JP2024020875A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノッキングの発生頻度を抑制できる内燃機関の制御装置を提供することを課題とする。【解決手段】吸気管と排気管とを連通したEGR管に設けられたEGR弁を開状態又は閉状態に切り替えるEGR装置を有した内燃機関の制御装置において、ノッキングの発生に基づいて所定の遅角量で点火時期を遅角させる点火時期制御部と、前記開状態及び閉状態の一方から他方への切替中であるか否かを判定する判定部と、前記判定部で肯定判定がなされた場合での前記遅角量を、前記判定部で否定判定がなされた場合での前記遅角量よりも大きい値に設定する設定部と、を備えた内燃機関の制御装置。【選択図】図3
Description
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
排気通路と吸気通路とを連通したEGR通路上のEGR弁を開状態又は閉状態に切り替えるEGR装置を有した内燃機関が知られている。このような内燃機関において、ノッキングの発生に基づいて点火時期が遅角するが、EGR弁の開状態及び閉状態の一方から他方への切替中では点火時期の遅角を禁止する技術がある(例えば特許文献1参照)。
上述した切替中では、内燃機関の燃焼室内に導入される新気と排気ガスとの割合が変化し、燃焼状態が不安定となってノッキングの発生頻度が増大するおそれがある。このような状態において点火時期の遅角を禁止すると、ノッキングの発生頻度を抑制することができないおそれがある。
そこで本発明は、ノッキングの発生頻度を抑制できる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的は、吸気管と排気管とを連通したEGR管に設けられたEGR弁を開状態又は閉状態に切り替えるEGR装置を有した内燃機関の制御装置において、ノッキングの発生に基づいて所定の遅角量で点火時期を遅角させる点火時期制御部と、前記開状態及び閉状態の一方から他方への切替中であるか否かを判定する判定部と、前記判定部で肯定判定がなされた場合での前記遅角量を、前記判定部で否定判定がなされた場合での前記遅角量よりも大きい値に設定する設定部と、を備えた内燃機関の制御装置によって達成できる。
前記遅角量に基づいて設定された点火時期を学習値として更新する更新部と、前記判定部で肯定判定がなされた場合に、前記学習値の更新を停止する停止部と、を備えてもよい。
前記開状態及び閉状態の一方から他方への切替中とは、前記一方から前記他方への切替要求があってから、前記他方に切り替えられてから前記内燃機関の燃焼状態が安定するまでの所定時間が経過するまでの期間であってもよい。
前記設定部は、前記判定部で否定判定がなされた場合での前記遅角量に、1よりも大きい所定の係数を乗算した値を、前記判定部で肯定判定がなされた場合での前記遅角量として設定してもよい。
本発明によれば、ノッキングの発生頻度を抑制できる内燃機関の制御装置を提供できる。
[エンジンシステムの概略構成]
図1は、本実施例のエンジンシステムの概略構成図である。エンジン20は、内燃機関の一例であり、4つの気筒を有した直列4気筒ガソリンエンジンであるが、これに限定されない。例えばエンジン20は、ディーゼルエンジンであってもよいし、過給機付きのエンジンであってもよい。エンジン20では、ピストン24が収納されたシリンダブロック21上に設置されたシリンダヘッド22内の燃焼室23内で混合気を燃焼させて、ピストン24を往復動させる。ピストン24の往復動は、クランクシャフト26の回転運動に変換される。シリンダブロック21の下部には、潤滑用のオイルを貯留したオイルパン21aが設けられている。
図1は、本実施例のエンジンシステムの概略構成図である。エンジン20は、内燃機関の一例であり、4つの気筒を有した直列4気筒ガソリンエンジンであるが、これに限定されない。例えばエンジン20は、ディーゼルエンジンであってもよいし、過給機付きのエンジンであってもよい。エンジン20では、ピストン24が収納されたシリンダブロック21上に設置されたシリンダヘッド22内の燃焼室23内で混合気を燃焼させて、ピストン24を往復動させる。ピストン24の往復動は、クランクシャフト26の回転運動に変換される。シリンダブロック21の下部には、潤滑用のオイルを貯留したオイルパン21aが設けられている。
エンジン20のシリンダヘッド22には、吸気ポート10iを開閉する吸気弁42と、排気ポート30eを開閉する排気弁44とが気筒ごとに設けられている。また、シリンダヘッド22の頂部には、燃焼室23内の混合気に点火するための点火プラグ27が気筒ごとに取り付けられている。また、シリンダヘッド22には、燃焼室23内に燃料を噴射する筒内噴射弁12が設けられている。吸気弁42の開弁時に燃焼室23に吸入された吸入空気と筒内噴射弁12から噴射された燃料とが混合されて混合気をなし、この混合気がピストン24で圧縮され点火プラグ27で点火燃焼させられる。
各気筒の吸気ポート10iは気筒毎の枝管を介してサージタンク18に接続されている。サージタンク18の上流側には吸気管10が接続されており、吸気管10の上流端にはエアクリーナ19が設けられている。吸気管10には、上流側から順に、吸入空気量を検出するためのエアフロメータ15、電子制御式のスロットルバルブ13が設けられている。また、サージタンク18には吸気圧を検出する吸気圧センサ17が設けられている。
