JP4063375B2 - 親水化処理用組成物及び親水化処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、親水持続性に優れた被膜を形成しうる親水化処理用組成物、それを用いた熱交換器フィン材の親水化処理方法及び該組成物を塗布した熱交換器フィン材に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】
空調機の熱交換器は冷房時に発生する凝縮水が水滴となってフィン間に水のブリッジを形成し、空気の通風路を狭めるため、通風抵抗が大きくなって電力の損失、騒音の発生、水滴の飛散などの不具合が発生する。かかる現象を防止する方策として、例えば、アルミニウム製フィン材(以下、フィン材という)の表面を親水化処理して水滴および水滴によるブリッジの形成を防止することが行なわれている。
【0003】
親水化処理方法としては、例えば、(1)アルミニウムの表面処理法として知られているベーマイト処理方法;(2)一般式mSiO2/nNa2Oで示される水ガラスを塗布する方法(例えば、特公昭55−1347号公報、特開昭58−126989号公報など参照);(3)有機樹脂にシリカ、水ガラス、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、チタニアなどを混合した塗料またはこれらの塗料に界面活性剤を併用した塗料を塗布する方法(例えば、特公昭57−46000号公報、特公昭59−8372号公報、特公昭62−61078号公報、特開昭59−229197号公報、特開昭61−225044号公報など参照);(4)有機−無機(シリカ)複合体樹脂と界面活性剤よりなる塗料を塗布する方法(特開昭59−170170号公報参照)などがあげられ、これら方法の中の一部は既に実用化されている。
【0004】
以上に例示したごとく熱交換器の親水化処理技術は実用化されているものの、処理板の親水性の持続性(水滴接触角、全面水濡性)、耐食性、臭気などの点で未だ改良すべき問題点がある。
【0005】
特に、近年、熱交換器の一層の小型化、軽量化等のためにフィン材の間隔が狭くなっており、そのためにより高度の親水性が必要となってきているが、前記(3)および(4)の処理方法では十分な親水持続性を発揮させることはできない。
【0006】
また、前記(1)のベーマイト処理方法においては耐食性に問題があり、しかも得られる被膜が硬いためプレス加工性に問題がある。さらに前記(2)の水ガラスを塗布する方法はフィン材処理板の水滴接触角が20°以下という良好な親水持続性を示すが、水ガラスで処理したフィン材は経時で処理被膜面が粉状を呈するようになり、通風時に飛散しセメント臭または薬品臭が発生する。しかも熱交換器の運転時に発生する凝縮水によって水ガラスが加水分解し、フィン材表面がアルカリ性となるため孔食が起こり易く、また、腐食生成物である水酸化アルミニウム粉末(白粉)が飛散することが知られており、環境保全上の問題もある。
【0007】
また、熱交換器の表面処理方法として、▲1▼アルミニウム板を成型加工してフィンを作成し、このものを組立てたのち、表面処理剤(親水性、防錆剤を有する)を浸せき、スプレー、シャワーなどの手段により塗布する、いわゆるアフターコート法と、▲2▼あらかじめロールコータなどの手段によりアルミニウム板に表面処理膜を形成したのち、この板にプレス成型加工を施してフィン材を作成する、いわゆるプレコート法の二方法がある。後者の▲2▼の方法において、親水化被膜層に無機質成分、たとえばシリカ、水ガラス、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、チタニアなどが混在していると、プレス成型に用いられる金型が著しく摩耗し、フィン材の成型不良、親水性被膜の破壊による耐食性の劣化、さらに金型寿命の短縮による経済的損失などの問題が発生する。
【0008】
また、プレス成型加工法も、従来のドロー加工法(張り出し、絞り加工)から、より厳しいドローレス加工法(しごき加工)にかわってきており、このようなより厳しい加工法が採用された場合には、今までのものでは対応できない。
【0009】
これに対応する親水化処理方法として、例えば、以下の方法が提案されている。
【0010】
(1) ポリビニルアルコールと特定の水溶性ポリマーと水溶性架橋剤とを組合せて用いる方法(特開平3−26381号公報、特開平1−299877号公報参照)、
(2) 特定の親水性モノマーからなる親水性重合体部分と疎水性重合体部分とからなるブロック共重合体と、金属キレート型架橋剤とを組合せて用いる方法(特開平2−107678号公報、特開平2−202967号公報参照)、
(3) ポリアクリルアミド系樹脂を用いる方法(特開平1−104667号公報、特開平1−270977号公報参照)、
(4) ポリアクリル酸ポリマーなどの高分子と、この高分子と水素結合によるポリマーコンプレックスを形成し得るポリエチレンオキサイドやポリビニルピロリドンなどの高分子とを組合せて用いる方法(特開平6−322292号公報参照)。
【0011】
しかしながら、これらの方法で得られる親水化処理被膜は、プレス成型時における成型不良の問題は少ないものの、親水性の持続性や処理被膜の耐水溶解性に問題がある。
【0012】
このように熱交換器のフィン材における親水化の技術は数多く提案されているが、親水性の持続性、処理被膜の安定性及びプレス成型性のすべてを満足する親水化処理方法はいまだに見出されていない。
【0013】
本発明者らは、上記問題を解決できるものとして、先に、ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物と特定の親水性重合体微粒子とを組合せた親水化処理用組成物を提案した(特開平9−87576号公報参照)。
【0014】
上記提案の組成物によって親水性の持続性、処理皮膜の安定性及びプレス成型性の優れた処理被膜を形成することができるが、最近、省エネルギー及び生産性の向上の観点から塗装ラインの高速化による焼付け時間の短縮が要求されつつあり、上記提案の組成物は、短時間焼付けにおいては、硬化性が不十分となり、素地に対する密着性が劣るなど、十分な塗膜性能が得られないという問題がある。そこで本発明者らは、前記の問題を解決することができると同時に、塗装ラインの高速化による短時間焼付けにも対応できる親水化処理用組成物を得るために鋭意研究を行った。その結果、今回、水溶性ないしは水分散性ポリアミド樹脂、ポリオキシアルキレン鎖を含有する樹脂及び特定の親水性重合体微粒子とを組合せた親水化処理用組成物によって上記の問題を解決することができることを見出し本発明を完成するに至った。
【0015】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、(A)水溶性ないしは水分散性のポリアミド樹脂、
(B)ポリオキシエチレン鎖及びポリオキシプロピレン鎖のうちの少なくとも1種のポリオキシアルキレン鎖を分子中に40重量%以上含有する水溶性ないし水分散性の樹脂、及び
(C)(a)1分子中に少なくとも1個の重合性二重結合とポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖を有する親水性モノマー 2〜50重量%、
(b)下記式(I)
【0016】
【化4】
【0017】
[式中、R1 は水素原子又はメチル基を表し、R2 およびR3 は同一又は相異なり、それぞれ水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、ただしR2 とR3 との炭素原子数の和は5以下である]
で示される化合物から選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリルアミド系モノマー 20〜97重量%、
