JP3613658B2 - 多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置に係り、詳しくは、気筒間の回転変動を均一化するべく気筒毎に燃料噴射補正量を算出し、それに基づき噴射される燃料噴射量を補正制御するようにした多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の技術として、例えば特開昭61−46444号公報、或いは特開昭62−23552号公報等に開示された技術が知られている。これらの技術において、複数の気筒を有するエンジンには、個々の気筒に対応するようにして燃料噴射弁が設けられている。ところで、かかる燃料噴射弁の製造ばらつきや、経時変化等によって、噴射性能が気筒毎にばらつき、ひいては燃料噴射量が気筒毎にばらついてしまうおそれがある。例えば、ある燃料噴射弁において、目標とする噴射量(指令値)に対し、実際に噴射される燃料量が少なくなるといった事態が生じうる。この場合、特にアイドル時におけるエンジン回転が不安定になったりするおそれがある。
【0003】
このような不具合に対処するべく、これら公報に記載された従来技術では、アイドル運転時において、気筒間の回転変動(ひいては爆発力)が均一になるよう気筒毎に燃料噴射補正量を算出し、燃料噴射量を基本的な指令値に対して増量補正するようにしている。このような制御を行うことにより、実際に噴射される燃料量が予定していたものとなるため、上記不具合の抑制が図られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記技術においては次に記すような不具合が生じるおそれがあった。すなわち、気筒によっては、実際に噴射される燃料量は指令値とほとんど差がないのであるが、噴射状態や霧化状態が悪いがために爆発力がもともと弱いものも存在しうる。このような場合においても、上記従来技術においては燃料噴射量の増量補正が行われることになる。しかし、当該気筒においては、もともと爆発力が弱いのであるから、噴射量を増量補正しても爆発力の向上は望めないばかりか、却って余計な燃料が噴射されることによる失火を招いてしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、気筒間の回転変動を均一化するべく気筒毎に燃料噴射補正量を算出し、それに基づき噴射される燃料噴射量を補正制御するようにした多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、燃料噴射量が増量補正されることによる失火を抑制することのできる多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明においては、気筒毎に燃料噴射弁を有する多気筒内燃機関のアイドル運転時に、気筒毎に内燃機関の回転状態を検出する回転状態検出手段と、前記回転状態検出手段にて検出された回転状態に基づき、気筒間の回転変動を均一化するべく、気筒毎に燃料噴射補正量を算出する噴射補正量算出手段と、前記噴射補正量算出手段の算出結果に基づいて、前記燃料噴射弁から噴射される燃料噴射量を補正制御する補正制御手段とを備えた多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記内燃機関の失火を検出する失火検出手段と、
前記失火検出手段にて失火が検出されたとき、前記噴射補正量算出手段により算出される燃料噴射補正量の上限値を小さくし、上記燃料噴射量の増量補正を制限する増量補正制限手段とを設けたことをその要旨としている。
【0009】
併せて、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記失火検出手段は、気筒毎に失火を検出するものであり、前記増量補正制限手段は、失火が検出された気筒についてのみ前記上限値を小さくするものであることをその要旨としている。
【0010】
加えて、請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記増量補正制限手段は、失火が検出されたときにその都度前記上限値を段階的に小さくするものであることをその要旨としている。
【0011】
また、請求項4に記載の発明では、気筒毎に燃料噴射弁を有する多気筒内燃機関のアイドル運転時に、気筒毎に内燃機関の回転状態を検出する回転状態検出手段と、前記回転状態検出手段にて検出された回転状態に基づき、気筒間の回転変動を均一化するべく、気筒毎に燃料噴射補正量を算出する噴射補正量算出手段と、前記噴射補正量算出手段の算出結果に基づいて、前記燃料噴射弁から噴射される燃料噴射量を補正制御する補正制御手段とを備えた多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記内燃機関の失火を検出する失火検出手段と、前記失火検出手段にて失火が検出されたとき、前記噴射補正量算出手段により算出される燃料噴射補正量を減量し、上記燃料噴射量の増量補正を制限するとともに、それ以降において前記燃料噴射補正量の更新を停止する増量補正制限停止手段とを設けたことをその要旨としている。
【0012】
さらに、請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記失火検出手段は、気筒毎に失火を検出するものであり、前記増量補正制限停止手段は、失火が検出された気筒についてのみ前記燃料噴射補正量を減量するものであることをその要旨としている。
【0013】
併せて、請求項6に記載の発明では、気筒毎に燃料噴射弁を有する多気筒内燃機関のアイドル運転時に、気筒毎に内燃機関の回転状態を検出する回転状態検出手段と、前記回転状態検出手段にて検出された回転状態に基づき、気筒間の回転変動を均一化するべく、気筒毎に燃料噴射補正量を算出する噴射補正量算出手段と、前記噴射補正量算出手段の算出結果に基づいて、前記燃料噴射弁から噴射される燃料噴射量を補正制御する補正制御手段とを備えた多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記内燃機関の失火を検出する失火検出手段と、前記失火検出手段にて失火が検出されたときには、それ以降において前記噴射補正量算出手段の算出結果に基づく燃料噴射量の補正制御を禁止する補正制御禁止手段とを設けたことをその要旨としている。
【0017】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、多気筒内燃機関の気筒毎に設けられた燃料噴射弁から個々に燃料が噴射される。回転状態検出手段では、内燃機関のアイドル運転時に、気筒毎に回転状態が検出される。また、回転状態検出手段にて検出された回転状態に基づき、噴射補正量算出手段では、気筒間の回転変動を均一化するべく、気筒毎に燃料噴射補正量が算出される。そして、補正制御手段では、噴射補正量算出手段の算出結果に基づいて、前記燃料噴射弁から噴射される燃料噴射量が補正制御される。このため、実際に噴射される燃料が予定されていた燃料量に満たない場合には、噴射量が増量側に補正され、従って、気筒間の爆発力が均一化され、回転変動が均一化される。その結果、アイドル回転数の安定化が図られることとなる。
【0020】
それに加えて、本発明では、失火検出手段にて失火が検出されたとき、増量補正制限手段では、噴射補正量算出手段により算出される燃料噴射補正量の上限値が小さくされ、燃料噴射量の増量補正が制限される。従って、一旦失火が検出された以降において、さらなる霧化状態の悪化等が抑制され、以後失火が起こりにくいものとなる。
【0021】
