JP4059644B2 - 観察光学系 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、顕微鏡光学系等の観察光学系、特に対物レンズに回折光学素子を用いたもので、合焦検出可能な観察光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
顕微鏡等の光学装置の焦点を検出してその検出結果を用いて合焦させる焦点検出装置の従来例として、特開昭57−22210号公報に記載された装置が知られている。この従来例の検出装置は能動方式で、光源から発した光束を結像光学系を通して物体側に投光するTTL方式の焦点検出装置である。それは、図7に示す通りの構成で、1はレーザーダイオードよりなる光源、2はコリメートレンズ、3は偏光ビームスプリッターで、光源1からの光束はコリメートレンズ2により偏光ビームスプリッター3に入射する。4はコリメートレンズ2と偏光ビームスプリッター3との間に配置された遮光板で、偏光ビームスプリッター3に入射する光束は、この遮光板4により一部が遮断される。5はλ/4板、6はダイクロイックミラー、7は対物レンズで、偏光ビームスプリッター3に入射した光源1よりの光束は、面3aにて反射された後にレンズL1、L2を通り、λ/4板5を通った後にダイクロイックミラー6にて反射されて対物レンズ7により標本11上に集光する。ここで光源1より発した直線偏光の光束は、λ/4板5を通って円偏光になる。また、このλ/4板を通りダイクロイックミラーにて反射された光は、遮光板4により一部遮断されているため、図8に示すような瞳面上のすべてを満たしたものではなく、光軸8に対して片側の斜線10の部分のみを通過する光束である。
【0003】
このように対物レンズ7を通過した光束は、標本面11を照明する。これにより標本面11にて反射された光束は、再び対物レンズ7に入射し、瞳面9上においては、光軸8に対して図8に示す領域10とは反対側の10’を主として通過する。対物レンズ7を通過した光束は、ダイクロイックミラー6にて反射し、λ/4板5を通った後レンズL1により中間像位置13上にスポット状の中間像を形成する。更にこの光束はレンズL2により略平行光束となり、偏光ビームスプリッター3に入射する。この偏光ビームスプリッター3に入射する光束は、λ/4板5を2回通過するために、光源を発した時の偏光方向に対し90°回転した偏光になっている。そのために、偏光ビームスプリッター3にて反射されることなく面3aを通り、レンズL3にて集光され、y軸方向に伸びたラインセンサー12上にスポット像を形成する。上記の光学系において、光源1と標本面11、標本面11とラインセンサー12上の検出面とは光学的にほぼ共役関係にある。なお標本面11よりの光で対物レンズ7を通りダイクロイックミラー6を透過した光は、図示されていない結像光学系で(例えば結像レンズ等を通った後)観察される構成になっている。
【0004】
図9は、標本面11上の光束を示すもので、合焦位置である11aに標本面11がある場合は、ラインセンサー12上の検出面における光束は、図10の(A)に示すようにスポット像になる。しかし、標本11が合焦位置11aから外れて例えば11bあるいは11cの位置に置かれた場合、ラインセンサー12上の検出面上では、図10の(B)又は(C)に示すように中心位置からずれた位置にスポット像が形成される。したがってラインセンサー12上のスポット像の強度分布により、合焦状態が図10の(C)のように前ピンであるか図10の(B)のように後ピンであるかを判断できる。
【0005】
また、顕微鏡対物レンズのうち、紫外領域の波長を用いる対物レンズには、特開平6−347700号公報や特開平11−326772号公報に記載されたもの等、高度な色収差補正能力を持つ回折光学素子を備えたものが知られている。
【0006】
