JP4055271B2 - ワークの吸着把持装置および方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に限定はされないが自動車のフロアカーペットのような柔軟物などを吸着把持するためのワークの吸着把持装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車組立ラインにおいて、搬送されてくる車両に対してフロアカーペットを搭載する場合、たとえば平積みされたフロアカーペットを吸着パッドにより吸着把持して、これを4つ折り程度に折り畳んだのち、ドア開口部から室内へ投入することが行われている(たとえば特開平7−52847号公報参照)。
【0003】
この種の吸着パッドとしては真空吸引装置を用いたものが広く用いられているが、フロアカーペットのようなワークを吸着把持する場合の吸着パッドとしては、図4に示すように、硬質ゴムなどからなる第1の吸着パッド12に加え、この第1の吸着パッド12を包含するように設けられ、充分な柔軟性を有する、たとえば薄板ゴムからなる第2の吸着パッド13を備えたものが提案されている。
【0004】
この吸着把持装置1によれば、密着性が不充分になりがちなフロアカーペットのような柔軟なワークWであっても、その周囲に柔軟性のある第2の吸着パッド13が設けられているので、ワークを吸着する際には図5(A)に示すように第1および第2の吸着パッド12,13の両者にによって真空吸着することとなり、ワークWに対する密着性、すなわち真空到達度が向上し、ワークの吸着把持性に優れたものとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した二重吸着パッド12,13を備えた吸着把持装置1では、第2の吸着パッド13が柔軟性に富んだものであるが故に、ワークWに接近した際に図5(B)に示すように当該第2の吸着パッド13が巻き込まれてしまうことが少なくない。
【0006】
こうなると、巻き込まれた第2の吸着パッド13の隙間から吸引空気が漏れ、充分な真空度に到達できず、ワークWをつかめなかったり或いはつかんだワークWを搬送中に落としてしまうといった問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、柔軟物などのワークを確実に吸着把持できるワークの吸着把持装置および方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明に係るワークの吸着把持装置は、
両主面を貫通する第1の通路が形成してあり、目的とするワークに一主面が接触する第1の吸着パッドと、
前記第1の吸着パッドを包含するように設けられた柔軟性を有する第2の吸着パッドと、
流体源を駆動源とした吸着力を前記第1の吸着パッドと前記第2の吸着パッドに印加可能であり、かつ前記流体源からの流体を前記各吸着パッド側に供給可能な吸着力印加手段とを、備えたワークの吸着把持装置であって、
前記第1の通路を吸着方向にのみ開放する一方向弁が、前記第1の吸着パッドの他主面側に配置してあり、
吸引の際には前記吸着力印加手段側に向けて空気の通過を許容し、前記流体源から流体が供給された場合にはこの供給された流体の通過を許容する第2の通路が、前記第1の吸着パッドと前記第2の吸着パッドとの間に設けてあり、
前記第2の通路を、前記吸着力印加手段から供給された流体が通過することによって前記第2の吸着パッドが拡開するように構成してある。
【0009】
本発明に係るワークの吸着把持方法は、
目的とするワークに一主面が接触する第1の吸着パッドの他主面側に、前記第1の吸着パッドの両主面を貫通する第1の通路を吸着方向にのみ開放する一方向弁を配置した状態で、前記第1の吸着パッドと、この第1の吸着パッドを包含するように設けられた柔軟性を有する第2の吸着パッドとの間に設けられた第2の通路に流体を通過させて、前記第2の吸着パッドを拡開させる工程と、
前記第2の吸着パッドを拡開させながら、前記第1の吸着パッドと前記第2の吸着パッドを前記ワークに接近させて接触させる工程と、
前記接触させた後に、前記第1の吸着パッドと前記第2の吸着パッドに吸引力を印加する工程とを、有する。
【0010】
本発明に係るワークの吸着把持装置では、第2の吸着パッドを拡開させながらワークに接近させることができる構成としているので、第2の吸着パッドが柔軟性を有していても第1の吸着パッドに巻き込まれることが防止される。
また、本発明に係るワークの吸着把持方法では、第2の吸着パッドを流体を用いて拡開させながら目的とするワークに接近させるので、第2の吸着パッドが柔軟性を有していても第1の吸着パッドに巻き込まれることが防止される。
【0011】
これにより、ワークがフロアカーペットのような柔軟物であっても、第1の吸着パッドと第2の吸着パッドとの協働によりワークに対する密着性が高まり、ワークを確実に吸着把持することができる。
【0014】
