JPH0652505A - 磁気テープ用消磁装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明はカセットに収容された巻回状態の磁
気テ−プの消磁に関し、モ−タ等の部品が不要な小型軽
量、安価かつ取り扱い便なビデオテ−プの消磁装置を提
供することを目的とする。 【構成】 平行に相対向する二つのヘッド間の空隙を貫
通する十分強力な交流磁界を発生させ、カセットを手で
二つのヘッド間の空隙に出し入れすることによって巻回
状態の磁気テ−プの消磁を行うように構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は磁気テ−プ用消磁装置に
関するものであり、特に、ビデオカセットテ−プの消磁
装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、事業所、家庭等あらゆる分野にお
いて、磁気テ−プによる録音や録画が普及しており、特
に、機器の小型化に伴うカセットテ−プの需要の伸びは
著しいものがある。

【０００３】一般に、磁気テ−プにいったん記録された
音声またはビデオ情報は、新しい音声またはビデオ情報
を重ねて記録することによって消すことができる。しか
し、この場合、磁気テ−プ上では新しい情報と古い情報
が重ならない部分には古い情報がそのまま残り、その結
果、新しく記録された情報を再生する時、古い情報が再
生音または再生画像に間欠的に混入するという不具合が
ある。

【０００４】上記不具合を除去するためには、磁気テ−
プに新しい情報を記録する前に、その磁気テ−プに記録
されている全情報を消去する必要があり、そのための各
種の消磁装置が開発されている。特に、カセットテ−プ
を使用した小型の音声またはビデオ記録装置において
は、カセットに収容された磁気テ−プを、巻き取られた
状態（巻回状態）のままで消磁することができる軽便な
消磁装置が要望されている。

【０００５】又、磁性体の消磁の基本原理は、情報を記
録した磁性体に飽和磁界以上の強さの交流磁界を印加
し、磁界の強さを徐々に減衰させ零にすることにより、
磁性体の磁気履歴（ヒステリシス）を最終的に零に戻す
ことであり、この基本原理は残留磁気の悪影響を除去す
る必要がある場合に常に応用されてきた。

【０００６】上記基本原理を適用した巻回状態の磁気テ
−プを消磁する消磁装置の一例が実公昭６３−１２４０
５号公報に開示されている。そこに述べられているよう
に、消磁のための交流磁界を巻回状態の磁気テ−プを貫
通する方向（カセットの上下面に垂直な方向）に印加す
る方式は、磁気テ−プの磁化容易軸方向（磁気テ−プの
走行方向）の記録の消磁が容易でないために実用的でな
いとされていた。

【０００７】しかし、上記考案のように交流磁界が磁気
テ−プの走行方向に沿うようにした型式の消磁装置は、
磁気テ−プ全体に均一な飽和磁界を印加することができ
ないため、磁気テ−プを挟んで対角位置に消磁コイルを
配置することによって磁界が反発し合う不都合を回避
し、かつ、磁気テ−プを巻き取りあるいは巻き送りする
ことによって完全な消磁を行うようにしている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術による磁気テ−プの消磁装置は、完全な消磁を行
うために磁気テ−プを巻き取る等の手段が必要であり、
そのためのモ−タとその付属部品を必要とし、その結果
構造が複雑となり、高価格、高消費電力でかつ取扱いも
簡単ではないという欠点がある。

【０００９】従って、本発明は上記従来技術による磁気
テ−プの消磁装置の欠点を除去し、磁気テ−プの磁化容
易軸方向の消磁が容易で、小型軽量、低価格、かつ、取
扱い容易な磁気テ−プ用消磁装置に解決しなければなら
ない課題を有している。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明による磁気テ−プ
用消磁装置は、電磁コイルを巻いた二つの鉄芯部のヘッ
ドを、所定の空隙部を隔てて対向させ、空隙部に交流磁
界を発生させると共に、磁気テ−プを挿入することによ
り消磁を行う磁気テ−プ用消磁装置であって、前記交流
磁界が前記ヘッド間の空隙を貫通する交流磁界となるよ
うに、前記電磁コイルを前記二つの鉄芯部に対して、同
一方向に連続して巻いて構成される。

【００１１】本発明による磁気テ−プ消磁装置は、更
に、電磁コイルの温度を感知して所定温度を越えた時に
電磁コイルへの通電を遮断する過熱防止手段を備えて構
成される。

