を出力する位相差信号処理回路を設けたことにより、測定環境の影響を受けにくく、安定した力学量の測定が可能となる。その結果、回路部の無調整化が可能となる。
【0067】
また、電流電圧変換回路で、2つの圧電振動子に流れる電流位相の変化が、2つの差動増幅回路により電圧変化に変換されるので、同相成分のノイズ(ドリフト)の除去が可能となる。
【0068】
また、差動増幅回路を、ベース接地増幅回路またはゲート接地型増幅回路で構成したので、増幅回路への入力インピーダンスおよび入力容量が小さくなり、周波数特性が良好な電圧増幅回路および発振回路が構成できる。
【0069】
これらの作用効果により、検出すべき力学量を受ける圧電振動子を回路部から離せるようになり、種々の目的に利用可能となる。
【0070】
図3は、図1に示した電圧増幅−振幅制限回路12の回路図である。この回路は、図1に示した電流電圧変換−信号加算回路11から出力される加算信号電圧を増幅し、任意振幅の矩形波にした後、インピーダンス変換して圧電振動子Sa,Sbの共通端子側に、電圧信号Voscを与えるものである。
【0071】
図3において、トランジスタQ3と抵抗R6とでボルテージホロワ回路を構成している。この構成により、加算信号を高入力インピーダンスで受ける。このボルテージホロワ回路の出力は、コンデンサC3を介してトランジスタQ71のベースに入力される。
【0072】
トランジスタQ5,Q61,Q62,Q71,Q72,Q8、抵抗R7〜R10でECL(Emitter Coupled Logic) による回路を構成している。ここで、Q71,Q72でカレントスイッチを構成していて、この2つのトランジスタQ71,Q72のベース電位の低い方のトランジスタがOFFし、ベース電位の高い方のトランジスタがONしてコレクタに電流が流れる。このカレントスイッチに流れる電流は、定電圧源の電圧Vreg、抵抗R7、トランジスタQ5,Q61,Q62で構成される定電流回路で制御される。Q61,Q62はカレントミラー回路を構成していて、Q62には、Q61に流れる電流と同じ電流が流れる。Q62に流れる電流値Isは次の式で表される。
【0073】
Is=(Vreg−2×Vbe)/R7 …(8)
但し、
Vreg:定電圧源の電圧
Vbe:Q5,Q61のベース−エミッタ間電圧
である。
【0074】
したがって、Q72と抵抗R9との接続点には、次の式で表される振幅(peak to peak値)Aをもつ矩形波が発生する。
【0075】
A=Is×R9 …(9)
(8)式と(9)式より、上記矩形波の振幅は、抵抗R7または電圧Vregで任意の値に制御可能である。
【0076】
図3において、トランジスタQ8と抵抗R10はボルテージホロワ回路を構成している。このボルテージホロワ回路は、トランジスタQ72と抵抗R9との接続点から出力される信号のインピーダンスを下げて次段へ与えるように作用する。
【0077】
トランジスタQ9,Q10、ダイオードD1,D2、抵抗R11,R12,R13はプッシュプル型のボルテージホロワ回路を構成している。このボルテージホロワ回路は、トランジスタQ8からの出力インピーダンスをさらに下げるために設けている。抵抗R12,R13はトランジスタQ9,Q10の保護用に設けている。
【0078】
以上のようにして、この電圧増幅−振幅制限回路12から出力される電圧信号Voscは、電流電圧変換−信号加算回路11からの加算信号電圧を任意振幅の矩形波に変換し、且つ低インピーダンスに変換したものとなる。
【0079】
このように、電圧増幅回路を、定電流回路と電流スイッチ回路とからなる電圧振幅制限回路を含むものとし、その電圧振幅制限回路により、2つの圧電振動子に対して共通に印加する駆動電圧の振幅を制限するようにしたので、回路の動作が安定化し、圧電振動子の発熱も低減される。
【0080】
図4は、図1に示した位相差電圧変換回路13の回路図である。図4において、INa1〜INa4,INb1〜INb4,INabはそれぞれインバータ(NOTゲート)、Exor1,Exor2はそれぞれエクスクルーシブオアゲートである。
【0081】
インバータINa1と抵抗R14は所定ゲインの増幅回路を構成している。コンデンサC5は直流成分を除去する。インバータINa2,INa3は波形整形回路を構成している。このようにSa信号を波形整形してエクスクルーシブオアゲートExor1の一方の入力へ信号V1を与える。同様に、3つのインバータINb1,INb2,INb3、R15,C6によって、Sb信号を波形整形して、エクスクルシブオアゲートExor2の一方の入力へ信号V3を与える。
