JP4056074B1 - 磁気データ消去装置 - Google Patents

磁気データ消去装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4056074B1
JP4056074B1 JP2006260049A JP2006260049A JP4056074B1 JP 4056074 B1 JP4056074 B1 JP 4056074B1 JP 2006260049 A JP2006260049 A JP 2006260049A JP 2006260049 A JP2006260049 A JP 2006260049A JP 4056074 B1 JP4056074 B1 JP 4056074B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
coil
capacitor
magnetic field
magnetic data
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006260049A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008084371A (ja
Inventor
聰隆 七山
Original Assignee
七山 美智賜
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 七山 美智賜 filed Critical 七山 美智賜
Priority to JP2006260049A priority Critical patent/JP4056074B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4056074B1 publication Critical patent/JP4056074B1/ja
Publication of JP2008084371A publication Critical patent/JP2008084371A/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Digital Magnetic Recording (AREA)

Abstract

【課題】 磁気記録媒体に書き込まれた磁気データを、容易にかつ確実に消去することができ磁気データ消去装置を提供する。
【解決手段】 ハードディスク51を格納するための格納部15と、ハードディスクの磁気データを消去するための磁界を発生するコイル1と、コイルに電流を供給するための電荷を蓄積するコンデンサ2とを備え、コンデンサの放電によって、コイルが、格納部の中央部に、磁束密度のピーク値が0.4T〜1.2Tであり、かつ磁束密度0.4T以上の継続時間が4ms〜45msであるパルス磁場を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気データ消去装置に関し、より具体的には、ハードディスクなどの磁気記録媒体に書き込まれた磁気データを、パルス磁場をかけることにより消去する磁気データ消去装置に関するものである。
磁気テープ、固定ディスク等の磁気記録媒体は大量のデータを書き込み、蓄積できるため、現代社会のあらゆる分野で大量に使用されている。そして、保管期限が過ぎた磁気記録媒体の廃棄にあたっては、個人情報の漏洩などのおそれがあるため、書き込まれたデータを完全に消去する必要がある。磁気記録媒体の磁気データ消去に関しては、従来から多くの装置が提案されている。たとえば空芯コイルの中に磁気テープを格納し、空芯コイルに正弦波交番電流を流すことにより、そのピーク値が漸減する交番磁界を磁気テープにかけて、磁気データを消去する方式が提案されている(特許文献1)。
大型の磁気テープの磁気データを消去するには広いスペースを持つ空芯コイルに高い磁場を形成する必要があり、このため電源部のコンデンサ等を含めて装置を大掛かりにしなければならない。しかし、装置を大型化すると商品価値が低下するので、大型化を抑制するための提案がなされている。たとえば、大型の磁気テープを部分的に空芯コイルに収納しては交番減衰磁場をかけ、位置をずらしながら磁気テープ全体の磁気データを消去する装置の提案がなされている(特許文献2)。このような装置によれば、比較的小さなコイルやコンデンサを用いて、大型磁気テープのデータを消去することが可能となる。このほか、磁気テープではなくハードディスクに書き込まれた磁気データを、消去するための装置の提案もなされている(特許文献3)。
特開昭61−170904号公報 特開平2−132604号公報 実用新案登録3083683号
上記の先行発明のうち、特許文献1および2に開示の発明では、減衰する交番磁界をかけることが磁気データの消去に有効であることが強調されている。しかしながら、今後の主要な消去対象となる垂直記録方式の磁気データも含めて、磁気記録媒体の磁気データの消去にはどのような磁界をかけるのが磁気データを消去するために有効なのか、定説がないのが実情である。さらに、減衰する交番磁場などをかけたとき、二値データ(デジタルデータ)を構成している、磁化容易軸に沿う平行および反平行の磁化配列が、どのような経過をたどって消去されるかについても詳しい調査はなされていない。磁気データ消去作業において所定の磁場をかけ、そのあとで磁気データが意味をなさないものになっている(情報性が失われた)ことの確認だけが得られているのが現状である。このような基本的な知識の不足のためとおもわれるが、たとえば、減衰する交番磁界をかけて磁気データの消去をはかる装置を用いた場合、1回の処理では磁気データが完全に消去できない場合が生じる。銀行、保険、通信販売、その他の個人情報を扱う企業は、個人情報の漏洩の防止には細心の注意を払っており、消去に不安を残す磁気データ消去装置は使用することができない。
また、上記の企業では膨大な数の磁気記録媒体をパソコンその他の事務処理器に使用しており、保管期限の過ぎた磁気記録媒体を大量に処分しなければならない。その処分に際して、膨大な数のハードディスク等の磁気データの消去が必要となる。このため、磁気データ消去装置には、上述の確実な磁気データ消去とともに、磁気データを能率的に消去できる装置であることが求められる。磁気データの消去に不安が残り、何度も手戻りしてやり直ししなければ消去に確信が持てないような装置では、時間がかかりすぎて実用に耐えない。
本発明は、磁気記録媒体に書き込まれた磁気データを、容易にかつ確実に消去することができ、手戻りなどしなくてよい磁気データ消去装置を提供することを目的とする。
本発明の磁気データ消去装置は、磁気記録媒体を格納するための格納部と、磁気記録媒体の磁気データを消去するための磁界を発生するコイルと、コイルに電流を供給するための電荷を蓄積するコンデンサと、コイルとコンデンサとの間に直列に位置するサイリスタと、サイリスタとコイルとの間に一端を接続され、コイルの負側からコイルの正側へと順方向に接続されたダイオードとを備える。上記のコンデンサが、1つのコンデンサまたは並列接続された2つ以上のコンデンサであり、その1つのコンデンサの容量または2つ以上のコンデンサの合成容量が、7000μF以上であり、コイルが0.3mH〜1.3mHのインダクタンスを有し、1/(L・C) 1/2 が250(1/秒)〜650(1/秒)であり、コイルの電気抵抗が0.2mΩ〜150mΩの範囲にあり、コイルを構成する巻線に、平角エナメル線を用い、平角エナメル線の断面積が7mm 〜50mm の範囲にある。そして、コンデンサの放電によって、コイルが、格納部の中央部に、磁束密度のピーク値が0.4T〜1.2Tであり、かつ磁束密度0.4T以上の継続時間が4ms〜45msであるパルス磁場を形成することを特徴とする。
磁気データ消去装置にはどのような磁場のパターンが適切なのか、上述のように、現在のところ定説がない。本発明の磁気データ消去装置は、コンデンサから放電された電流による最初(1発目)のパルス磁場によって確実に磁気データを消去するという考え方に基づいている。したがって、減衰する交番磁界によって磁気データを消去するというアイデアには依拠しない。なお、磁場、磁界、磁束密度等は、電磁気学で定義される一般的な意味で用いているが、磁場と磁界とをとくに区別しない程度の厳密さで用いている。他の用語についても同様であるが、複数の解釈が可能な場合は、本発明の趣旨を全うするように解釈されるべきである。
上記の構成によれば、コイル軸芯に沿う方向に、高い磁束密度の最初(1発目)のパルス磁場を発生する。磁気記録媒体の磁気データは、磁化容易軸方向(長手(水平または面内)記録方式では面内トラック方向、垂直記録方式では面垂直方向)に沿って、単位領域ごとに平行(たとえば0に対応する)および反平行(平行が0に対応する場合、1に対応する)の磁化配列として記録されている。
ここで、磁化容易軸とは、その特定の結晶軸に沿って磁化の方向が揃い易い結晶軸をいう。その結晶軸に磁化の方向が揃う揃い方は、平行であっても、それとは逆向きの反平行であってもよく、同じ程度に安定である。磁化容易軸に平行または反平行以外の方向には、強制的な外力を加えない限り、そのような方向へは磁化することはない。上記パルス磁場を加えることは強制的な外力を加えることに対応する。上記のパルス磁場をかけたとき、パルス磁場の方向に応じて、平行の磁化状態が不安定になり、その磁化の方向を変えようとするか、または反平行の磁化状態が不安定になり、その磁化の方向を変えようとする。磁化の方向を変えるには、磁化容易軸とは異なる方向への磁化を経由する必要がある。実際に、不安定になった方の磁化の方向が変わるかどうかは、パルス磁場の条件による。パルス磁場によって不安定化した方向の磁化がその方向を変えると、二値情報は破壊され、磁気データは消去される。
