JP4060226B2 - 内燃機関におけるノックセンサの取付構造 - Google Patents

内燃機関におけるノックセンサの取付構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関におけるノッキングを感知してその感知信号を出力するノックセンサの取付構造に関し、特に、略水平配置で車体に搭載される4サイクルの単気筒内燃機関における前記ノックセンサの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術および解決しようとする課題】
従来の内燃機関におけるノックセンサの取付構造としては、複数の気筒をもつ内燃機関において、ウオータジャケットの下方の外側面を埋めるように設けられたボスにおいてなされたもの、もしくはシリンダライナとシリンダブロックの外壁間に設けたボスを利用して該シリンダブロックの外壁に前記ノックセンサを取付ける構造等があり、また、ウオータジャケットの外壁を貫通してシリンダボア壁に直接、該ノックセンサを取付けたもの等が知られている(例えば、特許文献1ないし3参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−193520号公報(第2−3頁、第1図)。
【特許文献2】
実開昭56−148653号公報(第1−2頁、第2,4図)。
【特許文献3】
実開平 5− 64439号公報(第2頁、第1図)。
【0004】
上記特許文献1に記載のセンサ取付構造は、図7に図示されるように、シリンダブロック0CBの外側面にクランク軸方向に略直交して、例えば、気筒中心線に一致する場所で、かつウオータジャケット0CB の下方外側面の凹所を埋める形でセンサ取付ボス0CB が突出して設けられ、該取付ボス0CB のねじ穴0CB 61にノックセンサ0Ksのねじ部0Ksが螺着固定され、これによりノックセンサ0Ksはシリンダブロック0CBの側面に取付けられる。
【0005】
また、特許文献2に記載のノックセンサ0Ks取付構造は、図8,9に図示されるように、シリンダライナ0CLとシリンダブロック0CBの外壁0CB 間にボス0CB を設け、該ボス0CB を利用してシリンダブロック0CBの外壁0CB にノックセンサ0Ksを直接取付ける構造である。
【0006】
さらに、特許文献3に記載のノックセンサ0Ks取付構造は、図10に図示されるように、ノックセンサ0Ksを燃焼室0CH に近いシリンダボア0CB 壁上部にしかもウオータジャケット0CB を貫通して直接取付ける構造である。
【0007】
そして、上記特許文献1,2に記載のセンサ取付構造においては、シリンダブロックの外壁部側部(シリンダの側面)にノックセンサが取付けられる構造であるが、このセンサの取付位置は内燃機関の吸・排気側であり、特に機関の排気側に前記センサが取付けられると該センサは直接排気ガス熱の影響を受けることになり、センサの検出精度に悪影響を与えるばかりでなく、センサの耐久性を低下させ、場合によってはセンサの損傷を招くことになり、これらの不具合を避けるために熱的影響が配慮された耐熱性のセンサの使用や遮熱板を設置する等の特別の対策が必要とされる。
【0008】
とりわけ、車体に対して略水平状態において搭載された内燃機関においては、前記センサの取付場所として前記排気側が選択されると、排気側は通常該機関の下方に位置するので、この場合、センサが地面と直接接触することが考えられ、該接触からのセンサの保護策が必要とされ、たとえば、センサのための特別なガード手段が必要となり、その分コスト高となる。
【0009】
また、取付場所として吸気側が選択されると、吸気系補機類の取付配置の自由度が制限され、そのレイアウトの最適化において課題を残すことになり、さらに、吸気系補機類の組付けにおいても組付け順序の選択等に所定の制約を受けることになるので、その組立性の向上を図ることができない等の改善されるべき余地が残されている。
【0010】