併せて、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、失火検出手段によって、気筒毎に失火が検出され、さらに、増量補正制限手段では、失火が検出された気筒についてのみ上限値が小さくさせられる。従って、失火が未だ発生していない気筒については、上限値がそれまでと同等値に保持されることとなり、当該気筒における燃料噴射量の増量補正が不必要に制限されることがない。そのため、以後失火が起こりにくいものとなるという作用と、アイドル回転数の安定化という作用のより一層の両立が可能となる。
【0022】
加えて、請求項3に記載の発明によれば、請求項1、2に記載の発明の作用に加えて、前記増量補正制限手段は、失火が検出されたときにその都度前記上限値が段階的に小さくさせられる。このため、増量補正制限手段により小さくさせられた上限値は、失火が起きない程度のぎりぎりの値(失火直前の値)とすることができ、ひいては、以後失火が起こりにくいものとなるという作用と、アイドル回転数の安定化という作用のより一層の両立が可能となる。
【0023】
また、請求項4に記載の発明によれば、回転状態検出手段、噴射補正量算出手段、及び補正制御手段等により、上記請求項1に記載の発明の作用で述べたのと同様の作用が奏される。それに加えて、本発明では、失火検出手段にて失火が検出されたとき、増量補正制限停止手段では、燃料噴射補正量が減量され、上記燃料噴射量の増量補正が制限されるとともに、それ以降において燃料噴射補正量の更新が停止される。従って、一旦失火が検出された以降において、さらなる霧化状態の悪化等が抑制され、以後失火が起こりにくいものとなる。また、これとともに、以降の燃料噴射補正量が増大されることがないため、再度の失火が確実に抑制される。
【0024】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の作用に加えて、失火検出手段によって、気筒毎に失火が検出され、増量補正制限停止手段では、失火が検出された気筒についてのみ燃料噴射補正量が減量される。従って、失火が未だ発生していない気筒については、燃料噴射補正量がそれまでと同等量に保持されることとなり、当該気筒における燃料噴射量の増量補正が不必要に制限されることがない。そのため、以後失火が起こりにくいものとなるという作用と、アイドル回転数の安定化という作用のより一層の両立が可能となる。
【0025】
併せて、請求項6に記載の発明によれば、回転状態検出手段、噴射補正量算出手段、及び補正制御手段等により、上記請求項1に記載の発明の作用で述べたのと同様の作用が奏される。それに加えて、本発明では、失火検出手段にて失火が検出されたときには、補正制御禁止手段によって、それ以降において噴射補正量算出手段の算出結果に基づく燃料噴射量の補正制御が禁止される。従って、以後の失火が確実に抑制される。
【0029】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明における多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置を、均質燃焼のみならず成層燃焼をも行いうるエンジンに具体化した第1の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
ここで、成層燃焼について簡単に説明する。一般的に使用されているエンジン(均質燃焼エンジン)においては、燃料噴射弁からの燃料は吸気ポートに噴射され、燃焼室には予め燃料と空気との均質混合気が供給される。かかるエンジンでは、アクセル操作に連動するスロットル弁によって吸気通路が開閉され、この開閉により、燃焼室に供給される吸入空気量(結果的には燃料と空気とが均質に混合された気体の量)が調整され、もってエンジン出力が制御される。
【0031】
しかし、上記のいわゆる均質燃焼による技術では、スロットル弁の絞り動作に伴って大きな吸気負圧が発生し、ポンピングロスが大きくなって効率は低くなる。これに対し、スロットル弁の絞りを小とし、燃焼室に直接燃料を供給することにより、点火プラグの近傍に可燃混合気を存在させ、当該部分の混合気濃度を高めて、着火性を向上するようにしたいわゆる成層燃焼という技術が知られている。この技術においては、例えばエンジンの低負荷時に、燃料噴射弁からの燃料が直接的に燃焼室内へと噴射され、点火プラグ周りに偏在供給されるとともに、スロットル弁が開かれて成層燃焼が実行される。これにより、ポンピングロスの低減が図られ、燃費の向上が図られるのである。
【0032】
さて、図1は本実施の形態において、車両に搭載された多気筒成層燃焼エンジンの燃料噴射制御装置を示す概略構成図である。エンジン1は、例えば4つの気筒1aを具備し、これら各気筒1aの燃焼室構造が図2に示されている。これらの図に示すように、エンジン1はシリンダブロック2内にピストンを備えており、当該ピストンはシリンダブロック2内で往復運動する。シリンダブロック2の上部にはシリンダヘッド4が設けられ、前記ピストンとシリンダヘッド4との間には燃焼室5が形成されている。また、本実施の形態では1気筒1aあたり、4つの弁が配置されており、図中において、符号6aとして第1吸気弁、6bとして第2吸気弁、7aとして第1吸気ポート、7bとして第2吸気ポート、8として一対の排気弁、9として一対の排気ポートがそれぞれ示されている。
【0033】
図2に示すように、第1の吸気ポート7aはヘリカル型吸気ポートからなり、第2の吸気ポート7bはほぼ真っ直ぐに延びるストレートポートからなる。また、シリンダヘッド4の内壁面の中央部には、点火プラグ10が配設されている。この点火プラグ10には、図示しないディストリビュータを介して点火コイルからの高電圧が印加されるようになっている。そして、この点火プラグ10の点火タイミングは、イグナイタ12からの点火信号の出力タイミングにより決定される。さらに、第1吸気弁6a及び第2吸気弁6b近傍のシリンダヘッド4内壁面周辺部には燃料噴射弁11が配置されている。すなわち、本実施の形態においては、燃料噴射弁11からの燃料は直接的に気筒1a内に噴射されるようになっており、いわゆる均質燃焼のみならず、成層燃焼も行われるようになっている。
【0034】
図1に示すように、各気筒1aの第1吸気ポート7a及び第2吸気ポート7bは、それぞれ各吸気マニホルド15内に形成された第1吸気通路15a及び第2吸気通路15bを介してサージタンク16内に連結されている。各第2吸気通路15b内にはそれぞれスワールコントロールバルブ17が配置されている。これらのスワールコントロールバルブ17は共通のシャフト18を介して例えばステップモータ19に連結されている。このステップモータ19は、後述する電子制御装置(以下単に「ECU」という)30からの出力信号に基づいて制御される。なお、当該ステップモータ19にて駆動されるスワールコントロールバルブ17の代わりに、エンジン1の吸気ポート7a,7bの負圧に応じて制御されるものを用いてもよい。
【0035】
前記サージタンク16は、吸気ダクト20を介してエアクリーナ21に連結され、吸気ダクト20内には、ステップモータ22によって開閉されるスロットル弁23が配設されている。つまり、本実施の形態のスロットル弁23は、いわゆる電子制御式のものであり、基本的には、アクチュエータとしてのステップモータ22が前記ECU30からの出力信号に基づいて駆動されることにより、スロットル弁23が開閉制御される。そして、このスロットル弁23の開閉により、吸気ダクト20を通過して燃焼室5内に導入される吸入空気量が調節されるようになっている。
【0036】
また、スロットル弁23の近傍には、その開度(スロットル開度TA)を検出するためのスロットルセンサ25が設けられている。なお、前記各気筒の排気ポート9には排気マニホルド14が接続されている。そして、燃焼後の排気ガスは当該排気マニホルド14を介して図示しない排気管へ排出されるようになっている。
【0037】