これら顕微鏡対物レンズにて用いられている回折光学素子は、例えばオプトロニックス社発行の「光学デザイナーのための小型光学エレメント」第6章、第7章やSPIE NO.162、P.46〜53(1977)あるいは特開平6−347700号公報に記載されている通りで、下記のようなものである。即ちこの回折光学素子は、通常のレンズが屈折作用により光線を折り曲げるのに対して回折作用により光線を曲げるものである。そして、この作用を利用してレンズとして用いたのが回折レンズである。屈折は、スネルの法則にしたがい、波長の短いほど大きく屈折されるのに対し、回折レンズは逆に波長の長い光ほど強く曲がる。これはアッベ数に換算すると、−3.45になり逆分散で、非常に高分散である。したがって、通常の屈折レンズと回折レンズとを組み合わせることによって、非常に良好な色収差補正が可能になる。また、回折による曲がり角は、ピッチを変えることによって自由に制御できるため極めて自由度の高い非球面特性を持たせることが可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図7に示す光学系において、ハーフミラー(ダイクロイックミラー)6が、結像に用いられる波長λ1と合焦検出に用いられる波長λ2とを確実に分離し得ないと、波長λ2の光がハーフミラー6を透過して結像光学系へ達する。この結果、結像光学系にて光源1からの波長λ2の光束をスポット像として結像し、これが観察像と重なって観察しにくくなる。これら結像に用いられる光と合焦検出に用いられる光とが確実に分離されるためには、両波長の間の波長の前後で透過率が大きく変化する特性を有するハーフミラーを用いればよい。但し、このような特性を得るためには、結像に用いる波長λ1と合焦検出に用いる波長λ2とが近接していないことが望ましい。
【0008】
周知のとおり、薄肉屈折レンズの焦点距離fは下記の式(3)にて与えられ、またF線の焦点距離fFとC線の焦点距離fCとの比fC/fFは次の式(4)にて与えられる。
Figure 0004059644
ただし、nは屈折率、r1,r2は夫々第1面および第2面の曲率半径、nF、nC、ndは夫々F−線、C−線、d−線の屈折率、νdはアッベ数である。
【0009】
したがって焦点距離fの変化は、アッベ数の逆数程度であって、この場合おおよそ1.5〜4%増である。
【0010】
一方、回折は、次の式(5)にしたがっておこる。
1sinθ1−n2sinθ2=mλ/p (5)
ただし、n1,n2は夫々領域1,2における屈折率、θ1,θ2は夫々入射角および射出角、mは回折次数、λは波長、pは回折格子のピッチである。
【0011】
したがって、入射角を0°として回折角が十分小さいとすると、波長と回折角とは比例するので、回折光学素子の焦点距離は波長に反比例する。
【0012】
このことから、1次の回折次数におけるfC/fFの値は、下記の式(6)の通りである。
Figure 0004059644
【0013】
したがって、焦点距離の変化はこの場合だとおおよそ26%減である。
【0014】
以上述べたことから、図7に示すような構成の光学系において、対物レンズが屈折レンズのみから構成されている場合、図示されていない結像光学系にて用いられる波長λ1における対物レンズの焦点距離f1と、光源1より発する合焦状態を検出するために用いられる波長λ2における対物レンズの焦点距離f2は、大きく異なることはない。そのため屈折レンズのみで構成されている場合は、波長λ1とλ2を離すことができる。また、対物レンズとして無限遠補正の対物レンズを用いた場合、対物レンズ7からレンズL1までの光束はほぼ平行光束であり、光量の損失はない。
【0015】
また、波長λ2が対物レンズの波長補正範囲外であっても、レンズL1に入射する直前の波面は平面波から大きくずれることはない。そのため、ある対物レンズを使用した時にラインセンサー12上に良好なスポット像が形成されるように光学系を調整しておけば、他の対物レンズに交換してもレンズL1の位置をz方向(光軸方向)に微調整することにより再びラインセンサー12上に良好なスポット像を形成することができる。
【0016】
しかし、回折光学素子を用いる構成では回折光学素子単体の焦点距離は波長に反比例するため、回折光学素子を用いた対物レンズは、波長により焦点距離が大きく異なる。このため、図7に示すような光学系で、回折光学素子を用いた対物レンズを使用する場合、レンズL1の微調整では合焦検出が困難になる。これを避けるためには、波長λ1と波長λ2を近づければよいが、今度はハーフミラーの特性として十分なものが得られないとの問題が生じる。
【0017】
更に、回折光学素子は、通常ある波長λ0(以下基準波長という)、ある回折次数mで最適化された形状にて作製される。ここで基準波長λ0以外の波長λにおける回折効率ηm(λ)は、オプトロニクス社発行の「回折光学素子入門」にも記載されているように、次の式(7)にて与えられる。
