JP4055480B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、吸気通路の気流制御弁を制御して機関燃焼室内に旋回流を発生させる一方、ノッキングの発生を点火時期の遅角制御を通じて抑制するようにした内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、機関燃焼室内に混合気の旋回流を発生させることにより、噴射燃料と吸入空気との混合を促進させるようにした内燃機関が知られている。こうした内燃機関では、例えば、機関燃焼室に接続される一対の吸気ポートのうちの一方に気流制御弁を設け、これを機関運転状態に応じてこれを開閉駆動することにより、旋回流の発生状態を制御するようにしている。
【0003】
例えば、吸入空気の流速が小さく同吸入空気と噴射燃料との混合が促進され難い低回転運転領域等では、気流制御弁を閉弁して旋回流を発生させることにより、吸入空気と噴射燃料との混合を促進させる。これにより、燃焼速度を高めて最高燃焼圧を上昇させるようにしている。一方、吸入空気と噴射燃料との混合が促進される高回転運転領域等では、気流制御弁を開弁して吸気通路の通気抵抗を極力減少させることにより、より多くの吸入空気量を確保するようにしている。このように機関運転状態に応じて気流制御弁の開閉状態を調節し、最高燃焼圧を上昇させ、或いはより多くの吸入空気量を確保することにより、機関出力の増大を図ることができる。
【0004】
ところで、内燃機関の稼働が長期間にわたるようになると、機関燃焼室の内壁面には噴射燃料の炭化成分等を主成分とするデポジットが徐々に堆積するようになる。特に、機関燃焼室内に燃料を直接噴射供給するようにした筒内噴射式の内燃機関にあってはこうした傾向が一層顕著なものとなる。そして、このように機関燃焼室の内壁面に付着したデポジットが増大すると、機関燃焼室の容積が減少して機関圧縮比の実質的な上昇を招くとともに、デポジットによる断熱作用も相俟って燃焼温度も上昇するようになる。このため、こうした状況下で旋回流を発生させて最高燃焼圧を更に高めるようにすると、ノッキングが発生するようになる。
【0005】
そこで従来では、例えば特開平11−210481号公報にみられるように、ノッキングの発生を監視し、気流制御弁を閉弁して旋回流を発生すべき運転領域においてノッキングが発生した場合には、同気流制御弁を強制的に開弁して旋回流を停止させることにより、これを抑制するようにしている。また一般に、内燃機関では、こうしたノッキングが発生した場合には、機関運転状態に基づいて設定されている点火時期を遅角することにより、混合気の燃焼速度を低下させて最高燃焼圧を低く抑えることでこれに対処するようにしている。即ち、点火時期の遅角量はノッキングの発生状況に応じて変化するものとなっている。この点、上記公報に記載のものにあっては、点火時期の遅角が行われている場合には(点火時期遅角量AKNK>0)、ノッキングが発生している或いは発生しやすい状況にあるものと判断し、気流制御弁を即座に開弁して旋回流を停止させるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、ノッキングの発生時に気流制御弁を開弁するようにすれば、少なくとも旋回流を発生させているときに点火時期が過度に遅角制御され、機関出力が不必要に低下してしまうことについてはこれを回避することができるようになる。
【0007】
しかしながら、上記公報に記載される従来の技術においては、ノッキングが発生すると、その強度如何に関わらず、気流制御弁を一律に開弁して旋回流を停止するようにしている。従って、例えば、発生したノッキングが比較的軽度のものであり、仮に点火時期の遅角を通じてこれを抑制するようにしても、その遅角による機関出力の低下分を上回る機関出力の増加が旋回流を発生させることで確保し得る状況にあっても、これに柔軟に対応することはできない。
【0008】
このため、上記従来の技術では、ノッキングの発生状況によっては旋回流を利用することによる機関出力の増加が過剰に制限されて機関出力の不必要な低下を招いてしまうことがあり、この点においてなお改善の余地を残すものとなっていた。
【0009】
本発明はこうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、気流制御弁により機関燃焼室内に旋回流を発生させる一方、ノッキングの発生を点火時期の遅角制御を通じて抑制する内燃機関にあって、ノッキングの発生状況に応じて機関出力を好適に確保することのできる制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための構成及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1記載の発明では、全開状態と全閉状態との間でその開度が選択的に切替可能な気流制御弁を吸気通路に備え、同気流制御弁を全開状態から全閉状態に切り替えて機関燃焼室内に混合気の旋回流を発生させる旋回流発生手段と、ノッキングの発生を監視しこれを抑制すべく機関運転状態に基づいて設定される点火時期を遅角する点火時期制御手段とを備えた内燃機関の制御装置において、前記気流制御弁が全閉状態にあるときの前記点火時期制御手段による前記点火時期の遅角に伴う機関出力の低下度合と前記旋回流発生手段による前記気流制御弁の全閉状態から全開状態への切り替えに伴う機関出力の低下度合とを比較し、該比較結果に基づいて前記旋回流発生手段による前記気流制御弁の開度切替を制御する開度制御手段とを備えるようにしている。
【0011】
同構成によれば、気流制御弁が全閉状態にあるとき、即ち旋回流が発生しているときに点火時期が遅角制御されることによる機関出力の低下度合と、気流制御弁の全閉状態から全開状態への切り替えに伴う機関出力の低下度合、換言すれば旋回流の停止に伴う機関出力の低下度合とが比較される。そして、この比較結果に基づいて気流制御弁の開度切替が制御される。
【0012】
例えば、ノッキングが頻繁に発生する状況にあるときなど、点火時期の遅角制御による機関出力の低下度合が気流制御弁の全閉状態から全開状態への切り替えに伴う機関出力の低下度合を上回るような場合には、気流制御弁を開弁して旋回流を停止させ、点火時期の過度な遅角を抑制するのが機関出力を確保するうえでは望ましいといえる。
【0013】
これに対して、例えば、比較的軽度のノッキングしか発生していないため、点火時期の遅角制御による機関出力の低下度合が旋回流の停止による機関出力の低下度合を下回るような場合には、点火時期の遅角制御を実行しつつ気流制御弁を全閉状態にして旋回流を発生させたほうが機関出力を確保するうえでは望ましいといえる。
【0014】
上記請求項1記載の発明では、こうした比較結果を考慮したうえで気流制御弁の開度切替を実行することができるため、ノッキングが発生しているとき或いは同ノッキングが発生しやすい状況にあるときに、一律に気流制御弁を開弁させて旋回流を停止させるようにした場合とは異なり、ノッキングの発生状況に応じて機関出力を好適に確保することができるようになる。
【0015】
さらに上記請求項1記載の発明では、前記旋回流発生手段は前記気流制御弁を全閉状態とする機関運転領域として予め設定されている全閉領域に機関運転状態が移行したときに前記気流制御弁を全開状態から全閉状態に切り替えるものであり、前記開度制御手段は前記比較結果に基づいて前記全閉領域を可変設定するものであるとしている。
【0016】
また、請求項5記載の発明は、全開状態と全閉状態との間でその開度が選択的に切替可能な気流制御弁を吸気通路に備え、同気流制御弁を全開状態から全閉状態に切り替えて機関燃焼室内に混合気の旋回流を発生させる旋回流発生手段と、ノッキングの発生を監視しこれを抑制すべく機関運転状態に基づいて設定される点火時期を遅角する点火時期制御手段とを備えた内燃機関の制御装置において、前記気流制御弁が全閉状態にあるときの前記点火時期制御手段による前記点火時期の遅角に伴う機関出力の低下度合と前記旋回流発生手段による前記気流制御弁の全閉状態から全開状態への切り替えに伴う機関出力の低下度合とを比較し、該比較結果に基づいて前記旋回流発生手段による前記気流制御弁の開度切替を制御する開度制御手段とを備え、前記旋回流発生手段は前記気流制御弁を全閉状態とする機関運転領域として予め設定されている全閉領域に機関運転状態が移行したときに前記気流制御弁を全閉状態に切り替えるものであり、前記開度制御手段は前記比較結果に基づいて前記旋回流発生手段による前記気流制御弁の全閉状態への切り替えを禁止するものであるとしている。
【0017】
これら請求項1又は請求項5記載の構成では、気流制御弁を全閉状態とする全閉領域を予め設定しておくようにしている。このため、この全閉領域においては旋回流を発生させて機関出力を確保する一方、それ以外の領域、即ち気流制御弁を全開状態とする領域にあっては、旋回流が停止されるため、点火時期が過度に遅角制御されることに起因する機関出力の不必要な低下が抑えられる。
【0018】
但しここで、例えばデポジットの堆積が生じることにより、機関運転状態が上記全閉領域にある場合であっても、ノッキングが頻繁に発生してそれに伴う点火時期の遅角量の増大によって機関出力が大幅に低下する状況になることがあり得る。一方、例えば吸気温度が低い場合やオクタン価の高い燃料が使用されている場合等、ノッキングが発生し難い状況にあるときには、機関運転状態が全開領域にある場合であっても、同気流制御弁を閉弁して旋回流を発生させたほうが機関出力を上昇させるうえで適切な場合もあり得る。
【0019】
