JP4062191B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワー半導体素子を用いたモジュールを対象とした半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、従来のモジュール構造を有する半導体装置300の構成を示す図である。図5において、31は絶縁基板であって、セラミックなどの絶縁層31bの両面に例えば銅などの導電層31a,31cが形成されたものである。導電層31cには回路パターンが形成されている(以下回路パターン31cという)。
IGBTなどのパワー半導体素子33の裏面電極は、ハンダ付けによって回路パターン31cに固定・接続されている。また、パワー半導体素子33の上面電極(制御電極を含む)はワイヤ38によって、後の工程で外部導出端子36や端子36’が固定される回路パターン31cに接続されている。
【0003】
外部導出端子36や端子36’はワイヤ38のボンディング工程の障害となるため、前述のハンダより低融点のハンダによって、ワイヤボンディング工程の後で回路パターン31cに固定される。
第2の絶縁基板32は、端子36’によって支持され、端子36’に接続する回路パターン(図示せず)や、パワー半導体素子33を制御する回路素子35が接続される回路パターン32cが形成されている。
そして、上記の如く構成したものを樹脂ケース39に収容し、蓋39aを被せてモジュールを構成する。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
端子36’と第2の絶縁基板32との接続は、第2の絶縁基板32の両面に回路パターンを形成して両パターン間をスルーホール(図示せず)で接続してもよいし、端子36’が第2の絶縁基板32を貫通し、回路素子35が搭載される面の回路パターンに接続してもよい。
あるいは、パワー半導体素子が搭載された基板とその上部に設けられ、パワー半導体の制御回路素子を搭載した第2の絶縁基板を樹脂ケース39にて支持し、第2の絶縁基板の回路パターンとパワー半導体素子が搭載された絶縁基板の回路パターンとの間をワイヤボンディングで接続することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
このように、パワー半導体素子の上部にこれを制御する素子を搭載した別基板を配置することにより、基板の設置スペースが縮小でき半導体モジュールのサイズを小型化することができる。
また、パワー半導体素子の上面電極と外部導出端子とを接続するに当たり、ワイヤボンディングに替えて、導電性の放熱部材で接続することが知られている(例えば、特許文献3参照)。
このように、パワー半導体素子の上面に放熱性部材を接続することによって、素子の上面からも放熱を図ることができる。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−259373号公報(第1図など)
【特許文献2】
特開平11−74433号公報(図1など)
【特許文献3】
特開2000−156439号公報(図1など)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示す構成では、パワー半導体素子33の上面の電極と回路パターン31cとの接続にワイヤボンディングを用いているため、外部導出端子36や端子36’がボンディング工程の障害となってしまう。そのため、外部導出端子36や端子36’はボンディング工程の後に固定しなければならない。パワー半導体素子33を回路パターン31cに固定するためのハンダ付け工程と、外部導出端子36や端子36’を回路パターン31cにハンダ付けする工程とを別けるため、工程数が増えるだけでなく、融点の異なる複数種類のハンダを用いなければならなかった。
【0008】
また、パワー半導体素子の場合、主電極と回路パターンとの間には例えば数100A程度の電流が流れるため、電流容量に応じてワイヤの本数を増やす必要がある。ワイヤの本数が増加するとボンディング工程に要する時間が増加するため、ボンディング工程の時間を短縮するのが難しく、ボンディング工程の時間を短縮し生産性を向上させるにはボンディング機を追加する必要があるなど、コストを上昇させる要因となっていた。
図5の構成に対して、特許文献2に記載の構成によれば、第2の絶縁基板は樹脂ケースにて支持されるので、図5の端子36’は不要となり、パワー半導体素子とこれを搭載する絶縁基板上の回路パターンとの間をワイヤボンディングによって接続する際のワイヤの取りまわしは容易になる。
【0009】
