JP4058292B2 - プリント基板加工機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工具を回転自在に保持するスピンドルをキャレッジにより水平方向に位置決めし、スピンドルを工具の軸線方向に移動させて加工をするプリント基板加工機に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来のプリント基板加工機における第1のスピンドル装置を示す要部断面図である。
同図において、スピンドル17はキャレッジ15に固定されている。スピンドル17の内部には、図示を省略する電動機が設けられており、先端に保持したドリル16を回転駆動する。キャレッジ15は、ガイドベアリング51を介してガイドバー52により上下方向に案内される。ガイドバー51の両端は、支持プレート53を介してクロススライド11に固定されている。クロススライド11は、紙面に垂直な方向に移動自在である。キャレッジ15に固定されたナット54はボールねじ13に螺合している。ボールねじ13は、クロススライド11に固定されたモータ14により回転駆動される。
そして、モータ14を動作させ、ボールねじ13を回転駆動することにより、キャレッジ15すなわちドリル16を上下させる。
【0003】
図7は、従来のプリント基板加工機における第2のスピンドル装置を示す要部断面図であり、図6と同じものまたは同一機能のものは同一の符号を付して説明を省略する。
スピンドル17は、キャレッジ15に設けられたエアベアリング61により水平方向に位置決めされると共に、上下方向に移動自在である。
【0004】
前者の場合、ガイドバー51の剛性を大きくできるため、加工した穴の軸線が垂直になり、品質に優れる穴を加工することができる。しかし、キャレッジ15を上下させることによりスピンドル17を上下させるため、可動部の重量が増加し、モータ14の容量を大きくする必要があった。また、加工速度を速くすることができなかった。
【0005】
また、後者の場合、スピンドル17だけを上下させるから、モータ14の容量を小さくできるだけでなく、加工速度を速くすることができる。しかし、剛性が小さいため、加工した穴の軸線が傾き、穴の品質が低下した。また、エアを使用するため、ランニングコストが高くなった。
【0006】
そこで、特開2002−96298号では、工具を回転自在に保持するスピンドルを、回転体とこの回転体を保持するリテーナとからなる直線案内装置を介してキャレッジに支持させ、作業能率および加工精度を向上させると共に、ランニングコストを低減させている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開2002−96298号に開示された技術の場合、直線案内装置を防塵することについては考慮されていない。
通常、プリント基板加工機は室温がほぼ一定、かつ塵埃が少ない環境で使用される。また、加工により発生する加工屑等は吸塵装置により加工部から外部に排出される。しかし、発生した加工屑等を完全に除去することはできない。このため、加工により発生した加工屑等が直線案内装置に付着してしまい、加工速度が低下する場合があった。
また、付着した加工屑等により直線案内装置が損傷し、加工精度が低下してしまう場合があった。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術における課題を解決し、加工速度を低下させることがなく、かつ保守点検が容易なプリント基板加工機を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、工具を回転自在に保持するスピンドルと一体のハウジングを回転体とこの回転体を保持するリテーナとからなる直線案内装置を介してキャレッジに支持させ、このキャレッジを水平方向に位置決めすると共に、前記ハウジングを前記工具の軸線方向に移動させて加工をするプリント基板加工機において、前記キャレッジの前記軸線方向の側面に、軸線方向が前記キャレッジの前記軸線方向と直交する方向であり、前記ハウジングの下端が最上段の前記回転体に当接された時の前記直線案内装置の下端を軸線方向の上端側で位置決めする位置決めバーが挿入される位置決め穴を形成し、この位置決め穴に防塵のためのフィルタユニット配置すると共に、前記キャレッジの前記軸線方向の両端に防塵手段を配置したことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1は本発明に係るプリント基板加工機の斜視図であり、図6と同じものまたは同一機能のものは同一符号を付して説明を省略する。同図において、プリント基板1はテーブル2に固定されている。テーブル2はベッド3に固定された一対の直線案内装置4上を、前後(X)方向に移動自在である。モータ5は、テーブル2をX方向に位置決めする。
【0011】
門形のクロスレール7がテーブル2を跨ぎ、ベッド3に固定されている。クロススライド11は、クロスレール7に固定された一対の直線案内装置8上を、左右(Y)方向に移動自在である。モータ10及びボールネジ9は、クロススライド11をY方向に位置決めする。
クロススライド11には、モータ14とキャレッジ15が固定されている。キャレッジ15には、スピンドル17が上下(Z)方向に移動自在に支持されている。スピンドル17に保持された図示を省略するナットがボールねじ13に螺合している。制御装置18は各部の動作を制御する。