さらに、上記特許文献1ないし3に記載のノックセンサ取付構造においては、ノックセンサの取付場所が、吸気系補機類や駆動系補機類、さらにはタイミングチエーン等の振動源からの振動の影響が考慮されて、該振動の影響の排除という積極的な視点から前記取付場所の選択がなされたものではないから、前記補機類やタイミングチエーン等の駆動による振動がセンサの感知信号の出力精度に悪影響を及ぼし、該センサの出力の信頼性が損なわれることになる等の課題も残すものである。
【0011】
上述したような状況の中で、前記4サイクル単気筒内燃機関、特に車体に対して略水平状態において搭載された前記内燃機関におけるノックセンサの最適な取付位置の設定という視点からの好適な前記ノックセンサの取付構造の開発が求められるところである。
【0012】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明は、前記課題を解決するための最適な内燃機関におけるノックセンサの取付構造、とりわけ、車体に対して略水平状態で搭載された単気筒内燃機関における前記ノックセンサの取付構造に関し、シリンダブロックの一側外壁部側部の外側にタイミングチエーン装着用開口部が設けられ、燃料供給装置により燃料が供給される4サイクル単気筒の内燃機関におけるノックセンサの取付構造において、前記タイミングチエーン装着用開口部が設けられた前記シリンダブロックの一側外壁部側部と同一側でかつシリンダヘッド部外壁部側部に駆動系補機類が取付けられ、前記タイミングチエーン装着用開口部が設けられた前記シリンダブロックの一側外壁部側部と反対側のシリンダブロック他側外壁部側部に設けられたボス部にノックセンサが取付けられ、前記シリンダブロックの一側外壁部側部とその反対側のシリンダブロック他側外壁部側部にわたってクランクシャフトが設けられ、前記クランクシャフトは、クランクケース内で、シリンダブロックの一側外壁部側部の側でボールベアリングにより支持され、反対側のシリンダブロック他側外壁部側部の側でローラベアリングにより支持されていることを特徴とする。
【0013】
また、前記シリンダブロックのシリンダ開孔内壁部には硬質表面処理加工が施されていることを特徴とし、さらに、前記シリンダブロックおよびシリンダヘッドは、吸気側を上側にかつ排気側を下側にした状態で、実質的に水平配置され、前記ボス部およびノックセンサはシリンダブロックから水平方向に突出していることを特徴とするものである。
【0014】
そして、請求項1に記載の発明では、前記内燃機関におけるノックセンサの取付構造において、前記タイミングチエーン装着用開口部が設けられた前記シリンダの一側外壁部側部と同一側でかつシリンダヘッド部外壁部側部に駆動系補機類が取付けられ、前記タイミングチエーン装着用開口部が設けられた前記シリンダの一側外壁部側部と反対側のシリンダ他側外壁部側部に設けられたボス部にノックセンサが取付けられているから、ノックセンサはタイミングチエーンの駆動側および駆動系補機類の振動源から遠ざけられた十分な距離をもった位置において取付けられることになり、その誤作動が防止され、正確な検知信号の出力がなされ、センサの検知精度の信頼性が向上される。また、クランクシャフトの軸受としてボールベアリングとローラベアリングが使用されるので、オイルを常にクランクシャフトとベアリング間に潤滑させるメタル軸受に比して、振動の伝播性を高めることができ、ノックセンサへの振動の伝達性が高められ、ノックセンサにおけるノッキング検出感度が向上される。そして、クランクシャフトのノックセンサ側の軸受として剛性の高いローラベアリングを用いて振動の伝播性を高めると共に、反対側 ( タイミングチェーン側 ) の軸受としてボールベアリングを用いることで、適切なベアリング配置により、高価なローラベアリングの使用が最小限に止められ、コストの低減が図れる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明では、前記請求項1に記載の内燃機関におけるノックセンサの取付構造において、前記シリンダブロックのシリンダ開孔内壁部には硬質表面処理加工が施され、さらに、請求項3に記載の発明では、前記請求項1または2に記載の内燃機関におけるノックセンサの取付構造において、前記シリンダブロックおよびシリンダヘッドは、吸気側を上側にかつ排気側を下側にした状態で、実質的に水平配置され、前記ボス部およびノックセンサはシリンダブロックから水平方向に突出している。
