JP4054370B2 - カルボン酸の精製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルキルアルコールおよび/またはその反応性誘導体をイリジウムおよび/またはロジウム触媒とハロゲン化アルキル促進剤と必要に応じルテニウム、オスミウムおよびレニウムから選択される補助促進剤との存在下に液相カルボニル化して製造されたカルボン酸の精製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イリジウム触媒の存在下におけるカルボニル化法は公知であって、たとえば米国特許第3772380号、ヨーロッパ特許公開公報EP 0618184−A号、英国特許GB 1276326号、GB 1234641号およびGB 1234642号に記載されている。
【0003】
本出願の優先日後に公開されたヨーロッパ特許出願公開EP−0643034−A号は、メタノールおよび/またはその反応性誘導体のカルボニル化による酢酸のイリジウム触媒での製造につき、補助促進剤としてのルテニウムおよび/またはオスミウムの使用に関するものである。或る種の条件下では少量のイリジウム触媒が揮発性となり、少なくともルテニウムの存在がイリジウム触媒の揮発性を減少させうると言われる。
【0004】
米国特許第4102921号は、多座キレート形成性燐もしくは砒素リガンドと錯体化したイリジウム化合物からなる触媒の存在下にてアルコール、エステル、エーテルおよび有機ハロゲン化物をカルボニル化することによるカルボン酸およびエステルの生成方法に関するものである。イリジウム化合物におけるキレート形成性燐リガンドの存在は、一座リガンドとは異なりイリジウム化合物の揮発性を減少させ、これによりカルボン酸およびエステルの合成方法に連続添加せねばならない触媒の量を減少させると言われる。
【0005】
ヨーロッパ特許出願公開EP−0616997−A1号はイリジウム触媒でのカルボニル化反応の液体反応組成物からカルボニル化生成物を回収する方法につき記載しており、この方法は組成物を熱を加え或いは加えることなく気化にかけて蒸気フラクションと液体フラクションとを生成させることからなり、液体フラクションは少なくとも0.5重量%の水濃度を有してイリジウム触媒を安定化させる。数種の生成物分離/回収方式も記載されているが、揮発性イリジウムおよび/または適宜の揮発性補助促進剤の問題については考慮されていない。
【0006】
補助促進剤は、ロジウムカルボニル化触媒と共に使用すれば揮発性にもなりうる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明が解決すべき技術的問題は、イリジウムおよび/またはロジウム触媒とハロゲン化アルキル促進剤と必要に応じ補助促進剤との存在下にカルボニル化により得られたイリジウム−および/または補助促進剤−汚染されたカルボン酸フラクションの精製方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、アルキルアルコールおよび/またはその反応性誘導体からなるカルボニル化反応体をイリジウムおよび/またはロジウム触媒とハロゲン化アルキル促進剤と水と必要に応じルテニウム、オスミウムおよびレニウムよりなる群から選択される補助促進剤との存在下に高められた圧力下で一酸化炭素により液相カルボニル化して得られるイリジウム−および/または補助促進剤−汚染されたカルボン酸フラクションを精製する方法が提供され、この方法は:(a)揮発性イリジウムおよび/または揮発性補助促進剤の汚染物で汚染されたカルボン酸フラクションを一酸化炭素の不存在下またはカルボニル化反応の際よりも低い一酸化炭素の分圧下で揮発性イリジウム触媒および/または揮発性補助促進剤の汚染物を不揮発性型まで変換するのに充分な時間にわたり沃化物と接触させ、(b)不揮発性イリジウム触媒および/または不揮発性補助促進剤をカルボン酸フラクションから分離することを特徴とする。
【0009】
さらに本発明によれば、(a)反応器内で一酸化炭素を液体反応組成物におけるアルキルアルコールおよび/またはその反応性誘導体からなるカルボニル化反応体と高められた圧力にてカルボン酸カルボニル化生成物とイリジウムおよび/またはロジウム触媒とハロゲン化アルキル促進剤と水と必要に応じルテニウム、オスミウムおよびレニウムよりなる群から選択される補助促進剤との存在下に接触させ;(b)反応器から揮発性イリジウムおよび/または揮発性補助促進剤汚染物で汚染されたカルボン酸フラクションを含む液体反応生成物を抜取り;(c)前記汚染されたカルボン酸フラクションを一酸化酸素の不存在下またはカルボニル化反応の際よりも低い一酸化炭素の分圧下にて揮発性イリジウム触媒および/または揮発性補助促進剤を不揮発性型まで変換させるのに充分な時間にわたり沃化物と接触させ;(d)不揮発性イリジウム触媒および/または不揮発性補助促進剤をカルボン酸フラクションから分離することを特徴とするカルボン酸の製造方法も提供される。
【0010】
本発明の方法は、揮発性イリジウム汚染物を一酸化炭素の不存在下またはカルボニル化反応の際よりも低い一酸化炭素の分圧下で沃化物と接触させて汚染物を不揮発性型まで変換し、次いでこれをカルボン酸フラクションから分離することによりイリジウム汚染物によるカルボン酸フラクションの汚染を減少させて上記技術的問題を解決する。さらに本発明の方法は、適宜の揮発性補助促進剤を不揮発性にし、かくして補助促進剤によるカルボン酸フラクションの汚染を減少させる。補助促進剤はイリジウムおよび/またはロジウムカルボニル化触媒と共にカルボニル化工程に使用することができる。ロジウムカルボニル化触媒は一般に揮発性でない。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の方法に適する滞留時間は1分間〜24時間、好ましくは1〜600分間とすることができる。本発明の方法に適する一酸化炭素の分圧は0〜5バール、好ましくは0.25バール未満とすることができる。沃化物はイオン性沃化物類、たとえば沃化水素もしくは沃素塩とすることができ、或いは中性沃化物類、たとえば沃化アルキルとすることもできる。好ましくは沃化物はカルボニル化反応のハロゲン化アルキル促進剤から誘導される。好ましくは、水は特に沃化アルキルを使用する場合はたとえば0.5%以上で存在させる。本発明の方法はバッチ法または連続法として、好ましくは連続法として行うことができる。
【0012】
本発明の1実施形態においては、カルボン酸生成物とハロゲン化アルキル促進剤とイリジウム(大半は不揮発性であるが、或る程度は揮発型である)および/またロジウム(不揮発性)カルボニル化触媒と必要に応じカルボニル化補助促進剤(大半は不揮発性であるが、或る程度は揮発型である)をカルボニル化反応器から抜取り、一酸化炭素の不存在下またはカルボニル化反応の際よりも低い一酸化炭素の分圧下で揮発性イリジウム触媒および/または適宜の揮発性カルボニル化補助促進剤を不揮発性型まで変換するのに充分な時間にわたり沃化物と接触させ、次いでカルボン酸カルボニル化生成物フラクションを不揮発性イリジウム触媒および/または適宜の不揮発性補助促進剤から分離する。