上記の平行または反平行の磁化状態で安定している各単位領域の磁化を変えて、十分な駆動力を与えるためには、パルス磁場の最初のピークの磁束密度は少なくとも0.4T以上とする必要がある。磁気記録媒体によっては、磁化の変化が非常に生じにくい材料を使用しているものもあり、そのような磁気記録媒体の磁気データを確実に消去するためには、パルス磁場の最初のピークの磁束密度は0.6T以上とするのがよい。
パルス磁場の継続時間が終了するとパルス磁場に起因する外力は無くなり、平行および反平行の磁化状態を安定化させるような力のみが再び現れる。また、一般に、磁化した部分には磁歪(伸びまたは縮み)などが生じており、磁化の方向を変えるには、磁歪も向きを変える必要があり、一定の時間がかかる。上記のパルス磁場を磁気記録部に十分深く浸透させ、不安定化した磁化の方向を変えるには、磁束密度0.4T以上の継続時間は、4ms以上は必要である。0.4T以上の継続時間が4ms未満では、パルス磁場は十分深く浸透せず、また磁化の方向が変わり始めても、完全に変わるには至らず、パルス磁場の継続時間が終了すると、磁場をかける前の磁化配列が復活してしまい、磁気データの破壊は不完全なものとなる。磁気記録媒体のなかには磁化の方向変化がしにくい材料で形成された磁気記録部を持つものもあり、そのような場合には、ピークの磁束密度は0.6T以上必要であることは、上述のとおりである。その場合、磁束密度0.6T以上の継続時間は3ms以上とするのがよい。
上記のパルス磁場の磁束密度のピーク値は、上述のように0.4T以上であれば高いほど好ましく、0.6T以上とするほうがよいが、あまり高くすると、コンデンサ容量、パルス磁場発生時の衝撃荷重等が過大になるなど、弊害が大きくなるので、1.2T以下とする。また、磁束密度0.4T以上の継続時間は4ms以上、たとえば7ms以上とするのが確実に不安定化した方向の磁化を変化させる上で好ましいが、コンデンサ容量の制限から45ms以下とする。上述のように、磁束密度0.6T以上とする場合には、0.6T以上の継続時間は35ms以下とする。
上記の装置によれば、1回の放電操作で、1つのハードディスクの磁気データを確実に消去することができる。このため、ハードディスク、パソコンまたは特別な場合にはデスクトップパソコンの本体部、をそのまま格納する大きな格納部に、それらの物を格納しては磁場をかけるという繰り返し作業を、手戻りすることなく能率よく遂行することができる。
上記の最初のパルス磁場の時間経過パターンは、次のような回路構成によって実現することができる。
上記のダイオードにより、コンデンサで放電された電荷は過渡電流となってコイルを流れ、1発目のパルス磁場を形成した後、コンデンサの負極にも流れ込むが、ある程度負極側に電荷が蓄積され、負極側の電位が高くなるとコイルの正側、すなわちコンデンサの正極側にも流れる。このためコンデンサの正極から放電しながらコイルの負側から電荷の補充がなされるので、コイルを流れるパルス電流の継続時間が長くなり、その結果、パルス磁場の継続時間も長くなる。磁気データの磁化配列を破壊するには、パルス磁場の継続時間が長いほうが、これまで繰り返し説明してきたように好ましく、確実に磁気データを消去することができる。また、このようなダイオードの配置により、電荷の放電後にコンデンサに高い逆電圧が印加される事態を避けることができ、コンデンサの寿命を長くすることができる。ダイオードという非常に簡単な素子により、上記のような2つの重要な作用(磁場継続時間の延長、コンデンサの長寿命化)を得ることができる。このダイオードは、整流作用がある各種の回路または素子により、当然、置き換えることができる。
上記のコンデンサについては、コンデンサの容量は、スイッチオン後の過渡電流のピーク値を決め、電流とほぼ正比例関係にあるパルス磁場の強さのピーク値(磁束密度で表示する)を決める。また、コンデンサ容量は、コイルのインダクタンスとともに所定値以上の磁束密度の継続時間を決める。上記のように、コンデンサ容量を7000μF以上と大きくすることにより、コイルの空芯内(格納部)に、高い磁束密度のピーク値のパルス磁場を形成し、その所定値以上の磁束密度の継続時間を長くすることができる。このため、ハードディスクなどの磁気記録部の表面から高い磁場を所定深さまで浸透させ、磁化の方向の変動を未遂に終わらせないようにできる。この結果、磁気記録部におけるデジタル化された磁化配列を確実に破壊して、磁気データを消去することができる。
上記コイルのインダクタンスおよび1/(L・C) 1/2 に関して、磁気データの消去に際しては、デジタル信号に対応する磁化配列が形成された磁気記録部に強磁場を浸透させ、その磁化配列を強制的に揃えるのに必要な時間、強磁場を継続しておく必要がある。上記の1/(L・C) 1/2 は小さいほうが、パルス状過渡電流の巾(継続時間)を長くでき、上記の範囲にすることにより、各種の磁気記録媒体の磁気データを確実に消去することができる。1/(L・C) 1/2 が250(1/秒)未満ではコンデンサ容量やコイルのインダクタンスを大きくしなければならず、科学研究プロジェクト用にはともかく、本発明の通常の用途には不適切な大掛かりな構成となってしまう。また、1/(L・C) 1/2 が650(1/秒)を超えると、パルス磁場の継続時間が短くなりすぎて、磁化配列を完全に破壊することができなくなる。
上記コイルの電気抵抗に関して、コイルのインダクタンスを確保した上で、コイルの電気抵抗を150mΩ以下とすることにより、最初のピーク磁束密度の急峻な低下すなわち継続時間の短縮を防ぐことができ、磁気データの確実な消去を促進することができる。コイルの電気抵抗は、銅線を使う限りゼロにすることはできず、コイルのインダクタンスを確保しながら極力低くしても0.2mΩが限度であるので、0.2mΩを下限とする。また、磁気データ消去を繰り返し連続して行う場合のコイルでの発熱を抑えることができ、耐久性を向上できる。
コイルの巻線を平角エナメル線にすることにより、コイルの巻線の占積率を向上することができ、高い磁束密度と、パルス磁場の長い継続時間を実現しやすくなる。
また、平角エナメル線の断面積を上記範囲にすることにより、上記のような、低い電気抵抗と十分なインダクタンスを得ることができる。
また、作業能率の向上という点では、最初の一発のパルス磁場のみが消去の可否を左右するので、交番磁界で消去を行う場合に比べて、短い操作時間の差かもしれないが、操作時間の短縮に貢献することができる。最も大きく作業能率の向上に資する点は、確実に、一発のパルス磁場で磁気データを確実に消去でき、あとに不安を残さず、手直しを考える必要がないことにある。
上記のパルス磁場のピークの磁束密度と、磁束密度0.4T以上の継続時間は、格納部の中央部で形成する。格納部中央部で上記のパルス磁場を形成できれば、磁気記録媒体のほとんどすべての部分の磁気データは問題なく消去できる。上記の磁束密度等はそのような磁束密度の分布を見込んでいるからである。しかし、上述のように、磁気記録消去対象物によっては上述のようにサイズが大きい物があり、そのような対象物の端の部分における磁気データの消去を完璧に遂行するには、格納部の端におけるピーク磁束密度等を確実に達成する必要がある。このために、コイルが、格納部の開口端から奥に20mmの位置に、磁束密度のピーク値が0.4T〜1.2Tであり、かつ磁束密度0.4T以上の継続時間が4ms〜45msであるパルス磁場を形成する構成にすることができる。また、磁気データの消去が容易ではない材料を用いたものもあり、このような場合、上記大きな対象物の端部での磁気データを完全に消去するために、格納部の開口端から奥に20mmの位置に、磁束密度のピーク値が0.6T〜1.2Tであり、かつ磁束密度0.6T以上の継続時間が3ms〜35msであるパルス磁場を形成するのがよい。
また、上記のコンデンサの充電のための電流経路にトライアックを配置することができる。この構成により、一般電源から大きな電流をコンデンサに流すことができるので、短時間でコンデンサを充電することができ、多数の磁気記録媒体の消去作業において、作業の能率向上に多大な貢献をすることができる。また、コンデンサは充電後に漏電のため最適充電状態から低くなるが、トライアックはコンデンサの電圧を取り込んで自動補充できるので、大きく電荷を減らして補充電のために多くの時間を費やす事態を避けることができる。
また、上記のコンデンサの充電のための電流経路に昇圧用トランスを配置しないようにしてもよい。トランスを充電回路に組み込んで昇圧に用いると充電に非常に時間がかかり、繰り返し消去作業の能率を阻害する。このため、できればトランスは充電回路には用いないほうがよい。
また、上記のコイルを巻き付けるボビンが樹脂板によって形成される構成をとることができる。樹脂板は弾性があり、強度も高いので、コイルが衝撃で変形する際に衝撃変形を受けながら復元することができる。このため、破壊に至らず耐久性の高いボビンを得ることができる。
また上記の磁気記録媒体の回転軸の軸芯方向とコイルの軸芯方向とが同じ方向に揃うように、磁気記録媒体を格納する格納部が設けられ構成とすることができる。垂直磁気記録方式の記録媒体は、磁気データ書込部の下方に厚い軟質磁性層を設けるのが普通である。このような構造の垂直磁気記録方式の記録媒体にその記録媒体の表面に沿う方向の磁場をかけた場合、並列配置された軟質磁性層と磁気データ書込部とに磁場をかけることになり、軟質磁性層に磁場が引き寄せられ、磁気データ書込部に磁場が集中しない。上記の構成をとることにより、垂直磁気記録方式の記録媒体の磁気データを効率よく消去することができる。ここで、上記のコイルは、一体物の1つのコイルでもよいし、2つの部分コイルがスペースをあけて電気的に直列接続されたコイルであってもよい。
