JP4059949B2 - 1h−1,2,4−トリアゾール−5−イル酢酸エステル化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真化学の分野における染料の合成中間体や色素形成カプラーの合成中間体などとして有用なシクロヘキシル酢酸エステル類の合成法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カルボン酸類とアルコール類の縮合による一般的なエステル化法は多数知られており、例えば実験化学講座第22巻(丸善、1992)の43〜83頁に詳しい記載がある。この中でよく用いられる方法としては、例えば、酸触媒の存在下での平衡反応において、脱水条件によりエステルを合成する方法、あるいは、ジシクロヘキシルカルボジイミドやアゾジカルボン酸エチルなどの縮合剤を用いてエステルを合成する方法がある。また、カルボン酸を塩化チオニルや三塩化りん、オキサリルクロリドにより酸クロリドに変換し、これにアルコールを塩基の存在下で付加させ、エステルを合成する酸クロリド法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の一般的なエステル化法は、本発明で縮合させようとする後記の、一般式(II)で表されるカルボン酸類と一般式(I)で表されるシクロヘキサノール類を用いる一般式(IV)で表されるエステル化合物の合成には適用できなかった。すなわち、酸触媒による方法は、シクロヘキサノール類を多量に使用する問題点があり、縮合剤を用いる方法、酸クロリド法はシクロヘキサノール類のエステル化においてはカルボン酸成分の分解が優先してしまい、目的のエステル化合物は殆ど得られなかった。唯一、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)30巻927頁(1965年)に記載されているトリフルオロ酢酸無水物((CF3 CO)2 O)を用いる方法が適用できたが、試薬が高価であり、また、廃液処理が煩雑であるなどの理由から工業的製法とはなり難かった。
本発明は、シクロヘキサノール類とカルボン酸類とを、穏和な反応条件下で反応させて、収率よく後記の一般式(IV)で表されるシクロヘキシル酢酸エステル類を得る工業的製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は検討を重ねた結果、下記により課題を達成した。
(1)下記一般式(IV)で表されるエステル化合物を製造するに当り、下記一般式(I)で表されるシクロヘキサノール類と、下記一般式(II)で表されるカルボン酸類とを、下記一般式(III) で表されるカルボン酸無水物を用いて反応させることを特徴とするエステル化合物の製造方法。
【0005】
【化4】
【0006】
式中、R1は、水素原子、炭素数1〜36の直鎖もしくは分岐の、置換基を有してもよいアルキル基、または炭素数3〜8の、置換基を有してもよい環状のアルキル基を表す。R2、R3、R4、R2’、R3’、およびR4’はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または炭素数3〜8の環状のアルキル基を表す。また、R2とR3およびR2’とR3’はそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。R5およびR6は同じであっても異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜36の直鎖もしくは分岐の、置換基を有してもよいアルキル基、または炭素数6〜36の、置換基を有してもよいアリール基を表す。R5、R6のうち少なくとも一つは水素原子である。R7は炭素数1〜36の直鎖もしくは分岐の、置換基を有してもよいアルキル基、シクロヘキシル基、または炭素数6〜36の、置換基を有してもよいアリール基を表す。R8およびR9は同じであっても異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜36の直鎖もしくは分岐の、置換基を有してもよいアルキル基、炭素数3〜8の、置換基を有してもよい環状のアルキル基、または炭素数6〜36の、置換基を有してもよいアリール基を表す。また、R8とR9は互いに結合して環を形成してもよい。Mは水素原子、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属を表し、nは1または2の整数を表す。
(2)前記R 1 、R 5 、R 6 、R 7 、R 8 、およびR 9 における前記置換基が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、イミド基、スルフィニル基、およびホスホニル基からなる群から選択される置換基であることを特徴とする(1)に記載のエステル化合物の製造方法。
(3)塩基の存在下で反応させることを特徴とする(1)または(2)に記載のエステル化合物の製造方法。
(4)一般式(III)で表されるカルボン酸無水物が無水酢酸であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のエステル化合物の製造方法。
(5)一般式(IV)で表される化合物が下記式で表される3−(4−t−ブチルフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル酢酸エステル化合物であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のエステル化合物の製造方法。
