JP4057856B2 - 車両におけるプロペラシャフトの落下防止装置 - Google Patents

車両におけるプロペラシャフトの落下防止装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両、主として自動車のエンジンからの動力を駆動輪に伝達するプロペラシャフトの落下防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車などの車両において、走行用のエンジンを、車体の前部に配置したものでは、該エンジンの動力は、車体の下部で、その前後方向に延びるプロペラシャフトを介して駆動輪に伝達され、また、エンジンから排出される排ガスは、車体の下部で、前記プロペラシャフトと並列してその前後方向に延びる排気管を介して大気に排出されるようになっており、図6に示すようにプロペラシャフトは、排気管を避けるようにして車体の底板に固定した、U字状のプロペラシャフトプロテクタにより、その落下を防止するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来のプロペラシャフトの落下防止装置では、プロペラシャフトプロテクタは、排気管との干渉を避けて車体の底板に固定するため、プロペラシャフトと排気管との間に適当なスペースを保つ必要があり、車体の下部でそれらの占有するスペースが大きくなり、それらの周辺のスペース効率を悪くし、特に、プロペラシャフトと排気管とを車体の底板に形成したトンネル部内に並設する場合には、該トンネル部を大きくする必要があり、車体下部の重量増、コスト高を招くという問題がある。
【0004】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、プロペラシャフトと、排気管とを可及的に近接して配置し、プロペラシャフトプロテクタを車体下部と排気管とにわたって設けるようにして、前記問題を解決した、新規な、車両におけるプロペラシャフトの落下防止装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本請求項1記載の発明は、車体の下部に配置されてエンジンからの動力を駆動輪に伝達するプロペラシャフトと、車体の下部に配置されてエンジンから排出される排ガスを大気に導く排気管とが、互いに近接し且つ車体左右方向に並列配置されて車体前後方向に延びる車両におけるプロペラシャフトの落下防止装置であって、プロペラシャフトから見て排気管とは反対側で車体の下部に一端を固定した可撓性部材によりプロペラシャフトの落下を防止できるように、その可撓性部材の他端側をプロペラシャフトの下部を跨いで排気管側に延ばし且つ該可撓性部材の他端を排気管に固定しことを特徴としており、かかる特徴によれば、プロペラシャフトと排気管との間に、プロペラシャフトプロテクタを車体の下部に取付けるための、従来のようなスペースを確保しておく必要がないため、プロペラシャフトと排気管とを可及的に近接して車体の下部に配置することができ、それらの占有するスペースを低減して、それらの周辺のスペース効率を大幅に改善して、車体の下部への他の機器類のレイアウトや取付の自由度を高めることができ、さらにプロペラシャフトプロテクタは、可撓性部材により構成されることにより、その軽量化とコストダウンが可能になる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0007】
図1は、本発明プロペラシャフトの落下防止装置を備えた四輪駆動自動車の側面図、図2は図1の2矢視図、図3は、図1の仮想円の3矢視の拡大斜視図、図4は、図1の4−4線拡大断面図、図5は、プロペラシャフトプロテクタの取付部の部分斜視図である。
【0008】
この実施例は、本発明プロペラシャフトの落下防止装置を、パートタイム式四輪駆動(4WD)の自動車に実施した場合であり、図1、2において、自動車の車体前部には、その走行用エンジン1が横置き(そのクランク軸が、自動車の前後方向と直交する方向)に搭載されている。エンジン1の側部には変速機2が配置され、該変速機2に連動される前部差動装置3は、左右の前輪4,4を駆動する左右前車軸5,5に連結され、また、前記変速機2は前部差動装置3を介して車体の下部を前後方向に配置される、後述のプロペラシャフト6に連結されており、該プロペラシャフト6は、2、4駆動切換用の動力伝達装置7および後部差動装置8を介して左右の後輪10,10駆動用の左右後車軸9,9に連結される。
【0009】
前記プロペラシャフト6は、車体の底板15に支持されるセンタカップリングジョイント11を介して接続される、前部プロペラシャフト6Fおよび後部プロペラシャフト6Rとよりなり、前部プロペラシャフト6Fの前端は、ユニバーサルジョイント12を介して前部差動装置3の後部出力端に連結され、また後部プロペラシャフト6Rの後端は、2、4駆動切換用の動力伝達装置7の入力端に連結されている。
【0010】
なお、パートタイム式四輪駆動の動力伝達系は、従来公知の構造のものであるので、その詳細な説明を省略する。
【0011】
一方、図1,2において、前記エンジン1の後部に開口される排気ポートには、車体の下部に配置される排気系が接続される。この排気系は、前記排気ポートに上流端が接続されるエキゾーストマニホールド20と、このエキゾーストマニホールドに連通接続される排気管21とを備えている。前記排気管21は、自動車の車体の下部を前後方向に長く延びており、エキゾーストマニホールド20の下流端に接続されて、その途中にフレキシブルチューブ22および触媒23が介在される前部排気管21Fと、この前部排気管21Fの下流端に接続されて、その途中に補助の消音器である一次消音器24を介在した後部排気管21Rとより構成され、この後部排気管21Rの下流端には、主の消音器である二次消音器25が接続されている。
【0012】
図2〜4に示すように、車体の下部において、前記プロペラシャフト6と、排気管21とは互いに近接して配置されていて、それらは車体の底板15の左右中間部に、その前後方向に沿って形成したアーチ状のトンネル部15T内に収容されており、この実施例では、後部排気管21Rの中間部は、前部プロペラシャフト6Fの下方を底面からみてクロスするように屈曲されている。