Figure 0004059644
【0018】
また、図11は、式(7)にもとづくλ/λ0の値に対するηm(λ)を示したものである。
【0019】
上記式(7)より、使用波長λが基準波長λ0から離れるにつれて回折効率がかなり低下することがわかる。
【0020】
前述の図7に示す光学系において、結像に用いる波長λ1における回折効率が低下すると、この低下した分が不要次数光となり、フレアーや色付きの原因となるため好ましくない。また、検出に用いる波長λ2における回折効率が低下すると、合焦状態にない時のラインセンサー上のスポット像の強度が十分でなくなり、前ピンか後ピンかの判断を行なうことが困難になる。
【0021】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので回折光学素子を用いた対物レンズを備えた光学系で、正確な合焦状態を検出する機能を備えた観察光学系を提供するものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の観察光学系は、光源からの光を標本上に導く照明光学系と、標本の像を観察側に導く対物レンズを含む結像光学系と、合焦状態を検出する合焦光学系とを有し、合焦光学系が対物レンズを含みつまり同一の対物レンズが結像光学系の一部を形成すると共に合焦光学系の一部を形成するように共通に用いられ、この対物レンズが少なくとも1枚の回折光学素子含んでおり、結像に用いる波長λ1の光線が回折光学素子にて回折する際の回折効率が最大になる回折次数Aと、合焦状態を検出する際に用いる波長λ2の光線が回折光学素子にて回折する際の回折効率が最大になる回折次数Bとが互いに異なるように構成したものである。
【0023】
本発明の観察光学系は、上記のように構成することによって二つの波長λ1、λ2が近接していなくとも、波長λ1の回折効率と波長λ2の回折効率を同時に十分に高くすることができる。例えば波長λ1の2次回折光の回折効率が十分高くなるように回折面を形成して、波長λ2を波長λ1の2倍波長の近辺にとればよい。また、波長λ1の回折次数Aは2次を越える整数であってもよい。しかも、波長λ1と波長λ2の焦点位置のずれも少なくなるので、合焦検出も容易に行なえる。また、波長λ1と波長λ2の値を離すことができるので、ハーフミラーの特性も十分なものが得られる。
【0024】
また、本発明の観察光学系は、波長λ1における対物レンズの焦点距離f1と波長λ2における対物レンズの焦点距離f2とが次の条件(1)を満足するものである。
(1) 0.7<f2/f1<1.1
【0025】
条件(1)においてf2/f1が上限の1.1を超えると、対物レンズの射出瞳位置から合焦光学系へ向かう光束が発散光束になり、光量の損失を招き、合焦状態にない時のラインセンサー上のスポット像が十分な強度にはならず、不都合である。またf2/f1が下限の0.7を下まわると、対物レンズの射出瞳位置から合焦光学系へ向かう光束が収斂光束になり、ラインセンサー上で良好なスポット像を得ることが困難になる。したがって対物レンズの射出瞳から合焦光学系へ向かう光束がほぼ平行な光束になることが好ましい。つまり条件(1)を満足することが好ましい。
【0026】
また、上記構成の本発明の観察光学系において、波長λ1における回折次数Aでの回折効率が50%以上であることが望ましい。このようにすれば、結像光学系へ向かって結像に寄与する光束の光量を十分確保することが可能になる。
【0027】
また、本発明の観察光学系において、前記波長λ1における対物レンズの物体側開口数NA1と、前記波長λ2における対物レンズの物体側開口数NA2とが次の条件(2)を満足することが望ましい。
(2) NA1/2<NA2<NA1
【0028】
対物レンズを設計する場合、まずNA1を定め、これよりも開口数の大きい光線は通らないように対物レンズの内部に開口絞りを設けるのが一般的である。
【0029】
そして一般に、収差補正の波長範囲は、結像に用いられる波長帯でのみ行なわれる。そのため、本発明の観察光学系の対物レンズにおいて、合焦検出で用いる波長λ2は、前記の収差補正の波長範囲内に入っていない。したがって、NA1とNA2をほぼ同じ値にすると、開口数の大きな光線で収差が発生するため、合焦検出の精度が悪くなる。
【0030】