【0007】
【化5】
【0008】
式中、R1、R2、R3、R4、R2’、R3’、R4’、R5 、およびR6はそれぞれ上記と同義である。
(6)一般式(IV)で表される化合物が下記式で表される3−(4−t−ブチルフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル酢酸エステル化合物であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のエステル化合物の製造方法。
【0009】
【化6】
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。一般式(I)においてR1は水素原子または炭素数1〜36の直鎖もしくは分岐または環状(炭素数3〜8)のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、オクチル、オクタデシル、シクロヘキシルを表す。
【0011】
R1は好ましくは、炭素数1〜24のさらに好ましくは炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐または環状(炭素数3〜8)のアルキル基であり、置換基で置換されていてもよい。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、イミド基、スルフィニル基、ホスホニル基である。R1は特に好ましくはメチル基である。
【0012】
R2、R3、R4、R2’、R3’およびR4’はそれぞれ水素原子または炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐または環状(炭素数3〜8)のアルキル基である。R2、R3、R4、R2’、R3’およびR4’はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、好ましくは炭素数1〜12の、さらに好ましくは炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐または環状(炭素数3〜8)のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、プロピル、シクロヘキシルを表す。R2とR3およびR2’とR3’はそれぞれ結合して環(例えば3〜6員環、好ましくは6員環、例えばシクロヘキサン環)を形成してもよい。R2、R3、R4、R2’、R3’R4’は特に好ましくはメチル基である。
【0013】
本発明に用いられる化合物には立体化学的に異性体が存在する場合があるが、本発明の化合物を使用する際にはこれらの異性体の混合物でもよく、また単一の異性体であってもよい。
【0014】
以下に化合物(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】
【化7】
【0016】
【化8】
【0017】
【化9】
【0018】
【化10】
【0019】
次に一般式(II)について説明する。R5およびR6は同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[炭素数1〜36(好ましくは1〜24)の直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、R1で述べたような置換基を有していてもよく、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、オクチル、ヘキサデシル、1−シアノ−(メトキシカルボニル)メチルである。]、アリール基[炭素数6〜36(好ましくは6〜24)のアリール基であり、R1で述べたような置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基である。]を表す。R5およびR6は好ましくは少なくとも一方が水素原子であり、さらに好ましくは、両方とも水素原子である。
【0020】
R7はアルキル基またはアリール基を表す。Mは水素原子(M=H、n=1)、アルカリ金属(M=Li,Na,K,Rb,Cs、n=1)、アルカリ土類金属(M=Be,Mg,Ca,Sr,Ba、n=2)を表す。R7で表されるアルキル基は、炭素数1〜36(好ましくは1〜24)の直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはシクロヘキシル基で、R1で述べたような置換基で置換されていてもよく、更に具体的には例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、t−アミル、オクチル、オクタデシル、ビニル、シクロヘキシル、プロパルギルである。
【0021】
R7で表されるアリール基は炭素数6 〜36(好ましくは6 〜24)のアリール基であり、フェニル基又はナフチル基が好ましい。このアリール基はR1で述べたような置換基で置換されていてもよく、例えば、フェニル、3 −ニトロフェニル、4 −ニトロフェニル、4 −クロロフェニル、3 ,5 −ジクロロフェニル、4 −メトキシフェニル、4 −t −ブチルフェニル、3 −(2 −オクトキシ−5 −t −オクチルフェニルスルホンアミド)−4 −メトキシフェニル、3 −ニトロ−4 −メチルフェニルである。