【００１２】

【作用】上記のように構成された磁気テ−プ用消磁装置
は、相対向する二つのヘッド間の空隙に巻回状態の磁気
テ−プを収容するカセットを挿入した時、カセットの上
下面を貫通して十分な大きさの交流磁界、例えば、空隙
の中央部で７５０ガウスの強さを有する交流磁界を発生
する。

【００１３】両側のヘッド間の空隙に例えばビデオカセ
ットテ−プを手動で出し入れを繰り返すことにより、磁
気テ−プに印加される交流磁界の大きさを徐々に減衰し
て零にしてヒステリシスを消すのと同様の効果が得ら
れ、その結果、消費電力が少なくても完全な消磁が行わ
れる。

【００１４】また、消磁を行うにあたり、電源は短時
間、例えば１０分間投入された後自動的あるいは手動で
切断される。もし、なんらかの理由で所定時間を越え、
電磁コイルが過熱した時は、サ−マルスイッチが電磁コ
イルの温度によって動作して電磁コイルに流れる電流を
遮断することができる。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。本発明に係る磁気テ−プ用消磁装置
は、図１および図２に示すように、箱型の外観をなし、
中央位置に磁気テ−プを挿入する空隙６を設け、上面端
部に表示ランプ付電源スイッチ１４を設け、図示してい
ないが底面に周波数切換スイッチ、側面に電源ソケット
を設けた構造である。

【００１６】このような構造を有する磁気テ−プ用消磁
装置の内部構造は、図３〜５に示すように、主として電
磁コイル１Ａ、１Ｂと、ヘッド２Ａ、２Ｂと、サ−マル
スイッチ４Ａ、４Ｂと、鉄芯７Ａ、７Ｂとから構成され
ている。

【００１７】鉄芯７Ａ、７Ｂは、それぞれ、断面がＵ字
型の細長い鉄芯部で構成されている。このＵ字型をした
鉄芯部の各一方の脚部８Ａ、８Ｂにはそれぞれ電磁コイ
ル１Ａ、１Ｂが巻かれる。なお、これらの脚部８Ａ、８
Ｂの各先端はヘッド２Ａ、２Ｂを形成する。

【００１８】上記のようにそれぞれ鉄芯７Ａ、７Ｂと電
磁コイル１Ａ、１Ｂとからなる二つのブロックは、鉄芯
７Ａ、７Ｂを長手方向に貫通する複数のボルト１１ａ、
１１ｂ、１１ｃ、１１ｄ、１１ｅ、１１ｆ、及び各ボル
トに対応する締付けナット１２によって、基台１０に垂
直に固定される。

【００１９】この複数のボルト１１ａ、１１ｂ、１１
ｃ、１１ｄ、１１ｅ、１１ｆの内、外側に位置している
ボルト１１ａ、１１ｂ、１１ｃ、１１ｄは継鉄９だけを
締め付けて固定し、内側に位置しているボルト１１ｅ、
１１ｆは継鉄９を締め付けると共に鉄芯９Ａ（９Ｂ）を
も締め付けるようになっている。

【００２０】この場合、ヘッド２Ａと２Ｂとの各先端間
に空隙６が形成されるようにし、鉄芯７Ａ、７Ｂは継鉄
９Ａ、９Ｂによって接続される。この継鉄９Ａは鉄芯９
Ａ、９Ｂの下側の位置を固定し、継鉄９Ｂは上側の位置
を固定する。このようにすることによって、鉄芯９Ａ、
９Ｂ間の距離Ｌを確実に保持でき、且つ交流磁界ＭＦを
増加させると共に安定した磁界を得ることができる構造
である。尚、継鉄９Ａ、９Ｂは、下側に設けた継鉄９Ａ
だけでも充分に交流磁界ＭＦを得ることができる。

【００２１】この空隙６は、磁気テ−プ（例えばビデオ
テ−プ）を挿入した際に遊嵌合状態になる幅（例えば２
６ｍｍ）を有している。そして、ヘッド２Ａ、２Ｂおよ
び電磁コイル１Ａ、１Ｂの空隙６側はベ−クライト、ガ
ラス、ポリエステル等で覆われ、磁気テ−プとの当接を
防止する構造になっている。

【００２２】サ−マルスイッチ４Ａ、４Ｂはそれぞれ電
磁コイル１Ａ、１Ｂに接続され、電磁コイル１Ａ、１Ｂ
の各外部温度を感知しそれが所定の値を越えた時に動作
して電磁コイルに流れる電流を遮断する。なお、参照番
号１３は電磁コイル１Ａ、１Ｂを周波数切換スイッチに
接続する接続コ−ドを示す。