【0013】
好ましくは、この実施形態においては揮発性イリジウム触媒および/または適宜の揮発性補助促進剤を一酸化炭素の不存在下または反応器内よりも低い一酸化炭素の分圧下で少なくとも部分的に揮発性イリジウム触媒および/または適宜の揮発性補助促進剤を不揮発性型まで変換させるのに充分な滞留時間を有するフラッシュ分離容器にて沃化物と接触させる。
【0014】
この種のフラッシュ分離容器は断熱式フラッシュ容器とすることができ、或いは追加の加熱手段を有することもできる。この実施形態においては、イリジウム(大半は不揮発性であるが、或る程度は揮発性型である)および/またはロジウム(不揮発性)カルボニル化触媒とハロゲン化アルキル促進剤と水とカルボン酸生成物と適宜のルテニウム、オスミウムおよびレニウムから選択される補助促進剤(大半は不揮発であるが、或る程度は揮発型である)とからなる液体カルボニル化反応組成物をフラッシュ容器に供給し、これを減圧にかけることにより液体組成物の1部を気化させてカルボン酸生成物を含む蒸気フラクションを生成させ、これを不揮発性イリジウムおよび/またはロジウム触媒および/または適宜の不揮発性補助促進剤を含む液体フラクションから分離する。不揮発性イリジウム触媒を含む液体フラクションにおける水の濃度は少なくとも0.5重量%にすることが特に好ましい。好ましくはフラッシュ容器には洗浄セクションと洗浄液とを設け、これに蒸気フラクションを通過させる。好ましくは洗浄セクションにはラシッヒリングまたは他の適する充填材を充填する。この適宜の洗浄セクションはイリジウムおよび/またはロジウム触媒と適宜の補助促進剤とがフラッシュ容器から同伴するのを減少させる。この種の洗浄液は下流の蒸留カラムから与えることができ、たとえば水含有の工程流である。この種の洗浄液は、さらに下流の精製工程から回収されたカルボン酸とイリジウムおよび/またはロジウム触媒と適宜の補助促進剤とを含む。不揮発性イリジウムおよび/またはロジウム触媒および/または適宜の不揮発性補助促進剤からなる液体フラクションは、さらにカルボニル化反応器へ循環させることもできる。カルボン酸を含む蒸気フラクションはさらにハロゲン化アルキル促進剤と未反応の反応体と水とを含み、これらをたとえば蒸留のような慣用手段によりカルボン酸生成物から分離してカルボニル化反応に循環させることができる。揮発性イリジウムおよび/または揮発性補助促進剤の汚染物を一酸化炭素の不存在下またはカルボニル化反応器におけるよりも低い一酸化炭素の分圧下でフラッシュ容器内にて沃化物と接触させる。沃化物はフラッシュ容器に供給される液体反応組成物および/または適宜の洗浄液に存在させることができ、かつ/またはハロゲン化アルキル促進剤からその場で発生させることもできる。
【0015】
本発明の好適実施形態においては、イリジウム(大半は不揮発性であるが、或る程度は揮発型である)および/またはロジウム(不揮発性)カルボニル化触媒と適宜の補助促進剤(大半は不揮発性であるが、或る程度は揮発型である)とカルボニル化反応体と水とハロゲン化アルキル促進剤とカルボン酸生成物とからなる液体カルボニル化反応組成物をフラッシュ分離容器に供給し、ここでイリジウム触媒および/またはロジウム触媒の大半と適宜の補助促進剤の大半とを含む液体フラクションをカルボン酸とカルボニル化反応体と水とハロゲン化アルキルカルボニル化促進剤と揮発性イリジウム汚染物および/または適宜の揮発性補助促進剤汚染物とからなる蒸気フラクションから分離し;液体フラクションをカルボニル化反応に循環すると共に蒸気フラクションを蒸留カラムに移送して揮発性イリジウムおよび/または適宜の揮発性補助促進剤汚染物を一酸化炭素の不存在下またはカルボニル化反応の際よりも低い一酸化炭素の分圧下で沃化物と接触させて不揮発性型に変換させる。この実施形態において、蒸留カラムはフラッシュ分離容器および適宜の洗浄セクションだけで達成しうるよりも大の沃化物との滞留時間を与えるという利点を有する。沃化物は蒸気フラクションおよび/または蒸留カラムに導入される他の循環流に存在させることができ、或いはハロゲン化アルキル促進剤からその場で発生させることもできる。この実施形態においてフラッシュ分離容器には、部分的に上記したように作用して揮発性イリジウムおよび/または適宜の揮発性補助促進剤汚染物を本発明の方法により不揮発性型まで変換させるよう作用する沃化物源および充分な滞留時間を与えることもできる。蒸留カラムにおいては、カルボニル化反応体とハロゲン化アルキルとからなる頭上フラクションを或る程度の水、酸およびエステル誘導体と一緒に、不揮発性イリジウムおよび/または適宜の不揮発性補助促進剤とカルボン酸とを含む1つもしくはそれ以上の底部フラクションから分離する。頭上フラクションはカルボニル化反応へ循環させることができる。この実施形態において不揮発性イリジウムおよび/または適宜の不揮発性補助促進剤は蒸留カラムから1つもしくはそれ以上の液体底部フラクションを除去すると共にこれを気化器へ移送することによりカルボン酸から分離され、気化器では不揮発性イリジウムおよび/または適宜の不揮発性補助促進剤を液体フラクションとして蒸気フラクションにおけるカルボン酸から分離する。気化器からの蒸気フラクションは、気化器への供給物と対比し減少したイリジウムおよび/または適宜の補助促進剤汚染を有するカルボン酸を含む。好ましくは、この種の気化器は分画しないフラッシュ気化器として操作される。好ましくは当業界で知られた方法を用いて、たとえば蒸気フラクションを適する充填材が充填された小セクションに通過させることにより不揮発性イリジウムおよび/または適宜の不揮発性補助促進剤の同伴を防止する。気化器の温度、圧力および他の操作パラメータ(たとえば液体と蒸気フラクションとの比および滞留時間)はたとえばカルボン酸フラクションの組成、温度、圧力および流速、並びに気化器へ供給される不揮発性イリジウムおよび/または適宜の補助促進剤汚染物のようなパラメータに依存する。好適には、気化器は3bargまで、好ましく0〜2.0bargの範囲の圧力で操作することができる。好ましくは、気化器は90〜160℃、好ましくは100〜140℃の範囲の温度で操作される。好適には気化器は500:1〜10:1、好ましくは200:1〜20:1の範囲の蒸気フラクションと液体フラクションとの質量比にて操作することができる。好適には、気化器における液体の質量を液体フラクションの流速により割算して計算される気化器内の液体の滞留時間は20時間まで、好ましくは1〜600分間の範囲とすることができる。熱はたとえば熱サイフォン・レボイラのような熱交換器により気化器へ供給することができる。好ましくは熱は、水蒸気または適する工程流を熱交換器に供給することにより気化器へ供給される。