JP4062021B2 - 電動式舵取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵に応じて駆動される電動モータの回転を、ウォームギヤ減速機を介して舵取機構に減速伝動して操舵を行わせる構成とした電動式舵取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
操舵のために操舵手段(例えば、ステアリングホイール)に加えられる操舵トルクの検出結果に基づいて操舵補助用の電動モータ(以下単にモータという)を駆動し、該モータの回転力を舵取機構に伝えて舵取りを補助する電動パワーステアリング装置の一形式として、ステアリングホイールと舵取機構とを連絡するコラム軸の中途に前記モータの回転を伝達し、該コラム軸の回転を補助するようにしたコラムアシスト形の電動パワーステアリング装置がある。
【0003】
この電動パワーステアリング装置は、コラム軸を回転自在に支持するハウジングの外側に操舵補助用のモータを取り付け、該モータの回転を前記ハウジングの内部に配設された減速機を介してコラム軸に伝達する構成となっている。前記減速機は、小出力のモータにより十分な操舵補助力を得るために必要であり、省スペースにて高減速比が得られる減速機として、前記モータの出力端に連結されたウォーム軸を前記コラム軸の中途に嵌着されたウォームホイールに噛合させてなるウォームギヤ減速機が広く用いられている。例えば、特開2000−95120号公報参照。
【0004】
前記ウォーム軸の中途部には、外周面に螺旋状をなして周設された一条又は複数条のねじ形の歯を備えるウォームが一体形成されている。このようなウォーム軸は、前記ウォームの両側を軸受により支持してウォームホイールの接線方向に架設されており、前記ウォームの外周の歯をウォームホイールの外周に形成された歯に噛合させてある。
【0005】
操舵補助用のモータは、ウォーム軸の一側においてハウジングの一部を同軸的に拡径してなるモータ座に取付けてある。該モータのモータ軸は、ハウジングの内部において前記ウォーム軸の一端部に突き合わせてあり、これら両軸は、一方の端部を他方の端部に連設された筒状部に嵌め込み、これらの嵌合周上に形成されたスプライン、セレーション等の凹凸条を相互に係合させて回転伝達可能に連結されている。例えば、特開平11−43062号公報参照。
【0006】
以上の構成により操舵補助用のモータが駆動された場合、該モータのモータ軸に連結されたウォーム軸が軸回りに回転し、この回転がウォーム及びウォームホイールによる減速を経てコラム軸に伝達され、更に、舵取機構に伝達されて舵取りが補助される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
さて、以上の如く構成されたコラムアシスト形の電動パワーステアリング装置においては、コラム軸の中途に伝動構成されるモータが車室の内部に位置するため、該モータから前記コラム軸への伝動系の消音が重要な課題となっている。
【0008】
伝動系の消音のためには、前記ウォームギヤ減速機を構成するウォーム及びウォームホイールの噛合音の低減が有効であり、特に、正逆両方向に回転するウォームの回転方向の転換時、又は舵取機構からコラム軸を介して加わる逆入力によるウォームホイールの回転時に、前記ウォームの歯と前記ウォームホイールの歯とが相互に衝突することにより発生する歯打ち音の低減が有効である。このためには、ウォームとウォームホイールとの噛合部におけるバックラッシを適正化する必要がある。
【0009】
しかしながらウォーム及びウォームホイール間のバックラッシは、両者の芯間距離によって定まり、適正なバックラッシを実現するためには、前記ハウジングの異なる位置にて行われるウォーム及びウォームホイールの支持部の加工及び組立てに高い精度が要求されるという問題があり、また、組立て段階において適正なバックラッシの設定がなされている場合であっても、長期に亘る使用の間にウォーム及びウォームホイールの歯部の摩耗が経時的に進行し、バックラッシの増大により噛合音が増すという不具合が発生する。
【0010】
そこで従来においては、前記特開平11−43062号公報等に開示されている如く、ウォームの両側の軸受によるウォーム軸の支持を弾性的に行わせ、該ウォーム軸を、ウォーム及びウォームホイールの歯の衝突時の作用力により軸方向及び径方向に微小変位させて歯打ち音の発生を防止する構成が採用されている。この構成によれば、高精度でのバックラッシの初期設定が不要となり、また経時的なバックラッシの変化の影響も軽微に抑えて歯打ち音の発生を効果的に抑制することができる。