更に、本発明の観察光学系は、回折光学素子を含む対物レンズを使用しており、波長λ1の光に対して回折光学素子の非球面効果、色収差補正効果を利用して集中的に収差補正を行なっている。しかしながら、波長λ2の光に対しては収差補正されていないため、開口数の大きな光線で発生する収差は更に大になる。つまり図7に示す光学系において、対物レンズの射出瞳から合焦光学系へ向かう光束がレンズL1に入射する直前の波面は、平面波または球面波から外れ、周辺部で大きく乱れたものになる。そのため入射面を、レンズL1を用いて中間像位置13に良好なスポット像として結像することが困難になる。この結果合焦精度が低下する。
【0031】
また、NA2がNA1/2を下回ると、中間像位置13におけるスポット像は良好なものが得られるが、開口数の2乗に反比例する成分をもつ焦点深度が大きくなりすぎ、標本面が合焦位置からはずれた状態でも中間像位置13におけるスポット像が良好になり、合焦検出の精度が低下する。そのため、NA2は条件(2)の範囲内であることが望ましい。
【0032】
また、回折次数Aに比べて回折次数Bの方が小さいことが好ましい。具体的には回折次数Aが2、3、−3、−2のいずれかであり、回折次数Bが1または−1であることが望ましい。
【0033】
回折光学素子の回折面の形状は、キノフォーム形状という図12に示すような形状か、それを階段近似した図13に示すような形状をしている。薄型近似において、ある波長でキノフォーム形状で最適化した回折格子の回折効率は100%になることが知られている。最適化するということは、キノフォーム形状の溝の深さdを決定することである。キノフォーム形状の溝の深さdは、基板の屈折率n、波長λ、回折次数mとすると次の式にて与えられる。
d=mλ/(n−1)
【0034】
結像に用いる波長λ1を250nm、回折次数Aを3とし、合焦状態を検出する際に用いる波長λ2を750nm、回折次数Bを1とすると、最適な溝の深さdは前者と後者で一致する。したがって、この溝の深さの回折光学素子を用いればいずれも100%の回折効率が得られる。
【0035】
なお、λ2を750nmにした時、条件(1)を満足しない場合は、波長λ2の方を徐々に変化させて条件(1)を満足する波長を見つければよい。この場合、回折効率は100%から低下するが、図11より明らかなように、回折次数が1のときは、多少波長を変化させても回折効率は高いままであり、回折効率が大きく落ちて合焦検出ができないことはない。
【0036】
逆に数式(1)が満たされない際に、波長λ1の方を変化させると、結像光学系のフレアの原因になる不要次数光が発生する上、回折効率の低下が顕著であるので避けた方がよい。また、この場合は回折次数Aが3である場合を例に取ったがこれが2でも同様である。
【0037】
回折次数Aが4以上の値をとるときには、λ2はλ1の4倍程度、もしくはそれ以上の長い波長となっている。良好なスポット像の焦点深度というのは波長に比例するので、合焦状態の検出に長い波長を用いると、焦点深度が大きくなり、結像光学系おいては合焦状態にないのに、合焦状態である誤検出が起こる可能性が高くなる。また、回折光学素子の半径方向の分割数が減ってくるため、輪帯数が減り設計の自由度が減ってしまい、最適な形状を持つ回折光学素子が設計できなくなる。更に、図7を見てもわかるように、回折次数を高次にすると中心波長からずれた場合の回折効率が大きく低下する。これらのことより、回折次数Aが4以上の値をとるのは望ましくない。
【0038】
回折次数Aが負の値をとるというのは、例えば凸レンズと凹レンズのように光線の出射角が反対になることを意味しているので、例えば数式(8)で最適溝深さを計算する時にはmは正として取り扱ってもよい。
【0039】
【発明の実施の形態】
まず本発明の実施例において用いられている回折光学素子(回折レンズ)について詳細に説明する。
【0040】
このような回折光学素子(回折レンズ)の設計法としてウルトラ・ハイ・インデックス法と呼ばれる方法が知られている。それは、回折光学素子(回折レンズ)を、屈折率が極めて大きな仮想レンズ(ウルトラ・ハイ・インデックス・レンズ)として設計する方法である。この設計方法については、前述の文献SPIE、No.162,46−53頁(1977年)に記載されている通りで、図14をもとに説明する。
【0041】