水蒸気または工程流は大気圧、加圧または減圧下で熱交換器に供給することができる。熱を供給すべく用いる工程流は蒸気および/または熱液体とすることができる。この実施形態における気化器への供給物は独立して:(a)それぞれ0.1〜20ppm、好ましくは0.1〜5ppmの範囲の濃度におけるイリジウムおよび/または適宜の補助促進剤;(b)0.01〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%の範囲のハロゲン化アルキル;(c)0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜15重量%の範囲のカルボニル化反応体および/またはそのエステル誘導体;および(d)少なくとも0.5重量%の水を含む。気化器およびフラッシュ分離容器からの不揮発性イリジウム触媒を含む液体フラクションにおける水の濃度は少なくとも0.5重量%とすることが特に好ましい。好ましくは、気化器にて液体フラクションから分離されたカルボン酸蒸気フラクションにおけるイリジウムおよび適宜の補助促進剤の各濃度は独立して気化器への供給物におけるイリジウムおよび適宜の補助促進剤の10%未満、好ましくは5%未満である。
【0016】
本発明の他の実施形態においては、イリジウム(大半は不揮発性であるが、或る程度は揮発型である)および/またはロジウム(不揮発性)カルボニル化触媒と適宜の補助促進剤(大半は不揮発性であるが、或る程度は揮発型である)とカルボニル化反応体と水とハロゲン化アルキル促進剤とカルボン酸生成物とからなる液体カルボニル化反応組成物をフラッシュ分離容器へ供給し、ここでロジウム触媒および/またはイリジウム触媒の大半および適宜の補助促進剤の大半を含む液体フラクションをカルボン酸とカルボニル化反応体と水とハロゲン化アルキルカルボニル化促進剤と揮発性イリジウム汚染物および/または適宜の揮発性補助促進剤汚染物とからなる蒸気フラクションから分離し;液体フラクションをカルボニル化反応に循環すると共に蒸気フラクションを蒸留カラムへ移送し、ここで揮発性イリジウムおよび/または適宜の揮発性補助促進剤汚染物を一酸化炭素の不存在下またはカルボニル化反応の際よりも低い一酸化炭素の分圧下で沃化物と接触させて、これらを不揮発性型まで変換させる。この実施形態においてフラッシュ分離容器には、揮発性イリジウムおよび/または適宜の揮発性補助促進剤汚染物を本発明の方法により不揮発性型まで変換するよう部分的に上記したよう作用させる沃化物源と充分な滞留時間とを与えることもできる。蒸留カラムにてカルボニル化反応体とハロゲン化アルキルとを含む頭上フラクションを、不揮発性イリジウムおよび/または適宜の不揮発性補助促進剤とカルボン酸とを含む1つもしくはそれ以上の底部フラクションから分離する。この実施形態において不揮発性イリジウムおよび/または適宜の不揮発性補助促進剤は、カルボン酸を蒸気フラクションとして蒸留カラムおよび液体底部放出流における不揮発性イリジウムおよび/または適宜の不揮発性補助促進剤から抜取ることにより、カルボン酸から分離する。かくして、この実施形態においては気化器を蒸留カラムと一体化し、気化は別途の熱源によるのでなく蒸留カラムレボイラによって行われる。かくしてこの実施形態においては反応体とハロゲン化アルキルとからなる頭上フラクションを或る程度の酸、水およびエステル誘導体と一緒に蒸留カラムから抜取る。頭上フラクションはカルボニル化反応に循環することができる。蒸留カラムへの供給物と対比し減少したイリジウムおよび/または適宜の補助促進剤汚染を有するカルボン酸を含む蒸気フラクションをカラムの近傍または底部から抜取る。不揮発性イリジウムおよび/または適宜の不揮発性補助促進剤を含む液体フラクションは蒸留カラムの底部から別途に抜取られる。この実施形態において蒸気フラクションは蒸留カラムの底部における液体の直ぐ上方から除去することができ、或いは蒸留カラムの底部から約1枚もしくは2枚上のトレーで抜取って液体フラクションの同伴を防止することができる。同伴を減少させる当業界で知られた方法を用いることができ、たとえば蒸気フラクションを適する充填材が充填された小セクションに通過させることもできる。フラッシュ分離容器からの液体フラクションおよび不揮発性イリジウム触媒を含む蒸留カラム底部放出流における水の濃度は少なくとも0.5重量%にすることが特に好ましい。好ましくは、蒸留カラムから除去されたカルボン酸蒸気フラクションにおけるイリジウムおよび適宜の補助促進剤の各濃度は独立して蒸留カラムへの供給物におけるイリジウムおよび適宜の補助促進剤の10%未満、好ましくは5%未満である。
【0017】
減少したイリジウムおよび/または適宜の補助促進剤汚染を有する本発明の方法により製造されたカルボン酸は、慣用方法(たとえば蒸留)によりさらに精製してたとえば水、未反応カルボニル化反応体および/またはそのエステル誘導体、並びに高沸点のカルボン酸副生物など不純物を除去することができ、さらに必要に応じ適する金属(たとえば銀)が充填されたイオン交換樹脂で処理して沃素不純物を除去することもできる。
【0018】
カルボン酸はC2 〜C11カルボン酸、好ましくはC2 〜C6 カルボン酸、より好ましくはC2 〜C3 カルボン酸とすることができ、特に好ましくは酢酸である。
【0019】
好適にはカルボニル化反応の反応体はカルボン酸生成物よりも1個少ない炭素原子を有するアルキルアルコールとすることができ、或いはこの種のアルコールの反応性誘導体とすることもできる。好ましくはアルキルアルコール カルボニル化反応体は第一もしくは第二アルキルアルコール、より好ましくは第一アルコールである。好適にはアルキルアルコールは1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜5個の炭素原子、より好ましくは1〜2個の炭素原子を有し、特に好ましくはメタノールである。アルキルアルコールの適する反応性誘導体はアルコールのエステルおよびカルボン酸生成物、たとえば酢酸メチル;対応のジアルキルエーテル、たとえばジメチルエーテル;さらに対応のハロゲン化アルキル、たとえば沃化メチルを包含する。アルキルアルコールとその反応性誘導体との混合物を本発明の方法に反応体として使用することもでき、たとえばメタノールと酢酸メチルとの混合物を使用することができる。好ましくは、メタノールおよび/または酢酸メチルを反応体として使用する。
【0020】
少なくとも或る程度のアルキルアルコールおよび/またはその反応性誘導体は、カルボン酸生成物もしくは溶剤との反応により液体カルボニル化反応生成物におけるカルボン酸生成物との対応エステルまで変換され、したがってエステルとして存在する。好ましくは、イリジウム触媒による反応のための液体反応組成物におけるアルキルエステルの濃度は1〜70重量%、より好ましくは2〜50重量%、特に好ましくは3〜35重量%の範囲である。好ましくは、ロジウム触媒による反応のための液体反応組成物におけるアルキルエステルの濃度は0.1〜50重量%、より好ましくは35重量%まで、さらに好ましくは15重量%まで、典型的には5重量%までの範囲である。
