JP4054056B1 - 車両用タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】衝撃緩和機能を充実させて乗り心地の快適さを担保するとともに、トレッド部のみを交換可能な車両用タイヤを提供する。
【解決手段】トレッド部12から伝わる車両の荷重および車両走行中の衝撃は、トレッド部12を介してタイヤ弾性支持体14が支持するので、車両の乗り心地の快適さが高められる。また、トレッド部12とリム15とを別体としたので、トレッド部12のみの交換が可能である。しかも、トレッド部12とホイール11のリムベース13との間に、外部と連通する間隙が存在するので、タイヤ材料(例えばゴム材)の使用量を削減できる。
【選択図】図1
【解決手段】トレッド部12から伝わる車両の荷重および車両走行中の衝撃は、トレッド部12を介してタイヤ弾性支持体14が支持するので、車両の乗り心地の快適さが高められる。また、トレッド部12とリム15とを別体としたので、トレッド部12のみの交換が可能である。しかも、トレッド部12とホイール11のリムベース13との間に、外部と連通する間隙が存在するので、タイヤ材料(例えばゴム材)の使用量を削減できる。
【選択図】図1
Description
この発明は車両用タイヤ、詳しくはホイールのリムベースとトレッド部との間に解放された間隙を有した車両用タイヤに関する。
空気入りタイヤは、パンクによりタイヤの内圧が低下して車両の走行に支障を来すおそれがあることから、パンクしない中実のソリッドタイヤが開発されている。ソリッドタイヤは負荷荷重に伴なう衝撃を専らゴムの圧縮弾性により吸収している。そのため、乗心地性が悪く、長時間にわたる運転により、運転者に大きな疲労感を与えるという欠点があった。
そこで、これを解消するものとして、例えば特許文献1が知られている。特許文献1のソリッドタイヤは、トレッド部の内側に左右一対の環状のビートコアを配設し、これらのビートコア間に補強層を配置し、この補強層をビートコア間のタイヤの軸方向に対して斜めに架け渡すとともに、補強層の内側にタイヤ周方向に連続する空隙部を設ける技術が提案されている。これにより、トレッド部が受けた負荷を補強層が空隙部側に撓みながら、コード張力により負担して負荷を効率よく吸収し、車両の乗り心地を高めている。
特開2006−175983号公報
そこで、これを解消するものとして、例えば特許文献1が知られている。特許文献1のソリッドタイヤは、トレッド部の内側に左右一対の環状のビートコアを配設し、これらのビートコア間に補強層を配置し、この補強層をビートコア間のタイヤの軸方向に対して斜めに架け渡すとともに、補強層の内側にタイヤ周方向に連続する空隙部を設ける技術が提案されている。これにより、トレッド部が受けた負荷を補強層が空隙部側に撓みながら、コード張力により負担して負荷を効率よく吸収し、車両の乗り心地を高めている。
しかしながら、特許文献1のソリッドタイヤにあっては、地面との接触するタイヤ外周側に形成されたトレッドパターンが擦り減ると、走行中にスリップを起こすおそれが高まるため、タイヤ全体を交換する必要があった。
また、特許文献1のソリッドタイヤの場合には、走行中にトレッド部が石またはキャッツアイなどの異物を踏んだ際、ソリッドタイヤが中実タイヤであったため、トレッド部の変形領域が大きくなっていた。
そこで、この発明は、衝撃緩和機能を充実させて乗り心地の快適さを担保(確保)するとともに、トレッド部のみを交換することが可能な車両用タイヤを提供することを目的としている。
また、この発明は、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な変形を円滑にしてトレッド部の変形領域を小さくし、走行の安定性を高めることができる車両用タイヤを提供することを目的としている。
また、特許文献1のソリッドタイヤの場合には、走行中にトレッド部が石またはキャッツアイなどの異物を踏んだ際、ソリッドタイヤが中実タイヤであったため、トレッド部の変形領域が大きくなっていた。
そこで、この発明は、衝撃緩和機能を充実させて乗り心地の快適さを担保(確保)するとともに、トレッド部のみを交換することが可能な車両用タイヤを提供することを目的としている。
また、この発明は、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な変形を円滑にしてトレッド部の変形領域を小さくし、走行の安定性を高めることができる車両用タイヤを提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、車両用タイヤのホイールと、該ホイールよりタイヤ半径方向の外方へ離間して配置され、前記車両用タイヤの接地部分を構成するトレッド部と、該トレッド部と前記ホイールのリムベースとの間に形成される解放された間隙に配置され、前記トレッド部から伝わる車両の荷重を支持するタイヤ弾性支持体と、前記トレッド部と前記ホイールのリムとの間に介在して設けられ、前記トレッド部をタイヤ半径方向にスライド自在とするスライド手段を備え、前記スライド手段は、前記トレッド部および前記リムの一方に設けられたスライド体と、前記トレッド部および前記リムの他方に設けられるとともに、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に取り付けられるスライドガイドとを有し、前記トレッド部に設けられた前記スライド体または前記スライドガイドは、このトレッド部とは別体に形成され、前記トレッド部には、前記スライド体または前記スライドガイドに対して、特定の支点を中心とした所定角度の揺動および前記スライド体のスライド方向と直交する方向への所定距離の移動のうち、少なくとも1つを可能とすることで、前記トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容手段が設けられた車両用タイヤである。
請求項1に記載の発明によれば、外方からトレッド部に車両の荷重などが伝わると、タイヤ弾性支持体の弾性力に抗して、トレッド部がスライド手段によりガイドされながらタイヤ半径方向の内側(ホイールの中心方向)へ移動する。これにより、トレッド部がタイヤ半径方向の内側へ正確かつ安定して移動でき、車両の乗り心地の快適さを高めることができる。
また、トレッド部とリムとを別体としたので、例えばトレッドパターンが使用中にすり減った場合には、トレッド部のみの交換が可能である。
しかも、トレッド部とホイールのリムベースとの間に、外部と連通する間隙(解放域)が存在する。そのため、例えば特許文献1に記載のソリッドタイヤのように、トレッド部がショルダ部およびサイドウォール部と一体化したものに比べて、タイヤ材料(例えばゴム材)の使用量を削減することができる。
また、トレッド部とリムとを別体としたので、例えばトレッドパターンが使用中にすり減った場合には、トレッド部のみの交換が可能である。
しかも、トレッド部とホイールのリムベースとの間に、外部と連通する間隙(解放域)が存在する。そのため、例えば特許文献1に記載のソリッドタイヤのように、トレッド部がショルダ部およびサイドウォール部と一体化したものに比べて、タイヤ材料(例えばゴム材)の使用量を削減することができる。
さらに、車両走行中、トレッド部が異物を踏むと、トレッド部の一部のみに過剰な外力が作用し、この作用部分が大きく圧縮され、トレッド部の一部が変形して傾斜する。その際、この傾斜部分において、傾斜許容手段によりスライド体およびスライドガイドの少なくとも一方が、外力の入力方向に応じてスライド体およびスライドガイドの少なくとも他方内で、特定の支点を中心とした所定角度で揺動するか、スライド体のスライド方向と直交する方向へ移動するか、これらの両方の動きをしながら、タイヤ半径方向へスライド(移動)する。この揺動や移動により、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜(変形)がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。また、傾斜許容手段は、このようにトレッド部の部分的な傾斜の許容が可能であることから、これをトレッド部の接地部分の全体に適用することで、トレッド部の全体的な傾斜(カーブにおける車両の道路勾配の走行状態)も許容可能となっている。
しかも、スライド手段として、トレッド部およびリムの一方に突設されたスライド体と、トレッド部およびリムの他方に設けられたスライドガイドとを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤの低コスト化が図れる。
しかも、スライド手段として、トレッド部およびリムの一方に突設されたスライド体と、トレッド部およびリムの他方に設けられたスライドガイドとを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤの低コスト化が図れる。
車両としては、例えば自動車(例えば二輪車、四輪車、各種のホイール式トラック)、自転車、航空機、モノレールなどを採用することができる。
車両用タイヤとは、空気入りタイヤ(空気室付きを含む)を除くエアレス式のタイヤをいう。具体的には、タイヤの構成体としてビード部、サイドウォール部が存在しないものをいう。
トレッド部は、車両用タイヤの接地部分を構成する部材である。トレッド部は、1個の環状体の他、環状のトレッド部体を、タイヤ周方向またはタイヤ幅方向へ分割した複数の部分トレッドからなるものでもよい。
トレッド部の素材としては、例えばゴムなどを採用することができる。
タイヤ弾性支持体としては、例えばゴム部材、ばね(例えばコイルばね)、空気などの気体を詰めたチューブなどを採用することができる。これらの車両、車両用タイヤ、トレッド部、タイヤ弾性支持体についての記載は、請求項1〜4,9,10にも適用される。
車両用タイヤとは、空気入りタイヤ(空気室付きを含む)を除くエアレス式のタイヤをいう。具体的には、タイヤの構成体としてビード部、サイドウォール部が存在しないものをいう。
トレッド部は、車両用タイヤの接地部分を構成する部材である。トレッド部は、1個の環状体の他、環状のトレッド部体を、タイヤ周方向またはタイヤ幅方向へ分割した複数の部分トレッドからなるものでもよい。
トレッド部の素材としては、例えばゴムなどを採用することができる。
タイヤ弾性支持体としては、例えばゴム部材、ばね(例えばコイルばね)、空気などの気体を詰めたチューブなどを採用することができる。これらの車両、車両用タイヤ、トレッド部、タイヤ弾性支持体についての記載は、請求項1〜4,9,10にも適用される。
スライド手段の取り付け位置は、トレッド部とホイールのリムとの間であれば任意である。
スライド体およびスライドガイドの形状は、両部材が互いにスライド可能な関係を維持できれば任意である。例えば、スライド体が凸形状でスライドガイドが凹形状でも、またはその反対でもよい。その他、スライド体とスライドガイドの両方にそれぞれ凸部と凹部とが配設されたものでもよい。すなわち、便宜的に一方をスライド体、他方をスライドガイドと呼称しているにすぎない。
スライド体としては、例えば突起状の部材(棒材(ピンを含む)、板材、ブロック材など)を採用することができる。
ここでいうトレッド部およびリムの一方とは、スライド体が設けられる「トレッド部」または「リム」である。
スライド体は、トレッド部に対して分離可能な別体で設けても、リムに対して分離不能な一体または分離可能な別体で設けてもよい。スライド体のトレッド部またはリムにおける取り付け位置は任意である。例えば、トレッド部の幅方向の両端部、トレッド部の幅方向の中間部、リムの幅方向の中間部、リムのフランジの周縁(フランジのトレッド部側の周端)、フランジのタイヤ弾性支持体側(内側)、フランジのタイヤ弾性支持体側とは反対側(外側)などが挙げられる。
「スライド体がトレッド部に別体で設けられる」とは、スライド体が、トレッド部とは別の部材(異なる部材)として、トレッド部に取り付けられることをいう。具体的には、トレッド部の一部に、例えばスライド体を構成するピン部材を取り付けることをいう。
「スライド体がリムに一体で設けられる」とは、スライド体がリム(フランジを含む)に直接形成されている状態をいう。
「スライド体がリムに別体で設けられる」とは、スライド体が、リムとは別の部材(異なる部材)として、リムに取り付けられることをいう。具体的には、リムの一部(フランジなど)に、例えばスライド体を構成するピン部材を取り付けることをいう。
スライド体のトレッド部またはリムにおける設置位置は任意である。
スライド本体およびスライドガイドの使用本数は任意である。それぞれ1つずつ(リング状の場合を含む)でも、複数ずつでもよい。
スライド体およびスライドガイドの形状は、両部材が互いにスライド可能な関係を維持できれば任意である。例えば、スライド体が凸形状でスライドガイドが凹形状でも、またはその反対でもよい。その他、スライド体とスライドガイドの両方にそれぞれ凸部と凹部とが配設されたものでもよい。すなわち、便宜的に一方をスライド体、他方をスライドガイドと呼称しているにすぎない。
スライド体としては、例えば突起状の部材(棒材(ピンを含む)、板材、ブロック材など)を採用することができる。
ここでいうトレッド部およびリムの一方とは、スライド体が設けられる「トレッド部」または「リム」である。
スライド体は、トレッド部に対して分離可能な別体で設けても、リムに対して分離不能な一体または分離可能な別体で設けてもよい。スライド体のトレッド部またはリムにおける取り付け位置は任意である。例えば、トレッド部の幅方向の両端部、トレッド部の幅方向の中間部、リムの幅方向の中間部、リムのフランジの周縁(フランジのトレッド部側の周端)、フランジのタイヤ弾性支持体側(内側)、フランジのタイヤ弾性支持体側とは反対側(外側)などが挙げられる。
「スライド体がトレッド部に別体で設けられる」とは、スライド体が、トレッド部とは別の部材(異なる部材)として、トレッド部に取り付けられることをいう。具体的には、トレッド部の一部に、例えばスライド体を構成するピン部材を取り付けることをいう。
「スライド体がリムに一体で設けられる」とは、スライド体がリム(フランジを含む)に直接形成されている状態をいう。
「スライド体がリムに別体で設けられる」とは、スライド体が、リムとは別の部材(異なる部材)として、リムに取り付けられることをいう。具体的には、リムの一部(フランジなど)に、例えばスライド体を構成するピン部材を取り付けることをいう。
スライド体のトレッド部またはリムにおける設置位置は任意である。
スライド本体およびスライドガイドの使用本数は任意である。それぞれ1つずつ(リング状の場合を含む)でも、複数ずつでもよい。