【0016】
したがって、請求項2に記載の発明では、シリンダ開孔内壁部の硬質表面処理加工により、シリンダ開孔内壁部にスリーブが挿入された場合に比べて、該シリンダ開孔内壁部を伝播する振動の伝播性が高められ、また、請求項3に記載の発明では、前記クランクシャフトの軸受支持がローラベアリングおよびボールベアリングによりなされるので、振動の伝播性が高められ、これによりセンサの検出感度が向上され、さらに、ノックセンサの取付けが機関における下方(下側)となる排気側を避けた位置とされるので、ノックセンサは排気ガス熱による熱的影響を殆ど受けることがなく正確なその検知信号の出力が保障され、また、ノックセンサが排気側に取付けられると、排気側が機関の下方(下側)となるから、センサが地面と直接接触することが想定され、ノックセンサ保護のための特別のガードが必要とされるが、このようなガードの付設は不要であり、コスト面におけるメリットが得られ、さらに、ノックセンサが吸気側に取付けられると、吸気系補機類の配置の自由度が制限されるが、機関のシリンダ側面への前記取付けによりこのような配置の自由度が制限されることがないので、吸気系レイアウトの最適化が図れる。また、センサの取付けが吸気側でなされる時の他の吸気系補機類との組付け順序の調整等の煩わしさは、センサの機関側面への取付けにより解消されるから、吸気系補機類の組立性が向上される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1ないし図6に基づい説明する。
【0018】
図1には、本発明の実施形態の内燃機関が搭載される自動二輪車の全体図が図示されており、自動二輪車は、メインフレームMFと、該メインフレームMFのやや上方に指向したその前端部に取付けられたヘッドパイプHPと、該メインフレームMFの後部下方へ向ってやや弧状に彎曲して延びたメインフレーム下方延伸部(機関ハンガプレート)MF と、メインフレームMFの前部と該メインフレーム下方延伸部MF の下端部とを連結するサブフレームSFを備えている。
【0019】
また、メインフレームMFのやや後方寄りの途中位置に設けられたブラケットに取付けられて、やや上方へ指向しながら後方に延びる一対のシートレールSRと、該シートレールSRの略中間部近傍の位置とメインフレームMF後部とを連結する一対のバックステイBS等の構造部材を備え、これらの部材によりその車体の基本フレーム構造部が形成されている。
【0020】
そして、上記ヘッドパイプHPにはフロントフォークFF、ステアリングシャフトSS等が取付けられ、フロントフォークFFには前車輪WFが回転自在に取付けられ、ステアリングシャフトSSには操行用ハンドルSHが取付けられ、前記一対のシートレールSRにはライダ座乗のためのシートSが支持されている。
【0021】
またメインフレームMF後部の下方に延びるやや弧状に彎曲したメインフレーム下方延伸部MF の略中央部には、その前端が該部分において枢動自在に支持されたスイングアームSAが取付けられ、該スイングアームSAの後端部には駆動輪である後車輪WRが取付けられている。なお、図1において、符号Dで示されるものは、リアクッションである。
【0022】
内燃機関Eは、図1,3に図示されるようにそのシリンダヘッドCH部を車体の前方に向けて、かつその吸気側CH を上方に、排気側CH を下方にして略水平配置の状態において前記車体フレームFに搭載されており、該内燃機関Eの前記車体フレームへの搭載は、都合4個所の支持部イないしニにおいてなされている。
【0023】