【0021】
水はたとえばアルキルアルコール反応体とカルボン酸生成物との間のエステル化反応によりその場で液体反応組成物中に生成させることができる。水は、液体反応組成物の他の成分と共に或いはそれとは別途にカルボニル化反応器に導入することができる。水は反応器から抜取られた反応組成物の他の成分から分離することができ、さらに調節量で循環して液体反応組成物における水の所要濃度を維持することができる。好ましくは、液体反応組成物における水の濃度は0.1〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%の範囲である。
【0022】
好ましくはカルボニル化反応におけるハロゲン化アルキルは、アルキルアルコール反応体のアルキル部分に対応するアルキル部分を有する。特に好ましくは、ハロゲン化アルキルはハロゲン化メチルである。好ましくはハロゲン化アルキルは沃化物もしくは臭化物、特に好ましくは沃化物である。好ましくは液体カルボニル化反応組成物におけるハロゲン化アルキルの濃度は1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%の範囲である。
【0023】
カルボニル化反応のための液体反応組成物におけるイリジウム触媒は、液体反応組成物に対し可溶性である任意のイリジウム含有化合物で構成することができる。イリジウム触媒は、カルボニル化反応のための液体反応組成物に溶解し或いは可溶性型まで変換しうる任意適する形態で液体反応組成物に添加することができる。好ましくはイリジウムは液体反応組成物成分の1種もしくはそれ以上、たとえば水および/または酢酸に対し可溶性である酢酸塩のような塩素フリーの化合物として使用することができ、したがって溶液として反応に添加することができる。液体反応組成物に添加しうる適するイリジウム含有化合物の例はIrCl3 、Irl3 、IrBr3 、[Ir(CO)2 l]2 、[Ir(CO)2 Cl]2 、[Ir(CO)2 Br]2 、[Ir(CO)4 2 - + 、[Ir(CO)2 Br2 - + 、[Ir(CO)2 2 - + 、[Ir(CH3 )l3 (CO)2 - + 、Ir4 (CO)12、IrCl3 ・4H2 O、IrBr3 ・4H2 O、Ir3 (CO)12、イリジウム金属、Ir2 3 、IrO2 、Ir(acac)(CO)2 、Ir(acac)3 、酢酸イリジウム、[Ir3 O(OAc)6 (H2 O)3 ][OAc]およびヘキサクロルイリジウム酸[H2 [IrCl6 ]、好ましくはイリジウムの塩素フリー錯体、たとえば酢酸塩、修酸塩およびアセト酢酸塩を包含する。
【0024】
好ましくはカルボニル化反応のための液体反応組成物におけるイリジウム触媒の濃度は100〜600重量ppmの範囲のイリジウムである。
【0025】
液体カルボニル化反応組成物は、イリジウムの代りに或いはそれに加えてロジウムカルボニル化触媒をも含むことができる。ロジウム触媒は、液体反応組成物に溶解し或いは可溶性型まで変換しうる任意適する形態で液体反応組成物に添加することができる。液体反応組成物に添加しうる適するロジウム含有化合物の例は[Rh(CO)2 Cl]2 、Rh(CO)2 l]2 、Rh(COd)Cl]2 、塩化ロジウム(III)、塩化ロジウム(III)三水塩、臭化ロジウム(III)、沃化ロジウム(III)、酢酸ロジウム(III)、ジカルボニルアセチルアセトン酸ロジウム、RhCl3 (PPh3 3 およびRhCl(CO)(PPh3 2 を包含する。好ましくは液体反応組成物におけるロジウム触媒の濃度は20〜5000重量ppmのロジウム、好ましくは100〜1000ppmの範囲である。
【0026】
好ましくはカルボニル化反応のための液体反応組成物はさらに補助促進剤としてオスミウム、レニウムおよびルテニウムの1種もしくはそれ以上を含む。オスミウム、レニウムもしくはルテニウム促進剤は、液体反応組成物に対し可溶性である任意のオスミウム、レニウムもしくはルテニウム含有化合物とすることができる。補助促進剤は、液体反応組成物に溶解し或いは可溶性型まで変換しうる任意適する形態でカルボニル化反応のための液体反応組成物に添加することができる。好ましくは補助促進剤化合物は、たとえば液体反応組成物成分の1種もしくはそれ以上(たとえば水および/または酢酸)に対し可溶性である酢酸のような塩素フリーの化合物として使用することができ、したがって溶液として反応に添加することができる。
【0027】
使用しうる適するルテニウム含有化合物の例は塩化ルテニウム(III)、塩化ルテニウム(III)三水塩、塩化ルテニウム(IV)、臭化ルテニウム(III)、沃化ルテニウム(III)、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、蟻酸ルテニウム(III)、[Ru(CO)3 3 - + 、テトラ(アセト)クロルルテニウム(II、III)、酢酸ルテニウム(III)、プロピオン酸ルテニウム(III)、酪酸ルテニウム(III)、ルテニウムペンタカルボニル、トリルテニウムドデカカルボニルおよび混合ルテニウムハロカルボニル、たとえばジクロルトリカルボニルルテニウム(II)二量体、ジブロモトリカルボニルルテリウム(II)二量体、並びに他の有機ルテニウム錯体、たとえばテトラクロルビス(4−サイメン)ジルテニウム(II)、テトラクロルビス(ベンゼン)ジルテニウム(II)、ジクロル(シクロオクタ−1,5−ジエン)ルテニウム(II)ポリマーおよびトリス(アセチルアセトネート)ルテニウム(III)を包含する。
【0028】
使用しうる適するオスミウム含有化合物の例は塩化オスミウム(II)水和物および無水物、オスミウム金属、四酸化オスミウム、トリオスミウムドデカカルボニル、ペンタクロル−μ−ニトロドジオスミウムおよび混合オスミウムハロカルボニル、たとえばトリカルボニルジクロルオスミウム(II)二量体および他の有機オスミウム錯体を包含する。
【0029】
使用しうる適するレニウム含有化合物の例はRe2 (CO)10、Re(CO)5 Cl、Re(CO)5 Br、Re(CO)5 l、ReCl3 .xH2 O、ReCl5 .yH2 Oおよび[{Re(CO)4 l}2 ]を包含する。
【0030】
好ましくはオスミウム、レニウムもしくはルテニウム補助促進剤は、たとえばイリジウム触媒と共に使用する場合はナトリウムのようなアルカリおよびアルカリ土類の汚染物を含有しない。
【0031】
カルボニル化反応のための反応組成物における各補助促進剤(存在させる場合)とイリジウムおよび/またはロジウム触媒とのモル比は好適には0.1:1〜100:1の範囲、好ましくは0.5:1より大、より好ましくは1:1より大、特に好ましくは20:1まで、より好ましくは15:1まで、さらに好ましくは10:1までの範囲である。