各気筒の排気ポート30eは気筒毎の枝管を介して排気管30に接続されている。排気管30には、三元触媒31が設けられている。三元触媒31の上流側には、排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサ33が設置されている。
エンジン20には、EGR装置50が設けられている。EGR装置50は、EGR管51とEGR弁52とを備えている。EGR管51は、排気管30と吸気管10とを連通する。EGR弁52は、EGR管51上に設けられており、開状態又は閉状態に切り替えられる。詳細には、100によりEGR弁52の開度が調整される。EGR弁52が開状態では、排気ガスの一部が吸気管10に還流され、EGR弁52の開度を調整することにより、燃焼室23に吸入される吸気ガスの総量に対するEGRガスの量の比率であるEGR率を調整することができる。EGR弁52が閉状態では、排気管30と吸気管10との連通が遮断され、排気ガスの吸気管10への還流が停止する。尚、EGR管51には、EGRクーラが備えられていてもよい。
ECU(Electronic Control Unit)100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びバックアップRAMなどを備えている。ROMには、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAMはCPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMはイグニッションオフ時などにおいて保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。CPU、ROM、RAM、及びバックアップRAMは、詳しくは後述する点火時期制御部、設定部、判定部、更新部、及び停止部を機能的に実現する。
ECU100には、上述の点火プラグ27、スロットルバルブ13、筒内噴射弁12、及びEGR弁52が電気的に接続されている。またECU100には、上述したエアフロメータ15、吸気圧センサ17、及び空燃比センサ33に加えて、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ11、スロットルバルブ13のスロットル開度を検出するスロットル開度センサ14、クランクシャフト26のクランク角を検出するクランク角センサ25、エンジン20でのノッキングの発生を検出するノックセンサ28、その他の各種センサが電気的に接続されている。ECU100は、各種センサの検出値等に基づいて、所望の出力が得られるように、点火プラグ27、スロットルバルブ13、筒内噴射弁12、EGR弁52等を制御し、点火時期、燃料噴射量、燃料噴射時期、スロットル開度、EGR率等を制御する。
[点火時期制御]
ECU100が実行する、ノッキングの発生状況に応じてエンジン20での点火プラグ27による点火時期を制御する点火時期制御について説明する。ECU100は、ノックセンサ28の出力信号に基づいてノッキングの発生の有無を判定し、その判定結果に基づいて点火時期を所定時期から徐々に進角させることにより、ノッキングが発生しない範囲内でできる限り点火時期が進角側となるように点火時期を最適化する。
ECU100が実行する、ノッキングの発生状況に応じてエンジン20での点火プラグ27による点火時期を制御する点火時期制御について説明する。ECU100は、ノックセンサ28の出力信号に基づいてノッキングの発生の有無を判定し、その判定結果に基づいて点火時期を所定時期から徐々に進角させることにより、ノッキングが発生しない範囲内でできる限り点火時期が進角側となるように点火時期を最適化する。
図2は、点火時期の設定方法を示したグラフである。最初にECU100は、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷率KLに基づき、最大遅角点火時期akmf及び基本点火時期abseがそれぞれ算出される。最大遅角点火時期akmfは、現在のエンジン20の動作点において確実にノッキングが発生しない点火時期の進角限界の点火時期を示す。基本点火時期abseは、現在のエンジン20の動作点において最大の燃焼トルクが得られる点火時期とノッキングを抑制可能な点火時期の進角限界の点火時期とのうち、遅角側の点火時期を示すものであり、エンジン20の機種に応じて予め設定される点火時期である。本処理は、点火時期制御部が実行する処理の一例である。
次に、ECU100は基本点火時期abseからの遅角量akcsを算出する。遅角量akcsは、後述する学習値[°CA]に、ノッキングが発生しなかった場合には所定の微小な進角量Δα[°CA]が所定時間毎に加算され、ノッキングが発生した場合にはその都度所定の遅角量(-Δβ)[°CA]が加算される。即ち、ノッキングが発生しない場合には、遅角量akcsは0に近づくように算出され、ノッキングが発生した場合には遅角量akcsは0から離れるように負の角度が増大する。進角量Δαの大きさは、遅角量(-Δβ)の大きさよりも小さい値に設定されている。点火時期は、このようにして基本点火時期abseからの遅角量akcsに基づいて設定される。尚、遅角量akcsがとり得る最大値は、基本点火時期abseから最大遅角点火時期akmfを引いた差である。本処理は、更新部が実行する処理の一例である。