さらに、本実施の形態では、公知の排気ガス再循環(EGR)機構51が設けられている。このEGR機構51は、排気ガス再循環通路としてのEGR通路52と、同通路52の途中に設けられたEGRバルブ53とを含んでいる。EGR通路52は、スロットル弁23の下流側の吸気ダクト20と、排気ダクトとの間を連通するよう設けられている。また、EGRバルブ53は、弁座、弁体及びステップモータ(いずれも図示せず)を内蔵している。EGRバルブ53の開度は、ステップモータが弁体を弁座に対して断続的に変位させることにより、変動する。そして、EGRバルブ53が開くことにより、排気管へ排出された排気ガスの一部がEGR通路52へと流れる。その排気ガスは、EGRバルブ53を介して吸気ダクト20へ流れる。すなわち、排気ガスの一部がEGR機構51によって吸入混合気中に再循環する。このとき、EGRバルブ53の開度が調節されることにより、排気ガスの再循環量が調整されるのである。
【0038】
さて、上述したECU30は、デジタルコンピュータからなっており、双方向性バス31を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)32、ROM(リードオンリメモリ)33、マイクロプロセッサからなるCPU(中央処理装置)34、入力ポート35及び出力ポート36を具備している。
【0039】
前記アクセルペダル24には、当該アクセルペダル24の踏込み量に比例した出力電圧を発生するアクセルセンサ26Aが接続され、該アクセルセンサ26Aによりアクセル開度ACCPが検出される。当該アクセルセンサ26Aの出力電圧は、AD変換器37を介して入力ポート35に入力される。また、同じくアクセルペダル24には、アクセルペダル24の踏込み量が「0」であることを検出するための全閉スイッチ26Bが設けられている。すなわち、この全閉スイッチ26Bは、アクセルペダル24の踏込み量が「0」である場合に全閉信号XIDLとして「1」の信号を、そうでない場合には「0」の信号を発生する。そして、該全閉スイッチ26Bの出力電圧も入力ポート35に入力されるようになっている。
【0040】
また、上死点センサ27は例えば1番気筒1aが吸気上死点に達したときに出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポート35に入力される。クランク角センサ28は、例えばクランクシャフトが30°CA回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポートに入力される。CPU34では上死点センサ27の出力パルスとクランク角センサ28の出力パルスとからエンジン回転数NE等が算出される(読み込まれる)。
【0041】
さらに、前記シャフト18の回転角度はスワールコントロールバルブセンサ29により検出され、これによりスワールコントロールバルブ17の開度(SCV開度DSCV)が測定される。そして、スワールコントロールバルブセンサ29の出力はA/D変換器37を介して入力ポート35に入力される。
【0042】
併せて、前記スロットルセンサ25により、スロットル開度TAが検出される。このスロットルセンサ25の出力はA/D変換器37を介して入力ポート35に入力される。
【0043】
加えて、本実施の形態では、サージタンク16内の圧力(吸気圧)PMを検出する吸気圧センサ61が設けられている。
さらに、本実施の形態では、エンジン1の冷却水の温度(冷却水温)THWを検出する水温センサ62が設けられている。併せて、車両の速度(車速)SPDを検出するための車速センサ63も設けられている。そして、これら各センサ61,62,63の出力もA/D変換器37を介して入力ポート35に入力されるようになっている。
【0044】
一方、出力ポート36は、対応する駆動回路38を介して各燃料噴射弁11、各ステップモータ19,22、イグナイタ12及びEGRバルブ53(ステップモータ)に接続されている。そして、ECU30は各センサ等25〜29,61〜63からの信号に基づき、ROM33内に格納された制御プログラムに従い、燃料噴射弁11、ステップモータ19,22、イグナイタ12及びEGRバルブ53等を好適に制御する。
【0045】
次に、上記構成を備えた多気筒エンジン1の燃料噴射制御装置における本実施の形態に係る各種制御に関するプログラムについて、フローチャート等を参照して説明する。すなわち、図3は、本実施の形態において燃料噴射弁11を制御するに際し、燃料噴射量(燃料噴射時間)の算出に用いられるアイドル安定化補正量KIDL2を算出するための「補正量算出ルーチン」を示すフローチャートである。ここで、このアイドル安定化補正量KIDL2というのは、燃料噴射時間の算出に際し、基本噴射時間TAUCに加算される値である。このルーチンは、上死点(TDC)毎の割り込みでECU30により実行される。
【0046】
処理がこのルーチンに移行すると、ECU30は先ずステップ101において、各センサ等25〜29,61〜63からの検出信号を読み込む。
次に、ECU30はステップ102において、今回読み込んだ信号に基づき、アイドル安定化の補正制御の実行条件が成立しているか否かを判断する。かかる実行条件としては、例えば始動後であること、全閉信号XIDLが「1」であること(アイドル状態であること)、エンジン回転数NEが所定範囲内にあること(例えば525rpm≦NE≦1000rpm)、冷却水温THWが所定温度以上であること(例えばTHW≧75℃)、負荷変動、例えばエアコンスイッチの切換がなかったこと等が挙げられる。そして、実行条件が成立している場合には、ECU30はステップ103へ移行し、今回TDC区間の所要時間と前回TDC区間の所要時間との偏差時間である気筒間爆発偏差時間DSTM〔n〕を算出する。ここで、〔n〕は、今回TDC区間の爆発(爆発行程)に第n番気筒が対応していることを意味するものであり、気筒間爆発偏差時間DSTM〔n〕は、対応する気筒1a毎に算出されるものであり、かつ、前回までの値に対し今回の気筒間爆発偏差時間がなまし(徐変)演算されることにより算出される。
【0047】
続いて、ECU30はステップ104において、現在実際に失火が発生したか否かを判断する。ここで、失火が発生したか否かは、今回の(なまし演算される前の)気筒間爆発偏差時間に基づいて判断される。すなわち、今回の気筒間爆発偏差時間が所定時間よりも長い場合には、対応する第n番気筒が失火しているがために気筒間爆発偏差時間が長くなったものであると判断して、失火が起こったものと判断されることとなる。
【0048】
そして、失火が発生していない場合には、ステップ105へ移行する。ステップ105において、ECU30は、最近16回転中の気筒間爆発偏差時間DSTM〔n〕の最大値をとる気筒1a(当該気筒を気筒n1と称することとする)を認識する。
【0049】
また、次のステップ106においては、当該気筒n1について、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕を増量補正する。すなわち、それまでの燃料噴射補正時間TICYL〔n〕に対し、所定量PBINCを加算した値を、新たな燃料噴射補正時間TICYL〔n〕として設定する。
【0050】
さらに、ステップ107においては、1番気筒から4番気筒までの燃料噴射補正時間TICYL1〜TICYL4のうちいずれかが「0」となっているか否かを確認する。そして、1番気筒から4番気筒までの燃料噴射補正時間TICYL1〜TICYL4のうちいずれかが「0」となっている場合には、少なくともいずれか1つの気筒が基準となっていることが確認できたとして、ステップ109へジャンプする。これに対し、1番気筒から4番気筒までの燃料噴射補正時間TICYL1〜TICYL4のうちいずれもが「0」となっていない場合には、ステップ108において、全ての気筒1aについて燃料噴射補正時間TICYL〔n〕を減量補正する。すなわち、それまでの燃料噴射補正時間TICYL〔n〕に対し、所定量PBINCを減算した値を新たな燃料噴射補正時間TICYL〔n〕として設定する。これにより、1番気筒から4番気筒までの燃料噴射補正時間TICYL1〜TICYL4のうちいずれかが「0」となるため、少なくともいずれか1つの気筒を基準とすることができる。