この点、請求項1記載の構成によれば、点火時期の遅角に伴う機関出力の低下度合と旋回流を停止させることに伴う機関出力の低下度合とが比較され、その比較結果に基づいて前記全閉領域を可変設定するようにしている。従って、この全閉領域をそのときどきのノッキングの発生状況に応じて機関出力を確保するうえで好適なものに変更することができるようになる。
【0020】
また、請求項5記載の構成によれば、上記比較結果に基づいて気流制御弁の全閉状態への切り替えを禁止するものであるとしている。例えば、点火時期の遅角に伴う機関出力の低下度合が旋回流を停止させることに伴う機関出力の低下度合を大幅に上回る場合等、旋回流を発生させることに伴う点火時期の遅角制御により機関出力の低下が懸念されるときには、気流制御弁の全閉状態への切り替えを禁止する。その結果、こうした機関出力の低下を回避することができるようになる。尚、上記「気流制御弁の全閉状態への切り替えを禁止する」とは、気流制御弁が全開状態にある場合にはこれが全閉状態に切り替えられるのを禁止することであり、また気流制御弁が全閉状態にあるときにはこれが全閉状態のまま維持されるのを禁止すべく全開状態に切り替えることを意味する。
【0021】
また、請求項1記載の発明において全閉領域を可変設定する際には、例えば請求項2記載の発明によるように、開度制御手段についてこれを、点火時期制御手段による点火時期の遅角に伴う機関出力の低下度合が大きいときほど全閉領域を縮小するもの、として構成するようにしたり、或いは、請求項3記載の発明によるように、旋回流発生手段による気流制御弁の全閉状態から全開状態への切り替えに伴う機関出力の低下度合が小さいときほど全閉領域を縮小するもの、として構成するのが望ましい。或いは、請求項4記載の発明によるように、開度制御手段についてこれを、点火時期制御手段による点火時期の遅角に伴う機関出力の低下度合が旋回流発生手段による気流制御弁の全閉状態から全開状態への切り替えに伴う機関出力の低下度合に対して相対的に大きいときほど全閉領域を縮小するもの、として構成することもできる。
【0022】
また、点火時期遅角による機関出力の低下度合と旋回流の停止による機関出力の低下度合とを比較する際には、請求項6又は7記載の発明によるような構成を採用することができる。即ち、一般に機関運転状態に基づいて設定されている点火時期を遅角させるほど機関出力は低下する傾向があるため、点火時期遅角による機関出力の低下度合については、点火時期遅角量の大きさに基づいてこれを評価することができる。そして、旋回流の停止による機関出力の低下度合を点火時期の変化量に換算し、その換算値と上記点火時期の遅角量とを比較することにより、上記比較を容易に且つ正確に行うことができるようになる。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項6又は7記載の内燃機関の制御装置において、前記点火時期制御手段はノッキングの有無に応じて前記点火時期を遅角或いは進角させるノック制御値を設定するとともに該ノック制御値の大きさについてその定常的な傾向をノック学習値として学習し、これらノック制御値及びノック学習値に基づいて前記点火時期の遅角制御を行うものであり、前記開度制御手段は前記点火時期の遅角に伴う機関出力の低下度合を示す前記パラメータとして少なくとも前記ノック学習値を参照するものであるとしている。
【0024】
同構成では、ノック制御値及びノック学習値はいずれもノッキングの発生を抑制すべく機関運転状態に基づいて設定される点火時期を遅角する遅角量に相当する。
【0025】
ここで、ノック制御値はそのときどきのノッキングの発生状況に応じて速やかに変化する。具体的には、ノッキングが発生しているときには点火時期が遅角側に変化するように設定される一方、ノッキングが発生していないときには点火時期が進角側に変化するように設定される。
【0026】
これに対して、ノック学習値はこのように設定されるノック制御値の大きさについてその定常的な傾向に応じて変化するものであるため、結局はノッキングの定常的な発生状況を反映したものとなる。このため、少なくともこのノック学習値を点火時期の遅角に伴う機関出力の低下度合を示すパラメータとして採用することにより、例えば偶発的或いは過渡的なノッキングの発生に基づいて気流制御弁の開度切替が頻繁に行われることに起因した同切替動作の不安定化を抑制することができるようになる。
【0027】
このように基本的には、点火時期の遅角制御による機関出力の低下度合は同制御における遅角量によってこれを評価することができる。但し、この点火時期の遅角量が同じ場合であっても、機関負荷や機関回転速度等、機関運転状態に応じて機関出力の低下度合は異なるものとなる。
【0028】
このため、請求項9記載の発明では、こうした点火時期遅角に伴う機関出力の低下度合を示すパラメータとして機関運転状態を併せ参照するようにしている。また、旋回流による機関出力の変化についても同様に機関運転状態に応じて異なるものとなる。一般的には、機関回転速度が低く燃料噴射量が多いとき、即ち機関運転状態が低回転高負荷領域にあるときほど、混合気の旋回流による混合状態の改善効果は顕著になるため、旋回流を発生させることによる機関出力の増加も大きなものとなる。従って、こうした低回転領高負荷域にあっては、気流制御弁を全閉状態から全開状態に変更することに伴う機関出力の低下度合が大きくなる傾向がある。
【0029】
そこで、請求項10記載の発明では、こうした旋回流の停止による機関出力の低下度合を示すパラメータとして機関運転状態を併せ参照するようにしている。これら請求項9又は10記載の発明では、このように点火時期の遅角制御或いは旋回流の停止に伴う機関出力の低下度合を示すパラメータとして機関運転状態を併せ参照するようにしているため、これら低下度合を一層正確に求めることができ、それらに基づいてより精密な気流制御弁の切替制御を実行することができるようになる。
【0030】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図7を参照して説明する。
【0031】
図1は本実施形態にかかる制御装置及び同装置の制御対象となる筒内噴射式内燃機関10の構成を概略的に示している。
同図1に示されるように、内燃機関10には、各気筒に対応してその燃焼室12に連通する一対の吸気ポート201,202がそれぞれ形成されている。これら各吸気ポート201,202には、分岐管21,22がそれぞれ接続されている。これら分岐管21,22は共通のサージタンク23に接続されている。更にこのサージタンク23には吸気管24が接続されている。これら各分岐管21,22、サージタンク23、及び吸気管24により燃焼室12内に吸入空気を導入するための吸気通路20が構成されている。
【0032】
吸気管24の内部には、吸入空気量を調量するためのスロットルバルブ25が設けられている。スロットルバルブ25はモータ26により開閉駆動され、その開度が調節される。また、内燃機関10には、燃焼室12の内部に直接燃料を噴射供給する燃料噴射弁(図示略)と、イグナイタ及び点火コイル(いずれも図示略)を内蔵する点火プラグ15がそれぞれ各気筒毎に設けられている。
【0033】
図示しないエアクリーナを介して吸気管24に導入された吸入空気は、スロットルバルブ25の開度に応じて調量された後、サージタンク23から各分岐管21,22を通じて各気筒の燃焼室12に分配導入される。このように燃焼室12に導入された吸入空気は、燃料噴射弁から燃焼室12に直接噴射供給される燃料と混合される。そして、この混合気は点火プラグ15の点火動作により燃焼爆発する。燃焼後に生じる排気は燃焼室12に接続された排気通路13を通じて同燃焼室12から排出される。
【0034】
また、燃焼室12に接続される各分岐管21,22のうち一方の分岐管22には、各気筒毎にバタフライ弁式の気流制御弁30がそれぞれ設けられている。これら気流制御弁30は共通の回転軸32に取り付けられており、この回転軸32の回転に伴って開閉される。回転軸32はリンク機構(図示略)を介してアクチュエータ34に駆動連結されている。
【0035】
このアクチュエータ34は、スロットルバルブ25の下流側に発生する吸気通路20の吸気負圧を駆動用負圧として動作するダイアフラム式アクチュエータである。このアクチュエータ34の負圧室(図示略)には負圧制御弁38が接続されており、この負圧制御弁38により負圧室に駆動用負圧が供給された状態とその供給が停止された状態とが切り替えられる。アクチュエータ34は、この駆動用負圧の供給及びその停止に応じてその突出量がニ段階に変化する駆動軸36を有しており、この駆動軸36は前記リンク機構に連結されている。
【0036】
このように駆動用負圧の制御を通じて駆動軸36の突出量が変更されることにより、リンク機構に連動して回転軸32が回転し、気流制御弁30の開度が全開及び全閉との間で選択的に切り替えられる。そして、気流制御弁30が全閉状態に制御されると、各分岐管21,22のうち、一方の分岐管22が閉鎖されるため、吸入空気は他方の分岐管21のみから燃焼室12に導入されるようになる。その結果、燃焼室12には図1に矢印Sに示されるような、同燃焼室12の内周側面に沿って周方向に流れる旋回流が発生するようになる。こうした旋回流が燃焼室12内に形成されることにより、吸入空気と噴射燃料との混合状態が改善されるため、混合気の燃焼速度が上昇し、それに伴って機関出力の向上を図ることができるようになる。
【0037】