すなわち、内燃機関Eのやや後方寄りの上部イがメインフレームMFにブラケットを介して支持され、また内燃機関Eのやや前方寄りの下部ロが、メインフレームMF上方前部と該メインフレームMF後部から下方に延びるメインフレーム下方延伸部MF の下端部とを連結するサブフレームSFに支持され、さらに、内燃機関Eの後方上部ハと後方下部ニがそれぞれ、メインフレームMF後部の前記メインフレーム下方延伸部MF に支持されることで内燃機関Eは車体フレームFに搭載されている。
【0024】
そして、本実施形態における内燃機関Eは概ね以下のような構造を備えている。
【0025】
図2には、本発明のノックセンサKsの取付構造が適用される内燃機関Eが図示されており、該内燃機関Eは図1に図示され、また既述のように、車体に対してシリンダヘッド部CHを車体の前方に向けて略水平配置とされる4サイクルの単気筒機関であり、クランクケースC、シリンダブロックCB、シリンダヘッドCH等の内燃機関構造主要部を備え、これらの構造部が互いにボルト等により強固に一体的に締結されて内燃機関Eの基本構造部が構成される。
【0026】
クランクケースCは左右に2分割された2つのケース部CとCとからなり、該2つの左右分割形成されたケース部C,Cが互いに締付ボルトBにより締結されて1つのケースCとして構成されるものであり、したがって、該クランクケースCと一体をなすミッションケースMもまた実質的に左右のケース部M1,Mに分割形成されている。
【0027】
クランクケースC内には、周知のようにクランクシャフト1が回転自在に軸受支持されており、該クランクシャフト1はそのクランクピン部1aを挟んだ該クランクピン部1aに隣接した対称的な位置においてその一方(左方)はボールベアリング1bを介して、他方(右方)はローラベアリング1cを介してそれぞれクランクケースCに軸受支持されている。そして、このボールベアリング1bとローラベアリング1cによる異なる軸受による配設構造は後述するノックセンサKsの取付位置と関連するものである。
【0028】
そして、クランクシャフト1の軸受支持は実質的には互いに結合された前記クランクケースCの前記左右分割ケース部C,Cに分離配設された支持部においてなされており、該軸受支持は前記分割ケースC,Cのそれぞれに設けられた軸受支持のための張出し構造部Ca,Caにおける前記ベアリング1b,1cを介した軸受支持とされている。なお、BUは、ブッシュである。
【0029】
クランクシャフト1には、その一端(右方端側)に遠心クラッチである発進クラッチ1dが装着され、また、その他端(左方端側)には、発電機1eが装着され、さらに該シャフト1の右方軸受支持部近傍のやや右側の位置に前記発進クラッチとの連接関係をもってプライマリドライブギア1fが遊嵌されている。
【0030】
そして、クランクケース1と一体のミッションケースM内にはメインシャフト2とカウンタシャフト3がそれぞれボールベアリング2b,2c、3b,3cを介して該ケースMに回転自在に支持されており、前記メインシャフト2には、その一端(右方端側)に通常は接合状態にあり変速操作時にその接合が開放される開閉クラッチ2dが装着され、また該クラッチ2dに連接されたプライマリドリブンギア2aがその右方側の軸受部1cに隣接して遊嵌され、さらに、その他端(左方端側)寄りの位置には変速用の複数の歯車からなる歯車群2eが装着されている。
【0031】
また、カウンタシャフト3には、前記メインシャフト2に装着された変速用の歯車群2eと適宜選択的に噛合う複数の歯車からなる変速用歯車3aが装着されており、さらに、該カウンタシャフト3の軸端(左方端)には、車両走行用の駆動輪である後輪WRを駆動するための駆動チエーンDC(図1参照)が掛けられるスプロケット3dが固定されている。
【0032】
そして、前記シリンダブロックCBには単気筒であるから一つのシリンダ開孔CB が開孔されており、該開孔CB 内には周知のようにピストンPが摺動可能に嵌入され、該ピストンPはピストンピンPによりコンロッドCRの小端部CR に揺動自在に取付けられ、前記コンロッドCRの大端部CR がクランクシャフト1の前記クランクピン部1aに回動自在に連接されることで、ピストンPがクランクシャフト1に連動されている。
【0033】