【００２３】次に、上記説明した構造からなる磁気テ−
プ用消磁装置の回路の接続状態およびその動作について
図６を参照して説明する。

【００２４】一方のＡＣ電源端子は、電源スイッチ５を
介して、周波数切換スイッチ３Ａのコモン端子に接続さ
れる。ここで、周波数切換スイッチ３Ａ、３Ｂは電源周
波数によって切換わるスイッチであって、５０Ｈｚと６
０Ｈｚとの切換え端子を備え、両方同時に切換える２連
スイッチである。

【００２５】この周波数切換スイッチ３Ａの各切換え端
子は電磁コイル１Ａの５０Ｈｚと６０Ｈｚのタップに夫
々接続される。

【００２６】電磁コイル１Ａは、Ｕ字型をした鉄芯部７
Ａの一方の脚部８Ａに、後述する電磁コイル１Ｂと同一
方向に巻かれて構成され（図４参照）、その一端部の巻
線には５０Ｈｚと６０Ｈｚ用のタップが付いており、各
タップは周波数切換スイッチ３Ａの上記二つの切換え端
子に接続される。

【００２７】そして、電磁コイル１Ａの他端には、電磁
コイル１Ａの温度によってオン／オフするサ−マルスイ
ッチ４Ａの一端が接続され、サ−マルスイッチ４Ａの他
端は後述するサ−マルスイッチ４Ｂの他端に接続されて
いる。

【００２８】ここで、電磁コイル１Ａ、１Ｂの巻数は、
鉄芯７Ａ、７Ｂの巻装面の表面積等の条件によって設定
される。即ち、本発明の実施例においては電磁コイル１
Ａ、１Ｂを形成する線材を直径１ｍｍの銅線を使用し、
鉄芯７Ａ、７Ｂは厚さ１２ｍｍ、幅６０ｍｍ、高さ１１
０ｍｍにより求められる巻装面の表面積に、電磁コイル
１Ａ、１Ｂを巻いた場合には、周波数切換スイッチ３Ａ
が５０Ｈｚタップの場合２５４回以上、６０Ｈｚタップ
の場合２２３回以上になるように巻いて形成する。そし
て、この巻数は電磁コイル１Ａと１Ｂとでは同じくなる
ようにする。

【００２９】サ−マルスイッチ４Ａ、４Ｂは、約１０５
℃以上の温度を感知した時に動作し、電磁コイル１Ａ、
１Ｂの電流回路を遮断するスイッチである。

【００３０】他方のＡＣ電源端子は、周波数切換スイッ
チ３Ｂのコモン端子に接続される。周波数切換スイッチ
３Ｂは、上記説明した周波数切換スイッチ３Ａと同じな
ので説明を省略する。

【００３１】周波数切換スイッチ３Ｂの切換え端子側
は、電磁コイル１Ｂの５０Ｈｚと６０Ｈｚのタップに接
続される。この電磁コイル１Ｂも、電磁コイル１Ａと同
じなので、その説明を省略する。

【００３２】そして、電磁コイル１Ｂの５０Ｈｚと６０
Ｈｚ用のタップの付いている一端は周波数切換スイッチ
３Ｂの切換え端子側に接続され、その他端はサ−マルス
イッチ４Ｂの一端に接続される。サ−マルスイッチ４Ｂ
の他端はサ−マルスイッチ４Ａの他端に接続される。

【００３３】上述したような接続によって、それぞれヘ
ッド２Ａ、２Ｂを有する二つの鉄芯に７Ａ、７Ｂに同一
方向に巻かれた電磁コイル１Ａ、１Ｂが、各ヘッド２が
対峙し、かつ、各ヘッド２Ａ、２Ｂ間の空隙６の間隔Ｌ
が所定の値、例えば２６ｍｍになるように配設される。

【００３４】さて、電源スイッチ５を閉じて二つの電磁
コイル１Ａ、１Ｂと二つのサ−マルスイッチ３Ａ、３Ｂ
からなる直列回路に５０Ｈｚまたは６０Ｈｚの交流電流
を流した時、空隙６が２６ｍｍの場合、相対向する二つ
のヘッド２Ａ、２Ｂ間の空隙６の中央部（１３ｍｍの位
置）において７５０ガウス以上の強さを持つ空隙６を貫
通する交流磁界ＭＦが得られる。これは、電磁コイル１
Ａ、１Ｂの巻始めを結線し、かつ、同一方向に巻いたた
め、交流電流により発生する磁界の発生方向に相互に助
け合う作用が働くからである。