上記のコイルは、第1の部分と、該第1の部分に直列接続し、該第1の部分と同じ軸芯方向を持ち、該第1の部分からスペースをあけて位置する第2の部分とを有し、磁気記録媒体を格納する格納部が、コイルの第1の部分と第2の部分との間に設けられる構成とすることができる。この構成により、上記の間のスペースにコイル軸芯方向の強い磁場を形成できるので、垂直磁気記録方式の磁気データを効率よく消去することができる。コイルの第1の部分と第2の部分とは、通常、同じ巻数にするが、同じ巻数でなくてもよい。上記のコイルのインダクタンスは、第1の部分と第2の部分とを合わせた自己インダクタンスとする。すなわち1Aの電流を流したときの第1の部分および第2の部分の磁束鎖交数の和とする。
上記の磁気記録媒体の回転軸の軸芯方向とコイルの軸芯方向とが交差するように、磁気記録媒体を格納する格納部が設けられる構成をとることができる。水平記録方式では、トラックに沿って渦巻状に磁化配列が形成されるが、その渦巻の面内の一つの方向に、上記のパルス磁場がかけられる。このため、パルス磁場の方向は、磁化容易軸方向とは関係なく、単位領域の位置によって磁化容易軸方向とパルス磁場方向との方位関係は、変わってくる。上記の構成によれば、磁化容易軸方向とパルス磁場方向との方位関係が位置によって変わっても、完全な消去ができるようにパルス磁場の条件が設定されているので、水平磁気記録方式の記録媒体の消去を容易に行うことができる。
本発明の磁気データ消去装置では、垂直記録方式および水平記録方式を問わず、簡単な操作により(1回の放電により)、手戻りすることなく確実に磁気データを消去することができる。
次に図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
1.装置の概要
本発明の磁気データ消去装置の一例を図1に示す。図1の磁気データ消去装置10は、水平記録方式の磁気記録媒体、たとえばハードディスク51を対象にする。磁気記録媒体51に固定した座標軸は小文字のxyzで表示しており、このハードディスク51では、磁気データは、x−y面内の渦巻状のトラックに沿った平行および反平行の磁化配列として形成されている。ハードディスク51を、格納部15に格納するのであるが、格納部15は、コイル1の巻線が巻き付けられるボビン11の内壁で囲まれている。コイルの座標軸は大文字のXYZで表示しており、コイルの軸芯方向はZ方向に平行である。
図2は、垂直記録方式の磁気記録媒体51を対象とする磁気データ消去装置10である。垂直記録方式の磁気記録媒体の構造については、このあと詳しく説明するが、磁化容易軸はx−y面に垂直、すなわちz方向に沿ってあり、磁化はz方向に平行および反平行状態にある。トラックがx−y面内に渦巻状に形成されている点は、水平記録方式と同じである。図2に示す磁気データ消去装置10では、パルス磁場はZ方向に生成され、磁化容易軸方向と磁場の方向とは、揃うことになる。磁気データ消去装置10の格納部15は、1個のコイル内に設けられる場合には、磁気記録媒体51の平面形状をそのまま受け入れる必要があり、開口部は、磁気記録媒体51の平面形状を含むサイズを有する必要がある。このためコイル断面形状も大きくする。
図3は、やはり垂直記録方式の磁気記録媒体の磁気データを消去する装置を示す図である。格納部15は、2つの部分1a,1bに分かれたコイル1の部分間のスペースに形成される。コイルの2つの部分1a,1bが巻き付けられるボビン11a,11bは、スペースをあけて配置される。コイル1の2つの部分1a,1bは、電気的に直列接続されており、図示していないコンデンサから流れる電流が連続して流れ、同じタイミングで磁場を発生する。間隔をあけて配置した2つの1ターンコイルに同じ方向に電流を流すとき、間隔の中央部の軸芯付近に均一な軸芯方向(すなわち図3のZ方向)に沿う磁場が形成されることは、よく知られている(たとえば太田恵造:磁気工学の基礎I(共立出版),p.53)。2つの部分1a,1bに分かれたコイル1を用いる場合、磁気記録媒体51は、水平記録方式の場合と同様に、本を本棚に挿入するように格納部15に格納することができ、開口部の断面形状を小さくできる利点がある。
2.磁気記録媒体
図4は、磁気記録媒体であるハードディスクを示す図である。ハードディスク51では、渦巻状のトラック58に沿って磁気データの磁化配列が形成されている。渦巻状のトラック58は、回転軸57の回りに回転する円板に形成されている。円板の回転に合わせて磁気ヘッド59が、トラックを追尾して磁気データの書込みおよび読出しを行う。磁気データの書込みは、磁化容易軸方向に沿って、単位領域ごとに平行磁化(たとえば0に対応)または反平行磁化(平行が0の場合は1に対応)の配列を形成することと同じである。
また読出しは、上記の磁化配列の配列を検知することと同じである。図4に示すハードディスク51は、垂直記録方式にもまた水平記録方式にも用いられる一般的な構造である。水平記録方式の場合は、トラック58に沿って形成される平行または反平行の磁化の方向が、x−y面内のトラックの方向に沿っている。一方、垂直記録方式の場合は、上記の平行または反平行の磁化の方向はz方向すなわちトラック面に垂直方向である。
図5は、水平記録方式の記録媒体であるハードディスク51の磁化配列を示す断面図である。ガラス基板52の上に各種の下地層を形成し、その下地層の上に水平方向の磁化配列層55が配置される。磁化配列層55の上に保護膜56が配置される。図4と合わせて見ると、この水平方向の平行または反平行の磁化は、渦巻状のトラック58に沿っている。単位領域の磁化容易軸方向は、渦巻のどの部分に位置するかによって変わってくる。このため、あとで詳しく説明するが、水平記録方式にパルス磁場をかけるとき、消去しやすい部分と消去しにくい部分とが生じる。
図6は、垂直記録方式の記録媒体であるハードディスク51の磁化配列を示す断面図である。ガラス基板52の上に分厚い軟磁性層53を配置して、その上に下地層を介在させて磁化配列層55を設け、保護膜56で覆っている。磁化配列の平行または反平行の磁化方向は、トラック面であるx−y面に垂直であり、すなわちz方向に揃っている。垂直記録方式のハードディスク51では、書込み等において薄い面状の記録層55に垂直に磁場をかけて平行磁化および反平行磁化の配列を形成するため、反磁場が大きく磁場が入りにくいので、分厚い軟磁性層53を記録層55の下層に設けて、反磁場が実質的に問題にならないように、小さくしている。
上記のような垂直記録方式のハードディスク51に対して、パルス磁場は、上述のようにx−y面に垂直、すなわちz方向にかける。このパルス磁場も、軟磁性層53があるため、記録層55における反磁場は小さくなり、垂直方向に確実に高い磁束密度のパルス磁場をかけることができる。垂直記録方式のハードディスク51では、トラックのどの位置でも、平行または反平行の磁化は垂直である。上記のように、垂直記録方式のハードディスク51には、垂直方向にパルス磁場をかけるので、トラックの位置によって磁気データの消去がしにくくなることはなく、パルス磁場が所定値以上の磁束密度および継続時間を持てば、磁気データを確実に消去することができる。
3.パルス磁場の時間パターン
図7は、コンデンサを充電後に放電して、コイルを流れる電流および上記格納部の中央での磁束密度の測定データを示す図である。電流の変化と磁場の変化とは、ほぼ1対1に対応していることが分かる。本発明の実施の形態では、減衰する交番磁界を用いることはせず、最初(1発目)のパルス磁場によって磁気データを消去する。図7では、最初のピークの磁束密度は0.95Tであるが、本発明の実施の形態では、最初のパルス磁場の磁束密度のピーク値は0.4T〜1.2Tとする。また、磁束密度0.4T以上の継続時間は30ms強あるが、本発明の実施の形態では4ms〜45msの範囲とする。
図7では最初のパルス磁場の後に、逆向きに継続時間が短く、かつピークも小さいパルス磁場が半周期だけ発生する。このような逆向きの半周期は、コンデンサの構成によって現れる場合と現れない場合があり、磁気データの消去の性能(試験結果)は、逆向きの半周期の有無によって影響されないことを確認している。図7のように、継続時間が長いパルス磁場が生成する理由は、あとで説明するように、コイルの負側からコンデンサの正側に順方向のダイオードを配置している影響が大きい。
4.パルス磁場による磁気データ消去についての考え方
上記のようなピークの磁束密度が高いパルス磁場をかけたとき、磁気データを形成する平行および反平行の磁化配列はどのように変化するか、概略的に説明する。垂直記録方式の場合のほうが簡単なので、とくに断らない限り垂直記録方式についての説明とする。垂直記録方式ではトラック面に垂直方向が磁化容易軸方向であり、その方向にそって平行または反平行に磁化が生じている。磁化容易軸に平行または反平行以外の方向に磁化する場合、異方性エネルギは高くなり、強制的な外力を加えない限り、そのような方向への磁化は実現しない。上記パルス磁場を加えることは強制的な外力を加えることに対応する。