(c)1分子中に2個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物、ならびに1分子中に加水分解性シリル基、エポキシ基、N−メチロール基及びN−アルコキシメチル基から選ばれる少なくとも1個の官能基と1個の重合性不飽和二重結合とを有する化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋性不飽和モノマー 1〜30重量%、
(d)カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー 2〜50重量%、及び
(e)1分子中に1個の重合性不飽和基を有する、上記(a)、(b)、(c)及び(d)以外の他のモノマー 0〜50重量%
の共重合体からなる親水性架橋重合体微粒子
を含有することを特徴とする親水化処理用組成物を提供するものである。
【0018】
また本発明は、上記親水化処理用組成物をアルミニウム製熱交換器フィン材に塗布することを特徴とするフィン材の親水化処理方法を提供するものである。
【0019】
さらに本発明は、上記親水化処理用組成物からの塗膜が表面層として形成されてなるアルミニウム製熱交換器フィン材を提供するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
【0021】
水溶性ないしは水分散性のポリアミド樹脂(A)
水溶性ないしは水分散性のポリアミド樹脂(A)[以下、「樹脂(A)」と略称することがある]は、水溶性ないしは水分散性を有するアミド樹脂であれば特に制限なく使用することができる。
【0022】
樹脂(A)は、ポリアミド樹脂中にN−メチロール基、N−C1 〜 4 アルキルオキシメチル基などの水溶化ないしは水分散化のための基を導入したものであることができ、また、界面活性剤のような分散助剤を併用してポリアミド樹脂に水分散性を付与したものであってもよい。
【0023】
上記ポリアミド樹脂としては、例えば、6−ナイロン、66−ナイロン、6,10−ナイロン、7−ナイロン、9−ナイロン、11−ナイロンなどが挙げられる。
【0024】
また、ポリアミド樹脂は、一般に、数平均が3,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000、さらに好ましくは20,000〜50,000の範囲内にあることが好適である。
【0025】
樹脂(A)の好適な市販品としては、例えば、トレジンFS350、トレジンFS500(以上、いずれも帝国化成(株)製、水溶性又は水分散性のナイロン)、AQナイロンP−70、AQナイロンA−90(以上、いずれも東レ(株)製、水溶性又は水分散性のナイロン)などを挙げることができる。
【0026】
ポリオキシアルキレン鎖を有する水溶性ないし水分散性の樹脂(B)
ポリオキシアルキレン鎖を有する水溶性ないし水分散性の樹脂(B)[以下、樹脂(B)と略称することがある]は、ポリオキシエチレン鎖及びポリオキシプロピレン鎖のうちの少なくとも1種のポリオキシアルキレン鎖を樹脂中に40重量%以上、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上の割合で含有する、水溶性ないしは水分散性の樹脂である。
【0027】
本発明において上記ポリオキシアルキレン鎖は下記式で表される基である。
【0028】
【化5】
【0029】
[式中、R4は水素原子又はメチル基を表し、kは3以上、好ましくは5〜2500の整数を表す]
樹脂(B)の代表例としては、例えば、下記のものを挙げることができる。
【0030】
(1) ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、上記ポリオキシエチレン鎖と上記ポリオキシプロピレン鎖とがブロック状に結合したブロック化ポリオキシアルキレングリコール。
【0031】
(2) 上記ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はブロック化ポリオキシアルキレングリコールの片末端又は両末端の水酸基を、一価アルコールもしくは2価以上の多価アルコール又はフェノール類でエーテル化するか、或いは一塩基酸でエステル化することによって封鎖してなる化合物。
【0032】
上記エーテル化に使用できる一価アルコールもしくは多価アルコール又はフェノール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールなどの一価アルコール;ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ジ(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール;フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのフェノール類などを挙げることができる。
【0033】
上記エステル化に使用できる一塩基酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、安息香酸、p−t−ブチル安息香酸などを挙げることができる。
【0034】
(3) ポリオキシエチレン鎖又はポリオキシプロピレン鎖を有する重合性不飽和モノマーの重合体、又は該モノマーと他の重合性不飽和モノマーとの共重合体。
【0035】
上記ポリオキシエチレン鎖又はポリオキシプロピレン鎖を有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、前記式(II)又は(III)で示される化合物を挙げることができ、その代表例としては、ブレンマーPME−4000(日本油脂(株)製、ポリオキシエチレン鎖を有するメタクリル酸エステル)、PMA−300M(日本乳化剤(株)製、ポリオキシエチレン鎖を有するメタクリル酸エステル)などを挙げることができる。
【0036】
また、上記他の重合性不飽和モノマーとしては、上記該モノマーと共重合性を有するモノマーであれば制限なく使用することができ、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのC1 〜20アルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有不飽和モノマー;スチレンなどを挙げることができる。
【0037】
(4)ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールを含有する多価アルコール成分と多塩基酸成分とをエステル化して得られるポリエステル。
【0038】
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール以外の多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールAなどの脂環族ジオール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールなどを挙げることができる。
【0039】
上記多価アルコール成分と反応させる多塩基酸成分としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、無水マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの芳香族以外のジカルボン酸;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、無水ピロメリット酸などの3価以上の多塩基酸、これらの酸の低級アルキルエステル化物などを挙げることができる。また安息香酸、クロトン酸、p−t−ブチル安息香酸などの一塩基酸を分子量調節などのために酸成分の一部として使用することもできる。
【0040】
樹脂(B)は、ポリオキシエチレン鎖及びポリオキシプロピレン鎖のうちの少なくとも1種のポリオキシアルキレン鎖を樹脂中に40重量%以上含有することが必要であり、上記ポリオキシアルキレン鎖の量が40重量%未満となると、一般に得られる塗膜の親水性が十分でなくなる。
【0041】