M は好ましくは水素原子(H)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)であり、より好ましくは水素原子(H)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)である。
【0022】
以下に一般式(II)で表されるカルボン酸類の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
【化11】
【0024】
【化12】
【0025】
【化13】
【0026】
【化14】
【0027】
【化15】
【0028】
【化16】
【0029】
【化17】
【0030】
【化18】
【0031】
【化19】
【0032】
次に一般式(III)について説明する。R8およびR9は同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[炭素数1〜36(好ましくは1〜24)の直鎖もしくは分岐鎖または環状(炭素数3〜8)のアルキル基であり、R1で述べたような置換基を有していてもよく、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、イソプロピル、ヘキシル、オクチル、ヘキサデシル、シクロヘキシル、シクロペンチルである。]、アリール基[炭素数6〜36(好ましくは6〜24)のアリール基であり、R1で述べたような置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基である。]を表す。以下に本発明に用いられる一般式(III)で表されるカルボン酸無水物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
【化20】
【0034】
本発明の製造方法は下記のスキーム1によって示される。
本発明において、一般式(III) で表される化合物として無水酢酸を用いた場合、下記の一般式(V)で表される化合物で単離される。従って、一般式(IV)で表されるエステル化合物は一般式(V)で表される化合物の脱アセチル化反応を経由して合成される。化合物(V)は単離しても良いし、あるいは一般式(I)と一般式(II)の化合物を縮合させたのち、反応系を処理することなく、脱アセチル化反応により化合物(IV)に導いても良い。脱アセチル化反応には、酸性、アルカリ性いずれの条件も用いられる。
【0035】
【化21】
【0036】
酸性条件で脱アセチル化を行うには、例えば塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などが用いられる。アルカリ条件で脱アセチル化を行うには、例えばアンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムエチラート、カリウム−t−ブトキシドなどが用いられる。
以下に本発明の方法により合成できる一般式(IV)で表されるエステル化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
【化22】
【0038】
【化23】
【0039】
【化24】
【0040】
【化25】
【0041】
【化26】
【0042】
【化27】
【0043】
【化28】
【0044】
【化29】
【0045】
【化30】
【0046】
本発明において前記一般式(I)で表されるシクロヘキサノール類と一般式(II)で表されるカルボン酸類との反応モル比は化学量論量に従うが、好ましくは10:1〜1:1、より好ましくは3:1から1:1である。
本発明方法において反応は、好ましくは塩基の存在下で行われる。塩基は有機塩基、無機塩基のいずれも用いられる。
このような有機塩基としては、グアニジン類(例えば、テトラメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン)、トリアルキルアミン類(例えばトリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチルテトラミン、キヌクリジン、4−エチルモルホリン、N−メチルピペリジン)、脂肪族ポリアミン類(例えば、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン)、芳香族アミン類(例えば、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン)、複素環状アミン類(例えば、ピリジン、2−ピコリン、2−エチルピリジン、3−ピコリン、2,6−ルチジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、インドール、ベンゾトリアゾール)が用いられる。好ましくはトリアルキルアミン類、芳香族アミン類、複素環状アミン類が用いられ、より好ましくはトリアルキルアミン類、複素環状アミン類が用いられる。さらに好ましくはトリアルキルアミン類が用いられる。
上記複素環を構成する炭素、水素以外の原子は、酸素、窒素、硫黄である。また、環は、単環、縮環のいずれでも良いが、単環が好ましく、それを構成する環の員数は5、または6が好ましい。
【0047】