異方性エネルギとの対比上、エネルギ単位(力はエネルギの微分)で表現すれば、上記パルス磁場を加えることは、磁気エネルギを外部から強制的に加えることになる。磁気エネルギは、磁化の大きさM、磁場の強さH(空気中で、磁束密度B=μHの関係が成立:μは空気の透磁率)、磁化の方向と磁場の方向との角度をθとすると、磁気エネルギは、−MHcosθと表現される。磁気エネルギのみを考える場合、磁化の方向は磁気エネルギの−MHcosθが最小となる角度θ=0(磁場の方向と磁化の方向とが平行)となり、その磁気エネルギは−MHとなる。異方性エネルギと磁気エネルギとの両方がある場合、上記のパルス磁場をかけたとき、磁気エネルギと異方性エネルギとの和を最小にする方向に、単位領域ごとに磁化は向きを変え、全単位領域の磁化の方向は、ほぼ揃うと考えられる。磁化方向がほぼ揃う結果、二値情報は破壊される。実際には、異方性エネルギ、磁気エネルギの他にひずみエネルギなどもあり、上述の内容よりは複雑であるが、基本的には上記の考え方が成り立つ。また、磁化方向がほぼ揃うのは比較的小さい局所的な範囲ごとであり、マクロ範囲では磁歪などの他の要因が大きくなり、磁化方向は1方向にほぼ揃わなくなるかもしれない。しかし、局所的な範囲ごとに磁化配列が破壊されれば、その結果、全体としても磁気データは消去されることになる。
図8は、異方性エネルギと磁気エネルギとを別々に示す図である。異方性エネルギは、平行位置および反平行位置にエネルギの極小点があり、平行状態および反平行状態ともに同じ程度に安定であり、書き込まれた磁気データは安定に保持される。平行状態から反平行状態に移るには異方性エネルギの山(分岐点)を越えなければならず、熱エネルギなどを必要とするが、通常の保管状態では異方性エネルギの山(分岐点)を越えることはない。
また、図示した磁気エネルギは、パルス磁場を反平行方向にかけたとき、すなわち反平行状態を安定化して平行状態を不安定化するときの磁気エネルギである。異方性エネルギと磁気エネルギの縦軸方向の位置の相違に物理的意味はなく、両者の縦軸方向の位置は任意である。図8は、反平行方向の磁化に平行にパルス磁場をかけた場合を示すが、平行方向にパルス磁場をかけたときは、平行状態が安定化して反平行状態が非常に不安定化する磁気エネルギとなる。
パルス磁場をかける前は、水平記録方式および垂直記録方式ともに、磁気データは、単位領域ごとに、磁化容易軸方向に平行、またはその逆方向の反平行に磁化された磁化配列として形成されている。磁化容易軸に沿って磁化しているという意味で、平行および反平行は同じであり、両者の間に差異はない。磁化容易軸以外の方向の軸に沿うように磁化させようとするには、異方性エネルギの山を登らなければならない。磁気データの書込みは、異方性エネルギの山を越える磁場をかけて平行と反平行の磁化配列を形成していることになる。
図9は、図8における磁気エネルギおよび異方性エネルギの和のエネルギを示す図である。異方性エネルギに磁気エネルギを加えることにより、パルス磁場をかける前は安定状態であった平行状態は不安定化して、分岐点(平行方向と反平行方向との間にあり、パルス磁場をかける前は異方性エネルギの山に対応していた方向)は斜面となる。このため、平行方向の磁化は、問題なく分岐点を越えて反平行状態へと方向を変える。これが磁化反転と呼ばれる現象である。パルス磁場が消失すれば、異方性エネルギのみが復活するので、パルス磁場による磁気エネルギが継続する間に、磁化の方向を平行方向から変えなければならない。上記のようにして、平行方向の磁化は、反平行方向に移り、その結果、磁気データに対応する磁化配列は破壊され、磁気データは消去されることになる。
本発明の実施の形態では、上述のように、パルス磁場を加えて上記の磁気エネルギを生じさせ、単位領域の磁化の方向がパルス磁場の方向に対して不都合(不安定)になる場合には、上記の異方性エネルギの山(分岐方向)を越えさせて、磁化の方向を変える。その結果、磁化配列の磁化の方向がほぼ揃うことになる。磁化配列に対して外部からパルス磁場を加えて、磁気エネルギ(−MHcosθ)を生じさせることにより、上記の平行と反平行とは、それぞれの状態が持つエネルギによってはっきり区別される。たとえば、磁場を反平行方向にかけたとき、磁化が反平行の単位領域ではθはゼロであり、上述のように磁気エネルギは−MHとマイナスの値になり、磁気エネルギ上において、反平行の磁化は安定に維持される。しかし、逆方向の平行の磁化では、θはπ(180°)となり、磁気エネルギは、+MHと大きくなり、不安定になる。この磁気エネルギが異方性エネルギの山(分岐点)を斜面に変えるほど大きい場合には(図9参照)、平行状態の磁化は異方性エネルギの分岐点を越えて反平行側の向きに磁化方向を変えることになる。
上記の説明は垂直記録方式について適用されるが、水平記録方式においても、異方性エネルギと磁気エネルギとで説明するスキームは同じである。パルス磁場の方向が、図4のハードディスクのx−y面内の方向にあって、図8および図9のように、反平行方向またはそれに近い方向〜やや遠い方向となるトラック位置の磁化配列に対しては、上記の図8および図9の説明は、そのまま成り立つ。トラック方向に対して真横方向のパルス磁場をかける場合が問題となる。これは、すなわち異方性エネルギの山の方向にパルス磁場をかける場合に対応する。この場合の異方性エネルギの山に対応する分岐点方向のエネルギ和は、磁気エネルギにより大きく低下され、山ではなく谷となる。このため、平行状態および反平行状態ともに谷ではなく上記の磁気エネルギの谷に傾斜する斜面となる。この結果、両方の磁化方向は谷に向かう方向、すなわち分岐方向に変化する。
このとき、パルス磁場が所定時間以上継続すれば、この状態(上記の谷に対応する分岐方向に磁化される状態)が継続して、磁気データの磁化配列の記憶(痕跡)は何も残らなくなる。所定時間が経過した後、パルス磁場が継続時間を終えてなくなると、各単位領域の磁化は、異方性エネルギの安定方向である平行または反平行方向をとることになる。しかし、このときは当初の記憶は消失しているので、当初の磁気データに対応する磁化配列を最早とらず、その時点で単位領域ごとにエネルギ的に都合のよい磁化方向をとることになる。この結果、磁気データは破壊され、消去されることになる。上記の磁気データ消失機構によれば、トラック方向の真横からパルス磁場をかけられる位置では、異方性エネルギの分岐方向が、エネルギ和の谷になるくらい強い磁場であり、パルス磁場の継続時間が長い必要がある。上記の最初のピークの磁束密度0.4T以上、および0.4T以上の継続時間4ms以上という条件は、上記のような強い磁場および長い継続時間に対応するものである。したがって、水平記録方式の磁気記録媒体についても、強くかつ長いパルス磁場をかけることにより、トラックの位置によらず、磁気データを消去することができる。
5.コイルおよびコンデンサ
最初のパルス磁場が上記の条件:(1)最初のパルス磁場の磁束密度ピーク値が0.4T〜1.2T、(2)磁束密度0.4T以上の継続時間が4ms〜45ms、を満たす限り、どのような回路構成で実現してもよい。たとえば、コンデンサの容量CおよびコイルのキャパシタンスLを大きくすることにより、上記(1)および(2)を満たすことができる。また、パルス磁場のピークを平坦にして継続時間を長くする場合には、コンデンサ(容量C)とコイル(インダクタンスL)とを直列接続したLC部を1単位として、そのLC部をm段重ねて、パルス磁場発生コイルに接続する。この回路構成によりパルス磁場のピークを平坦にしてその平坦部の継続時間を2m(LC)1/2とすることができる。そして、ピーク部分から裾を引くより低い磁場の強さの場合、さらに継続時間を伸ばすことができる。
図10は、典型的なLC回路によるパルス磁場発生装置を示す図である。コンデンサ2には充電回路31からの電流が流れ込み、電荷が蓄積される。所定電荷が蓄積されてコンデンサの電圧が所定値に到達したとき、放電素子5によってコンデンサ2の電荷が放電されてコイル1に電流が流れ、コイル1の空芯内(格納部)にコイル軸芯方向のパルス磁場が形成される。コイル1も含めて電流路は銅線で形成されるが、電気抵抗はゼロとはならず、有限な電気抵抗3が付随する。
上記のコンデンサ2の容量または合成容量は7000μF以上とするのが、磁束密度のピーク値を高める上でも、また0.4T以上の磁束密度の継続時間を長くする上でも好ましい。コンデンサ3の容量または合成容量の上限は13000μF程度とする。通常は、10000μF程度の容量とする(図11(a)参照)。コンデンサに蓄積する電荷量を多くする場合には、10000μF程度のコンデンサを並列接続して用いるのがよい。たとえば、図11(b)に示すように、10000μFのコンデンサを2個並列接続したもの同士を直列接続して合計4個の10000μFのコンデンサを用いることにより、蓄積する電荷量を2倍にすることができる。
図12は、平角のエナメル線21を用いた場合のコイルの部分断面図である。ボビン11の回りに、ワニス21bなどで被覆された矩形断面の銅線21aが巻かれており、そのエナメル線の間の隙間が少なく、密に巻かれている。図13は、丸断面のエナメル線23を用いた場合のコイルの部分断面図である。ボビン11の回りに、ワニス23bで被覆された丸断面の銅線23aが巻かれているが、図12の平角エナメル線に比べて、隙間が多くあり、占積率が低下していることが分かる。コイルの形成には丸断面のエナメル線を用いるのが普通であるが、平角エナメル線21を用いることにより、占積率を向上させ、この結果、コイルの電流密度を高めることができ、ひいては高い磁束密度を空芯部(格納部)に形成することができる。上記の平角エナメル線の断面は、たとえば3mm×9mm(断面積27mm)、2mm×5mm(断面積10mm)などを用いることができる。このような平角エナメル線を用いてコイル(ターン数50〜150)を形成して、コイルのインダクタンス0.3mH〜1.3mHとした上で、電気抵抗は、たとえば0.2mΩ〜150mΩとするのがよい。
5.継続時間の延長のための回路構成
図14は、コイル1の空芯部に生成するパルス磁場の継続時間を長くするための回路構成を示す図である。ポイントは、コイル1のマイナス側からプラス側に向けて順方向のダイオード7を配置することにある。サイリスタ5は、ゲートGに電圧が印加されると、カソードKとアノードAとが導通されてオン状態となる。コンデンサ2の電圧は検知されており、充電されて所定電圧に到達すると、サイリスタ5のゲートに電圧が印加される。この結果、コンデンサ2は放電を開始してコイル1に電流を流す。
