JP4057917B2 - ヘッドレスト - Google Patents

Description

本発明はヘッドレストに関するものであり、特に、自動車の座席用のヘッドレストに関するものである。

従来、自動車に装備されているヘッドレストは、布、合成材料、又は皮製のカバーで覆われた合成発泡体製のクッションを備えている。そして、クッションは、２本の平行なアンカー・ロッドを自動車の座席の上部に設けられたハウジング・スリーブに取り付けるための固い挿入物を内包している。

また、あるヘッドレスト構造体では、アンカー・ロッド間の距離を調節することはできなかった。そのため、ヘッドレストを製造する際は、ヘッドレストが取り付けられる座席に設けられたハウジング・スリーブ間の距離に対応させて、異なる種類のヘッドレストを製造することが必用となる。

また、米国特許出願第6,022,078号、ドイツ特許出願第19,652,591号、フランス特許出願第2,796,017号などにおいて開示されている他の公知のヘッドレストでは、アンカー・ロッド間の距離は可変であるが、これらのアンカー・ロッドを距離が可変できるようにして、クッションの内部へ取り付けるのは、比較的面倒であった。

さらに、米国特許出願第5,713,633号、ドイツ特許出願第19,601,582に見られるように、最近のヘッドレストには、モニタ（特に、ＤＶＤプレーヤーやゲーム機などに用いられる液晶ディスプレイタイプのもの）が埋め込まれている。モニタは、自動車の後部座席から利用できるように、ヘッドレストの後面に埋め込まれている。このモニタの存在が、ヘッドレスト内に設けられる本体部材の構成をさらに複雑にする。

本発明の第１の目的は、距離が可変であるアンカー・ロッドが埋め込まれており、簡素に構成されていて、取り付けが容易である、新規なヘッドレスト構造体を提案することにある。

この目的を達するために、本発明に係るヘッドレストでは、その上端から直角方向に延びる、ネジ山が形成されたシャフトを有したアンカー・ロッドを備えている。各シャフトは、本体部材の端部（その内面には適したネジ溝が形成されている）にそれぞれねじ込まれる。また、本体部材は、クッションに内包された支持体に設けられた固定手段に取り付けられる。

好ましい実施形態によれば、アンカー・ロッドに設けられたシャフトには、本体部材と接するためのロックナットが取り付けられる。このロックナットによれば、アンカー・ロッドの位置を固定することができる。

さらに、好ましい実施形態によれば、前記本体部材は円筒型のスリーブであり、薄板状のＵ字形固定部材の湾曲部により保持される。Ｕ字形固定部材は、支持材に耳状に形成された係止部を取り囲んだ後、ボルトとナットとによって取り付けられる。

前記支持体は、好ましくは、円筒型のスリーブと、アンカー・ロッドの上端から直角方向に延びるネジ山が形成されたシャフトを受け入れるための凹部を有している。この凹部は、支持体の前面側に形成してもよいし、裏面側に形成してもよい。また、この凹部は、係止部の真下に位置しており、アンカー・ロッドを挿通させるための、下方に延びる挿通孔を有している。この挿通孔は、アンカー・ロッド間の変動し得る距離に対応することができる。

また、支持体における、係止部の真下となる位置には、Ｕ字形固定部材を挿通させるため、かつ、Ｕ字形固定部材の位置決めを補助するための開口部が形成されている。

また、アンカー・ロッドの外径と、座席の上部に設置されるハウジング・スリーブの内径とを補正するためのアダプタ・スリーブを用意しておくと便利である。アダプタ・スリーブは、自身をハウジング・スリーブに係止させるための上部フランジを有していることが好ましい。

本発明の第２の目的は、例えば、ＤＶＤプレーヤーやゲーム機などに用いられる液晶ディスプレイタイプのモニタが一体化された、新規な簡素に構成されたヘッドレスト構造体を提供することにある。

本発明によれば、前記モニタはヘッドレストの後面に埋め込まれており、支持体に埋め込まれた状態で取り付けられているケーシングに固定されている。

また、好ましい実施形態によれば、モニタケーシングは、ヘッドレストの後面の開口部に埋め込まれる。前記開口部の外周には剛性を有するフレームが設けられている。前記開口部の幅は前記ケーシングの幅と一致している。フレームの内端は、前記支持体と衝当する。そして、モニタケーシングの底部は、止めネジにより支持体に固定され、ケーシングの表面側には、外向するフランジが設けられている。フランジは、前記フレームの外端と衝当する。

