JP4061979B2 - ステアリング装置の支持構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラックアンドピニオン式ステアリングギヤのシリンダを車体側に支持するステアリング装置の支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、小型トラックのラックアンドピニオン式パワーステアリングギヤ(ステアリングシリンダ)は、フロントクロスメンバとしてのラジエータクロスメンバとクロスメンバとしてのサスペンションクロスメンバとにわたって支持されている。小型トラックでは、キャブの下部にエンジンが配置され、更に、エンジンの下部にステアリングシリンダが車幅方向に延びて配置されている。このため、ステアリングシリンダの周囲にはスペースがほとんど存在せず、サスペンションクロスメンバの上面部の高さはステアリングシリンダの中心の高さに対して制限され、互いの位置関係を調整する余裕がないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したスペースに制約がある状況の基で操舵角の増大を図るためには、ステアリングシリンダの位置等を変更することができないので、パワーステアリングギヤの構成を変更する等してシリンダストロークの増大を図り根本的に新たに設計を行う必要があった。新たに設計を行う場合、アライメント等に対しても考慮する必要があり、操舵角の増大を図るためには多大な時間とコストがかかってしまうことになる。
【0004】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、限られたスペースでステアリングシリンダのギヤの設計を変更することなく操舵角の増大を図ることができるステアリング装置の支持構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1の本発明では、ステアリングシリンダがラックハウジングに結合され、ラックハウジングが車両の幅方向に配設されサスペンション装置側を支持するクロスメンバの車両前方側に固定されるステアリング装置の支持構造において、クロスメンバはその両端部に前輪を支持するサスペンションクロスメンバであって、サスペンションクロスメンバの上面部の高さはステアリングシリンダの中心の高さに対して制限があり、サスペンションクロスメンバ側で下方に曲げられた曲がり部をラックハウジングに形成し、ステアリングシリンダの中立位置からストロークが同一で、且つ、一端がステアリングシリンダに連結されるタイロッドの長さが同一の時に、タイロッドの他端とナックルとの連結位置が幾何学的に車幅方向外側に移動するように、曲がり部をサスペンションクロスメンバの車両前方側の面部に取り付けることでナックルの回動中心とステアリングシリンダの中心の車両前後方向位置を接近させたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1には本発明の一実施形態例に係るステアリング装置の支持構造を有する車両の平面視状況、図2には図1中のII-II 線矢視、図3には操舵角とシリンダ位置との関係を説明する概念状況を示してある。
【0008】
図1に示すように、車両の両側にはサイドレール1が設けられ、車両前方側(図中上側)のサイドレール1にわたりフロントクロスメンバとしてのラジエータクロスメンバ2が設けられている。また、ラジエータクロスメンバ2の車両後方側(図中下側)のサイドレール1にわたりクロスメンバとしてのサスペンションクロスメンバ3が設けられている。サスペンションクロスメンバ3の両端部にはアームやナックル等からなる前輪4側の部材がそれぞれ支持されている。
【0009】
ラジエータクロスメンバ2とサスペンションクロスメンバ3との間には、ラックアンドピニオン式パワーステアリングギヤのシリンダ(ラック、ピストン等を含んでシリンダと称する)11が車幅方向(図中左右方向)に配されている。シリンダ11はラックハウジング12に結合され、ラックハウジング12がラジエータクロスメンバ2とサスペンションクロスメンバ3とにわたって固定されている。
【0010】
シリンダ11のラックにはステアリングホイール側につながるピニオンシャフト13が接続され、ピニオンシャフト13の回転によりシリンダ11のピストンがストロークし、タイロッド14及びナックル15を介して前輪4が操舵されるようになっている。
【0011】
図2に示すように、ラジエータクロスメンバ2にはブラケット21が水平方向に装着されるボルト22により固定され、ブラケット21の水平部にはラックサポートブラケット23が垂直方向に装着されるボルト24により固定されている。ラックハウジング12は、シリンダ11を保持する基部17と、基部17の車両後方側に連続して設けられ下方に曲げられた曲がり部18とで構成されている。
【0012】
そして、ラックハウジング12に結合されたシリンダ11の直上部にはエンジン5が配設され、エンジン5の上側に図示しないキャビンが備えられている。
【0013】
ラックハウジング12は、基部17がラックサポートブラケット23に垂直方向に装着される取付ボルト6及びナット7により固定され、曲がり部18がラックサポートブラケット23及びサスペンションクロスメンバ3の車両前方側の面部との間に挟持されて水平方向に装着される取付ボルト8及びナット9により固定されている。
【0014】
つまり、ラックハウジング12の基部17には垂直方向の取付穴26が形成され、芯金27及びゴムブッシュ28を介在させて取付ボルト6がラックサポートブラケット23側から取付穴26に挿入され、基部17側からのナット7により基部17がラックサポートブラケット23に固定されている。
【0015】
また、ラックハウジング12の曲がり部18には水平方向の取付穴31が形成され、芯金32及びゴムブッシュ33を介在させて取付ボルト8がラックサポートブラケット23側から取付穴31に挿入され、曲がり部18がラックサポートブラケット23及びサスペンションクロスメンバ3の車両前方側の面部との間に挟持された状態でサスペンションクロスメンバ3の裏側からのナット9により曲がり部18がサスペンションクロスメンバ3とラックサポートブラケット23とにわたり固定されている。