【0011】
ところが、ウォーム軸の弾性支持は、前記軸受とウォーム軸及びハウジングとの間に、コイルばね、板ばね、ゴム環等の弾性体を介装することにより実現されており、ウォーム軸の軸方向及び径方向の変位を抑制して、良好な消音効果を得るためには、前記軸受の周面及び側面に多くの弾性体を使用する必要があり、部品点数の増加、加工及び組立工数の増加を招来するという問題があった。
【0012】
なおこれらの問題は、コラムアシスト形以外の電動パワーステアリング装置においても、更には、ステアリングホイール等の操舵手段から機械的に分離された舵取機構を備え、該舵取機構に付設された操舵モータを前記操舵手段の操作に応じて駆動して、該操舵モータの発生力のみにより舵取りを行わせる構成とした電動式舵取装置、所謂、ステアバイワイヤ形式の電動式舵取装置においても、操舵に応じて駆動されるモータの回転を舵取機構に伝える伝動系にウォームギヤ減速機が用いられている場合に共通して発生する問題となっている。
【0013】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、操舵に応じて駆動されるモータの回転を舵取機構に伝える伝動系に用いられたウォームギヤ減速機に発生する歯打ち音を、ウォーム軸の弾性支持によらずに簡素な構成により効果的に低減することができ、静粛な動作が可能な電動式舵取装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電動式舵取装置は、操舵に応じて駆動されるモータの回転を、該モータのモータ軸に連結されたウォーム軸と、該ウォーム軸に噛合するウォームホイールとを備えるウォームギヤ減速機を介して舵取機構に伝え、該舵取機構を動作させる構成としてある電動式舵取装置において、前記モータ軸及びウォーム軸の一方の連結端部に設けられ、周方向に並び軸長方向に延びる凹凸部を内周面に備える連結孔と、他方の連結端部に設けられ、周方向に並び軸長方向に延びる凹凸部を外周面に備える中空の連結筒と、該連結筒の周壁を軸長方向に沿って螺旋状に切欠いて前記凹凸部の形成域の略全長に亘って形成された切欠き溝とを備え、前記モータ軸と前記ウォーム軸とは、前記連結筒を前記連結孔に嵌め込み、両者の嵌合周上での前記凹凸部の係合により回転伝達可能とし、前記切り欠き溝の拡縮による軸長方向及び径方向の弾性変形を可能として連結させてあることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、モータ軸とウォーム軸とを、一方の連結端部に設けた連結孔に他方の連結端部に設けた連結筒を嵌め込み、両者の嵌合周上に並ぶスプライン、セレーション等の凹凸部を係合させて連結する。この連結状態において連結筒は、凹凸部の形成域の全長に亘って周壁に形成された螺旋状の切欠き溝の幅の増減を伴って均等に弾性変形し、この弾性変形によりウォーム軸は、モータ軸に対して軸長方向及び径方向に微小変位することができ、この変位によりウォームホイールとの噛合部における歯の衝突を緩衝して、歯打ち音の発生を低減する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る電動式舵取装置の要部の構成を示す縦断面図である。
【0019】
図示の電動式舵取装置は、コラム軸1を回転自在に支持するコラムハウジングHの外側に操舵補助用のモータMを取り付け、該モータMの回転を前記コラムハウジングHの内部に構成されたウォームギヤ減速機2を介して前記コラム軸1に伝達し、該コラム軸1の下端部(図における左端部)にユニバーサルジョイントUを介して連結された図示しない舵取機構に伝えて、該舵取機構の動作によってなされる操舵を補助するコラムアシスト形の電動パワーステアリング装置として構成されている。
【0020】
コラム軸1の上端部(図における右端部)は、コラムハウジングHの上部に連設された筒形ハウジングH1 の内部に延長され、操舵手段としてのステアリングホイール(図示せず)に連結されており、コラム軸1は、前記ステアリングホイールの回転操作に応じて軸回りに回転するようになしてある。
【0021】
コラムハウジングH内部のコラム軸1は、トーションバー10を介して同軸上に連結された上部軸11と下部軸12とに分割されており、これらの連結部には、前記ステアリングホイールの操作に応じて両軸11,12に加わる操舵トルクを検出する公知のトルクセンサ3が構成されている。
【0022】