しかしながら、2つの絶縁基板間の接続をワイヤボンディングによって行っているため、パワー半導体素子とこれを搭載する絶縁基板上の回路パターンとの間を接続するボンディング工程と、2つの絶縁基板間を接続するボンディング工程が必要となる。特に、後者のボンディング工程は、第2の絶縁基板を樹脂ケースに組み付け後に行わなければならないため、ボンディング工程を2度に分けなければならない。
また、第2の絶縁基板には、ボンディング時の衝撃に耐え得る強度が求められるだけでなく、高低差のある2つの絶縁基板(パワー半導体素子を搭載した絶縁基板31と回路素子35を搭載した絶縁基板32)の間でボンディングを行わなければならず、ボンディング位置の検出など作業が難しくなる。
【0010】
また、パワー半導体素子の主端子相互間あるいはパワー半導体素子の主端子と外部導出端子間をワイヤボンディングによって接続すると、パワー半導体素子の上部にワイヤ取りまわしの空間が必要となるため、半導体装置が大型化する。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、パワー半導体素子の主電極と絶縁基板の回路パターンあるいは、複数のパワー半導体素子の主電極間をワイヤを用いずに接続し、製造工数を削減すると共に、小型化した半導体装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、両面に導体パターンを有する第1絶縁基板と、一方の面に第1主電極,他方の面に第2主電極が形成され、前記第1絶縁基板の一方の面の導体パターンに第1主電極が接続された複数のパワー半導体素子と、該パワー半導体素子の電極に接続される外部導出端子とを備えた半導体装置において、少なくとも一方の面に露出した導体パターンを有する第2絶縁基板の該導体パターンによって前記複数のパワー半導体素子の第2主電極間ならびに外部導出端子を接続し、前記第2絶縁基板は他方の面に前記パワー半導体素子を制御する集積回路を搭載し、前記第2絶縁基板はプリント基板からなり、前記パワー半導体素子の制御電極と前記集積回路とを接続する回路パターンと、複数層を複数箇所で接続して並列接続した主電流が流れる配線層とを有するものとする。
【0012】
あるいは、両面に導体パターンを有する第1絶縁基板と、一方の面に第1主電極,他方の面に第2主電極が形成され、前記第1絶縁基板の一方の面の導体パターンに第1主電極が接続された複数のパワー半導体素子と、該パワー半導体素子の電極に接続される外部導出端子とを備えた半導体装置において、少なくとも一方の面に露出した導体パターンを有する第2絶縁基板の該導体パターンによって前記複数のパワー半導体素子の第2主電極間ならびに外部導出端子を接続し、前記第2絶縁基板は他方の面に前記パワー半導体素子を制御する集積回路を搭載するとともに、その一部が直接接合法によって接合された信号端子を有するものとする。
【0013】
また、上記の構成において、前記第2絶縁基板に、前記導体パターンに熱的に結合した放熱部を備えるものとする。
また、前記第2絶縁基板は熱伝導性の高いセラミック基板を用いるものとする。
また、両面に導体パターンを有する第1絶縁基板の一方の面の導体パターンの所定位置に、複数のパワー半導体素子の第1面に形成された第1主電極を対向させハンダ層を介して載置するとともに、外部導出端子を前記導体パターンの所定位置に載置し、少なくとも一方の面に露出した導体パターンを有し、他方の面に前記パワー半導体素子を制御する集積回路を搭載し、前記パワー半導体素子の制御電極と前記集積回路とを接続する回路パターンと、複数層を複数箇所で接続して並列接続した主電流が流れる配線層とを有する、プリント基板からなる第2絶縁基板を用意し、前記第2絶縁基板の一方の面に露出した導体パターンを、ハンダ層を介して前記パワー半導体素子の第2面に形成された第2主電極ならびに前記外部導出端子の所定位置に対向させて載置し、前記第1絶縁基板、前記パワー半導体素子、前記外部導出端子、前記第2絶縁基板からなる積層体を加熱炉に投入して前記ハンダ層を溶融させ、前記各ハンダ層の溶融の後、前記積層体を冷却することによって、対向各部を接続・固定することによって半導体装置を製造するものとする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図1は、第1の実施の形態を示す図であって、図1(a)は要部正面図であり、図1(b)は図1(a)のX−X断面図である。1は、回路パターン1a,1c,1dおよび絶縁層1bからなる絶縁基板、2は回路パターン2a,2cおよび絶縁層2bからなる絶縁基板である。3はパワー半導体素子としてのIGBT、4は同じくパワー半導体素子としてのFWD(Free Wheeling Diode)である。IGBT3とFWD4は、それぞれ裏面の主電極を絶縁基板1上の回路パターン1cに接続し、おもて面の主電極を絶縁基板2の回路パターン2aに接続することにより、逆並列回路を構成している。