本発明に係る第2の吸着パッドは、柔軟なワークであってもこれに馴染むように充分な柔軟性を備えているので、エアーなどの流体を用いることで簡単に拡開させることができる。特に、吸着力印加手段が真空吸引装置である場合には、その流体源、たとえばエアー源を流用して第2の吸着パッドを拡開すると、専用の拡開装置などが不要となって、吸着把持装置そのものが小型かつ廉価に製造できることになる。
【0016】
第1の吸着パッドの吸着面はワークの吸着工程にのみ機能すればよいので、これを一方向弁で塞いでおくことで、第2の吸着パッドの拡開性を高めることができる。すなわち、少量の流体で効率よく拡開させることができる。
【0018】
発明において、吸着把持の目的とされるワークには如何なるものも含まれるが、なかでも前記ワークが柔軟物である場合には、上述した本発明の作用効果が顕著となる。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、第1の吸着パッドと第2の吸着パッドとの間に通路が設けてあり、ここに流体を通すことによって第2の吸着パッドを外側に拡開させながら、ワークに接近させて接触させる。このため、第2の吸着パッドが柔軟性を有していても第1の吸着パッドに巻き込まれることが防止され、その結果、ワークがフロアカーペットのような柔軟物であっても、第1の吸着パッドと第2の吸着パッドとの協働によりワークに対する密着性が高まり、ワークを確実に吸着把持することができる。
【0020】
これに加えて、発明によれば、専用の拡開装置などが不要となって、吸着把持装置そのものが小型かつ廉価に製造できることになる。
【0021】
また、発明によれば、第1の通路を吸着方向にのみ開放する一方向弁が第1の吸着パッドの他主面側に配置してあるので、第2の吸着パッドを効率よく拡開でき、消費エネルギを最小限に抑制することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の吸着把持装置の実施形態を示す断面図(拡開時)、図2は同実施形態の断面図(吸着時)である。
【0023】
本実施形態の吸着把持装置1は、専用機或いはロボットのアームなどに装着される筐体状のフレーム11を有し、ここに真空吸引装置18のエアーホース20が接続されている。真空吸引装置18は、たとえば工場エアー源19を駆動源にして吸引力を印加するもので、図示を省略するが内部に切替弁を備え、エアー源19からの圧縮エアーがそのままエアーホース20を介してフレーム11内に供給することもできるようになっている。
【0024】
筐体状フレーム11は、気密状に形成されており、その下端には第1の吸着パッド12が取り付けられている。この第1の吸着パッド12には、両主面を貫通する複数の第1の通路14が形成されており、この第1の通路14を介して吸引することで下面の吸着面に接触したワークWを吸着する。
【0025】
また、第1の吸着パッド12の上面には、周囲がステー17で固定され、中心からの切り込みを有する一方向弁16が設けられており、この一方向弁16は、図2に示すように真空吸引装置18によって真空引きしたときには、第1の通路14を開放するが、図1に示すように真空吸引装置18を介して圧縮エアーが供給されたときは第1の通路14を閉塞する。なお、この一方向弁16の具体的構造は特に限定されず、第1の通路14の形状などに応じて適宜変更することができる。
【0026】
本実施形態では、第1の吸着パッド12の外周に、これを包み込むように第2の吸着パッド13が設けられており、この第2の吸着パッド13は板厚が極薄いゴムなどの柔軟性を有する材質により形成されている。この第2の吸着パッド13は、目的とするワークWに接近すると、図2に示すように第1の吸着パッド12の外側を包み込み、その内部が気密状態になるように形成されている。
【0027】
第2の吸着パッド13と、第の吸着パッド12との間には、連続若しくは不連続に第2の通路15が形成されており、この第2の通路15は、図1に示すように圧縮エアーを供給する際にも、また図2に示すように吸引する際にも、空気が流通するように上述した一方向弁16の範囲外に設けられている。
【0028】
次に動作を説明する。
フロアカーペットなどのワークWを吸着把持する際は、エアー源19から圧縮エアーを供給しながら吸着把持装置1自体をワークWに接近させる。図1に示すように、筐体状フレーム11内に供給された圧縮エアーは、一方向弁16の開方向に抗して供給されるので、当該一方向弁16の外周に形成された第2の通路15を通って流下する。これにより、同図に示すように第2の吸着パッド13は、自己の柔軟性および供給された圧縮エアーによって外側へ拡開することになる。
【0029】
吸着把持装置1は、第2の吸着パッド13が開いた状態でワークWへ接触するため、図2に示すように第2の吸着パッド13が第1の吸着パッド12に巻き込まれることなくワークWの主面に馴染んで裾を広げることとなる。
【0030】
第1の吸着パッド12がワークWに接触したら、真空吸引装置18を切り替えて、エアー源19の圧縮エアーを利用して真空引きを行う。図2に示すように、真空引きを行うと、第2の通路15から空気が吸引されることに加えて、一方向弁16が開くことから第1の吸着パッド12の第1の通路14からも吸引されるので、これら第1および第2の吸着パッドの両方12,13によってワークWを吸着することができる。