コイル1を流れた電流はコンデンサのマイナス側に蓄積されてマイナス側の電位を高めるが、コンデンサ2のプラス側の電位より高くなると、ダイオード7を通って、マイナス側からプラス側に電流が流れる。この結果、コンデンサ2は電流をコイル1に向かって流しながら、コイル2を通った後の電流を補充されることになる。この結果、パルス電流の継続時間が延長され、電流と正比例する関係にある磁場についても継続時間が延長する。すなわち、図14に示すダイオード7を備える回路構成により発生するパルス磁場の継続時間は、ダイオード7が無い回路構成によるパルス磁場に比べて、非常に長いものとなる。
また、上記のようなダイオード7の配置により、電荷の放電後にコンデンサ2に高い逆電圧が印加される事態を避けることができ、コンデンサの寿命を長くすることができる。さらに上記のダイオード7は、コンデンサ2の負側への電荷の蓄積を抑制するため、交番電流の生成を抑制し、その結果、交番磁界の生成を抑制することになる。上記ダイオードのパルス磁場に対する作用を全体的に見ると、上記ダイオードは図10などに例示されるLC回路における電気抵抗によって減衰する交番電流すなわち交番磁界の形成を抑制し、1発目のパルス磁場の継続時間を延長する作用を有するとみることができる。
その結果、ダイオード7という非常に簡単な素子により、2つの重要な作用(磁場継続時間の延長、コンデンサの長寿命化)を得ることができる。このダイオードは、整流作用がある各種の回路または素子で、当然、置き換えることができる。上記のダイオード7の作用効果のうち、パルス磁場の継続時間の延長については、実施例において測定した結果を説明する。
6.充電時間短縮のための充電回路の構成
上記したように、磁気データ消去作業は、通常、非常に多数の廃棄処分になったハードディスクを対象とするため、高い作業能率が重要であり、とくに上記のコンデンサへの充電時間の短縮が重要である。図15は、一般のコンセント33から給電するためにトライアック18を用いた充電回路を示す図である。一般のコンセント33から給電された電力は、給電に対してオン状態とされたトライアック18を経て倍圧整流部Sで昇圧されてコンデンサ2を充電する。制御部19は、コンデンサ2の電圧を検知して、コンデンサ2の充電が遂行されたか否かを判断する。コンデンサ2への充電が必要な場合は、トライアック18を給電オンとして、倍圧整流部Sからコンデンサ2へと電流を導入する。コンデンサ2の充電が完了して、外部から磁場発生のスイッチ(図示せず)が押されるとサイリスタ5のゲートに5V程度の信号を加えてサイリスタ5の導通をオンにして、コンデンサ2からの放電をスタートさせ、コイル1の空芯部(格納部)にパルス磁場を生成する。
また、図16は、トライアックを用いずに抵抗素子36を用いて、コンデンサ2への充電を行う方式の回路を示す図である。一般のコンセント33から給電された電力は、抵抗素子36から、倍圧整流部Sおよびオン状態のスイッチ46を経てコンデンサ2を充電する。コンデンサ2が十分充電された表示がなされると、スイッチ45をオンにしてコンデンサ2から放電を行いコイル1の空芯部にパルス磁場を発生する。
トライアック18の使用により、コンデンサ2への充電は、その初期(コンデンサの電圧が低い状態)および終期(コンデンサの電圧が高い状態)によらず、図17に示すように、一定の割合で充電される。トライアック18はコンデンサ2の電圧に関係なく一定の電流を倍圧整流部Sの側に供給することができる。一方、抵抗素子36を用い方式で充電する場合には、コンデンサ2の充電が進行するにつれコンデンサ2の電圧が上昇する影響を受ける。コンデンサ2の電圧上昇により抵抗素子を通る電流は小さくなり、図17に示すように、充電速度は徐々に低下する。この結果、図16に示す充電の方式では、作業能率は非常に低下する。また、実際上の問題として、コンデンサ2の定格能力に満たない所定の電圧を充電完了電圧と設定せざるをえないため、コンデンサ2の放電によるパルス磁場もその分、低いものにならざるをえない。
もう一つ作業能率を低下させる要因に、充電終了後のコンデンサ2からの漏電という問題がある。充電が終了したコンデンサ2からは少量であるが絶えず一定量の電荷が漏洩している。このため、トライアック18を用いた図15に示す充電方式では、制御部19はコンデンサ2の電圧を検知していて、電圧が定格電圧の94%になるとトライアック18に指令を発して充電をスタートさせて定格電圧の104%まで充電を続ける自動充電を行うことができる。この結果、磁気データ消去作業者は、ほとんどいつでも外部スイッチを押すことができ、十分な量の電荷を放電して十分高いピーク磁束密度と、十分な継続時間とを有するパルス磁場を形成することができる。
これに対して、図16に示す抵抗素子36を用いる方式では、上記トライアック18を用いる制御ができないので、スイッチ46を手動で操作して、コンデンサの電位を表示するメータを見ながら、充電の調整をすることになる。このため磁気データ消去作業者が、ハードディスクの取り扱いに気をとられてコンデンサ2の漏電を放置すると、コンデンサ2の電圧が大きく低下して、充電に、再び多くの時間を要するということが度々生じる。トライアック18の使用は、(1)一般コンセント33からの充電を最初から最後まで確実に一定速度で行うことができるため、電気抵抗素子を用いる方式に比べて、充電時間の短縮を可能とし、また(2)充電後のコンデンサからの漏電の補充を自動化でき、コンデンサの電圧を一定範囲内に絶えず保持して、漏電の補充に時間をとらないことを可能とする。
また、上記の充電回路には、コンデンサの充電のために昇圧用トランスを用いていない。充電回路の充電経路に昇圧用トランスを用いると、充電に長時間を要し、迅速な充電ができない。したがって、短い充電時間が重要な要素を占める磁気データの消去作業の高能率化をはかるためには、磁気データ消去装置の充電回路に昇圧用トランスを用いないようにするのがよい。
7.衝撃対策
コイル1にコンデンサ2からの電流が一気に流れるとき、コイル1に大きな電磁力が瞬間的に発生する。このためコイル1の巻線が巻き付けられるボビン11に大きな衝撃が加わり、金属などを用いた剛構造体では変形や亀裂が生じ、多数回の使用に耐えられない。弾性変形が可能であり、かつ十分な強度を持つ樹脂板を組み合わせることにより、ボビンの耐久性を向上させることができる。一般の樹脂板を用いてもよいが、より好ましくは強度が高い樹脂板、たとえばABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂板を用いるのがよい。図19は、ABS樹脂板の端部を相互に嵌め込み形状にレーザ加工して、組み上げたボビン11を示す斜視図である。組み上げた後に接着剤を隙間に注入して強固に接着している。このような樹脂板を組み上げたボビン11は、衝撃に対して変形後、復元するので、多数回の衝撃にも問題なく耐えることができる。
なお、磁気データ消去作業中に、本発明の実施の形態における磁気データ消去装置で発生する磁場を作業者が受けるおそれがある。この点について確認のための磁場測定を行った。その結果、上記装置から5cm程度離れた位置では、電話の受話器を耳元につけたとき耳元がうける磁場の強さより小さいことを確認した。
(実施例1−パルス磁場の磁束密度/時間パターンの測定−)
次に、コイル1の負側から正側に向かって順方向にダイオード7を配置した場合(図14参照)および配置しない場合について、パルス磁場/時間および電流/時間の測定を行った結果を示す。磁気データ消去装置には、図1に示すタイプの装置を用いた。そのコイルには、3mm×9mmの平角エナメル線を68ターン巻いたものを用いた。コイルのインダクタンスLは0.46mHであり、抵抗Rは36mΩである。コンデンサは容量10000μFのものを1個用いた。充電回路にはトライアックを用いた。磁場の測定は、格納部の中央部と、入口から20mm入った位置の下部(床面位置)との2地点にホール素子を配置して、ホール素子からの信号を増幅器(ホール素子とセット:GAUSS METER MODEL HGM 8300P3:ADS社製)を経てオシロスコープ(TDS3012:Tektronix社製)に入力した。また電流は、電流測定用のコイルをコンデンサ−コイル間の配線に周回させるように取り付け、その信号を増幅器(電流測定用コイルとセット:ピーク電流計PHS−CO:株式会社アイエムエス製)を経てオシロスコープに入力した。オシロスコープ上で、時間軸(横軸)に同期させて、磁場と電流とを縦軸に表示した。
結果を図20〜図23に示す。図20は、ダイオードを配置しない場合の電流および格納部の中央での磁場の測定結果を示すオシロスコープの表示画像である。ピーク磁束密度は0.81Tと高い値が得られている。また、磁束密度0.4T以上の継続時間は、6ms〜7msである。電流の時間パターンは磁束密度の時間パターンと同じとみることができる。これに対して、ダイオード7を配置した場合(図14参照)には、ピークの磁束密度は0.81Tと、ダイオードを配置しない場合と同じであるが、継続時間が大きく延長されている。たとえば0.4T以上の磁束密度の継続時間は10ms〜11msへと、ダイオードを配置しない場合の6ms〜7msから大幅に延長している。このようなパルス磁場の継続時間の延長は、繰り返し述べたように、磁気データの消去に非常に有効であり、確実に一発のパルス磁場による消去を得ることができる。