【0032】
カルボニル化反応のための一酸化炭素反応体は実質的に純粋とすることができ、或いはたとえば二酸化炭素、メタン、窒素、貴ガス、水およびC1 〜C4 パラフィン系炭化水素のような不活性不純物を含有することもできる。一酸化炭素における或いは水性ガスシフト反応によりその場で発生する水素の存在は好ましくは低く保たれ、たとえば1バール未満の分圧に保たれる。何故なら、そこ存在は水素化生成物をもたらすからである。反応における一酸化炭素の分圧は好適には1〜70バール、好ましくは3〜35バール、より好ましくは15バールまでの範囲である。
【0033】
カルボニル化反応の圧力は好適には15〜200barg、好ましくは15〜100barg、より好ましくは20〜50barg、さらに好ましくは35bargまでの範囲である。カルボニル化反応の温度は好適には100〜300℃、好ましくは160〜220℃の範囲である。
【0034】
カルボン酸は、カルボニル化反応のための溶剤として使用することができる。
【0035】
腐食性金属、特にニッケル、鉄、モリブデンおよびクロモは、イリジウムにより触媒される液体反応組成物にて最小に保つべきである。何故なら、これらは反応に悪作用を及ぼしうるからである。
【0036】
特に好適な実施形態において本発明は酢酸の製造方法を提供し、この方法は:
(a)反応器内で一酸化炭素を高められた分圧にてイリジウムおよび/またはロジウム触媒と沃化メチルと必要に応じオスミウム、レニウムおよびルテニウムよりなる群から選択される補助促進剤との存在下に液体反応組成物におけるメタノールおよび/またはその反応性誘導体と接触させて酢酸を生成させ;
(b)反応器からイリジウムおよび/またはロジウムカルボニル化触媒と適宜の補助促進剤と酢酸メチルと水と沃化メチルと酢酸と沃化水素とからなる液体反応組成物を抜取って、この液体反応組成物をフラッシュ分離容器に供給し、ここでロジウム触媒および/またはイリジウム触媒の大半および/または適宜の補助促進剤の大半からなり好ましくはイリジウム触媒が存在すれば少なくとも0.5重量%の水濃度を有する液体フラクションを酢酸と酢酸メチルと水と沃化メチルと揮発性イリジウム汚染物および/または適宜の揮発性促進剤汚染物とからなる蒸気フラクションから分離し、フラッシュ分離容器は一酸化炭素を含まず或いはカルボニル化反応器よりも低い一酸化炭素分圧を有し、好ましくは洗浄セクションを有すると共に必要に応じ少なくとも部分的に揮発性イリジウムおよび/または適宜の揮発性補助促進剤を不揮発性型まで変換するよう作用する充分な滞留時間および沃化物濃度を与え;
(c)工程(b)からの液体フラクションをカルボニル化反応器に循環し;
(d)工程(b)からの蒸気フラクションを分留カラムに移送して、ここで蒸気フラクションにおける揮発性イリジウム汚染物および/または適宜の揮発性補助促進剤汚染物を一酸化炭素の不存在下またはカルボニル化反応の際よりも低い一酸化炭素の分圧下でこれらを不揮発性型に変換するのに充分な時間にわたり沃化物と接触させ;
(e)蒸留カラムから、(i)酢酸メチルと沃化メチルと必要に応じ或る程度の水、酢酸およびメタノールとからなる頭上フラクション、および(ii)不揮発性イリジウムおよび適宜の不揮発性補助促進剤と酢酸と必要に応じ或る程度の酢酸メチルおよび必要に応じ或る程度の沃化メチルとからなり好ましくはイリジウムが存在すれば少なくとも0.5%の水を含む1つもしくはそれ以上の底部液体フラクションを取出し;
(f)工程(e)からの頭上フラクションをカルボニル化反応器へ循環し;
(g)工程(e)からの酢酸と不揮発性イリジウムおよび/または適宜の不揮発性補助促進剤とからなる1つもしくはそれ以上の底部液体フラクションをフラッシュ気化器へ供給し、ここで気化器への供給物と対比し減少したイリジウムおよび/または適宜の補助促進剤汚染を有する酢酸を蒸気フラクションとして不揮発性イリジウムおよび/または適宜の不揮発性補助促進剤からなる液体フラクションから分離し;
(h)工程(g)からの液体フラクションをカルボニル化反応器に循環する
ことを特徴とする。
【0037】
この実施形態の改変においては、さらにフラッシュ気化器を分留工程を行うべく使用する分留カラムと一体化させて、工程(e)〜(h)を次のように改変することができる:
(e* )蒸留カラムから、(i)酢酸メチルと沃化メチルと必要に応じ若干の水、酢酸およびメタノールとからなる頭上フラクション;(ii)蒸留カラムへの供給物と対比し減少したイリジウムおよび/または適宜の補助促進剤汚染を有する酢酸からなる蒸気フラクション;および(iii)不揮発性イリジウムおよび/または適宜の不揮発性補助促進剤からなり好ましくはイリジウムが存在すれば少なくとも0.5重量%の水濃度を有する底部放出流を取出し;
(f* )工程(e* )からの頭上フラクションをカルボニル化反応器に循環し;
(g* )工程(e* )からの底部放出流をカルボニル化反応器に循環する。
【0038】
上記したように底部蒸気フラクションは、蒸留カラムの底部から約1枚もしくは2枚のトレーで抜取って同伴を減少させることができる。
【0039】
これら実施形態において、蒸留カラムで分離された水相は予備的フラッシュ気化器に対する洗浄液として使用することができる。
【0040】
工程(a)におけるメタノールのカルボニル化による酢酸の適する製造方法において、カルボニル化は185〜195℃、典型的には189〜190℃;20〜40barg、典型的には27.6bargの圧力;0.5バール未満の水素分圧;および重量で500〜3000ppm、典型的には1000〜2500ppmのイリジウムと500〜6000ppm、典型的には1000〜3000ppmのルテニウム;2〜20%、典型的には約4〜8%の沃化メチル;1〜10%、典型的には約4〜8%の水;5〜35%、典型的には約12〜18%の酢酸メチル;残部の酢酸からなる反応組成物にて行うことができる。液体反応組成物は工程(b)にてフラッシュ分離容器まで移送することができ、この容器は3bargまで、典型的には1.48bargの圧力で操作され、必要に応じ洗浄液を有すると共に本発明の方法を少なくとも部分的に行うのに適する滞留時間を有する。ここで生成した蒸気フラクションは、本発明の方法を行うのに適する滞留時間を持った36枚トレーの蒸留カラムの底部からカウントしてトレー3まで工程(d)にて移送することができる。蒸留カラムからの液体底部酸フラクションは工程(g)にて気化器へ移送し、ここで少なくとも減少したイリジウムおよびルテニウム汚染を有する供給物の90重量%からなる蒸気酢酸フラクションを液体フラクションから分離する。工程(g)からの蒸気酢酸フラクションは蒸留カラムで乾燥することができ、これにはメタノールを供給して沃化水素を沃化メチルまで変換させることができ、これをカラム内で酢酸から分離する。適する乾燥用カラムは約28枚のトレーを備えることができ、供給物は底部からトレー20にておよびメタノール供給物は底部から計算してトレー6にて行われる。水と酢酸メチルと沃化メチルとを乾燥カラムのヘッドから採取し、反応器へ循環させる。乾燥酢酸は底部から抜取られ、次いでたとえば45枚のトレーを有する重端部蒸留カラムでプロピオン酸につき精製されて、販売しうる酢酸を生成させる。重端部カラムにて残留沃化水素は酢酸カリウムの添加により除去することができ、精製された酢酸を液体としてたとえば45枚トレーカラムのトレー40(底部から計算)から採取し、頭上放出液として酸の10%を蒸留カラムの底部からの酸の小放出液と共に抜取る。この処理で操作すれば、乾燥カラムの底部から流出する極めて低レベルの高級有機沃化物および他の沃化物類を含む酢酸が得られる。その結果、酢酸は重端部カラムから20ppb未満、好ましくは8ppb未満、より好ましくは5ppb未満の全沃化物を含有してさらに精製することなく販売しうる酢酸を得ることができる。