また、樹脂(B)の分子量は、特に限定されるものではないが、数平均分子量が通常500〜500,000、特に3,000〜100,000の範囲内にあることが好ましい。
【0042】
親水性架橋重合体微粒子(C):
本発明の組成物における(C)成分は、下記(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)モノマーの共重合体からなる親水性架橋重合体微粒子である。
【0043】
親水性モノマー(a)
1分子中に少なくとも1個の重合性二重結合とポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖を有する化合物であり、その代表例としては下記一般式(II)、(III)又は(IV)で示される化合物を挙げることができる。
【0044】
【化6】
【0045】
[式中、R5、R6およびR7は同一又は相異なり、それぞれ水素原子又はメチル基を表わし、R8は−OH、−OCH3、−SO3H又は−SO3 -M+を表わし、ここでM+はNa+、K+、Li+、NH4 +又は有機アンモニウム基を表わし、nは10〜200の数であり、そしてn個の式
【0046】
【化7】
【0047】
の単位における各R7は同一であってもよく又は互に異なっていてもよい、ここで、上記有機アンモニウム基は1級、2級、3級および4級のいずれであってもよく、その窒素原子には少なくとも1個の有機基と0〜3個の水素原子が結合したものであり、上記有機基としてはO、S、N原子などを含有していてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基などを挙げることができる]
【0048】
【化8】
【0049】
[式中、R5、R6、R7、R8およびnは前記と同じ意味を有する]
【0050】
【化9】
【0051】
[式中、R5およびR6は前記と同じ意味を有し、XはO、S又はN原子を含有してもよい炭素原子数5〜10の二価の有機基を表わし、mは10〜100の整数である]
上記式(IV)において、Xによって表わされる「O、S又はN原子を含有してもよい炭素原子数5〜10の二価の有機基」の具体例としては、下記式で表わされる基などを挙げることができる。
【0052】
【化10】
【0053】
上記モノマー(a)としては、モノマー(b)を多量に使用した際の分散安定性等の観点から、中でも、nが50〜200である式(II)又は(III)の化合物が好ましい。
【0054】
(メタ)アクリルアミド系モノマー(b):
(メタ)アクリルアミド系モノマー(b)は、下記一般式(I)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0055】
【化11】
【0056】
[式中、R1は水素原子又はメチル基を表わし、R2およびR3は同一又は相異なり、それぞれ水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表わし、ただしR2とR3との炭素原子数の和は5以下である]
上記式(I)において、R2又はR3によって表わされうる「炭素原子数1〜5のアルキル基」は、直鎖状のもの又は分枝鎖状のもののいずれであってもよく、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、アミルなどを挙げることができる。
【0057】
しかして、上記一般式(I)で示されるモノマー(b)の代表例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミドなどが挙げられる。
【0058】
架橋性不飽和モノマー(c):
架橋性不飽和モノマー(c)は、粒子の架橋に寄与する成分であり、1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物、ならびに1分子中に加水分解性シリル基、エポキシ基、N−メチロール基及びN−アルコキシメチル基から選ばれる少なくとも1個の官能基と1個の重合性二重結合とを有する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0059】
上記架橋性不飽和モノマー(c)のうち、1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物(c−1)としては、例えば、メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらのうち、得られる重合体微粒子の分散安定性および親水性等の観点から、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミドが好適である。
【0060】
上記架橋性不飽和モノマー(c)のうち、1分子中に加水分解性シリル基、エポキシ基、N−メチロール基及びN−アルコキシメチル基から選ばれる少なくとも1個の官能基と1個の重合性二重結合とを有する化合物(c−2)の代表例としては下記の化合物を挙げることができる。なお、本明細書において「加水分解性シリル基」とは、加水分解することによってシラノール基(Si−OH)を生成する珪素含有基を意味し、例えば、下記式で表わされる基を挙げることができる。
【0061】
【化12】
【0062】
[式中、2個のR9は同一又は相異なり、それぞれ水素原子、炭素数1〜18個の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数2〜4のアルコキシル基置換アルコキシル基を表わし、R10は炭素数1〜4のアルコキシル基又は炭素数2〜4のアルコキシル基置換アルコキシル基を表わす]
しかして、上記化合物(c−2)の代表例としては、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2−スチリルエチルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シランなどの加水分解性シリル基を有する不飽和化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基を有する不飽和化合物;N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどのN−メチロール基を有する不飽和化合物;N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドなどのN−アルコキシメチル基を有する不飽和化合物を挙げることができる。これらの中、重合体微粒子の有機溶剤中での安定性等の点から、N−メチロール基又は炭素数1〜7のアルコキシメチル基を有する不飽和化合物が好ましい。
【0063】
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(d):
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(d)としては、1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基と1個の重合性不飽和基を有する化合物であれば特に制限なく使用でき、その代表例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノブチルなどを挙げることができる。モノマー(d)は、それが有するカルボキシル基が前記ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物(A)と水素結合し、本発明の親水化処理用組成物の硬化性に寄与するものである。
【0064】
他のモノマー(e):
必要に応じて用いられるモノマーであり、1分子中に1個の重合性不飽和基を有し、前記モノマー(a)、(b)、(c)及び(d)と共重合可能な、前記モノマー(a)、(b)、(c)及び(d)以外の化合物である。
【0065】