次にECU100は、このようにノッキングの発生状況に応じて算出される遅角量akcsに対してその増減速度を鈍化させる処理を施した値、いわゆる「なまし値」である、遅角量なまし値akcssmを算出する。ECU100は、この遅角量なまし値akcssmを学習値として更新する。尚、遅角量akcsはイグニッションオフにより0にリセットされるが、学習値はイグニッションオフ後もECU100のバックアップRAMに保持され、次のエンジン20の始動の際の点火時期制御に引き継がれる。
ここで、EGR弁52が開状態及び閉状態の一方から他方への切替中では、燃焼状態が不安定となりノッキングの発生頻度が増えるおそれがある。このためECU100は以下のような点火時期制御を実行する。
図3は、ECU100が実行する点火時期制御の一例を示したフローチャートである。ECU100は、ノックセンサ28の出力信号に基づいてノッキングが発生したか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1でNoの場合、ECU100は点火時期を上述した進角量Δαだけ進角させ(ステップS2)、点火時期の学習値の更新処理を実行する(ステップS3)。ステップS3は、更新部が実行する処理の一例である。
ステップS1でYesの場合には、ECU100はEGR弁52が開状態及び閉状態の一方から他方への切替中であるか否かを判定する(ステップS4)。ここで切替中とは、開状態及び閉状態の一方から他方への切替要求があってから、他方に切り替えられてからエンジン20の燃焼状態が安定するまでの所定時間が経過するまでの期間である。例えばEGR弁52が開状態の場合には、切替中とは、閉状態への切替要求があってから閉状態に切り替えられ、閉状態に切り替えられてからエンジン20の燃焼状態が安定するまでの所定時間が経過するまでの間である。所定時間は、EGR弁52が閉状態又は開状態に切り替えられた直後から、燃焼室23内を流れる気流が安定して燃焼状態が安定するのに必要な時間である。この所定時間は、予め実験結果に基づいて規定されておりECU100のROMに記憶されている。ステップS4は、判定部が実行する処理の一例である。
ステップS4でNoの場合、即ちEGR弁52が開状態及び閉状態の何れかに維持されている場合、ECU100は点火時期を上述した遅角量(-Δβ)だけ遅角させる(ステップS5)。次にECU100は、点火時期の学習値の更新処理を実行する(ステップS3)。
ステップS4でYesの場合には、ECU100は遅角量(-Δγ)に設定して、この遅角量(-Δγ)だけ点火時期を遅角させる(ステップS6)。ここで、Δγ>Δβの関係が成立する。即ちステップS4で切替中ではないと判定された場合よりも、ステップS4で切替中であると判定された場合での方が点火時期は大きく遅角される。開状態及び閉状態の一方から他方への切替中の場合には、上述したようにノッキングの発生頻度が増えるおそれがあり、この場合に大きい遅角量に設定することにより、ノッキングの発生頻度を抑制できる。尚、Δγ=K×Δβとして定められ、Kは1よりも大きい係数である。ステップS6は、設定部が実行する処理の一例である。
次にECU100は、点火時期の学習値の更新処理を停止する(ステップS7)。燃焼状態が不安定な切替中に学習値を更新すると、この更新された学習値に基づいて、燃焼状態が安定した切替完了後での点火時期が制御される。これにより、点火時期が切替完了後の燃焼状態に適しておらず、ノッキングが発生又は出力が低下するおそれがある。このため、切替中に学習値の更新処理を停止することにより、切替完了後の安定した燃焼状態に適した点火時期に制御することができる。ステップS7は、停止部が実行する処理の一例である。
本実施例のエンジンシステムは、ハイブリッド車両に搭載されたエンジンシステムであってもよい。また、エンジンは過給機付きエンジンであってもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
20 エンジン(内燃機関)
50 EGR装置
51 EGR管
52 EGR弁
100 ECU(点火時期制御部、判定部、設定部、更新部、停止部)
50 EGR装置
51 EGR管
52 EGR弁
100 ECU(点火時期制御部、判定部、設定部、更新部、停止部)
Claims (4)
- 吸気管と排気管とを連通したEGR管に設けられたEGR弁を開状態又は閉状態に切り替えるEGR装置を有した内燃機関の制御装置において、
ノッキングの発生に基づいて所定の遅角量で点火時期を遅角させる点火時期制御部と、
前記開状態及び閉状態の一方から他方への切替中であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部で肯定判定がなされた場合での前記遅角量を、前記判定部で否定判定がなされた場合での前記遅角量よりも大きい値に設定する設定部と、を備えた内燃機関の制御装置。 - 前記遅角量に基づいて設定された点火時期を学習値として更新する更新部と、
前記判定部で肯定判定がなされた場合に、前記学習値の更新を停止する停止部と、を備えた請求項1の内燃機関の制御装置。 - 前記開状態及び閉状態の一方から他方への切替中とは、前記一方から前記他方への切替要求があってから、前記他方に切り替えられてから前記内燃機関の燃焼状態が安定するまでの所定時間が経過するまでの期間である、請求項2の内燃機関の制御装置。
- 前記設定部は、前記判定部で否定判定がなされた場合での前記遅角量に、1よりも大きい所定の係数を乗算した値を、前記判定部で肯定判定がなされた場合での前記遅角量として設定する、請求項3の内燃機関の制御装置。
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