スライドガイドは、トレッド部に分離可能な別体で設けても、リムに分離不能な一体または分離可能な別体で設けてもよい。
「スライドガイドがトレッド部に別体で設けられる」とは、スライドガイドが、トレッド部とは別の部材(異なる部材)として、トレッド部に取り付けられることをいう。具体的には、トレッド部の一部に、例えばスライドガイドを構成する筒部材または溝付きの部材を取り付けることをいう。
「スライドガイドがリムに一体で設けられる」とは、スライドガイドの一部を構成する例えば孔部または溝部などが、リム(フランジを含む)に直接形成されている状態をいう。
「スライドガイドがリムに別体で設けられる」とは、スライドガイドが、リムとは別の部材(異なる部材)として、リムに取り付けられることをいう。具体的には、リムの一部(フランジなど)に、例えばスライドガイドを構成する筒部材または溝付きの部材を取り付けることをいう。
スライドガイドのトレッド部またはリムにおける設置位置は任意である。
「スライドガイドがトレッド部に別体で設けられる」とは、スライドガイドが、トレッド部とは別の部材(異なる部材)として、トレッド部に取り付けられることをいう。具体的には、トレッド部の一部に、例えばスライドガイドを構成する筒部材または溝付きの部材を取り付けることをいう。
「スライドガイドがリムに一体で設けられる」とは、スライドガイドの一部を構成する例えば孔部または溝部などが、リム(フランジを含む)に直接形成されている状態をいう。
「スライドガイドがリムに別体で設けられる」とは、スライドガイドが、リムとは別の部材(異なる部材)として、リムに取り付けられることをいう。具体的には、リムの一部(フランジなど)に、例えばスライドガイドを構成する筒部材または溝付きの部材を取り付けることをいう。
スライドガイドのトレッド部またはリムにおける設置位置は任意である。
トレッド部およびリムの他方とは、前記「トレッド部」と「リム」とのうち、スライド体が設けられていない方(残った方)をいう。例えば、トレッド部にスライド体が設けられた場合、前記他方とはリムである。
スライド体およびスライドガイドは、タイヤ周方向へ所定ピッチで複数ずつ配設することができる。その場合、スライド体およびスライドガイドのピッチ幅は任意である。具体的には、例えば環状のトレッド部の内周側に所定ピッチで複数のスライド体を突設させ、これに対応するリムの外周側の所定ピッチ位置に、複数のスライドガイドを配設させる。反対に、各スライド体をリムの外周側に突設し、各スライドガイドをトレッド部の内周側に配設してもよい。
スライド体およびスライドガイドは、タイヤ周方向へ所定ピッチで複数ずつ配設することができる。その場合、スライド体およびスライドガイドのピッチ幅は任意である。具体的には、例えば環状のトレッド部の内周側に所定ピッチで複数のスライド体を突設させ、これに対応するリムの外周側の所定ピッチ位置に、複数のスライドガイドを配設させる。反対に、各スライド体をリムの外周側に突設し、各スライドガイドをトレッド部の内周側に配設してもよい。
傾斜許容手段とは、スライド体か、スライドガイドかこれらの両方かに対して、特定の支点を中心とした所定角度の揺動を可能とするもの、スライド体のスライド方向と直交する方向へのスライド体の所定距離を移動可能とするもの、これらの揺動と移動との両方を可能とするものをいう。このような動きを可能とすることで、車両走行中、異物を踏んだトレッド部の部分的な傾斜を許容する。
前記揺動の支点としては、例えばスライド体の基端部から先部までの任意の点、スライドガイドの基端部から先部までの任意の点を採用することができる。
傾斜許容手段は、(1)スライド体の任意位置か、(2)スライドガイドの任意位置か、(3)スライド体の任意位置とスライドガイドの任意位置との両方に設けられる。
スライド体およびスライドガイドを含む上記スライド手段に関する記載は、請求項2〜4,9,10,17,18にも適用される。また、上記傾斜許容手段に関する記載は、請求項4,17にも適用される。
前記揺動の支点としては、例えばスライド体の基端部から先部までの任意の点、スライドガイドの基端部から先部までの任意の点を採用することができる。
傾斜許容手段は、(1)スライド体の任意位置か、(2)スライドガイドの任意位置か、(3)スライド体の任意位置とスライドガイドの任意位置との両方に設けられる。
スライド体およびスライドガイドを含む上記スライド手段に関する記載は、請求項2〜4,9,10,17,18にも適用される。また、上記傾斜許容手段に関する記載は、請求項4,17にも適用される。
請求項2に記載の発明は、車両用タイヤのホイールと、該ホイールよりタイヤ半径方向の外方へ離間して配置され、前記車両用タイヤの接地部分を構成するトレッド部と、該トレッド部と前記ホイールのリムベースとの間に形成される解放された間隙に配置され、前記トレッド部から伝わる車両の荷重を支持するタイヤ弾性支持体と、前記トレッド部と前記ホイールのリムとの間に介在して設けられ、前記トレッド部をタイヤ半径方向にスライド自在とするスライド手段を備え、前記スライド手段は、前記トレッド部および前記リムの一方に一体または別体で突設されたスライド体と、前記トレッド部および前記リムの他方に一体または別体で設けられるとともに、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に取り付けられるスライドガイドとを有し、前記スライドガイドには、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に挿入される孔部が形成され、該スライドガイドには、前記孔部の内壁面と、該孔部に挿入される前記スライド体の外壁面との間で、前記スライド体に対して特定の支点を中心とした所定角度の揺動を可能とすることで、前記トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容領域部を、前記孔部の開口部を除く部分に有し、前記スライドガイドには、前記孔部の開口部から前記傾斜許容領域部までの間の部分に、該傾斜許容領域部より小径な部分が形成された車両用タイヤである。
請求項2に記載の発明によれば、車両走行中にトレッド部の一部が異物を踏むと、その部分のみにタイヤ中心方向への過剰な外力が作用し、この外力の作用部分に配置されたスライド体およびスライドガイドの一方が、孔部を介して、対応するスライド体およびスライドガイドの他方に沿って、タイヤ半径方向の内側へ移動する。その途中、スライド体の先部が傾斜許容領域部を通過する。その際、スライド体が、その外力の入力方向に応じてスライドガイドの内壁面と、これに対応するスライド体の外壁面との間で、トレッド部の部分的な傾斜を許容する揺動を行う。その結果、構造が簡単でかつ安価に、しかも前記外力の作用に伴うスライド体、スライドガイドの変形を防ぎながら、走行中の車両が異物を踏んだ際のトレッド部の傾斜領域(変形領域)を小さくし、走行の安定性を高めることができる。また、傾斜許容領域部は、このようなトレッド部の部分的な傾斜の許容だけでなく、トレッド部の全体的な傾斜も許容可能となっている。
スライドガイドの孔部としては、例えば長さ方向に直交する断面が円形、楕円形、四角形などのものを採用することができる。
傾斜許容領域部とは、スライドガイドの孔部の一部に形成され、スライド体の前記揺動を可能とする断面積を有した領域部分である。
また、傾斜許容領域部の形状としては、例えばスライドガイドの断面積を、スライドガイドの長さ方向の中間部から両端側へ徐々に小さくした形状(ナツメ形状、つぼみ形状など)を採用することができる。その際、傾斜許容領域部の口径(スライド体のスライド方向に直交する断面積)は、スライド体がスライドしながら揺動可能な大きさ(スライド体が丸棒の場合、スライド体の直径の1.1〜2倍)を要する。
孔部のうち、傾斜許容領域部より小径な部分(スライド体のスライド方向に直交する断面積が傾斜許容領域部より小さい部分)の断面積は、傾斜許容領域部の断面積より小さくなっている。この小径な部分は、孔部の長さ方向において、孔部の開口から傾斜許容領域部までの間の部分の一部でも、全部でもよい。スライドガイドのうち、孔部の開口部から傾斜許容領域部までの間の部分に、傾斜許容領域部より小径な部分を形成したので、スライド体が不必要な揺動をしない。
上記傾斜許容領域部に関する記載は、請求項3,5〜10,18にも適用される。また、上記孔部に関する記載は、請求項3,9,10にも適用される。このうち、孔部の小径な部分に関する記載は請求項9にも適用される。
傾斜許容領域部とは、スライドガイドの孔部の一部に形成され、スライド体の前記揺動を可能とする断面積を有した領域部分である。
また、傾斜許容領域部の形状としては、例えばスライドガイドの断面積を、スライドガイドの長さ方向の中間部から両端側へ徐々に小さくした形状(ナツメ形状、つぼみ形状など)を採用することができる。その際、傾斜許容領域部の口径(スライド体のスライド方向に直交する断面積)は、スライド体がスライドしながら揺動可能な大きさ(スライド体が丸棒の場合、スライド体の直径の1.1〜2倍)を要する。
孔部のうち、傾斜許容領域部より小径な部分(スライド体のスライド方向に直交する断面積が傾斜許容領域部より小さい部分)の断面積は、傾斜許容領域部の断面積より小さくなっている。この小径な部分は、孔部の長さ方向において、孔部の開口から傾斜許容領域部までの間の部分の一部でも、全部でもよい。スライドガイドのうち、孔部の開口部から傾斜許容領域部までの間の部分に、傾斜許容領域部より小径な部分を形成したので、スライド体が不必要な揺動をしない。
上記傾斜許容領域部に関する記載は、請求項3,5〜10,18にも適用される。また、上記孔部に関する記載は、請求項3,9,10にも適用される。このうち、孔部の小径な部分に関する記載は請求項9にも適用される。
請求項3に記載の発明は、車両用タイヤのホイールと、該ホイールよりタイヤ半径方向の外方へ離間して配置され、前記車両用タイヤの接地部分を構成するトレッド部と、該トレッド部と前記ホイールのリムベースとの間に形成される解放された間隙に配置され、前記トレッド部から伝わる車両の荷重を支持するタイヤ弾性支持体と、前記トレッド部と前記ホイールのリムとの間に介在して設けられ、前記トレッド部をタイヤ半径方向にスライド自在とするスライド手段を備え、前記スライド手段は、前記トレッド部および前記リムの一方に一体または別体で突設されたスライド体と、前記トレッド部および前記リムの他方に一体または別体で設けられるとともに、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に取り付けられるスライドガイドとを有し、前記スライドガイドには、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に挿入される孔部または溝部が形成され、該スライドガイドには、前記孔部または溝部の内壁面と、該孔部または溝部に挿入された前記スライド体の外壁面との間で、前記スライド体に対して特定の支点を中心とした所定角度の揺動を可能とすることで、前記トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容領域部が設けられ、前記孔部または溝部の奥部分には、前記スライド体を位置決めする幅狭な位置決め部が形成された車両用タイヤである。
請求項3に記載の発明によれば、車両走行中にトレッド部の一部が異物を踏むと、その部分のみにタイヤ中心方向への過剰な外力が作用し、この外力の作用部分に配置されたスライド体およびスライドガイドの一方が、孔部または溝部を介して、対応するスライド体およびスライドガイドの他方に沿って、タイヤ半径方向の内側へ移動する。その途中、スライド体の先部が傾斜許容領域部を通過する。その際、スライド体が、その外力の入力方向に応じてスライドガイドの内壁面と、これに対応するスライド体の外壁面との間で、トレッド部の部分的な傾斜を許容する揺動を行う。その結果、構造が簡単でかつ安価に、しかも前記外力の作用に伴うスライド体、スライドガイドの変形を防ぎながら、走行中の車両が異物を踏んだ際のトレッド部の傾斜領域(変形領域)を小さくし、走行の安定性を高めることができる。また、傾斜許容領域部は、このようなトレッド部の部分的な傾斜の許容だけでなく、トレッド部の全体的な傾斜も許容可能となっている。また、孔部または溝部の奥部分に、スライドガイド用の幅狭な位置決め部を設けたので、スライド体のスライドガイド内での不必要な揺動を防ぐことができる。しかも、スライドガイド内で最終的にスライド体を位置決めすることができる。
傾斜許容領域部は、例えばスライドガイドの孔部または溝部の一部の断面積を拡大することで形成される。傾斜許容領域部の形成範囲は任意である。孔部または溝部における傾斜許容領域部の形成範囲は任意である。
孔部または溝部は、その長さ方向がタイヤ半径方向に向いている。「孔部または溝部の奥部分」とは、孔部または溝部のリム側の端の部分をいう。上記スライドガイドの溝部に関する記載は、請求項5、6,7,10にも適用される。
傾斜許容領域部は、例えばスライドガイドの孔部または溝部の一部の断面積を拡大することで形成される。傾斜許容領域部の形成範囲は任意である。孔部または溝部における傾斜許容領域部の形成範囲は任意である。
孔部または溝部は、その長さ方向がタイヤ半径方向に向いている。「孔部または溝部の奥部分」とは、孔部または溝部のリム側の端の部分をいう。上記スライドガイドの溝部に関する記載は、請求項5、6,7,10にも適用される。
請求項4に記載の発明は、車両用タイヤのホイールと、該ホイールよりタイヤ半径方向の外方へ離間して配置され、前記車両用タイヤの接地部分を構成するトレッド部と、前記トレッド部と前記ホイールのリムベースとの間に形成される解放された間隙に配置され、前記トレッド部から伝わる車両の荷重を支持するタイヤ弾性支持体と、前記トレッド部の内周側で該トレッド部を固定するトレッド内側補強体と、該トレッド内側補強体と前記ホイールのリムとの間に介在して設けられ、前記トレッド内側補強体とともに前記トレッド部をタイヤ半径方向にスライド自在とするスライド手段とを備え、前記スライド手段は、前記トレッド内側補強体および前記リムの一方に設けられたスライド体と、前記トレッド内側補強体および前記リムの他方に設けられるとともに、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に取り付けられるスライドガイドとを有し、前記トレッド内側補強体に設けられた前記スライド体または前記スライドガイドは、このトレッド内側補強体とは別体に形成され、前記トレッド内側補強体には、前記スライド体または前記スライドガイドに対して、特定の支点を中心とした所定角度の揺動および前記スライド体のスライド方向と直交する方向への所定距離の移動のうち、少なくとも1つを可能とすることで、前記トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容手段が設けられた車両用タイヤである。