図22は、格納部の手前の、開口部から20mm奥に入った床面(下部)位置での磁場の測定結果を示す表示画像である。ピークの磁束密度は0.63Tと図20のピーク値0.81Tから大きく低下しており、また0.4T以上の継続時間も5ms程度と短くなっている。これに対して、ダイオード7を配置した場合、ピークの磁束密度は0.63Tであるが、0.4T以上の継続時間は7ms強であり、ダイオード7を配置しない場合に比べて40%以上の継続時間の延長が得られる。
上記のようにコイル(コンデンサ)の負側からコンデンサの正側に向けて順方向のダイオードを配置することにより、パルス磁場の継続時間の大幅な延長が得られる。ダイオードという簡単な素子を用いて、パルス磁場の継続時間の延長が得られたことは大きく、磁気データ消去性に優れた装置を安価に提供する上で、大きな貢献をすることができる。さらにコンデンサに対する高い逆電圧の発生を防止することができるので、本装置に大きな比重を占めるコンデンサの耐久性向上に役立つ。
ただし、本発明の磁気データ消去装置は、最も広くはピークの磁束密度0.4T〜1.2Tで、0.4T以上の磁束密度の継続時間が4ms以上あれば、コンデンサ容量とコイルのインダクタンスとを選択することのみで対応してもよく、上記のダイオードを用いることは必ずしも必要ない。
(実施例2−磁気データ消去の結果と作業時間−)
次に、本発明の磁気データ消去装置が磁気データ消去の確実性において卓越していること、および作業能率性に優れていることを示す実施例について説明する。表1は、本発明の磁気データ消去装置Aを用いて、4件の消去作業A1〜A4を行ったときの消去結果と、消去作業に要した時間を示す表である。磁気データ消去装置Aは、巾75mm×高さ305mm×奥行260mmの格納部サイズを持ち、その開口部75mm×305mmより、ノート型PCをそのまま格納して磁気データを消去することができる。また、3.5インチHDDの場合には8本を、またCMT(Cartridge Magnetic Tape)の場合には12本を、それぞれ一度に格納して同時消去することができる。
Figure 0004056074
表1によれば、磁気データ消去装置Aは、コイルの負側からコンデンサの正側に順方向に配置されるダイオードを備え、コンデンサの容量10000μF、コイルのインダクタンス0.46mH、コイル巻線は平角3mm×4mmのエナメル線であり、電気抵抗Rは36mΩである。また、充電回路にはトライアックを用いて充電時間の短縮をはかっている。また、パルス磁場の性能には直接関係ないが、パルス磁場の衝撃対策に、ABS樹脂板を組み立てたボビンを用いている。上記のようなコンデンサ容量、コイルインダクタンス、ダイオードの配置を採用した結果、磁気データ消去装置Aでは、パルス磁場のピーク磁束密度は0.6Tであり、0.4T以上の磁束密度継続時間は9msを達成する。このパルス磁場の測定位置は、格納部の中央位置である。本発明例A1では、SCSI(Small Computer System Interface)に接続されたHDD(ハードディスク)を1400本、消去する作業を行った。この消去作業では、上記装置1台を用いて、2時間ですべてのHDDの磁気データを完全に消去することができた。
また、本発明例A2では、磁気データ消去装置Aを4台用いて、11時間でCMT35000本をすべて完全に消去することができた。さらに、本発明例A3では、磁気データ消去装置A2台で、29時間かけてCMT45000本をすべて完全に消去している。また、本発明例A4では、3.5インチフロッピーディスク7400枚を上記装置1台を用いて、1時間足らずで完全消去している。磁気データ消去装置Aは、充電に必要な時間のみから割り出すと、理論上、CMTまたはHDDを1440本/時間で完全消去できる作業能率を持つ。しかし、実際は、HDDやCMTの運搬、箱出し、箱詰め等の附帯作業が必要なため、CMTまたはHDDを約800本/時間で完全消去可能である。これは、CMTまたはHDD1つ当たり4.5秒で消去できることに対応し、この種の磁気データ消去装置としては、画期的に高い作業能率である。とくに高い磁束密度と長い継続時間により、1回の放電により、上記磁気記録媒体の種類によらず確実のデータをすべて消去でき、手戻りしなくてよい点が大きい。
表2は、表1に示す磁気データ消去作業に用いた本発明例Aの装置と、その本発明例Aより格納部のサイズが小さい装置(本発明例B、C)と、本発明例Aの装置より格納部のサイズが大きい装置(本発明例D、E)における、格納部サイズ、消去サイクル(充電必要時間)、および構成部品の概要、ならびに各格納部中央でのパルス磁場性能(実測データ)を示す表である。
Figure 0004056074
本発明例Eクラスの格納部サイズの場合、薄型デスクトップ型PC本体をそのまま格納して、HDDなどの磁気データ記録媒体の磁気データをそのまま一気に消去することが可能である。また、格納部サイズが最も小さい本発明例Bの磁気データ消去装置は、携帯型であり、3.5インチHDDを1本消去することができる。このような各種の格納部サイズに合わせて、上記ダイオードを配置し、コンデンサ、コイルなどの仕様を設定することにより、本発明例A〜Eの磁気データ消去装置の格納部中央でのパルス磁場は、いずれもピーク磁束密度0.4T〜1.2Tで、0.4T以上の継続時間4ms〜45msの範囲内を満たすことができる。さらに、上記本発明例A〜Eの装置の充電回路にトライアックを用いたことにより、消去サイクル(充電時間)を15秒〜24秒という短時間にすることが可能である。
一方、減衰交番磁界方式を採用する比較例UおよびVでは、格納部のサイズは、本発明例A〜Eの装置よりも小さいにもかかわらず、その格納部に格納した磁気記録媒体のすべての部分の磁気データを1回の放電で消去することができない。このため、磁気記録媒体の前後を変えて格納部に格納して放電を再度行わなければならず、消去サイクルは本発明例A〜Eのいずれよりも非常に長くなるので、作業能率は低くならざるをえない。
以上の実施例に示したように、本発明の磁気データ消去装置は、磁気データの消去の確実性に卓越しており、多数の磁気記録媒体の消去作業の能率性に優れている。繰り返しになるが、本発明は、最も広くは格納部中央で1発目のパルス磁場のピーク磁束密度が0.4T以上で、0.4T以上の磁束密度の継続時間が4ms以上であれば、どのような回路構成で実現してもよい。また、回路構成にコンデンサの負側から正側へと順方向のダイオードを接続配置することにより、上記の0.4T以上の磁束密度の継続時間を延長することを簡単な回路構成により実現することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の磁気データ消去装置は、各種の磁気記録媒体の磁気データを確実に消去することができ、しかもその作業能率性に優れているので、個人情報漏洩の確実な防止において大きな貢献することが期待される。
本発明の実施の形態の磁気データ消去装置を示す図である(水平記録方式の磁気記録媒体対象)。 本発明の実施の形態の磁気データ消去装置(1部分コイル)を示す図である(垂直記録方式の磁気記録媒体対象)。 本発明の実施の形態の磁気データ消去装置(2部分コイル)を示す図である(垂直記録方式の磁気記録媒体対象)。 磁気記録媒体のハードディスクを示す図である。 水平記録方式のハードディスクの磁化配列を示す断面図である。 垂直記録方式のハードディスクの磁化配列を示す断面図である。 本発明の実施の形態におけるパルス磁場の時間パターンを示す図である。 本発明の磁気データ消去装置の原理を説明するための図である。 本発明の磁気データ消去装置の原理を説明するための図である。 本発明の実施の形態における磁気データ消去装置の回路構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態におけるコンデンサの構成例を示す図であり、(a)はコンデンサ1つの構成を、(b)はコンデンサ4つの構成を示す図である。 平角エナメル線を用いたコイル巻線部の断面図である。 丸状エナメル線を用いたコイル巻線部の断面図である。 本発明の実施の形態においてコイル負側から正側に向かって順方向のダイオードを配置した回路構成例を示す図である。 本発明の実施の形態において充電回路にトライアックを用いた例を示す図である。 充電回路に抵抗素子を用いた例を示す図である。 トライアックを用いた場合の充電時間の短縮を説明するための図である。 トライアックを用いてコンデンサの漏電を自動補充をする効果を説明するための図である。 本発明の実施の形態におけるボビンを例示する図である。 実施例1においてダイオードを用いない場合のパルス磁場と電流とを示す図である(磁場測定位置=格納部中央)。 実施例1においてダイオードを配置した場合のパルス磁場と電流とを示す図である(磁場測定位置=格納部中央)。 実施例1においてダイオードを用いない場合のパルス磁場と電流とを示す図である(磁場測定位置=開口部から20mm奥の床面)。 実施例1においてダイオードを配置した場合のパルス磁場と電流とを示す図である(磁場測定位置=開口部から20mm奥の床面)。
符号の説明
1 コイル、1a,1b コイルの部分、2 コンデンサ、3 電気抵抗、5 サイリスタ、7 ダイオード、10 磁気データ消去装置、11,11a,11b ボビン、15 格納部、18 トライアック、19 制御部、21 平角エナメル線、21a 銅線、21b ワニス層、23 丸状エナメル線、23a 銅線、23b ワニス層、31 充電回路、33 コンセント、36 電気抵抗素子、45 放電スイッチ、46 スイッチ、51 ハードディスク(磁気記録媒体)、52 ガラス基板、53 軟磁性層、55 磁気記録層、56 保護膜、57 回転軸(軸芯)、58 トラック、59 磁気ヘッド、S 倍圧整流部。