【0041】
【実施例】
以下、添付図面を参照して実施例につき本発明をさらに説明する。
【0042】
図1および図2を参照して、使用に際し酢酸と水と未反応メタノールおよび/またはその反応性誘導体とイリジウム触媒と沃化メチルと適宜のオスミウム、レニウムおよびルテニウムから選択される補助促進剤とからなる液体反応組成物をカルボニル化反応器1から経路2によりフラッシュ分離容器3まで移送する。酢酸と水と沃化メチルと未反応メタノールおよび/またはその反応性誘導体と揮発性イリジウム汚染物と適宜の揮発性補助促進剤汚染物とからなる蒸気フラクションをフラッシュ分離容器から経路4を介し抜取り、イリジウム触媒の大半と適宜の補助促進剤とを含む液体フラクションを経路5を介して取り出してカルボニル化反応器1へ循環する。フラッシュ分離容器からの蒸気フラクションを経路4を介し蒸留カラム6に供給する。第1蒸留カラムのヘッドから、メタノール/酢酸メチル反応体と沃化メチルと水と若干の酢酸とからなる頭上蒸気フラクションを採取する。頭上蒸気フラクションを凝縮器16により冷却してデカンタ17に移送し、ここで相を分離させて水相と沃化メチルリッチな相とを得る。沃化メチルリッチな相を経路18に沿ってカルボニル化反応器に循環する。水相の1部を第1蒸留カラムまで経路19に沿って還流物として戻し、残部を経路7に沿って反応器へ循環する。残部の蒸気を凝縮器16の蒸気から必要に応じ第2凝縮器22によって凝縮させ、経路23に沿ってデカンタに戻す。蒸留カラムにて揮発性イリジウムと適宜の揮発性補助促進剤とをカラムへの供給物における沃化アルキルから誘導された沃化物と、カルボニル化反応の際よりも低い一酸化炭素の分圧下でイリジウムおよび適宜の補助促進剤を不揮発性型まで変換させるのに充分な時間にわたり接触させる。
【0043】
図1において、主としてイリジウム−および適宜の補助促進剤−汚染された酢酸よりなる液体フラクションを蒸留カラムの底部から抜取って経路8を介し他のフラッシュ気化器9へ供給する。他のフラッシュ気化器は外部熱サイホンレボイラ10によって加熱される。実質的に減少したイリジウムおよび適宜の補助促進剤汚染を有する酢酸の蒸気フラクションを他のフラッシュ気化器9から経路11を介して採取し、たとえば蒸留(図示せず)のように慣用手段によりさらに精製して水とメタノールと沃化メチルと酢酸メチルとプロピオン酸とを除去する。液体フラクションを経路12を介し他の気化器から採取して反応器1へ循環する。
【0044】
図2は図1の装置の改変を示し、他のフラッシュ気化器を蒸留カラムと一体化させるが、残余の装置部分は同じである。蒸留カラムの底部から、液体フラクションを液体として蒸留カラムの底部から採取する場合よりも減少したイリジウムおよび適宜の補助促進剤含有量を有する酢酸を含んだ蒸気底部フラクションを経路13を介して抜取る。液体放出フラクションも蒸留カラムの底部から抜取って経路14を介し反応器へ循環する。蒸留フラクションは蒸留カラムの底部から約1枚もしくは2枚のトレーにて除去することができる。この蒸気フラクションはたとえば蒸留(図示せず)のような慣用手段によりさらに精製して、水と沃化メチルと酢酸メチルとメタノールとプロピオン酸とを除去することができる。
【0045】
図1および図2において、フラッシュ分離容器にはさらに洗浄セクション20を設け、これには必要に応じ経路21を介して液体洗浄液を与える。この洗浄液は少なくとも部分的に蒸留カラム頭上デカンタの水相から(経路7を介し)供給することができる。フラッショ分離容器内の滞留時間は、少なくとも部分的に揮発性イリジウムおよび適宜の揮発性補助促進剤から不揮発性型への変換を行うのに充分とすることができる。
【0046】
実施例1
図1に示したと同様であるが電気加熱型気化器を備えた装置を用い、メタノールを反応器1内で190.0℃および27.6bargの全圧力にてカルボニル化した。液体反応組成物は水と沃化メチルと酢酸メチルと2250ppmのイリジウム触媒と2300ppmのルテニウム促進剤とで構成した。反応器内の計算された一酸化炭素分圧は8.2baraとし、計算された水素分圧は系から排気された合計排ガス流(高圧および低圧)の分析に基づき0.35baraとした。液体反応組成物を反応器から抜取って1.48bargの圧力で操作されるフラッシュ分離容器3に移送した。フラッシュ分離容器からの水と沃化メチルと酢酸メチルと酢酸と0.38ppmのイリジウムと0.73ppmのルテニウムとを含む9.0kg/hrの推定流速における蒸気フラクションを経路4を介し136.4℃のレボイラ温度、1.46bargのレボイラ圧力および0.6時間のレボイラにおける触媒/補助促進剤の滞留時間で操作される蒸留カラム6に移送した。蒸留カラムにて揮発性イリジウム触媒と揮発性ルテニウム補助促進剤とを供給物における沃化メチルから誘導された沃化物と、カルボニル化反応器内におけるよりも低い一酸化炭素の分圧下で揮発性触媒および揮発性補助促進剤を不揮発性型まで変換させるのに充分な滞留時間にわたり接触させた。29.3重量%の沃化メチルと53.1重量%の酢酸メチルと少量の水および酢酸とを含む蒸留カラムデカンタにおける有機相は0.04ppmのイリジウムと0.13ppmのルテニウムとを含み、これを4.8kg/hrの流速にて反応器に循環した。68重量%の水を少量の沃化メチル、酢酸メチルおよび酢酸と共に含む蒸留カラムのデカンタにおける水相は0.35ppmのイリジウムと0.10ppmのルテニウムとを含んだ。蒸留カラムへの水相の還流速度は1.5kg/hrとし、反応器への循環速度は0.15kg/hrとした。
【0047】
0.75ppmのイリジウムと1.25ppmのルテニウムとを含む液体フラクションを蒸留カラムの底部から4.3kg/hrの速度で抜取り、気化器9へ供給した。
【0048】
気化器を111.4℃の温度、0.0bargの圧力および5.5時間の滞留時間で操作した。気化器にて、84.1重量%の酢酸と0.1重量%の沃化メチルと5.1重量%の酢酸メチルと9.4重量%の水と0.0005ppmのイリジウムと0.001ppmのルテニウムとを含む蒸気フラクションを4.2kg/hrの速度で、36.8ppmのピリジウムと59.0ppmのルテニウムとを含む90g/hrの速度で除去された液体フラクションから分離した。