請求項4に記載の発明によれば、車両走行中、接地面からトレッド部に作用した外力は、トレッド部だけでなくトレッド内側補強体も受ける。そのため、車両走行中の路面からの衝撃に対する緩和効果が高まる。
また、車両走行中、トレッド部が異物を踏むと、トレッド部の一部のみに過剰な外力が作用し、この部分が大きく圧縮され、トレッド部の一部(トレッド内側補強体を弾性体から構成した場合にはトレッド内側補強体も)がそれぞれ変形して傾斜する。その際、トレッド部の傾斜部分において、傾斜許容手段によりスライド体が、外力の入力方向に応じてスライドガイド内で、特定の支点を中心とした所定角度で揺動するか、スライド体のスライド方向と直交する方向へ移動するか、揺動と移動との両方の動きをしながら、タイヤ半径方向へスライド(移動)する。これにより、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜(変形)がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。また、傾斜許容手段は、このようなトレッド部の部分的な傾斜の許容だけでなく、トレッド部の全体的な傾斜も許容可能となっている。
しかも、スライド手段として、トレッド内側補強体およびリムの一方に突設されたスライド体と、トレッド内側補強体およびリムの他方に設けられたスライドガイドとを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤの低コスト化が図れる。
また、車両走行中、トレッド部が異物を踏むと、トレッド部の一部のみに過剰な外力が作用し、この部分が大きく圧縮され、トレッド部の一部(トレッド内側補強体を弾性体から構成した場合にはトレッド内側補強体も)がそれぞれ変形して傾斜する。その際、トレッド部の傾斜部分において、傾斜許容手段によりスライド体が、外力の入力方向に応じてスライドガイド内で、特定の支点を中心とした所定角度で揺動するか、スライド体のスライド方向と直交する方向へ移動するか、揺動と移動との両方の動きをしながら、タイヤ半径方向へスライド(移動)する。これにより、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜(変形)がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。また、傾斜許容手段は、このようなトレッド部の部分的な傾斜の許容だけでなく、トレッド部の全体的な傾斜も許容可能となっている。
しかも、スライド手段として、トレッド内側補強体およびリムの一方に突設されたスライド体と、トレッド内側補強体およびリムの他方に設けられたスライドガイドとを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤの低コスト化が図れる。
トレッド内側補強体の素材は任意である。例えば各種のゴム、各種の金属、各種の合成樹脂、各種のセラミックスなどを採用することができる。トレッド内側補強体は、剛体でもよいが弾性体の方がトレッド部の変形に追従し易いので好ましい。
トレッド内側補強体は、トレッド部の内周側に固定されてトレッド部を補強する部材である。
トレッド内側補強体は、外径がトレッド部の内径と同じ環状体でもよい。この場合、トレッド内側補強体は弾性体でなければ、トレッド部の変形に追従することができない。トレッド内側補強体は、その周方向へ所定角度ずつ縦割りした多数枚の部分内側補強体から構成してもよい。トレッド内側補強体の大きさは任意である。この明細書でいう縦割りとは、短幅な筒体であるタイヤ(トレッド部)を、その一端面から他端面へ向かってタイヤの軸線を通過する仮想面に沿ってカットすることをいう。
スライド体は、トレッド内側補強体に突設されるか、リムに突設される。
スライドガイドは、スライド体がトレッド内側補強体に突設された場合にはリムに形成され、スライド体がリムに突設された場合にはトレッド内側補強体に形成される。
傾斜許容手段は、(1)トレッド内側補強体におけるスライド体の任意の位置か、(2)リムにおけるスライド体の任意の位置か、(3)スライドガイドかに設けられる。
傾斜許容手段により揺動または移動するのは、トレッド内側補強体またはリムに設けられたスライド体か、残った方のトレッド内側補強体またはリムに設けられたスライドガイドか、その両方である。ただし、リムに対して分離不能に一体化されたスライド体またはスライドガイドの場合を除く。これは、ブレーキドラムに固定されるリムが移動できないためである。トレッド内側補強体に関する記載は、請求項11,12にも適用される。
トレッド内側補強体は、トレッド部の内周側に固定されてトレッド部を補強する部材である。
トレッド内側補強体は、外径がトレッド部の内径と同じ環状体でもよい。この場合、トレッド内側補強体は弾性体でなければ、トレッド部の変形に追従することができない。トレッド内側補強体は、その周方向へ所定角度ずつ縦割りした多数枚の部分内側補強体から構成してもよい。トレッド内側補強体の大きさは任意である。この明細書でいう縦割りとは、短幅な筒体であるタイヤ(トレッド部)を、その一端面から他端面へ向かってタイヤの軸線を通過する仮想面に沿ってカットすることをいう。
スライド体は、トレッド内側補強体に突設されるか、リムに突設される。
スライドガイドは、スライド体がトレッド内側補強体に突設された場合にはリムに形成され、スライド体がリムに突設された場合にはトレッド内側補強体に形成される。
傾斜許容手段は、(1)トレッド内側補強体におけるスライド体の任意の位置か、(2)リムにおけるスライド体の任意の位置か、(3)スライドガイドかに設けられる。
傾斜許容手段により揺動または移動するのは、トレッド内側補強体またはリムに設けられたスライド体か、残った方のトレッド内側補強体またはリムに設けられたスライドガイドか、その両方である。ただし、リムに対して分離不能に一体化されたスライド体またはスライドガイドの場合を除く。これは、ブレーキドラムに固定されるリムが移動できないためである。トレッド内側補強体に関する記載は、請求項11,12にも適用される。
請求項5に記載の発明は、前記車両用タイヤは、リムベースおよびこのリムベースから突設された一対のフランジを含むリムを有するとともに、前記スライド体は、前記トレッド内側補強体の両フランジとの対向部分に別体で突設され、前記スライドガイドは、前記両フランジのタイヤ弾性支持体の側に一体または別体で配設され、長さ方向がタイヤ半径方向へ延びた溝部を有し、前記傾斜許容手段は、前記スライドガイドに形成され、かつ該スライドガイドの内壁面とこれに対応する前記スライド体の外壁面との間で、前記スライドガイドまたは前記スライド体に対して、前記揺動および前記移動のうち、少なくとも1つを可能とする形状の傾斜許容領域部を有した請求項4に記載の車両用タイヤである。
請求項5に記載の発明によれば、トレッド内側補強体の両フランジとの対向部分から突出したスライド体が、両フランジのタイヤ弾性支持体の側に配設された溝部にそれぞれ挿入され、タイヤ弾性支持体によってこの状態が維持される。
車両走行中、トレッド部が異物を踏み、トレッド部の一部(トレッド内側補強体が弾性体の場合にはトレッド内側補強体も)が変形して傾斜すれば、トレッド内側補強体の両フランジとの対向部分に突設され、かつ溝部内をタイヤ半径方向へ移動中のスライド体は、両フランジのタイヤ弾性支持体の側に配設された溝部の傾斜許容領域部により、特定の支点を中心とした所定角度で揺動しながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
スライドガイドの形成位置は、両フランジのタイヤ弾性支持体の側であれば任意である。例えば、フランジの元部でも中間部でも先部でもよい。
車両走行中、トレッド部が異物を踏み、トレッド部の一部(トレッド内側補強体が弾性体の場合にはトレッド内側補強体も)が変形して傾斜すれば、トレッド内側補強体の両フランジとの対向部分に突設され、かつ溝部内をタイヤ半径方向へ移動中のスライド体は、両フランジのタイヤ弾性支持体の側に配設された溝部の傾斜許容領域部により、特定の支点を中心とした所定角度で揺動しながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
スライドガイドの形成位置は、両フランジのタイヤ弾性支持体の側であれば任意である。例えば、フランジの元部でも中間部でも先部でもよい。
請求項6に記載の発明は、前記スライド体は、前記トレッド内側補強体のうちの一方のフランジと対向する面と他方のフランジと対向する面とを貫通して該トレッド内側補強体内に形成された貫通孔に、長さ方向の両端部を前記フランジとの対向面から該フランジへそれぞれ突出状態で挿入される棒材で、前記スライドガイドは、前記両フランジのタイヤ弾性支持体の側に一体または別体で配設され、かつ長さ方向がタイヤ半径方向へ延びて前記スライド体の長さ方向の端部が挿入される溝部を有し、前記傾斜許容手段は、前記トレッド内側補強体に形成され、かつ前記貫通孔の内壁面とこれに対応する前記スライド体の外壁面との間で、前記スライド体に対して、前記揺動および前記移動のうち、少なくとも1つを可能とする形状の傾斜許容領域部を有した請求項4に記載の車両用タイヤである。
請求項6に記載の発明によれば、トレッド内側補強体の貫通孔から突出したスライド体の両端部が、両フランジのタイヤ弾性支持体の側に配設された溝部にそれぞれ挿入され、タイヤ弾性支持体によってこの状態が維持される。
車両走行中、トレッド部が異物を踏み、トレッド部の一部(トレッド内側補強体が弾性体の場合にはトレッド内側補強体も)が変形して傾斜すれば、溝部内をタイヤ半径方向へ移動中のスライド体は、貫通孔の内壁面とこれに対応するスライド体の外壁面との間に設けられた傾斜許容領域部により、特定の支点を中心とした所定角度での揺動およびスライド体のスライド方向と直交する方向への所定距離の移動のうち、少なくとも1つをしながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
車両走行中、トレッド部が異物を踏み、トレッド部の一部(トレッド内側補強体が弾性体の場合にはトレッド内側補強体も)が変形して傾斜すれば、溝部内をタイヤ半径方向へ移動中のスライド体は、貫通孔の内壁面とこれに対応するスライド体の外壁面との間に設けられた傾斜許容領域部により、特定の支点を中心とした所定角度での揺動およびスライド体のスライド方向と直交する方向への所定距離の移動のうち、少なくとも1つをしながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
トレッド内側補強体の貫通孔の形成数は任意である。1つでも、2つ以上でもよい。
トレッド内側補強体の貫通孔の形成位置も、トレッド内側補強体のうち、一方のフランジと対向する面と他方のフランジと対向する面とを貫通して形成可能であれば任意である。
貫通孔の長さ方向へ直交する断面形状は、例えば円形状、楕円形状、多角形状でもよい。
スライド体の長さ方向に直交する断面形状は、前記貫通孔の長さ方向へ直交する断面形状に対応した形状である。
スライド体の長さは、貫通孔の長さより長ければよい。
傾斜許容領域部は、貫通孔に挿入されたスライド体に対して、特定の支点を中心とした所定角度で揺動させたり、スライド体のスライド方向と直交する方向へ移動させたり、これらの揺動と移動との両方を行わせる。
トレッド内側補強体の貫通孔の形成位置も、トレッド内側補強体のうち、一方のフランジと対向する面と他方のフランジと対向する面とを貫通して形成可能であれば任意である。
貫通孔の長さ方向へ直交する断面形状は、例えば円形状、楕円形状、多角形状でもよい。
スライド体の長さ方向に直交する断面形状は、前記貫通孔の長さ方向へ直交する断面形状に対応した形状である。
スライド体の長さは、貫通孔の長さより長ければよい。
傾斜許容領域部は、貫通孔に挿入されたスライド体に対して、特定の支点を中心とした所定角度で揺動させたり、スライド体のスライド方向と直交する方向へ移動させたり、これらの揺動と移動との両方を行わせる。
請求項7に記載の発明は、前記スライド体は、先端部が前記フランジへ向かった突出状態で、前記トレッド内側補強体の両フランジとの対向部分に形成された掛合凹部に掛合される突起で、前記スライドガイドは、前記両フランジのタイヤ弾性支持体の側に一体または別体で配設され、かつ長さ方向がタイヤ半径方向へ延びて前記スライド体の先端部が挿入される溝部を有し、前記傾斜許容手段は、前記トレッド内側補強体に形成され、かつ前記掛合凹部の内壁面とこれに対応する前記スライド体の外壁面との間で、前記スライド体に対して、前記揺動および前記移動のうち、少なくとも1つを可能とする形状の傾斜許容領域部を有した請求項4に記載の車両用タイヤである。
請求項7に記載の発明によれば、トレッド内側補強体の掛合凹部から突出したスライド体の先端部が、両フランジのタイヤ弾性支持体の側に配設された溝部にそれぞれ挿入され、タイヤ弾性支持体によってこの状態が維持される。
車両走行中、トレッド部が異物を踏み、トレッド部の一部(トレッド内側補強体が弾性体の場合にはトレッド内側補強体も)が変形して傾斜すれば、溝部内をタイヤ半径方向へ移動中のスライド体は、掛合凹部の内壁面とこれに対応するスライド体の外壁面との間に設けられた傾斜許容領域部により、特定の支点を中心とした所定角度での揺動およびスライド体のスライド方向と直交する方向への所定距離の移動のうち、少なくとも1つを行いながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
車両走行中、トレッド部が異物を踏み、トレッド部の一部(トレッド内側補強体が弾性体の場合にはトレッド内側補強体も)が変形して傾斜すれば、溝部内をタイヤ半径方向へ移動中のスライド体は、掛合凹部の内壁面とこれに対応するスライド体の外壁面との間に設けられた傾斜許容領域部により、特定の支点を中心とした所定角度での揺動およびスライド体のスライド方向と直交する方向への所定距離の移動のうち、少なくとも1つを行いながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
トレッド内側補強体の掛合凹部の形成数は任意である。1つでも、2つ以上でもよい。