【0051】
さて、ステップ107又はステップ108から移行して、ステップ109において、ECU30は、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕が、「0」以上、かつ、基本噴射時間TAUCにガード係数GLIDLMXを乗算した値以下となるようガードをかける。すなわち、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕が、負の値であれば、「0」を燃料噴射補正時間TICYL〔n〕として強制的に設定するとともに、基本噴射時間TAUCにガード係数GLIDLMXを乗算した値よりも大きい場合には、当該基本噴射時間TAUCにガード係数GLIDLMXを乗算した値を、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕として強制的に設定する。
【0052】
そして、続くステップ110において、ECU30は、現在設定されている燃料噴射補正時間TICYL〔n〕を、最終的なアイドル安定化補正量KIDL2〔n〕として設定し、その後の処理を一旦終了する。
【0053】
一方、前記ステップ104において失火が発生していると判断された場合には、ステップ111へ移行する。そして、当該ステップ111において、ECU30は、当該失火が発生した気筒1aについて、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕を減量補正する。すなわち、それまでの燃料噴射補正時間TICYL〔n〕に対し、所定量PBINCを減算した値を、新たな燃料噴射補正時間TICYL〔n〕として設定する。その後、ECU30はステップ109,110の処理を実行する。これにより、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕が小さい値となるため、さらに燃料噴射量が増量されることによるさらなる失火が起こりにくいものとなる。
【0054】
また、前記ステップ102において、アイドル安定化の補正制御の実行条件が成立していない場合には、ステップ112において、現在全閉信号XIDLが「0」であるか否かを判断する。そして、全閉信号XIDLが「1」の場合には、現在アイドル状態にあるものとして、何らの処理をも行うことなくその後の処理を一旦終了する。これに対し、全閉信号XIDLが「0」の場合には、現在アイドル状態にはないものとして、ステップ113において、全ての気筒1aについてアイドル安定化補正量KIDL2〔n〕を「0」にクリヤし、その後の処理を一旦終了する。
【0055】
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
・本実施の形態によれば、最近16回転中の気筒間爆発偏差時間DSTM〔n〕の最大値をとる気筒n1について、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕を増量補正することとし、その値に基づいてアイドル安定化補正量KIDL2〔n〕を決定することとした。このため、実際に噴射される燃料が予定されていた燃料量に満たないような気筒(気筒n1)が存在した場合には、当該気筒n1についての噴射量が増量側に補正されることとなる。従って、各気筒1a間の爆発力が均一化され、回転変動が均一化される。その結果、アイドル回転数の安定化を図ることができる。
【0056】
・また、本実施の形態では、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕にガードをかけることとした。特に、本実施の形態では、基本噴射時間TAUCにガード係数GLIDLMXを乗算した値を上限値とした。このため、基本噴射時間TAUCに応じて上限値が変更されることとなり、もって、燃料噴射量の増量補正が制限されることとなる。従って、燃料噴射弁11のなかには、噴射状態や霧化状態が悪いがために爆発力がもともと弱いものが存在する場合があるが、このような場合においては、噴射量の増量補正が制限されるため、それ以上多くの燃料が噴射されてしまうことによるさらなる霧化状態の悪化等が抑制されることとなる。その結果、失火を効果的に抑制することができる。
【0057】
・さらに、負荷としての基本噴射時間TAUCに応じて上限値が変更されることとしたため、エンジン1の負荷が低いときには、上限値が小さくさせられることとなる。ここで、エンジン1の負荷が低いときには、失火が生じやすいのが一般的である。本実施の形態では、このような低負荷時に上限値が小さくさせられることから、低負荷時において確実に上記作用効果が奏され、結果的により効率的に失火を抑制することができる。
【0058】
(第2の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態について説明する。但し、本実施の形態の構成等においては、上述した第1の実施の形態と同等である部材等については同一の符号を付してその説明を省略する。そして、以下には、第1の実施の形態との相違点を中心として説明することとする。
【0059】
上記第1の実施の形態では、ステップ107,108,111から移行して、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕にガードをかけるに際し(ステップ109)、基本噴射時間TAUCにガード係数GLIDLMXを乗算した値を上限値とした。これに対し、本実施の形態では、上限値の設定方法において特徴を有している。
【0060】
すなわち、図4は、アイドル安定化補正量KIDL2を算出するための「補正量算出ルーチン」の一部を示すフローチャートである。
ECU30は、上記第1の実施の形態で説明したステップ101〜ステップ108の処理及びステップ111、ステップ112及びステップ113の処理を実行する。そして、ECU30は、ステップ108の処理を経た後、或いはステップ107で肯定判定された場合、或いはステップ111の処理を経た後において、ステップ201へ移行する。ステップ201においては、今回読み込まれた検出信号等に基づき、所定のマップを参酌することにより、上限値CYLMXを算出する。ここで、所定のマップというのは、エンジン回転数NE、基本噴射時間TAUC(負荷に相当)、冷却水温THW、SCV開度DSCV、要求EGR開度、スロットル開度TA、パージ量等、燃焼に影響を及ぼす各制御因子、或いはその組合せによって、予め定められたものである。
【0061】
さらに、ECU30は続くステップ202において、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕が、「0」以上、かつ、前記上限値CYLMX以下となるようガードをかける。すなわち、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕が、負の値であれば、「0」を燃料噴射補正時間TICYL〔n〕として強制的に設定するとともに、上限値CYLMXよりも大きい場合には、その上限値CYLMXを燃料噴射補正時間TICYL〔n〕として強制的に設定する。
【0062】
そして、続くステップ110において、ECU30は、現在設定されている燃料噴射補正時間TICYL〔n〕を、最終的なアイドル安定化補正量KIDL2〔n〕として設定し、その後の処理を一旦終了する。
【0063】
このように、本実施の形態においては、エンジン負荷(基本噴射時間TAUC)のみならず、他の運転状態をも考慮してマップを参酌することによって上限値CYLMXを設定することとした。このため、上限値CYLMXをより最適な値とすることができ、ひいては、上記第1の実施の形態に記載した作用効果をより確実に奏せしめることができる。