図14において、15はウルトラ・ハイ・インデックス・レンズ、16は法線である。
【0042】
このウルトラ・ハイ・インデックス・レンズ15は、次の式(a)に示す関係が成り立つ。
(nu−1)dz/dh=nsinθ−n’sinθ’ (a)
ただし、nuはウルトラ・ハイ・インデックス・レンズ15の屈折率(実施例1、2ではλ=254nmにおいてnu=10001としている)、zはウルトラ・ハイ・インデックス・レンズ15の光軸方向の座標、hは光軸からの距離、n、n’は夫々入射側媒質および射出側媒質の屈折率、θ、θ’は光線の入射角および射出角である。
【0043】
また、回折による光線の屈曲は、下記式(b)にて表わされる。
nsinθ−n’sinθ’=mλ/d (b)
【0044】
式(a)、(b)より次の式(c)が導かれる。
(nu−1)dz/dh=mλ/d (c)
【0045】
即ち、ウルトラ・ハイ・インデックス・レンズ15の面形状と回折光学素子(回折レンズ)のピッチとの間には式(c)にて与えられる等価関係が成り立ち、この式をもとにウルトラ・ハイ・インデックス法により設計したデータから回折光学素子(回折レンズ)のピッチを求めることができる。
【0046】
また、ウルトラ・ハイ・インデックス・レンズ15を非球面レンズとして設計し、非球面特性を有する回折光学素子(回折レンズ)として設計できる。
【0047】
また、ウルトラ・ハイ・インデックス・レンズを設計する際、波長λに対する屈折率nu(λ)は、下記式(d)にて与えられる。
u(λ)−1=(λ/λO)×{nu(λO)−1}×(j/k) (d)
ただし、λOは基準波長、jは光線追跡時の回折次数、kは設計時の回折次数である。
【0048】
次に本発明の観察光学系の実施の形態を図示する実施例にもとづき説明する。
【0049】
本発明の観察光学系は、図7に示すような構成でこの光学系のうちの、対物レンズ7、結像レンズ(レンズL1)として、図1乃至図4に示す構成で下記データを有するものを備えた光学系である。
【0050】
Figure 0004059644
Figure 0004059644
【0051】
Figure 0004059644
Figure 0004059644
ただし、r1、r2、・・・は各レンズ面の曲率半径、d1、d2、・・・は各レンズの肉厚および空気間隔、nは屈折率、WDは作動距離、φは実視野である。
【0052】
前記実施例のうち、実施例1は図1、図2に示す通りの構成で、図1は対物レンズ(r1〜r23)、図2は図7中のL1に相当する結像レンズ(r25〜r29)である。またr24は胴付位置を示し、その位置はレンズ(r22〜r23)を基準としている。そのためにデータ中のd23はマイナスで示してある。又データ中r30は中間像面である。
【0053】
また、DOEは回折光学素子で石英よりなる平行平面板の像側に非球面特性を有する回折面 を設けたものである。この回折光学素子は、光軸方向をZ軸、光軸に垂直な方向をy軸とした時、次の式(8)にて表わされる非球面特性を有するものである。
Z=Cy2/[1+{1−(1+k)C221/2]+A44+A66+A88+A1010+・・・(8)
上記式で、Cは基準球面の曲率、k、A4、A6、A8、A10、・・・は非球面を表わす係数であり、それらの値はデータ中に示してある。
【0054】
この実施例1の図1に示す対物レンズは、無限遠設計で、図2に示す結像レンズL1を用いて中間像を形成する。
【0055】
この実施例1の対物レンズの焦点距離fは、f=1.8mmで、実視野φはφ=0.06mmであり、焦点距離f1がf1=180mmの結像レンズを用いた時に視野数φTが6mmで倍率が100倍の対物レンズになる。
【0056】
実施例2は図3、図4に示す通りで、図3は対物レンズ(r1〜r26)、図4は結像レンズL1(r28〜r32)である。この実施例2のデータ中胴付位置はr27で、d26は同様にマイナスである。又データ中r30は中間像面である。
【0057】
この実施例2の図3に示す対物レンズは、無限遠設計で、図4に示す結像レンズを用いて中間像を形成する。
【0058】
この実施例2は、対物レンズのうちの石英よりなる凸レンズ(r7〜r8)がその像側の凸面r8に回折面r9を設けた回折レンズ、またメニスカスレンズ(r22〜r23)が、像側の凸面r23に回折面r24を形成した回折レンズである。
【0059】