無機塩基としては、ギ酸ナトリウム、シュウ酸リチウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、モノクロロ酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどを用いることができる。好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムが用いられ、より好ましくは炭酸カリウム、酢酸カリウムが用いられる。
【0048】
塩基の使用量は一般式(I)の化合物に対して0.1〜10モル当量が適当であり、好ましくは0.5〜5.0モル当量である。さらに好ましくは1.0〜3.0モル当量である。
前記一般式(III) で表されるカルボン酸無水物の使用量は一般式(I)の化合物1モルに対して0.5〜20モル当量が適当であり、好ましくは2〜10モル当量である。より好ましくは3〜6モル当量である。
【0049】
前記一般式(III) で表されるカルボン酸無水物が無水酢酸である場合、脱アセチル化剤として用いる酸またはアルカリの使用量は一般式(I)の化合物1モルに対して1〜20モル当量が適当であり、好ましくは2〜10モル当量である。より好ましくは4〜7モル当量である。
【0050】
溶媒としては塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、ニトロメタン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジグライムなどの溶媒が用いられ、好ましくはベンゼン、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリルが用いられる。さらに好ましくは酢酸エチル、アセトニトリル、トルエンが用いられ、より好ましくは酢酸エチル、トルエンが用いられる。溶媒の使用量は一般式(I)の化合物に対して重量比で2〜50倍が適当であり、3〜10倍が好ましい。
反応温度は通常−40〜80℃であり、好ましくは20〜60℃である。
反応時間は通常0.1〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
【0051】
試薬類の添加方法としては、塩基を用いる場合、シクロヘキサノール類(I)とカルボン酸類(II)の溶液に塩基を加え、続いてカルボン酸無水物(III) を添加する方法、シクロヘキサノール類(I)とカルボン酸無水物(III) の溶液にカルボン酸類(II)を加え、続いて塩基を添加する方法があるが、好ましくは前者の方法である。
【0052】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1 エステル化反応
【0053】
【化31】
【0054】
化合物(II−18)(25.9g、0.10mol)と塩基を溶媒100mlに懸濁し、続いて化合物(I−1)(22.6g、0.10mol)を25℃で加えた。さらに化合物(III−1) (51.0g、0.50mol)を30分かけて滴下した。(反応温度、反応時間は以下の表中に示した。)反応の終了を薄層クロマトグラフィーで確認した後、水と酢酸エチルを加え分液操作を行った。有機層を乾燥し溶媒を留去した後、アセトニトリルを加えて結晶化させて(IV−18)のアセチル体を得た。それぞれの収率を以下の表中に示した。なお、構造はNMR、IRおよびマススペクトルにより同定した。
【0055】
【表1】
【0056】
実施例2 脱アセチル化反応
実施例1で得られた(IV−18)のアセチル体の脱アセチル化反応を行った。
【0057】
【化32】
【0058】
実施例1で得られた(IV−18)のアセチル体(51.0g、0.10mol)を酢酸エチル100mlに溶解し、25℃で脱アセチル化剤を加えた。(反応温度、反応時間は以下の表中に示した。)反応の終了を薄層クロマトグラフィーで確認した後、水と酢酸エチルを加え分液操作を行った。有機層を乾燥し溶媒を留去した後、アセトニトリルを加えて結晶化させて(IV−18)を得た。それぞれの収率を以下の表中に示した。なお、構造はNMR、IRおよびマススペクトルにより同定した。
【0059】
【表2】
【0060】
上記実施例1と実施例2は、連続して行うことができる。いくつかの例を実施例3〜13に挙げる。
【0061】
実施例3
【0062】
【化33】
【0063】
化合物(II−18)(13.0g、0.05mol)と炭酸カリウム(6.9g、0.05mol)をトルエン50mlに懸濁し、続いて化合物(I−1)(11.3g、0.05mol)を25℃で加えた。さらに化合物(III−1)(25.5g、0.25mol)を30分かけて滴下した。内温40℃にて5時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した。続いて濃塩酸(21.5ml、0.25mol)を加えた。60℃で1時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した後、水と酢酸エチルを加え分液操作を行った。有機層を乾燥し溶媒を留去した後、アセトニトリルを加えて結晶化させて(IV−18)を(20.6g、0.044mol)収率88%で得た。
【0064】
実施例4
【0065】
【化34】
【0066】