【0064】
(第3の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施の形態について説明する。但し、本実施の形態の構成等においても、上述した第1の実施の形態と同等である部材等については同一の符号を付してその説明を省略する。そして、以下には、第1の実施の形態との相違点を中心として説明することとする。
【0065】
上記第1の実施の形態では、ステップ104において失火が発生したと判定された場合には、当該失火が発生した気筒1aについて、それまでの燃料噴射補正時間TICYL〔n〕に対し、所定量PBINCを減算した値を、新たな燃料噴射補正時間TICYL〔n〕として設定することとしていた。これに対し、本実施の形態では、失火が発生したと判定された場合に、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕ではなく上限値CYLMX〔n〕を変更するようにしている点に特徴を有している。
【0066】
すなわち、図5は、アイドル安定化補正量KIDL2を算出するための「補正量算出ルーチン」の一部を示すフローチャートである。
ECU30は、上記第1の実施の形態で説明したステップ103の処理を実行した後、ステップ301において、現在実際に失火が発生したか否かを判断する。ここで、失火が発生したか否かは、上記同様今回の気筒間爆発偏差時間に基づいて判断される。そして、失火が発生していない場合には、ステップ302において、ECU30は、最近16回転中の気筒間爆発偏差時間DSTM〔n〕の最大値をとる気筒1a(当該気筒を気筒n1と称することとする)を認識する。
【0067】
また、次のステップ303においては、当該気筒n1について、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕を増量補正する。すなわち、それまでの燃料噴射補正時間TICYL〔n〕に対し、所定量PBINCを加算した値を、新たな燃料噴射補正時間TICYL〔n〕として設定する。
【0068】
さらに、ステップ304においては、1番気筒から4番気筒までの燃料噴射補正時間TICYL1〜TICYL4のうちいずれかが「0」となっているか否かを確認する。そして、1番気筒から4番気筒までの燃料噴射補正時間TICYL1〜TICYL4のうちいずれかが「0」となっている場合には、少なくともいずれか1つの気筒が基準となっていることが確認できたとして、ステップ306へジャンプする。これに対し、1番気筒から4番気筒までの燃料噴射補正時間TICYL1〜TICYL4のうちいずれもが「0」となっていない場合には、ステップ305において、全ての気筒1aについて燃料噴射補正時間TICYL〔n〕を減量補正する。すなわち、それまでの燃料噴射補正時間TICYL〔n〕に対し、所定量PBINCを減算した値を新たな燃料噴射補正時間TICYL〔n〕として設定する。
【0069】
さて、ステップ304又はステップ305から移行して、ステップ306において、ECU30は、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕が、「0」以上、かつ、上限値CYLMX〔n〕以下となるようガードをかける。すなわち、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕が、負の値であれば、「0」を燃料噴射補正時間TICYL〔n〕として強制的に設定するとともに、上限値CYLMX〔n〕よりも大きい場合には、当該上限値CYLMX〔n〕を燃料噴射補正時間TICYL〔n〕として強制的に設定する。
【0070】
そして、続くステップ110において、ECU30は、現在設定されている燃料噴射補正時間TICYL〔n〕を、最終的なアイドル安定化補正量KIDL2〔n〕として設定し、その後の処理を一旦終了する。
【0071】
一方、前記ステップ301において失火が発生していると判断された場合には、ステップ307へ移行する。そして、当該ステップ307において、ECU30は、当該失火が発生した気筒1aについて、前記上限値CYLMX〔n〕を減量補正する。すなわち、それまでの上限値CYLMX〔n〕に対し、所定量PBDECを減算した値を、新たな上限値CYLMX〔n〕として設定する。その後、ECU30はステップ306,110の処理を実行する。なお、上限値CYLMX〔n〕の初期値としては、アイドル回転数の安定化を保証しつつ、噴射状態や霧化状態の悪い気筒に対しては燃料噴射量の過度な増量を制限しうる限界値として予め経験的に求められている値が用いられるとする。
【0072】
このように、本実施の形態によれば、失火が検出されたとき、上限値CYLMX〔n〕が小さく設定されることとなり、次回以降において燃料噴射量の増量補正がさらに制限されることとなる。従って、一旦失火が検出された以降において、さらなる霧化状態の悪化等が抑制されることとなり、以後において失火を抑制することができる。
【0073】
また、本実施の形態では、気筒1a毎に失火を検出し、さらに、その失火が検出された気筒1aについてのみ上限値CYLMX〔n〕を小さくすることとした。従って、失火が未だ発生していない気筒1aについては、上限値CYLMX〔n〕がそれまでと同等の値に保持されることとなり、当該気筒1aにおける燃料の増量補正が不必要に制限されることがない。そのため、以後、失火を抑制することができるという作用効果と、アイドル回転数の安定化を図ることができるという作用効果のより一層の両立が可能となる。
【0074】
さらに、本実施の形態では、失火を検出したときにその都度上限値CYLMX〔n〕を段階的に小さくすることとした。このため、ステップ307を経た直後の上限値CYLMX〔n〕は、失火が起きない程度のぎりぎりの値(失火直前の値)とすることができ、ひいては、以後失火が起こりにくいものとなるという作用効果と、アイドル回転数の安定化を図ることができるという作用効果のさらにより一層の両立を図ることが可能となる。
【0075】
(第4の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第4の実施の形態について説明する。但し、本実施の形態の構成等においても、上述した第1の実施の形態と同等である部材等については同一の符号を付してその説明を省略する。そして、以下には、第1の実施の形態との相違点を中心として説明することとする。
【0076】
上記第1の実施の形態では、一旦ステップ104において失火が発生したと判定された場合であっても所定の要件を満たせば、その後増量補正制御を実行することとしていた。これに対し、本実施の形態では、一旦失火が発生したと判定された場合に、以後増量補正制御を停止するようにしている点に特徴を有している。
【0077】
すなわち、図6は、アイドル安定化補正量KIDL2を算出するための「補正量算出ルーチン」を示すフローチャートである(但し、信号読み込み処理は便宜上省略してある)。
【0078】
処理がこのルーチンに移行すると、ECU30は先ずステップ401において、アイドル失火発生フラグXIDLMSが「1」となっているか否かを判断する。ここで、アイドル失火発生フラグXIDLMSというのは、失火が発生していない場合には「0」に設定されており、一旦失火発生が検出された場合には「1」に設定されるものである(後述するステップ414参照)。そして、アイドル失火発生フラグXIDLMSが「0」に設定されている場合には、ステップ402へ移行する。
【0079】
ステップ402において、ECU30は、今回読み込んだ信号に基づき、アイドル安定化の補正制御の実行条件が成立しているか否かを判断する。そして、実行条件が成立している場合には、ECU30はステップ403へ移行し、気筒間爆発偏差時間DSTM〔n〕を算出する。
