JP4057388B2 - フラットケーブルと接続端子の接続方法、接続部及び接続用治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気機器や自動車等の電気配線に使用されるフラットケーブルと接続端子の接続方法、接続部及び接続用治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気機器や自動車等の電気配線にフラットケーブルが用いられるようになってきている。このフラットケーブルと接続端子及びフラットケーブルを構成しているフラット導体の相互間の接続方法としては、端子板部の幅方向の両側にクリンプ片を突設したピアス型端子と称するフラットケーブル接続端子が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、このような接続方法ではピアス型端子と称するフラットケーブル接続端子を用いなければ接続を行うことができず、またピアス型端子をフラットケーブルに突き刺し、折り曲げて加締めるための特殊な接続治具が必要になり、コスト高になる問題点がある。
【0004】
そこで、出願人は、最近、ピアス型端子を使用せず、より簡単に接続できる圧抜き型の接続方法と呼ばれる接続方法を提案した(例えば、特願2001−342721に基づいて国内優先権主張により出願された特願2002−204387)。
【0005】
この接続方法は、次のようにして行う。
【0006】
図5は本例で用いる接続用治具1の一例を示したものである。この接続用治具1は、一方が山形になった凸状刃2を有する凸状刃型3と、他方が凸状刃2に噛み合う凹状刃4を有する凹状刃型5とからなっている。
【0007】
接続の対象となるフラットケーブル6は、図6に示すように、銅帯状導体よりなるフラット導体7がポリエチレンテレフタレートの如き合成樹脂製フィルムで張り合わされるか若しくは合成樹脂製のフラット絶縁被覆8で押出し被覆された構造になっている。
【0008】
このフラットケーブル6のフラット導体7に接続する接続端子9は、雌型の端子本体10に端子板部11が一体に連設された構造になっている。
【0009】
これらフラットケーブル6のフラット導体7に対する接続端子9の接続は、図6に示すように、接続端子9の端子板部11を、フラット導体7にその長手方向に対応させてフラットケーブル6に重ねる。
【0010】
かかる状態で、図5に示す接続用治具1を用いて、端子板部11とフラット導体7との重ね合わせ部12を、下側の凸状刃型3の凸状刃2と上側の凹状刃型5の凹状刃4とで噛み合わせて、図7〜図9に示すように、重ね合わせ部12に2本の相互に平行な切れ目13を入れると共に、平行な切れ目13の間の部分14を凸状刃2の頂部で円弧状に隆起させて段違い構造にする。かかる状態になると、円弧状に隆起した隆起部15の頂部は図8にようになり、フラット導体7は端子板部11に接続されないが、隆起部15の両端では図9にようにフラット導体7は端子板部11に接触部16で接触して電気的に接続されている。
【0011】
また、図10に示すように、フラットケーブル6a,6bのフラット導体7a,7bを相互に接続する場合は、接続すべきフラット導体7a,7bが向かい合うようにフラットケーブル6a,6bの端部を突き合わせ、接続すべきフラット導体7a,7bに跨がるように接続端子9の端子板部11をフラットケーブル6a,6bに重ね合わせて重ね合わせ部12を形成する。これらの重ね合わせ部12に図5に示す接続用治具1の下側の凸状刃型3の凸状刃2と上側の凹状刃型5の凹状刃4とで噛み合わせて、図10及び図11に示すように、2本の相互に平行な切れ目13を入れると共に、平行な切れ目13の間の部分14を凸状刃2の頂部で円弧状に隆起させて段違い構造にし、円弧状に隆起した隆起部15の両端では図11に示すようにフラットケーブル6aのフラット導体7aは端子板部11に接触部16で接触して電気的に接続される。同様にして、反対側でも同様な接続を行うと、フラットケーブル6bのフラット導体7bは端子板部11に接触部16で接触して電気的に接続される。これにより、フラットケーブル6a,6bのフラット導体7a,7bが端子板部11を介して相互に接続される。
【0012】