また、内燃機関10には、機関運転状態等を検出するための各種センサが設けられている。例えば、吸気通路20においてスロットルバルブ25の上流側部分には、内燃機関10に供給される吸入空気の量(吸入空気量G)を検出する吸入空気量センサ43が取り付けられている。また、内燃機関10にはノッキングの発生を検出するノックセンサ44が取り付けられている。その他、内燃機関10のクランクシャフト(図示略)近傍にはその回転位相(クランク角CA)や回転速度(機関回転速度NE)を検出する回転速度センサ45が設けられている。またアクセルペダル16の近傍にはその踏込量(アクセル開度ACCP)を検出するアクセルセンサ46が設けられている。
【0038】
これら各センサ43〜46等、各種センサの検出信号は、内燃機関10の各種制御を統括して実行する電子制御装置40に取り込まれる。電子制御装置40はこれら検出信号に基づいて燃料噴射弁、スロットルバルブ25(正確にはこれを駆動するモータ26)、負圧制御弁38、点火プラグ15(正確にはこれに内蔵されているイグナイタ)等を駆動する。そして、これらの駆動を通じて、燃料噴射形態にかかる制御、燃料噴射制御、吸入空気量制御、気流制御弁30の開度制御、点火時期制御等々の各種制御を実行する。電子制御装置40は、こうした各種制御を実行するためのプログラムや演算用マップ、制御の実行に際して算出されるデータ等を記憶保持するメモリ41を備えている。
【0039】
例えば、電子制御装置40は、燃料噴射時期、吸入空気量、並びに点火時期等を適宜制御することにより、内燃機関10の燃焼形態を成層燃焼及び均質燃焼等、複数の燃焼形態の間で切り替える。この切り替えは基本的には機関運転状態に基づいて行われ、例えば機関運転状態が低回転低負荷時にあるときには燃焼形態は成層燃焼に設定され、高負荷時或いは高回転時にあるときには均質燃焼に設定される。
【0040】
また、電子制御装置40は、機関負荷Q(吸入空気量G或いはアクセル開度ACCP)及び機関回転速度NE等、機関運転状態に基づいて点火時期を制御する。更に、電子制御装置40は、ノックセンサ44の検出結果に基づいて内燃機関10におけるノッキングの発生状況を監視しており、機関運転状態に基づいて設定される点火時期をその監視結果に基づいて補正し、ノッキングの発生を抑制する(ノッキング制御)。具体的には、電子制御装置40は、ノッキングが発生しているときには点火時期を遅角側の時期に補正してこれを抑制する一方、ノッキングが発生していないときには点火時期を進角側の時期に補正して機関出力の増大を図るようにしている。
【0041】
その他、電子制御装置40は、機関運転状態に基づいて気流制御弁30を全閉状態及び全開状態のいずれか一方に選択的に切り替える。具体的には、電子制御装置40は、機関運転状態が予め設定されている全閉領域にあるときに、負圧制御弁38を駆動して気流制御弁30を全閉状態に制御する。その結果、燃焼室12内には旋回流が発生するようになる。一方、電子制御装置40は、機関運転状態が上記全閉領域以外の領域(全開領域)にあるときに、負圧制御弁38の駆動を停止して気流制御弁30を全開状態に制御する。その結果、燃焼室12における旋回流は停止される。
【0042】
尚、図2は、機関運転状態(機関負荷Q及び機関回転速度NE)に基づいて設定される上記全閉領域(斜線を付した領域)を示している。同図に示されるように、この全閉領域は、機関回転速度NEに応じて区分される3つの領域(低速領域A、中速領域B、高速領域C)のうち、最も低速側の領域A内であり、且つ機関負荷Qが比較的高い領域に設定されている。
【0043】
ここで、本実施形態にかかる装置にあっては、ノッキング制御の点火時期遅角に伴う機関出力の低下度合と、気流制御弁30を全開状態に切り替えて旋回流を停止させるのに伴う機関出力の低下度合とを比較し、その比較結果に基づいてより大きな機関出力が確保されるように全閉領域を可変設定するようにしている。以下では、こうした本実施形態にかかる制御装置によって実行される点火時期制御並びに気流制御弁30の開閉制御について詳細に説明する。
【0044】
図3は、このノッキング制御における処理手順を示すフローチャートである。電子制御装置40は、このフローチャートに示される一連の処理を所定のクランク角周期の割込処理として実行する。
【0045】
この処理に際しては、まず、現在選択されている燃焼形態が均質燃焼であるか否かが判断される(図3のステップS100)。ここで燃焼形態が成層燃焼に設定されている場合(ステップS100:NO)には、処理は一旦終了される。尚、この成層燃焼中における点火時期は、本ルーチンとは別の処理を通じて設定される。
【0046】
一方、燃焼形態が均質燃焼に設定されている旨判断されると(ステップS100:YES)、機関負荷Q及び機関回転速度NEに基づいて基本点火時期ABASE及び最大遅角値AKMAXが算出される(ステップS110)。
【0047】
ここで基本点火時期ABASEは、そのときの機関運転状態において最大の機関出力を確保することのできる点火時期であり、図5に示されるように、圧縮上死点を基準とし、同上死点より進角側の相対的なクランク角CAとして定義されている。尚、この基本点火時期ABASEは、本発明における「機関運転状態に基づいて設定される点火時期」に相当する。
【0048】
また、最大遅角値AKMAXは、この基本点火時期ABASEを遅角する際の最大量であり、そのときの機関運転状態においてノッキングの発生を確実に抑制することのできる大きさに設定されている。
【0049】
これら基本点火時期ABASEや最大遅角値AKMAXと機関運転状態(機関負荷Q及び機関回転速度NE)との関係は、予め実験等に基づいて決定され、基本点火時期ABASE並びに最大遅角値AKMAXを算出するためのデータとして電子制御装置40のメモリ41にそれぞれ記憶されている。
【0050】
次に、メモリ41に記憶保持されているノック学習値AGKNKが読み込まれる(ステップS120)。
このノック学習値AGKNKは、上記基本点火時期ABASEを最大遅角値AKMAX分だけ遅角させた最遅角時期(ABASE−AKMAX)をノッキングの発生状況に応じて進角補正するためのものである。即ち、このノック学習値AGKNKは、ノックキングが頻繁に発生する傾向がある場合には徐々に小さい値に更新され、逆にノッキングの発生頻度が小さい場合には徐々に大きい値に更新される。従って、このノック学習値AGKNKは、燃焼室12の内壁面へのデポジット付着や使用燃料のオクタン価の変化等々に起因した定常的なノッキングの発生頻度を反映するものとなっている。
【0051】
また、このノック学習値AGKNKは、機関回転速度NEに応じて区分される複数の学習領域にそれぞれ対応した各別の値としてメモリ41に記憶保持されている。即ち、先の図2に示されるように、機関回転速度NEに応じて、低速領域A、中速領域B、並び高速領域Cといった3つの学習領域が設定されており、各学習領域にそれぞれ対応するように複数のノック学習値AGKNKが存在している。尚、このようにノック学習値AGKNKを各学習領域に応じて各別に有するようにしているのは、ノッキングの発生状況が機関回転速度NEに応じて異なるため、この機関回転速度NEによる違いを点火時期の設定に反映させてノッキングをより適切に抑制する必要があるといった理由による。
【0052】
更に、上記機関回転速度NEに基づいて区分される各領域のうち、低速領域Aでは、前述したとおり気流制御弁30を全閉状態とする全閉領域とこれを全開状態とする全開領域とが存在している。このため、ノック学習値AGKNKについても、低速領域Aに関してはこれら全閉領域と全開領域とに対応して各別のノック学習値AGKNKが用意されており、それら各領域に応じた学習が行われる。
【0053】
このようにしてステップS120において、各学習領域に対応したノック学習値AGKNKが読み込まれた後、ノックセンサ44の検出結果に基づいて内燃機関10にノッキングが発生しているか否かが判定される(ステップS130)。
【0054】
ここでノッキングが発生していると判定されると(ステップS130:YES)、現在のノック制御値AKCSに所定値α1が加算され、その加算値(AKCS+α1)が新たなノック制御値AKCSとして設定される(ステップS140)。
【0055】
このノック制御値AKCSは、図5に示されるように、現在のノッキングの発生頻度に応じて点火時期を遅角側の時期に補正するためのものである。ノック制御値AKCSも上記ノック学習値AGKNKと同様、ノッキングの発生状況に応じて更新されるものであるが、両者は以下の点において異なる性質を有している。即ち、ノック学習値AGKNKが比較的長い期間におけるノッキングの発生頻度に応じて徐々に更新されるのに対して、このノック制御値AKCSはその時々のノッキングの発生の有無に応じて頻繁に更新される点でこれら両者の間には相違がある。
【0056】
一方、先のステップS130において、ノッキングが発生していないと判定された場合(ステップS130:NO)、現在のノック制御値AKCSから所定値α2が減算され、その減算値(AKCS−α2)が新たなノック制御値AKCSとして設定される(ステップS145)。
【0057】
こうした更新が行われることにより、ノック制御値AKCSはノッキングが発生しているときには所定量α1ずつ徐々に増大する一方、ノッキングが発生していないときには所定量α2ずつ徐々に減少するようになる。そして、このようにしてノック制御値AKCSが現在のノッキングの発生の有無に応じて更新された後、以下の演算式(1)に基づいてノック遅角反映値AKNKが算出される(ステップS150)。このノック遅角反映値AKNKは、上記基本点火時期ABASEをノッキングの発生状況に応じてこれを抑制すべく遅角させる際の最終的な遅角量に相当するものである。
【0058】
AKNK←AKMAX−AGKNK+AKCS ・・・(1)
次のステップS160以降における一連の処理では、ノック制御値AKCSの大きさについてその定常的な傾向に基づきノック学習値AGKNKの学習が行われる(ステップS160〜S180)。