【0049】
蒸留カラムにおけるイリジウムおよびルテニウムの質量分析値(accountabilities)はそれぞれ101%および96%であり、気化器ではそれぞれ102%および98%であった。気化器からの酢酸蒸気フラクションは、蒸留カラムに供給されたイリジウムの約0.06%およびルテニウムの約0.06%を含んだ。酢酸をメタノール供給物により蒸留カラム内で乾燥させて沃化水素を除去すると共に、酢酸カリウムの添加により重端部カラムでプロピオン酸を精製除去して残留沃化水素を除去することにより、20ppb未満の全沃化物を有する販売可能な酢酸を生成させることができる。
【0050】
実施例2
図2に示したと同様であるが電気加熱型レボイラを備えた装置を用い、メタノールを反応器1内で189.7℃および27.6bargの全圧力にてカルボニル化した。液体反応組成物は水と沃化メチルと酢酸メチルと2200ppmのイリジウム触媒と2530ppmのルテニウム促進剤とを含んだ。反応器内の計算された一酸化炭素分圧は8.1baraであり、計算された水素分圧は系から排気された合計排ガス流(高圧および低圧)の分析に基づき0.37baraであった。液体反応組成物を反応器から抜取って、1.48bargの圧力で操作されるフラッシュ分離容器3に移送した。フラッシュ分離容器からの水と沃化メチルと酢酸メチルと酢酸と0.3ppmのイリジウムと0.54ppmのルテニウムとを含む9.3kg/hrの推定流速における蒸気フラクションを経路4に沿って145.6℃のレボイラ温度、1.46bargのレボイラ圧力および20時間のレボイラにおける触媒/補助促進剤の滞留時間にて操作される蒸留カラム6に移送した。蒸留カラムにて、揮発性イリジウム触媒と揮発性ルテニウム補助促進剤とを供給物における沃化メチルから誘導された沃化物と、カルボニル化反応器内よりも低い一酸化炭素の分圧にて触媒および補助促進剤を不揮発性型まで変換させるのに充分な滞留時間にわたり接触させた。蒸留カラムデカンタにおける29.2重量%の沃化メチルと55.3重量%の酢酸メチルと少量の水および酢酸とを含む有機相は0.06ppmのイリジウムと0.07ppmのルテニウムとを含み、これを3.9kg/hrの流速にて反応器に循環させた。67.2重量%の水を少量の沃化メチル、酢酸メチルおよび酢酸と一緒に含む蒸留カラムのデカンタにおける水相は0.02ppmのイリジウムと0.01ppmのルテニウムとを含んだ。蒸留カラムへの水相の還流速度は1.5kg/hrとし、反応器への循環速度は0.18kg/hrとした。
【0051】
81.1重量%の酢酸と0.3重量%の沃化メチルと5.6重量%の酢酸メチルと9.3重量%の水と0.0005ppmのイリジウムと0.001ppmのルテニウムとを含む底部酢酸蒸気フラクションを経路13を介し4.5kg/hrの速度で抜取った。酢酸を蒸留カラムにてメタノール供給物で乾燥させて沃化水素を除去すると共に、酢酸カリウムの添加により重端部カラムにてプロピオン酸を精製除去し、残留沃化水素を除去して20ppb未満の全沃化物を有する販売可能な酢酸を生成させることができる。
【0052】
22ppmのイリジウムと40ppmのルテニウムとを含む底部液体フラクションを蒸留カラムの底部から120g/hrの速度で抜取った。
【0053】
蒸留カラムにおけるイリジウムおよびルテニウムの質量分析値はそれぞれ103%および101%であった。気化器からの精製された酢酸蒸気フラクションは蒸留カラムに供給されたイリジウムの約0.08%およびルテニウムの約0.09%を含んだ。
【図面の簡単な説明】
【図1】メタノールおよび/またはその反応性誘導体から酢酸を製造するための方法を実施する装置の略流れ図である。
【図2】気化器を蒸留カラムと一体化させた図1の装置の改変を伴う略流れ図である。
【符号の説明】
1 反応器
3 フラッシュ分離容器
6 蒸留カラム
9 気化器
10 レボイラ

Claims (18)

  1. イリジウムおよび/またはロジウム触媒と、ハロゲン化アルキル促進剤と、水と、ルテニウム、オスミウムおよびレニウムよりなる群から必要に応じ選択される補助促進剤との存在下にて、アルキルアルコールおよび/またはその反応性誘導体からなるカルボニル化反応体の、高められた圧力下の一酸化炭素での、液相カルボニル化により得られるイリジウム−および/または補助促進剤−汚染されたカルボン酸フラクションを精製するに際し:
    (a)揮発性イリジウムおよび/または揮発性補助促進剤の汚染物で汚染されたカルボン酸フラクションを一酸化炭素の不存在下またはカルボニル化反応の際よりも低い一酸化炭素の分圧下にて揮発性イリジウム触媒および/または揮発性補助促進剤の汚染物を不揮発性型まで変換するのに充分な時間にわたり沃化物と接触させ、
    (b)不揮発性イリジウム触媒および/または不揮発性補助促進剤をカルボン酸フラクションから分離する
    ことを特徴とするイリジウム−および/または補助促進剤−汚染されたカルボン酸フラクションの精製方法。
  2. (a)カルボン酸カルボニル化生成物と、イリジウムおよび/またはロジウム触媒と、ハロゲン化アルキル促進剤と、水と、ルテニウム、オスミウムおよびレニウムよりなる群から必要に応じ選択される補助促進剤との存在下にて、高められた圧力の一酸化炭素を、液体反応組成物におけるアルキルアルコールおよび/またはその反応性誘導体からなるカルボニル化反応体と、反応器内で接触させ;
    (b)反応器から揮発性イリジウムおよび/または揮発性補助促進剤の汚染物で汚染されたカルボン酸フラクションを含む液体反応生成物を抜取り;
    (c)前記汚染されたカルボン酸フラクションを一酸化酸素の不存在下またはカルボニル化反応の際よりも低い一酸化炭素の分圧下にて揮発性イリジウム触媒および/または揮発性補助促進剤を不揮発型まで変換させるのに充分な時間にわたり沃化物と接触させ;
    (d)不揮発性イリジウム触媒および/または不揮発性補助促進剤をカルボン酸フラクションから分離する
    ことを特徴とするカルボン酸の製造方法。
  3. 沃化物をカルボニル化反応のハロゲン化アルキル促進剤から誘導する請求項2に記載の方法。
  4. イリジウムおよび/またはロジウムカルボニル化触媒とハロゲン化アルキル促進剤と水とカルボン酸生成物とルテニウム、オスミウムおよびレニウムよりなる群から必要に応じ選択される補助促進剤とからなる液体カルボニル化反応組成物をフラッシュ分離容器に供給し、ここで揮発性イリジウム触媒および/または適宜の揮発性補助促進剤を一酸化炭素の不存在下または反応器内におけるよりも低い一酸化炭素の分圧下にて沃化物と接触させ、フラッシュ分離容器は少なくとも部分的に揮発性イリジウム触媒および/または適宜の揮発性補助促進剤から不揮発性型への変換を行うのに充分な滞留時間を有し、さらに内部で減圧にかけることにより液体組成物の1部を気化させてカルボン酸生成物からなる蒸気フラクションを生成させ、これを不揮発性イリジウムおよび/またはロジウム触媒および/または適宜の不揮発性補助促進剤からなる液体フラクションから分離する請求項3に記載の方法。