このように圧抜き型の接続方法は、簡単な接続用治具1を用いてフラットケーブル6と端子本体10を有する接続端子9との接続や、フラットケーブル6a,6bのフラット導体7a,7bの相互の接続を行うことができる。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−184548号公報(図1)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような圧抜き型の接続方法では、フラット導体7bは端子板部11の重ね合わせ部12に入れられた切れ目13の端部が、フラットケーブル6,6a,6bに対して機械的な弱点となり、フラット導体7,7a,7bの幅方向の端部と切れ目13との間隔が狭い場合には、フラット導体7,7a,7bの幅方向の端部と外力を受ける側の切れ目13の長手方向の端部との間でフラット導体7,7a,7bが破断してしまう問題点があった。
【0015】
即ち、図12に示すように、フラットケーブル6に矢印で示すような横引っ張りやひねりといった力を受けると、外力を受ける側の切れ目13の端部13aとフラット導体7の幅方向の端部間で該フラット導体7が破断部17で破断してしまう。
【0016】
2本の相互に平行な切れ目13の間隔は、やはりフラットケーブル6に横引っ張りがかかった場合、切れ目13の端部13aでフラット導体7の破断が起こるのでフラット導体7の幅を狭くすることができず、例えば図13(A)に示すように接続するフラット導体7の幅が或る程度広い場合は、切れ目13とフラット導体7の幅方向の端部との距離はL1 のようにとることができるが、小サイズの接続端子9に接続するフラット導体7の幅が図13(B)に示すように狭い場合の接続では、切れ目13とフラット導体7の幅方向の端部との距離はL2 (<L1 )しか取ることができず、フラット導体7の破断の危険性が増加する。
【0017】
本発明の目的は、フラットケーブルに外部から横引っ張り等の力を受けた場合、切れ目の端部でフラット導体の破断が起こる危険性を減少させることができるフラットケーブルと接続端子の接続方法、接続部及び接続用治具を提供することにある。
【0018】
本発明の目的は、能率良く複数箇所の接続作業を行うことができる接続用治具を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フラット導体がフラット絶縁被覆で被覆されたフラットケーブルのフラット導体の箇所で接続端子の端子板部を重ねて重ね合せ部を形成し、重ね合せ部に少なくとも1本の切れ目を入れ、該切れ目に直交する両側の部分を段違いにし、切れ目の長手方向に沿った端部にフラット導体と端子板部とが相互に接触した接触部を設けるフラットケーブルと接続端子の接続方法を対象とする。
【0020】
本発明に係るフラットケーブルと接続端子の接続方法では、1本の切れ目を重ね合せ部に複数、千鳥配置で設け、各切れ目に直交する両側の部分をそれぞれ段違いにすることを特徴とする。
【0021】
このようにすると、各切れ目が並ぶ方向に見て重ね合せ部の各部分には切れ目がそれぞれ1本しか設けられていず、このためフラット導体の幅方向の端部との間の距離を、2本の切れ目を入れる場合より大きくとることができ、フラットケーブルに外部から横引っ張り等の力を受けた場合、切れ目の端部でフラット導体の破断が起こる危険性を減少させることができる。
【0022】
次に、本発明は、フラット導体がフラット絶縁被覆で被覆されたフラットケーブルのフラット導体の箇所で接続端子の端子板部を重ねられて重ね合せ部が形成され、重ね合せ部に少なくとも1本の切れ目が入れられ、切れ目に直交する両側の部分が段違いに形成され、切れ目の長手方向に沿った端部にフラット導体と端子板部とが相互に接触した接触部が設けられているフラットケーブルと接続端子の接続部を対象とする。
【0023】
本発明に係るフラットケーブルと接続端子の接続部では、1本の切れ目が重ね合せ部に複数、千鳥配置で設けられ、各切れ目に直交する両側の部分がそれぞれ段違いに形成されていることを特徴とする。
【0024】
このようにすると、各切れ目が並ぶ方向に見て重ね合せ部の各部分には切れ目がそれぞれ1本しか設けられていず、このためフラット導体の幅方向の端部との間の距離を、2本の切れ目を入れる場合より大きくとることができ、フラットケーブルに外部から横引っ張り等の力を受けた場合、切れ目の端部でフラット導体の破断が起こる危険性を減少させることができる。
【0025】
また本発明は、一方が山形になった凸状刃を有する凸状刃型と、他方が凸状刃に噛み合う凹状刃を有する凹状刃型とからなっている接続用治具を対象とする。