【0012】
図2は、キャレッジ15をドリル16の回転の軸線Oに沿って断面した図である。また、図3は、図2におけるA部拡大図、図4はプレート71の平面図である。
スピンドル17の外周には、断面を八角形に形成したハウジング20が固定されている。キャレッジ15には、ハウジング20と相似形の穴15aが形成されている。ハウジング20の外面20aと穴15aの内面15nとの間には、直線案内装置19が配置されている。直線案内装置19は円筒ころ19aと円筒ころ19aを回転自在に支持する保持板(リテーナ)19bとから構成されている。円筒ころ19aは、予圧を付加された状態で、外面20aと内面15nに接している。リテーナ19bの上下方向の中央にはピン25が固定されている。ピン25に対向する内面15nには、溝15bが設けられている。溝15bは、軸線が軸線Oと平行の穴15cに連通している。
【0013】
ピン25とシールユニット70および下カバー85との間には、コイルばね21、22がそれぞれ配置されている。コイルばね21、22の仕様は同一であり、ばね定数はk、自由長はピン25とシールユニット70および下カバー85との距離Mよりもmだけ長いM+mである。すなわち、スピンドル17(すなわちハウジング20)が基準位置にある時、ばね21、22は、mだけ圧縮された状態であり、それぞれkmの力でピン25を付勢している。
【0014】
キャレッジ15の上端にはシールユニット70が配置されている。シールユニット70は、図3に示すように、プレート71と、受け板72と、ソフトワイパ73と、ダストワイパ74と、上カバー75とから構成されている。
図4に示すように、プレート71には、内径がハウジング20の内接円、外径がハウジング20の外接円に略等しい円形のグリース溝80が形成されている。グリース供給穴81は軸線Oを中心として点対称の位置に2個配置され、プレート71の外周側とグリース溝80とを連通している。グリース溝80の内側の側面には切欠き82a、82bが形成されている。切欠き82a、82bは直線案内装置19の中心に合わせて形成されており、その面積はグリース供給穴81から遠ざかるに従って大きく形成されている(すなわち、切欠き82bの面積は切欠き82aの面積よりも大きい)。プレート71は図示を省略するボルトによりキャレッジ15の上端に固定されている。また、グリース供給穴81には図示を省略するグリスニップルが螺合される。
【0015】
受け板72は、グリース溝80を塞ぐと共に、ソフトワイパ73の変形を防止する。受け板72の内面72aとハウジング20との間には0.1mm程度の隙間が設けられている。
【0016】
ソフトワイパ73はフェルト系の材料で形成されており、予め内部にグリースを含ませてある。ソフトワイパ73の内面73aはハウジング20に隙間無く接するように形成されている。
【0017】
ダストワイパ74は例えばフッ素樹脂系の材料で形成されており、内面74aとハウジング20との間には0.1mmの隙間が設けられている。ダストワイパ74はソフトワイパ73の変形を防止すると共に、ソフトワイパ73に先立って0.1mmよりも大きい加工屑等がキャレッジ15の内部に進入することを防止する。
上カバー75は、図示を省略するボルトを介して、受け板72、ソフトワイパ73、ダストワイパ74をまとめてプレート71に固定している。
【0018】
キャレッジ15の下端には下カバー85が配置されている。下カバー85の内径側には円周方向の溝が上下方向に2段形成されており、上段(ハウジング20に近い側)にはソフトワイパ73が、また下段側にはダストワイパ74が装着されている。下カバー85は図示を省略するボルトによりキャレッジ15の下端に固定されている。下カバー85の上面には油溜り85aが形成されている。
キャレッジ15の側面には、位置決め穴90が形成されている。位置決め穴90の外側には、ねじ穴91が形成されている。
ねじ穴91には、内部にフィルタ92を保持するフィルタユニット93が螺合されている。
【0019】
次に、直線案内装置19とハウジング20をキャレッジ15に組み込む手順について説明する。なお、予めキャレッジ15に下カバー85を固定しておく。
図5に示すように、位置決め穴90に位置決めバー100を挿入し、この状態で、直線案内装置19を下端19aが位置決めバー100に当接するまで穴15aに挿入する。
次に、ハウジング20の下端を最上段の円筒ころ19aに当接させ、この状態で、位置決めバー100を位置決め穴90から引き抜く。すると、ハウジング20は直線案内装置19に案内されながら、直線案内装置19と共にキャレッジ15に対して適切な位置に位置決めされる。直線案内装置19の上端をハウジング20の上端よりも下げた状態で、シールユニット70をキャレッジ15に固定する。また、フィルタユニット93をねじ穴91に螺合させる。
【0020】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
モータ14によりボールねじ13を回転させると、ハウジング20はキャレッジ15に対して上下方向に移動する。ハウジング20が下降する際、ハウジング20の外周に付着していた加工屑等のうち、大きいものはダストワイパ74により除去される。また、ダストワイパ74により除去されなかった加工屑等は、ソフトワイパ73により確実に除去され、キャレッジ15の内部には進入しない。