ヘッドレストのクッションを構成している合成発泡体は、フレーム上に成形するとよい。

さらに、本発明では、前記アンカー・ロッドは中空に形成されており、その中空部に、前記モニタ用の電源ケーブルが挿通されている。

発明の概要

本発明は、ヘッドレスト（特に、自動車の座席用のヘッドレスト）に関するものであり、２本の平行なアンカー・ロッド６を座席７に取り付けるための支持材１２を内包した合成発泡体製のクッション２を備えている。

各アンカー・ロッド６は、その上端から直角方向に延びる、ネジ山が形成されたシャフト１８を有しており、各シャフト１８は、その内部にネジ溝が形成された円筒型のスリーブ１９の両端部にそれぞれねじ込まれる。

ロックナット２２は、アンカー・ロッド６のシャフト１８が、円筒型スリーブ１９の端部にねじ込まれる長さを規制するためのものである。円筒型スリーブ１９は、Ｕ字形固定部材２４によって、支持材１２に設けられた耳状の係止部３０に固定される。Ｕ字形固定部材２４は、ボルト２５とナット２６とによって係止部３０に取り付けられる。

図１及び図２を参照して、ヘッドレスト１は、布、合成材料、又は皮製のカバー３で覆われた合成発泡体製のクッション２を備えている。また、２本の平行なアンカー・ロッド６が取り付けられる支持構造体５を保持するために、クッション２の内部にハウジング４が設けられている。アンカー・ロッド６は、ヘッドレスト１や、埋込型のモニタ８（例えば、ＤＶＤプレーヤーやゲーム機などに用いられる液晶ディスプレイ）を、自動車の座席７の上部に固定するためのものである。モニタ８は、自動車の後部座席から利用できるように、ヘッドレスト１の後面に埋め込まれる。

支持構造体５は、剛性のフレーム１０と、支持体１２とから構成されている。フレーム１０は、金属又は樹脂から成形されており、ハウジング４の後面側４´に外周に設けられている。後面側４´は、モニタ８が埋め込まれるように、略平行６面体に形成されており、クッション２の後面に開口している。支持体１２は、ハウジング４の前面側４´´と一体化している。前面側４´´は、クッション２の下面に開口している。

支持体１２は、フレーム１０の内端と衝当している。支持体１２には、後に、ケーシング１４が取り付けられる。ケーシング１４はモニタ８を保持するためのものであり、後面側４´の一部に嵌め込まれる。ケーシング１４の幅は、フレーム１０の幅と概ね一致する。また、ケーシング１４の底部は、止めネジ１５により支持体１２に固定される。また、ケーシング１４は、その表面側に、外向するフランジ１６を有している。フランジ１６は、フレーム１０の外端と接して配置されるのに適した形状に形成されている。

そして、止めネジ１５が所定の場所にねじ込まれると、これらの組立部品は、もちろん、クッション２の発泡体の内部に正確に保持される。これらの組立部品をより強固に保持するためには、クッション２をフレーム１０上に成形するとよい。

支持体１２は、一体化された部材であり、例えば、成形プラスチック材料から成形されている。支持体１２は、その大きさがフレーム１０の大きさよりも若干大きい基板１２´を有しており、延長部１２´´を経て下方に延びている。詳細については後記する。

２本のアンカー・ロッド６は、図３〜図６に示すように、支持体１２に取り付けられる。

本実施形態では、アンカー・ロッド６は、両方とも中空の金属製のロッドである。アンカー・ロッド６の上端には、ネジ山が形成されたシャフト１８が直角にハンダ付けされている。シャフト１８は、円筒型のスリーブ１９の端部にねじ込むのに適した形状に形成されている。スリーブ１９の端部の内面にはネジ溝が形成されており、そのネジ溝は、もちろん、シャフト１８の外面に形成されているネジ山と螺合することができる。

従って、スリーブ１９は、アンカー・ロッド６同士の本体部材としての役割を果たす。また、このスリーブ１９によれば、その両端部にアンカー・ロッド６がねじ込まれる長さを調節することにより、アンカー・ロッド６，６間の距離を容易に調節することができる。

アンカー・ロッド６，６間の距離は、自動車の座席７に設けられたハウジング・スリーブ２０，２０間の距離となるように調節される。アンカー・ロッド６，６間の距離は、シャフト１８に取り付けられているロックナット２２を締め付けることより維持される（図３，４、及び５参照）。

これらの部品６，１８，１９は、薄板状のＵ字形固定部材２４により支持体１２に取り付けられる。Ｕ字形固定部材２４は、ナット２５とボルト２６とによって支持材１２に取り付けられる（図６参照）。

