JP4056308B2 - 水中防汚組成物、防汚塗膜、魚網類等および防汚方法 - Google Patents
水中防汚組成物、防汚塗膜、魚網類等および防汚方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、養殖用または定置網用の漁網およびこれらに使用される浮き子、ロープなどの漁網用具(以下、これらを併せて魚網類という場合がある)、および発電所の冷却水導管などの水中構築物などに水棲汚損生物が付着するのを長期にわたって防止するための水中防汚組成物、該水中防汚組成物から形成された防汚塗膜、該水中防汚組成物が塗布された魚網類および海中構築物、および該水中防汚組成物を魚網類または水中構築物に塗布する防汚方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
漁網および漁網用具などの漁網類、ならびに海中構築物などは、海中で長期間保持されるため、海藻類、フジツボ、セルプラ、コケムシ、軟体動物類などの水棲汚損生物の付着が激しく、それらの保守に多大の労力と費用をかけている。
【0003】
これらの水棲汚損生物の付着を防止するために、従来は有機錫化合物を用いた防汚塗料が広く使用されてきたが、環境に対する配慮などから使用できなくなった。
【0004】
そこで、有機錫化合物に替わる防汚薬剤について種々の研究、提案がなされ、現在では亜酸化銅、ロダン銅などの銅化合物、エチレンビスジチオカルバミン酸の亜鉛塩やマンガン塩などのチオカーバメイト化合物、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラクロロイソフタロニトリル、ジメチルフェニルジクロロマレイミドなどの有機化合物を有効成分とし、これを天然樹脂系または合成樹脂系ビヒクルに配合し、さらに溶出コントロール剤としてジ−tert−ノニルペンタスルフィドやワセリンを配合した防汚剤、またはポリエーテル変性シリコーンオイルと液状ポリブテンの混合物を配合した防汚剤が使用されているが、塗膜物性、多量の薬剤溶出、および防汚性の面で満足し得る防汚剤は未だ見出されていないのが現状である。
【0005】
たとえば、特開平6−100408号公報や特開平8−20508号公報では、防汚薬剤とジ−tert−ノニルペンタスルフィドやワセリンなどを用いる防汚剤が提案されているが、塗膜物性において粘着が強いため取扱いが難しく、防汚効果も長時間持続しないなどの欠点があった。また、特公平6−104793号公報では、樹脂と防汚薬剤に、HLBが3〜12の範囲内にあるオキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサンと液状樹脂としてポリブテンを配合した防汚塗料が提案されているが、このものは塗膜物性が良く、取り扱い易く、ある程度の防汚効果はあるものの、防汚薬剤の溶出コントロールが十分でないため、初期の防汚薬剤の溶出量が大きく、防汚期間の面で十分満足できるものになっていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の点に鑑みて、漁網類、水中構築物などに対する塗布作業性が良好で、かつ防汚薬剤溶出量をコントロールし、長期間すぐれた防汚効果を維持することのできる水中防汚組成物を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ビヒクル、防汚薬剤、溶出コントロール剤および溶剤からなる防汚組成物において、溶出コントロール剤としてシリコーンオイルとエチレン・α−オレフィン共重合体を併用することにより、防汚薬剤の溶出量をコントロールし、通常使用される薬剤量の半量以下であっても、長期間にわたってフジツボ、セルプラ、ホヤ、コケムシなどの動物付着生物や藻類などに対する防汚効果を長期にわたり持続し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明はつぎの水中防汚組成物、該水中防汚組成物から形成された防汚塗膜、該水中防汚組成物が塗布された魚網類または海中構築物、および該水中防汚組成物を魚網類または海中構築物に塗布する防汚方法を提供する。
【0009】
(1)ビヒクル、防汚薬剤、溶出コントロール剤および溶剤からなる防汚組成物において、溶出コントロール剤が、シリコーンオイルの1種または2種以上と、一般式(I):
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、Rはアルキル基を表わし、x、y、pは整数を表わす)で表わされるエチレン・α−オレフィン共重合体の1種または2種以上とからなることを特徴とする水中防汚組成物。
【0012】
(2)溶出コントロール剤の配合量が、防汚組成物中の不揮発分総量100重量部に対して、シリコーンオイル5〜30重量部、エチレン・α−オレフィン共重合体5〜40重量部である、前記(1)記載の水中防汚組成物。
【0013】
(3)エチレン・α−オレフィン共重合体の平均分子量が10,000以下である、前記(1)または(2)記載の水中防汚組成物。
【0014】
(4)エチレン・α−オレフィン共重合体が、一般式(I)におけるRがメチル基であるエチレン・プロピレン共重合体である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の水中防汚組成物。
【0015】
(5)シリコーンオイルが、HLBが12以下である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の水中防汚組成物。
【0016】
(6)防汚薬剤が、トリフェニルボラン化合物、テトラアルキルチウラムジスルフィド化合物、ビスジメチルジチオカーバモイルエチレンビスジチオカーバメート、2−メルカプトピリジンN−オキシド亜鉛塩、2−メルカプトピリジンN−オキシド銅塩、亜酸化銅および銅粉よりなる群から選択される1種または2種以上からなる前記(1)〜(5)のいずれかに記載の水中防汚組成物。
【0017】
(7)前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の水中防汚組成物から形成されたことを特徴とする防汚塗膜。