【0026】
本発明に係る接続用治具では、凸状刃と凹状刃は加工対象物に1本の切れ目を入れて該切れ目に直交する両側の該加工対象物の部分を段違いにする構造のものであって、該凸状刃と該凹状刃とが千鳥配置で複数箇所に設けられている構造になっていることを特徴とする。
【0027】
このような接続用治具によれば、千鳥配置の複数箇所の接続作業を一度に能率良く行うことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1乃至図3は本発明に係るフラットケーブルと接続端子の接続方法及び接続部の実施の形態の一例を示したもので、図1は本例で用いる接続用治具の斜視図、図2は本例のフラットケーブルと接続端子の接続部の平面図、図3(A)は図2の要部拡大図、図3(B)は図3(A)のA−A線断面図である。
【0029】
本例のフラットケーブルと接続端子の接続方法では、図1に示す接続用治具1を用いる。この一方が山形になった凸状刃2を有する凸状刃型3と、他方が凸状刃2に噛み合う凹状刃4を有する凹状刃型5とからなっている点は従来と同様である。この接続用治具1では、凸状刃2は直線状の切れ目を形成する端部が円弧状をしていて一番高く、この端部から離れるにつれて切れ目に沿った長さを短くする円弧状の突出高さが徐々に低くなる形状となっている。凹状刃4のなす凹部は、この凸状刃2が嵌まり合う円弧状の凹部が一端から他端に向けて深さが徐々に浅くなる形状となっている。
【0030】
本例では、フラット導体7の箇所でフラットケーブル6に接続端子9の端子板部11を重ねて重ね合わせ部12を形成し、この重ね合わせ部12を接続用治具1を用いて、下側の凸状刃型3の凸状刃2と上側の凹状刃型5の凹状刃4とで噛み合わせて、重ね合わせ部12に1本の切れ目13を重ね合わせ部12の長手方向に沿って入れると共に、切れ目13に直交する両側の部分を段違いにする。これにより、切れ目13の長手方向に沿った端部にフラット導体7と端子板部11とが相互に接触した接触部16を設ける。このような1本の切れ目13を重ね合せ部12に複数、千鳥配置で設け、それぞれの切れ目13に直交する両側の部分を段違いにする。この場合、千鳥配置に各切れ目13が並ぶ方向は、重ね合せ部12の長さ方向にする。
【0031】
このようなフラットケーブルと接続端子の接続方法によれば、各切れ目13が並ぶ方向に見て重ね合せ部12の各部分には切れ目13がそれぞれ1本しか設けられていず、このためフラット導体7の幅方向の端部との間の距離L3 を、2本の切れ目13を入れる場合より大きくとることができ、フラットケーブル6に外部から横引っ張り等の力を受けた場合、切れ目13の端部でフラット導体7の破断が起こる危険性を減少させることができる。
【0032】
また、千鳥配置に各切れ目13が並ぶ方向を、重ね合せ部12の長さ方向にすると、重ね合せ部12の幅方向にはそれぞれ1本の切れ目13しか存在せず、このためフラット導体7の幅方向の端部との間の距離を、2本の切れ目13を入れる場合より大きくとることができ、フラットケーブル6に外部から横引っ張り等の力を受けた場合、切れ目13の端部でフラット導体7の破断が起こる危険性を減少させることができる。
【0033】
また、隆起部分18を、切れ目13から離れるにつれて該切れ目13に沿った長さを短くすると、電気的接続に必要な部分だけ所要の高さの段差部として、その切れ目13の長さ方向の端部に電気的接触部16を設けることができる。
【0034】
上記例で接続用治具1は、1本の切れ目13を入れる構造のものを示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図2に示すような千鳥配置の複数本の切れ目13を同時に入れることができる図4に示すような構造にすることもできる。
【0035】
このような構造にすると、千鳥配置の複数箇所の接続作業を一度に能率良く行うことができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明に係るフラットケーブルと接続端子の接続方法では、1本の切れ目を重ね合せ部に複数、千鳥配置で設け、各切れ目に直交する両側の部分をそれぞれ段違いにするので、各切れ目が並ぶ方向に見て重ね合せ部の各部分には切れ目がそれぞれ1本しか設けられていず、このためフラット導体の幅方向の端部との間の距離を、2本の切れ目を入れる場合より大きくとることができ、フラットケーブルに外部から横引っ張り等の力を受けた場合、切れ目の端部でフラット導体の破断が起こる危険性を減少させることができる。