トレッド内側補強体における掛合凹部の形成位置は、両フランジとの対向部分であれば任意である。
掛合凹部の形状は、スライド体の元部を掛合可能な形状であれば任意である。例えば平面視して凸形状、J字形状などでもよい。
スライド体の形状は、例えば平面視してT字形、J字形などを採用することができる。
スライド体の長さは、掛合凹部の長さより長ければよい。
傾斜許容領域部は、掛合凹部に掛合されたスライド体に対して、特定の支点を中心とした所定角度での揺動させたり、スライド体のスライド方向と直交する方向へ移動させたり、これらの揺動と移動との両方を行わせる。
トレッド内側補強体における掛合凹部の形成位置は、両フランジとの対向部分であれば任意である。
掛合凹部の形状は、スライド体の元部を掛合可能な形状であれば任意である。例えば平面視して凸形状、J字形状などでもよい。
スライド体の形状は、例えば平面視してT字形、J字形などを採用することができる。
スライド体の長さは、掛合凹部の長さより長ければよい。
傾斜許容領域部は、掛合凹部に掛合されたスライド体に対して、特定の支点を中心とした所定角度での揺動させたり、スライド体のスライド方向と直交する方向へ移動させたり、これらの揺動と移動との両方を行わせる。
請求項8に記載の発明は、前記スライド体には、両端面を貫通して形成された挿入孔を介して、前記スライド体の長さ方向へスライド自在な揺動子が装着され、前記傾斜許容手段は、前記スライドガイドに形成され、かつ該スライドガイドが有する孔部の内壁面と、該孔部に挿入される前記揺動子の外壁面との間で、該揺動子に対して前記揺動を可能とする傾斜許容領域部を有した請求項1または請求項4に記載の車両用タイヤである。
請求項8に記載の発明によれば、スライド体は、揺動子を介してスライドガイドの傾斜許容領域部において揺動する。そのため、スライド体の揺動時、スライド体の外壁面がスライドガイドの内壁面と接触して生じる摩耗を防ぐことができる。しかも、スライド体の揺動の円滑性も高まる。
揺動子の形状は任意である。例えば、砲弾形、球形、ナツメ形などを採用することができる。外周面は段差がないなだらかな面の方が、傾斜許容領域部との接触時の抵抗(摩耗)が小さくて好ましい。孔部の奥部分には、スライド体を位置決めする幅狭な位置決め部を形成してもよい。これにより、スライド体のスライドガイド内での不必要な揺動を防ぐことができる。
揺動子の形状は任意である。例えば、砲弾形、球形、ナツメ形などを採用することができる。外周面は段差がないなだらかな面の方が、傾斜許容領域部との接触時の抵抗(摩耗)が小さくて好ましい。孔部の奥部分には、スライド体を位置決めする幅狭な位置決め部を形成してもよい。これにより、スライド体のスライドガイド内での不必要な揺動を防ぐことができる。
請求項9に記載の発明は、車両用タイヤのホイールと、該ホイールよりタイヤ半径方向の外方へ離間して配置され、前記車両用タイヤの接地部分を構成するトレッド部と、該トレッド部と前記ホイールのリムベースとの間に形成される解放された間隙に配置され、前記トレッド部から伝わる車両の荷重を支持するタイヤ弾性支持体と、前記トレッド部の内周側で該トレッド部を固定するトレッド内側補強体と、該トレッド内側補強体と前記ホイールのリムとの間に介在して設けられ、前記トレッド内側補強体とともに前記トレッド部をタイヤ半径方向にスライド自在とするスライド手段とを備え、前記スライド手段は、前記トレッド内側補強体および前記リムの一方に一体または別体で突設されたスライド体と、前記トレッド内側補強体および前記リムの他方に一体または別体で設けられるとともに、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に挿入される孔部が形成されたスライドガイドとを有し、該スライドガイドには、前記孔部の内壁面と、該孔部に挿入される前記スライド体の外壁面との間で、前記スライド体に対して特定の支点を中心とした所定角度の揺動を可能とすることで、前記トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容領域部を、前記孔部の開口部を除く部分に有し、前記スライドガイドには、前記孔部の開口部から前記傾斜許容領域部までの間の部分に、該傾斜許容領域部より小径な部分が形成された車両用タイヤである。
請求項9に記載の発明によれば、トレッド部は、トレッド内側補強体を介して、タイヤ弾性支持体によりタイヤ半径方向の内側(リム側)から弾性的に常時支持されている。車両走行中、接地面からトレッド部に作用した外力は、トレッド部だけでなくトレッド内側補強体も受ける。そのため、車両走行中の路面からの衝撃に対する緩和効果が高まる。
また、車両走行中、トレッド部が異物を踏むと、トレッド部の一部のみに過剰な外力が作用し、この部分が大きく圧縮され、トレッド部の一部(トレッド内側補強体が弾性体の場合にはトレッド内側補強体も)が変形して傾斜する。
このとき、スライドガイドの孔部には、その開口部を除く部分に、スライド体に対して特定の支点を中心とした所定角度の揺動を可能として、トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容領域部が形成されている。また、スライドガイドには、孔部の開口部から傾斜許容領域部までの間の部分に、傾斜許容領域部より小径な部分が形成されている。
また、車両走行中、トレッド部が異物を踏むと、トレッド部の一部のみに過剰な外力が作用し、この部分が大きく圧縮され、トレッド部の一部(トレッド内側補強体が弾性体の場合にはトレッド内側補強体も)が変形して傾斜する。
このとき、スライドガイドの孔部には、その開口部を除く部分に、スライド体に対して特定の支点を中心とした所定角度の揺動を可能として、トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容領域部が形成されている。また、スライドガイドには、孔部の開口部から傾斜許容領域部までの間の部分に、傾斜許容領域部より小径な部分が形成されている。
そのため、トレッド部の傾斜部分において、傾斜許容領域部によりスライド体が、外力の入力方向に応じてスライドガイドの孔部内で、特定の支点を中心とした所定角度で揺動しながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。また、傾斜許容領域部は、このようなトレッド部の部分的な傾斜の許容だけでなく、トレッド部の全体的な傾斜も許容可能とする。
しかも、スライド手段として、トレッド内側補強体およびリムの一方に突設されたスライド体と、トレッド内側補強体およびリムの他方に設けられ、孔部に傾斜許容領域部が形成されたスライドガイドとを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤの低コスト化が図れる。
しかも、スライド手段として、トレッド内側補強体およびリムの一方に突設されたスライド体と、トレッド内側補強体およびリムの他方に設けられ、孔部に傾斜許容領域部が形成されたスライドガイドとを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤの低コスト化が図れる。
スライド体は、トレッド内側補強体とリムとの何れに設けてもよい。
傾斜許容領域部が形成された孔部付きのスライドガイドは、スライド体が形成されなかったトレッド内側補強体またはリムに設けられる。
傾斜許容領域部は、例えば孔部の一部を大径化して形成される。傾斜許容領域部の形成範囲は、孔部の開口部を除く部分である。これは、傾斜許容領域部より小径な部分を、孔部の開口部から傾斜許容領域部までの間の部分に形成する必要があるからである。小径な部分の大きさ(口径)は、スライド体が揺動可能な大きさである。
傾斜許容領域部が形成された孔部付きのスライドガイドは、スライド体が形成されなかったトレッド内側補強体またはリムに設けられる。
傾斜許容領域部は、例えば孔部の一部を大径化して形成される。傾斜許容領域部の形成範囲は、孔部の開口部を除く部分である。これは、傾斜許容領域部より小径な部分を、孔部の開口部から傾斜許容領域部までの間の部分に形成する必要があるからである。小径な部分の大きさ(口径)は、スライド体が揺動可能な大きさである。
請求項10に記載の発明は、車両用タイヤのホイールと、該ホイールよりタイヤ半径方向の外方へ離間して配置され、前記車両用タイヤの接地部分を構成するトレッド部と、該トレッド部と前記ホイールのリムベースとの間に形成される解放された間隙に配置され、前記トレッド部から伝わる車両の荷重を支持するタイヤ弾性支持体と、前記トレッド部の内周側で該トレッド部を固定するトレッド内側補強体と、該トレッド内側補強体と前記ホイールのリムとの間に介在して設けられ、前記トレッド内側補強体とともに前記トレッド部をタイヤ半径方向にスライド自在とするスライド手段とを備え、前記スライド手段は、前記トレッド内側補強体および前記リムの一方に一体または別体で突設されたスライド体と、前記トレッド内側補強体および前記リムの他方に一体または別体で設けられるとともに、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に挿入される孔部または溝部が形成されたスライドガイドとを有し、該スライドガイドには、前記孔部または溝部の内壁面と、該孔部または溝部に挿入された前記スライド体の外壁面との間で、前記スライド体に対して特定の支点を中心とした所定角度の揺動を可能とすることで、前記トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容領域部が設けられ、前記孔部または溝部の奥部分には、前記スライド体を位置決めする幅狭な位置決め部が形成された車両用タイヤである。
請求項10に記載の発明によれば、車両走行中、接地面からトレッド部に作用した外力は、トレッド部だけでなくトレッド内側補強体も受ける。そのため、車両走行中の路面からの衝撃に対する緩和効果が高まる。
また、車両走行中、トレッド部が異物を踏むと、トレッド部の一部のみに過剰な外力が作用し、この部分が大きく圧縮され、トレッド部の一部(トレッド内側補強体が弾性体の場合にはトレッド内側補強体も)が変形して傾斜する。
このとき、スライドガイドの孔部または溝部には、スライド体に対して特定の支点を中心とした所定角度の揺動を可能として、トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容領域部が形成されている。
また、車両走行中、トレッド部が異物を踏むと、トレッド部の一部のみに過剰な外力が作用し、この部分が大きく圧縮され、トレッド部の一部(トレッド内側補強体が弾性体の場合にはトレッド内側補強体も)が変形して傾斜する。
このとき、スライドガイドの孔部または溝部には、スライド体に対して特定の支点を中心とした所定角度の揺動を可能として、トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容領域部が形成されている。
そのため、トレッド部の傾斜部分において、傾斜許容領域部によりスライド体が、外力の入力方向に応じてスライドガイドの孔部または溝部内で、特定の支点を中心とした所定角度で揺動しながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。また、傾斜許容領域部は、このようなトレッド部の部分的な傾斜の許容だけでなく、トレッド部の全体的な傾斜も許容可能とする。
しかも、スライド手段として、トレッド内側補強体およびリムの一方に突設されたスライド体と、トレッド内側補強体およびリムの他方に設けられ、孔部または溝部に傾斜許容領域部が形成されたスライドガイドとを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤの低コスト化が図れる。また、孔部または溝部の奥部分に、スライドガイド用の幅狭な位置決め部を設けたので、スライド体のスライドガイド内での不必要な揺動を防ぐことができる。しかも、スライドガイド内で最終的にスライド体を位置決めすることができる。
しかも、スライド手段として、トレッド内側補強体およびリムの一方に突設されたスライド体と、トレッド内側補強体およびリムの他方に設けられ、孔部または溝部に傾斜許容領域部が形成されたスライドガイドとを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤの低コスト化が図れる。また、孔部または溝部の奥部分に、スライドガイド用の幅狭な位置決め部を設けたので、スライド体のスライドガイド内での不必要な揺動を防ぐことができる。しかも、スライドガイド内で最終的にスライド体を位置決めすることができる。
請求項11に記載の発明は、前記トレッド部には、該トレッド部を補強する剛体または弾性体からなる埋め込み補強部材が埋設され、該埋め込み補強部材には、被連結体を前記トレッド部の内周面、外周面および端面のうち、少なくとも1つに連結可能な連結構造部が設けられた請求項1〜請求項10のうち、何れか1項に記載の車両用タイヤである。
請求項11に記載の発明によれば、トレッド部は、埋め込み補強部材の埋設によって補強されている。しかも、埋め込み補強部材は連結構造部を有している。そのため、連結構造部に被連結体を連結することで、埋め込み補強部材を介して、被連結体をトレッド部に連結することができる。
埋め込み補強部材としては、例えばトレッド部に埋め込まれる網部材、板部材、ブロック材、布(シート)材などを採用することができる。埋め込み補強部材は、剛体でも弾性体でもよい。
埋め込み補強部材の素材は任意である。例えば、鉄、ステンレスなどの金属、ポリアセタール、ポリカーボネートなどの合成樹脂(繊維強化樹脂を含む)を採用することができる。
埋め込み補強部材の形状は任意である。例えば、トレッド部の全周にわたる直径を有する環形状、矩形板形状などを採用することができる。複数の埋め込み補強部材を使用する場合には、隣接する埋め込み補強部材の突き合わせ端部同士を例えばフックなどの連結部材により順次連結し、前記トレッド部の全周にわたる直径を有する1つの環形状の埋め込み補強部材としてもよい。
埋め込み補強部材の素材は任意である。例えば、鉄、ステンレスなどの金属、ポリアセタール、ポリカーボネートなどの合成樹脂(繊維強化樹脂を含む)を採用することができる。
埋め込み補強部材の形状は任意である。例えば、トレッド部の全周にわたる直径を有する環形状、矩形板形状などを採用することができる。複数の埋め込み補強部材を使用する場合には、隣接する埋め込み補強部材の突き合わせ端部同士を例えばフックなどの連結部材により順次連結し、前記トレッド部の全周にわたる直径を有する1つの環形状の埋め込み補強部材としてもよい。