【0018】
(8)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の水中防汚組成物が塗布されてなることを特徴とする漁網類または水中構築物。
【0019】
(9)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の水中防汚組成物を漁網類または水中構築物の表面に塗布し、防汚塗膜を形成することを特徴とする漁網類または海中構築物の防汚方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるビヒクルとしては合成樹脂および/または天然樹脂が用いられる。合成樹脂系ビヒクルとしては、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/アルキルビニルエーテル共重合体、塩化ビニル樹脂などの塩化ビニル樹脂系、アルキッド樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、合成ゴム系、塩素化ポリエチレンなどがあげられる。また、天然樹脂としては、ウッドロジン、ガムロジン、ロジン金属塩、変性ロジンなどがあげられる。ビヒクルとして用いられる樹脂としては、特にアクリル樹脂が好ましい。本発明に用いられるアクリル樹脂の製造に使用される重合性単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどのアルキル基の炭素原子数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキル類、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸アラルキル類、(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール類、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル類、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル類、(メタ)アクリル酸2−メトキシフェニル、(メタ)アクリル酸3−メトキシフェニル、(メタ)アクリル酸4−メトキシフェニルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアリール類、(メタ)アクリル酸4−メトキシベンジルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアラルキル類、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アリールオキシアルキル類、(メタ)アクリル酸3−フェノキシベンジルなどの(メタ)アクリル酸アリールオキシアラルキル類などが挙げられ、これらの重合性単量体の1種または2種以上を用いて重合することにより、本発明に用いられるアクリル樹脂を得ることが出来る。
【0021】
また、本発明に用いられるアクリル樹脂のガラス転移点(Tg)としては、−20〜70℃が好ましく、より好ましくは0〜50℃である。さらに、本発明に用いられるアクリル樹脂の平均分子量は、50,000〜400,000が好ましく、より好ましくは100,000〜300,000である。
【0022】
本発明に用いられるシリコーンオイルとしては、たとえばポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン−メチルシロキサン共重合体、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリアルキル(メチル)シロキサン、フロロシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、その他各種官能基による変性シリコーンオイルなどがあげられるが、これらに限られるものではない。これらのシリコーンオイルの中で特に好ましいものは、HLB(親水性親油性バランス)が12以下の範囲にある、ポリジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン−メチルシロキサン共重合体、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンなどであり、とりわけポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが好ましい。HLBが12を超えると、親水性が大きくなり過ぎるので、長期に亙る防汚効果の保持が困難となる傾向がある。前記シリコーンオイルは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また本発明に用いるシリコーンオイルは、水中防汚剤の塗工性能、塗膜物性の点から、25℃における粘度が1,000mPaS以下、なかんづく5〜50mPaSの範囲のものが好ましい。
【0023】
本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、一般式(I)で表わされるものである。一般式(I)において、Rで表わされるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルなどの炭素原子数1〜4のものが好ましい。特に、一般式(I)におけるRがメチル基である、エチレン・プロピレン共重合体が好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体はランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。エチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、たとえば、三井化学株式会社製のルーカントHC−10、ルーカントHC−20、ルーカントHC−40、ルーカントHC−100、ルーカントHC−150、ルーカントHC−600、ルーカントHC−2000などがあげられるが、これらに限られるものではない。これらエチレン・α−オレフィン共重合体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、水中防汚剤の塗工性能、塗膜物性の点から、平均分子量が10,000以下であるのが好ましく、より好ましくは1,000〜3,000である。さらに0℃における粘度が20,000PaS以下、なかんづく500PaS以下のものが好ましい。