【0015】
回路パターン1cには外部導出端子6aが接続されている。また、回路パターン1dには外部導出端子6bがそれぞれ接続され、外部導出端子6bには絶縁基板2の回路パターン2aが接続されている。したがって、IGBT3とFWD4との逆並列回路は外部導出端子6a,6bを介して外部に接続されている。
5はIGBT3を制御するICであって、絶縁基板2の回路パターン2c上に搭載されている。また、7は絶縁基板2上に設けられた信号端子である。IC5と信号端子との間、ならびにIC5とIGBT3との間はワイヤ8によって接続されている。
【0016】
9は上記の構成を格納する樹脂ケースであり、樹脂ケース9内に封止樹脂10を充填して半導体装置100を構成している。
ここで、半導体装置100の製造方法について説明する。
まず、絶縁基板1および絶縁基板2を用意する。絶縁基板は窒化アルミなどを材料とするセラミック基板を絶縁層1bおよび絶縁層2bとして用い、直接接合法などで回路パターンとなる銅などの金属層を接合した後、所望の回路パターンを形成したものである。
絶縁基板1の回路パターン1c上の所定位置にクリームハンダを塗布し、外部導出端子6,IGBT3,FWD4を載置し、IGBT3,FWD4上の所定位置にクリームを塗布して絶縁基板2を所定位置に載置する。絶縁基板2の回路パターン2c上には予めクリームハンダを塗布してIC5を予め載置しておくとよい。あるいは、クリームハンダに替えてハンダシートを用いてもよい。
【0017】
上述のように積層したものを加熱炉内に投入しハンダを溶融させた後、冷却する。絶縁基板1,IGBT3,FWD4,外部導出端子6,絶縁基板2,IC5の固定・接続を同時に行う。絶縁基板,外部導出端子,各素子の固定・接続を同時に行うことにより、工程の大幅な簡素化ができ、ハンダ付け部分に複数の熱履歴を残すことがない。
続いて、IC5と信号端子との間ならびにIC5とIGBT3との間をワイヤ8によって接続した後、樹脂ケース9に格納して絶縁基板1と樹脂ケース9との間を気密に固定し、樹脂ケースの開口部より封止樹脂10を注入して硬化させる。
【0018】
なお、信号端子7は、予め直接接合法によってその一部を絶縁基板2に接合しておき、ワイヤ8による接続工程の後に、未接合部を起立させればよい。信号端子7を絶縁基板2の回路パターン上にハンダ付け等で接続してもよいが、ハンダ付け工程の抑制、ボンディング工程の妨げとしないために、絶縁基板1,IGBT3,FWD4,外部導出端子6,絶縁基板2,IC5のハンダ付け工程で信号端子の一部のみハンダ付けした後、未ハンダ付け部を起立させる。
IC5とIGBT3との間,およびIC5と信号端子7との間をワイヤ8によって接続しているが、絶縁基板2はIGBT3,FWD4などの上に直接固定されているため、ボンディング時に撓むことがない。ボンディング時に絶縁基板が撓まないので、確実にワイヤを接続することができる。また、IC5とIGBT3との高低差は1mm程度であるので、ボンディング作業も容易に行うことができる。
【0019】
ここで、図1の例では、3本の信号端子が設けられているが、例えば、IC5の電源,接地,IGBT3へのON/OFF指令信号が供給されるのであり、信号端子の本数や供給される信号・電位はこれに限るものではない。また、IC5とIGBT3との間には4本のワイヤが接続されていて、例えば、IGBT3のゲート信号、電流検出信号、IGBT3のチップ内に作りこまれたダイオードのアノード・カソードが供給されるが、接続の本数や供給される信号・電位はこれに限るものではない。後述の各実施の形態においても同様である。
なお、図1の半導体装置100はIGBT3の制御回路であるIC5を備えたIPM(Intelligent Power Module)として構成されているが、IC5を備えずに、IGBT3とFWD4との逆並列回路のみを備えたパワーモジュールとして構成してもよい。即ち、絶縁基板2にIC5は搭載せず、信号端子7とIGBT3の各信号端子との間をワイヤで接続するか、絶縁基板2の回路パターン2cを経由して信号端子7とIGBT3の各信号端子との間をワイヤで接続すれば、その他の構成は変えずにIC5非搭載のパワーモジュールが構成される。外部導出端子などの配置が同一であれば、同一の工程で製造が可能である。
【0020】