【0080】
続いて、ECU30はステップ404において、現在実際に失火が発生したか否かを判断する。そして、失火が発生していない場合には、ステップ405へ移行し、最近16回転中の気筒間爆発偏差時間DSTM〔n〕の最大値をとる気筒1a(当該気筒を気筒n1と称することとする)を認識する。また、次のステップ406においては、当該気筒n1について、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕を増量補正する。すなわち、それまでの燃料噴射補正時間TICYL〔n〕に対し、所定量PBINCを加算した値を、新たな燃料噴射補正時間TICYL〔n〕として設定する。
【0081】
さらに、ステップ407においては、1番気筒から4番気筒までの燃料噴射補正時間TICYL1〜TICYL4のうちいずれかが「0」となっているか否かを確認する。そして、1番気筒から4番気筒までの燃料噴射補正時間TICYL1〜TICYL4のうちいずれかが「0」となっている場合には、いずれか1つの気筒が基準となっていることが確認できたとして、ステップ409へジャンプする。これに対し、1番気筒から4番気筒までの燃料噴射補正時間TICYL1〜TICYL4のうちいずれもが「0」となっていない場合には、ステップ408において、全ての気筒1aについて燃料噴射補正時間TICYL〔n〕を減量補正する。すなわち、それまでの燃料噴射補正時間TICYL〔n〕に対し、所定量PBINCを減算した値を、新たな燃料噴射補正時間TICYL〔n〕として設定する。
【0082】
さて、ステップ407又はステップ408から移行して、ステップ409において、ECU30は、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕が、「0」以上、かつ、上限値α以下となるようガードをかける。すなわち、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕が、負の値であれば、「0」を燃料噴射補正時間TICYL〔n〕として強制的に設定するとともに、上限値αよりも大きい場合には、上限値αを燃料噴射補正時間TICYL〔n〕として強制的に設定する。ここで、上限値αは、予め定められた所定値であってもよいし、可変値であってもよい。
【0083】
そして、続くステップ410において、ECU30は、現在設定されている燃料噴射補正時間TICYL〔n〕を、最終的なアイドル安定化補正量KIDL2〔n〕として設定し、その後の処理を一旦終了する。
【0084】
また、前記ステップ401においてアイドル失火発生フラグXIDLMSが「1」となっている場合、すなわち一旦失火発生が検出されている場合、或いは前記ステップ402においてアイドル安定化の補正制御の実行条件が成立していない場合には、ステップ411において、現在全閉信号XIDLが「0」であるか否かを判断する。そして、全閉信号XIDLが「1」の場合には、現在アイドル状態にあるものとして、何らの処理をも行うことなくその後の処理を一旦終了する。これに対し、全閉信号XIDLが「0」の場合には、現在アイドル状態にはないものとして、ステップ412において上記アイドル失火発生フラグXIDLMSを「0」にリセットするとともに、ステップ413において、全ての気筒1aについてアイドル安定化補正量KIDL2〔n〕を「0」にクリヤし、その後の処理を一旦終了する。
【0085】
一方、前記ステップ404において失火が発生していると判断された場合には、ステップ414へ移行する。そして、このステップ414において、アイドル失火発生フラグXIDLMSを「1」に設定する。その後ECU30は、ステップ415において、当該失火発生気筒の燃料噴射補正時間TICYL〔n〕を「0」にした上で、前記ステップ409,410の処理を実行する。
【0086】
このように、本実施の形態によれば、一旦失火発生が検出されてアイドル失火発生フラグXIDLMSが「1」となっている場合には、ステップ411において全閉信号XIDLが「1」、すなわち現在アイドル状態にあることを条件に、燃料噴射補正量(燃料噴射補正時間TICYL〔n〕)の更新が停止される。従って、一旦失火が検出された以降において、さらなる霧化状態の悪化等が抑制され、以後失火が起こりにくい状態となる。また、これとともに、以降において燃料噴射補正量が増大されることがないため、再度の失火発生を確実に抑制することができる。
【0087】
また、本実施の形態によれば、一旦失火が発生したと判定された場合であっても、その後、ステップ411において全閉信号XIDLが「0」、すなわち非アイドル状態となった旨判断されるときには、アイドル失火発生フラグXIDLMSが「0」にリセットされる。このため、走行中に何らかの原因で失火発生要因が除去された場合には、再度増量補正が行われうることとなる。その結果、さらなるアイドル回転数の安定化を図ることができる。
【0088】
さらに、本実施の形態によれば、気筒1a毎に失火を検出し、当該失火が検出された気筒1aについてのみ燃料噴射補正量(燃料噴射補正時間TICYL〔n〕)を「0」にすることとした。従って、失火が未だ発生していない気筒1aについては、燃料噴射補正量がそれまでと同等量に保持されることとなり、当該気筒1aにおける燃料の増量補正が不必要に制限されることがない。そのため、上記第3の実施の形態と同様、以後失火を抑制できるという作用効果と、アイドル回転数の安定化を図ることができるという作用効果のより一層の両立が可能となる。
【0089】
(第5の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第5の実施の形態について説明する。但し、本実施の形態の構成等においても、上述した各実施の形態と同等である部材等については同一の符号を付してその説明を省略する。そして、以下には、第4の実施の形態との相違点を中心として説明することとする。
【0090】
上記第4の実施の形態では、一旦失火が発生したと判定された場合に、以後、増量補正制御を停止するようにした。これに対し、本実施の形態では、一旦失火が発生したと判定された場合には、「補正量算出ルーチン」に基づく燃料噴射量の補正制御を積極的に禁止するようにしている。なお、一旦失火が発生したと判定された場合であっても、その後非アイドル状態となった旨判断されるときに、アイドル失火発生フラグXIDLMSを「0」にリセットするとともに、全ての気筒1aについてアイドル安定化補正量KIDL2〔n〕を「0」にクリヤすることは本実施の形態においても同様である。
【0091】
さて、図7は、本実施の形態にあってアイドル安定化補正量KIDL2を算出するための「補正量算出ルーチン」を示すフローチャートである(信号読み込み処理は省略)。但し、同図7に示すルーチンにあって、図6に例示した第4の実施の形態の「補正量算出ルーチン」と同一の処理を実行するステップには同一のステップ番号を付して示しており、ここでは、本実施の形態に特有の処理であるステップ515及びステップ516にかかる処理についてのみ説明する。
【0092】
すなわち本実施の形態の「補正量算出ルーチン」にあっては、ステップ404において、失火が発生していると判断された場合、ステップ414においてアイドル失火発生フラグXIDLMSを「1」に設定した後、ステップ515において、当該失火発生気筒の燃料噴射補正時間TICYL〔n〕を減量補正する。すなわち、当該気筒のそれまでの燃料噴射補正時間TICYL〔n〕に対し、所定量PBINCを減算した値を、新たな燃料噴射補正時間TICYL〔n〕として設定する。そしてその後、前記ステップ409,410の処理を実行する。
【0093】
このように、当該失火発生気筒の燃料噴射補正時間TICYL〔n〕についてはこれを必ずしも「0」とせず、本実施の形態のように減量補正することでも、その後の失火の発生は好適に抑制されるようになる。
