JP4065635B2 - 車両用幌装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は、展開・格納自在とされた車両用幌装置に関するものである。
【従来の技術】
【0003】
一般に車両用幌装置においては、その使用時には幌を車室後部側から車室前部側へ展開させて車室の上方を覆う一方、その非使用時には幌を車室後部側へ格納して車室上方を開放させるようになっている。そして、非使用時における幌の格納形態としては従来より種々の形態が提案されており、その一つとして、図12に示す如き折り畳み形態がある。
【0004】
このものは、幌骨機構の左右両側部にそれぞれ折曲自在な第1折曲部材101と第2折曲部材102とからなるサイド部材100,100を備えており、幌骨機構に支持される幌104は、車体前方側に位置する上記第1折曲部材101に対応する部分においてはその両側縁が該第1折曲部材101に固定されている(尚、前端縁は連結材103によって固定されている)。これに対して、上記第2折曲部材102の部分においては、上記幌104はフリーとされ、幌骨機構の展開状態においては上記第2折曲部材102に当接せしめられる一方、幌骨機構の格納状態においては上記第2折曲部材102から離間されて折り畳まれるようになっている。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このように幌骨機構の格納状態において折り畳まれる折り畳み部104aには、その折り畳み時において幌布の動作を規制する手段が何ら設けられていないので、上記幌104が折り畳まれる時、その折り畳み部104a部分は、図12に図示するように幌布の剛性による展延作用によって外側へ大きく膨出した状態で折り畳まれ、その結果、幌装置の格納状態における見映えが悪くなるという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、車両用幌装置において、幌の幌格納状態における美観性を良好に維持することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として、次のような構成を採用している。即ち、上記幌骨機構12の第1幌骨16と第2幌骨17間において上記幌11の折り畳み部11aの両側縁11a1,11a1に跨って取り付けられた幌布引込手段(Z)を、上記幌11の幌展開状態では該幌11が弧状に湾曲するのに追従して弧状形態となる一方、幌格納状態では弧状形態から直状形態に形状復帰して、上記幌11の幌格納状態においては、上記幌骨機構12に対して自由端とされ幌格納状態では弛み状態にある上記折り畳み部11aを折り畳み方向内側へ引き込むように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
従って、本発明にかかる車両用幌装置によれば、上記幌11の幌格納状態においては、上記幌11の折り畳み部11aが上記幌布引込手段Zの引き込み作用によって折り畳み方向内側へ引き込まれることから、該折り畳み部11aは幌布の剛性による展延作用によって外側へ大きく膨出することもなく、良形に折り畳まれ、その結果、上記幌11の格納状態における美観性が向上することになる。
【発明の実施の形態】
【0009】
以下、本発明にかかる車両用幌装置を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0010】
図1には本発明の実施形態にかかる幌装置10を備えた車両における幌展開状態を示し、図2には上記幌装置10の展開・格納の中間状態を示し、さらに図3には上記幌装置10を備えた車両における幌格納状態を示している。そして、これら各図において、符号1は車体、2はドア、3はフロントウィンドガラスであり、該フロントウィンドガラス3の両側縁は左右一対のフロントピラー4,4によって、上縁は上記一対のフロントピラー4,4間に跨がって設けられたフロントヘッダー5によって、それぞれ支持されている。
【0011】
上記車体1の上面に開口する車室部6には、次述の幌装置10が取り付けられる。この車室部6は、上記ドア2に対応するように車体前方側に位置する車室前部6Aと、車体後方側に位置する車室後部6Bとからなり、上記幌装置10の幌展開状態においては、図1に示すように、上記車室前部6Aの両側方にそれぞれドアガラス用のドア開口部7,7を形成した状態で、上記車室部6の全域が該幌装置10によってその上方側から覆われる一方、上記幌装置10の幌格納状態においては、図3に示すように、該幌装置10は上記車室後部6Bにその開口縁部6Baに沿って折り畳み状態で格納され、上記車室前部6A部分は開放状態とされる。
【0012】
上記幌装置10は、図4〜図6に示すように、幌11と幌骨機構12とで構成される。
【0013】