また、図2および図3の参照により明らかなように、シリンダブロック部CBに固定される前記シリンダヘッド部CHには、燃焼室CH 、点火プラグCH 、吸気口CH 、排気口CH 、明確には図示されない吸・排気バルブ等が設けられ、また、該吸・排気バルブを開閉作動するためのカムCH を備えたカムシャフトCH も設けられている。
【0034】
そして、さらにはカムシャフトCH に固定されて、クランクシャフト1の回転に連動して該カムシャフトCH をクランクシャフトの1/2の回転数をもって駆動回転させるタイミングチエーンTCのためのスプロケットCH も設けられ、また、シリンダヘッドCH部には、駆動系の補機であるウオータポンプWPが取付けられ、さらにヘッドカバーHCが設けられている。
【0035】
次に、前記内燃機関の作動状況を簡単に説明しておく、
クランクシャフト1に固定のスプロケット1gとカムシャフトCH に固定のスプロケットCH 間に掛け渡されるタイムングチエーンTCにより、カムシャフトCH がクランクシャフト1の1/2回転で駆動回転され、このカムシャフトCH の回転により該カムシャフトCH に設けられたカムCH が作動し、該カムCH の作動により明確には図示されない吸・排気バルブが開閉作動される。
【0036】
そして、前記カム作動により明確には図示されない吸・排気バルブの閉鎖状態において、燃焼室CH 内で圧縮状態の混合気に点火され、該混合気の燃焼による圧力を受けたピストンPが下降し、該ピストンPの下降運動がコンロッドCRを介してクランクシャフト1のクランクピン部1aに伝達され、該クランクシャフト1が回転駆動される。
【0037】
クランクシャフト1の回転駆動力は、遠心クラッチである発進クラッチ1dを介してクランクシャフト1に遊嵌されたプライマリドライブギア1fとミッションケースM内のメインシャフト2に遊嵌されたプライマリドリブンギア2aとの噛合い、また通常接合状態にあり変速ギアの切換操作時にその接合が開放される開閉クラッチ2dの接合を介して該メインシャフト2に伝達される。
【0038】
メインシャフト2に伝達されたクランクシャフト1からの前記回転駆動力は、さらにメインシャフト2に装着された複数の歯車からなる変速用歯車群2eの歯車と、カウンタシャフト3に装着された複数の歯車からなる変速用歯車群3aの歯車との適宜選択された歯車の噛合いを介して所望の変速比をもって前記カウンタシャフト3に伝達される。
【0039】
そして、カウンタシャフト(出力軸)3に伝達された前記回転駆動力は、該カウンタシャフト3の軸端(左方端)に固定された駆動用スプロケット3dにより適宜駆動チエーンDC等の駆動手段を介して車両走行用の駆動輪である後輪WRに伝達される(図1参照)。
【0040】
本発明の実施形態における内燃機関Eの構造とその作動状況、また、車体への該機関Eの搭載状況は概ね上述のようなものである。
【0041】
ところで、本発明の実施形態における上記内燃機関Eは、内燃機関Eの燃焼室CH 内で発生したノッキングを検知してその検知信号を出力するノックセンサKsを備えており、内燃機関Eの燃焼室CH で発生したノッキングによる振動がセンサKsにより捉えられることで、図示されないコントロールユニットにおいて点火時期の制御調整がなされ、すなわち、点火時期が遅くなるように制御調整されてノッキング発生の回避が図られる制御装置が備えられるものである。
【0042】
そして、上述の制御から明らかなようにノッキング発生の回避が図られるための、ノックセンサKsによる正確な検知信号の出力が要求され、そのための好適なノックセンサKsの取付場所とその取付構造の選択はきわめて重要であり、本実施形態においては前記視点からノックセンサKsの好適なその取付場所と取付構造が選択される。
【0043】
既述のように図2,3には本実施形態の内燃機関Eの全体構造が図示され、その構造の概要については既に述べたところであるが、内燃機関EのシリンダブロックCBにはさらに特徴的な構造部として、該内燃機関EのシリンダブロックCBの長手方向ややクランクケースC寄りのシリンダ外壁部側部CB に該外壁部側部CB から外方へ向って、すなわち、車体に略水平配置の状態で搭載された内燃機関Eのシリンダ外壁部側部CB に車体前後方向と直交しかつ略水平方向に突出するボス部CB が形成されている。