埋め込み補強部材は、トレッド部の全周にわたって不断的に埋め込まれても、トレッド部の周方向に所定間隔をあけて埋め込まれてもよい。
連結構造部としては、例えば、各種の凸部(ピン、ビス、ボルトなど)、各種の凹部(ピン孔、ビス孔などの貫通孔(長孔を含む)、ナットなど)、各種の掛止部(フックなど)を採用することができる。具体的には、連結構造部である凸部、凹部、掛止部などを介して、被連結体をトレッド部に埋設された埋め込み補強部材に着脱自在または分離不能に連結する。
埋め込み補強部材に対する連結構造部の取り付け位置、連結構造部の取り付け数はそれぞれ任意である。
被連結体としては、例えば前記スライド体、前記スライドガイド、トレッド内側補強体などを採用することができる。その他、降雪走行時にトレッド部の外周面に装着されるチェーンおよびスパイクピンなどを採用することができる。このうち、埋め込み補強部材に関する記載は、埋め込み補強部材が剛体である点を除き、請求項15にも適用される。
連結構造部としては、例えば、各種の凸部(ピン、ビス、ボルトなど)、各種の凹部(ピン孔、ビス孔などの貫通孔(長孔を含む)、ナットなど)、各種の掛止部(フックなど)を採用することができる。具体的には、連結構造部である凸部、凹部、掛止部などを介して、被連結体をトレッド部に埋設された埋め込み補強部材に着脱自在または分離不能に連結する。
埋め込み補強部材に対する連結構造部の取り付け位置、連結構造部の取り付け数はそれぞれ任意である。
被連結体としては、例えば前記スライド体、前記スライドガイド、トレッド内側補強体などを採用することができる。その他、降雪走行時にトレッド部の外周面に装着されるチェーンおよびスパイクピンなどを採用することができる。このうち、埋め込み補強部材に関する記載は、埋め込み補強部材が剛体である点を除き、請求項15にも適用される。
請求項12に記載の発明は、前記連結構造部は、前記傾斜許容手段の一部を構成し、かつ前記被連結体に着脱自在に取り付けられる軸受構造体で、該軸受構造体には、前記被連結体への取り付け部分に元部が取り付けられた前記スライド体が、前記元部を中心とした所定角度の揺動および前記スライド体のスライド方向と直交する方向への所定距離の移動のうち、少なくとも1つが可能な状態で軸支されている請求項11に記載の車両用タイヤである。
請求項12に記載の発明によれば、車両走行中に異物を踏むと、トレッド部の一部のみに過度な外力が作用し、その作用部分において、スライド体がスライドガイドに沿って、タイヤ半径方向の内側へ移動する。このとき、スライド体の元部が前記外力方向に応じて軸受構造体に取り付けられた状態で自在に揺動する。そのため、構造が簡単でかつ安価に、走行中の車両が異物を踏んだ際のトレッド部の変形領域を小さくし、走行の安定性を高めることができる。
軸受構造体の素材としては、例えばステンレスなどの各種の金属、各種の合成樹脂などを採用することができる。軸受構造体の形状は任意である。例えば、直方体の容器状、円柱体の容器状、ドーム型(半球体など)の容器状などを採用することができる。この場合、スライド体は軸受構造体に取り付けられた元部を中心として所定角度だけ揺動しても、スライド体のスライド方向と直交する方向への所定距離だけ移動しても、これらの揺動と移動とを共に行ってもよい。
請求項13に記載の発明は、前記トレッド部には、該トレッド部を補強する弾性を有した埋め込み補強部材が埋設された請求項1〜請求項10のうち、何れか1項に記載の車両用タイヤである。
請求項13に記載の発明によれば、埋め込み補強部材が弾性体であるため、車両走行中におけるトレッド部の一部または全部の変形に、柔軟に対応することができる。
弾性体である埋め込み補強部材の素材としては、例えば金属製または合成樹脂製の板ばね、ピアノ線などを採用することができる。
弾性体である埋め込み補強部材の素材としては、例えば金属製または合成樹脂製の板ばね、ピアノ線などを採用することができる。
請求項14に記載の発明は、前記タイヤ弾性支持体は、弾性力が異なる複数の部分弾性支持体からなる請求項1〜請求項13のうち、何れか1項に記載の車両用タイヤである。
請求項14に記載の発明によれば、車両走行中、路面からトレッド部へ伝わる小さい衝撃力は低弾性力の部分弾性支持体が受ける。一方、路面からの大きい衝撃力は、低弾性力の部分弾性支持体では不十分で、高弾性力の部分弾性支持体が受ける。このように、衝撃力の大きさに応じて、弾性力が異なる複数の部分弾性支持体によりトレッド部からの衝撃を緩和するので、タイヤ弾性支持体の弾性力が単一のものに比べて、車両の乗り心地の快適さを高めることができる。
各部分弾性支持体の素材は、同じ素材でもまたは別の素材でもよい。
また、各部分弾性支持体の種類は、同じ種類(例えば同じコイルばね)でも、異なる種類(例えばコイルばねと板ばね)でもよい。
部分弾性支持体の使用数は2つ以上であれば任意である。
また、各部分弾性支持体の種類は、同じ種類(例えば同じコイルばね)でも、異なる種類(例えばコイルばねと板ばね)でもよい。
部分弾性支持体の使用数は2つ以上であれば任意である。
請求項15に記載の発明は、前記トレッド部のタイヤ幅方向の少なくとも一端部には、該トレッド部のタイヤ幅方向の長さを変更するトレッド幅変更部材が固定状態または着脱自在に設けられた請求項1〜請求項14のうち、何れか1項に記載の車両用タイヤである。
請求項15に記載の発明によれば、トレッド部のタイヤ幅方向の一端部か、他端部かまたはその両端部に、トレッド幅変更部材を固定状態または着脱自在に取り付ける。これにより、トレッド部の幅方向の長さを調整することができる。その結果、1つのタイヤをトレッド部の幅が広いラジアルタイヤに変更したり、その逆の変更を行うことができる。
トレッド幅変更部材としては、例えば、トレッド部と同じ素材または別の素材(金属など)からなる環状体を採用することができる。トレッド幅変更部材は、トレッド部に対して固定されるものでも、着脱自在のものでもよい。
トレッド幅変更部材としては、例えば、トレッド部と同じ素材または別の素材(金属など)からなる環状体を採用することができる。トレッド幅変更部材は、トレッド部に対して固定されるものでも、着脱自在のものでもよい。
請求項16に記載の発明は、前記トレッド部は、両端部が着脱自在に連結可能な1本の帯状トレッド部または該トレッド部をタイヤ周方向またはタイヤ幅方向に複数に分割した複数個の部分トレッドから構成され、隣接する各部分トレッドは、部分間連結体により着脱自在に連結される請求項1〜請求項15のうち、何れか1項に記載の車両用タイヤである。
請求項16に記載の発明によれば、複数の部分トレッドを部分間連結体により着脱自在に連結してトレッド部を設けるので、1つのトレッド部を、タイヤの直径が異なる各種のタイヤに適用することができる。
部分トレッドの平面視した形状は任意である。例えば矩形状でもよい。
部分間連結体としては、例えば、隣接する部分トレッドの各対向側に一体または別体で形成された凸部または凹部などを採用することができる。
部分トレッドの平面視した形状は任意である。例えば矩形状でもよい。
部分間連結体としては、例えば、隣接する部分トレッドの各対向側に一体または別体で形成された凸部または凹部などを採用することができる。
請求項17に記載の発明は、車両用タイヤのホイールと、該ホイールよりタイヤ半径方向の外方へ離間して配置され、前記車両用タイヤの接地部分を構成するトレッド部と、該トレッド部と前記ホイールのリムベースとの間に形成される解放された間隙に配置され、前記トレッド部から伝わる車両の荷重を支持するタイヤ弾性支持体と、前記トレッド部の内周側で該トレッド部を固定するトレッド内側補強体と、前記トレッド部またはトレッド内側補強体と前記ホイールのリムとの間に介在して設けられ、前記トレッド内側補強体とともに前記トレッド部をタイヤ半径方向にスライド自在とするスライド手段とを備え、前記スライド手段は、前記トレッド部または前記トレッド内側補強体に別体で突設された板形状のスライド体と、前記リムに一体または別体で設けられるとともに、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に取り付けられる板形状のスライドガイドとを有し、前記トレッド部またはトレッド内側補強体には、前記スライド体に対して、特定の支点を中心とした所定角度の揺動および前記スライド体のスライド方向と直交する方向への所定距離の移動のうち、少なくとも1つを可能とすることで、前記トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容手段が設けられた車両用タイヤである。
請求項17に記載の発明によれば、外方からトレッド部に車両の荷重などが伝わると、タイヤ弾性支持体の弾性力に抗して、トレッド部がスライド手段によりガイドされながらタイヤ半径方向の内側へ移動する。これにより、トレッド部がタイヤ半径方向の内側へ正確かつ安定して移動でき、車両の乗り心地の快適さを高めることができる。
また、トレッド部とリムとを別体としたので、例えばトレッドパターンが使用中にすり減った場合には、トレッド部のみの交換が可能である。
しかも、トレッド部とホイールのリムベースとの間に、外部と連通する間隙が存在する。そのため、例えばソリッドタイヤのように、トレッド部がショルダ部およびサイドウォール部と一体化したものに比べて、タイヤ材料の使用量を削減することができる。
また、トレッド部とリムとを別体としたので、例えばトレッドパターンが使用中にすり減った場合には、トレッド部のみの交換が可能である。
しかも、トレッド部とホイールのリムベースとの間に、外部と連通する間隙が存在する。そのため、例えばソリッドタイヤのように、トレッド部がショルダ部およびサイドウォール部と一体化したものに比べて、タイヤ材料の使用量を削減することができる。
さらに、車両走行中、トレッド部が異物を踏むと、トレッド部の一部のみに過剰な外力が作用し、この作用部分が大きく圧縮され、トレッド部の一部が変形して傾斜する。その際、この傾斜部分において、傾斜許容手段によりスライド体の両端部が、外力の入力方向に応じてスライドガイド内で、特定の支点を中心とした所定角度で揺動するか、スライド体のスライド方向と直交する方向へ移動するか、これらの両方の動きをしながら、タイヤ半径方向へスライドする。この揺動や移動により、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。また、スライド手段として、トレッド部またはトレッド内側補強体に突設されたスライド体と、リムに設けられたスライドガイドとを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤの低コスト化が図れる。
スライド体の形状は、板状であれば任意である。例えば矩形板、台形板、半円板、楕円板、三角板、五角形以上の多角板などを採用することができる。
トレッド部またはトレッド内側補強体とリムとに配設(スライド体のタイヤ半径方向の両端部に配設)される傾斜許容手段の構造は任意である。また、このスライド体の両端部には、同じ構造の傾斜許容手段が配設されても、構造が異なる傾斜許容手段が配設されてもよい。
傾斜許容手段は、スライド体の両端に対して、特定の支点を中心とした所定角度で揺動させても、スライド体のスライド方向と直交する方向へ移動されても、これらの両方を行わせてもよい。
トレッド部またはトレッド内側補強体とリムとに配設(スライド体のタイヤ半径方向の両端部に配設)される傾斜許容手段の構造は任意である。また、このスライド体の両端部には、同じ構造の傾斜許容手段が配設されても、構造が異なる傾斜許容手段が配設されてもよい。
傾斜許容手段は、スライド体の両端に対して、特定の支点を中心とした所定角度で揺動させても、スライド体のスライド方向と直交する方向へ移動されても、これらの両方を行わせてもよい。
請求項1に記載の発明によれば、外方からトレッド部に車両の荷重などが伝わると、タイヤ弾性支持体の弾性力に抗して、トレッド部がスライド手段によりガイドされながらタイヤ半径方向の内側(ホイールの中心方向)へ移動する。これにより、トレッド部がタイヤ半径方向の内側へ正確かつ安定して移動でき、車両の乗り心地の快適さを高めることができる。
また、トレッド部とリムとを別体としたので、例えばトレッドパターンが使用中にすり減った場合には、トレッド部のみの交換が可能である。
しかも、トレッド部とホイールのリムベースとの間に、外部と連通する間隙(解放域)が存在する。そのため、例えば特許文献1に記載のソリッドタイヤのように、トレッド部がショルダ部およびサイドウォール部と一体化したものに比べて、タイヤ材料(例えばゴム材)の使用量を削減することができる。
また、トレッド部とリムとを別体としたので、例えばトレッドパターンが使用中にすり減った場合には、トレッド部のみの交換が可能である。
しかも、トレッド部とホイールのリムベースとの間に、外部と連通する間隙(解放域)が存在する。そのため、例えば特許文献1に記載のソリッドタイヤのように、トレッド部がショルダ部およびサイドウォール部と一体化したものに比べて、タイヤ材料(例えばゴム材)の使用量を削減することができる。
さらに、車両走行中、トレッド部が異物を踏むと、トレッド部の一部のみに過剰な外力が作用し、この作用部分が大きく圧縮され、トレッド部の一部が変形して傾斜する。その際、この傾斜部分において、傾斜許容手段によりスライド体およびスライドガイドの少なくとも一方が、外力の入力方向に応じてスライド体およびスライドガイドの少なくとも他方内で、特定の支点を中心とした所定角度で揺動するか、スライド体のスライド方向と直交する方向へ移動するか、これらの両方の動きをしながら、タイヤ半径方向へスライド(移動)する。この揺動や移動により、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜(変形)がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。また、傾斜許容手段は、このようにトレッド部の部分的な傾斜の許容が可能であることから、これをトレッド部の接地部分の全体に適用することで、トレッド部の全体的な傾斜(カーブにおける車両の道路勾配の走行状態)も許容可能となっている。
しかも、スライド手段として、トレッド部およびリムの一方に突設されたスライド体と、トレッド部およびリムの他方に設けられたスライドガイドとを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤの低コスト化が図れる。