【0025】
本発明の防汚組成物において、溶出コントロール剤の配合量は、防汚組成物中の不揮発分総量100重量部に対して、シリコーンオイル5〜30重量部、エチレン・α−オレフィン共重合体5〜40重量部であるのが好ましく、特に好ましくは防汚組成物中の不揮発分総量100重量部に対して、シリコーンオイル7〜15重量部、エチレン・α−オレフィン共重合体10〜20重量部である。シリコーンオイル、エチレン−α−オレフィン共重合体が前記範囲未満の場合は、防汚薬剤の溶出コントロールが十分でなく長期間防汚効果を保つことが困難になり、シリコーンオイル、エチレン−α−オレフィン共重合体が前記範囲を超える場合は、塗膜が軟弱になり過ぎる傾向がある。
【0026】
本発明に用いられる防汚薬剤としては、漁網防汚剤や船底塗料に広く使用されている従来公知の防汚薬剤が使用できる。無機防汚薬剤としては、たとえば亜酸化銅、銅粉、チオシアン酸銅などの銅化合物や銅―ニッケル合金などがあげられる。金属を含む有機防汚剤としては、ナフテン酸銅、オキシン銅、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、2−メチカプトピリジンオキシド亜鉛塩、2−メチカプトピリジンオキシド銅塩、ビスジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ジネブ)などがあげられ、金属を含まない有機防汚剤としては、トリフェニルボラン化合物、テトラアルキルチウラムジスルフィド化合物、2,4,5−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N―ジメチルジクロロフェニル尿素、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−イソチアゾロン−3−オン、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2,3−ジクロロフェニル−1,1−ジメチル尿素、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメイト、3−ヨード−2プロピニルブチルカーバメイトなどがあげられる。好ましくはトリフェニルボラン化合物、テトラアルキルチウラムジスルフィド化合物、ビスジメチルジチオカーバモイルエチレンビスジチオカーバメート、2−メルカプトピリジンN−オキシド亜鉛塩、2−メルカプトピリジンN−オキシド銅塩、亜酸化銅、銅粉である。
【0027】
トリフェニルボラン化合物としては、たとえばピリジン・トリフェニルボラン、プロピルアミン・トリフェニルボラン、ラウリルアミン・トリフェニルボラン、ステアリルアミン・トリフェニルボラン、3−エトキシプロピルアミン・トリフェニルボラン、3−ブトキシプロピルアミン・トリフェニルボラン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン・トリフェニルボラン、3−ラウリルオキシプロピルアミン・トリフェニルボラン、3−ステアリルオキシプロピルアミン・トリフェニルボラン、4−ラウリルオキシブチルアミン・トリフェニルボラン、8−エトキシオクチルアミン・トリフェニルボラン、8−(2−エチルヘキシルオキシ)オクチルアミン・トリフェニルボラン、2−エチルヘキシルオキシフェニルアミン・トリフェニルボラン、ラウリルオキシフェニルアミン・トリフェニルボランなどがあげられるが、これらに限られるものではない。これらのトリフェニルボラン化合物の中では、特にピリジン・トリフェニルボラン、ステアリルアミン・トリフェニルボラン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン・トリフェニルボランが好ましい。
【0028】
また、テトラアルキルチウラムジスルフィド化合物としては、たとえばテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラプロピルチウラムジスルフィド、テトライソプロピルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラ−sec−ブチルチウラムジスルフィド、テトライソブチルチウラムジスルフィド、テトラ−tert−ブチルチウラムジスルフィド、テトラペンチルチウラムジスルフィド、テトラヘキシルチウラムジスルフィド、テトラヘプチルチウラムジスルフィド、テトラオクチルチウラムジスルフィド、テトラ(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィドなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらのテトラアルキルジスルフィド化合物の中で、特にテトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドが好ましい。テトラアルキルジスルフィド化合物は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
前記防汚薬剤は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。防汚薬剤の配合量は防汚組成物中の不揮発分総量100重量部に対して、5〜50重量部が好ましく、特に好ましくは10〜40重量部である。本発明では、前記2種の特定の溶出コントロール剤を併用することによって、これら防汚薬剤の溶出量をコントロールすることにより長期間防汚効果を保つことができる。
【0030】