上記幌骨機構12は、以下に詳述するように、左右一対のサイド部材13,13と、第1〜第3の三本の幌骨16〜18と、横設部材19と、第1及び第2のリンク20,21とを備えて構成される。
【0014】
上記サイド部材13は、上記車体1側の上記ドア開口部7の上縁から後縁にかけての部分を形成するものであって、次述の第1折曲部材14と第2折曲部材15とで構成される。
【0015】
上記第1折曲部材14は上記ドア開口部7の上縁の前半部の略直状部分に対応するものであり、また上記第2折曲部材15は上記ドア開口部7の上縁の後半部から後縁にかけての湾曲部分に対応するものであって、これら両者は、図4及び図5に示すように、該第1折曲部材14の他端14bと該第2折曲部材15の他端15bとを連結ピン41によって相対回動自在に連結することで、展開(図4に示す状態)及び折曲(図11に示す状態)自在とされている。そして、この連結ピン41部分には、上記第1折曲部材14と第2折曲部材15とを常時展開状態となるように回動付勢するアシストスプリング43が設けられている。
【0016】
上記第2折曲部材15は、図6に示すように、その一端15aを、上記車体1の上記車室後部6Bの側部に固定されたブラケット22に対して、支点ピン31によって回動自在に枢支せしめている。尚、この第2折曲部材15は、アシストスプリング37によって、常時、車体前方側へ回動するように(即ち、展開方向に)付勢されている。
【0017】
また、上記第1折曲部材14は、図4及び図5に示すように、その一端14aはこれを車幅方向に延びる横設部材19によって他方のサイド部材13における第1折曲部材14の一端14aに接合せしめる一方、その他端14bはこれを車幅方向に延び且つ略弧状に湾曲した第1幌骨16によって他方のサイド部材13における第1折曲部材14の他端14bに接合せしめている。従って、上記左右一対の第1折曲部材14,14と上記横設部材19と上記第1幌骨16の四者によって、車幅方向に長軸をもつ略矩形の平面形態をもつ枠体が形成され、且つこの枠体は一体的に、左右一対の上記第2折曲部材15,15に対して展開・折曲自在とされる。
【0018】
上記第2幌骨17は、図4〜図6に示すように、管体を略「コ」字状に屈曲成形してなるものであって、その左右両端部17a,17aは、それぞれ支点ピン33,33によって左右一対の上記各ブラケット22,22に枢支され、該各支点ピン33,33を中心として車体前後方向に傾動自在とされている。
【0019】
上記第3幌骨18は、図4〜図6に示すように、管体を略「コ」字状に屈曲成形してなるものであって、その左右両端18a,18aは、それぞれ支点ピン36,36によって上記第2幌骨17の両端部寄り部位に枢支され、該各支点ピン36,36を中心として該第2幌骨17の車体後方側において傾動自在とされている。尚、上記第3幌骨18は、上記車体1との間に配置されたバンド25によって上方への位置規制(即ち、展開方向における位置規制)が行われるとともに、スプリング24を介して上記第2幌骨17と弾性的に連結されている。
【0020】
上記第1リンク20は、管体を湾曲状に屈曲成形してなるものであって、その一端20aは上記第1折曲部材14の他端14b側に支点ピン42によって枢着され(図4を参照)、その他端20bは支点ピン32によって次述する第2リンク21の中間部位に枢着されている(図6を参照)。尚、この第1リンク20は、上記左右一対のサイド部材13,13に対応して、左右一対設けられている。
【0021】
上記第2リンク21は、管体を湾曲状に屈曲成形してなるものであって、図6に示すように、その一端21aは支点ピン34によって上記第2折曲部材15の一端15aの近傍に枢着され、その他端21bは支点ピン35によって、ブラケット23を介して上記第2幌骨17の端部寄り部位に枢着されている。そして、この第2リンク21の中間部位に、上記第1リンク20の他端20bが枢着されている。尚、この第2リンク21は、上記左右一対のサイド部材13,13に対応して、左右一対設けられている。
【0022】
このように構成された幌骨機構12の外側に次述する幌11が取り付けられることで上記幌装置10が構成され、該幌装置10は、上記幌骨機構12の展開・格納操作によって、幌展開状態(図1の状態)と幌格納状態(図3の状態)とにその姿勢が選択されるものである。
【0023】
上記幌11は、天井部分に対応するルーフ部11Aと、該ルーフ部11Aに連続し且つリヤウンドガラス8を備えたリヤ部11Bと、該ルーフ部11Aとリヤ部11Bの側部に連続する左右一対のサイド部11Cとを備えている。そして、この幌11は、そのリヤ部11Bの下端縁と上記サイド部11Cの下端縁はそれぞれ上記車体1の上記車室後部6Bの開口縁部6Baの近傍に固定され、上記ルーフ部11Aの前端縁は上記横設部材19に固定され、さらに上記ルーフ部11Aの側縁のうち、上記各サイド部材13,13の各第1折曲部材14,14に対応する部分は該各第1折曲部材14,14にそれぞれ固定されている。