【0044】
そして、該ボス部CB は、前記ノックセンサKsの取付けに供されるためのボス部CB である。
そこで、該ボス部CB に関連する構造部について、図面を参照しながら以下に詳述する。
【0045】
図4ないし図6には、シリンダブロックCBの詳細構造が示されており、図4に図示されるようにシリンダブロックCBには、その略中央部にピストンP摺動のためのシリンダ開孔CB が貫通開孔しており、該シリンダ開孔CB の内壁部には硬質表面処理加工が施され、該硬質表面処理加工により振動の伝播が高められるようになされている。硬質表面処理加工としては、ニカジルメッキ等のメッキ処理等が選択される。
【0046】
そして、シリンダ開孔CB の周辺には、所定の肉厚部を介して該開孔CB と同心円上の位置に冷却水のための通路構造部であるウオータジャケットCB が設けられ、このウオータジャケットCB は、図5に図示されるようにシリンダブロックCBの長手方向においてこれを貫通する構造は有していない。
【0047】
また、ウオータジャケットCB と所定の肉厚部を介したシリンダの一側外壁部側部CB のさらに外側には、比較的大きな開口であるタイミングチエーンTC装着のための空間として供される開口部CB が設けられており、この開口部CB はシリンダブロックCBの長手方向において完全に貫通する構造を有している。
【0048】
そして、この比較的大きなタイミングチエーンTC装着のために供される貫通開口部CB 側のシリンダ外壁部側部CB とシリンダ開孔CB を挟んだ反対側のシリンダ外壁部側部CB には、所定の突出量をもって該外壁部側部CB から外方へ向かって突出するボス部CB が設けられている。
【0049】
ボス部CB は、図5に図示されるように、シリンダブロックCBの外壁部側部、すなわち、シリンダ外壁部側部CB のウオータジャケットCB を実質的に避けたややクランクケースCへの取付部寄りの位置に該外壁部側部CB から前記所定の突出量をもって突出形成されるものである。
【0050】
そして、図3の参照により明らかなように、該外壁部側部CB におけるボス部CB の前記突出位置とその突出方向は、実質的に水平配置状態で車体に搭載された内燃機関Eにおける上方の吸気側CH と下方の排気側CH に対して略直交する位置における直交する方向へ、すなわち、前記吸気側CH と排気側CH に対してそれぞれ略90°隔てた位置における、該位置からの水平方向に指向した方向への突出とされている。
【0051】
また、図2の参照により明らかなように、シリンダヘッド部CHにおける駆動系の補機類、例えば、ウオータポンプWP等の取付けは、シリンダブロックCBにおけるタイミングチエーンTC装着のために供される開口部CB が配設される側と同一側のシリンダヘッド部CH外壁部側部に取付けられる。すなわち、シリンダブロックCBのシリンダ外壁部側部CB における前記ボス部CB の突出位置と反対側に指向したシリンダヘッド部CHの外壁部側部に駆動系補機類が取付けられる。
【0052】
そして、前記シリンダブロックのシリンダ外壁部側部CB から突出形成されたボス部CB は既述のように、ノックセンサKsの取付けに供されるボス部CB であり、ノックセンサKsは該ボス部CB に対し適宜固定手段を用いて固定されるが、本実施形態においては、図5に図示されるように、ボス部CB に開口された盲孔CB 61に設けられた雌ネジ部CB 62に、ノックセンサKs本体部に設けられる取付用雄ネジ部Ksを螺合して締付けることで固定されている。ノックセンサKs本体部には、前記ネジ締めのためのスパナによる締付けに供される構造部Ksも設けられている。
【0053】