また、本発明の水中防汚組成物には、塗工性の点から、通常溶剤が含まれる。溶剤としては、特に限定されるものではなく、種々の溶剤が使用でき、たとえばベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなどの芳香族系炭化水素溶剤、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール系溶剤、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤があげられる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
本発明の水中防汚組成物は、前記した成分を混合し、必要に応じて各種添加剤を配合し、混合することにより製造することができる。各成分の混合方法および各種添加剤の添加方法は、特に制限されるものではなく、種々の方法により行なうことができ、混合順序および添加順序も種々の方法により行なうことができる。
【0032】
本発明は、さらに本発明の水中防汚組成物を、養殖用、定置用などの漁網またはこれらに使用される漁具および水中構築物に塗布することにより、水棲汚染生物の付着を防止し、優れた防汚性を発揮させる漁網や漁網用具および水中構築物などの防汚方法を提供する。水中防汚組成物の漁網または漁具および水中構築物などへの塗装には、たとえば浸漬塗装、吹き付け塗装などの種々の塗装方法を適用することができるが、浸漬塗装が好ましい。付着量は、漁網の場合、漁網重量の1〜20重量%(不揮発分として)の範囲が好ましい。
【0033】
【実施例】
つぎに実施例をあげて本発明を詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】
実施例1〜8および比較例1〜6
表1に記載の配合成分を混合して、実施例1〜8および比較例1〜6の漁網用防汚組成物を得た。表1における各成分の配合量は重量部数で示す。得られた漁網用防汚組成物について、つぎの防汚試験を行なった。
【0035】
実施例1〜8および比較例1〜6で得られた各漁網用防汚組成物を、ポリエチレン製の漁網(400デニール、40本、8節)に、乾燥付着量が漁網の8重量%になるように浸漬塗布し乾燥した。このように漁網用防汚組成物を塗布した漁網を40×60cmSUS製棒の枠に固定し、三重県尾鷲湾の筏にて海中から水深約1mに垂下浸漬し、その防汚性能を6ヶ月にわたって定期的に観測した。その結果を表2に示す。表中の数字は水棲汚損生物の付着面積(%)を表わす。
【0036】
また実施例1〜8および比較例1〜6で得られた各漁網用防汚組成物を、ポリエチレン製の漁網(400デニール、40本、8節)に、乾燥付着量が漁網の8重量%になるように浸漬塗布し乾燥した。このように漁網用防汚組成物を塗布した漁網を40×60cmSUS製棒の枠に固定し、三重県尾鷲湾の筏にて海中から水深約1mに垂下浸漬し63日間放置した。ついで、各漁網について、防汚薬剤の残存率を求めた。防汚薬剤の残存率はつぎのようにして求めた。各漁網を海中から引き上げ乾燥し、ベンゼン中に浸漬し、超音波洗浄器にて残存塗膜を溶解し、高速液体クロマトグラフ(HPLC)により定量分析して各漁網当りの残存薬剤量を求め、これから防汚薬剤の残存率(%)〔各漁網に塗布した防汚組成物中の防汚薬剤重量に対する各魚網の残存防汚薬剤重量の比率〕を算出した。HPLCの測定条件は、ODSカラムを用い、溶離液はメタノール/蒸留水/ジ−n−ブチルアミンアセテートで、検出器は紫外線(UV)220nmで測定を行なった。ピリジン・トリフェニルボランの場合はエタノールアミンを加えHPLC分析を行なった。その結果を表3に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
表2から明らかなとおり、実施例1〜8のシリコーンオイルとエチレン・α−オレフィン共重合体を併用した防汚組成物と、比較例1〜6のシリコーンオイルと他の溶出コントロール剤を併用した防汚組成物とでは、水棲汚損生物に対する防汚性能の比較で効果持続期間に差があり、実施例1〜8のシリコーンオイルとエチレン・α−オレフィン共重合体を併用した防汚組成物が長期間にわたり優れた防汚効果を発揮している。
【0041】
また表3から明らかなとおり、実施例1〜8のシリコーンオイルとエチレン・α−オレフィン共重合体を併用した防汚組成物と、比較例1〜6のシリコーンオイルと他の溶出コントロール剤を併用した防汚組成物とでは、防汚薬剤の残存率(%)の値に差があり、実施例1〜8のシリコーンオイルとエチレン・α−オレフィン共重合体を併用した防汚組成物では防汚薬剤の溶出コントロールが良好に行なわれていることがわかる。
【0042】
【発明の効果】
本発明の溶出コントロール剤としてシリコーンオイル類とエチレン・α−オレフィン共重合体を併用する防汚組成物は、有効成分である防汚薬剤の溶出をコントロールし、水棲汚損生物に対し、長期間優れた防汚効果を発揮する。
Claims (6)
- シリコーンオイルが、HLBが12以下である請求項1に記載の水中防汚組成物。
- 防汚薬剤が、トリフェニルボラン化合物、テトラアルキルチウラムジスルフィド化合物、ビスジメチルジチオカーバモイルエチレンビスジチオカーバメート、2−メルカプトピリジンN−オキシド亜鉛塩、2−メルカプトピリジンN−オキシド銅塩、亜酸化銅および銅粉よりなる群から選択される1種または2種以上からなる請求項1または2に記載の水中防汚組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中防汚組成物から形成されたことを特徴とする防汚塗膜。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中防汚組成物が塗布されてなることを特徴とする漁網類または水中構築物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中防汚組成物を漁網類または水中構築物の表面に塗布し、防汚塗膜を形成することを特徴とする漁網類または海中構築物の防汚方法。
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