またコラムハウジングHの内部には、下部軸12の囲繞部分を大径に拡径してなるギヤ室20が設けてあり、該ギヤ室20の外周部には、円筒形をなすウォーム室23が接線方向に連設されている。ウォームギヤ減速機2は、ギヤ室20の内部において下部軸12に嵌着固定されたウォームホイール22と、ウォーム室23の内部に同軸的に支持されたウォーム軸21とを備え、該ウォーム軸21と前記ウォームホイール22とを、前記ウォーム室23及びギヤ室20の連通部において相互に噛合せしめて構成されている。
【0023】
前記ウォームホイール22は、下部軸12に圧入され、該下部軸12の一側を支持する軸受30と、他側から下部軸12に嵌め込まれたかしめ環31との間に挾持して、軸長方向及び周方向への移動不可に位置決めされている。
【0024】
図2は、ウォームホイール22の嵌着部近傍の拡大図であり、下半部には、かしめ環31の嵌め込み前の状態が、上半部には、同じく嵌め込み後の状態が夫々示されている。
【0025】
本図に示す如くウォームホイール22は、軸心部に貫通形成された嵌着孔を介して下部軸12に外嵌され、所定の圧入荷重を加えて、前記軸受30に一端面を押し当てた位置にまで圧入される。このように圧入されるウォームホイール22の他端面には、図示の如く、前記嵌着孔の周縁を縁取る所定幅の凹所33が、周方向の複数か所に形成されており、また下部軸12の外周面には、ウォームホイール22の前記他端面に整合する位置に、全周に亘って係合溝34が周設されている。
【0026】
かしめ環31は、図2の下半部に2点鎖線により示す如く、下部軸12へのすきま嵌めが可能な内径を有する円環であり、下部軸12の下側からウォームホイール22の前記他端面に当接する位置にまで嵌め込まれ、外側から加えられるかしめ力の作用により内外径を減じて、図2の上半部に示す如く、下部軸12の外周の係合溝34に係合せしめられる。
【0027】
ここで、かしめ環31への前記かしめ力の印加は、ウォームホイール22の端面に設けた複数の凹所33,33…に対応する周方向位置にてなされており、このかしめ力によりかしめ環31は、内外径を減じると共に、幅を拡大するようにも変形し、図2の上半部に示す如く、前記凹所33,33…の夫々とも係合した状態となる。
【0028】
図3は、ウォームホイール22の位置決めに使用するかしめ環31のかしめ力の印加前後の状態を示す斜視図である。かしめ力が印加される前のかしめ環31は、図3(a)に示す如く矩形断面を有する単純なリングである。一方、かしめ力が印加された後のかしめ環31は、図3(b)に示す如く、周方向の複数か所(図においては4か所)が縮径せしめられた状態に変形し、この変形部の夫々が、下部軸12外周の係合溝34に係合すると共に、ウォームホイール22の端面の対応位置に設けられた凹所33,33…に係合することとなる。
【0029】
このように入力軸12に嵌着されたウォームホイール22は、かしめ環31と係合溝34との係合により軸長方向の移動を拘束されると共に、かしめ環31と凹所33,33…との係合により周方向の移動を拘束されることとなり、圧入による両方向の拘束作用との相乗効果により入力軸12と強固に一体化せしめられ、大なる回転トルクの作用下においても入力軸12と一体回転することができる。
【0030】
このような一体化は、ウォームホイール22の端面に複数の凹所33,33…を形成し、これらの対応位置にてかしめ環31をかしめる手順により簡易に実現することができ、また、入力軸12へのウォームホイール22の圧入荷重を低減することが可能となり、加工及び組立工数の削減を図ることができる。
【0031】
図4は、図1におけるIV−IV線によるギヤ室20の横断面図であり、ウォーム軸21及びウォームホイール22の噛合状態が示されている。
【0032】
前述の如く、ウォームホイール22の取付け位置を囲繞するギヤ室20の外周の一か所には、これの接線方向に延びるように円筒形をなすウォーム室23が連設されている。ウォーム軸21は、中途部を拡径して一体形成され、前記ウォームホイール22の外周に噛合する円筒形のウォームを備えており、該ウォームの両側を玉軸受24,25により支えて前記ウォーム室23の内部に同軸的に支持されている。
【0033】
ウォーム室23の軸長方向一側には、円形断面の拡径部が同軸的に連設されており、操舵補助用のモータMは、前記拡径部の一側の開口を縁取るモータ座26にフランジ固定されている。このように固定されたモータMの出力軸であるモータ軸27は、ウォーム室23の内部に同軸的に突設され、前記ウォーム軸21の同側への延長端に後述の如く連結されており、前記モータMの正逆両方向の回転がウォーム軸21に伝えられるようになしてある。
【0034】