【0013】
つぎに、本発明に従うプロペラシャフトの落下防止装置の構成について、図1,2に、図3〜5を併せ参照して説明すると、前部プロペラシャフト6Fの前部に対応する位置において、トンネル部15Tの平坦な奥壁の一側(即ち前部プロペラシャフト6Fから見て排気管21とは反対側)には、該前部プロペラシャフト6Fに近づけてプロペラシャフトプロテクタとしての可撓性部材、すなわちステンレスワイヤー30の一端が連結される。図5に示すように、ステンレスワイヤー30の一端を、トンネル15Tの奥壁に固定するための取付金具31は、鳩目状の取付部31Aの一端面に筒状のカシメ部31Bを固定して構成され、このカシメ部31Bに前記ステンレスワイヤー30の一端が挿入されカシメ固定される。また取付金具31の取付部31Aは、その取付孔32に挿通したボルト33を、トンネル部15Tの奥壁に固定したウエルドナット34に螺締することにより、車体の底板15に連結される。前記可撓性のステンレスワイヤー30は、その他端側を図4に示すように、前部プロペラシャフト6Fの下方を跨ぐように湾曲させ且つ排気管21側に延ばし、該ワイヤー30の他端が、該前部プロペラシャフト6Fに近接して配置される前部排気管21Fの外面に溶接35され、これにより、このステンレスワイヤー30をプロペラシャフトプロテクタとして機能させることができ、プロペラシャフト6の落下を防止することができる。
【0014】
ステンレスワイヤー30の他端は取付金具31に溶接してもよい。
【0015】
つぎに、この実施例の作用について説明する。
【0016】
いま、エンジン1の運転により、自動車が走行すれば、排気管21の動きに追従してステンレスワイヤー30も多少の動きを生じるが、このステンレスワイヤー30によりプロペラシャフト21が落ちることがあってもこれを確実に受け止めることができる。
【0017】
そして、このものでは、プロペラシャフト6と排気管21との間に、プロペラシャフトプロテクタ30を車体下部に取付けるための、従来のようなスペースを確保しておく必要がないため、プロペラシャフト6と排気管21とを可及的に近接して車体の下部に配置することができ、それらの占有するスペースを低減して、それらの周辺のスペース効率を大幅に改善し、車体下部への他の機器類のレイアウトや取付の自由度を高めることができ、特に、プロペラシャフト6と排気管21とを、車体底板15のトンネル部15T内に収めた場合には、該トンネル部15Tの小型化が可能になり、さらに、プロペラシャフトプロテクタ30は、可撓性部材により構成されることにより、その軽量化とコストダウンが可能になる。
【0018】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0019】
たとえば、前記実施例では、本発明プロペラシャフトの落下防止装置を前部プロペラシャフトの前部に対応する車体下部に設けた場合を説明したが、これを、プロペラシャフトの他の部分に設けるようにしてもよく、また、可撓性部材としてステンレスワイヤーを用いた場合を説明したが、これに代えて他の同効物を用いてもよい。
【0020】
さらに、前記実施例では、本発明プロペラシャフトの落下防止装置を、四輪駆動自動車に実施した場合を説明したが、これを他の駆動系をもつ車両、たとえば二輪駆動自動車にも実施できることは勿論である。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本請求項1記載の発明によれば、プロペラシャフトから見て排気管とは反対側で車体の下部に一端を固定した可撓性部材によりプロペラシャフトの落下を防止できるように、その可撓性部材の他端側をプロペラシャフトの下部を跨いで排気管側に延ばし且つ該可撓性部材の他端を排気管に固定したので、プロペラシャフトと排気管との間に、プロペラシャフトプロテクタを車体の下部に取付けるための、従来のようなスペースを確保しておく必要がなくなり、プロペラシャフトと排気管とを可及的に近接して車体の下部に配置することができるから、それらの占有するスペースを低減してそれらの周辺のスペース効率を大幅に改善し、車体の下部への他の機器類のレイアウトや取付の自由度を高めることができ、さらにプロペラシャフトプロテクタは、可撓性部材により構成されることにより、その軽量化とコストダウンが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 プロペラシャフトの落下防止装置を備えた四輪駆動自動車の側面図
【図2】 図1の2矢視図
【図3】 図1の仮想円の3矢視の拡大斜視図
【図4】 図1の4−4線拡大断面図
【図5】 プロペラシャフトプロテクタの取付部の部分斜視図
【図6】 従来のプロペラシャフトプロテクタの取付部の部分斜視図
【符号の説明】
1・・・・・・・・・・エンジン
6・・・・・・・・・・プロペラシャフト
21・・・・・・・・・排気管
30・・・・・・・・・可撓性部材(ステンレスワイヤー)

Claims (1)

  1. 車体の下部に配置されてエンジン(1)からの動力を駆動輪(10)に伝達するプロペラシャフト(6)と、車体の下部に配置されてエンジン(1)から排出される排ガスを大気に導く排気管(21)とが、互いに近接し且つ車体左右方向に並列配置されて車体前後方向に延びる車両におけるプロペラシャフトの落下防止装置であって、 プロペラシャフト(6)から見て排気管(21)とは反対側で車体の下部に一端を固定した可撓性部材(30)によりプロペラシャフト(6)の落下を防止できるように、その可撓性部材(30)の他端側をプロペラシャフト(6)の下部を跨いで排気管(21)側に延ばし且つ該可撓性部材(30)の他端を排気管(21)に固定しことを特徴とする、車両におけるプロペラシャフトの落下防止装置。
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