これら回折レンズの回折面も式(8)に示す非球面の特性を有するもので、非球面係数k、A4、A6、・・・はデータ中に記載する通りである。
【0060】
この実施例2は、対物レンズが無限遠設計であって、その焦点距離がf=1.8mmで、実視野がφ=0.2mmであり、焦点距離f1=180mmの結像レンズを用いた時に視野数20mmで100倍の対物レンズになる。
【0061】
上記実施例1、2のうち、対物レンズは、レンズの材料が石英と蛍石とよりなり、これら材料の各波長に対する屈折率は下記の通りである。
Figure 0004059644
【0062】
また、上記実施例では、λO=254nm、nu(λO)=10001で,j=kとした時波長λ=253nm、251nm,248nm、245nm、243nmの屈折率は、次の通りである。
Figure 0004059644
【0063】
実施例1は、結像に用いる波長λ1が248nm±で5nmの範囲で収差が補正されている。そして合焦状態を検出する際に用いる波長λ2は689nmである。また、その時の石英と蛍石の屈折率は、1.455621、1.431964である。なお、レンズL1は結像には用いないため689nmにおける屈折率はデータに示す通りである。
【0064】
また、波長689nmの1次回折光に対するウルトラ・ハイ・インデックスは、式(d)においてj=1、k=2として、前記λ1=248±5nmに対する屈折率nu(λ)=13563.99213である。
【0065】
また、キノフォーム形状をしているDOEの回折面の溝の深さは248nmの2次回折光で最適化されている。この場合、2倍波長の496nmの1次回折光においても回折効率は100%になるので、λ2=496nmにすると良いが、この波長では条件(1)を満足しない。そのため496nmから長波長側に波長を変化させて、条件(1)を満足する波長をさがすことになる。この結果λ2=689nmとなる。この時の689nmの1次回折光の回折効率は式(7)から77%になる。
【0066】
次に実施例2は結像に用いる波長λ1が257nmで±3nmの範囲で収差が補正されている。一方、合焦状態を検出する際に用いる波長λ2は705nmで、その時の石英と蛍石の屈折率は夫々、1.455181と1.431683である。また、レンズL1は結像に用いないため波長λ2=705nmにおける屈折率はデータに示す通りである。
【0067】
また、波長705nmの1次回折光に対するウルトラ・ハイ・インデックスは、式(d)より、j=1、k=2として13878.95276である。
【0068】
また、キノフォーム形状をしているDOEの回折面の溝の深さは257nmの2次回折光で最適化されている。2倍波長の514nmの1次回折光においても回折効率は100%になるが、実施例1と同様に条件(1)を満足するλ2は705nmとなる。この時の705nmの1次回折光の回折効率は式(7)から78%になる。
【0069】
このように実施例1、2共に波長λ1と、λ2における回折光学素子による回折効率が最大の時の次数が異なっている。
【0070】
また、データ中に示すように実施例1、2共に条件(1)、(2)を満足する。
【0071】
これら実施例1、2の球面収差は、夫々図5、6に示す通りである。
【0072】
上記実施例において、結像に用いる波長λ1の値は実施例1では248nm、実施例2では257nmというように、300nm以下の短い波長である。一方、合焦状態を検出するための波長λ2は689nmと705nmとなっている。このようにλ1とλ2を離すことができるので、λ1とλ2を十分分離できる特性をハーフミラー(ダイクロイックミラー)に持たせることができる。
【0073】
しかも、通常、結像に用いる波長が300nm以下だと、対物レンズを構成するレンズの硝材がかなり限定されてくる。そのため、波長λ1の光に対して収差を十分補正した上で、波長λ1から離れた波長λ2の光が条件(1)を満足するようにすることは困難であるが、本発明では波長λ1の光の回折次数(A=2)と波長λ2の光の回折次数(B=1)を異ならせることによって、波長λ1と波長λ2が離れているにもかかわらず焦点距離のずれを僅かに抑えている。
【0074】