【0024】
従って、上記幌11のうち、上記各サイド部材13,13の各第2折曲部材15,15に対応する縁部、即ち、上記ルーフ部11Aの側縁のうちの後半部と上記サイド部11Cの前縁部分は自由端とされており、この自由端部分は、上記幌装置10の幌展開状態においては上記第2折曲部材15の内側縁部に当接される(図4を参照)一方、上記幌装置10の幌格納状態においては該第2折曲部材15から離間して折り畳まれる(図11を参照)。この場合、上記幌11の上記自由端部分、即ち、上記ルーフ部11Aの側縁のうちの後半部と上記サイド部11Cの前縁部分には、その縁部に沿ってワイヤー(図示省略)が配置されており、幌展開状態においてはこのワイヤーの剛性に基づく形状保持性によって、上記第2折曲部材15の内側縁部の全域に当接されるようになっている。
【0025】
また、上記幌11のうち、その側縁が上述のように自由端とされている部分に対応する部位、具体的には、上記ルーフ部11Aの上記第1幌骨16との連結部よりも後方側部位は、図11に示すように幌格納状態においては多段に折り畳まれる部位である(以下、この部位を折り畳み部11aという)。従って、幌格納状態においてその良好な美観性を確保するためには、図9及び図11に示すように、上記折り畳み部11aが折り畳み方向内側へ引き込まれて適正状態に折り畳まれること(即ち、図12に示す従来構造のように折り畳み部が外側に膨出することがないように折り畳まれること)が要求される。かかる要求を満足させるべく、この実施形態のものにおいては、本発明を適用して上記折り畳み部11a部分に次述する幌布引込手段Zを備えている。
【0026】
上記幌布引込手段Zは、幌格納状態において、弛み状態にある上記折り畳み部11aを折り畳み方向内側へ引き込み、該折り畳み部11aを幌布の剛性に基づく展延作用に拘わらず適正状態に折り畳ませるためのものであって、ここではこの幌布引込手段Zの具体例として、以下に述べる二つの例を示す。
【0027】
幌布引込手段Zの第1の具体例は、図7に示すものであって、上記幌11の折り畳み部11aの裏側(車室側)に、その両側縁11a1,11a1に跨がってその幅方向に保持袋53を取り付けるとともに、この保持袋53内にワイヤー51を挿通させ、且つこのワイヤー51の両端をそれぞれスプリング52を介して上記折り畳み部11aの側縁11a1に固定して構成される。そして、上記ワイヤー51は、幌展開状態においては上記幌11が上方に向けて弧状に湾曲するのに追従して弧状形態となる一方、該幌11が弛む幌格納状態においては上記各スプリング52,52のバネ力を受けて直状形態を保持するようになっている。
【0028】
幌布引込手段Zの第2の具体例は、図8に示すものであって、上記幌11の折り畳み部11aの裏側(車室側)に、その両側縁11a1,11a1に跨がってその幅方向に保持袋53を取り付けるとともに、この保持袋53内に、例えば適度の可撓性を有する樹脂材からなる直棒体54を挿通させて構成される。尚、この場合、上記直棒体54の両端は閉じられており、これによって上記直棒体54の脱落が防止されている。そして、上記直棒体54は、幌展開状態においては上記幌11が上方に向けて弧状に湾曲するのに追従して撓曲して弧状形態となる一方、該幌11が弛む幌格納状態においてはその復元力によって直状形態に復帰するようになっている。
【0029】
尚、この幌布引込手段Zによる折り畳み部11aの引き込み作用等については後述する。
【0030】
図4において、符号9は上記各第1折曲部材14,14の他端14b部分に設けられたロック機構であって、該ロック機構9は幌展開状態においては、同図に示すように、上記フロントヘッダー5側に設けた各ロック受部材26,26に固定される。また、この各ロック機構9,9は、幌格納状態においては、図9に示すように、上記車室後部6B側に設けたロック受部材27,27に固定される。また、図4において符号28は、上記横設部材19の車幅方向略中央部に設けた操作ハンドルである。
【0031】
続いて、この幌装置10の作動等について説明する。
【0032】
幌装置10の展開操作時
上記幌装置10の展開操作は、図11に示す幌格納状態から行われる。即ち、上記幌装置10が格納された状態において、先ず、上記ロック機構9,9をロック解除し、しかる後、上記操作ハンドル28を把持して上記横設部材19に斜め上方への操作力を与え、上記幌骨機構12をその格納状態から展開させる。そして、最終的に、上記各ロック機構9,9を上記各ロック受部材26,26に固定することで、図1及び図4に示すような幌展開状態が得られ、操作が完了する。そして、この幌展開状態においては、上記折り畳み部11aは張設状態とされている。