【0016】
ラックハウジング12の曲がり部18がサスペンションクロスメンバ3とラックサポートブラケット23を介してラジエータクロスメンバ2側とにわたって固定されているので、安定してラックハウジング12を車体側に固定することができる。
【0017】
尚、曲がり部18をラックサポートブラケット23とサスペンションクロスメンバ3とに挟持して固定したが、曲がり部18は少なくともサスペンションクロスメンバ3に固定されていればよい。また、シリンダ11ブラケット36に固定した部位については、マウントラバー37をシリンダ11に装着し、Uボルト等のクランプ34にて緊結する。
【0018】
ラックハウジング12を基部17と曲がり部18とで構成し、垂直方向の取付ボルト6と水平方向の取付ボルト8とでラックハウジング12をラジエータクロスメンバ2とサスペンションクロスメンバ3とにわたり固定したので、固定中心軸を交差させて取り付き部を離して配置することができる。このため、取り付き部同士の変位の影響を最小限に抑制することができる。
【0019】
ラックハウジング12に曲がり部18を形成し、曲がり部18をサスペンションクロスメンバ3に固定したので、シリンダ11の中心Pをサスペンションクロスメンバ3寄り(後方寄り)に配置することができる。シリンダ11の中心Pを後方寄りに配置することにより、シリンダ11の中心Pの前後方向位置をナックル15(図1参照)の回動中心に接近させることができる。このため、シリンダ11のストロークがそのままでも操舵角を大きくすることが可能になる。
【0020】
つまり、図3に示すように、シリンダ11の中立位置からのストロークSが同一で、タイロッド14の長さTが同一の場合、図3(a) のシリンダ11の中心Pからナックル15の回動中心Qまでの距離L1に対して図3(b) のシリンダ11の中心Pからナックル15の回動中心Qまでの距離L2を短くすることにより、アウタボールジョイントの位置(タイロッド14とナックル15の連結位置)が幾何学的に外側に移動する。このため、距離L2を短くすることにより、ナックル15の回動角度θ(操舵角)を大きくすることが可能になる。
【0021】
従って、曲がり部18をサスペンションクロスメンバ3に固定することでラックハウジング12を支持するようにしたので、直上にエンジン5が配置されて高さを変えることができない限られたスペースで、シリンダ11の中心Pをサスペンションクロスメンバ3寄り(後方寄り)に配置することができるようになる。このため、限られたスペースでシリンダ11のギヤ等の設計を変更することなく操舵角の増大を図ることが可能になる。よって、低コストで操舵角の増大が可能になる。
【0022】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明のステアリング装置の支持構造は、ステアリングシリンダがラックハウジングに結合され、ラックハウジングが車両の幅方向に配設されサスペンション装置側を支持するクロスメンバの車両前方側に固定されるステアリング装置の支持構造において、クロスメンバはその両端部に前輪を支持するサスペンションクロスメンバであって、サスペンションクロスメンバの上面部の高さはステアリングシリンダの中心の高さに対して制限があり、サスペンションクロスメンバ側で下方に曲げられた曲がり部をラックハウジングに形成し、ステアリングシリンダの中立位置からストロークが同一で、且つ、一端がステアリングシリンダに連結されるタイロッドの長さが同一の時に、タイロッドの他端とナックルとの連結位置が幾何学的に車幅方向外側に移動するように、曲がり部をサスペンションクロスメンバの車両前方側の面部に取り付けることでナックルの回動中心とステアリングシリンダの中心の車両前後方向位置を接近させたので、限られたスペースでステアリングシリンダのギヤ等の設計を変更することなく操舵角の増大を図ることが可能になる。
【0023】
また、ステアリングシリンダを挟んでクロスメンバの車両の前方側にフロントクロスメンバが車両の幅方向に配設され、ラックハウジングの曲がり部がクロスメンバとフロントクロスメンバ側とにわたって固定されているので、安定してラックハウジングを車体側に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例に係るステアリング装置の支持構造を有する車両の平面図。
【図2】図1中のII-II 線矢視図。
【図3】操舵角とシリンダ位置との関係を説明する概念図。
【符号の説明】
1 サイドレール
2 ラジエータクロスメンバ
3 サスペンションクロスメンバ
4 前輪
5 エンジン
6,8 取付ボルト
7,9 ナット
11 シリンダ
12 ラックハウジング
13 ピニオンシャフト
14 タイロッド
15 ナックル
17 基部
18 曲がり部
21 ブラケット
22 ボルト
23 ラックサポートブラケット
24 ボルト
26,31 取付穴
27,32 芯金
28,33 ゴムブッシュ

Claims (1)

  1. ステアリングシリンダがラックハウジングに結合され、ラックハウジングが車両の幅方向に配設されサスペンション装置側を支持するクロスメンバの車両前方側に固定されるステアリング装置の支持構造において、
    クロスメンバはその両端部に前輪を支持するサスペンションクロスメンバであって、サスペンションクロスメンバの上面部の高さはステアリングシリンダの中心の高さに対して制限があり、サスペンションクロスメンバ側で下方に曲げられた曲がり部をラックハウジングに形成し、ステアリングシリンダの中立位置からストロークが同一で、且つ、一端がステアリングシリンダに連結されるタイロッドの長さが同一の時に、タイロッドの他端とナックルとの連結位置が幾何学的に車幅方向外側に移動するように、曲がり部をサスペンションクロスメンバの車両前方側の面部に取り付けることでナックルの回動中心とステアリングシリンダの中心の車両前後方向位置を接近させたことを特徴とするステアリング装置の支持構造。
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