上記モノマー(e)の代表例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の如きアクリル酸又はメタアクリル酸の炭素数1〜24のアルキル又はシクロアルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の如きアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの重合性不飽和ニトリル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数3〜8の含窒素アルキルエステル;エチレン、プロピレンなどのα−オレフイン;ブタジエン、イソプレンなどのジエン化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテルなどのビニルエーテルなどを挙げることができる。これらの化合物は1種で又は2種以上の混合物として使用することができるが、疎水性の化合物を多く用いると重合体粒子の親水性が損なわれるため注意が必要である。
【0066】
モノマー(e)として、前記モノマー(c−2)における官能基と相補的に反応する官能基を有する化合物を使用すると、モノマー(c−2)中の官能基とモノマー(e)中の官能基の反応によって架橋させることができる。なお、モノマー(c−2)中の官能基が加水分解性シリル基、N−メチロール基又はN−アルコキシメチル基である場合、これらの基はそれぞれこれらの基同志で反応して架橋することもできる。この場合、加水分解性シリル基同志でシロキサン結合を形成し、N−メチロール基又はN−アルコキシメチル基は脱水縮合反応又は脱アルコール反応によって(=N−CH2−O−CH2−N=)結合を形成して架橋することができる。
【0067】
モノマー(c−2)中の官能基と反応性を有するモノマー(e)が有しうる官能基としては、例えば下記表1に示すものを挙げることができる。
【0068】
【表1】
【0069】
モノマー(c)としてエポキシ基を有する化合物(c−2)を用いる場合、架橋重合体微粒子を得るためには、モノマー(e)としてエポキシ基と反応性を有する官能基、例えば、アミノ基又は水酸基を有する化合物を化合物(d)の全部又は一部として使用することができ、また、モノマー(d)中のカルボキシル基は化合物(c−2)としてエポキシ基を有するものを用いることにより該エポキシ基との反応によって架橋することもできる。
【0070】
親水性架橋重合体微粒子(C)の製造:
親水性架橋重合体微粒子(C)は、以上に述べた親水性モノマー(a)、(メタ)アクリルアミド系モノマー(b)、架橋性不飽和モノマー(c)及びカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(d)並びに必要に応じて他のモノマー(e)を、分散安定剤の不存在下に、上記モノマーは溶解するが生成する共重合体を実質的に溶解しない水混和性有機溶媒中又は水混和性有機溶媒/水混合溶媒中で重合せしめることにより製造することができる。
【0071】
その際の各モノマーの使用割合は、形成される共重合体中に望まれるモノマーの構成割合と同じにすることができ、例えば、以下のとおりとすることができる。
【0072】
【0073】
親水性モノマー(a)の量が2重量%未満であると、一般に、生成する重合体粒子を充分に安定化することが困難となり、重合中又は貯蔵中に凝集物が生成しやすくなり、一方、50重量%を超えると、生成する重合体粒子が反応溶媒に溶解しやすくなり、重合体の多くが溶解してしまうため重合体微粒子を満足に形成することができなくなる。
【0074】
(メタ)アクリルアミド系モノマー(b)の量が20重量%未満であると、一般に、重合によって生成する重合体が反応溶媒に溶解しやすくなり重合体微粒子の形成が困難となり、一方、97重量%を超えると、重合中および経時での重合体微粒子の安定性が不充分となり凝集物が生成しやすくなる。
【0075】
架橋性不飽和モノマー(c)の量が1重量%未満であると、一般に、生成する重合体微粒子の架橋度が小さくなり、有機溶剤型塗料に配合した場合、微粒子がその溶剤に溶解、膨潤しやすくなる。一方、30重量%を超えると、重合時に凝集物の生成が多くなり、所望の重合体微粒子を安定に製造することが極めて困難になる。
【0076】
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(d)の量が2重量%未満であると、化合物(A)との水素結合形成能が低下し、得られる被膜の硬化性が不十分となり、一方、50重量%を超えると、得られる親水化処理用組成物の安定性が悪くなる。
【0077】
親水性架橋重合体微粒子(C)の製造において使用される親水性モノマー(a)は、分子中に、親水性に富んだポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖を有しているため、このモノマー(a)が生成重合体の分散安定化の役割を果すため、重合体微粒子(B)の製造においては、分散安定剤の使用を必要としない。
【0078】
上記重合体微粒子(C)の製造に際して反応溶媒として、原料のモノマー混合物は溶解するが、生成する共重合体を実質的に溶解しない水混和性有機溶媒又は水混和性有機溶媒/水混合溶媒が使用される。ここで、「水混和性」又は「水と混和する」とは、20℃の温度で水に任意の割合で溶解しうることを意味する。上記水混和性有機溶媒としては、上記の要件を満たす限り任意のものを使用することができるが、特に、溶解性パラメータ(SP)値が一般に9〜11、特に9.5〜10.7の範囲内にある有機溶媒を少なくとも50重量%、特に70重量%以上含有するものが、重合安定性の観点から好適である。なお、本明細書における「溶解性パラメータ(SP)値」は、Journal of Paint Technology, Vol. 42 No. 541,76〜118(1970年2月)の記載に基づくものである。
【0079】
SP値が上記の範囲内にある水混和性有機溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが挙げられ、これらの中特に、エチレングリコールモノブチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
【0080】
水混和性有機溶媒は、以上に述べた如きSP値が9〜11の範囲内にある有機溶媒以外に、他の水混和性又は水非混和性有機溶媒を含有することができる。そのような有機溶媒としては、水混和性有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が好適である。該他の有機溶媒は、有機溶媒の全量の50重量%以下、特に30重量%以下の量で使用することが望ましい。
【0081】
また、反応溶媒として、水混和性有機溶媒/水の混合溶媒を使用する場合、該混合溶媒中における水の含有量は、重合安定性等の観点から、通常、水混和性有機溶媒100重量部あたり60重量部以下、特に40重量部以下であることが好ましい。
【0082】
前記親水性モノマー(a)、(メタ)アクリルアミド系モノマー(b)、架橋性不飽和モノマー(c)、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(d)及び他のモノマー(e)の共重合は、通常、ラジカル重合開始剤の存在下に行なわれる。ラジカル重合開始剤としては、それ自体既知のものを使用することができ、その使用量は、通常、モノマーの合計量に対して0.2〜5重量%の範囲内とすることができる。
【0083】
重合温度は、使用する重合開始剤の種類等によって変えることができるが、通常、約50〜約160℃、さらには90〜160℃の範囲内の温度が適当であり、反応時間は0.5〜10時間程度とすることができる。また、重合反応後にモノマー(c)による架橋を進行させるために、より高温に加熱してもよい。さらに、重合反応中や重合反応後における粒子内架橋反応をより速やかに進行させるために、必要に応じて、架橋反応触媒を加えてもよい。架橋反応触媒としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の強酸触媒;トリエチルアミンなどの塩基触媒などを挙げることができ、架橋反応種に応じて適宜選定すればよい。
