JP4066035B2 - 畳縫着装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、畳縫着装置に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、返し縫いミシンにおいて返し縫いを完了した後の縫着糸の保持機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、畳の生産工程は、畳床を必要な丈寸法に裁断し、この畳床に畳表を張り、框(長手方向の両端)を縫着した後、平刺し装置によって畳の長手方向に沿って畳縁および畳縁下紙を縫い付け、最後にこの畳縁および畳縁下紙を畳の長手方向に沿って表面から下側に折り曲げ、畳の側面と裏側に沿って折り返した畳縁を縫着する「返し縫い」工程を経て畳が完成される。
【0003】
そして上記の「返し縫い」を機械で実施するために、従来より畳縫着機には種々の提案がなされている。返し縫い工程を畳の両方の縁部を一度に縫着する装置や、平刺工程と返し縫い工程を一つの装置で行うことができるもの、さらには、返し縫い工程だけといった一つの工程専用の装置まで種々の形態がよく知られている。
【0004】
実公昭61−8849号には、返し縫いやかまち縫いの際に、くせ取りされた下前に対して床縁パッドを平行に取り付けることができる畳縫着機が開示されている。この畳縫着機は、縫着用ミシンの畳床供給側に上記床縁パッドのラッパ状ガイドが固定された摺動台を畳床の縫着方向に対して直角の方向に摺動自在に設け、この摺動台にブラケットを介して転動ローラを取付け、この転動ローラを畳床の側面に圧接させるように上記摺動台をスプリングで付勢したものである。上記の転動ローラは、返し縫い工程においては、縫着する畳縁が動かないようにする役割も果たすので縁引きローラと称され、ローラに角度を付け、縫着中に縁をたるみなく引っ張るように位置させることも返し縫い専用装置においては知られている。
【0005】
また、特公昭40−2108号公報および特公昭58−31949号公報には、平刺しと返し縫いのための千鳥刺しとを行なう機構を一つに組込んだミシンが記載されている。このミシンは、水平に保持された畳に沿って走行するときに、その駆動を切替えて、例えば、往路では平刺し、復路では返し縫いを行なうことができるものが知られている。
【0006】
平刺工程と返し縫い工程を一つの装置で行うことができるものは両用機と称されて良く知られている。この両用機は、平刺し装置と返し縫い装置とをライン状に並べて、そこを通過する畳の上前と下前とに同時に縁を縫い付ける大型のライン化装置に比べて、遙かに割安であるため、小規模畳店等で広く利用されてい る。
【0007】
この「返し縫い」は通常返し縫い装置(又は返し縫い機)と呼ばれるミシンで縫着される。このミシンは「本縫い」のミシンが使用され、縫い針に通される上糸とカマFの中にはめ込まれたボビンに巻き込んだ下糸の2本の糸を絡ませることによって縫着する。(図4参照)
【0008】
返し縫いミシンは畳の下面ガイド55(2つの板からなる畳床の下面をガイドする板部材)と畳の上面ガイド53の間に畳側端の折り返された畳縁Bに沿った部分を挟み、ミシンの縫い針51の動きと同期させながらミシンに対して畳を間欠移動させながら、通常は図4に示すような千鳥状に、折り返された畳縁Bを畳床Aの側面に縫着する。上記のように返し縫いミシンを固定して、ミシンに対して畳床Aを矢印Lの方向へ移動させることや、反対に畳床Aを固定しておいて返し縫いミシンを矢印Mの方向に移動する装置が知られている。
【0009】
図5に二点鎖線で示す位置に送り込まれた畳床Aは返し縫いミシンによって返し縫いを施され、図の実線の状態のように縫い終える。そして図6に示すように裁断刃物56がエアシリンダ等の昇降手段(図示せず)の駆動によって下降し、裁断刃物56の刃先が下面ガイド55に設けられた刃物溝57に挿通され、挿通されると共に上糸Cと下糸Dをそれぞれ裁断刃物56と刃物溝57とで切断し、縫い針51の先には上糸Cの切断端Eが残ることになる。
また、返し縫い専用装置においては、図7および図8に示すように、図5、図6の返し縫いミシンにおいて上糸Cおよび下糸Dを切断する前に保持する押え部材58を設けることも知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このとき、図6の二点鎖線位置に送り込まれた畳床を縫い始めると、縫い針51や天秤部材59等の動作によって上糸の切断端Eが縫い針51の根本側の方へ引っ張られ、縫い針51の針穴から抜けて縫着できないということが発生していた。又、時によっては図5の状態で上糸Cと下糸Dに張力がかかりすぎて、図6のように切断するだけで上糸Cが縫い針51の針穴から抜けてしまうということも発生していた。
そのために、装置を操作する人が切断された上糸Cの切断端Eを長く引き出しておいたり、引き出した切断端Eを固定金具(図示せず)に巻きつけたり、抜けてしまった場合には針穴に通しておいたりする必要があったのである。
【0011】
図7および図8の押え部材58が設けられて上記課題は、返し縫い専用の装置においては解決されたのであるが、平刺工程と返し縫い工程を一つの装置で行うことができる両用の装置(平刺ミシンと返し縫いのための千鳥刺しとを行なうミシンを一つのベースに組込んだ装置を持つもの)においては、この押え部材58が畳床Aの縫着の妨げとなる位置に配置しなければならず、平刺工程においては邪魔となる存在であり両用機に押え部材58は設けることができなかったのである。このため依然として両用機のおいては上記の課題が残されたままとなっていた。