【0082】
抵抗R16,R17およびコンデンサC7は2つの信号を加算するとともに積分を行う回路を構成していて、これとインバータINa4,INb4,INabとによって、Sa信号とSb信号とを加算するとともに積分することによって位相を90°シフトさせた信号V2を得ている。この信号V2を2つのエクスクルシブオアゲートExor1,Exor2のそれぞれの入力に与えている。
【0083】
さらに、この2つのエクスクルーシブオアゲートの出力に抵抗R18,R19とコンデンサC8,C9からなる平滑回路をそれぞれ接続することによって、Sa信号とSb信号との位相差にほぼ比例した電圧信号を差動出力として得る。
【0084】
図1に示した増幅−フィルタ回路14は、図4に示した、位相差を電圧信号に変換した差動信号を差動増幅回路でアナログ増幅し、検出すべき周波数成分以外の周波数帯域を除去する。
【0085】
以上のようにして、2つの圧電振動子に流れる電流信号を電圧信号に変換し、その電圧信号の位相差に比例した電圧信号を力学量検出信号として出力する。
【0086】
次に、第2の実施形態に係る加速度センサの構成を図5および図6を参照して説明する。
図5は、加速度センサ全体の構成を示すブロック図である。図1に示した加速度センサと異なるのは、圧電振動子Sa,Sbに対してそれぞれ直列に抵抗RLa,RLbを接続していることである。その他は第1の実施形態に示したものと同様である。
【0087】
図6は圧電振動子に対して直列に抵抗を接続したことによる効果を説明するための等価回路図である。但し、圧電振動子に対して直列に抵抗を接続したことによる効果は、2つの圧電振動子Sa,Sbについて共通であるので、図6では一方の圧電振動子Saについてのみ示している。図6において、Saは圧電振動子の等価回路、Voscは図5における電圧増幅−振幅制限回路12から出力される電圧信号、RLは圧電振動子Saに対して直列接続した抵抗である。またI-V Convertor は、図5における電流電圧変換−信号加算回路11による電流電圧変換回路である。
【0088】
上記電流電圧変換回路の出力電圧Voutの電圧位相φを求め、角周波数ωで偏微分し、得た数式に発振角周波数ωoを代入して、発振角周波数ωoでの電圧位相φの傾き(微分係数)Δφを算出する。このΔφは非常に複雑な式となるので近似解を求めると次の式で表される。
【0089】
Δφ=−2×L1/(R1+RL) …(10)
このΔφに、発振角周波数ωoと圧電振動子の共振角周波数ωrとの差をかけた値が位相変化分である。加速度検出素子10に加速度が作用していないときは、ωo=ωrである。
【0090】
つまり、Δφは加速度検出感度を決める要素の一つである。このΔφが制御できれば加速度検出感度を補償することができる。
【0091】
以下に、温度補償方法について考察する。
【0092】
(10)式を温度Tで偏微分した結果を次の式に示す。
【0093】
【数11】
【0094】
(11)式を整理すれば、次の式のようになる。
【0095】
Δφtc=L1tc−{1/(R1+RL)}×(R1tc×R1+RLtc×RL) …(12)
但し、Δφtc,L1tc,RLtcは、それぞれΔφ,L1,RLの温度係数である。
【0096】
(12)式より、その右辺を0にする条件が選定できれば、位相傾斜Δφの温度補償ができる。温度係数がほぼ0とみなせる抵抗(酸化皮膜抵抗等)を使用すると、(12)式にRLtc=0を代入し、温度補償する条件Δφtc=0を代入して、RLについて(12)式を解くと次式となる。
【0097】
RL=R1×(R1tc/L1tc−1) …(13)
圧電振動子として、通常の圧電セラミックの振動子を用い、RL=R1とした場合、使用全温度範囲(−40℃〜85℃)での加速度検出感度の変化率レンジは約半分となった。
【0098】
この例では、低コスト化を図るため、酸化皮膜抵抗等、汎用の表面実装型固定抵抗器で温度係数がほぼ0とみなせる抵抗を使用したが、感温抵抗器等の温度傾斜を持つ抵抗器を用いてもよい。これにより、(12)式でΔφtc=0となる条件を選定すればよい。
【0099】
なお、図6に示したI-V Convertor の入力インピーダンスがRLに対して無視できない場合には、RLにI-V Convertor の入力インピーダンスを含めて計算すればよい。
【0100】
以上のようにして、汎用の表面実装型固定抵抗器を2つ用いるだけで、コスト上昇を招くことなく、全使用温度範囲での加速度検出感度の変化率を大幅に改善することが可能となる。このような作用効果は、加速度検出素子に流れる電流信号を利用したことによって可能となったものであり、特願2001−42130で開示した構成では得られない効果である。