Claims (8)

  1. 磁気記録媒体を格納するための格納部と、
    前記磁気記録媒体の磁気データを消去するための磁界を発生するコイルと、
    前記コイルに電流を供給するための電荷を蓄積するコンデンサと、
    前記コイルとコンデンサとの間に直列に位置するサイリスタと、
    前記サイリスタと前記コイルとの間に一端を接続され、前記コイルの負側から前記コイルの正側へと順方向に接続されたダイオードとを備え、
    前記コンデンサが、1つのコンデンサまたは並列接続された2つ以上のコンデンサであり、その1つのコンデンサの容量または2つ以上のコンデンサの合成容量が、7000μF以上であり、
    前記コイルが0.3mH〜1.3mHのインダクタンスを有し、1/(L・C) 1/2
    が250(1/秒)〜650(1/秒)であり、
    前記コイルの電気抵抗が0.2mΩ〜150mΩの範囲にあり、
    前記コイルを構成する巻線に、平角エナメル線を用い、
    前記平角エナメル線の断面積が7mm 〜50mm の範囲にあり、
    前記コンデンサの放電によって、前記コイルが、前記格納部の中央部に、磁束密度のピーク値が0.4T〜1.2Tであり、かつ磁束密度0.4T以上の継続時間が4ms〜45msであるパルス磁場を形成することを特徴とする、磁気データ消去装置。
  2. 前記コイルが、前記格納部の開口端から奥に20mmの位置に、磁束密度のピーク値が0.4T〜1.2Tであり、かつ磁束密度0.4T以上の継続時間が4ms〜45msであるパルス磁場を形成することを特徴とする、請求項1に記載の磁気データ消去装置。
  3. 前記コンデンサの充電のための電流経路にトライアックを配置することを特徴とする、請求項1または2に記載の磁気データ消去装置。
  4. 前記コンデンサの充電のための電流経路に昇圧用トランスを配置しないことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の磁気データ消去装置。
  5. 前記コイルを巻き付けるボビンが樹脂板によって形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の磁気データ消去装置。
  6. 前記磁気記録媒体の回転軸の軸芯方向と前記コイルの軸芯方向とが同じ方向に揃うように、前記磁気記録媒体を格納する格納部が設けられていることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の磁気データ消去装置。
  7. 前記コイルは、第1の部分と、該第1の部分に電気的に直列接続し、該第1の部分と同じ軸芯方向を持ち、該第1の部分からスペースをあけて位置する第2の部分とを有し、前記磁気記録媒体を格納する格納部が、前記コイルの第1の部分と第2の部分との間に設けられていることを特徴とする、請求項に記載の磁気データ消去装置。
  8. 前記磁気記録媒体の軸芯方向と前記コイルの軸芯方向とが交差するように、前記磁気記録媒体を格納する格納部が設けられていることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の磁気データ消去装置。
JP2006260049A 2006-09-26 2006-09-26 磁気データ消去装置 Expired - Fee Related JP4056074B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006260049A JP4056074B1 (ja) 2006-09-26 2006-09-26 磁気データ消去装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006260049A JP4056074B1 (ja) 2006-09-26 2006-09-26 磁気データ消去装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP4056074B1 true JP4056074B1 (ja) 2008-03-05
JP2008084371A JP2008084371A (ja) 2008-04-10