図5は、モータ軸27とウォーム軸21との連結部近傍の拡大図である。モータMのモータ軸27の軸端部には、図示の如く、端面の軸心を中心とする開口を有し、内周面にスプライン(周方向に並び、軸長方向に延びる凹凸部)が形成された連結孔4が設けてある。一方ウォーム軸21の軸端部には、図示の如く、前記連結孔4の内径に対応する外径を有し、外周面にスプライン(周方向に並び、軸長方向に延びる凹凸部)が形成された連結筒5が設けてあり、該ウォーム軸21と前記モータ軸27とは、前者の連結筒5を後者の連結孔4に内嵌し、嵌合周上での夫々のスプラインの係合により回転伝達可能に連結されている。
【0035】
図6は、ウォーム軸21の軸端部に設けた連結筒5の斜視図である。本図に示す如く連結筒5は、端面に開口を有する所定深さの内孔50を備える円筒形状を有しており、その外周面には、前述した如くスプラインが形成されると共に、前記内孔50にまで達する細幅の切欠き溝51が、前記スプラインの形成域の全長に亘り、軸長方向に沿って螺旋状をなして形成されている。このように構成された連結筒5は、外部からの作用力により、前記切欠き溝51が全体的又は局所的に溝幅を変えることにより、軸長方向及び径方向への弾性変形が可能である。
【0036】
図7は、連結筒5の変形状態の説明図であり、図7(a)は、自然状態にある連結筒5が示されている。このような連結筒5は、切欠き溝51の全体的な減幅により、図7(b)に示す如く、軸長方向に縮短変形することができ、同じく増幅により軸長方向に伸長変形することができる。更に、切欠き溝51の径方向の一側での減幅と他側での増幅とにより、図7(c)に示す如く、径方向に撓み変形することができる。
【0037】
従って、このような連結筒5と前記連結孔4とをスプライン結合せしめて実現されたモータ軸27とウォーム軸21との連結部においては、連結筒5の前述した弾性変形の組み合わせにより、両軸の軸長方向及び径方向の変位を自在に吸収することができる。なお、この弾性変形は、連結筒5の外周のスプラインと連結孔4の内周のスプラインとが係合状態を維持したまま行われるから、モータ軸27からウォーム軸21への前述した回転伝達は支障なく行われる。
【0038】
以上の如く電動パワーステアリング装置として構成された本発明に係る電動式舵取装置において、操舵補助用のモータMは、前記トルクセンサ3による操舵トルクの検出結果に基づいて、図示しない制御部から与えられる動作指令に応じて駆動制御される。このモータMの回転は、モータ軸27に前述の如く連結されたウォーム軸21に伝達され、該ウォーム軸21の回転が、ウォームホイール22との噛合部において所定の減速比にて減速され、該ウォームホイール22が嵌着された下部軸12に伝わり、更に、ユニバーサルジョイントUを介して舵取機構に伝えられて、該舵取機構の動作が補助される。
【0039】
前記トルクセンサ3による検出トルクは、操舵のためのステアリングホイールの回転操作に応じて上部軸11及び下部軸12に伝達されるトルクであり、この検出トルクに基づいて操舵補助用のモータMを駆動制御することにより適正な操舵補助がなされる。なお、操舵トルクの検出結果に基づく前記モータMの制御においては、車速、操舵角度、ヨーレート等の走行状態の検出結果に基づく補正を実施することにより、走行状態に適合する補助力特性を実現することが可能である。このような補正方法については、従来から多くの提案がなされており、これらのうちから適宜の方法を選定すればよい。
【0040】
以上の如く行われる電動パワーステアリング装置の動作中、操舵補助用のモータMの回転を舵取機構に連なるコラム軸1に減速伝動するウォームギヤ減速機2において、例えば、正逆両方向に回転するウォーム軸21の回転方向が転換したとき、又は舵取機構からコラム軸1を介して加わる逆入力によりウォームホイール22が回転したとき、ウォーム軸21とウォームホイール22との噛合部に夫々の歯同士が衝突することによって歯打ち音が発生することがある。
【0041】
本発明においては、操舵補助用のモータMのモータ軸27とウォーム軸21との間に連結孔4及び連結筒5による前述した連結構造が採用されており、ウォーム軸21は、モータMのモータ軸27との連結を維持したまま、前記切欠き溝51の拡縮を伴う連結筒5の弾性変形に応じて軸長方向及び径方向に変位することができる。
【0042】
これにより、ウォーム軸21とウォームホイール22との噛合部に夫々の歯同士の衝突が生じた場合であっても、これに伴う衝撃力が、連結筒5の弾性変形に伴うウォーム軸21の変位によって緩衝される結果、前記衝突に起因して発生する歯打ち音を大幅に低減することができ、静粛な動作が可能となる。また、連結筒5の変形は、連結孔4との嵌合周上でのスプラインの係合により、モータ軸27とウォーム軸21との連結を維持したまま生じるから、電動パワーステアリング装置としての前述した動作に支障を来す虞れはない。