このことにより、スリーブ１９は、シャフト１８とロックナット２２と共に、支持体１２の下方の延長部１２´´に設けられた横長の凹部２８に挿入される。この凹部２８は、支持体１２の前面側（ヘッドレスト１における後面側）に形成されており、アンカー・ロッド６を挿通させるための、下方に延びる挿通孔２９を有している。この挿通孔２９は、アンカー・ロッド６，６間の変動し得る距離に対応することができる。

Ｕ字形固定部材２４は、円筒型のスリーブ１９を包むようにして、支持体１２の中心部における凹部２８の真上の位置に、耳状に形成された係止部３０に取り付けられる。係止部３０には、ボルト２５を挿通させるための挿通孔３２が形成されている。

支持体１２の延長部１２´´における係止部３０の真下の位置には、Ｕ字形固定部材２４を挿通させるため、かつ、Ｕ字形固定部材２４の位置決めを補助するための開口部３５が形成されている。

アンカー・ロッド６は、支持体１２がヘッドレスト１のクッション２に挿入される前に、支持体１２に取り付けられる。そして、アンカー・ロッド６とケーシング１４が正確に位置決めされた上で支持体１２に取り付けられたら、ヘッドレスト１のカバー３が必用に応じて元の位置に戻される。

本実施形態の変形例としては、凹部２８は支持体１２の裏面側（ヘッドレスト１における前面側）に形成してもよい。また、凹部２８の端面に沿って、一体化された部材を配置することにより、凹部２８内における円筒型のスリーブ１９の位置決めを行うことも考えられる。

また、既知の方法により、アンカー・ロッド６をセレーションシステムにより構成することもできる。このことにより、シート７のハウジング・スリーブ２０に対するヘッドレスト１の高さを調節することが可能となる。

また、アンカー・ロッド６の直径が、ハウジング・スリーブ２０の内径と適合していない場合は、両者の直径サイズの差を補正するためのアダプタ・スリーブ３７を使用する（図３参照）。アダプタ・スリーブ３７は、アダプタ・スリーブ３７をハウジング・スリーブ２０に係止させるための上部フランジ３８を有している。また、アダプタ・スリーブ３７は、その外径がハウジング・スリーブ２０の内径と適合しており、その内径がアンカー・ロッド６の外径と適合している。

なお、ハウジング・スリーブ２０が取り得る様々な直径サイズに適合するアダプタ・スリーブ３７のセット一式を用意しておくと便利である。

図１に示すように、ヘッドレスト１の傾斜角度は、支持体１２に内蔵された円筒型のスリーブ１９のわずかな変位だが強力な回動により、調節することができる。

図４及び図５は、モニタ８用の電源ケーブル４０を示している。ケーブル４０は、一方のアンカー・ロッド６の中空部を挿通している。電源ケーブル４０の一端にはコネクタ４１が設けられており、コネクタ４１はヘッドレスト１の内部を介してモニタ８に接続されている。また、電源ケーブル４０の他端は、座席７（図３参照）を通り抜けて、オーディオやビデオなどと同様に、電源装置に配線されるように設計されている。

このヘッドレスト構造体は、とても簡易に構成されており、容易に組み立てることができる。また、ハウジング・スリーブ２０が設けられている座席であれば、どのような種類の座席にでも適用することができる。また、必用で応じて、アンカー・ロッド６，６間の距離に関係なく、支持体１２にモニタ８を取り付けることが可能である。

本発明に係るヘッドレストの概略側面図であり、自動車の座席に取り付けられた状態を示している。 ヘッドレストの横断面図であり、部分的に分解して示している。 アンカー・ロッドがヘッドレストの支持体に取り付けられる状態を示した分解斜視図である。 円筒型のスリーブに取り付けられるアンカー・ロッドのアッセンブリの細部を示した拡大正面図である。 アンカー・ロッドが取り付けられた支持体を示す斜視図である。 図５において6−6線で破断した状態を拡大して示す断面図である。

符号の説明

１ ヘッドレスト
２ クッション
４ ハウジング
６ アンカー・ロッド
７ 座席
８ モニタ
１０ フレーム
１２ 支持材
１６ ケーシング
１８ シャフト
１９ スリーブ
２０ ハウジング・スリーブ
２２ ロックナット
２４ Ｕ字形固定部材
２５ ボルト
２６ ナット
３０ 係止部

Claims (11)