参考のために、波長λ1と波長λ2の回折次数が同じ場合は、波長λ2はせいぜい波長λ1の20%程度しか離せない。(例えば、λ1=300nmだとλ2=360nm)これは、これ以上波長λ1と波長λ2を離すと、条件(1)を満足することができないか、波長λ2の光に対して収差が良好に補正できないからである。また、λ2を360nmに設定したとしても、波長λ1と波長λ2の差は僅か60nmである。よって、波長λ1と波長λ2を分離する特性をハーフミラーに持たせることが困難になる。
【0075】
このように、回折次数が同じ場合は、波長λ1の波長が短くなればなるほど波長λ1と波長λ2の差が小さくせざるを得なくなり、実質的に合焦検出が困難になる。これに対して、本願発明では、λ1の波長が短くなっても波長λ1と波長λ2の差を大きくすることができるので、合焦検出が可能になる。特に、硝材が限られる300nm以下の波長において本願発明の構成は有効といえる。
【0076】
なお、波長λ1の波長が300nm以上の場合、例えばλ1=550nmの場合、λ2=660nmとなる。この場合の焦点距離の変化は−17%となり、波長λ1と波長λ2の差は110nmなので、ハーフミラーの特性にも問題はない。よって、合焦検出は可能になるが、焦点距離の変化の補正のための様々な処理が必要になるので、本願発明の構成に比べるとやはり劣ると言わざるを得ない。
【0077】
本発明の構成は、以上述べた通りであって、次の各項に記載する観察光学系も本発明の目的を達成し得る。
【0078】
(1) 特許請求の範囲の請求項1、2または3に記載する光学系で、波長λが300nm以下であることを特徴とする観察光学系。
【0079】
(2) 特許請求の範囲の請求項1、2または3または前記の(1)の項に記載する光学系で、対物レンズの波長λ1における物体側開口数をNA1、対物レンズの波長λ2における物体側の開口数をNA2とすると下記の関係(2)を満足することを特徴とする観察光学系。
(2) NA1/2<NA2<NA1
【0080】
(3) 特許請求の範囲の請求項1、2または3または前記の(1)、(2)または(3)の項に記載する光学系で、回折次数Aが2、3、−2、−3のいずれかの次数であり、回折次数Bが1もしくは−1であることを特徴とする観察光学系。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、回折光学素子を用いた対物レンズを備えた構成であっても、高精度の合焦検出が可能な機構を備えた光学系を実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の観察光学系の実施例1の対物レンズの断面図
【図2】 前記実施例1の結像レンズの断面図
【図3】 本発明の観察光学系の実施例2の対物レンズの断面図
【図4】 前記実施例2の結像レンズの断面図
【図5】 前記実施例1の収差図
【図6】 前記実施例2の収差図
【図7】 従来の焦点検出装置の光学系の概略図
【図8】 図7に示す光学系の対物レンズの入射瞳面上の説明図
【図9】 図7の光学系の標本付近の説明図
【図10】 図7の光学系のラインセンサー上のスポット像を示す図
【図11】 回折効率の波長依存性を示すグラフ
【図12】 キノフォーム形状(回折面)の断面図
【図13】 キノフォーム形状を階段近似した形状の断面図
【図14】 ウルトラ・ハイ・インデックス法の説明図

Claims (3)

  1. 波長λ1の光を含む第1の光源と、該第1の光源からの光を標本上に導く照明光学系と、対物レンズを介して前記標本の像を形成する結像光学系と、波長λ2の光を含む第2の光源を有し合焦状態を検出する合焦検出光学系とを備え、前記第1の光源からの光と前記第2の光源からの光を前記対物レンズと通して前記標本上に照射する観察光学系であって、前記波長λ1の光における回折効率が最大になる回折次数をA、前記波長λ2の光における回折効率が最大になる回折次数をBとした時、前記対物レンズが前記回折次数Aと前記回折次数Bとが異なるような回折面を有する回折光学素子を少なくとも1つ有する観察光学系。
  2. 前記波長λ1、および前記波長λ2における対物レンズの焦点距離を夫々f1およびf2とした時、下記条件(1)を満足する請求項1の観察光学系。
    (1) 0.7<f2/f1<1.1
  3. 前記波長λ1における回折光学素子の前記回折次数Aでの回折効率が50%以上である観察光学系。
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