図1ないし図6に記載の本発明の実施形態は上記構成であり、ノックセンサKsの取付場所とその取付構造の上記選択から、すなわち、シリンダブロックCBのシリンダ外壁部側部CB における特徴的な位置に形成されたボス部CB によるノックセンサKsの取付けにより、略水平配置状態で車体に搭載される内燃機関Eにおいて、前記ノックセンサKsは内燃機関Eのシリンダブロック外壁部側部、つまり、シリンダ外壁部側部(シリンダ側面)CB に機関の長手方向に直交しかつ水平方向で突出するように取付けられるので、以下のような利点を有するものである。
【0054】
ノックセンサKsは、車体に略水平配置状態で搭載される内燃機関EのシリンダブロックCBのシリンダ外壁部側部CB 、すなわち前記シリンダ側面に上述の水平方向に突出する状態で取付けられることになり、ノックセンサKsの取付が前記搭載状態にある機関Eにおける下方(下側)となる排気側CH を避けた位置とされるので(図3参照)、ノックセンサKsはその排気ガス熱による熱的影響を殆ど受けることがなく正確なその検知信号の出力が保障される。
【0055】
また、ノックセンサKsが排気側CH に取付けられると、排気側CH が機関Eの下方(下側)となるから、センサKsが地面と直接接触することが想定され、該センサKs保護のための特別のガードが必要とされるが、前記シリンダ側面への取付けによりこのようなガードの付設は不要であり、コスト面におけるメリットがある。
【0056】
さらに、ノックセンサKsが吸気側CH に取付けられると、吸気系補機類の配置の自由度が制限されるが、機関Eのシリンダ側面への前記取付けによりこのような配置の自由度が制限されることがないので、吸気系レイアウトの最適化が図れる。 また、センサKsの取付けが吸気側CH でなされる時の他の吸気系補機類との組付け順序の調整等の煩わしさは、センサKsの機関E側面への取付けにより解消されるから、吸気系補機類の組立性が向上される。
【0057】
そして、シリンダブロックCBのシリンダ外壁部側部CB のボス部CB の反対側にタイミングチエーンTC装着用開口部CB が設けられており、しかもタイミングチエーンTC装着側と同一側のシリンダヘッド部CH外壁部側部に駆動系の補機類が取付られるので(図2参照)、該補機類とノックセンサKsとの距離が十分に確保されるので、センサKsに与える補機類からの振動の影響が排除され、センサKsにおける誤信号の出力が防止される。
【0058】
ノックセンサKsは、シリンダブロックCBのシリンダ外壁部側部CB のクランクケースC寄りの位置に取付けられるから、シリンダヘッド部CHの動弁系部材やウオータポンプWP等の補機類との距離が十分に確保され(図2参照),ノックセンサKsに与える補機類からの振動の影響が略完全に排除され、また、動弁系部材の着座音の周波数がノッキング周波数に近似することによる共振現象の影響が排除され、センサKsにおける誤信号の出力が防止され、センサKsの検知信号出力の信頼性が向上する。
【0059】
そして、クランクシャフト1の軸受としてボールベアリング1bとローラベアリング1cが使用されるので、オイルを常にクランクシャフトとベアリング間に潤滑させるメタル軸受に比して、振動の伝播性を高めることができ、ノックセンサKsへの振動の伝達性が高められ、該センサKsにおけるノッキング検出感度が向上される。
【0060】
また、クランクシャフト1のノックセンサKs側の軸受として剛性の高いローラベアリング1cを用いて振動の伝播性を高めると共に、、反対側の軸受としてボールベアリング1bを用いることで、適切なベアリング配置により、高価なローラベアリングの使用が最小限に止められ、コストの低減が図れる。
【0061】
さらに、シリンダの開孔CB 内壁面にメッキ加工(ニカジルメッキ)が施されているから、シリンダにスリーブが嵌入されたものに比べて、その振動の伝播性を向上させることができ、ノックセンサKsの検出感度が向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内燃機関が搭載された車両の全体図を示す図である。
【図2】本発明の内燃機関の全体図である。
【図3】本発明の図2に図示された内燃機関の側面図である。