【0084】
以上に述べた如くして製造される重合体微粒子(C)の粒子径は、特に限定されるものではないが、重合体微粒子(C)の安定性、凝集物の発生抑制などの点から、一般に0.03〜1μm、好ましくは0.05〜0.6μmの範囲内の平均粒子径を有することが適当である。この平均粒子径は、粒子径測定装置、例えばコールター(coulter)モデルN4MD(コールター社製)によって測定することができる。
【0085】
上記重合体微粒子(C)は、モノマー(a)に由来するポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖が重合体微粒子表面に化学的に結合した状態で外側に向って配向しているため、分散安定剤の不存在下であっても、重合安定性及び経時での分散安定性(貯蔵安定性)が極めて優れており、しかも、表面が親水性に富んでいる。
【0086】
また、重合体微粒子(C)は、モノマー(c)成分の存在により、粒子内架橋されており、有機溶剤型塗料中においてもその形態を保持し、また、加熱によっても容易に溶融せず、塗料から処理膜を形成した際に処理膜に微細な凹凸を形成することができる。
【0087】
親水化処理用組成物
本発明の組成物において、樹脂(A)と樹脂(B)と重合体微粒子(C)との配合比率は、得られる組成物に望まれる性能などに応じて適宜選定できるものであり、特に限定されるものではないが、通常、成分(A)/成分(B)の比は、固形分重量比で10/90〜90/10、特に20/80〜70/30の範囲内が好適であり、また、成分(A)と成分(B)との合計/成分(C)の比は、固形分重量比で10/90〜90/10、特に40/60〜80/20の範囲内が好適である。
【0088】
本発明の組成物は、(A)、(B)及び(C)の各成分が親水性に優れた成分であり、かつ(A)成分のアミド基、(B)成分のポリオキシアルキレン鎖及び(C)成分のアミド基、ポリオキシアルキレン鎖、カルボキシル基が、互いに水素結合によって結合する。なかでも、(A)成分と(C)成分とは溶解性パラメータが近似しており互いの相溶性が良好であり、水素結合によって効果的に結合する。
【0089】
本発明の組成物によって、連続塗膜形成性及び短時間での硬化性に優れた塗膜を形成することができるが、この理由として、本発明者らは、(A)成分が凝集力が強く、通常、高分子量の樹脂であること、前記水素結合による効果、及び短時間焼付けにおいて、(B)成分に比較して(A)成分のほうが水分の揮散性が良好であることなどが寄与しているものと推定している。
【0090】
また、本発明の組成物によって、親水性の優れた塗膜を形成することができるが、この理由として、本発明者らは、(A)、(B)及び(C)の各成分が親水性に優れた成分であること、(C)成分が微粒子重合体であって、塗膜表面の微細な凹凸形成による親水性の向上効果、(B)成分と(C)成分との溶解性パラメータの差が大きく、両成分の作用により塗膜表面に、親水性の向上にさらに効果的な凹凸を形成できることによるものと推定している。
【0091】
本発明の組成物には、この組成物から得られる処理膜の耐水溶解性をさらに優れたものとするために、必要に応じて、(D)成分として架橋剤を配合してもよい。架橋剤(D)としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、ポリエポキシ化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、チタンキレートなどの金属キレート化合物などを挙げることができる。該架橋剤は一般に水溶性又は水分散性を有していることが好ましい。
【0092】
本発明の組成物で処理された熱交換器フィン材において、例えば、熱交換器のフィンピッチが1.2mm以下の場合には、フィンと水との接触角が5度以下のいわゆる拡張濡れになることが望ましい。この目的のために本発明の組成物には、必要に応じて、(E)成分として湿潤作用を有する界面活性剤を配合することができる。
【0093】
界面活性剤(E)は、表面湿潤作用を有するものであれば、陰イオン系、陽イオン系、両性イオン系、非イオン系のいずれの界面活性剤であってもよい。使用しうる界面活性剤(E)の代表例としては、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩およびアルキレンオキシドシラン化合物を挙げることができる。
【0094】
これらの界面活性剤はそれぞれ単独で又は2種以上を組合わせて使用することができる。界面活性剤(E)の配合量は、通常、前記樹脂(A)と樹脂(B)と重合体微粒子(C)の合計100重量部に対して20重量部以下とすることができ、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜5の重量部の範囲内である。
【0095】
本発明の組成物には、さらに必要に応じて、微生物の発生や繁殖を阻止するために、(F)成分として防菌剤を含有することができる。防菌剤(F)としては特に以下の(1)〜(5)の条件を備えているものが好適である。
【0096】
(1) 低毒性で安全性が高いこと;
(2) 熱、光、酸、アルカリなどに対して安定であり、水に対して離溶性であり、かつ持続性にすぐれていること;
(3) 低濃度で殺菌性を有するか、または菌の発育を阻止する能力を有すること;
(4) 塗料に配合しても効力が低下しないこと、また、塗料の安定性を阻害しないこと;
(5) 形成した被膜の親水性および耐食性を阻害しないこと。
【0097】
かかる条件に適合する防菌剤はそれ自体既知の防菌・殺菌作用をもつ脂肪族系、芳香族系の有機化合物の中から選ぶことができ、例えば、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンツチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、フェノール系、第4級アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロムインダノン系等の防菌剤が挙げられる。
【0098】
上記防菌剤の具体例としては、2−(4−チアゾリル)−ベンツイミダゾール、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N−ジメチル−N′−フェノール−N′−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、O−フェニルフェノール、10,10′−オキシビスフェノキシアルシン、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、ジヨードメチル−p−トルイルスルホン、2−ベンツイミダゾールカルバミン酸メチル、ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジサルファイド、N−(トリクロロメチルチオ)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシイミドなどを挙げることができる。また、無機塩系の防菌剤も使用でき、例えばメタホウ酸バリウム、ホウ酸銅、ホウ酸亜鉛、ゼオライト(アルミノシリケート)などが代表的なものである。
【0099】
これらの防菌剤はそれぞれ単独で用いてもよく或いは併用することができ、その配合量は防菌剤の種類等に応じて変えることができるが、一般には、組成物の安定性、造膜性、被膜の親水性、塗板の耐食性を阻害しない等の点を考慮して、上記の樹脂(A)と樹脂(B)と重合体微粒子(C)の合計100重量部に対して20重量部以下とすることが好ましく、3〜15重量部の範囲とすることがより好ましい。
【0100】