【0059】
具体的には、まず、ノック制御値AKCSと所定値β1とが比較される(図4のステップS160)。ここでノック制御値AKCSが所定値β1より大きい旨判断された場合、即ちノッキングの発生頻度が所定頻度より大きい場合(ステップS160:YES)、現在のノック学習値AGKNKから所定値γが減算される。そして、その減算値(AGKNK−γ)が新たなノック学習値AGKNKとして設定される(ステップS170)。
【0060】
一方、ノック制御値AKCSが所定値β1以下であると判断された場合(ステップS160:NO)、更にこのノック制御値AKCSと所定値β2とが比較される(ステップS165)。そしてここで、ノック制御値AKCSが所定値β2より小さい旨判断された場合、即ちノッキングの発生頻度が所定頻度より小さい場合(ステップS165:YES)、現在のノック学習値AGKNKに所定値γが加算される。そして、その加算値(AGKNK+γ)が新たなノック学習値AGKNKとして設定される(ステップS175)。
【0061】
こうしたノック制御値AKCSと各所定値β1,β2との比較を通じてノック学習値AGKNKが学習更新されることにより、ノッキングが頻繁に発生する状況下ではこのノック学習値AGKNKは徐々に小さな値に更新され、点火時期はより遅角側の時期に変更されるようになる。その結果、基本点火時期ABASEに対する遅角量が増大してノッキングの発生が抑制されるようになる。一方、ノッキングの発生し難い状況下ではこのノック学習値AGKNKは徐々に大きな値に更新され、点火時期はより進角側の時期に変更されるようになる。その結果、基本点火時期ABASEに対する遅角量が減少してより大きな機関出力が確保されるようになる。
【0062】
このようにノック学習値AGKNKは、点火時期の遅角に伴う機関出力の低下度合に応じたものとなる。特に、全閉領域に対応するノック学習値AGKNKは、気流制御弁30が全閉状態にあるときの上記機関出力の低下度合を示すパラメータとして好適なものとなる。
【0063】
このようにしてノック学習値AGKNKが更新された後、その更新後のノック学習値AGKNKが現在の機関回転速度NEに対応する学習領域での値としてメモリ41に記憶保持される(ステップS180)。また、ノック制御値AKCSが(β2≦AKCS≦β1)の範囲にあると判断された場合には(ステップS160,ステップS165:NO)、現状のノック学習値AGKNKが現在の機関回転速度NEに対応する学習領域での値としてメモリ41に記憶保持される(ステップS180)。尚、このノック学習値AGKNKの記憶に関しても、図2に示される低速領域Aにあっては、現在の機関運転状態が全閉領域にあるか或いは全開領域にあるかに応じてメモリ41の異なる記憶領域に格納される。
【0064】
このようにしてノック学習値AGKNKの学習が行われると、次に、基本点火時期ABASEからノック遅角反映値AKNKが減算され、その減算値(ABASE−AKNK)が最終点火時期AOPとして設定される(ステップS190)。この処理を実行した後、本ルーチンの処理は一旦終了される。電子制御装置40は、この最終点火時期AOPに基づく点火信号を点火プラグ15に出力することにより、同最終点火時期AOPに応じたタイミングをもって混合気の点火を実行する。
【0065】
次に、気流制御弁30の開閉制御について説明する。この制御では、気流制御弁30を全閉状態とする機関運転領域を全閉領域として機関負荷Q及び機関回転速度NEに基づき予め設定しておき、機関運転状態がこの全閉領域に移行したときに気流制御弁30を全開状態から全閉状態に切り替えるようにしている。
【0066】
そして、気流制御弁30が全閉状態にあるときの点火時期の遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1が気流制御弁30を全閉状態から全開状態に切り替えることに伴う機関出力の低下量ΔTQ2を上回る状況にあるときに、上記全閉領域を縮小するようにしている。即ち、混合気の混合状態を改善することにより機関出力の向上を図るようにした気流制御弁30の本来の機能が、ノッキング制御による点火時期の遅角により失われて逆に機関出力の低下を招くおそれがある場合には、前記全閉領域を縮小することにより、気流制御弁30による旋回流の発生を制限するようにしている。
【0067】
図6は、この開閉制御にかかる処理手順を示すフローチャートである。電子制御装置40は、このフローチャートに示される一連の処理を所定のクランク角周期の割込処理として実行する。
【0068】
この処理に際しては、まず、先の機関回転速度NEに応じて区分された低速領域Aのノック学習値AGKNKのうち、全閉領域に対応する値が読み込まれる(S200)。次に、次式(2)に示されるように、このノック学習値AGKNKと所定の判定値Kとが比較される(ステップS210)。
【0069】
AGKNK<K ・・・(2)
上式(2)において、この「K」は、上記ノッキング制御による基本点火時期ABASEの遅角に伴う機関出力の低下度合が気流制御弁30を全閉状態から全開状態に切り替えたことに伴う機関出力の低下度合を上回る状況にあるか否かを判定するための判定値である。以下、この判定値Kの導出手順について説明する。
【0070】
基本点火時期ABASEは図4のステップS190に示される処理を通じてノック遅角反映値AKNKに対応するクランク角CAだけ遅角されることになる。ここで、そのときどきのノッキングの発生状況に応じて変化し得るノック制御値AKCSの影響については無視し、同発生状況の定常的な傾向のみを考慮すると、基本点火時期ABASEについてその定常的な遅角量はノック遅角反映値AKNKからノック制御値AKCSを除いたものとなる。そして、これは次式(3)のように表すことができる。
【0071】
[定常的な遅角量]←AKMAX−AGKNK ・・・(3)
尚、このように基本点火時期ABASEの最終的な遅角量、即ちノック遅角反映値AKNKからノック制御値AKCSを除くようにしているのは、以下の理由による。即ち、ノッキングの発生要因についてみると、それには燃焼室12の内壁面にデポジットが付着したり或いはオクタン価の高い燃料が使用されたりすることに起因して発生する定常的な性質を有するものの他、偶発的或いは過渡的な性質を有するものもある。従って、こうした偶発的或いは過渡的に発生したノッキングに応じて気流制御弁30の全閉領域がその都度変更されると、気流制御弁30の開度が頻繁に切り替えられることに起因した該切替動作の不安定化、ひいては機関燃焼状態の不安定化を招くこととなる。
【0072】
このため、この開閉制御にあっては、こうした気流制御弁30の切替動作や機関燃焼状態の不安定化を避けるために、基本点火時期ABASEの遅角量に相当するノック遅角反映値AKNKからノック制御値AKCSを除くようにしている。
【0073】
そして、上式(3)から基本点火時期ABASEの遅角に伴う定常的な機関出力の低下量ΔTQ1は次式(4)のように表すことができる。
ΔTQ1←KT(AKMAX−AGKNK) ・・・(4)
KT:係数
上式(4)において、「KT」は基本点火時期ABASEの遅角量を機関出力の低下量に換算するための係数である。ここで、基本点火時期ABASEを遅角させることによる機関出力の低下量は一定ではなく、そのときの機関運転状態、換言すれば同機関運転状態に基づいて設定される基本点火時期ABASEに応じて変化する。このため、ここでは上記係数KTを機関運転状態、即ち機関負荷Q及び機関回転速度NEの関数とし、これらに基づいて設定するようにしている。
【0074】
一方、気流制御弁30を全閉状態から全開状態に切り替えることに伴う機関出力の低下量ΔTQ2については、次式(5)のように表すことができる。
ΔTQ2←TQC−TQO ・・・(5)
上式(5)において、「TQC」は気流制御弁30を全閉状態として旋回流を発生させているときの機関出力の大きさを示し、「TQO」は気流制御弁30を全開状態として旋回流を停止させているときの機関出力の大きさを示している。従って、上式(5)の右辺は気流制御弁30を全閉状態から全開状態に切り替えることによる機関出力の低下量を示している。また、先の基本点火時期ABASEを遅角することに伴う機関出力の低下量と同様に、この気流制御弁30の開度切替に伴う機関出力の低下量についても、一定ではなくそのときの機関運転状態に応じて変化する。このため、ここでは各機関出力値TQC,TQOをそれぞれ機関運転状態、即ち機関負荷Q及び機関回転速度NEの関数とし、これらに基づいて設定するようにしている。
【0075】
次に、ノッキング制御による基本点火時期ABASEの遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1が気流制御弁30の開度切替に伴う機関出力の低下量ΔTQ2を上回る状況になった場合には、以下の式(6)に示す関係が成立するようになる。
【0076】
ΔTQ1>ΔTQ2 ・・・(6)
更に、この式(6)は上式(4),(5)を用いると次式(7),(8)のように変形することができる。
【0077】
KT(AKMAX−AGKNK)>TQC−TQO ・・・(7)
AKMAX−AGKNK>(TQC−TQO)/KT ・・・(8)
ここで、上式(8)の左辺は、気流制御弁30が全閉状態にあるときの点火時期の定常的な遅角量である。また、上式(8)の右辺は、気流制御弁30の全閉状態から全開状態への切り替えに伴う機関出力の低下量ΔTQ2を点火時期の変化量(遅角量)に換算したものに相当する。
【0078】