【図4】本発明の主要構造部の拡大図である。
【図5】本発明の主要構造部の拡大図であり、図4における側断面図である。
【図6】本発明の主要構造部を示す拡大図であり、図5における下面図である。
【図7】従来の発明の主要構造部を示す図である。
【図8】従来の別発明の主要構造部を示す図である。
【図9】従来の別発明の主要構造部を示す図であり、図8における0A-0A断面図である。
【図10】従来のさらに別の発明の主要構造部を示す図である。
【符号の説明】
1・・・クランクシャフト、1a・・・クランクピン、1b,1c・・・ベアリング、1d・・・発進クラッチ、1e・・・発電機、1f・・・プライマリドライブギア、1g・・・スプロケット、2・・・メインシャフト、2a・・・プライマリドリブンギア、2b,2c・・・ボールベアリング、2d・・・開閉クラッチ、2e・・・変速歯車郡、3・・・カウンタシャフト、3a・・・変速歯車郡、3b,3c・・・ボールベアリング、3d・・・スプロケット、B・・・締付ボルト、BS・・・バックステイ、BU・・・ブッシュ、C,C・・・分割クランクケース、Ca,Ca・・・張出部、CB・・・シリンダブロック、CB ・・・シリンダ開孔、CB ・・・ウオータジャケット、CB ・・・シリンダブロックのシリンダ外壁部側部、CB ・・・タイミングチエーン装着のための開口部、CB ・・・シリンダブロックのシリンダ外壁部側部、CB ・・・ボス部、CB 61・・・盲孔、CB 62・・・雌ネジ部、CH・・・シリンダヘッド部、CH ・・・燃焼室、CH ・・・点火プラグ、CH ・・・カムシャフト、CH ・・・カム、CH ・・・スプロケット、CH ・・・吸気側、CH ・・・排気側、CR・・・コンロッド、CR ・・・コンロッドの小端部、CR ・・・コンロッドの大端部、E・・・内燃機関、Ks・・・ノックセンサ、Ks・・・雄ネジ部、Ks・・・締付用の構造部、M・・・ミッションケース、M,M・・・分割ミッションケース部、MF・・・メインフレーム、MF ・・・下方延伸部、P・・・ピストン、P・・・ピストンピン、S・・・シート、SA・・・スイングアーム、SF・・・サブフレーム、SH・・・操行ハンドル、SR・・・シートレール、SS・・・ステアリングシャフト、TC・・・タイミングチエーン、WF・・・前車輪、WR・・・後車輪、WP・・・ウオータポンプ。

Claims (3)

  1. シリンダブロックの一側外壁部側部の外側にタイミングチエーン装着用開口部が設けられ、燃料供給装置により燃料が供給される4サイクル単気筒の内燃機関におけるノックセンサの取付構造において、
    前記タイミングチエーン装着用開口部が設けられた前記シリンダブロックの一側外壁部側部と同一側でかつシリンダヘッド部外壁部側部に駆動系補機類が取付けられ、前記タイミングチエーン装着用開口部が設けられた前記シリンダブロックの一側外壁部側部と反対側のシリンダブロック他側外壁部側部に設けられたボス部にノックセンサが取付けられ、前記シリンダブロックの一側外壁部側部とその反対側のシリンダブロック他側外壁部側部にわたってクランクシャフトが設けられ、前記クランクシャフトは、クランクケース内で、シリンダブロックの一側外壁部側部の側でボールベアリングにより支持され、反対側のシリンダブロック他側外壁部側部の側でローラベアリングにより支持されていることを特徴とする内燃機関におけるノックセンサの取付構造。
  2. 前記シリンダブロックのシリンダ開孔内壁部には硬質表面処理加工が施されていることを特徴とする請求項1記載の内燃機関におけるノックセンサの取付構造。
  3. 前記シリンダブロックおよびシリンダヘッドは、吸気側を上側にかつ排気側を下側にした状態で、実質的に水平配置され、前記ボス部およびノックセンサはシリンダブロックから水平方向に突出していることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関におけるノックセンサの取付構造。
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