【0094】
一方、本実施の形態の「補正量算出ルーチン」にあっては、ステップ401において、アイドル失火発生フラグXIDLMSが「1」となっている場合、すなわち一旦失火発生が検出されている場合、ステップ516において、全ての気筒1aについてアイドル安定化補正量KIDL2〔n〕を「0」にクリヤした上で、すなわち同「補正量算出ルーチン」に基づく燃料噴射量の補正制御を禁止した上でステップ411のアイドル判定(全閉信号XIDLの「0」「1」判定)を行うようにしている。そして、このステップ411において全閉信号XIDLが「1」の場合には、現在アイドル状態にあるものとして、何らの処理をも行うことなくその後の処理を一旦終了する。また、全閉信号XIDLが「0」の場合には、現在アイドル状態にはないものとして、ステップ412においてアイドル失火発生フラグXIDLMSを「0」にリセットするとともに、ステップ413において全ての気筒1aについてアイドル安定化補正量KIDL2〔n〕を「0」にクリヤして、その後の処理を一旦終了する。
【0095】
このように、一旦失火発生が検出されてアイドル失火発生フラグXIDLMSが「1」となっている場合には、燃料噴射量の補正制御を禁止することでも、一旦失火が検出された以降において、さらなる霧化状態の悪化等が抑制され、以後失火が起こりにくい状態となる。また、これとともに、以降において燃料噴射補正量が増大されることもないため、再度の失火発生を確実に抑制することができる。
【0096】
また、第4の実施の形態と同様、一旦失火が発生したと判定された場合であっても、その後、ステップ411において全閉信号XIDLが「0」、すなわち非アイドル状態となった旨判断されるときには、アイドル失火発生フラグXIDLMSを「0」にリセットすることで、走行中に何らかの原因で失火発生要因が除去された場合の再度の増量補正制御の実行を保障している。その結果、さらなるアイドル回転数の安定化を図ることができる。
【0097】
(第6の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第6の実施の形態について説明する。本実施の形態においても、上述した各実施の形態との相違点、特に、第1の実施の形態との相違点を中心として説明することとする。
【0098】
上記第1の実施の形態では、燃料噴射量の増量補正制御についてのみ考慮することとしていた。これに対し、本実施の形態では、他のアクチュエータ(本実施の形態ではEGRバルブ53)の制御についても考慮している点に特徴を有している。
【0099】
すなわち、図8は、アイドル安定化補正量KIDL2を算出するための「補正量算出ルーチン」の一部を示すフローチャートである。本実施の形態では、上記第1の実施の形態と同様ステップ101〜ステップ110の処理並びにステップ111、ステップ112及びステップ113の処理が実行される。そして、ステップ110、ステップ112又はステップ113の処理を経た後、ECU30は、ステップ601へ移行する。
【0100】
ステップ601において、ECU30は、現在設定されている各気筒1a毎についてのアイドル安定化補正量KIDL2〔n〕を、全ての気筒1aについて平均化処理を行い、算出された平均値に基づいて、図示しないマップを参酌することにより、EGR補正閉じ込み量EGRDECを算出する。
【0101】
そして、続くステップ602においては、現在設定されている基本EGR開度BEGR(別途のルーチンにおいて基本噴射時間TAUC等に基づいて設定されている)から、今回算出されたEGR補正閉じ込み量EGRDECを減算した値を、最終EGR開度EGRREQとして設定する。そして、ECU30はその後の処理を一旦終了する。
【0102】
このように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態における作用効果に加えて、燃料噴射弁11とは別のアクチュエータであるEGRバルブ53が、アイドル安定化補正量KIDL2〔n〕の平均値に基づいて算出されたEGR補正閉じ込み量EGRDECが考慮された上で、制御される。そのため、アイドル安定化補正量KIDL2〔n〕が何ら考慮されないで最終EGR開度EGRREQが設定される場合(この場合には基本噴射時間TAUC等のみに基づいて設定されることとなる)に比べて、失火がより確実に抑制されることとなる。
【0103】
また、本実施の形態では、アイドル安定化補正量KIDL2〔n〕に応じて最終EGR開度EGRREQが減量側に補正されることとなり、EGR量が減少させられる。ここで、EGR量の減少は、失火抑制において有効であるため、上記の如き制御によってより好適に失火が抑制されることとなる。
【0104】
尚、本発明は上記各実施の形態に何ら限定されるものではなく、構成等の一部を適宜変更して例えば次のように実施することもできる。
(1)上記第6の実施の形態では、燃料噴射弁11とは別に、EGRバルブ53についてもアイドル安定化補正量KIDL2〔n〕を考慮して制御することとした。これに対し、それ以外のアクチュエータについても同様に制御することもできる。
【0105】
例えば、図9は、上記第6の実施の形態と同様、アイドル安定化補正量KIDL2を算出するための「補正量算出ルーチン」の一部を示すフローチャートである。本実施の形態でも、上記第6の実施の形態と同様ステップ101〜ステップ110の処理並びにステップ111、ステップ112及びステップ113の処理が実行される。そして、ステップ110、ステップ112又はステップ113の処理を経た後、ECU30は、ステップ701へ移行する。
【0106】
ステップ701において、ECU30は、現在設定されている各気筒1a毎についてのアイドル安定化補正量KIDL2〔n〕を、全ての気筒1aについて平均化処理を行い、算出された平均値及び基本噴射時間TAUC等を基準とし、総噴射時間を算出し、かつ、これを噴射量に換算することにより補正後の総噴射量QALLINJを算出する。
【0107】
そして、続くステップ702においては、現在設定されている補正後の総噴射量QALLINJに基づいて、各種アクチュエータの目標値を算出する。ここで、各種アクチュエータの目標値としては、例えば上記最終EGR開度EGRREQのほかに、目標スロットル開度や、目標スワールコントロールバルブ開度、目標点火時期等が挙げられる。そして、ECU30はその後の処理を一旦終了する。
【0108】
このように、他のアクチュエータについてもアイドル安定化補正量KIDL2〔n〕を考慮して制御することにより、さらなる失火抑制を図ることができる。また、場合によっては排気エミッションが悪化するのを抑制することができるという効果も奏される。
【0109】
(2)上記第4の実施の形態では、失火が発生したことが検出された場合には、アイドル失火発生フラグXIDLMSが「1」に設定されるとともに、当該失火発生気筒の燃料噴射補正時間TICYL〔n〕が「0」にされるとしたが、上記処理に加えて(ステップ415の直後に)、上限値αを所定量だけ減算する処理(図5におけるステップ307の処理に相当)を行うようにしてもよい。
【0110】
このような制御を行うことで、燃料噴射補正時間TICYL〔n〕は、よりガードがかけられやすいものとなり、当該ルーチン中にアイドル安定化補正量KIDL2〔n〕の増量停止を行うことができる。その結果、さらなる失火の抑制を図ることができる。
【0111】
(3)第1乃至第6の実施の形態では、気筒間爆発偏差時間が所定値よりも長い場合に失火と判定したが、2回或いはそれ以上続けて気筒間爆発偏差時間が所定値よりも長いと判定された場合にのみ失火と検出するようにしてもよく、また、気筒間爆発偏差時間が所定値よりも長いと判定される頻度に応じて失火と検出するようにしてもよい。
【0112】