  5. フラッシュ容器に洗浄セクションおよび洗浄液を設け、ここに蒸気フラクションを通過させる請求項4に記載の方法。
  6. イリジウムおよび/またはロジウムカルボニル化触媒と必要に応じた補助促進剤とカルボニル化反応体と水とハロゲン化アルキル促進剤とカルボン酸生成物とからなる液体カルボニル化反応組成物をフラッシュ分離容器に供給し、ここでロジウム触媒および/またはイリジウム触媒の大半および適宜の補助促進剤の大半からなる液体フラクションをカルボン酸とカルボニル化反応体と水とハロゲン化アルキルカルボニル化促進剤と揮発性イリジウム汚染物および/または適宜の揮発性補助促進剤汚染物とからなる蒸気フラクションから分離し;液体フラクションをカルボニル化反応に循環させると共に蒸気フラクションを蒸留カラムに移送して、ここで揮発性イリジウムおよび/または適宜の揮発性補助促進剤汚染物を一酸化炭素の不存在下またはカルボニル化反応の際よりも低い一酸化炭素の分圧下で沃化物と接触させて不揮発性型まで変換し、さらにカルボニル化反応体とハロゲン化アルキルとからなる頭上フラクションを或る程度の水、酸およびエステル誘導体と一緒に不揮発性イリジウム触媒および/または適宜の不揮発性補助促進剤およびカルボン酸からなる1つもしくはそれ以上の底部フラクションから分離する請求項2に記載の方法。
  7. 不揮発性イリジウムおよび/または適宜の不揮発性補助促進剤とカルボン酸とからなる1つもしくはそれ以上の液体底部フラクションを蒸留カラムから取出して気化器へ移送し、ここで不揮発性イリジウムおよび/または適宜の不揮発性補助促進剤を蒸気フラクションにおけるカルボン酸から液体フラクションで分離する請求項6に記載の方法。
  8. 蒸留カラムへの供給物と対比し減少したイリジウムおよび/または適宜の補助促進剤汚染を有するカルボン酸を含む蒸気フラクションを蒸留カラムから抜取り、不揮発性イリジウムおよび/または適宜の不揮発性補助促進剤からなる液体流をカラムから底部放出流として抜取る請求項6に記載の方法。
  9. フラッシュ分離容器に滞留時間を与えると共に、一酸化炭素の不存在下または反応器内よりも低い一酸化炭素の分圧下で少なくとも部分的に揮発性イリジウムおよび/または適宜の揮発性補助促進剤から不揮発性型への変換を行うのに充分な沃化物を与える請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. (a)反応器内で一酸化炭素を高められた分圧にてイリジウムおよび/またはロジウム触媒と沃化メチルとオスミウム、レニウムおよびルテニウムよりなる群から必要に応じ選択される補助促進剤との存在下に液体反応組成物におけるメタノールおよび/またはその反応性誘導体と接触させて酢酸を生成させ;
    (b)反応器からイリジウムおよび/またはロジウムカルボニル化触媒と適宜の補助促進剤と酢酸メチルと水と沃化メチルと酢酸と沃化水素とからなる液体反応組成物を抜取って、この液体反応組成物をフラッシュ分離容器に供給し、ここでロジウム触媒および/またはイリジウム触媒の大半および/または適宜の補助促進剤の大半からなる液体フラクションを酢酸と酢酸メチルと水と沃化メチルと揮発性イリジウム汚染物および/または適宜の揮発性促進剤汚染物とからなる蒸気フラクションから分離し、フラッシュ分離容器は一酸化炭素を含まずまたはカルボニル化反応器よりも低い一酸化炭素分圧を有する;
    (c)工程(b)からの液体フラクションをカルボニル化反応器に循環し;
    (d)工程(b)からの蒸気フラクションを分留カラムに移送して、ここで蒸気フラクションにおける揮発性イリジウム汚染物および/または適宜の揮発性補助促進剤汚染物を一酸化炭素の不存在下またはカルボニル化反応の際よりも低い一酸化炭素の分圧下でこれらを不揮発性型まで変換するのに充分な時間にわたり沃化物と接触させ;
    (e)蒸留カラムから、(i)酢酸メチルと沃化メチルとからなる頭上フラクションおよび(ii)不揮発性イリジウムおよび適宜の不揮発性補助促進剤と酢酸とからなる1つもしくはそれ以上の底部液体フラクションを取出し;
    (f)工程(e)の頭上フラクションをカルボニル化反応器に循環し;
    (g)工程(e)の酢酸と不揮発性イリジウムおよび/または適宜の不揮発性補助促進剤とからなる1つもしくはそれ以上の底部液体フラクションをフラッシュ気化器へ供給し、ここで気化器への供給物と対比し減少したイリジウムおよび/または適宜の補助促進剤汚染を有する酢酸を蒸気フラクションとして不揮発性イリジウムおよび/または適宜の不揮発性補助促進剤からなる液体フラクションから分離し;
    (h)工程(g)からの液体フラクションをカルボニル化反応器に循環する
    ことを特徴とする酢酸の製造方法。
  11. (e*)蒸留カラムから、(i)酢酸メチルと沃化メチルとからなる頭上フラクション;(ii)蒸留カラムへの供給物と対比し減少したイリジウムおよび/または適宜の補助促進剤汚染を有する酢酸からなる蒸気フラクション;および(iii)不揮発性イリジウムおよび/または適宜の不揮発性補助促進剤からなる底部放出流を取出し;
    (f*)工程(e*)からの頭上フラクションをカルボニル化反応器に循環し;
    (g*)工程(e*)からの底部放出流をカルボニル化反応器に循環する工程
    まで工程(e)〜(h)を改変してなる請求項10に記載の方法。
  12. 工程(b)にて得られた液体フラクションがイリジウム触媒が存在すれば少なくとも0.5重量%の水濃度を有する請求項10又は請求項11に記載の方法。
  13. フラッシュ分離容器が洗浄セクションを有する請求項10又は請求項11に記載の方法。
  14. 少なくとも部分的に揮発性イリジウムおよび/または適宜の補助促進剤を不揮発性型まで変換するよう作用するのに充分な滞留時間および沃化物濃度をフラッシュ分離容器に与える請求項10乃至13の何れか一項に記載の方法。
  15. 工程(e)の頭上フラクションが更に水、酢酸およびメタノールからなる請求項10又は12乃至14の何れか一項に記載の方法。
  16. 工程(e)にて得られた底部液体フラクションがイリジウムが存在すれば少なくとも0.5%の水からなる請求項10又は12乃至15の何れか一項に記載の方法。
  17. 工程(e*)にて得られた頭上フラクションが更に水、酢酸およびメタノールからなる請求項11に記載の方法。
  18. 工程(e*)にて得られた底部放出流がイリジウムが存在すれば少なくとも0.5重量%の水からなる請求項11又は請求項17に記載の方法。
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