化合物(II−37)(14.1g、0.05mol)をトルエン50mlに懸濁し、続いて化合物(I−1)(11.3g、0.05mol)を25℃で加えた。さらに化合物(III−1)(25.5g、0.25mol)を30分かけて滴下した。内温50℃にて5時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した。続いて濃塩酸(25.7ml、0.30mol)を加えた。60℃で1時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した後、水と酢酸エチルを加え分液操作を行った。有機層を乾燥し溶媒を留去した後、アセトニトリルを加えて結晶化させて(IV−18)を(20.1g、0.043mol)収率86%で得た。
【0067】
実施例5
【0068】
【化35】
【0069】
化合物(II−17)(7.9g、0.03mol)とトリエチルアミン(9.1g、0.09mol)を酢酸エチル30mlに懸濁し、続いて化合物(I−1)(6.8g、0.03mol)を25℃で加えた。さらに化合物(III−1)(15.3g、0.15mol)を30分かけて滴下した。内温30℃にて3時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した。続いてアンモニア水(29%、9.8ml、0.15mol)を加えた。60℃で1時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した後、水と酢酸エチルを加え分液操作を行った。有機層を乾燥し溶媒を留去した後、アセトニトリルを加えて結晶化させて(IV−17)を(11.6g、0.025mol)収率82%で得た。なお、構造はNMR、IRおよびマススペクトルにより同定した。
【0070】
実施例6
【0071】
【化36】
【0072】
化合物(II−10)(4.6g、0.025mol)とピリジン(5.9g、0.075mol)を酢酸エチル30mlに溶解し、続いて化合物(I−1)(5.7g、0.025mol)を25℃で加えた。さらに化合物(III −1)(12.8g、0.125mol)を30分かけて滴下した。内温30℃にて3時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した。続いてナトリウムメチラート(28%、30.8ml、0.15mol)を加えた。60℃で1時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した後、水と酢酸エチルを加え分液操作を行った。有機層を乾燥し溶媒を留去した後、アセトニトリルを加えて結晶化させて(IV−10)を(7.8g、0.02mol)収率85%で得た。なお、構造はNMR、IRおよびマススペクトルにより同定した。
【0073】
実施例7
【0074】
【化37】
【0075】
化合物(II−18)(13.0g、0.05mol)とトリエチルアミン(10.1g、0.10mol)をアセトニトリル50mlに懸濁し、続いて化合物(I−1)(11.3g、0.05mol)を25℃で加えた。さらに化合物(III −3)(27.0g、0.25mol)を30分かけて滴下した。内温30℃にて5時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した。続いて濃塩酸(21.5ml、0.25mol)を加えた。60℃で1時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した後、水と酢酸エチルを加え分液操作を行い、有機層を乾燥し溶媒を留去した後、アセトニトリルを加えて結晶化させて(IV−18)を(19.2g、0.041mol)収率82%で得た。
【0076】
実施例8
【0077】
【化38】
【0078】
化合物(II−10)(5.5g、0.03mol)とピリジン(4.7g、0.06mol)を酢酸エチル30mlに懸濁し、続いて化合物(I−1)(6.8g、0.03mol)を25℃で加えた。さらに化合物(III −4)(43.1g、0.18mol)を30分かけて滴下した。内温40℃にて3時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した。水と酢酸エチルを加え分液操作を行い、有機層を乾燥し溶媒を留去した後、アセトニトリルを加えて結晶化させて(IV−10)を(8.8g、0.023mol)収率75%で得た。
【0079】
実施例9
【0080】
【化39】
【0081】
化合物(II−18)(6.5g、0.025mol)とトリエチルアミン(7.6g、0.075mol)をトルエン30mlに溶解し、続いて化合物(I−1)(5.7g、0.025mol)を25℃で加えた。さらに化合物(III −2)(16.3g、0.125mol)を30分かけて滴下した。内温30℃にて2時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した。水と酢酸エチルを加え分液操作を行い、有機層を乾燥し溶媒を留去した後、アセトニトリルを加えて結晶化させて(IV−18)を(9.4g、0.02mol)収率85%で得た。
【0082】
実施例10
【0083】
【化40】
【0084】
化合物(II−18)(7.8g、0.03mol)とピリジン(7.1g、0.09mol)をトルエン30mlに懸濁し、続いて化合物(I−1)(6.8g、0.03mol)を25℃で加えた。さらに化合物(III −4)(36.0g、0.15mol)を30分かけて滴下した。内温30℃にて3時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した。水と酢酸エチルを加え分液操作を行い、有機層を乾燥し溶媒を留去した後、アセトニトリルを加えて結晶化させて(IV−18)を(10.7g、0.023mol)収率76%で得た。