しかも、スライド手段として、トレッド部およびリムの一方に突設されたスライド体と、トレッド部およびリムの他方に設けられたスライドガイドとを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤの低コスト化が図れる。
特に、請求項2に記載の発明によれば、車両走行中にトレッド部の一部が異物を踏むと、その部分のみにタイヤ中心方向への過剰な外力が作用し、スライド体およびスライドガイドの一方が、孔部を介して、対応するスライド体およびスライドガイドの他方に沿って、タイヤ半径方向の内側へ移動する。その途中、スライド体の先部が傾斜許容領域部を通過する。その際、スライド体が、その外力の入力方向に応じてスライドガイドの内壁面とスライド体の外壁面との間で揺動する。その結果、構造が簡単でかつ安価に、しかも外力の作用に伴うスライド体、スライドガイドの変形を防ぎながら、走行中の車両が異物を踏んだ際のトレッド部の傾斜領域を小さくし、走行の安定性を高めることができる。また、スライドガイドのうち、孔部の開口部から傾斜許容領域部までの間の部分に、傾斜許容領域部より小径な部分を形成したので、スライド体が不必要な揺動をしない。
請求項3に記載の発明によれば、車両走行中にトレッド部の一部が異物を踏むと、その部分のみにタイヤ中心方向への過剰な外力が作用し、この外力の作用部分に配置されたスライド体およびスライドガイドの一方が、孔部または溝部を介して、対応するスライド体およびスライドガイドの他方に沿って、タイヤ半径方向の内側へ移動する。その途中、スライド体の先部が傾斜許容領域部を通過する。その際、スライド体が、その外力の入力方向に応じてスライドガイドの内壁面と、これに対応するスライド体の外壁面との間で、トレッド部の部分的な傾斜を許容する揺動を行う。その結果、構造が簡単でかつ安価に、しかも前記外力の作用に伴うスライド体、スライドガイドの変形を防ぎながら、走行中の車両が異物を踏んだ際のトレッド部の傾斜領域を小さくし、走行の安定性を高めることができる。また、孔部または溝部の奥部分に、スライドガイド用の幅狭な位置決め部を設けたので、スライド体のスライドガイド内での不必要な揺動を防ぐことができる。しかも、スライドガイド内で最終的にスライド体を位置決めすることができる。
請求項4に記載の発明によれば、車両走行中、接地面からトレッド部に作用した外力は、トレッド部だけでなくトレッド内側補強体も受ける。そのため、車両走行中の路面からの衝撃に対する緩和効果が高まる。
車両走行中、トレッド部が異物を踏めば、トレッド部の一部分が大きく変形して傾斜するが、傾斜許容手段によりスライド体が揺動するか、スライド体のスライド方向と直交する方向へ移動するか、揺動と移動との両方をしながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、異物踏み付け時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、トレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
しかも、スライド手段として、スライド体とスライドガイドとを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤの低コスト化が図れる。
車両走行中、トレッド部が異物を踏めば、トレッド部の一部分が大きく変形して傾斜するが、傾斜許容手段によりスライド体が揺動するか、スライド体のスライド方向と直交する方向へ移動するか、揺動と移動との両方をしながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、異物踏み付け時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、トレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
しかも、スライド手段として、スライド体とスライドガイドとを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤの低コスト化が図れる。
請求項5に記載の発明によれば、車両走行中、トレッド部が異物を踏み、トレッド部の一部が変形して傾斜すれば、トレッド内側補強体の両フランジとの対向部分に突設され、かつ溝部内をタイヤ半径方向へ移動中のスライド体は、両フランジのタイヤ弾性支持体の側に配設された溝部の傾斜許容領域部により揺動しながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
請求項6に記載の発明によれば、車両走行中、トレッド部が異物を踏み、トレッド部の一部が変形して傾斜すれば、溝部内をタイヤ半径方向へ移動中のスライド体は、貫通孔の内壁面とこれに対応するスライド体の外壁面との間に設けられた傾斜許容領域部により、揺動か、スライド体のスライド方向と直交する方向への移動か、これらの揺動と移動との両方かを行いながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、異物踏み付け時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、このときのトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
請求項7に記載の発明によれば、車両走行中、トレッド部が異物を踏み、トレッド部の一部が変形して傾斜すれば、溝部内をタイヤ半径方向へ移動中のスライド体は、掛合凹部の内壁面とこれに対応するスライド体の外壁面との間に設けられた傾斜許容領域部により、特定の支点を中心とした所定角度での揺動か、前記移動か、これらの揺動と移動との両方かを行いながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、異物踏み付け時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、このときのトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
請求項8に記載の発明によれば、スライド体は、揺動子を介してスライドガイドの傾斜許容領域部において揺動する。そのため、スライド体の揺動時、スライド体の外壁面がスライドガイドの内壁面と接触して生じる摩耗を防ぐことができる。しかも、スライド体の揺動の円滑性も高まる。
請求項9に記載の発明によれば、車両走行中、接地面からトレッド部に作用した外力は、トレッド部だけでなくトレッド内側補強体も受ける。そのため、車両走行中の路面からの衝撃に対する緩和効果が高まる。
車両走行中、トレッド部が異物を踏めば、トレッド部の一部分が大きく変形して傾斜するが、スライドガイドの孔部に形成された傾斜許容領域部により、スライド体が揺動しながらタイヤ半径方向へスライドする。これにより、異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、そのときのトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
しかも、スライド手段として、トレッド部およびリムの一方に突設されたスライド体と、トレッド部およびリムの他方に設けられ、孔部に傾斜許容領域部が形成されたスライドガイドとを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤの低コスト化が図れる。また、スライドガイドのうち、孔部の開口部から傾斜許容領域部までの間の部分に、傾斜許容領域部より小径な部分を形成したので、スライド体が不必要な揺動をしない。
車両走行中、トレッド部が異物を踏めば、トレッド部の一部分が大きく変形して傾斜するが、スライドガイドの孔部に形成された傾斜許容領域部により、スライド体が揺動しながらタイヤ半径方向へスライドする。これにより、異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、そのときのトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
しかも、スライド手段として、トレッド部およびリムの一方に突設されたスライド体と、トレッド部およびリムの他方に設けられ、孔部に傾斜許容領域部が形成されたスライドガイドとを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤの低コスト化が図れる。また、スライドガイドのうち、孔部の開口部から傾斜許容領域部までの間の部分に、傾斜許容領域部より小径な部分を形成したので、スライド体が不必要な揺動をしない。
請求項10に記載の発明によれば、車両走行中、接地面からトレッド部に作用した外力は、トレッド部だけでなくトレッド内側補強体も受ける。そのため、車両走行中の路面からの衝撃に対する緩和効果が高まる。
車両走行中、トレッド部が異物を踏むと、トレッド部の一部分が大きく変形して傾斜するが、スライドガイドの孔部または溝部に形成された傾斜許容領域部により、スライド体がスライドガイドの孔部内または溝部内とで揺動しながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、そのときのトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
しかも、スライド手段として、トレッド部およびリムの一方に突設されたスライド体と、トレッド部およびリムの他方に設けられ、孔部または溝部に傾斜許容領域部が形成されたスライドガイドとを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤの低コスト化が図れる。また、孔部または溝部の奥部分に、スライドガイド用の幅狭な位置決め部を設けたので、スライド体のスライドガイド内での不必要な揺動を防ぐことができる。しかも、スライドガイド内で最終的にスライド体を位置決めすることができる。
車両走行中、トレッド部が異物を踏むと、トレッド部の一部分が大きく変形して傾斜するが、スライドガイドの孔部または溝部に形成された傾斜許容領域部により、スライド体がスライドガイドの孔部内または溝部内とで揺動しながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、そのときのトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
しかも、スライド手段として、トレッド部およびリムの一方に突設されたスライド体と、トレッド部およびリムの他方に設けられ、孔部または溝部に傾斜許容領域部が形成されたスライドガイドとを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤの低コスト化が図れる。また、孔部または溝部の奥部分に、スライドガイド用の幅狭な位置決め部を設けたので、スライド体のスライドガイド内での不必要な揺動を防ぐことができる。しかも、スライドガイド内で最終的にスライド体を位置決めすることができる。
請求項11に記載の発明によれば、トレッド部は、埋め込み補強部材の埋設によって補強されている。しかも、埋め込み補強部材は連結構造部を有している。そのため、連結構造部に被連結体を連結することで、埋め込み補強部材を介して、被連結体をトレッド部に連結することができる。
請求項12に記載の発明によれば、車両走行中に異物を踏むと、トレッド部の一部のみに過剰な外力が作用し、その作用部分において、スライド体がスライドガイドに沿って、タイヤ半径方向の内側へ移動する。このとき、スライド体の元部が前記外力方向に応じて軸受構造体に取り付けられた状態で自在に揺動する。そのため、構造が簡単でかつ安価に、走行中の車両が異物を踏んだ際のトレッド部の変形領域を小さくし、走行の安定性を高めることができる。
請求項13に記載の発明によれば、埋め込み補強部材が弾性体であるため、車両走行中におけるトレッド部の一部または全部の変形に、柔軟に対応することができる。
請求項14に記載の発明によれば、車両走行中、路面からトレッド部へ伝わる小さい衝撃力は低弾性力の部分弾性支持体が受ける。一方、路面からの大きい衝撃力は、低弾性力の部分弾性支持体では不十分で、高弾性力の部分弾性支持体が受ける。このように、衝撃力の大きさに応じて、弾性力が異なる複数の部分弾性支持体によりトレッド部からの衝撃を緩和するので、タイヤ弾性支持体の弾性力が単一のものに比べて、車両の乗り心地の快適さを高めることができる。
請求項15に記載の発明によれば、トレッド部のタイヤ幅方向の一端部か、他端部かまたはその両端部に、トレッド幅変更部材を固定状態または着脱自在に取り付けるので、トレッド部の幅方向の長さを調整することができる。これにより、1つのタイヤをトレッド部の幅が広いラジアルタイヤに変更したり、その逆の変更を行うことができる。
トレッド幅変更部材としては、例えば、トレッド部と同じ素材または別の素材からなる環状体を採用することができる。トレッド幅変更部材は、トレッド部に対して固定されるものでも、着脱自在のものでもよい。
トレッド幅変更部材としては、例えば、トレッド部と同じ素材または別の素材からなる環状体を採用することができる。トレッド幅変更部材は、トレッド部に対して固定されるものでも、着脱自在のものでもよい。
請求項16に記載の発明によれば、複数の部分トレッドを部分間連結体により着脱自在に連結してトレッド部を設けるので、これにより、1つのトレッド部を、タイヤの直径が異なる各種のタイヤに適用することができる。
請求項17に記載の発明によれば、車両走行中、トレッド部が異物を踏むと、トレッド部の一部のみに過剰な外力が作用し、この作用部分が大きく圧縮され、トレッド部の一部が変形して傾斜する。その際、この傾斜部分において、傾斜許容手段によりスライド体の両端部が、外力の入力方向に応じてスライドガイド内で、特定の支点を中心とした所定角度で揺動するか、スライド体のスライド方向と直交する方向へ移動するか、これらの両方の動きをしながら、タイヤ半径方向へスライドする。この揺動や移動により、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。なお、ここでは車両の一種である自動車に組み込まれる車両用タイヤについて説明する。まず、図1〜図18を参照して、実施例1を説明する。