図1の構成では、絶縁基板1、IGBT3,FWD4,外部導出端子6、絶縁基板2の積層体を1回のハンダ付け(加熱・冷却)工程で、接続・固定がなされる。端子類を別のハンダ付け工程で接続・固定する必要がないため、製造時の作業効率がよい。融点の異なる複数のハンダを用いる必要がないので、コストも抑制することができる。
(実施例)
図2は第1の実施の形態における実施例を示す図であり、絶縁基板1’上にIGBT3とFWD4を複数配置し、絶縁基板1’の回路パターン1e,1f,1gおよび絶縁基板2’の回路パターン2d,2eによって接続することにより、IGBT3とFWD4の逆並列回路の直列接続が構成される。この直列接続回路の両端及び接続中点をそれぞれ外部導出端子6e,6f,6gに接続している。図2において、樹脂ケース,絶縁基板2’上の信号端子,IC等は図示を省略した。図1では、IGBTとFWDを1つずつ組み込み、IGBT3とFWD4との逆並列回路を1モジュールとした構成を例示したが、図2では複数のIGBTおよびFWDを組み込んでいる。
【0021】
なお、図2の例では、IGBT3とFWD4の逆並列回路を2組直列接続した1アーム分の素子が組み込まれたモジュールを構成しているが、前記直列接続回路を3組用いて3アーム分の素子が組み込まれたモジュールを構成してもよい。このような大型のモジュールを構成する場合は、絶縁基板1’や絶縁基板2’を例えば各アームごとに分割して構成すれば、各絶縁基板の平坦性などの精度を得やすく、組立工程や使用時における絶縁基板の割れや欠け等が生じにくい。
図2に示す構成では、発熱部品であるパワー半導体素子(IGBT3,FWD4)の真上を避けてIC5を搭載することができ、パワー半導体素子(IGBT3,FWD4)の発熱のIC5への影響を回避することができる。また、IGBT3,FWD4の上部からも放熱が図られ良好な放熱特性を得ることができる。図1の場合と同様に、絶縁基板1’、IGBT3,FWD4,外部導出端子6、絶縁基板2’の積層体を1回のハンダ付け(加熱・冷却)工程で接続・固定がなされるため、製造時の作業効率がよく、融点の異なる複数のハンダを用いる必要もない。 本実施例においても、ICを搭載しないモジュールとして構成してもよい。
【0022】
図3は第2の実施の形態を示す図であって、図3(a)は要部正面図であり、図3(b)は図3(a)のX−X断面図である。図1と同様の構成には同じ符号を付して説明を省略する。
図3において、2f,2gは放熱部であり、回路パターン2aと熱的に接続されている。放熱部2f,2gには、回路パターン2を介してIGBT3やFWD4が発する熱が伝達される。図1の構成では、IGBT3やFWD4が発する熱は絶縁基板1を介して放出される他は、絶縁基板2,封止樹脂10を介して放出されているが、図3に示す例では、放熱部2f,2gからも封止樹脂に放熱される。絶縁基板2を介さないので放熱の効率を高めることができる。
【0023】
放熱部2f,2gは図3の如く、IGBT,FWDに対応させて2対設けてもよいが、連続して設けてもよい。
放熱部2f,2gは、回路パターン2と一体のパターンとして銅箔など打ち抜き、回路パターン2となる部分のみを絶縁基板に直接接合し、その余の未接合部分を起立させればよい。
なお、第2の実施の形態においても、IGBT3,FWD4の逆並列回路を複数組み込んだモジュールに対応することが可能であり、例えば、図2の絶縁基板2’の回路パターン2d,2eを外部導出端子に影響しない方向に延長して形成し、未接合部を起立させれば放熱効率を向上させることができる。
【0024】
ここで、第1,第2の実施の形態において、絶縁基板1,2の絶縁層には窒化アルミやアルミナを材料とする熱伝導率のよいセラミックを用いるとよい。
絶縁基板2にも、熱伝導率の良好な絶縁層を採用することにより、パワー半導体素子の上面からも放熱を図ることができる。
図3の構成においてもIC5を備えずにIGBT3とFWD4との逆並列回路のみを備えたパワーモジュールとして構成してもよい。
図4は第3の実施の形態を示す図であって、図4(a)は要部正面図、図4(b)は図4(a)のX−X断面概略図、図4(c)は図4(a)のY−Y要部断面図である。図1と同様の構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0025】
図4において、20は絶縁基板としての多層のプリント基板である。図4(b)では詳細な図示を省略したが、図4(c)において、21〜24はプリント基板20内の配線層である。配線層21によってIGBT3の制御端子とIC5との間、配線層22によってIC5と信号端子7との間、配線層24によってIGBT3,FWD4,外部導出端子6間をそれぞれ接続している。IC5はハンダバンプや導電性接着剤などによって、プリント基板20上(配線層21,22が露出している部分)に直接接続される。