【0031】
ちなみに、目的とする場所まで搬送したのちこのワークWを放す場合には、真空吸引装置18による真空引きを停止するか、或いはこれに加えて僅かな圧縮エアーを供給する。
【0032】
図3は、上述した本実施形態の吸着把持装置1を自動車のフロアカーペット搭載装置に応用した例を示す図であって、同図(A)に示すように平積みされた複数のフロアカーペットWに対して、図外のアームに取り付けられた吸着把持装置1(ここでは2つのみを示す。)を接近させ、上述した手順で同図(B)に示すように一枚づつ吸着把持して持ち上げ、折り畳み装置へ搬送する。折り畳み装置では、車両のドア開口部から室内へ投入できる大きさに折り畳み(たとえば4つ折り)、搭載装置へ払い出す。搭載装置では、折り畳まれたフロアカーペットWをドア開口部から車両の室内へ投入する。
【0033】
このように、本実施形態の吸着把持装置によれば、フロアカーペットなどのように表面が植毛によって平坦でなく、しかも柔軟性を有しているワークに対しても、二重吸着パッドを用いることで、確実に把持することができ、ワークの把持ミスによるライン停止を防止することができる。また、第2の吸着パッド13を広げるパッド拡開手段も真空吸引装置の一部を流用して構成できるので、大きな設備投資を必要とせず、しかもランニングコストも廉価である。
【0034】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸着把持装置の実施形態を示す断面図(拡開時)である。
【図2】本発明の吸着把持装置の実施形態を示す断面図(吸着時)である。
【図3】本発明の吸着把持装置を適用したフロアカーペット投入装置の一部を示す正面図である。
【図4】従来の吸着把持装置を示す断面図である。
【図5】従来の吸着把持装置の動作を示す断面図である。
【符号の説明】
W… フロアカーペット(ワーク)
1… 吸着把持装置
11… フレーム
12… 第1の吸着パッド
13… 第2の吸着パッド
14… 第1の通路
15… 第2の通路
16… 一方向弁
17… ステー
18… 真空吸引装置
19… エアー源(流体源)

Claims (7)

  1. 両主面を貫通する第1の通路が形成してあり、目的とするワークに一主面が接触する第1の吸着パッドと、
    前記第1の吸着パッドの外周を包み込むように設けられた柔軟性を有する第2の吸着パッドと、
    流体源を駆動源とした吸着力を前記第1の吸着パッドと前記第2の吸着パッドに印加可能であり、かつ前記流体源からの流体を前記各吸着パッド側に供給可能な吸着力印加手段とを、備えたワークの吸着把持装置であって、
    前記第1の通路を吸着方向にのみ開放する一方向弁が、前記第1の吸着パッドの他主面側に配置してあり、
    吸引の際には前記吸着力印加手段側に向けて空気の通過を許容し、前記流体源から流体が供給された場合にはこの供給された流体の通過を許容する第2の通路が、前記第1の吸着パッドと前記第2の吸着パッドとの間に設けてあり、
    前記第2の通路を、前記吸着力印加手段から供給された流体が通過することによって前記第2の吸着パッドが拡開するように構成してあるワークの吸着把持装置。
  2. 前記第2の通路が、吸着把持装置の内部であって、前記一方向弁の占有領域以外の領域に配置してある請求項1に記載のワークの吸着把持装置。
  3. 前記第2の通路が、前記一方向弁の外周に配置してある請求項1に記載のワークの吸着把持装置。
  4. 前記吸着力印加手段が、真空吸引装置である請求項1〜3の何れかに記載のワークの吸着把持装置。
  5. 前記流体源がエアー源であり、前記流体が圧縮エアーである請求項4に記載のワークの吸着把持装置。
  6. 目的とするワークに一主面が接触する第1の吸着パッドの他主面側に、前記第1の吸着パッドの両主面を貫通する第1の通路を吸着方向にのみ開放する一方向弁を配置した装置を用い、前記第1の吸着パッドと、この第1の吸着パッドを包含するように設けられた柔軟性を有する第2の吸着パッドとの間に設けられた第2の通路に流体を通過させて、前記第2の吸着パッドを拡開させる工程と、
    前記第2の吸着パッドを拡開させながら、前記第1の吸着パッドと前記第2の吸着パッドを前記ワークに接近させて接触させる工程と、
    前記接触させた後に、前記第1の吸着パッドと前記第2の吸着パッドに吸引力を印加する工程とを、有するワークの吸着把持方法。
  7. 前記第1の通路に流体を通過させないようにしながら、前記第2の通路に流体を通過させて前記第2の吸着パッドを拡開させ、かつ前記第1の通路から流体を吸引しながら、前記第2の通路からも空気を吸引して前記第1の吸着パッドと前記第2の吸着パッドに吸引力を印加する、請求項6に記載のワークの吸着把持方法。
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