JP4065339B2 - 換気用バルブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は換気用バルブに関するものである。特に、本発明は、雰囲気の圧力が導管内の大気圧を所定値だけ越えた時にその雰囲気が導管ないしパイプラインに流入するのを可能にし、且つ雰囲気中に含まれる湿気や温暖な空気を導管から前記雰囲気へ解放するのを阻止するバルブに関する。このバルブは、2つの共軸の上向きのシート突起部を有し、各突起部は略共通の平面にあり、且つ環状のシール部材を含む、垂直方向に移動するバルブ部材を有する。シール部材は、バルブが閉じられたとき、前記突起の間の喉状のギャップを橋渡す作用をし、各シール突起部に対抗して気密性を維持する。バルブ部材は重力の影響でバルブを閉鎖位置へ移動するように配置されている。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の換気用バルブはよく知られており、例えば、基本的には排気用パイプ又は汚染ガス用パイプの上端から匂いが逃れるのを防止するために、排気用パイプ又は汚染ガス用パイプの上端に取付けられて使用される。このため、排気用パイプの上端(及び換気用バルブ)は、当該建物の外屋根の内側の位置、例えば屋根裏又はロフトに取付けられ、屋根の外側へ導かれるパイプ・リード・スルーを設ける必要性を解消している。また、換気用バルブは必要があるときは空気がパイプ内へ流入するのを可能とするように構成されている。したがって、例えばそのバルブが接続されている便所等で水洗処理がなされた後、パイプ内に僅かな負圧が発生する結果として、空気がパイプ内へ流入するのを許容している。
【0003】
しかしながら、この種の換気用バルブは他の多くの適用例において使用されることが見いだされる。例えば、パイプライン又は導管からのガスの流出を防止することが利点を有する場合がある。また、必要なときは、それと同時に、パイプ内の圧力レベルが雰囲気の圧力よりも所定範囲低下したときにガスを導管の中に流入させることを可能ならしめることが必要となる。
【0004】
バルブの作用上の信頼性を可能な限り最も向上させるために、バルブは通常そのバルブ部材が重力の影響のみでそのバルブ閉鎖位置へ移動するように設計されている。例えば、外径が13〜50mmのオーダーの小さい換気用バルブの場合は、当該バルブのバルブ部材の重量が軽すぎて重力によるバルブ閉鎖力が弱すぎることを意味する。他の欠点はバルブ部材のシール要素、ゴム板又はワッシャーが柔軟性のあるようには構成されておらず、自由に支持するリム部分において小さな閉鎖力を十分に補うようには構成されていない。柔軟性がある場合は、ワッシャーの自由支持リム部分が、周囲の雰囲気に比較して導管内の圧力が比較的低い過圧力のために、シールリッジ(尾根部)をスナップ状に押圧し得るからである。慣性力を増加させるためにバルブ部材それ自体の重量を増加させることは好ましいことではない。
【0005】
したがって、バルブにスプリングをはめ込み、所望のシール状態及びバルブ閉鎖状態を達成するために重力の効果を補充することが実際上において望ましい。小さいバルブの場合に特にそのようにすることが望ましい。スプリングは有効なシール作用を確保するものの、バルブを開放するのに必要な圧力差の範囲を付加させるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の基本的な課題は、上述の種類のバルブにおいて、上向きのシート突起部とシールワッシャー又は板との間のシール特性を向上させることにある。