【0033】
幌装置10の格納操作時
幌装置10の格納操作は、図4に示す幌展開状態から行われる。即ち、先ず、上記各ロック機構9,9を上記各ロック受部材26,26から離脱させる。しかる後、上記操作ハンドル28をもって上記横設部材19に車体後方側への操作力をかけて上記幌骨機構12を展開状態から次第に折曲させ、最終的には、図9に示すように、上記各ロック機構9,9を上記ロック受部材27,27に固定して完了する。
【0034】
この幌装置10の幌格納状態においては、上記幌11の折り畳み部11aは内側へ折り畳まれるが、この折り畳み部11aの折り畳みに際しては、上記幌布引込手段Zが有効に機能し、その適正な折り畳み形態が実現されるものである。即ち、上記幌布引込手段Z、即ち、上記各具体例のワイヤー51あるいは直棒体54は、幌展開状態においては弧状形態となっているが、幌装置10が幌展開状態から幌格納状態側へ操作されると、上記各幌骨16,17,18等による上記折り畳み部11aに対する形状規制作用が解除されるので、該ワイヤー51あるいは直棒体54は共に弧状形態から直状形態に復帰作動する。この際、該ワイヤー51あるいは直棒体54によって上記幌11の折り畳み部11aがその内側に引き込まれ、最終的には、図9及び図10に示すように、外側へ膨出することなく、適正状態に折り畳まれるものである。このように、上記折り畳み部11aがうまく折り畳まれることで該折り畳み部11aの見映えが良好となり、それだけ幌装置10の幌格納状態での美観性が向上するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる車両用幌装置の展開状態を示す斜視図である。
【図2】 本発明にかかる車両用幌装置の展開状態から格納状態への移行途中の状態を示す斜視図である。
【図3】 本発明にかかる車両用幌装置の格納状態を示す斜視図である。
【図4】 図1のIV−IV拡大断面図である。
【図5】 図4のV−V矢視図である。
【図6】 図4のVI部の拡大図である。
【図7】 図1に示した幌布引込手段の第1の具体例を示す要部斜視図である。
【図8】 図1に示した幌布引込手段の第2の具体例を示す要部斜視図である。
【図9】 幌布引込手段を装着した場合における幌の折り畳み状態を示す要部斜視図である。
【図10】 図9のX−X部の拡大断面図である。
【図11】 図3のXI−XI拡大断面図である。
【図12】 従来の車両用幌装置における幌の折り畳み状態を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
1は車体、2はドア、3はフロントウィンドガラス、4はフロントピラー、5はフロントヘッダー、6は車室開口部、7はドア開口部、8はリヤウンドガラス、9はロック機構、10は幌装置、11は幌、12は幌骨機構、13はサイド部材、14は第1折曲部材、15は第2折曲部材、16は第1幌骨、17は第2幌骨、18は第3幌骨、19は横設部材、20は第1リンク、21は第2リンク、22はブラケット、23はブラケット、24はスプリング、25はバンド、26及び27はロック受部材、28は操作ハンドル、31〜36は支点ピン、37はアシストスプリング、41は連結ピン、42は支点ピン、43はアシストスプリング、51はワイヤー、52はスプリング、53は保持袋、54は直棒体、Zは幌布引込手段である。
Claims (1)
- 展開・格納自在とされ且つ車体(1)の車室部(6)に取り付けられる幌骨機構(12)と該幌骨機構(12)を覆う幌(11)とを備え、該幌骨機構(12)の展開状態では上記幌(11)が展開し上記車室部(6)をその上方側から覆う一方、該幌骨機構(12)の格納状態では上記幌(11)が上記車室部(6)の後部側に折り畳み状態で格納されるように構成された車両用幌装置であって、
上記幌骨機構(12)の第1幌骨(16)と第2幌骨(17)間において上記幌11の折り畳み部(11a)の両側縁(11a1),(11a1)に跨って取り付けられた幌布引込手段(Z)が、
上記幌(11)の幌展開状態では該幌(11)が弧状に湾曲するのに追従して弧状形態となる一方、幌格納状態では弧状形態から直状形態に形状復帰して、上記幌(11)の幌格納状態においては、上記幌骨機構(12)に対して自由端とされ幌格納状態では弛み状態にある上記折り畳み部(11a)を折り畳み方向内側へ引き込むように構成されていることを特徴とする車両用幌装置。
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JP28617199A Expired - Lifetime JP4065635B2 (ja) | 1999-10-07 | 1999-10-07 | 車両用幌装置 |
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