【0012】
装置を操作する人が切断された上糸Cの切断端Eを長く引き出しておいたり、引き出した切断端Eを固定金具(図示せず)に巻きつけたり、抜けてしまった場合に針穴に通したりすることは非常に作業時の効率を落とすことであり、いちいち切断した縫い糸の切断端を気にすることなく次工程へ進むことができれば効率がよくなり、また、装置の操作について熟練していない人でも使いやすい装置となるのである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、折り返された畳縁等を畳床に上糸と下糸とで本縫い縫着する返し縫いミシンにおいて、返し縫い完了後に縫着糸を切断する裁断刃物と、返し縫い完了後の畳床又は返し縫いミシンの移動によって引き出される上糸を保持する保持手段を具備し、上記保持手段は、縫い針と上記裁断刃物の間に位置し、畳床又は返し縫いミシンの返し縫い完了後の移動のみで上糸が引き出されながら保持手段に自動的に保持されることを特徴とする畳縫着装置を提供する。また、上糸の保持手段が畳の下面を受ける部材に設けられたことを特徴とする畳縫着装置や、上糸の保持手段は、スプリングで付勢された皿部材と、畳の下面を受ける部材の畳端部外側位置に設けられている案内板とによって上糸を挟むことにより保持する構造であることを特徴とする畳縫着装置をも提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
返し縫いミシン12についても糸保持に関しない部分については従来公知のものが使用できるので、ここでは糸保持の手段について説明する。
【0015】
図1では、糸保持手段61は皿部材62、案内板63、ボルト64、スプリング65とで構成されており、下面ガイド55の畳床Aの縫着を妨げない位置に設けている。上糸Cは皿部材62と案内板63に挟まれて保持されるのであるが、スプリング65の付勢力で糸を保持する構成としており、皿部材62のナット部62aに対してボルト64を締め込むことにより付勢力を強くすることができるようにしている。
【0016】
返し縫いを完了して、畳床A又は返し縫いミシン12を移動させて、上糸Cと下糸Dを引き出すと、自動的に上糸Cが皿部材62と案内板63の間にガイドされて挟み込まれて保持されるのである。そのため裁断刃物56が下降して縫着糸等を裁断しても上糸Cは糸保持手段61に保持されたままとなる。
【0017】
ここで、次の返し縫いされる畳が送り込まれてきても、上糸の切断端Eは保持された状態であるため上糸Cが縫い針51の針穴から外れることなく返し縫いを行うことができるである。本発明は、両用の装置だけでなく返し縫い専用装置等に対しても適用が可能である。
【0018】
また、図3には、円弧状の縫い針51と、畳の側面に当接し返し縫いミシン12が矢印Sの方向に進むながら返し縫いを行うのであるが、縫着する畳縁Bを矢印T方向へ引っ張ること(図3参照)によりたるみを無くす縁引きローラ52と、返し縫いを行っているときに畳を案内する上面ガイド53と下面ガイド55と、縫着糸等を切断する裁断刃物56も具備している。上記縁引きローラ52と、畳床の上面ガイド53はエアシリンダ54により上下方向に昇降可能に構成されており、返し縫い工程において下面ガイド55との間に縫着する畳を挟んで案内する。
【0019】
畳床の上前側及び下前側を片側ずつ平刺、返し縫いする畳縫着装置に上記の糸保持手段61設けた例をあげて、この発明を説明する。
【0020】
この発明の畳縫着装置は図2に示すように、畳を載せる畳縫着台2と、この畳縫着台2に平行に敷設されたレール3と、このレール3上を走行する平刺ミシン11と返し縫いミシン12を同一のベース1に載置し、畳床Aをベース1の方へ押し出す床押し部材25および幅寄せ部材26と、畳床Aを押し込む基準位置を定める床定規27とにより構成されている。
【0021】
畳縫着台2は、図2に示すように、縫着すべき畳が載せられる畳縫着台2と、回転座21とを備えており、この回転座21は、シャフト22が上昇した状態 で、シャフト22を中心にして回転可能に構成されており、畳の一辺の縫着が完了したときにシャフト22を上昇させて、畳を180度回転させる。
【0022】
床定規27は、畳の位置決めの際に、図示の状態を維持し、位置決めが済む と、畳の縫着の邪魔にならないように畳縫着台2の内部の待機位置に移動する。畳縫着台2およびベース1、平刺ミシン11、返し縫いミシン12等の各部の動作は、マイクロコンピュータを用いた制御装置(図示せず)により制御され、床押し部材25および幅寄せ部材26は、畳縫着台2に載せられた畳を床定規27の方向へ押し込む動作を行うものである。
【0023】
平刺ミシン11は、図3に示すように直針針111と、主として畳床Aを裁断する畳床切断刃113および主として畳表を裁断する畳表切断刃112とを備えてもいる。返し縫いミシン12は上記図1をもって説明したものである。
【0024】