【0101】
なお、第1・第2の実施形態では、2つの圧電振動子Sa,Sbに加速度によって加わる応力差を検出する加速度センサについて示したが、その他の力学量によって圧電振動子Sa,Sbに逆向きの応力が加わるように構成すれば、その力学量を検出するセンサが同様にして構成できる。たとえば、角加速度により2つの圧電振動子Sa,Sbに応力差が発生するように構成すれば角加速度センサとして用いることができる。また、角速度により2つの圧電振動子Sa,Sbに応力差が発生するように構成すれば角速度センサとして用いることができる。同様に、荷重により2つの圧電振動子Sa,Sbに応力差が発生するように構成すれば荷重センサとして用いることができる。
【0102】
次に、参考例としての加速度センサの構成を図7を参照して説明する。
図7は、第1・第2の実施形態に示した加速度センサに備えた電流電圧変換−信号加算回路とは別の電流電圧変換−信号加算回路の構成を示す図である。第1・第2の実施形態では、電流信号の段階で加算して加算信号を得るようにしたが、この図7に示した例では、電圧信号に変換した後に、加算した例である。図7において、10は加速度によって加わる応力の方向が互いに逆である2つの圧電振動子Sa,Sbからなる加速度検出素子である。11a,11bは、電流電圧変換回路、11cは電圧信号の加算回路である。
【0103】
電流電圧変換回路11a,11bは、オペアンプと帰還抵抗R21,R22とからそれぞれ構成している。また、加算回路11cは、オペアンプと抵抗R23,R24,R25とから構成している。
【0104】
但し、この図7に示した例では、数MHzの発振周波数(電圧信号Voscの周波数)でも、所定のゲインを示す高速オペアンプが必要になる。これに対して、図2に示した例では、能動素子として4つのトランジスタを用いるだけであるので、低コストになる利点がある。
【0105】
【発明の効果】
この発明によれば、力学量によって加わる応力が互いに逆である2つの圧電振動子と、前記2つの圧電振動子に対して共通に電圧信号を印加する回路と、前記2つの圧電振動子に流れる電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換回路と、当該電流電圧変換回路の出力電圧信号の位相差を検出して力学量検出信号を出力する位相差信号処理回路を設けて力学量センサを構成したことにより、測定環境の影響を受けにくくなり、安定した力学量の測定が可能となる。
【0106】
また、この発明によれば、電圧増幅回路と、圧電振動子と、電流電圧変換回路とによって発振動作させるようにしたので、2つの圧電振動子に加わる応力に対する共振周波数の鋭敏な変化を利用して、力学量を高感度に検出できる。
【0107】
また、この発明によれば、電圧増幅回路を、定電流回路と電流スイッチ回路とからなる電圧振幅制限回路を含むものとし、その電圧振幅制限回路により、2つの圧電振動子に対して共通に印加する駆動電圧の振幅を制限するようにしたので、回路の動作が安定化され、圧電振動子の発熱も低減される。
【0108】
また、この発明によれば、上記発振動作の周波数を、圧電振動子の共振周波数域の周波数とすることによって、安定に発振動作し、そのことにより、加わる力学量に応じた力学量の検出信号の変化感度が高まる。
【0109】
また、この発明によれば、圧電振動子の共振周波数域を、該圧電振動子のアドミタンス位相が0±45[deg] となる範囲とすることによって、加わる力学量に応じた電流電圧変換回路の出力電圧信号の位相差変化が、より直線的となり、広いダイナミックレンジで力学量が検出できるようになる。
【0110】
また、この発明によれば、電流電圧変換回路で、2つの圧電振動子に流れる電流位相の変化が、2つの差動増幅回路により電圧変化に変換されるので、同相成分のノイズ(ドリフト)が除去可能となる。
【0111】
また、この発明によれば、前記インピーダンス素子として抵抗を用いたことにより、低コスト化が図れ、且つ圧電振動子に対する正帰還が容易に行えるようになる。
【0112】
また、この発明によれば、前記差動増幅回路を、ベース接地増幅回路またはゲート接地型増幅回路で構成したので、増幅回路への入力インピーダンスおよび入力容量が小さくなり、周波数特性が良好な電圧増幅回路および発振回路が構成できる。
【0113】
また、この発明によれば、前記位相差信号処理回路を、前記電流電圧変換回路の出力電圧を差動型で入力し、位相差を電圧信号として出力する差動型位相差電圧変換回路としたので、同相成分のノイズが除去された、全体にノイズ成分の少ない、力学量に応じた電圧信号が得られる。
【0114】
また、この発明によれば、2つの圧電振動子にそれぞれ直列に抵抗を接続したことにより、広い温度範囲に亘って一定の検出感度が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る加速度センサの全体の構成を示すブロック図
【図2】同加速度センサにおける電流電圧変換−信号加算回路の回路構成を示す図
【図3】同加速度センサにおける電圧増幅−振幅制限回路の回路構成を示す図
【図4】同加速度センサにおける位相差電圧変換回路の回路構成を示す図
【図5】第2の実施形態に係る加速度センサの全体の構成を示すブロック図
【図6】同加速度センサの主要部の等価回路図
【図7】加速度センサの電流電圧変換−信号加算回路の構成を示す図
【図8】各実施形態の加速度センサに備える圧電振動子の特性を示す図。
【図9】加速度検出素子の外観斜視図
【図10】加速度検出素子の分解斜視図
【図11】加速度検出素子の要部の分解斜視図
【符号の説明】
10−加速度検出素子
Sa,Sb−圧電振動子
Claims (9)
- 力学量によって加わる応力が互いに逆である2つの圧電振動子と、
前記2つの圧電振動子に対して共通に電圧信号を印加する回路と、
前記2つの圧電振動子にそれぞれ流れる第1・第2の電流信号を第1・第2の電圧信号にそれぞれ変換する電流電圧変換回路と、
当該電流電圧変換回路の出力電圧信号の位相差を検出して力学量検出信号を出力する位相差信号処理回路と、
を備え、
前記電流電圧変換回路は、第1・第2のトランジスタのエミッタまたはソース同士を接続し、その接続点とアナロググランドとの間に第1の抵抗を接続し、第3・第4のトランジスタのエミッタ同士またはソース同士を接続し、その接続点とアナロググランドとの間に第2の抵抗を接続し、第1〜第4のトランジスタのベースまたはゲートを定電圧源に接続し、第2・第3のトランジスタのコレクタ同士またはドレイン同士を接続するとともに、該コレクタまたはドレインと電源ラインとの間に第5の抵抗を接続し、第1・第4のトランジスタのコレクタまたはドレインと電源ラインとの間に第3・第4の抵抗をそれぞれ接続して成る2つの差動増幅回路を備え、
第1・第2のトランジスタのエミッタまたはソース同士の接続点と第1の抵抗との接続部から第1の抵抗に前記第1の電流信号を通電し、第3・第4のトランジスタのエミッタまたはソース同士の接続点と第2の抵抗との接続部から第2の抵抗に前記第2の電流信号を通電し、
第1のトランジスタのコレクタまたはドレインと第3の抵抗との接続部から前記第1の電圧信号を出力し、第4のトランジスタのコレクタまたはドレインと第4の抵抗との接続部から前記第2の電圧信号を出力するようにした、力学量センサ。 - 前記2つの圧電振動子に対して共通に電圧信号を印加する回路は、前記電流電圧変換回路の前記第2・第3のトランジスタのコレクタ同士またはドレイン同士の接続点と前記第5の抵抗との接続部から出力される、前記2つの圧電振動子に流れる電流信号の和の電圧信号から、該電圧信号に対して同位相の電圧信号を前記2つの圧電振動子へ正帰還させる電圧増幅回路であり、該電圧増幅回路と、前記圧電振動子と、前記電流電圧変換回路とによって発振動作させるようにした、請求項1に記載の力学量センサ。
- 前記発振動作の周波数は前記圧電振動子の共振周波数域の周波数であり、前記共振周波数域は、前記圧電振動子のアドミタンス位相が0±45degの範囲である請求項2に記載の力学量センサ。
- 前記位相差信号処理回路は、前記電流電圧変換回路の出力電圧信号を差動型で入力し、位相差を電圧信号として出力する差動型位相差電圧変換回路であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の力学量センサ。
- 前記2つの圧電振動子にそれぞれ直列に抵抗を接続したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の力学量センサ。
- 前記力学量は加速度である請求項1〜5のいずれかに記載の力学量センサ。
- 前記力学量は角加速度である請求項1〜5のいずれかに記載の力学量センサ。
- 前記力学量は角速度である請求項1〜5のいずれかに記載の力学量センサ。
- 前記力学量は荷重である請求項1〜5のいずれかに記載の力学量センサ。
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