図7は、点火時期と機関出力との関係を示すグラフである。尚、この図7に示される点火時期と機関出力との関係は特定の機関運転状態についてその一例を示すものである。実際にはこうした点火時期と機関出力との関係は、各機関運状態毎に各別の関数マップとして電子制御装置40のメモリ41に記憶されている。
【0079】
この図7において、実線は気流制御弁30を全閉状態としたとき、即ち旋回流を発生させているときについて、その点火時期と機関出力と関係を示し、一点鎖線は気流制御弁30を全開状態としたとき、即ち旋回流を停止させているときの同関係を示している。同図に示されるように、機関出力は基本的に点火時期が進角側の時期であるときほど大きくなる傾向がある。また、旋回流を停止させたときには旋回流を発生させているときよりも機関出力が低下する。
【0080】
同図から明らかなように、各機関運転状態(機関負荷Q、機関回転速度NE)毎に気流制御弁30を全閉・全開状態としたときの点火時期変化に伴う機関出力の変化特性を実験等を通じて予め求めておくことにより、機関出力の低下量ΔTQ2を機関運転状態に応じて点火時期の変化量に換算することができる。
【0081】
従って、この不等式(8)を通じて、基本点火時期ABASEの定常的な遅角量(AKMAX−AGKNK)と、気流制御弁の開度切替に伴う機関出力の低下量ΔTQ2を点火時期の変化量に換算した値((TQC−TQO)/KT)との比較を行うことができる。そして、この不等式(8)が成立する場合には、基本点火時期ABASEの遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1が気流制御弁30を全閉状態から全開状態に切り替えることに伴う機関出力の低下量ΔTQ2を上回る状況にあり、従って上記全閉領域を縮小する必要がある旨判定することができる。
【0082】
また実際には、上記不等式(8)は次式(9)のように更にこれを変形することができる。
AGKNK<AKMAX−(TQC−TQO)/KT ・・・(9)
ここで、上式(9)の右辺を「K」とおくと、先の判定式(2)が導かれる。即ち、上記判定値Kは以下の式(10)のように表すことができる。
【0083】
K=AKMAX−(TQC−TQO)/KT ・・・(10)
尚、上式(8)の右辺の各パラメータは全て機関負荷Q及び機関回転速度NEの関数であるため、結局、判定値Kは、これら機関負荷Q及び機関回転速度NEをそれぞれ変数に有する関数に基づいてこれを求めることができる。電子制御装置40のメモリ41には、この判定値Kと機関負荷Q及び機関回転速度NEとの関係を定義する関数マップが記憶されている。先のステップS210の判定処理に際して、電子制御装置40はこの関数マップを参照して機関運転状態に応じた判定値Kを読み込み、その判定値Kに基づいて上記判定処理を行う。
【0084】
この判定処理において、ノック学習値AGKNKが判定値Kを下回っている場合(ステップS210:YES)、先の図2に示す気流制御弁30の全閉・全開領域を決定する全閉・全開マップを補正する(ステップS220)。即ち基本点火時期ABASEの遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1が気流制御弁30の開度切替に伴う機関出力の低下量ΔTQ2を上回る状況にあるときに、こうした補正が行われるようになる。
【0085】
本実施形態にあっては、このマップ補正に際して気流制御弁30による旋回流の発生を制限すべく全閉領域を縮小するようにしている。詳しくは、図2の一点鎖線にて示されるように、全閉領域においてこれを区画している機関負荷Qについて、その下限値Q1を一定量ΔQだけ増加させる。更に、機関回転速度NEについても、その上限値NE1を一定量ΔNEだけ減少させる。これにより、この全閉領域についてその縮小操作を行うようにしている。
【0086】
ここで、上記機関負荷Q及び機関回転速度NEにかかる変更量ΔQ,ΔNEは、いずれもこれらに基づく全閉領域の縮小により基本点火時期ABASEの遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1が気流制御弁30の開度切替に伴う機関出力の低下量ΔTQ2を確実に下回るようになるように予め設定されている。
【0087】
また、このように全閉領域を縮小する際に、機関負荷Qについてはその下限値Q1を、また機関回転速度NEについてはその上限値NE1を変更しているのは、以下の理由による。一般に機関負荷Qが大きいときほど、また機関回転速度NEが低いときほど、気流制御弁30を閉弁して旋回流を発生させることによる機関出力の向上効果が大きくなる。従って、機関負荷Qが小さくなる上記下限値Q1近傍や機関回転速度NEが高くなる上記上限値NE1近傍の運転領域において、点火遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1が気流制御弁30の開度切替に伴う機関出力の低下量ΔTQ2を上回る状況が最も顕著に発生するからである。
【0088】
一方、先の判定処理において、ノック学習値AGKNKが判定値K以上である場合には(ステップS210:NO)、こうした全閉・全開マップの補正は行われない。即ち、この場合には、ノッキングの発生により点火時期の遅角制御が行われたとしてもなお、気流制御弁30を全閉状態にして旋回流を発生させたほうが機関出力を向上させることができるため、上記全閉・全開マップの補正を行わないようにしている。
【0089】
次に、このように必要に応じて補正された全閉・全開マップに基づいて、内燃機関10の運転状態が気流制御弁30を全閉状態とすべき全閉領域にあるか否かが判断される(ステップS230)。そして、機関運転状態が全閉領域にある場合には(ステップS230:YES)、負圧制御弁38が駆動されて気流制御弁30が全閉状態に制御される(ステップS240)。その結果、燃焼室12内には旋回流が発生するようになる。一方、機関運転状態が全開領域にある場合には(ステップS230:NO)、負圧制御弁38の駆動が停止されて気流制御弁30が全開状態に制御される(ステップS245)。その結果、燃焼室12内における旋回流は停止するようになる。
【0090】
このように気流制御弁30を先の全閉・全開マップに基づいて開閉制御した後、この一連の処理は一旦終了される。
以上説明した態様をもって気流制御弁30の開度を制御するようにした本実施形態にかかる装置によれば以下の作用効果を奏することができる。
【0091】
(1)上記実施形態にかかる装置では、気流制御弁30が全閉状態にあるときの基本点火時期ABASEの遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1と、気流制御弁30の全閉状態から全開状態への切り替えに伴う機関出力の低下量ΔTQ2とを比較するようにしている。そして、点火時期遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1が気流制御弁30の開度切替に伴う機関出力の低下量ΔTQ2を上回っている場合には、全閉領域について機関負荷Qの下限値Q1を一定量ΔQだけ増加させるとともに、機関回転速度NEの上限値NE1を一定量ΔNEだけ減少させている。そして、これにより上記全閉領域を縮小するようにしている。従って、この全閉領域をそのときどきのノッキングの発生状況に応じて変更することができ、機関出力を好適に確保することができるようになる。
【0092】
(2)更に、本実施形態では、上記機関出力の各低下量ΔTQ1,ΔTQ2を比較するに際して、これら各低下量ΔTQ1,ΔTQ2と相関を有する点火時期の遅角量(AKMAX−AGKNK)及び遅角相当量(TQC−TQO)/KTを用いるようにしている。このため、機関出力の各低下量ΔTQ1,ΔTQ2の比較を容易に且つ正確に行うことができ、上記全閉領域の縮小に際してもこれをより的確に行うことができるようになる。
【0093】
(3)特に、基本点火時期ABASEの遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1を示すパラメータの一つとしてノッキングの定常的な発生状況を反映するノック学習値AGKNKを用いるようにしている。従って、例えば偶発的或いは過渡的なノッキングの発生に基づいて全閉領域が変更され、その変更に基づいて気流制御弁30の開度切替が頻繁に行われることに起因した同切替動作の不安定化や機関燃焼状態の不安定化を抑制することができるようになる。
【0094】
(4)また、上式(4)における係数KTや、上式(5)における各機関出力値TQC,TQOをそれぞれ機関運転状態、即ち機関負荷Q及び機関回転速度NEの関数としている。そして、最終的には上記判定値Kを設定するに際してこれを機関負荷Qや機関回転速度NEの関数とすることにより、これら機関運転状態を上記各パラメータKT,TQC,TQOの設定に反映させるようにしている。その結果、上記機関出力の各低下量ΔTQ1,ΔTQ2の比較を一層正確に行うことができ、それらに基づいてより精密な気流制御弁30の切替制御を実行することができるようになる。
【0095】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態について図8及び図9を併せ参照して説明する。
【0096】
上記第1の実施形態では、ノック学習値AGKNKが判定値K未満であることを条件に、一定の縮小量ΔNE,ΔQをもって全閉領域を縮小するようにした。これに対して、本実施の形態では、この縮小量ΔNE,ΔQを上記機関出力の各低下量ΔTQ1,ΔTQ2の乖離度合、具体的にはそれらの偏差(ΔTQ1−ΔTQ2)の大きさに基づいて可変設定するようにしている。
【0097】