Family

ID=39243617

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006260049A Expired - Fee Related JP4056074B1 (ja) 2006-09-26 2006-09-26 磁気データ消去装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4056074B1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010186518A (ja) * 2009-02-12 2010-08-26 Ses Engineering Kk 磁気記録データ消去装置
US8345402B2 (en) 2010-02-18 2013-01-01 Data Security, Inc. Degaussing apparatus with highly uniform magnetic field

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5992690A (ja) * 1982-11-18 1984-05-28 Sanyo Electric Co Ltd 消磁回路
JPS6134606U (ja) * 1984-07-31 1986-03-03 エフテイ技研株式会社 磁気記録媒体の磁気消磁装置
JPH0743807B2 (ja) * 1985-01-23 1995-05-15 アルテツク株式会社 磁気テ−プのための磁気消去装置
JPH01169761A (ja) * 1987-12-25 1989-07-05 Hitachi Ltd 光磁気記録媒体の消去装置
JPH02177306A (ja) * 1988-07-21 1990-07-10 Daihoo:Kk パルス着磁電流制御装置
JPH02132603A (ja) * 1988-11-11 1990-05-22 Fuji Photo Film Co Ltd 光磁気ディスクの初期化方法
JPH04159703A (ja) * 1990-10-23 1992-06-02 Sumitomo Electric Ind Ltd 平角エナメル線コイルの製造方法
JPH0652505A (ja) * 1992-07-31 1994-02-25 Haruna Denki Seisakusho:Kk 磁気テープ用消磁装置
JPH08273932A (ja) * 1995-03-31 1996-10-18 Ngk Insulators Ltd 着磁装置
JPH11110709A (ja) * 1997-10-06 1999-04-23 Tamura Seisakusho Co Ltd 磁気テープ自動搬送機構付消磁装置
JPH11150862A (ja) * 1997-11-20 1999-06-02 Nippon Denji Sokki Kk 励磁電源装置
JP2002065791A (ja) * 2000-08-30 2002-03-05 Family Kk 椅子型マッサージ機
JP4071096B2 (ja) * 2002-12-09 2008-04-02 オリエント測器コンピュータ株式会社 磁気記憶装置の記録データ消去装置
JP2004192682A (ja) * 2002-12-09 2004-07-08 Orient Sokki Computer Kk 磁気記憶装置の記録データ消去装置及び同消去方法
JP4655517B2 (ja) * 2004-06-17 2011-03-23 セイコーエプソン株式会社 電動機及びファンモータ
JP2007026535A (ja) * 2005-07-15 2007-02-01 Hitachi Global Storage Technologies Netherlands Bv データ消去装置及びデータ消去方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008084371A (ja) 2008-04-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Piramanayagam et al. Developments in data storage: materials perspective
CN106251883B (zh) 实现自旋转矩振荡器擦除预防的方法、装置和系统
US20120275061A1 (en) Magnetic recording device
JP2011048895A (ja) 書き込み極磁化を高速で切り替えるための横補助極を有する垂直磁気記録システムおよび書き込みヘッド
JP2011040150A (ja) 書き込み極磁化の高速切り替えのためのスピントルク発振器を有する垂直磁気記録書き込みヘッド
Richter Longitudinal recording at 10 to 20 Gbit/inch/sup 2/and beyond
JP4056074B1 (ja) 磁気データ消去装置
JP4799571B2 (ja) 磁気データ消去装置
JP2006139873A (ja) 垂直磁気ヘッドおよび垂直磁気記録装置
US20070019355A1 (en) Magnetic data eraser and method for erasing magnetic data
US8164939B2 (en) Magnetic shift register memory
US6876519B1 (en) Magnetic recording head including background magnetic field generator
EP2782095A1 (en) Electric field write-type magnetic recording device
JP4116066B1 (ja) 磁気データ消去装置
Schabes et al. Micromagnetic modeling of soft underlayer magnetization processes and fields in perpendicular magnetic recording
WO2004053851A1 (ja) 磁気記憶装置の記録データ消去装置及び同消去方法
US7221583B2 (en) Magnetic film, multilayer magnetic film, method and mechanism of magnetization inversion of magnetic film, and magnetic random access memory
US6954327B2 (en) Methods and apparatus for thermally bonding lubricant to a disk surface with use of a heat source in a magnetic head
US8009403B1 (en) Disk preconditioning apparatus and related method
WO2001022407A1 (en) Magnetic recording head including background magnetic field generator
Fang et al. 2D write addressability of tunneling junction MRAM elements
US8441754B2 (en) Servo pattern transfer
JP4819591B2 (ja) ハードディスクドライブ及びハードディスクドライブの磁気ヘッド退避方法並びにハードディスクドライブの磁気ヘッドの退避を遂行するコンピュータプログラムを記録した記録媒体
JP2007265562A (ja) 磁気ヘッド及び磁気記録装置
Coughlin et al. The disk drive: 50 years of progress and technology innovation (The road to 2 billion drives)

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071205

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071210

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101221

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101221

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131221

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees