JP4055370B2 - 手乾燥装置及び空気清浄器 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄後の濡れた手を高速空気流の噴射によって乾燥処理する手乾燥装置及び空気に含まれる臭気成分等の汚れ成分を除去する機能を備えた空気清浄器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
洗浄後の濡れた手を、タオルやハンカチ等で払拭せず高速空気流の噴射により水分を吹飛ばして乾燥させる手乾燥装置が開発されている。この種の装置の中には例えば、特開平6―304090号公報や特開平7―136079号公報に示されているように、臭いを消す脱臭手段や芳香を漂わす芳香手段を備えたものもある。芳香も悪臭も共に臭いであり、脱臭手段と芳香手段を併設することはあまり意味のあることではないが、脱臭機能に関しては手乾燥装置の設置場所がトイレ等の手洗設備の近傍であることが多いことから、トイレの雰囲気改善には有効なものである。特開平6―304090号公報に示された手乾燥装置では、脱臭フィルターを通り送風機から吐出口に至る通風路と、脱臭フィルターを通らずに送風機から吐出口に至る通風路を一つのハウジングに構成し、二系統の通風路の切換えとともに送風機の運転の制御によって、手乾燥機能と消臭機能を果たすものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の手乾燥装置においては、手の乾燥処理については高速空気流を吐出口から噴出させて行い、消臭処理については脱臭フィルターに低流量の空気を通過させ吐出口から処理空気を放出することによって行うため、乾燥処理時と消臭処理時とでは送風機の動作状態は大きく乖離し、構成部品の機械的ストレスが大きく故障し易い。また、二系統の通風路を切換えなければならないため、構造が複雑なうえ、その切換え制御も必要である。
【0004】
脱臭フィルターに低流量の処理気流を通過させるだけの機能による消臭効果はあまり高いものではなく、処理時間もかかり比較的頻繁に行う乾燥処理との連繋もとり難く、使い勝手も良くない。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、空気清浄器と接続することで空気清浄器の空気清浄機能を引き出し、迅速かつ効果的に室内の空気を清浄化できる手乾燥装置を得ることであり、その手乾燥装置に空気清浄器と連繋性を備えさせ、使い勝手の向上を図ることである。
【0006】
また、手乾燥装置の機能を損なわずに手乾燥装置の送風能力を利用して効果的な空気清浄を行うことができる手乾燥装置に接続する空気清浄器を開発することも課題としており、その空気清浄器の手乾燥装置との連繋性を高め、使い勝手の向上を図ることも課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために請求項1の発明は、吸気口から導入した空気を制御回路により制御される高圧空気流発生部によって加圧して高速空気流に変換し、この高速空気流により手に付着した水分を吹飛ばして乾燥させる手乾燥装置について、その高圧空気流発生部の吸気口を、出入口を持つ一連の通路に圧力損失の小さい空気清浄手段を配置した空気清浄器の通路の出口端に接続できるようにするとともに、空気清浄器側からの電気信号を受けることによっても高圧空気流発生部が動作するように制御回路を構成する手段を採用する。
【0009】
前記課題を達成するために請求項2の発明は、請求項1に係る前記手段における制御回路を、空気清浄器側からの電気信号を受けた場合には高圧空気流発生部を所定の時間間隔で間欠的に動作させるように構成する手段を採用する。
【0011】
前記課題を達成するために請求項3の発明は、出入口を持つ一連の空気通路を構成した本体箱体内に、空気通路を通る空気を清浄化する機能を持つ圧力損失の小さい空気清浄手段を配置し、その空気通路の出口端を、吸気口から導入した空気を制御回路により制御される高圧空気流発生部によって加圧して高速空気流に変換し、この高速空気流により手に付着した水分を吹飛ばして乾燥させる手乾燥装置の吸気口に接続できるようにし、手乾燥装置の制御回路に高圧空気流発生部を動作させる電気信号を送る連繋手段を備える手段を採用する。
【0012】
前記課題を達成するために請求項4の発明は、請求項3に係る前記手段における連繋手段によって、手乾燥装置の制御回路に高圧空気流発生部を所定の時間間隔で間欠的に動作させるようにする手段を採用する。
【0013】
前記課題を達成するために請求項5の発明は、請求項3又は請求項4に係る前記手段に、室内の空気の汚濁を検知する汚濁検知手段を備え、この汚濁検知手段の出力値に基づいて手乾燥装置の高圧空気流発生部を動作させるようにする手段を採用する。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1〜図3によって示す実施の形態は、高速空気流の噴射によって手を乾燥させる手乾燥装置Aに関するものである。この手乾燥装置Aは、図1と図2に示すように手挿入口を有する外殻をなす本体箱体1内に組込まれた高圧空気流発生部2による高圧空気流が出し入れ口近傍に送られて、出し入れ口に続く処理室を構成する手挿入部3内に水分を吹飛ばす手乾燥に関する作動気流としての高速空気流を形成するものである。
【0015】
手挿入部3は本体箱体1の上部(図1参照)又は正面(図2参照)に、両手を揃えた状態で挿抜できる、出し入れ口と両側方の開放した深底の開放容器構造に構成されている。手挿入部3の底部には排水口が設けられ、排水管によって下部に出し入れ可能に設けられた水受容器4に接続されている。
【0016】
高圧空気流発生部2は、DCブラシレスモーター(通常の整流子モーター又は誘導電動機であっても良い)と、これを駆動させる駆動回路及びDCブラシレスモーターによって回転するターボファン又は遠心ファンにより構成され、この実施の形態では本体箱体1の手挿入部3の下方(図1参照)や上方(図2参照)に取付けられていて、図3に示すように制御回路5によって自動運転される。高圧空気流発生部2の吸気側は、本体箱体1内に設けられた吸気通路6に臨んでいて、本体箱体1の下部に開口した吸気通路6端の吸気口7から空気を吸込むことができるようになっている。この吸気口7の口縁には気密保持用のパッキン8が下方に少し突出する状態に装着されている。制御回路5には外部信号を取込むための信号線9が接続され、外部信号を受信したときには、外部信号により高圧空気流発生部2を駆動させる。
【0017】
高圧空気流発生部2の吹出口は、ダクトに接続されこのダクトの端には、高圧空気流発生部2から送られてくる高圧空気流を高速の気流に変換し、手挿入部3に横列のライン状に吹出すエアーノズル10が接続されている。エアーノズル10は、手挿入部3の出し入れ口近傍の略中央に噴出口を下向きにして横方向に取付けられ、手挿入部3内に入れた手に作動気流としての高速空気流を吹付け、手を擦り合わせることなく手に付いた水滴を手の表面から剥離し手挿入部3内へ吹飛ばす。
【0018】
この手乾燥装置Aは、単独では手乾燥処理機能だけを果たす。即ち、出し入れ口から手挿入部3内に両手を揃えた状態で概ね手首付近まで入れると、手を検知する手検知センサー11によって手が検知され、制御回路5の処理により高圧空気流発生部2が作動し、エアーノズル10から高い運動エネルギーを持つ高速空気流であるライン状噴流が手挿入部3内に吹出され、挿入された手に当り手に付着した水分を手挿入部3の奥側や下側へ吹飛ばす。さらに、手挿入部3内で手を挿抜させることによって、手全体に付着していた水分が全て排除され、手が乾燥処理される。そして手の乾燥処理終了後、手を手挿入部3から完全に抜くと、手を検知する手検知センサー11で手を抜いたことが検知され、高圧空気流発生部2が停止する。
【0019】
また、手乾燥装置Aは、図1や図2に示すように空気清浄器Bと接続することができる。空気清浄器Bは、キャビネット型の本体箱体12内に空気清浄手段13を配置して構成されている。本体箱体12内は広い容積の空気通路14が形成され、この空気通路14を斜めに横断するかたちに空気清浄手段13が配置されている。空気通路14は本体箱体12の正面に入口15が開口し、本体箱体12の平坦な上面に出口16が開口している。この出口16は、手乾燥装置Aを本体箱体12の上面に載置することにより手乾燥装置Aの吸気口7と気密状態に接続される。空気清浄手段13は臭い成分を除去する脱臭フィルターを出口側にし、これに塵埃を除去するプレフィルターを組合わせた構成であり、圧力損失を小さくするために有効透過面積が広く構成されている。本体箱体12の容積には大きさの制約がないため、空気清浄手段13を有効透過面積の広い圧力損失の小さいものにすることができる。
【0020】
この空気清浄器Bの上に出口16と吸気口7が整合するように手乾燥装置Aを載置すれば、パッキン8が潰れて接続部の周りが気密状態になり、空気通路14の入口15と出口16間が手乾燥装置Aの吸気通路6と連通する。これにより、手乾燥装置Aの高圧空気流発生部2は、手乾燥のための高圧空気流を、空気清浄器Bを経て取入れた室内の空気により生成することになる。空気清浄器Bを経た空気は、プレフィルターと脱臭フィルターの透過により除塵脱臭され、清浄化されたもので、この清浄化された空気がエアーノズル10から高速空気流となって噴出され、手の乾燥にそのまま使われる。従って、乾燥処理運転によって室内の空気は清浄化していくことになる。
【0021】
空気清浄器Bは、汚濁空気を吸込み、清浄化して室内に拡散させるための送風機がなく、その機能を手乾燥処理に支障を来すことなく手乾燥装置Aに任せることになる。一方、手乾燥装置Aは、乾燥処理時も脱臭処理時もその高圧空気流発生部2の動作状態は同じであり、構成部品の機械的ストレスは少なく故障も少ないものとなり、迅速に室内空気を清浄化する。また、乾燥処理時と脱臭処理時で風路を切換える必要がなく、切換えの制御も不要であるため簡素な構成を採ることができる。なお、脱臭フィルターについては触媒により脱臭するものでもよい。
【0022】
実施の形態2.
図4〜図6に示す本実施の形態は、実施の形態1で示した手乾燥装置及び空気清浄器に連繋動作を可能にする手だてを講じたものであり、これに係る構成以外は実施の形態1のものと同じである。従って、実施の形態1のものと同じ部分については、実施の形態1のものと同じ符号を用い、それらについての説明は省略する。
【0023】
本実施の形態の空気清浄器Bは、手乾燥装置Aの信号線9に接続し、電気信号を手乾燥装置Aの制御回路5に外部信号として送る制御回路17と信号線18とによる連繋手段が備えられている。制御回路17には汚濁検知手段として臭いセンサー19が接続され、設置空間の臭い(雑ガス濃度)が出力値として制御回路17に入力される。制御回路17は臭いセンサー19の出力値が予め設定されたG0値以上になると、外部信号を出力し、信号線18により手乾燥装置Aの制御回路5に送る。G0値は設置空間の容積の大小に基づいて任意に設定することができる。
【0024】
手乾燥装置Aの制御回路5は外部信号を受信したときには、図6に示すアルゴリズムに従って高圧空気流発生部2を制御する。即ち、外部信号を受信したら制御回路5は、図6におけるステップ♯1で高圧空気流発生部2の停止時間が所定時間T1秒経過したかどうかを判定し、経過したならステップ♯4の処理に進み、経過していなければ、ステップ♯2において手検知センサー11が手を検知したかどうかを判定する。ステップ♯2で手を検知したならステップ♯3で高圧空気流発生部2を強運転させる処理をしてステップ♯2へ戻り、手を検知していなければ、ステップ♯1へ戻る。
【0025】
ステップ♯4では、高圧空気流発生部2を弱運転させる処理をしてステップ♯5に進む。ステップ♯5では手検知センサー11が手を検知したかどうかを判定し、検知したならステップ♯6で高圧空気流発生部2を強運転させる処理をしてステップ♯5へ戻り、手を検知していなければ、ステップ♯7で高圧空気流発生部2の運転時間が所定時間T2秒経過したかどうかを判定する。経過していればステップ♯2の処理に進み、経過していなければステップ♯4の処理に戻る。高圧空気流発生部2の停止時間T1秒、運転時間T2秒は、設置空間の容積の大小に基づいて任意に設定することができる。
【0026】
この手乾燥装置Aでは空気清浄器Bと連繋して手の乾燥処理が頻繁になされていない時に、空気の清浄化処理を間欠的に自動で行うことができ使い勝手が向上する。なお、実施の形態1のように、乾燥処理時も清浄化処理時も高圧空気流発生部2の運転状態は同じにしてもよい。これ以外の機能は実施の形態1のものと同じである。
【0027】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、空気清浄器と接続することで空気清浄器の空気清浄機能を引き出し、迅速かつ効果的に室内の空気を清浄化できる構成の簡素な手乾燥装置が得られ、空気清浄器との連繋性も備わり、使い勝手も向上する。
【0029】
請求項2の発明によれば、請求項1に係る前記効果とともに空気の清浄化処理を所定時間間隔で行うことができ、設置空間を清浄雰囲気に保つことができる。
【0031】
請求項3の発明によれば、手乾燥装置の機能を損なわずに手乾燥装置の送風能力を利用して効果的な空気清浄を行うことができ、手乾燥装置との連繋性が高まり、使い勝手が向上する。
【0032】
請求項4の発明によれば、請求項3に係る前記効果とともに空気の清浄化処理を所定時間間隔で行うことができ、設置空間を清浄雰囲気に保つことができる。
【0033】
請求項5の発明によれば、請求項3又は請求項4に係る前記効果とともに、室内の空気の汚濁に応じて空気の清浄処理を自動的に手乾燥装置に実施させうる空気清浄器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の手乾燥装置と空気清浄器を示す断面構成図である。
【図2】 実施の形態1の他の形態の手乾燥装置と空気清浄器を示す断面構成図である。
【図3】 実施の形態1の手乾燥装置の制御系のブロック構成図である。
【図4】 実施の形態2の手乾燥装置と空気清浄器を示す断面構成図である。
【図5】 実施の形態2の手乾燥装置と空気清浄器の制御系を示すブロック構成図である。
【図6】 実施の形態2の手乾燥装置の制御回路の制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 本体箱体、 2 高圧空気流発生部、 3 手挿入部、 5 制御回路、6 吸気通路、 7 吸気口、 8 パッキン、 9 信号線、 13 空気清浄手段、 14 空気通路、 15 入口、 16 出口、 17 制御回路、 18 信号線、 19 臭いセンサー。
Claims (5)
- 吸気口から導入した空気を制御回路により制御される高圧空気流発生部によって加圧して高速空気流に変換し、この高速空気流により手に付着した水分を吹飛ばして乾燥させる手乾燥装置であって、その高圧空気流発生部の前記吸気口を、出入口を持つ一連の通路に空気清浄手段を配置した圧力損失の小さい空気清浄器の同通路の出口端に接続できるようにするとともに、前記空気清浄器側からの電気信号を受けることによっても前記高圧空気流発生部が動作するように前記制御回路を構成した手乾燥装置。
- 請求項1に記載の手乾燥装置であって、制御回路を、空気清浄器側からの電気信号を受けた場合には高圧空気流発生部を所定の時間間隔で間欠的に動作するように構成した手乾燥装置。
- 出入口を持つ一連の空気通路を構成した本体箱体内に、空気通路を通る空気を清浄化する機能を持つ圧力損失の小さい空気清浄手段を配置し、その空気通路の出口端を、吸気口から導入した空気を制御回路により制御される高圧空気流発生部によって加圧して高速空気流に変換し、この高速空気流により手に付着した水分を吹飛ばして乾燥させる手乾燥装置の前記吸気口に接続できるようにし、前記手乾燥装置の前記制御回路に前記高圧空気流発生部を動作させる電気信号を送る連繋手段を備えた空気清浄器。
- 請求項3に記載の空気清浄器であって、連繋手段によって手乾燥装置の制御回路に、高圧空気流発生部を所定の時間間隔で間欠的に動作させるようにした空気清浄器。
- 請求項3又は請求項4に記載の空気清浄器であって、室内の空気の汚濁を検知する汚濁検知手段を備え、この汚濁検知手段の出力値に基づいて手乾燥装置の高圧空気流発生部を動作させる空気清浄器。
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