図8及び図9は、このように機関出力の各低下量ΔTQ1,ΔTQ2の偏差(ΔTQ1−ΔTQ2)に基づいて各縮小量ΔNE,ΔQを求めるための演算用マップを示している。これら各図に示されるように、本実施形態では、各縮小量ΔNE,ΔQを上記判定値Kとノック学習値AGKNKとの偏差(K−AGKNK)と上記係数KTとの積(KT(K−AGKNK))が大きくなるほど大きな値に設定するようにしている。これは以下の理由による。
【0098】
上記機関出力の各低下量ΔTQ1,ΔTQ2について、それらの偏差(ΔTQ1−ΔTQ2)が大きくなるほど、全閉領域においてノッキングが頻繁に発生しており、基本点火時期ABASEの遅角量増大に伴って機関出力が大きく低下した状況にあるといえる。従って、このように上記偏差(ΔTQ1−ΔTQ2)が大きい場合には、全閉領域がより小さくなるようにこれを縮小して旋回流の利用を制限するのが望ましい。
【0099】
ここで、上式(4)〜(8)を参照すると、この偏差(ΔTQ1−ΔTQ2)は、次式(11)のように表すことができる。
ΔTQ1−ΔTQ2=KT(K−AGKNK) ・・・(11)
従って、上式(11)の右辺の値が大きいときほど、上記機関出力の各低下量ΔTQ1,ΔTQ2についてその偏差(ΔTQ1−ΔTQ2)が大きくなり、基本点火時期ABASEの遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1が気流制御弁30の開度切替に伴う機関出力の低下量ΔTQ2を大きく上回る状況にあるといえる。
【0100】
そこで、本実施形態にあっては、図8及び図9に示されるように、この値KT(K−AGKNK)の大きさを監視し、これが大きいときほど各縮小量ΔNE,ΔQを増大させるようにしている。このため、上記機関出力の各低下量ΔTQ1,ΔTQ2についてその偏差(ΔTQ1−ΔTQ2)が大きくなるほど、全閉領域がより小さくなるようにこれが縮小される。
【0101】
また、こうした縮小補正は、点火時期遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1が大きいときほど全閉領域がより小さくなるようにこれが縮小されるとみることができる。また一方、気流制御弁30の開度切替に伴う機関出力の低下量ΔTQ2が小さいときほど全閉領域がより小さくなるようにこれが縮小されるとみることができる。
【0102】
(5)このように、本実施形態では、全閉領域を縮小する際の縮小量ΔNE,ΔQをノッキングの発生頻度に応じてこれに見合った大きさに設定することができ、機関出力をノッキングの発生状況に応じて一層好適に確保することができるようになる。
【0103】
[第3の実施形態]
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。
上記第1の実施形態では、気流制御弁30が全閉状態にあるときの点火時期の遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1を上式(4)に基づいて求めるようにした。即ち、最大遅角値AKMAXからノック学習値AGKNKを減算し、この減算値(AKMAX−AGKNK)に対して所定の換算係数KTを乗ずることにより上記低下量ΔTQ1を求めるようにしている。
【0104】
但し、ここではその前提として、気流制御弁30が全開状態にあるときにはノッキングが発生せず、従って点火時期を遅角することによる機関出力の低下についてはこれを無視できるものとしている。
【0105】
しかしながら、実際には、気流制御弁30を全開状態にした場合でもノッキングが発生することがあり、この場合にもこれを抑制するためのノッキング制御が実行されるため、点火時期遅角に伴う機関出力の低下はその程度は小さいにせよやはり生じることとなる。この点を考慮すると、気流制御弁30が全開状態にあるときについても同様に、点火時期遅角に伴う機関出力の低下量を算出し、気流制御弁30が全閉状態にあるときの点火時期遅角に伴う機関出力の低下量からこれを減算する。そして、その減算値が気流制御弁30の開度切替に伴う機関出力の低下量を上回るときにはじめて、全閉領域を縮小するようにするのが実際的であるといえる。
【0106】
そこで、本実施形態では、こうした気流制御弁30が全閉状態にあるときのみならず全開状態にあるときの点火時期遅角に伴う機関出力の低下量についても併せて考慮するようにしている。
【0107】
ここで、気流制御弁30が全閉状態にあるときの点火時期遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1は上式(4)に示すとおりであるが、この低下量ΔTQ1を特に「ΔTQ1C」とし、また全閉状態にあるときのノック学習値AGKNKを特に「AGKNKC」とすると、上式(4)は次式(12)のようになる。
【0108】
ΔTQ1C←KT(AKMAX−AGKNKC) ・・・(12)
また一方、気流制御弁30が全開状態にあるときの点火時期遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1を「ΔTQ1O」とし、また全開状態にあるときのノック学習値AGKNKを特に「AGKNKO」とすると、上記機関出力の低下量ΔTQ1Oは次式(13)のようになる。尚、この「AGKNKO」は、先の機関回転速度NEに応じて区分された低速領域Aのノック学習値AGKNKのうち、全開領域に対応する値である。
【0109】
因みに、気流制御弁30を全閉状態としたときにノッキングが頻繁に発生している状況下にあっては、気流制御弁30の開閉状態に対応するノック学習値AGKNKの各値AGKNKC,AGKNKOについて(AGKNKC<AGKNKO)なる大小関係が成立している。
【0110】
ΔTQ1O←KT(AKMAX−AGKNKO) ・・・(13)
従って、これらの偏差は次式(14)のようになる。
【0111】
ΔTQ1C−ΔTQ1O
=KT(AGKNKO−AGKNKC) ・・・(14)
従って、ノッキング制御による基本点火時期ABASEの遅角に伴う機関出力の低下量(ΔTQ1C−ΔTQ1O)が気流制御弁30の開度切替に伴う機関出力の低下量ΔTQ2を上回る状況になった場合には、上式(7)及び(14)から次式(15)が成立することになる。そして、更にこの式(15)は式(16)のように変形することができる。
【0112】
KT(AGKNKO−AGKNKC)>TQC−TQO ・・・(15)
AGKNKC<AGKNKO−(TQC−TQO)/KT ・・・(16)
ここで、上式(16)の右辺を「K」とおくと、先の判定式(2)が導かれる。即ち、この場合における上記判定値Kは以下の式(17)を用いて表されることとなる。
【0113】
K=AGKNKO−(TQC−TQO)/KT ・・・(17)
そして、このようにして求められた判定値Kを用いて図6に示すフローチャートに示す一連の処理を行うようにする。このようにすれば、気流制御弁30が全開状態にあるときの点火時期遅角に伴う機関出力の低下量も併せて考慮することができるようになる。
【0114】
(6)このため、本実施形態では、点火時期の遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1が気流制御弁30を全閉状態から全開状態に切り替えることに伴う機関出力の低下量ΔTQ2を上回る状況にあることを一層正確に判定することができる。そして、その正確な判定に基づいてより精密な気流制御弁30の切替制御を実行することができるようになる。
【0115】
[第4の実施形態]
以下、本発明の第4の実施形態について図10を参照して説明する。
上記第1の実施形態では、気流制御弁30が全閉状態にあるときの点火時期の遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1が気流制御弁30を全閉状態から全開状態に切り替えることに伴う機関出力の低下量ΔTQ2を上回ることを条件に全閉領域を縮小補正するようにした。
【0116】
これに対して、本実施形態では、全閉領域の縮小補正に替えて、機関運転状態が全閉領域に移行したときに、点火時期遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1が気流制御弁30の開度切替に伴う機関出力の低下量ΔTQ2を上回っていることを条件に、気流制御弁30の全閉状態への切り替えを禁止するようにしている。
【0117】
以下では、こうした本実施形態にかかる制御装置によって実行される気流制御弁30の開閉制御について詳細に説明する。
図10は、この制御における処理手順を示すフローチャートである。電子制御装置40は、このフローチャートに示される一連の処理を所定のクランク角周期の割込処理として実行する。
【0118】
この処理に際しては、まず、現在の機関運転状態が気流制御弁30を全閉状態とすべき全閉領域にあるか否かを判断する(ステップS300)。ここで、機関運転状態が全閉領域にある場合には(ステップS300:YES)、続くステップS310,S320において先の図6に示したステップS200,S210と同様の処理が実行される。即ち、機関回転速度NEに基づいて区分される低速領域Aにおいて全閉領域に対応するノック学習値AGKNKが読み込まれた後(ステップS310)、このノック学習値AGKNKと判定値Kとが比較される(ステップS320)。
【0119】