【0037】
次に本発明に係るフラットケーブルと接続端子の接続部では、1本の切れ目が重ね合せ部に複数、千鳥配置で設けられ、各切れ目に直交する両側の部分がそれぞれ段違いに形成されているので、各切れ目が並ぶ方向に見て重ね合せ部の各部分には切れ目がそれぞれ1本しか設けられていず、このためフラット導体の幅方向の端部との間の距離を、2本の切れ目を入れる場合より大きくとることができ、フラットケーブルに外部から横引っ張り等の力を受けた場合、切れ目の端部でフラット導体の破断が起こる危険性を減少させることができる。
【0038】
また本発明に係る接続用治具では、凸状刃と凹状刃は加工対象物に1本の切れ目を入れて該切れ目に直交する両側の該加工対象物の部分を段違いにする構造のものであって、該凸状刃と該凹状刃とが千鳥配置で複数箇所に設けられている構造になっているので、千鳥配置の複数箇所の接続作業を一度に能率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフラットケーブルと接続端子の接続方法で用いる接続用治具の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るフラットケーブルと接続端子の接続部の実施の形態の一例の平面図である。
【図3】(A)は図2の要部拡大図、(B)は図3(A)のA−A線断面図である。
【図4】本発明に係るフラットケーブルと接続端子の接続方法で用いる接続用治具の実施の形態の他の例を示す斜視図である。
【図5】従来の接続用治具の斜視図である。
【図6】従来のフラットケーブルと接続端子の接続部の一例の斜視図である。
【図7】図6のA−A線断面図である。
【図8】図6のB−B線断面図である。
【図9】図6のC−C線断面図である。
【図10】従来のフラットケーブルと接続端子の接続部の他の例の斜視図である。
【図11】図10のC´−C´線断面図である。
【図12】従来のフラットケーブルと接続端子の接続部に外力が加わった状態を示す斜視図である。
【図13】従来のフラットケーブルと接続端子の接続部のサイズの違いを示す平面図である。
【符号の説明】
1 接続用治具
2 凸状刃
3 凸状刃型
4 凹状刃
5 凹状刃型
6,6a,6b フラットケーブル
7,7a,7b フラット導体
8 フラット絶縁被覆
9 接続端子
10 端子本体
11 端子板部
12 重ね合わせ部
13 切れ目
13a 切れ目の端部
14 切れ目の間の部分
15 隆起部
16 接触部
17 破断部
18 隆起部分
Claims (3)
- フラット導体がフラット絶縁被覆で被覆されたフラットケーブルの前記フラット導体の箇所で接続端子の端子板部を重ねて重ね合せ部を形成し、前記重ね合せ部に少なくとも1本の切れ目を入れ、前記切れ目に直交する両側の部分を段違いにし、前記切れ目の長手方向に沿った端部に前記フラット導体と前記端子板部とが相互に接触した接触部を設けるフラットケーブルと接続端子の接続方法において、
1本の前記切れ目を前記重ね合せ部に複数、千鳥配置で設け、前記各切れ目に直交する両側の部分をそれぞれ段違いにすることを特徴とするフラットケーブルと接続端子の接続方法。 - フラット導体がフラット絶縁被覆で被覆されたフラットケーブルの前記フラット導体の箇所で接続端子の端子板部を重ねられて重ね合せ部が形成され、前記重ね合せ部に少なくとも1本の切れ目が入れられ、前記切れ目に直交する両側の部分が段違いに形成され、前記切れ目の長手方向に沿った端部に前記フラット導体と前記端子板部とが相互に接触した接触部が設けられているフラットケーブルと接続端子の接続部において、
1本の前記切れ目が前記重ね合せ部に複数、千鳥配置で設けられ、前記各切れ目に直交する両側の部分がそれぞれ段違いに形成されていることを特徴とするフラットケーブルと接続端子の接続部。 - 一方が山形になった凸状刃を有する凸状刃型と、他方が前記凸状刃に噛み合う凹状刃を有する凹状刃型とからなっている接続用治具において、前記凸状刃と前記凹状刃は加工対象物に1本の切れ目を入れて該切れ目に直交する両側の該加工対象物の部分を段違いにする構造のものであって、該凸状刃と該凹状刃とが千鳥配置で複数箇所に設けられている構造になっていることを特徴とする接続用治具。
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