本発明の組成物は、例えば、上記樹脂(A)、樹脂(B)重合体微粒子(C)及び必要に応じて架橋剤(D)及び/又は界面活性剤(E)及び/又は防菌剤を、水性媒体中に溶解ないしは分散することにより調製することができる。水性媒体は、水を主成分とするものであり、さらに有機溶剤や中和剤などを含有していてもよい。
【0101】
本発明の組成物は、また、必要に応じて着色顔料、それ自体既知の防錆顔料(たとえばクロム酸塩系、鉛系、モリブデン酸系など)、防錆剤(たとえばタンニン酸、没食子酸などのフェノール性カルボン酸およびその塩類、フイチン酸、ホスフィン酸などの有機リン酸、重リン酸の金属塩類、亜硝酸塩など)などを含有することもできる。
【0102】
本発明の組成物は、金属、ガラス、木材、プラスチックス、布などの基材の上に塗布することができ、この塗膜を焼付けることによって親水性の硬化塗膜を形成せしめることができる。塗膜は硬化塗膜厚が0.3〜5μm、特に0.5〜3μmの範囲内であることが好ましい。焼付けは一般には、素材到達最高温度が約80〜約250℃で焼付時間が約30分〜15秒の条件下で行なわれるが、本発明の組成物は15〜5秒の条件下で良好な硬化塗膜を形成することが可能である。
【0103】
本発明の組成物は、特にアルミニウム製熱交換フィン材の親水化処理に有用である。アルミニウム製熱交換器フィン材の親水化処理は、該フィン材に本発明の組成物を塗布することにより行なうことができる。例えば、本発明の組成物を、十分に脱脂され、必要に応じて化成処理されたアルミニウム板(熱交換器に組立てられたものであってもよい)に、それ自体既知の方法、例えば浸漬塗装、シャワー塗装、スプレー塗装、ロール塗装、電気泳動塗装などによって塗装し、焼付けることにより行なうことができる。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の組成物によれば、塗装ラインの高速化による短時間焼付けにおいても、硬化性に優れており、従来の問題点であった、親水持続性(全面水ヌレ性及び水との接触角20°以下)、連続成型加工性(耐金型摩耗性)を維持しつつ、優れた耐食性を有する親水性被膜を基材上に形成することができ、さらに組成物中に防菌剤を含有させることによってカビによる臭気発生を大巾に改善できる等の効果がある。
【0105】
かくして、本発明の組成物で処理されたアルミニウム製熱交換器フィン材を用いることにより、熱交換器の省エネルギー化及び省資源化を達成することができる。
【0106】
【実施例】
以下、実施例及び比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。これらの例は本発明をより詳細に説明するためのものであって、本発明の範囲になんら制限を加えるものではない。「部」および「%」はそれぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
【0107】
親水性架橋重合体微粒子の製造
製造例1
窒素導入管、玉入りコンデンサ、滴下ロート及びメカニカルスターラを備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル200部を入れ、118℃に昇温した。次にフラスコ内に下記のモノマー、溶媒及び開始剤の混合物を5時間かけて滴下し、滴下終了後さらに1時間118℃に保持して親水性架橋重合体微粒子分散液(a)を得た。
【0108】
ブレンマーPME−4000(注1) 20部
アクリルアミド 50部
N−メチロールアクリルアミド 20部
アクリル酸 10部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 200部
2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 1.5部
得られた分散液は乳白色の、固形分20%の安定な分散液であり、樹脂粒子の粒子径は345nmであった。
【0109】
(注1) ブレンマーPME−4000:下記式で示される化合物、日本油脂(株)製。
【0110】
【化13】
【0111】
製造例2
窒素導入管、玉入りコンデンサ、滴下ロート及びメカニカルスターラを備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル60部を仕込み90℃に昇温した。次に、この中に、N−ビニルピロリドン100部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル2部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル5部からなる溶液と、メルカプト酢酸5部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル30部からなる溶液とを同時にそれぞれ2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間90℃に保持した後、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1部とプロピレングリコールモノメチルエーテル10部とからなる溶液を1時間かけて滴下し、更に1時間撹拌した後、冷却し固形分50%のポリビニルピロリドン溶液を得た。
【0112】
得られたポリビニルピロリドン溶液800部にグリシジルメタクリレート26.6部及びテトラエチルアンモニウムブロマイド1.8重量部を加え、110℃で7時間撹拌し、下記式で示される固形分約52%のポリビニルピロリドンマクロモノマーの溶液を得た。
【0113】
【化14】
【0114】
製造例1において、滴下する混合溶液として下記のモノマー、溶媒及び開始剤の混合溶液を使用する以外は製造例1と同様にして重合を行い親水性架橋重合体微粒子分散液(b)を得た。
【0115】
上記で得た固形分約52%の
ポリビニルピロリドンマクロモノマーの溶液 38.5部
アクリルアミド 50.0部
N−メチロールアクリルアミド 20.0部
メタクリル酸 10.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 181.5部
2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 1.5部
得られた分散液は乳白色の、固形分20%の安定な分散液であり、樹脂粒子の粒子径は254nmであった。
【0116】
製造例3
窒素導入管、玉入りコンデンサ、滴下ロート及びメカニカルスターラを備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル200部を入れ、80℃に昇温した。次にフラスコ内に下記の混合物を5時間かけて滴下し、滴下終了後さらに2時間80℃に保持して親水性架橋重合体微粒子分散液(c)を得た。
【0117】
ブレンマーPME−4000 20部
アクリルアミド 50部
N−メチロールアクリルアミド 15部
アクリル酸 10部
メチレンビスアクリルアミド 5部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 150部
脱イオン水 50部
過硫酸アンモニウム 1.5部
得られた分散液は乳白色の、固形分20%の安定な分散液であり、樹脂粒子の粒子径は320nmであった。
【0118】
製造例4
窒素導入管、玉入りコンデンサ、滴下ロート及びメカニカルスターラを備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル170部を入れ、80℃に昇温した。次にフラスコ内に下記の混合物を5時間かけて滴下し、滴下終了後さらに2時間80℃に保持して親水性架橋重合体微粒子分散液(d)を得た。
【0119】
ブレンマーPME−4000 30部
アクリルアミド 45部
アクリル酸 15部
グリシジルメタクリレート 10部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 150部