【００３５】本発明に係る実施例による磁気テ−プ用消
磁装置を用いてビデオテ−プの消磁を行うには、電源ス
イッチ５をオンして交流磁界ＭＦを発生させてから巻回
状態のビデオテ−プを収容するカセットの一端を手で保
持し、カセットの他端から相対向する二つのヘッド２
Ａ、２Ｂ間の空隙６に挿入する。そして、ビデオテ−プ
を相対向する二つのヘッド２Ａ、２Ｂ間の空隙６に手動
で緩かに出し入れする。

【００３６】その後に緩かにビデオテープを抜き出し
て、装置から約２０ｃｍ、又は３０ｃｍ位離した位置ま
で遠ざけて電源スイッチ５をオフすることによって完全
に消磁することができる。この、電源スイッチ５をオン
してからビデオテープを出し入れして電源スイッチ５を
オフする１操作は、約３０秒〜１分間位である。

【００３７】なお、電源スイッチ５の開閉は手動、又
は、ビデオテ−プの存在を検出したら自動的にオンする
ようにしてもよく、オン後約１０分でスイッチ５を切る
ようになっている。

【００３８】上記の空隙６を貫通する磁界の強さ（空隙
６の中間位置で７５０ガウス以上）は、ビデオテ−プの
巻回状態の磁気テ−プの磁化容易方向の消磁に十分な大
きさであるから、上述のように、相対向する二つのヘッ
ド２Ａ、２Ｂ間の空隙６にビデオテ−プを例えば手動で
出し入れすることにより、磁気テ−プに印加される交流
磁界の大きさを徐々に減衰して零にするのと同様の効果
が得られ、その結果、完全な消磁が行われる。

【００３９】又、上記操作後、もし電源スイッチ５を切
り忘れても、電磁コイル１Ａ、１Ｂの外部温度の上昇に
よりサ−マルスイッチ４Ａ、４Ｂが働き回路電流は自動
的に遮断されるから過熱による事故を事前に予防するこ
とができる。

【００４０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気テ−
プ用消磁装置によれば、電磁コイルを二つの鉄芯部に対
して同一方向に連続して巻いたことによって、空隙を隔
てて対向する二つのヘッド間に空隙を貫通する十分大き
な交流磁界を発生させることができ、そのため、、空隙
内に巻回状態の磁気テ−プを収容するカセットを手動で
出し入れすることによって磁気テ−プの消磁を行うこと
が可能となり、磁気テ−プを回転させる等の構成を必要
としなくなり、消費電力が少なくても安価、小型軽量、
かつ使用に簡便であるという極めて優れた効果を奏する
ものである。

【００４１】更に、電磁コイルの各外部温度はサ−マル
スイッチによってそれぞれ監視されるので、長時間の電
源投入による電磁コイルの過熱は未然に防止されるとい
う効果も奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る消磁装置の外観を示す正面図であ
る。

【図２】同、上面図である。

【図３】本発明に係る消磁装置の構造を示す正面図であ
る。

【図４】同、上面図である。

【図５】同、側面図である。

【図６】本発明に係る消磁装置の略示的回路図である。

【符号の説明】

１Ａ，１Ｂ 電磁コイル ２Ａ、２Ｂ ヘッド ３Ａ、３Ｂ 周波数切換スイッチ ４Ａ、４Ｂ サ−マルスイッチ ５ 電源スイッチ ６ 空隙 ７Ａ、７Ｂ 鉄芯 ８Ａ、８Ｂ 脚部 ９Ａ、９Ｂ 継鉄 １０ 基台 １１ ボルト １２ 締付けナット １３ コ−ド １４ 電源スイッチ ＭＦ 交流磁界

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電磁コイルを巻いた二つの鉄芯部のヘッ
   ドを、所定の空隙部を隔てて対向させ、前記空隙部に交
   流磁界を発生させると共に、磁気テ−プを挿入すること
   により消磁を行う磁気テ−プ用消磁装置であって、 前記交流磁界が前記ヘッド間の空隙を貫通する交流磁界
   となるように、前記電磁コイルを前記二つの鉄芯部に対
   して、同一方向に連続して巻いたことを特徴とする磁気
   テ−プ用消磁装置。
2. 【請求項２】 前記電磁コイルの温度を感知して所定温
   度を越えた時に前記電磁コイルへの通電を遮断する過熱
   防止手段を備えたことを特徴とする請求項１に記載の磁
   気テ−プ用消磁装置。