以上の装置において図3に示した糸保持手段61を設けることにより平刺工程中において、上糸Cの保持ができた状態で平刺工程を実施することができるのである。これにより、1枚の畳を縫着する場合はまず上前側の平刺工程、畳床の180度転回、下前側の平刺工程、畳床の180度転回、と作業し、次ぎに返し縫いを行うのである。返し縫いは上前側の返し縫い工程、畳床の180度転回、下前側の返し縫い工程と実施するが上記糸保持手段61によって上糸Cが保持されて返し縫いが問題なく実施でき、1枚の畳の平刺と返し縫いの縫着を完成させることができるのである。
【0025】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、返し縫い専用機だけでなく両用の装置において も、装置を操作する人が切断された上糸Cの切断端Eを長く引き出しておいた り、引き出した切断端Eを固定金具(図示せず)に巻きつけたり、抜けてしまった場合に針穴に通したりする必要がない、すなわち、切断した縫い糸の切断端を気にすることなく次工程へ進むことができ効率よく縫着作業ができ、また、装置の操作について熟練していない人でも使いやすい装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の糸保持手段を説明する概要図
【図2】 この発明を設けた畳縫着機の平面図
【図3】 平刺しミシン、返し縫いミシン部を説明する正面図
【図4】 従来の返し縫いを説明する概要図
【図5】 従来の返し縫いにおいて縫着糸を切断することを説明する概要図
【図6】 従来の返し縫いにおいて縫着糸を切断した状態を説明する概要図
【図7】 図5において押え部材を設けたことを説明する概要図
【図8】 図6において押え部材を設けたことを説明する概要図
【符号の説明】
A 畳床
B 畳縁
C 上糸
D 下糸
E 切断端
F カマ
1 ベース
2 畳縫着台
3 レール
11 平刺ミシン
12 返し縫いミシン
25 床押し部材
26 幅寄せ部材
27 床定規
51 縫い針
52 縁引きローラ
53 上面ガイド
54 エアシリンダ
55 下面ガイド
56 裁断刃物
57 刃物溝
58 押え部材
59 天秤部材
61 糸保持手段
62 皿部材
62a ナット部
63 案内板
64 ボルト
65 スプリング
111 直針針
112 畳表切断刃
113 畳床切断刃
Claims (3)
- 折り返された畳縁等を畳床に上糸と下糸とで本縫い縫着する返し縫いミシンにおいて、返し縫い完了後に縫着糸を切断する裁断刃物と、返し縫い完了後の畳床又は返し縫いミシンの移動によって引き出される上糸を保持する保持手段を具備し、上記保持手段は、縫い針と上記裁断刃物の間に位置し、畳床又は返し縫いミシンの返し縫い完了後の移動のみで上糸が引き出されながら保持手段に自動的に保持されることを特徴とする畳縫着装置。
- 上糸の保持手段が畳の下面を受ける部材に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の畳縫着装置。
- 上糸の保持手段は、スプリングで付勢された皿部材と、畳の下面を受ける部材の畳端部外側位置に設けられている案内板とによって上糸を挟むことにより保持する構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の畳縫着装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29902598A JP4066035B2 (ja) | 1998-09-14 | 1998-09-14 | 畳縫着装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP29902598A JP4066035B2 (ja) | 1998-09-14 | 1998-09-14 | 畳縫着装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2000084280A JP2000084280A (ja) | 2000-03-28 |
JP4066035B2 true JP4066035B2 (ja) | 2008-03-26 |
Family
ID=17867254
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29902598A Expired - Lifetime JP4066035B2 (ja) | 1998-09-14 | 1998-09-14 | 畳縫着装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP4066035B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108823838A (zh) * | 2018-06-25 | 2018-11-16 | 池州智栋信息技术有限公司 | 一种智能缝合压线机 |
-
1998
- 1998-09-14 JP JP29902598A patent/JP4066035B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108823838A (zh) * | 2018-06-25 | 2018-11-16 | 池州智栋信息技术有限公司 | 一种智能缝合压线机 |
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JP2000084280A (ja) | 2000-03-28 |
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