脱イオン水 80部
過硫酸アンモニウム 1.5部
得られた分散液は乳白色の、固形分20%の安定な分散液であり、樹脂粒子の粒子径は163nmであった。
【0120】
製造例5
窒素導入管、玉入りコンデンサ、滴下ロート及びメカニカルスターラを備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル170部を入れ、80℃に昇温した。次にフラスコ内に下記の混合物を5時間かけて滴下し、滴下終了後さらに2時間80℃に保持して親水性架橋重合体微粒子分散液(e)を得た。
【0121】
ブレンマーPME−4000 30部
アクリルアミド 60部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 10部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 150部
脱イオン水 80部
過硫酸アンモニウム 1.5部
得られた分散液は乳白色の、固形分20%の安定な分散液であり、樹脂粒子の粒子径は128nmであった。
【0122】
製造例6
窒素導入管、玉入りコンデンサ、滴下ロート及びメカニカルスターラを備えたフラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル200部を入れ、140℃に昇温した。次にフラスコ内に下記のモノマー、溶媒、開始剤の混合物を5時間かけて滴下し、滴下終了後さらに1時間140℃に保持して親水性架橋重合体微粒子分散液(f)を得た。
【0123】
RMA−300M(注2) 15部
アクリルアミド 55部
N−ブトキシメチルアクリルアミド 15部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 15部
エチレングリコールモノブチルエーテル 200部
2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 1.5部
得られた分散液は乳白色の、固形分20%の安定な分散液であり、樹脂粒子の粒子径は441nmであった。
【0124】
(注2)RMA−300M:下記式で示される化合物、日本乳化剤(株)製。
【0125】
【化15】
【0126】
ポリオキシアルキレン鎖を有する樹脂の製造
製造例7
四つ口フラスコ中に水を150部仕込み、50℃にて撹拌しながらフレーク状のPEG20000(三洋化成工業(株)製、ポリエチレングリコール、数平均分子量20000)を100部添加して溶解させ、固形分40%のポリエチレングリコール水溶液(g)を得た。
【0127】
製造例8
製造例7において、PEG20000のかわりにサンニックスPE−75(三洋化成工業(株)製、酸化プロピレン/酸化エチレン共重合体)を使用する以外は、製造例7と同様の操作を行い、固形分40%のポリアルキレングリコール水溶液(h)を得た。
【0128】
製造例9
製造例7において、PEG20000のかわりにポリエチレングリコールモノメチルエーテル(数平均分子量約4000)を使用する以外は、製造例7と同様の操作を行い、固形分40%のポリエチレングリコールモノメチルエーテル水溶液(i)を得た。
【0129】
製造例10
窒素導入管、玉入りコンデンサ、滴下ロート及びメカニカルスターラを備えたフラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル200部を入れ、140℃に昇温した。次にフラスコ内に下記のモノマー、溶媒、開始剤の混合物を5時間かけて滴下し、滴下終了後さらに1時間140℃に保持して重合体溶液(j)を得た。得られた重合体の数平均分子量は約20000であった。
【0130】
ブレンマ−PME−4000 60部
アクリルアミド 30部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10部
2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 1.5部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 200部
製造例11
温度計、撹拌機及び水分離器を備えたフラスコ中に下記成分を仕込んだ。
【0131】
PEG400(数平均分子量約400 のポリエチレングリコール)720部
グリセリン 18部
無水コハク酸 170部
ついで、内容物を撹拌しながら4時間かけて220℃まで加熱した。220℃に2時間保持した後、副生する縮合水の除去を促進するため、全仕込み量に対して4%のトルエンを加えて反応を進め、酸価5となったところで加熱を止め、混合溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテル/水=1/1(重量比))を加えて希釈し、固形分約80%のポリエステル樹脂溶液(k)を得た。得られた樹脂はポリオキシエチレン鎖を81%を有している。
【0132】
製造例12(比較例)
製造例11において、フラスコ中に仕込む成分を下記成分とする以外は製造例11と同様に行い、ポリエステル樹脂(l)を得た。
【0133】
PEG400 160部
1,6−ヘキサンジオール 165部
グリセリン 18部
無水コハク酸 170部
得られた樹脂はポリオキシエチレン鎖を33%有していた。
【0134】
製造例7〜12で得たポリオキシアルキレン鎖を有する樹脂は、いずれも水溶性ないしは水分散性を有する樹脂である。
【0135】
製造例13
温度計及び撹拌機を備えたフラスコ中に、AQナイロンA−90(東レ(株)製、水溶性ナイロン)250部、脱イオン水750部を仕込み、40℃に加熱し、5時間保持した。その後、撹拌を開始し、ペレット状の粒子が溶解したことを確認した後、冷却し、ポリアミド樹脂水溶液(m)を得た。
【0136】
親水化処理用組成物の製造
実施例1
トレジンFS−500(帝国化学産業(株)製、水溶性ナイロン、表2において「FS−500」と表示する)を固形分量として30部となる量、製造例7で得たポリエチレングリコール水溶液(g)を固形分量として40部となる量、及び製造例1で得た親水性架橋重合体微粒子分散液(a)を固形分量として30部となる量を混合し、水を加えて固形分10%の親水化処理用組成物を得た。
【0137】
実施例2〜11及び比較例1〜5
水溶性ないしは水分散性ポリアミド樹脂、製造例で得たポリオキシアルキレン鎖を有する樹脂溶液、親水性架橋重合体微粒子分散液、ならびに必要に応じて、架橋剤、界面活性剤及び防菌化合物を使用し、後記表2に示す配合となるように混合する以外は、実施例1と同様の操作を行い、各々、固形分10%の親水化処理用組成物を得た。 表2における配合量は固形分量表示によるものである。また、表2における架橋剤、界面活性剤及び防菌化合物の種類は以下のとおりである。
【0138】
架橋剤A:商品名「サイメル370」、三井サイテック(株)製、メチル化メラミン樹脂。
【0139】
架橋剤B:商品名「サイメルUFR65」、三井サイテック(株)製、メチル化尿素樹脂。
【0140】
界面活性剤a:商品名「ニューコール290M」、日本乳化剤(株)製、ジアルキルスルホコハク酸エステルナトリウム塩。
【0141】
界面活性剤b:商品名「シルウエットL−77」、日本ユニカー(株)製、アルキレンオキシドシラン化合物。
【0142】
防菌化合物I:2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール
比較例6
四つ口フラスコ中に水を614部仕込み、85℃にて撹拌しながらフレーク状の完全ケン化タイプのポリビニルアルコール(クラレ(株)製、商品名「ポバールPVA−117」)100部を添加して溶解させ、固形分約14%のポリビニルアルコール水溶液を得た。このポリビニルアルコール水溶液の固形分100部となる量に対して、チタボンド50[日本曹達(株)製、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン(IV)を有効成分とするチタンキレート溶液]を有効成分量で5部となる量混合し、水を加えて固形分10%の親水化処理用組成物を得た。