ここで、ノック学習値AGKNKが判定値Kを下回っている場合(ステップS320:YES)、負圧制御弁38の駆動が停止されて強制的に気流制御弁30が全開状態に制御される。即ち、基本点火時期ABASEの遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1が気流制御弁30の開度切替に伴う機関出力の低下量ΔTQ2を上回る状況にあるときには、機関運転状態が全閉領域にあっても気流制御弁30が全開状態に制御され、全閉状態への切り替えが禁止される。また、先のステップS300において、機関運転状態が全開領域にある旨判断された場合(ステップS300:NO)にも、気流制御弁30は全開状態に制御される。
【0120】
一方、ノック学習値AGKNKが判定値K以上である場合(ステップS320:NO)には、負圧制御弁38が駆動されて気流制御弁30が全閉状態に制御される(ステップS335)。即ち、この場合には、ノッキングの発生により点火時期の遅角制御が行われたとしてもなお、気流制御弁30を全閉状態にして旋回流を発生させたほうが機関出力を向上させることができるため、全閉状態への切り替えが許可される。
【0121】
このようにして気流制御弁30が全閉状態或いは全開状態に制御された後、この一連の処理は一旦終了される。
以上説明した態様をもって気流制御弁30の開度を制御するようにした本実施形態にかかる装置によれば、先の第1の実施形態において示した(4)の他、以下の作用効果を奏することができる。
【0122】
(7)上記実施形態にかかる装置では、点火時期遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1が気流制御弁30の開度切替に伴う機関出力の低下量ΔTQ2を上回っている場合には、機関運転状態が全閉領域にある場合であっても、気流制御弁30が全閉状態に制御されるのを禁止するようにしている。従って、旋回流を発生させるか否かをそのときどきのノッキングの発生状況に応じて変更することができ、機関出力を好適に確保することができるようになる。
【0123】
(8)更に、本実施形態では、上記機関出力の各低下量ΔTQ1,ΔTQ2を比較するに際して、これら各低下量ΔTQ1,ΔTQ2と相関を有する点火時期の遅角量(AKMAX−AGKNK)及び遅角相当量(TQC−TQO)/KTを用いるようにしている。このため、機関出力の各低下量ΔTQ1,ΔTQ2の比較を容易に且つ正確に行うことができ、気流制御弁30の全閉状態への切り替えを禁止するに際してこれをより的確に行うことができるようになる。
【0124】
(9)特に、基本点火時期ABASEの遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1を示すパラメータの一つとしてノッキングの定常的な発生状況を反映するノック学習値AGKNKを用いるようにしている。従って、例えば偶発的或いは過渡的なノッキングの発生に基づいて全閉状態への切り替えの禁止が行われ、全閉領域において気流制御弁30が全閉状態と全開状態との間で頻繁に切り替えられることに起因した同切替動作の不安定化や機関燃焼状態の不安定化を抑制することができるようになる。
【0125】
以上、本発明にかかる各実施形態について説明したが、これら各実施形態は以下のようにその構成や制御構造の一部を変更して実施することもできる。
・第1〜3の各実施形態では、全閉領域を縮小量ΔNE,ΔQをもって一律に縮小補正するようにしている。これに対して、例えば、図11に示されるように、関数マップ(図2参照)上で全閉領域を区画している各データについて、気流制御弁30が全閉状態にあるときの点火時期の遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1を算出する。同様に、全閉領域を区画している各データについて、気流制御弁30を全閉状態から全開状態に切り替えることに伴う機関出力の低下量ΔTQ2をそれぞれ算出する。そして、それぞれのデータについて(ΔTQ2≧ΔTQ1)なる関係が満たされるようになるまで、同データを変更するといった方法を通じて、こうした全閉領域の縮小補正を行うようにしてもよい。このようにすれば、所定の縮小量ΔNE,ΔQをもって全閉領域を縮小補正するようにした場合と比較して一層精密にこれを行うことができるようになる。
【0126】
・第1〜3の各実施形態では、先の図6に示されるステップS210の判定結果に基づいて当初メモリ41に記憶されている関数マップに対して全閉領域の縮小補正をその都度行うようにしたが、例えばこのようにして補正したマップをメモリ41に記憶するなどしてこれを更新するようにしてもよい。
【0127】
・第1〜3の各実施形態では、基本的に、デポジットが徐々に堆積することによって、旋回流の発生時におけるノッキングが発生し易い状況へと経時変化する場合、換言すれば全閉領域が縮小する場合のみを考慮するようにしている。しかしながら、例えばこのように堆積したデポジットが燃料に含まれる清浄剤の作用によって燃焼室12の内壁面から剥がれ落ちたり、或いはオクタン価の高い燃料が使用されたりすることにより、旋回流の発生時におけるノッキングが発生し難くなる場合も想定される。従って、上述したように気流制御弁30の開度を決定するための関数マップを補正し、その補正後のマップを記憶するようにした変更例にあっては、必要に応じて一旦縮小補正した全閉領域を当初の大きさに近づくようにこれを拡大補正するようにしてもよい。具体的には、図6に示されるステップS210において、ノック学習値AGKNKが判定値Kを上回るような場合、即ち気流制御弁30の開度切替に伴う機関出力の低下量ΔTQ2が点火時期遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1を上回るようになった場合、こうした全閉領域の拡大補正を実行するようにする。
【0128】
・第4の実施形態では、第1の実施形態にかかる装置と同様に、上式(10)に基づいて判定値Kを求めるようにしたが、第3の実施形態にかかる装置と同様に、気流制御弁30が全開状態にあるときの点火時期遅角に伴う機関出力の低下量についても考慮すべく、上式(17)に基づいてこれを求めるようにしてもよい。
【0129】
・上記各実施形態では、点火時期遅角に伴う機関出力の低下量を求めるために、基本点火時期ABASEの遅角量を算出するに際し、ノック制御値AKCSを除くようにした。即ち、式(3)に示されるように、基本点火時期ABASEの定常的な遅角量をノック遅角反映値AKNK(=AKMAX−AGKNK+AKCS)からノック制御値AKCSを除いた値(AKMAX−AGKNK)とした。しかしながら、この算出に際してノック学習値AGKNKを用いることを前提にすれば、このノック制御値AKCSを併せて用いることも可能である。例えば、上式(4)〜(10)の算出において、上記値(AKMAX−AGKNK)に替えてノック遅角反映値AKNKをそのまま用いるようにしてもよい。また、この算出に際して例えば、このノック制御値AKCSの寄与度が小さくなるように重み付けした値(AKMAX−AGKNK+k・AKCS)(0<k<1.0)を用いるようにしてもよい。
【0130】
・第2の実施形態では、上記値KT(K−AGKNK)の大きさを監視し、これが大きいときほど各縮小量ΔNE,ΔQを増大させることにより、上記機関出力の各低下量ΔTQ1,ΔTQ2についてその偏差(ΔTQ1−ΔTQ2)が大きくなるほど、全閉領域がより小さくなるようにこれを縮小補正するようにした。これに対して、例えば、点火時期遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1のみに着目してこれが大きいときほど全閉領域を縮小する、或いは気流制御弁の開度切替に伴う機関出力の低下量ΔTQ2のみに着目してこれが
小さいときほど全閉領域を縮小する、といった方法を採用することもできる。
【0131】
・上記各実施形態では、図7に示されるような気流制御弁30を全閉或いは全開状態としたときの点火時期に対応する機関出力を示す関数マップを機関運転状態毎に用意するようにした。これに対して、例えばこうした点火時期に対応する機関出力の標準値を気流制御弁30を全閉状態としたときと全開状態としたときとについて予め求めておき、機関運転状態に基づいて設定される補正係数をこの機関出力標準値に乗じて実際の機関出力値を求めるようにしてもよい。このようにすれば、マップ記憶容量についてその削減を図ることができる。
【0132】
・上記各実施形態では、気流制御弁30が全閉状態にあるときの点火時期遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1と気流制御弁30を開度切替に伴う機関出力の低下量ΔTQ2とを比較し、その比較結果に基づいて全閉領域を縮小補正し、或いは気流制御弁30が全閉状態に切り替えられるのを禁止するようにした。
【0133】
これに替えて、例えば気流制御弁30が全閉状態にあるときの機関出力値TQ1と、全閉領域において気流制御弁30を強制的に全開状態としたときの機関出力値TQ2とを比較するようにしてもよい。
【0134】
即ち、上記各機関出力値TQ1,TQ2は次式(18),(19)のように表すことができる。
TQ1=[機関運転状態に基づく標準的な機関出力]ー[点火時期遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1]) ・・・(18)
TQ2=[機関運転状態に基づく標準的な機関出力]ー[気流制御弁の開度切替に伴う機関出力の低下量ΔTQ2]) ・・・(19)
そして、全閉領域の縮小補正や気流制御弁30の全閉状態への切り替え禁止が必要になるのは、気流制御弁30を全閉状態として旋回流を発生させるよりも、これを停止させて点火時期遅角による機関出力の低下を抑えたほうが、結果的により大きな機関出力が確保できるときである。具体的には、以下の式(20)が成立するときである。
【0135】