(4)第1乃至第6の実施の形態では、気筒間爆発偏差時間に基づき失火を検出したがこれに限られず、他に例えば、燃焼が行われたときに点火プラグの両電極間に流れるイオン電流の有無に基づき失火を検出してもよい。
【0113】
(5)第4の実施の形態では、失火が発生した気筒の燃料噴射補正時間を減量補正するに当たり、同燃料噴射補正時間を「0」としたが、燃料噴射補正時間から失火を抑制可能な所定量を減量することとしてもよい。
【0114】
(6)上記各実施の形態では、筒内噴射式のエンジン1に本発明を具体化するようにしたが、その他のいわゆる成層燃焼や、弱成層燃焼を行うタイプの内燃機関に具体化してもよい。例えば吸気ポート7a,7bの吸気弁6a,6bの傘部の裏側に向かって噴射するタイプのものも含まれる。また、吸気弁6a,6b側に燃料噴射弁が設けられてはいるが、直接シリンダボア(燃焼室5)内に噴射するタイプのものも含まれる。また、成層燃焼を行わないタイプのエンジンに具体化してもよい。
【0115】
(7)また、上記各実施の形態では、ヘリカル型の吸気ポートを有し、いわゆるスワールを発生させることが可能な構成としたが、かならずしもスワールを発生しなくともよい。従って、例えば上記実施の形態におけるスワールコントロールバルブ17、ステップモータ19等を省略することもできる。
【0116】
(8)さらに、上記各実施の形態では、内燃機関としてガソリンエンジン1の場合に本発明を具体化したが、その外にもディーゼルエンジン等の場合等にも具体化できる。
【0117】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、気筒間の回転変動を均一化するべく気筒毎に燃料噴射補正量を算出し、それに基づき噴射される燃料噴射量を補正制御するようにした多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、燃料噴射量が増量補正されることによる失火を抑制することができるという優れた効果を奏する。
【0118】
特に、請求項2、4、6に記載の発明によれば、上記効果がより確実に奏される。
併せて、請求項3、5に記載の発明によれば、失火抑制とアイドル回転数の安定化という作用効果のより一層の両立が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における多気筒エンジンの燃料噴射制御装置を示す概略構成図。
【図2】エンジンの気筒部分を拡大して示す断面図。
【図3】ECUにより実行される「補正量算出ルーチン」を示すフローチャート。
【図4】第2の実施の形態における「補正量算出ルーチン」の一部を示すフローチャート。
【図5】第3の実施の形態における「補正量算出ルーチン」の一部を示すフローチャート。
【図6】第4の実施の形態における「補正量算出ルーチン」を示すフローチャート。
【図7】第5の実施の形態における「補正量算出ルーチン」を示すフローチャート。
【図8】第6の実施の形態における「補正量算出ルーチン」の一部を示すフローチャート。
【図9】他の実施の形態における「補正量算出ルーチン」の一部を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…内燃機関としてのエンジン、11…燃料噴射弁、、25…スロットルセンサ、26A…アクセルセンサ、26B…全閉スイッチ、27…上死点センサ、28…クランク角センサ、29…スワールコントロールバルブセンサ、30…電子制御装置(ECU)、53…EGRバルブ、61…吸気圧センサ、62…水温センサ、63…車速センサ。
Claims (6)
- 気筒毎に燃料噴射弁を有する多気筒内燃機関のアイドル運転時に、気筒毎に内燃機関の回転状態を検出する回転状態検出手段と、
前記回転状態検出手段にて検出された回転状態に基づき、気筒間の回転変動を均一化するべく、気筒毎に燃料噴射補正量を算出する噴射補正量算出手段と、
前記噴射補正量算出手段の算出結果に基づいて、前記燃料噴射弁から噴射される燃料噴射量を補正制御する補正制御手段と
を備えた多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記内燃機関の失火を検出する失火検出手段と、
前記失火検出手段にて失火が検出されたとき、前記噴射補正量算出手段により算出される燃料噴射補正量の上限値を小さくし、上記燃料噴射量の増量補正を制限する増量補正制限手段と
を設けたことを特徴とする多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 請求項1に記載の多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記失火検出手段は、気筒毎に失火を検出するものであり、
前記増量補正制限手段は、失火が検出された気筒についてのみ前記上限値を小さくするものであることを特徴とする多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 請求項1又は2に記載の多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記増量補正制限手段は、失火が検出されたときにその都度前記上限値を段階的に小さくするものであることを特徴とする多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 気筒毎に燃料噴射弁を有する多気筒内燃機関のアイドル運転時に、気筒毎に内燃機関の回転状態を検出する回転状態検出手段と、
前記回転状態検出手段にて検出された回転状態に基づき、気筒間の回転変動を均一化するべく、気筒毎に燃料噴射補正量を算出する噴射補正量算出手段と、
前記噴射補正量算出手段の算出結果に基づいて、前記燃料噴射弁から噴射される燃料噴射量を補正制御する補正制御手段と
を備えた多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記内燃機関の失火を検出する失火検出手段と、
前記失火検出手段にて失火が検出されたとき、前記噴射補正量算出手段により算出される燃料噴射補正量を減量し、上記燃料噴射量の増量補正を制限するとともに、それ以降において前記燃料噴射補正量の更新を停止する増量補正制限停止手段と
を設けたことを特徴とする多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 請求項4に記載の多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記失火検出手段は、気筒毎に失火を検出するものであり、
前記増量補正制限停止手段は、失火が検出された気筒についてのみ前記燃料噴射補正量を減量するものであることを特徴とする多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 気筒毎に燃料噴射弁を有する多気筒内燃機関のアイドル運転時に、気筒毎に内燃機関の回転状態を検出する回転状態検出手段と、
前記回転状態検出手段にて検出された回転状態に基づき、気筒間の回転変動を均一化するべく、気筒毎に燃料噴射補正量を算出する噴射補正量算出手段と、
前記噴射補正量算出手段の算出結果に基づいて、前記燃料噴射弁から噴射される燃料噴射量を補正制御する補正制御手段と
を備えた多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記内燃機関の失火を検出する失火検出手段と、
前記失火検出手段にて失火が検出されたときには、それ以降において前記噴射補正量算出手段の算出結果に基づく燃料噴射量の補正制御を禁止する補正制御禁止手段と
を設けたことを特徴とする多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置。
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