【0043】
また以上の如き歯打ち音の低減効果は、ウォーム軸21とウォームホイール22との噛合部における高精度でのバックラッシの初期設定を必要とせずに得られ、経時的なバックラッシの変化の如何に拘らず維持されるから、ウォーム軸21及びウォームホイール22の支持部の加工及び組立工数を削減することができる。更に、以上の如き歯打ち音の低減効果は、操舵補助用のモータMのモータ軸27とウォーム軸21との連結部の構造の小改良により、新たな構成部品を追加することなく実現される。
【0044】
なお、連結筒5に弾性変形を行わせるための切欠き溝51は、図6に示す如く、スプラインの形成域の全長に亘って形成するのが望ましい。これにより連結筒5の弾性変形が連結孔4との嵌合部の全域に亘って均等に生じるようになり、ウォーム軸21の変位による歯打ち音の低減効果を高めることができる。
【0045】
以上の実施の形態においては、ウォーム軸21の軸端部に切欠き溝51を備える連結筒5を設け、モータMのモータ軸27の軸端部に設けた連結孔4に嵌め込み、両者の嵌合周上に形成されたスプライン(凹凸部)の係合により連結状態を得るようにしてあるが、これとは逆に、モータMのモータ軸27の軸端部に切欠き溝51を備える連結筒5を、ウォーム軸21の軸端部に連結孔4を夫々設けて、これらにより同様の連結を行わせるようにしてもよい。
【0046】
また以上の実施の形態においては、コラムアシスト形の電動パワーステアリング装置への適用例について述べたが、本発明は、他の形式の電動パワーステアリング装置においても、操舵補助用のモータから舵取機構への伝動系の中途にウォームギヤ減速機を備える場合に適用可能である。また、ステアリングホイールから機械的に分離された舵取機構を備え、該舵取機構に付設された操舵モータを前記操舵手段の操作に応じて駆動して、該操舵モータの発生力のみにより舵取りを行わせる構成とした電動式舵取装置、所謂、ステアバイワイヤ形式の電動式舵取装置においても、前記操舵モータから舵取機構への伝動系の中途にウォームギヤ減速機を備える場合に適用可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明に係る電動式舵取装置においては、モータ軸とウォーム軸とが連結孔及び連結筒を介して連結してあり、ウォーム軸が、連結筒の周壁を凹凸部の形成域の全長に亘って螺旋状に切欠いて形成された切欠き溝の拡縮により軸長方向及び径方向に変位することができ、この変位によりウォーム軸とウォームホイールとの噛合部に発生する歯打ち音が効果的に低減されるから、簡素な構成により静粛な動作が可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動式舵取装置の要部の構成を示す縦断面図である。
【図2】ウォームホイールの嵌着部近傍の拡大図である。
【図3】ウォームホイールの位置決めに使用するかしめ環のかしめ力の印加前後の状態を示す斜視図である。
【図4】図1におけるIV−IV線によるギヤ室の横断面図である。
【図5】モータ軸とウォーム軸との連結部近傍の拡大図である。
【図6】ウォーム軸の軸端に設けた連結筒の斜視図である。
【図7】連結筒の変形状態の説明図である。
【符号の説明】
1 コラム軸
2 ウォームギヤ減速機
3 トルクセンサ
4 連結孔
5 連結筒
20 ギヤ室
21 ウォーム軸
22 ウォームホイール
23 ウォーム室
27 モータ軸
51 切欠き溝
M モータ
Claims (1)
- 操舵に応じて駆動されるモータの回転を、該モータのモータ軸に連結されたウォーム軸と、該ウォーム軸に噛合するウォームホイールとを備えるウォームギヤ減速機を介して舵取機構に伝え、該舵取機構を動作させる構成としてある電動式舵取装置において、
前記モータ軸及びウォーム軸の一方の連結端部に設けられ、周方向に並び軸長方向に延びる凹凸部を内周面に備える連結孔と、
他方の連結端部に設けられ、周方向に並び軸長方向に延びる凹凸部を外周面に備える中空の連結筒と、
該連結筒の周壁を軸長方向に沿って螺旋状に切欠いて、前記凹凸部の形成域の略全長に亘って形成された切欠き溝とを備え、
前記モータ軸と前記ウォーム軸とは、前記連結筒を前記連結孔に嵌め込み、両者の嵌合周上での前記凹凸部の係合により回転伝達可能とし、前記切り欠き溝の拡縮による軸長方向及び径方向の弾性変形を可能として連結させてあることを特徴とする電動式舵取装置。
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