この課題はまた小さなバルブにおいて補助のバルブ閉鎖用のスプリングの必要性をなくすることを含むものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するために、本発明によれば、雰囲気の圧力が導管内の大気圧を所定値だけ越えた時にその雰囲気が導管ないしパイプラインに流入するのを許容すると共に、導管から雰囲気への空気の解放を阻止する換気用バルブであって、該バルブは、共通の平面にある互いに共軸の2つの上向きシート突起部と、リング形状のシール部材を具備する垂直方向に可動なバルブ体とを有し、シール部材は、バルブが閉じられたとき、前記2つの上向きシート突起部間の環状の通路ギャップを橋渡し且つこれらの突起部に対抗してシール機能を果たし、前記バルブ体は重力の作用でバルブ閉鎖位置へ移動するようになされた換気用バルブにおいて、前記2つの上向きシート突起部の少なくとも一方は半径方向に分割された2つの尾根部により形成され、これらの尾根部はその間に環状の喉部を規定すると共に、バルブが閉じているときシール部材に略正接した状態に配置され、、上向きシート突起部の前記少なくとも一方の側にある2つの尾根部のうちの少なくとも一方は丸みのある上端部を有し、且つ丸みのある上端部を有する尾根部は、それの丸みのある輪郭により、前記シール要素と尾根部との間の接触領域の直ぐ外側に近接して、該接触領域の少なくとも一方の側で、楔状の毛細管ギャップを規定することを特徴とする。
【0008】
これにより、特に小さな換気用バルブにおいて、所望のシール特性を発揮させるためのスプリングの必要性をなくし、一方で比較的小さな重量のバルブ体を保ったままで換気用バルブを構成できる。しかしながら、付加的な利点としてシール性能が向上することが挙げられる。
本発明は、大きい換気用バルブにおいても有効に使用可能であることは明らかである。
【0009】
前記バルブは、垂直方向に向いたパイプコネクタを具備し、その上端縁の領域で、半径方向内側の上向きシート突起部、及び上縁部にて半径方向外側の上向きシート突起部を有する環状体を形成し、該環状体は半径方向に隔設されたスポークによってパイプコネクタ上に支持され、カバーはその凹面側が下方に向くように設置され且つ内側壁面を有し、その縁部は全周にて環状体に確りと連結され、環状体とカバーとの間で円周方向に延びた凝縮水を集積するためのポケットを形成し、ポケットからの凝縮水の自然排出のために通路がポケットの底領域からスポークを介してパイプコネクタの内部まで延びていることを特徴とする。
【0010】
上向きシート突起部の前記少なくとも一方の側にある2つの尾根部のうちの少なくとも一方は丸みのある上端部を有することを特徴とする。
一方の上向きシート突起部の2つの尾根部の一方はシール要素に平坦に接合するように略平坦の上面を有することを特徴とする。
丸みのある上端部を有する尾根部は導管内のガスに最も近い位置に設置されていることを特徴とする。
【0011】
丸みのある上端部を有する尾根部は、それの丸みのある輪郭により、前記シール要素と尾根部との間の接触領域の直ぐ外側に近接して、該接触領域の少なくとも一方の側で、楔状毛細管ギャップを規定することを特徴とする。
前記尾根部の丸みのある上端部は、連続的又は不連続的に互いに繋がっている直線の又は湾曲した輪郭形状の断面により形成されていることを特徴とする。
【0012】
2つの尾根部間の喉は、最初、低蒸発性の液体、例えばシリコンオイルで充填されていることを特徴とする。
2つの尾根部間の喉は、導管内のガスからの凝縮水を捕らえるように構成されていることを特徴とする。
導管内のガスからの凝縮水は、最初に喉33に充填されている液体を補充するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1はパイプコネクタ1を示し、そのパイプコネクタの上端まわりで、周囲に隔設された多数のスポーク2により環状体3を支持する。
パイプコネクタ1は通常その軸11が垂直な状態となるように設置される。図示の実施形態においては、リング状の平坦なシール板又はディスク4が水平面、即ち軸11と直角な面上で外方に延在しており、例えば、バルブコネクタ1の上端6と環状体3の上端7がシール板4の周囲に接合することにより環状体3とパイプコネクタ1との間のギャップ5を橋渡ししている。
【0014】
カバーないしケーシング9はパイプコネクタ1と同軸に設置され、カバーの底部内壁部分12は環状体3の底部外壁部分12に対しその全周囲にわたって気密にシールされている。リング状の凝縮水の集積ポケット15はカバー9壁内側と環状体3の外壁14との間に規定される。ポケット15の下部には通路16が設けられており、その通路16は環状体3及びスポーク2を通して、更にパイプコネクタ1の壁部を貫通して斜め下方向きに延長しており、このコネクタの内部に連通している。
【0015】
エラストマーからなるシール板4はリング状の支持板17によって担持され、このシール板は中心ハブ18を有し、このハブはカバー9の中心部に固く取付けられたガイドピン19を受け入れる。パイプコネクタ1内の圧力が雰囲気の圧力を上回った場合は、シール板4及び前記支持板17、18により形成されたバルブ体20は環状体3及びパイプコネクタ1のそれぞれの上端部7及び6により形成されたバルブシートから持ち上げられ、圧力差により増加されたシート6及び7間のシール板の領域はバルブ部材20上に作用する重力の効果を克服するようになる。シート7のシール面はわずかに上昇したレベルにあり、シールリング4の外側リム部分は曲げられ、もってシート7に対して気密に接触するに至る。
【0016】
本発明によれば、少なくとも1つのシート6(及び、望ましくは両方のシート7も含む)は2つの半径方向に分かれた尾根部(リッジ)31、32からなり、これらの両者はバルブが閉じた状態でバルブ体20のシール板4に係合するようになっている。
図2に更に詳細に示すように、ギャップ5の側に最も接近して位置するシールリッジ31は、シール板4に接触する延長面をもった平坦な上面を有し、一方各シートの外側リッジ32は都合の良い丸形状の上部を有する。リッジ31、32はそれらの間に環状の喉部ないし溝33を規定する。
【0017】
バルブが閉じている時にシール板4とシート6又はシート7とを介してキャップ5に漏れようとするパイプコネクタ11の内部の比較的温暖で且つ湿気のあるガス・空気は、比較的涼しい雰囲気に直接的又は間接的に接触することにより冷却される。もって凝縮水が形成されて喉部33に蓄積され、凝縮水が漏れの原因を生じさせるようなギャップをシールする機能を果たす。
【0018】
図2に見られるように、シール板4と丸形状のリッジ32との間に楔形状のギャップ34が規定される。これらのくさび形状のスペース34内に発生する毛細管現象により凝縮水を喉部33の低レベル部分から、(換気用バルブの軸11が完全に垂直でない場合には)喉部の全体に沿って各シート6、7の最も高い部分へ搬送することが可能となる。
【0019】
本発明の一実施例において、バルブの外径が約40mmの場合に、喉部33は約2mmの深さ、約2mmの幅を有する。
本発明の一実施例によると、本発明バルブの製造時又は出荷時において、喉部33はほぼ完全に液体、例えばシリコンオイルで充填されている。シール板4はまたこの液体シリコンオイルの薄いコーテングが施されている。
【0020】
まず最初に、シリコンオイルは直接に所望のシール作用を提供するが、所定の時間の経過後には喉部33内のシリコンオイルの一部は勿論なくなる。この減少部分は、やがては、バルブ内の湿ったガス・空気からの凝縮水によって完全に又は部分的に補填される。
本発明はまた、シール板4と少なくともシート6、7の一方とが、例えば製造上の寸法誤差等により、全周のまわりに完全には接合していない場合においても効果的である。
【0021】
特に、パイプコネクタはしばしば排気用パイプ或いは汚染ガス用パイプの一方の端部に嵌合される場合があるが、これらのパイプは上昇する傾向のある比較的温暖で湿気のある空気を搬送する。この空気は、比較的冷たい雰囲気によって冷却されているバルブにより冷やされ、特にシール板4とシート6、7との間のシール領域において冷やされ、これにより凝縮水を生じ、ギャップを液密に満たすこととなる。
【0022】
シリコンオイル又は同等のものを有していない本発明のバルブは、シール板がリッジ部に整合する領域上に水を付着させておくことにより、バルブを嵌合した直後に、有効な初期堅固性が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の換気用バルブの半分を示す軸方向の概略縦断面図である。
【図2】バルブシートの構造を示す概略図である。
【符号の説明】
1…パイプコネクタ
2…スポーク
3…環状体
4…シール板ないしディスク
5…キャップ
6…上端
7…下端
9…カバーないしケーシング
15…ポケット
17、18…支持板
20…バルブ体
31、32…尾根部(リッジ)
33…喉部
Claims (8)
- 雰囲気の圧力が導管内の大気圧を所定値だけ越えた時にその雰囲気が導管ないしパイプラインに流入するのを許容すると共に、導管から雰囲気への空気の解放を阻止する換気用バルブであって、該バルブは、共通の平面上にある互いに共軸の2つの上向きシート突起部(6、7)と、リング形状のシール部材(4)を具備する垂直方向に可動なバルブ体(20)とを有し、シール部材は、バルブが閉じられたとき、前記2つの上向きシート突起部(6、7)間の環状の通路ギャップ(5)を橋渡し且つこれらの突起部に対抗してシール機能を果たし、前記バルブ体(20)は重力の作用でバルブ閉鎖位置へ移動するようになされた換気用バルブにおいて、前記2つの上向きシート突起部(6、7)の少なくとも一方は半径方向に分割された2つの尾根部(31、32)により形成され、これらの尾根部はその間に環状の喉部(33)を規定すると共に、バルブが閉じているときシール部材(4)に略正接した状態に配置され、上向きシート突起部(6、7)の前記少なくとも一方の側にある2つの尾根部のうちの少なくとも一方(32)は丸みのある上端部を有し、且つ丸みのある上端部を有する尾根部(32)は、それの丸みのある輪郭により、前記シール要素(4)と尾根部(32)との間の接触領域の直ぐ外側に近接して、該接触領域の少なくとも一方の側で、楔状の毛細管ギャップ(34)を規定することを特徴とする換気用バルブ。
- 前記バルブは、垂直方向に向いたパイプコネクタ(1)を具備し、その上端縁の領域で、半径方向内側の上向きシート突起部(6)、及び上縁部にて半径方向外側の上向きシート突起部(7)を有する環状体(3)を形成し、該環状体(3)は半径方向に隔設されたスポーク(2)によってパイプコネクタ上に支持され、カバー(9)はその凹面側が下方に向くように設置され且つ内側壁面を有し、その縁部は全周にて環状体(3)に確りと連結され、環状体(3)とカバー(9)との間で円周方向に延びた凝縮水を集積するためのポケット(15)を形成し、ポケット(15)からの凝縮水の自然排出のために通路(16)がポケット(5)の底領域からスポーク(2)を介してパイプコネクタの内部まで延びていることを特徴とする請求項1に記載の換気用バルブ。
- 一方の上向きシート突起部(6、7)の2つの尾根部の一方(31)はシール要素(4)に平坦に接合するように略平坦な上面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の換気用バルブ。
- 丸みのある上端部を有する尾根部(32)は導管内のガスに近い側の位置に設置されていることを特徴とする請求項3に記載の換気用バルブ。
- 前記尾根部の丸みのある上端部は、連続的又は不連続的に互いに繋がっている直線の又は湾曲した輪郭形状の断面により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の換気用バルブ。
- 2つの尾根部(31、32)間の喉部(33)は、最初、低蒸発性の液体、例えばシリコンオイルで充填されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の換気用バルブ。
- 2つの尾根部(31、32)間の喉部(33)は、導管内のガスからの凝縮水を捕らえるように構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の換気用バルブ。
- 導管内のガスからの凝縮水は、最初に喉部(33)に充填されている液体を補充するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の換気用バルブ。
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