9は上記の構成を格納する樹脂ケースであり、上記の構成を樹脂ケース9内に組み込んだ後、封止樹脂10を充填して半導体装置200を構成している。配線層23はワイヤ8によって接地されているが、信号端子に接地電位がある場合には個々に接続してもよく、信号線である配線層21,22と主電流が流れる配線層24との間に、接地電位を介在させることにより、主電流のスイッチングノイズの信号線やICへの影響を回避することができる。
【0026】
また、配線層24には主電流が流れるため、数100A程度の電流容量が必要である。配線層1層の厚さを厚くしてもよいが、図4に示すように、複数層を複数箇所で接続して並列接続すれば、1層が他の配線層と同じ厚さであっても必要な電流容量を確保でき、配線インダクタンスを低減することができる。
ここで、半導体装置200の製造方法について説明する。
まず、絶縁基板1およびプリント基板20を用意する。絶縁基板1は窒化アルミなどを材料とするセラミック基板を絶縁層1bとして用い、直接接合法などで回路パターンとなる銅などの金属層を接合した後、所望の回路パターンを形成したものである。プリント基板は、エポキシなど樹脂に多層の配線層21〜24が形成したものであり、プリント基板の両面の所定位置には各配線層が露出している。
【0027】
絶縁基板1の回路パターン1c上の所定位置にクリームハンダを塗布し、外部導出端子6,IGBT3,FWD4を載置し、IGBT3,FWD4上の所定位置にクリームハンダを塗布してプリント基板20の配線層21,24の露出部が対向するように所定位置に載置する。プリント基板20の配線層21,22の露出部にIC5のハンダバンプが対向するように所定位置に載置し、信号端子7も配線層22の露出部にクリームハンダを介して載置する。あるいは、クリームハンダに替えてハンダシートを用いてもよい。
上述のように積層したものを加熱炉内に投入しハンダを溶融させた後、冷却する。絶縁基板1,IGBT3,FWD4,外部導出端子6,プリント基板20,IC5の固定・接続を同時に行う。絶縁基板,外部導出端子,各素子の固定・接続を同時に行うことにより、工程の大幅な簡素化ができ、ハンダ付け部分に複数の熱履歴を残すことがない。IC5とIGBT3の制御電極との間もプリント基板20の配線層によって同時に接続される。
【0028】
なお、プリント基板20の配線層23が、接地電位の信号端子あるいは接地電位の外部導出端子が接続される回路パターンに直接接続されるようにすれば、ワイヤボンディング工程は不要となる。
つづいて、上記の積層体を樹脂ケース9に格納して絶縁基板1と樹脂ケース9との間を気密に固定し、樹脂ケースの開口部より封止樹脂10を注入して硬化させる。
第3の実施の形態においても、IGBT3とFWD4の逆並列回路を2組直列接続した1アーム分のモジュールや、直列接続回路を3組用いて3アーム分のモジュールを構成してもよい。このような大型のモジュールを構成する場合は、絶縁基板1’やプリント基板20を例えば各アームごとに分割して構成すれば、各絶縁基板の平坦性などの精度を得やすく、組立工程や使用時における絶縁基板の割れや欠け等が生じにくい。プリント基板20はセラミックを絶縁層とする絶縁基板に比して可撓性があり、また配線層のパターンも自在に形成できるため、多アームのモジュールに対して1枚のプリント基板で対応することができる。
【0029】
図1の場合と同様に、絶縁基板1、IGBT3,FWD4,外部導出端子6、プリント基板20の積層体を1回のハンダ付け(加熱・冷却)工程で接続・固定できるため、製造時の作業効率がよく、融点の異なる複数のハンダを用いる必要もない。
図4の半導体装置200はIGBT3の制御回路であるIC5を備えたIPMとして構成されているが、IC5を備えずに、IGBT3とFWD4との逆並列回路のみを備えたパワーモジュールとして構成してもよい。即ち、プリント基板20にIC5は搭載せず、配線層21と配線層22を1つの配線層として信号端子7とIGBT3の各信号端子との間を接続すれば、その他の構成は変えずにIC5非搭載のパワーモジュールが構成される。外部導出端子などの配置が同一であれば、同一の工程で製造できる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、パワー半導体素子の主端子相互間あるいはパワー半導体素子の主端子と外部導出端子間の接続に絶縁基板の回路パターンを用いることにより、多数本のワイヤによる接続が不要となり、作業時間を大幅に短縮し、ボンディング機を削減あるいは不要とすることができる。