1. クッション２と、
   前記クッション２に内包された支持体１２と、
   座席７に前記支持体１２を取り付けるための２本の平行なアンカー・ロッド６とより成り、
   各アンカー・ロッド６は、その上端から直角に延び且つこの上端に固着される、ネジ山が形成されたシャフト１８を有しており、
   前記固着されねじ山が形成されたシャフト１８の各々には、回転可能で、適合するねじ溝が形成された本体スリーブ１９が螺合し、該本体スリーブ１９の回転が、これと螺合するネジ山が形成された前記シャフト１８を横方向に駆動して前記アンカー・ロッド６の間の横方向の距離の調節を提供し、
   前記アンカー・ロッド６を前記本体スリーブ１９上の設定位置に固定し、これにより両アンカー・ロッド６間に設定横方向距離を維持するためのロック２２を有し、
   前記本体スリーブ１９を前記支持体１２上に取り付けるための取付手段２４、２５，２６を有することを特徴とするヘッドレスト。
2. 前記本体スリーブ１９の前記ネジ溝は、前記ネジ山の形成されたシャフト１８の各々の外面のネジ山に一致するように適合した内面のネジ溝であり、前記ロック２２は、前記本体スリーブ１９に衝当して前記アンカー・ロッド６の位置を固定するに適した、前記ネジ山の形成されたシャフト１８の各々の上のロックナットよりなることを特徴とする請求項１に記載のヘッドレスト。
3. 前記本体スリーブ１９は事実上円筒型であって、取り付けられる薄板状のＵ字形固定部材２４の底に保持され、該Ｕ字形固定部材２４は、前記支持体１２上に位置づけられた係止部３０に衝当するとともに、ネジ・ナット締結装置２５、２６によって該係止部３０に取り付けられることを特徴とする請求項１に記載のヘッドレスト。
4. 前記支持体１２は、前記アンカー・ロッド６の上端より直角に延びる前記ネジ山の形成されたシャフト１８と前記本体スリーブ１９を収納するに適した凹部２８を有し、前記凹部２８は、前記支持体１２の前面で終わり、前記支持体１２の前記係止部３０の直下に位置しており、前記凹部２８は、下方の水平方向に延びた、前記アンカー・ロッド６の挿通のための挿通孔２９を有しており、該挿通孔２９は、異なる分離間隔で前記アンカー・ロッド６を受け入れるに適していることを特徴とする請求項３に記載のヘッドレスト。
5. 前記支持体１２の前記凹部２８は、前記Ｕ字形固定部材２４の位置決めを補助するための、開口部３５を前記係止部３０の下に有することを特徴とする請求項４に記載のヘッドレスト。
6. 前記ヘッドレストは、前記座席７の上部に取り付けられるハウジング・スリーブ２０の内径と前記アンカー・ロッド６の外径の間の差を補正することが可能なアダプタ・スリーブ３７を有し、該アダプタ・スリーブ３７は、該アダプタ・スリーブ３７が前記ハウジング・スリーブ２０に保持されることを可能とする上部フランジ３８を有することを特徴とする請求項１に記載のヘッドレスト。
7. 前記ヘッドレストは該ヘッドレストの後面に埋め込まれたモニタ８を有し、該モニタ８は、該後面に埋め込まれ且つ前記支持体１２に固定されたケーシング１４に移動可能に保持されていることを特徴とする請求項１に記載のヘッドレスト。
8. 前記ケーシング１４は、クッション２の後面に位置付けられたハウジング４’内に埋め込まれ、該ハウジング４’は、剛性のフレーム１０によって囲まれ、該フレーム１０の幅は、事実上ケーシング１４の厚さに符合し、その内端に沿って前記支持体が接し、前記ケーシング１４の底は、止めネジ１５によって前記支持体１２に固定され、前記ケーシング１４の前面には、前記剛性のフレーム１０の外端に対して接するに適した外向するフランジ１６が設けられることを特徴とする請求項７に記載のヘッドレスト。
9. 前記ヘッドレストのクッション２が、前記剛性のフレーム１０上に成形されることを特徴とする請求項８に記載のヘッドレスト。
10. 前記ヘッドレストのアンカー・ロッド６の内部が中空であり、前記モニタ８の電源ケーブル４０が、少なくとも前記アンカー・ロッドの一部の内部を挿通することを特徴とする請求項７に記載のヘッドレスト。
11. クッション２と、
    前記クッション２に内包された支持体１２と、
    前記支持体に取り付けられた２本の平行なアンカー・ロッド６であって、前記座席７に前記支持体１２を取り付けるための２本の平行なアンカー・ロッド６とより成り、
    各アンカー・ロッド６は、その上端から直角に延び且つこの上端に固着する、ネジ山が形成されたシャフト１８を有しており、
    前記固着されねじ山が形成されたシャフト１８の各々には、回転可能で、適合するねじ溝が形成された本体スリーブ１９が螺合し、該本体スリーブ１９の回転が、これと螺合するネジ山が形成された前記シャフト１８を横方向に駆動して前記アンカー・ロッド６の間の横方向の距離の調節を提供することを特徴とするヘッドレスト。

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