また、ハウジング20と下カバー85との間に挾まれる空間内の空気は、溝15bを通り、位置決め穴90およびフィルタユニット93を通りキャレッジ15の外部に排出されるので、ハウジング20の移動速度が低下することはない。
【0021】
また、ハウジング20が上昇すると、ハウジング20の外周に付着していた加工屑等のうち、大きいものは下カバー85に配置されたダストワイパ74により除去される。また、ダストワイパ74により除去されなかった加工屑等は、ソフトワイパ73により確実に除去され、キャレッジ15の内部には進入しない。
また、ハウジング20とシールユニット70との間に挾まれた空間内は負圧になるが、位置決め穴90およびフィルタユニット93を通り外部の空気がキャレッジ15の内部に供給されるので、ハウジング20の移動速度が低下することはない。そして、キャレッジ15の内部に供給される空気は、フィルタユニット93を介してキャレッジ15の内部に供給されるので、加工屑等がキャレッジ15の内部に進入することはない。
【0022】
ところで、ハウジング20(すなわちスピンドル17)を基準位置からLだけ下方に移動させると、直線案内装置19はL/2だけ下方に移動する。
よく知られているように、円筒ころ19aとリテーナ19bとからなる直線案内装置19の場合、移動を繰り返すと、ハウジング20あるいはキャレッジ15に対する直線案内装置19の位置がずれることがある。
すなわち、スピンドル17をLだけ移動させたとき、円筒ころ19aと外面17aあるいは内面15nとの間に滑りがなければ、リテーナはL/2だけ移動するが、実際には微小な滑りが発生するため、通常、移動を繰り返すうちにずれが顕著になる。
【0023】
しかし、この実施形態では、以下のように動作するため、直線案内装置19の位置がずれることはない。
すなわち、いま、円筒ころ19aと外面17aあるいは内面15nとの間にΔzの滑りが発生し、直線案内装置19がハウジング20に対してΔzだけ図の下方にずれたとする。この場合、ばね22はk(m+Δz)の力でピン25を上方に付勢する。一方、ばね21は伸びるから、k(m−Δz)の力でピン25を下方に付勢する。この結果、ピン25は2kΔzの力で上方に付勢され、直線案内装置19が基準位置に戻ると、ピン25は当初の位置に戻る。
【0024】
以上説明したように、直線案内装置19は基準位置に戻る毎に位置が補正され、ハウジング20およびキャレッジ15に対してずれが発生することはない。
この実施形態では、直線案内装置19を位置決めするための位置決め穴90とエア抜きの穴とを兼用するようにしたので、加工する穴の数を減らすことができる。
【0025】
また、位置決め穴90を設けたので、例えばユーザが直線案内装置19を交換する場合も、作業を確実かつ容易に行うことができる。
【0026】
さらに、プレート71にグリース溝80を設け、切欠き82a、82bを介して直線案内装置19にグリースを供給するようにしたので、グリースの供給個所を直線案内装置19の数に対して遥かに少なく、保守作業が容易である。
なお、エア抜きのための穴を位置決め穴90と共用せず、他の位置に設けるようにしてもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、工具を回転自在に保持するスピンドルを回転体とこの回転体を保持するリテーナとからなる直線案内装置を介してキャレッジに支持させ、このキャレッジを水平方向に位置決めすると共に、前記スピンドルを前記工具の軸線方向に移動させて加工をするプリント基板加工機において、前記キャレッジに防塵手段を配置し、前記直線案内装置を外部から遮断するので、加工速度を低下させることがない。また、保守点検が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリント基板加工機の斜視図である。
【図2】キャレッジ15をドリル16の回転の軸線Oに沿って断面した図である。
【図3】図2におけるA部拡大図である。
【図4】プレート71の平面図である。
【図5】直線案内装置19とハウジング20をキャレッジ15に組み込む手順の説明図である。
【図6】従来技術の説明図である。
【図7】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
15 キャレッジ
17 スピンドル
20 ハウジング
19 直線案内装置
19a 円筒ころ
19b 保持板
73 ソフトワイパ
74 ダストワイパ
70 シールユニット
85 下カバー
Claims (1)
- 工具を回転自在に保持するスピンドルと一体のハウジングを回転体とこの回転体を保持するリテーナとからなる直線案内装置を介してキャレッジに支持させ、このキャレッジを水平方向に位置決めすると共に、前記ハウジングを前記工具の軸線方向に移動させて加工をするプリント基板加工機において、
前記キャレッジの前記軸線方向の側面に、軸線方向が前記キャレッジの前記軸線方向と直交する方向であり、前記ハウジングの下端が最上段の前記回転体に当接された時の前記直線案内装置の下端を軸線方向の上端側で位置決めする位置決めバーが挿入される位置決め穴を形成し、
この位置決め穴に防塵のためのフィルタユニット配置すると共に、前記キャレッジの前記軸線方向の両端に防塵手段を配置したことを特徴とするプリント基板加工機。
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