また、パワー半導体素子の主端子相互間あるいはパワー半導体素子の主端子と外部導出端子間の接続にワイヤによる接続を行わないため、ワイヤの引き回しに必要な素子上方の空間が不要となり、半導体装置の小型が図れ、パワー半導体素子の上面から封止樹脂の端面までの距離が短くなって、放熱の効率が向上する。
【0031】
また、第1の絶縁基板、パワー半導体素子、外部導出端子、第2の絶縁基板の積層体を1回のハンダ付け(加熱・冷却)工程で接続固定できるため、従来別工程で行っていた端子類のハンダ付け工程が不要となり、融点の異なる複数のハンダが不要となるとともに、作業時間を大幅に短縮でき、コストも抑制することができる。
さらに、第2の絶縁基板を変更するだけで、ICを非搭載とすることができ、IPMとIC非搭載のモジュールとの端子配置が同一であれば、同一の工程で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の実施例を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態を示す図である。
【図5】従来例を示す図である。
【符号の説明】
1,2 絶縁基板
1a,1c,1e,1f,1g,2a,2c 回路パターン
1b,2b 絶縁層
3 IGBT
4 FWD
5 IC
6a,6b,6e,6f,6g 外部導出端子
7 信号端子
8 ワイヤ
9 樹脂ケース
10 封止樹脂
20 プリント基板
Claims (5)
- 両面に導体パターンを有する第1絶縁基板と、
一方の面に第1主電極,他方の面に第2主電極が形成され、前記第1絶縁基板の一方の面の導体パターンに第1主電極が接続された複数のパワー半導体素子と、該パワー半導体素子の電極に接続される外部導出端子とを備えた半導体装置において、
少なくとも一方の面に露出した導体パターンを有する第2絶縁基板の該導体パターンによって前記複数のパワー半導体素子の第2主電極間ならびに外部導出端子を接続し、
前記第2絶縁基板は他方の面に前記パワー半導体素子を制御する集積回路を搭載し、
前記第2絶縁基板はプリント基板からなり、前記パワー半導体素子の制御電極と前記集積回路とを接続する回路パターンと、複数層を複数箇所で接続して並列接続した主電流が流れる配線層とを有することを特徴とする半導体装置。 - 両面に導体パターンを有する第1絶縁基板と、
一方の面に第1主電極,他方の面に第2主電極が形成され、前記第1絶縁基板の一方の面の導体パターンに第1主電極が接続された複数のパワー半導体素子と、該パワー半導体素子の電極に接続される外部導出端子とを備えた半導体装置において、
少なくとも一方の面に露出した導体パターンを有する第2絶縁基板の該導体パターンによって前記複数のパワー半導体素子の第2主電極間ならびに外部導出端子を接続し、
前記第2絶縁基板は他方の面に前記パワー半導体素子を制御する集積回路を搭載するとともに、その一部が直接接合法によって接合された信号端子を有することを特徴とする半導体装置。 - 前記第2絶縁基板は、前記導体パターンに熱的に結合した放熱部を有することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
- 前記第2絶縁基板は熱伝導性の高いセラミック基板であることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
- 両面に導体パターンを有する第1絶縁基板の一方の面の導体パターンの所定位置に、複数のパワー半導体素子の第1面に形成された第1主電極を対向させハンダ層を介して載置するとともに、外部導出端子を前記導体パターンの所定位置に載置し、
少なくとも一方の面に露出した導体パターンを有し、他方の面に前記パワー半導体素子を制御する集積回路を搭載し、前記パワー半導体素子の制御電極と前記集積回路とを接続する回路パターンと、複数層を複数箇所で接続して並列接続した主電流が流れる配線層とを有する、プリント基板からなる第2絶縁基板を用意し、
前記第2絶縁基板の一方の面に露出した導体パターンを、ハンダ層を介して前記パワー半導体素子の第2面に形成された第2主電極ならびに前記外部導出端子の所定位置に対向させて載置し、
前記第1絶縁基板、前記パワー半導体素子、前記外部導出端子、前記第2絶縁基板からなる積層体を加熱炉に投入して前記ハンダ層を溶融させ、
前記各ハンダ層の溶融の後、前記積層体を冷却することによって、対向各部を接続・固定することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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