図1および図2において、10はこの発明の実施例1に係る車両用タイヤである。車両用タイヤ10は、自動車である車両の車軸に固定されるホイール11と、ホイール11よりタイヤ半径方向の外方へ離間して配置され、車両用タイヤ10の接地部分を構成するトレッド部12と、トレッド部12とホイール11のリムベース13との大気と通じる解放された間隙に配置され、トレッド部12から伝わる車両の荷重を支持するタイヤ弾性支持体14と、トレッド部12とホイール11のリム15とに介在して設けられ、トレッド部12をタイヤ半径方向にスライド自在とするスライド手段16とを備えている。
ホイール11は、円板状のディスク部17と、ディスク部17の外周縁に連結された環状の前記リムベース13と、リムベース13の幅方向の両端部の外周側に周設された一対のフランジ18とを有している。
トレッド部12はゴム製の厚肉な環状体である。トレッド部12の内部には、周方向の全域にわたってトレッド部12を補強する弾性を有した埋め込み補強部材19が埋設されている。なお、弾性体でない埋め込み補強部材19でもよい。埋め込み補強部材19は、トレッド部12の全周にわたる直径を有した3本の環状板ばね20を、トレッド部12の幅方向の両端部と中央部とに離間して配置し、これらの環状板ばね20を、トレッド部12の周方向に一定ピッチで配置された多数本の横板ばね21により連結した構造を有している(図3)。3本の環状板ばね20と横板ばね21とは、ステンレス製の薄板である。
両側方の環状板ばね20には、各横板ばね21との連結部分に、後述するスライド体(被連結体)22を連結可能なステンレス製の多数の軸受箱(連結構造部、軸受構造体)23がそれぞれ固定されている(図4,図5)。各軸受箱23は、開口部が下向く角形箱24を本体とし、角形箱24の開口部に、平面視して矩形状の底板25が着脱自在にビス止めされている。底板25の中央部には、円形の貫通孔26が形成され、底板25の一辺部と貫通孔26とはスリット27により連通されている。
トレッド部12はゴム製の厚肉な環状体である。トレッド部12の内部には、周方向の全域にわたってトレッド部12を補強する弾性を有した埋め込み補強部材19が埋設されている。なお、弾性体でない埋め込み補強部材19でもよい。埋め込み補強部材19は、トレッド部12の全周にわたる直径を有した3本の環状板ばね20を、トレッド部12の幅方向の両端部と中央部とに離間して配置し、これらの環状板ばね20を、トレッド部12の周方向に一定ピッチで配置された多数本の横板ばね21により連結した構造を有している(図3)。3本の環状板ばね20と横板ばね21とは、ステンレス製の薄板である。
両側方の環状板ばね20には、各横板ばね21との連結部分に、後述するスライド体(被連結体)22を連結可能なステンレス製の多数の軸受箱(連結構造部、軸受構造体)23がそれぞれ固定されている(図4,図5)。各軸受箱23は、開口部が下向く角形箱24を本体とし、角形箱24の開口部に、平面視して矩形状の底板25が着脱自在にビス止めされている。底板25の中央部には、円形の貫通孔26が形成され、底板25の一辺部と貫通孔26とはスリット27により連通されている。
スライド体22は、先端が丸い細長ボルトで、その元部に首部を介してボール28が一体形成されている。スライド体22を軸受箱23に装着する際には、首部を底板25のスリット27から貫通孔26に移動し、底板25を軸受箱23の開口部にビス止めする。これにより、貫通孔26に首部が挿入されたスライド体22が、首部を中心とした所定角度の揺動、および、スライド体22のスライド方向と直交する方向への所定距離の移動が可能な状態で軸支される。
なお、首部およびボール28の代わりにスライド体22の元部に短尺なねじ部29の元部を固定し、軸受箱23の代わりとして環状板ばね20にねじ孔20aを設けてもよい(図6)。その際、トレッド部12の幅方向の両端部の内側には、各ねじ孔20aに連通する多数の挿通孔12aが形成されているものとする。対応する挿通孔12aを介して、各ねじ部29を各ねじ孔20aに螺合することで、埋め込み補強部材19を利用し、各スライド体22がトレッド部12に着脱自在に連結される。
なお、首部およびボール28の代わりにスライド体22の元部に短尺なねじ部29の元部を固定し、軸受箱23の代わりとして環状板ばね20にねじ孔20aを設けてもよい(図6)。その際、トレッド部12の幅方向の両端部の内側には、各ねじ孔20aに連通する多数の挿通孔12aが形成されているものとする。対応する挿通孔12aを介して、各ねじ部29を各ねじ孔20aに螺合することで、埋め込み補強部材19を利用し、各スライド体22がトレッド部12に着脱自在に連結される。
前記スライド手段16は、タイヤ周方向へ所定ピッチでトレッド部12に突設された多数の前記スライド体22と、タイヤ周方向へ所定ピッチでリム15のフランジ18に配設されるとともに、対応するスライド体22がタイヤ半径方向へスライド自在に挿入される多数のスライドガイド30とを有している。
各スライド体22は、トレッド部12のタイヤ幅方向の両端部の内周側に別体で取り付けられ、この状態で軸線がタイヤ半径方向へ向かう突起である。
各スライドガイド30は、ホイール11のリム15の両フランジ18に内設され、かつ両フランジ18の外周縁に形成された開口部30aを通して、スライド体22をタイヤ半径方向へ突没自在に収納する孔部を有している。各スライドガイド30の長さ方向の中央部一帯には、各スライド体22を、スライドガイド30内で揺動可能とする傾斜許容領域部(傾斜許容手段)31が形成されている(図2(a))。各スライドガイド30の開口部30aは、傾斜許容領域部31より小径化されている。
各スライド体22は、トレッド部12のタイヤ幅方向の両端部の内周側に別体で取り付けられ、この状態で軸線がタイヤ半径方向へ向かう突起である。
各スライドガイド30は、ホイール11のリム15の両フランジ18に内設され、かつ両フランジ18の外周縁に形成された開口部30aを通して、スライド体22をタイヤ半径方向へ突没自在に収納する孔部を有している。各スライドガイド30の長さ方向の中央部一帯には、各スライド体22を、スライドガイド30内で揺動可能とする傾斜許容領域部(傾斜許容手段)31が形成されている(図2(a))。各スライドガイド30の開口部30aは、傾斜許容領域部31より小径化されている。
また、各スライドガイド30の奥部30bは、スライド体22の先端部が隙間なく挿入されるまで細くなった位置決め部を構成している。これにより、スライド体22のスライドガイド30内での不必要な揺動を防ぐことができる。しかも、スライドガイド30内で最終的にスライド体22を位置決めすることができる。なお、各スライド体22の先端部には、スライドガイド30からの抜け止め用の小突起22bを設けてもよい(図2(b)の部分拡大図)。
タイヤ弾性支持体14は、ゴム製の厚肉な環状ブロックである。タイヤ弾性支持体14は、タイヤ幅方向の長さが両フランジ18間の距離と略同じで、タイヤ半径方向の長さがフランジ18のタイヤ半径方向の長さより長く、かつ自動車の駐停車時に、各スライド体22が各スライドガイド30から抜け落ちない長さである。タイヤ弾性支持体14の外周面は、トレッド部12の内周面に固着されている。ただし、固着されなくてもよい。
タイヤ弾性支持体14は、ゴム製の厚肉な環状ブロックである。タイヤ弾性支持体14は、タイヤ幅方向の長さが両フランジ18間の距離と略同じで、タイヤ半径方向の長さがフランジ18のタイヤ半径方向の長さより長く、かつ自動車の駐停車時に、各スライド体22が各スライドガイド30から抜け落ちない長さである。タイヤ弾性支持体14の外周面は、トレッド部12の内周面に固着されている。ただし、固着されなくてもよい。
次に、この発明の実施例1に係る車両用タイヤ10の作動を説明する。
外方からトレッド部12に車両の荷重などが伝わると、タイヤ弾性支持体14の弾性力に抗して、トレッド部12の接地部分がスライド体22およびスライドガイド30によりガイドされながらタイヤ半径方向の内側へ移動する。これにより、トレッド部12がタイヤ半径方向の内側へ正確かつ安定して移動できる(図2)。
車両走行中、トレッド部12が石やキャッツアイなどの異物aを踏むと、トレッド部12の一部のみに過剰な外力が作用し、この作用部分が大きく圧縮され、トレッド部12の一部が過剰に変形して傾斜する(図7)。このとき、この傾斜部分において、スライドガイド30をスライド中のスライド体22の先部が、傾斜許容領域部31を通過する際、スライド体22が、その外力の入力方向に応じてスライドガイド30の内壁面と、これに対応するスライド体22の外壁面との間で、スライド体22の首部を中心として、トレッド部12の部分的な傾斜を許容する揺動を行う(図5)。
外方からトレッド部12に車両の荷重などが伝わると、タイヤ弾性支持体14の弾性力に抗して、トレッド部12の接地部分がスライド体22およびスライドガイド30によりガイドされながらタイヤ半径方向の内側へ移動する。これにより、トレッド部12がタイヤ半径方向の内側へ正確かつ安定して移動できる(図2)。
車両走行中、トレッド部12が石やキャッツアイなどの異物aを踏むと、トレッド部12の一部のみに過剰な外力が作用し、この作用部分が大きく圧縮され、トレッド部12の一部が過剰に変形して傾斜する(図7)。このとき、この傾斜部分において、スライドガイド30をスライド中のスライド体22の先部が、傾斜許容領域部31を通過する際、スライド体22が、その外力の入力方向に応じてスライドガイド30の内壁面と、これに対応するスライド体22の外壁面との間で、スライド体22の首部を中心として、トレッド部12の部分的な傾斜を許容する揺動を行う(図5)。
このように、傾斜許容手段として傾斜許容領域部31を採用することで、構造が簡単でかつ安価に、しかも前記外力の作用に伴うスライド体22、スライドガイド30の変形を防ぎながら、走行中の車両が異物aを踏んだ際のトレッド部12の傾斜領域(変形領域)を小さくし、走行の安定性を高めることができる。そして、スライド体22は、軸受箱23を介して、スライド体22のスライド方向と直交する方向へ移動する。この揺動や移動により、走行中に異物aを踏んだ時のトレッド部12の部分的な傾斜がスムーズとなる。その結果、この異物踏み付け時のトレッド部12の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部12の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。また、傾斜許容領域部31および軸受箱23は、このようにトレッド部12の部分的な傾斜の許容が可能であることから、これをトレッド部12の接地部分の全体に適用することで、トレッド部12の全体的な傾斜(車両の道路勾配の走行状態)も許容可能となっている(図8)。
また、ここではスライド手段16として、トレッド部12に突設されたスライド体22と、リム15に設けられたスライドガイド30とを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤ10の低コスト化が図れる。
さらに、トレッド部12は、埋め込み補強部材19の埋設によって補強されている。しかも、埋め込み補強部材19は連結構造部を構成する軸受箱23を有している。そのため、軸受箱23にスライド体22を連結することで、埋め込み補強部材19を介して、スライド体22をトレッド部12に連結することができる。
そして、埋め込み補強部材19に弾性を有する板ばねを採用したので、車両走行中におけるトレッド部12の一部または全部の変形に、柔軟に対応することができる。
さらに、トレッド部12は、埋め込み補強部材19の埋設によって補強されている。しかも、埋め込み補強部材19は連結構造部を構成する軸受箱23を有している。そのため、軸受箱23にスライド体22を連結することで、埋め込み補強部材19を介して、スライド体22をトレッド部12に連結することができる。
そして、埋め込み補強部材19に弾性を有する板ばねを採用したので、車両走行中におけるトレッド部12の一部または全部の変形に、柔軟に対応することができる。
なお、各スライド体22の先部に、軸線に沿って両端面を貫通した挿入孔32aを介して、弾丸形状の揺動子(傾斜許容手段)32をそれぞれ抜き差し自在に挿入し、この揺動子32を利用して、各スライド体22の先部を各スライドガイド30の傾斜許容領域部31に収納してもよい(図9)。各スライドガイド30の孔部は、奥部30bを除いた部分の直径がスライド体22の直径の3〜4倍程度である。奥部30bは、揺動子32の先部に合わせて半球形状で、その中央部にはスライドガイド30の先端部の直径と略同じになるまで除々に幅が狭くなった凹部が形成されている。各スライドガイド30の開口部には、スライドガイド30の直径より小径な挿通孔33aを中央部に有した蓋33が螺合されている。また、奥部30bにスライドガイド30用の位置決め部を設けたので、スライド体22のスライドガイド30内での不必要な揺動を防ぎ、スライドガイド30内で最終的にスライド体22を位置決めすることができる。
スライド体22は、揺動子32を介して、スライドガイド30の傾斜許容領域部31において揺動する。そのため、スライド体22の揺動時、スライド体22の外壁面がスライドガイド30の内壁面と接触して生じる摩耗を防ぐことができる。しかも、スライド体22の揺動も円滑になる。
スライド体22は、揺動子32を介して、スライドガイド30の傾斜許容領域部31において揺動する。そのため、スライド体22の揺動時、スライド体22の外壁面がスライドガイド30の内壁面と接触して生じる摩耗を防ぐことができる。しかも、スライド体22の揺動も円滑になる。
また、タイヤ弾性支持体14に代えて、弾性力が異なる多数本の大径コイルばね(部分弾性支持体)34と多数本の小径コイルばね(部分弾性支持体)35を採用してもよい(図10)。小径コイルばね35の長さは、フランジ18のタイヤ半径方向の長さより長くかつ大径コイルばね34より短い。各小径コイルばね35は、各大径コイルばね34の内側空間に互いの軸線を一致させて収納され、二重ばね構造体を構成する。各二重ばね構造体は、リムベース13の外周面に、タイヤ周方向に所定ピッチで配置される。
車両走行中、路面からトレッド部12へ小さい衝撃力が伝わった場合には、大径コイルばね34のみが受ける。一方、路面から大きい衝撃力が作用した場合には、大径コイルばね34が大きく押し縮められることで、大径コイルばね34のみでなく小径コイルばね35も受ける。このように、衝撃力の大きさに応じて、2本のコイルばね34,35を自動的に使い分けながら、トレッド部12からの衝撃を緩和するので、タイヤ弾性支持体14の弾性力が単一のものに比べて、車両の乗り心地の快適さを高めることができる。