【0143】
比較例7
比較例6で得た固形分約14%のポリビニルアルコール水溶液の固形分65部となる量に対して、製造例1で得た親水性架橋重合体微粒子分散液(a)を固形分量で35部となる量を加え、さらにチタボンド50を有効成分量で5部となる量混合し、水を加えて固形分10%の親水化処理用組成物を得た。
【0144】
上記実施例および比較例で得た親水化処理用組成物を、アルカリ脱脂剤(日本シービーケミカル(株)製、商品名「ケミクリーナー561B」)を溶解した濃度2%の水溶液を使用して脱脂した後、クロメート処理剤(日本パーカライジング(株)製、商品名「アルクロム712」)でクロメート処理(金属クロム換算塗着量30mg/m2)を行ったアルミニウム板(A1050、板厚0.1mm)に、乾燥膜厚で1ミクロンとなるように塗布し、240℃の熱風で素材到達最高温度が230℃になるように6秒間焼付けし塗装板を得た。
【0145】
この塗装板に揮発性プレス油を塗布し、150℃にて5分間乾燥させたものを試験塗板とし、塗膜外観、親水性、耐食性について試験をおこなつた。その試験結果を後記表3に示す。表3において、比較例1の組成物を塗布した塗装板は硬化性が不十分で表面がべたつき、親水性および耐食性の試験を行なわなかった。これらの結果を(−)と表示した。
【0146】
なお、表3における試験は下記試験方法に従って行なった。
【0147】
塗膜外観:試験塗板を目視評価した。塗膜に異常の認められないものを○とした。
【0148】
親 水 性:▲1▼試験塗板、▲2▼この試験塗板を水道水流水(流水量は塗板1m2当り15kg/時)中に7時間浸漬し、引き上げて17時間塗内で乾燥させる乾湿工程を1サイクルとし、5サイクル行なった塗板の各々につき水ヌレ性および水滴の接触角を下記方法で測定した。
【0149】
水ヌレ性:水道水の入ったビーカーに塗板を10秒間浸漬し、引き上げた時の塗板表面の水ヌレ状態を目視で判定する。
【0150】
○・・・全面が水濡れ、引上げ10秒後においても水の偏りがない状態。
【0151】
△・・・引上げ直後は全面濡れているが、引上げ10秒後には塗板の端部から中央に水が寄っている状態。
【0152】
×・・・引上げ直後に水玉ができ、塗板全体に水が濡れない状態。
【0153】
接 触 角:塗板と水との接触角の測定は、塗板を80℃で5分間乾燥したのち、協和化学(株)製コンタクタングルメーターDCAA型で測定する。耐 食 性:JIS−Z−2371塩水噴霧試験法に準ずる。試験時間は500時間とした。
【0154】
白サビ、フクレの発生のない場合を良好(○)とした。
【0155】
白サビ又はフクレが少し発生したものをやや不良(△)とした。
【0156】
また、実施例7および9の試験塗板について防黴性の試験を下記の条件でおこない、所定時間後の塗膜面の黴の発生状態を目視判定したところ、いずれの塗板も塗面に黴の発生は全く認められなかった。
【0157】
防 黴 性:殺菌シャーレの中にペプトングルコース培地を作り、この上に試験塗板を置き、使用菌としてCladosporium(グラドスポリウム)sp,Penicillum(ペニシリウム)sp,Altarnaria(アルタナリア)sp,Aspergillus(アスペルギルス)spおよびTrichoderma(トリコデルマ)spの混合胞子のペプトングルコースの懸濁液を噴霧し、26±2℃の温度下で28日間培養した。
【0158】
【表2】
【0159】
【表3】
Claims (11)
- (A)水溶性ないし水分散性のポリアミド樹脂、
(B)ポリオキシエチレン鎖及びポリオキシプロピレン鎖のうちの少なくとも1種のポリオキシアルキレン鎖を分子中に40重量%以上含有する水溶性ないし水分散性の樹脂、及び
(C)(a)1分子中に少なくとも1個の重合性二重結合とポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖を有する親水性モノマー 2〜50重量%、
(b)下記式(I)
り、それぞれ水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、ただしR2 と
R3との炭素原子数の和は5以下である]
で示される化合物から選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリルアミド系モノマー 20〜97重量%、
(c)1分子中に2個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物、ならびに1分子中に加水分解性シリル基、エポキシ基、N−メチロール基及びN−アルコキシメチル基から選ばれる少なくとも1個の官能基と1個の重合性不飽和二重結合とを有する化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋性不飽和モノマー 1〜30重量%、
(d)カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー 2〜50重量%、及び
(e)1分子中に1個の重合性不飽和基を有する、上記(a)、(b)、(c)及び(d)以外の他のモノマー 0〜50重量%
の共重合体からなる親水性架橋重合体微粒子
を含有し、ポリアミド樹脂(A)とポリオキシアルキレン鎖を含有する樹脂(B)との配合比率が、(A)/(B)の固形分重量比で、10/90〜90/10の範囲内にあり、且つ樹脂(A)と樹脂(B)との合計と親水性架橋重合体微粒子(C)との配合比率が、(A)+(B)/(C)の固形分重量比で、10/90〜90/10の範囲内にあることを特徴とする親水化処理用組成物。 - ポリアミド樹脂(A)の数平均分子量が3,000〜200,000である請求項1記載の親水化処理用組成物。
- 式(II)又は(III)におけるnが30〜200である請求項3記載の親水化処理用組成物。
- 親水性架橋重合体微粒子(C)が、
親水性モノマー(a) 2〜40重量%、
(メタ)アクリルアミド系モノマー(b) 30〜97重量%、
架橋性不飽和モノマー(c) 2〜20重量%、
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(d) 5〜40重量%、及び
他のモノマー(e) 0〜30重量%
の共重合体である請求項1〜4のいずれか一項に記載の親水化処理用組成物。 - ポリアミド樹脂(A)とポリオキシアルキレン鎖を含有する樹脂(B)との配合比率が、(A)/(B)の固形分重量比で、20/80〜70/30の範囲内にあり、樹脂(A)と樹脂(B)との合計と親水性架橋重合体微粒子(C)との配合比率が、(A)+(B)/(C)の固形分重量比で、40/60〜80/20の範囲内にある請求項1〜5のいずれか一項に記載の親水化処理用組成物。
- さらに(D)架橋剤を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の親水化処理用組成物。
- さらに(E)湿潤作用を有する界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の親水化処理用組成物。
- さらに(F)防菌剤を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の親水化処理用組成物。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の親水化処理用組成物をアルミニウム製熱交換器フィン材に塗布することを特徴とするフィン材の親水化処理方法。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の親水化処理用組成物からの塗膜が表面層として形成されてなるアルミニウム製熱交換器フィン材。
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