TQ1<TQ2 ・・・(20)
上式(20)は式(18),(19)に示される関係から明らかなように、先に示した式(6)と同一であり、このような比較方法によっても上記各実施形態と実質的に同一の比較を行うことができる。
【0136】
・上記各実施形態において、気流制御弁30が全閉状態にあるときの点火時期遅角に伴う機関出力の低下量ΔTQ1が気流制御弁30を開度切替に伴う機関出力の低下量ΔTQ2に対して所定量以上大きくなったことを条件として、全閉領域を縮小補正してもよい。或いは、これを条件として、気流制御弁30が全閉状態に切り替えられるのを禁止するようにしてもよい。
【0137】
・上記各実施形態では、図2に示されるように、気流制御弁30を全閉状態とする全閉領域を、機関回転速度NEに応じて区分される3つの領域のうち、最も低速側の領域A内であり、且つ機関負荷Qが比較的高い領域に設定するようにしたが、この全閉領域はこのような領域に限定されるものではない。また、こうした全閉領域を複数有する内燃機関であっても本発明を適用することはできる。
【0138】
・本発明にかかる装置では、ノッキングの発生状況に応じて気流制御弁30の開度を制御することにより最終的に機関出力の確保をその狙いとするものであるため、例えば、機関出力について増大要求があるときにのみ上記各実施形態において例示した気流制御弁30の開度にかかる制御を実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる内燃機関の制御装置についてその概要を示す概略構成図。
【図2】機関運転状態に基づき設定される気流制御弁の全閉領域を示すグラフ。
【図3】ノッキング制御についてその処理手順を示すフローチャート。
【図4】同じくノッキング制御の処理手順を示すフローチャート。
【図5】ノッキング制御にかかる各種制御量の関係を示す説明図。
【図6】気流制御弁の開閉制御についてその処理手順を示すフローチャート。
【図7】点火時期と機関出力との関係を示すグラフ。
【図8】気流制御弁の全閉領域を機関回転速度について縮小する際の縮小量を求めるための関数マップ。
【図9】気流制御弁の全閉領域を機関負荷について縮小する際の縮小量を求めるための関数マップ。
【図10】気流制御弁の開閉制御についてその処理手順を示すフローチャート。
【図11】気流制御弁の全閉領域を縮小する際の縮小方法についてその変更例を示す関数マップ。
【符号の説明】
10…内燃機関、12…燃焼室、13…排気通路、15…点火プラグ、16…アクセルペダル、20…吸気通路、21,22…分岐管(旋回流発生手段)、23…サージタンク、24…吸気管、25…スロットルバルブ、26…モータ、30…気流制御弁、32…回転軸、34…アクチュエータ、36…駆動軸、38…負圧制御弁、40…電子制御装置(点火時期制御手段、開度制御手段)、41…メモリ、43…吸入空気量センサ、44…ノックセンサ、45…回転速度センサ、46…アクセルセンサ、201,202…吸気ポート(旋回流発生手段)、ABASE…基本点火時期、Q…機関負荷、NE…機関回転速度、AGKNK…ノック学習値、AKCS…ノック制御値、AOP…最終点火時期、AKMAX…最大遅角値、K…判定値。
Claims (10)
- 全開状態と全閉状態との間でその開度が選択的に切替可能な気流制御弁を吸気通路に備え、同気流制御弁を全開状態から全閉状態に切り替えて機関燃焼室内に混合気の旋回流を発生させる旋回流発生手段と、ノッキングの発生を監視しこれを抑制すべく機関運転状態に基づいて設定される点火時期を遅角する点火時期制御手段とを備えた内燃機関の制御装置において、
前記気流制御弁が全閉状態にあるときの前記点火時期制御手段による前記点火時期の遅角に伴う機関出力の低下度合と前記旋回流発生手段による前記気流制御弁の全閉状態から全開状態への切り替えに伴う機関出力の低下度合とを比較し、該比較結果に基づいて前記旋回流発生手段による前記気流制御弁の開度切替を制御する開度制御手段と
を備え、前記旋回流発生手段は前記気流制御弁を全閉状態とする機関運転領域として予め設定されている全閉領域に機関運転状態が移行したときに前記気流制御弁を全開状態から全閉状態に切り替えるものであり、
前記開度制御手段は前記比較結果に基づいて前記全閉領域を可変設定するものである
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記開度制御手段は前記点火時期制御手段による前記点火時期の遅角に伴う機関出力の低下度合が大きいときほど前記全閉領域を縮小する
請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記開度制御手段は前記旋回流発生手段による前記気流制御弁の全閉状態から全開状態への切り替えに伴う機関出力の低下度合が小さいときほど前記全閉領域を縮小する
請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。 - 前記開度制御手段は前記点火時期制御手段による前記点火時期の遅角に伴う機関出力の低下度合が前記旋回流発生手段による前記気流制御弁の全閉状態から全開状態への切り替えに伴う機関出力の低下度合に対して相対的に大きいときほど前記全閉領域を縮小する
請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。 - 全開状態と全閉状態との間でその開度が選択的に切替可能な気流制御弁を吸気通路に備え、同気流制御弁を全開状態から全閉状態に切り替えて機関燃焼室内に混合気の旋回流を発生させる旋回流発生手段と、ノッキングの発生を監視しこれを抑制すべく機関運転状態に基づいて設定される点火時期を遅角する点火時期制御手段とを備えた内燃機関の制御装置において、
前記気流制御弁が全閉状態にあるときの前記点火時期制御手段による前記点火時期の遅角に伴う機関出力の低下度合と前記旋回流発生手段による前記気流制御弁の全閉状態から全開状態への切り替えに伴う機関出力の低下度合とを比較し、該比較結果に基づいて前記旋回流発生手段による前記気流制御弁の開度切替を制御する開度制御手段と
を備え、前記旋回流発生手段は前記気流制御弁を全閉状態とする機関運転領域として予め設定されている全閉領域に機関運転状態が移行したときに前記気流制御弁を全閉状態に切り替えるものであり、
前記開度制御手段は前記比較結果に基づいて前記旋回流発生手段による前記気流制御弁の全閉状態への切り替えを禁止するものである
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 全開状態と全閉状態との間でその開度が選択的に切替可能な気流制御弁を吸気通路に備え、同気流制御弁を全開状態から全閉状態に切り替えて機関燃焼室内に混合気の旋回流を発生させる旋回流発生手段と、ノッキングの発生を監視しこれを抑制すべく機関運転状態に基づいて設定される点火時期を遅角する点火時期制御手段とを備えた内燃機関の制御装置において、
前記気流制御弁が全閉状態にあるときの前記点火時期制御手段による前記点火時期の遅角に伴う機関出力の低下度合と前記旋回流発生手段による前記気流制御弁の全閉状態から全開状態への切り替えに伴う機関出力の低下度合とを比較し、該比較結果に基づいて前記 旋回流発生手段による前記気流制御弁の開度切替を制御する開度制御手段と
を備え、前記開度制御手段は前記気流制御弁が全閉状態にあるときの前記点火時期制御手段による前記点火時期の遅角量を前記機関出力の低下度合を示すパラメータとして設定するとともに前記気流制御弁の全閉状態から全開状態への切り替えに伴う機関出力の低下度合と対応する点火時期の変化量を同低下度合を示すパラメータとして設定し、これら各パラメータに基づいて前記機関出力にかかる比較を行うものである
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記開度制御手段は前記気流制御弁が全閉状態にあるときの前記点火時期制御手段による前記点火時期の遅角量を前記機関出力の低下度合を示すパラメータとして設定するとともに前記気流制御弁の全閉状態から全開状態への切り替えに伴う機関出力の低下度合と対応する点火時期の変化量を同低下度合を示すパラメータとして設定し、これら各パラメータに基づいて前記機関出力にかかる比較を行うものである
請求項1乃至5のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。 - 前記点火時期制御手段はノッキングの有無に応じて前記点火時期を遅角或いは進角させるノック制御値を設定するとともに該ノック制御値の大きさについてその定常的な傾向をノック学習値として学習し、これらノック制御値及びノック学習値に基づいて前記点火時期の遅角制御を行うものであり、
前記開度制御手段は前記点火時期の遅角に伴う機関出力の低下度合を示す前記パラメータとして少なくとも前記ノック学習値を参照するものである
請求項6又は7記載の内燃機関の制御装置。 - 前記開度制御手段は更に前記点火時期制御手段による前記点火時期の遅角に伴う機関出力の低下度合を示す前記パラメータとして機関運転状態を併せ参照するものである
請求項6乃至8のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。 - 前記開度制御手段は更に前記気流制御弁の全閉状態から全開状態への切り替えに伴う前記機関出力の低下度合を示す前記パラメータとして機関運転状態を併せ参照するものである
請求項6乃至9のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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