【0085】
実施例11
【0086】
【化41】
【0087】
化合物(II−17)(6.6g、0.025mol)とピリジン(5.9g、0.075mol)を酢酸エチル30mlに溶解し、続いて化合物(I−1)(5.7g、0.025mol)を25℃で加えた。さらに化合物(III −3)(21.4g、0.125mol)を30分かけて滴下した。内温40℃にて2時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した。水と酢酸エチルを加え分液操作を行い、有機層を乾燥し溶媒を留去した後、アセトニトリルを加えて結晶化させて(IV−17)を(9.3g、0.02mol)収率79%で得た。
【0088】
実施例12
【0089】
【化42】
【0090】
化合物(II−1)(6.2g、0.025mol)と炭酸カリウム(10.4g、0.075mol)を酢酸エチル30mlに懸濁し、続いて化合物(I−37)(11.8g、0.025mol)を25℃で加えた。さらに化合物(III −1)(12.8g、0.125mol)を30分かけて滴下した。内温50℃にて2時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した。続いて濃塩酸(21.5ml、0.25mol)を加えた。60℃で1時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した後、水と酢酸エチルを加え分液操作を行い、有機層を乾燥し溶媒を留去した後、アセトニトリルを加えて結晶化させて(IV−36)を(12.7g、0.018mol)収率71%で得た。
【0091】
実施例13
【0082】
【化43】
【0093】
化合物(II−17)(6.6g、0.025mol)とピリジン(5.9g、0.075mol)を酢酸エチル30mlに溶解し、続いて化合物(I−1)(5.7g、0.025mol)を25℃で加えた。さらに化合物(III −11)(28.3g、0.125mol)を30分かけて滴下した。内温40℃にて3時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した。続いてアンモニア水(29%、16.3ml、0.125mol)を加えた。60℃で1時間反応を行い、その終了を薄層クロマトグラフィーで確認した後、水と酢酸エチルを加え分液操作を行い、有機層を乾燥し溶媒を留去した後、アセトニトリルを加えて結晶化させて(IV−17)を(8.9g、0.019mol)収率76%で得た。
【0094】
比較例
化合物(II−18)と化合物(I−1)の一般によく知られるエステル化反応による化合物(IV−18)の合成を行った。
【0095】
【化44】
【0096】
以下にそれぞれの収率を表に示す。
【0097】
【表3】
【0098】
いずれの方法も収率は低く、実用に耐えないことは明らかである。
【0099】
参考例
本発明方法により得られた酢酸エステル化合物の用途を示すと、例えば下記スキーム2に示すステップを経てカラーカプラーに導くことができる。以下化合物IV−42を例に説明する。
【0100】
【化45】
【0101】
まず化合物IV−42にシアノ酢酸エステル類を反応させて化合物IV−46を得る。次いでこの化合物を加水分解して化合物aを得る。この化合物に酸ハロゲン化物cを反応させてカラーカプラーとして有用な化合物bを得る。
【0102】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、シクロヘキサノール類をカルボン酸無水物を用いて穏和な条件でカルボン酸類と縮合させて収率よくシクロヘキシル=1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル酢酸化合物を得ることができる。
Claims (6)
- 下記一般式(IV)で表されるエステル化合物を製造するに当り、下記一般式(I)で表されるシクロヘキサノール類と、下記一般式(II)で表されるカルボン酸類とを、下記一般式(III)で表されるカルボン酸無水物を用いて反応させることを特徴とするエステル化合物の製造方法。
- 前記R 1 、R 5 、R 6 、R 7 、R 8 、およびR 9 における前記置換基が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ア リールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、イミド基、スルフィニル基、およびホスホニル基からなる群から選択される置換基であることを特徴とする請求項1に記載のエステル化合物の製造方法。
- 塩基の存在下で反応させることを特徴とする請求項1または2に記載のエステル化合物の製造方法。
- 一般式(III)で表されるカルボン酸無水物が無水酢酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエステル化合物の製造方法。
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