車両走行中、路面からトレッド部12へ小さい衝撃力が伝わった場合には、大径コイルばね34のみが受ける。一方、路面から大きい衝撃力が作用した場合には、大径コイルばね34が大きく押し縮められることで、大径コイルばね34のみでなく小径コイルばね35も受ける。このように、衝撃力の大きさに応じて、2本のコイルばね34,35を自動的に使い分けながら、トレッド部12からの衝撃を緩和するので、タイヤ弾性支持体14の弾性力が単一のものに比べて、車両の乗り心地の快適さを高めることができる。
さらに、フランジ18に内設された孔部付きのスライドガイド30に代えて、フランジ18の外側面において組み立てられるスライドガイド30Aを採用してもよい(図11,図12)。具体的には、フランジ18の外側面のうち、スライドガイド30の形成領域に、スライドガイド30をその軸線に沿って2分割(縦割り)したものと略同じ溝部30dを形成する。溝部30dは、小径な開口部30eと、奥部分が先細になった本体部30fとにより構成されている。この本体部30fのうち、傾斜許容領域部31に該当する部分のタイヤ半径方向の両端部分を、一対の略半円形状の孔部付形用金具70によりそれぞれ被う。その結果、溝部30dと両孔部付形用金具70との間で前記孔部付きのスライドガイド30Aを組み立てる。この構成により、薄肉なフランジ18に対しても前記孔部を形成することができる。
さらにまた、トレッド部12のタイヤ幅方向(トレッド幅方向)の一端部に、トレッド部12のタイヤ幅方向の長さを変更するトレッド幅変更部材36を着脱自在(分離不能に固定してもよい)に設けてもよい(図13,図14)。これにより、トレッド部12の幅方向の長さを調整することができる。その結果、1つのタイヤをトレッド部12の幅が広いラジアルタイヤに変更したり、その逆の変更を行うことができる。
トレッド幅変更部材36は、トレッド部12と同じゴム製の環状体で、トレッド部12の一方の長辺部に、多数本の短尺なボルト37により取り付けられる。トレッド幅変更部材36の内周側には、板ばねガイド38の一方の長辺部が固定されている。板ばねガイド38を裏当て材として利用することで、トレッド幅変更部材36をトレッド部12に固定する際に位置合わせが容易になる。
トレッド幅変更部材36は、トレッド部12と同じゴム製の環状体で、トレッド部12の一方の長辺部に、多数本の短尺なボルト37により取り付けられる。トレッド幅変更部材36の内周側には、板ばねガイド38の一方の長辺部が固定されている。板ばねガイド38を裏当て材として利用することで、トレッド幅変更部材36をトレッド部12に固定する際に位置合わせが容易になる。
そして、トレッド部12のタイヤ周方向(トレッド周方向)の一端部に、トレッド部12のタイヤ周方向の長さを変更するトレッド長さ変更部材36Aを着脱自在(分離不能に固定してもよい)に設けてもよい(図15)。これにより、トレッド部12の周方向の長さを調整することができる。その結果、1つのタイヤを直径が異なるものに変更することができる。
トレッド長さ変更部材36Aは、トレッド部12と同じゴム製の環状体で、トレッド部12の一方の短辺部に、複数本の短尺なボルト37により取り付けられる。トレッド長さ変更部材36Aの内周側には、トレッド長さ変更部材36Aの位置合わせ用の案内板となる板ばねガイド38の一方の長辺部が固定されている。
トレッド長さ変更部材36Aは、トレッド部12と同じゴム製の環状体で、トレッド部12の一方の短辺部に、複数本の短尺なボルト37により取り付けられる。トレッド長さ変更部材36Aの内周側には、トレッド長さ変更部材36Aの位置合わせ用の案内板となる板ばねガイド38の一方の長辺部が固定されている。
さらに、リムベース13の幅方向の両側に突設された一対のフランジ18に代えて、リムベース13の幅方向の中間部の外周側に周設された1条のフランジ18Aを採用してもよい(図16)。この場合、フランジ18Aのトレッド部12との対向側の周端(外周端面)には、フランジ18Aの周方向へ所定ピッチでスライドガイド30が立設される。したがって、各スライド体22は、トレッド部12の幅方向の中間部のうち、各スライドガイド30に対応する部分にそれぞれ立設される。この場合、環状のタイヤ弾性支持体14はそれを2つに輪切りにしたものが、リムベース13の幅方向の両端部の外周面と、トレッド部12の幅方向の両端部の内周面との間にそれぞれ配置されることになる(図示せず)。各スライド体22の先端部には、ガイド円板22aがそれぞれ形成されている。
また、軸受箱23のトレッド部12への連結構造としては、例えば、円筒状を有した軸受箱23の奥板の外面中央部に短ねじ39を突設し、この短ねじ39を、トレッド部12の内周面に形成された端面円形の開口部12bを通して、厚肉な埋め込み補強部材19のねじ孔19aに螺合するものを採用してもよい(図17)。
さらに、別の連結構造としては、埋め込み補強部材19に元部が固定されたねじ40の先部をトレッド部12の内周面から突出させ、このねじの突出部分に、軸受箱23の奥板の外面中央部に突設されたナット41を螺合するものを採用してもよい(図18)。この場合、軸受箱23を介したスライド体22のトレッド部12への取り付けが容易になる。
さらに、別の連結構造としては、埋め込み補強部材19に元部が固定されたねじ40の先部をトレッド部12の内周面から突出させ、このねじの突出部分に、軸受箱23の奥板の外面中央部に突設されたナット41を螺合するものを採用してもよい(図18)。この場合、軸受箱23を介したスライド体22のトレッド部12への取り付けが容易になる。
次に、図19〜図31を参照して、この発明の実施例2に係る車両用タイヤを説明する。
図19および図20に示すように、実施例2の車両用タイヤ10Aは、トレッド部12の内周側に固定され、トレッド部12を補強するトレッド内側補強体50と、トレッド内側補強体50とホイール11のリム15との間に介在して設けられ、トレッド内側補強体50とともにトレッド部12をタイヤ半径方向にスライド自在とする、多数対のスライド体22およびスライドガイド30からなるスライド手段16Aとを備えたものである。
図19および図20に示すように、実施例2の車両用タイヤ10Aは、トレッド部12の内周側に固定され、トレッド部12を補強するトレッド内側補強体50と、トレッド内側補強体50とホイール11のリム15との間に介在して設けられ、トレッド内側補強体50とともにトレッド部12をタイヤ半径方向にスライド自在とする、多数対のスライド体22およびスライドガイド30からなるスライド手段16Aとを備えたものである。
トレッド内側補強体50は、厚肉な環状のゴム板からなる。トレッド内側補強体50は、トレッド部12の内周側に固定可能に設けられている。トレッド内側補強体50の両端面には、その周方向へ所定ピッチで多数本の短尺なスライド体22がそれぞれ別体で突設されている。各スライド体22の先端には、釘の頭部状のガイド円板22aがそれぞれ形成されている。
なお、環状のトレッド内側補強体50に代えて、トレッド内側補強体50をその周方向へ所定ピッチで縦割りすることで多数個のゴム製の部分内側補強体51を作製し、隣接する部分内側補強体51を所定の掛合構造体52で連結したものでもよい(図21)。各部分内側補強体51は、平面視してタイヤ幅方向へ長い矩形状でかつ側面視して円弧状に反った板である。各部分内側補強体51の一方の長辺側の端面には、その端面の全長にわたって一条のT字突起53がそれぞれ突設されている。また、各部分内側補強体51の他方の長辺側の端面には、その端面の全長にわたって一条のT字溝54が、両端辺側の端面を貫通してそれぞれ形成されている。各隣接する部分内側補強体51間で、T字突起53をT字溝54に掛止することによって、環状のトレッド内側補強体50が分解可能に組み立てられる。
なお、環状のトレッド内側補強体50に代えて、トレッド内側補強体50をその周方向へ所定ピッチで縦割りすることで多数個のゴム製の部分内側補強体51を作製し、隣接する部分内側補強体51を所定の掛合構造体52で連結したものでもよい(図21)。各部分内側補強体51は、平面視してタイヤ幅方向へ長い矩形状でかつ側面視して円弧状に反った板である。各部分内側補強体51の一方の長辺側の端面には、その端面の全長にわたって一条のT字突起53がそれぞれ突設されている。また、各部分内側補強体51の他方の長辺側の端面には、その端面の全長にわたって一条のT字溝54が、両端辺側の端面を貫通してそれぞれ形成されている。各隣接する部分内側補強体51間で、T字突起53をT字溝54に掛止することによって、環状のトレッド内側補強体50が分解可能に組み立てられる。
各部分内側補強体51の両短辺側の端面には、一対のスライド体22が離間して突設されている。各スライド体22は、部分内側補強体51の両短辺側において、軸線を一致させて対配置された短尺な丸棒である。
なお、各スライド体22は、先端部がフランジ18へ向かった突出状態で、部分内側補強体51の両フランジ18との対向部分に形成された掛合凹部55に、元部22bが掛合される突起としてもよい(図22)。掛合凹部55の内壁面とこれに対応するスライド体22の外壁面との間には、傾斜許容領域部31が設けられている。部分内側補強体51の掛合凹部55から突出したスライド体22の先端部が、両フランジ18の後述する溝部にそれぞれ挿入され、タイヤ弾性支持体14によってこの状態が維持されることになる。しかも、車両走行中、トレッド部12が異物aを踏み、トレッド部12の一部および部分内側補強体51の一部が変形して傾斜すれば、溝部内をタイヤ半径方向へ移動中のスライド体22は、傾斜許容領域部31により、特定の支点を中心とした所定角度での揺動およびスライド体22のスライド方向と直交する方向へ移動しながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、走行中に異物aを踏んだ時のトレッド部12の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部12の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部12の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
なお、各スライド体22は、先端部がフランジ18へ向かった突出状態で、部分内側補強体51の両フランジ18との対向部分に形成された掛合凹部55に、元部22bが掛合される突起としてもよい(図22)。掛合凹部55の内壁面とこれに対応するスライド体22の外壁面との間には、傾斜許容領域部31が設けられている。部分内側補強体51の掛合凹部55から突出したスライド体22の先端部が、両フランジ18の後述する溝部にそれぞれ挿入され、タイヤ弾性支持体14によってこの状態が維持されることになる。しかも、車両走行中、トレッド部12が異物aを踏み、トレッド部12の一部および部分内側補強体51の一部が変形して傾斜すれば、溝部内をタイヤ半径方向へ移動中のスライド体22は、傾斜許容領域部31により、特定の支点を中心とした所定角度での揺動およびスライド体22のスライド方向と直交する方向へ移動しながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、走行中に異物aを踏んだ時のトレッド部12の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部12の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部12の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
その他、各スライド体22は、部分内側補強体51のタイヤ幅方向の長さより長い1本のスライド棒56で代用してもよい(図23)。具体的には、各部分内側補強体51に、タイヤ幅方向の両端面を貫通する一対の貫通孔51aを離間して形成し、両貫通孔51aにスライド棒56をそれぞれ挿入することで、両貫通孔51aからスライド棒56の両端部が突出する。これらの突出部分が前記スライド体22aを構成する。このとき、両貫通孔51aは、その全長にわたり、スライド棒56の直径より大径に形成されている。その結果、これらの貫通孔51aが前記傾斜許容領域部31を構成することになる。車両走行中、トレッド部12が異物aを踏み、トレッド部12の一部が過剰に変形して傾斜すれば、後述する両フランジ18の溝部内をタイヤ半径方向へ移動中のスライド体22は、貫通孔51aの内壁面とこれに対応するスライド体22の外壁面との間に設けられた傾斜許容領域部31により、特定の支点を中心とした所定角度での揺動およびスライド体22のスライド方向と直交する方向への所定距離の移動をしながら、タイヤ半径方向へスライドする。これにより、走行中に異物aを踏んだ時のトレッド部12の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部12の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部12の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
しかも、この場合では、T字突起53に代えて、先端に円板53aが形成された断面円形のピン形突起53Aが採用され、かつT字溝54に代えてピン形突起53Aの掛止溝54Aが採用されている。この掛止溝54Aは、円板53aより大径な出入口54aと、出入口54aの一端部に元部が連通された横溝部54bと、横溝部54bの他端部に一端部が連通された小径部54cとからなる。このように構成したので、ピン形突起53Aを出入口54aを通して掛止溝54Aの内部へ挿入し、その後、ピン形突起53Aを横移動させて横溝部54bから小径部54cに配置させることで、隣接する部分内側補強体51同士が連結される。
また、貫通孔51a付きの各部分内側補強体51は、タイヤ幅方向へ並んだ3つのセグメント57に分割してもよい(図24)。この場合、中央部のセグメント57を両側のセグメント57より強弾性体とすれば、各部分内側補強体51のタイヤ幅方向の中間部に、タイヤ幅方向の両側部分よりも硬い芯部を形成することができる。なお、各セグメント57の連結は、貫通孔51aと同じ直径を有した2本のスライド棒56を、対応する貫通孔51aに一連に圧入することでなされる。
また、貫通孔51a付きの各部分内側補強体51は、タイヤ幅方向へ並んだ3つのセグメント57に分割してもよい(図24)。この場合、中央部のセグメント57を両側のセグメント57より強弾性体とすれば、各部分内側補強体51のタイヤ幅方向の中間部に、タイヤ幅方向の両側部分よりも硬い芯部を形成することができる。なお、各セグメント57の連結は、貫通孔51aと同じ直径を有した2本のスライド棒56を、対応する貫通孔51aに一連に圧入することでなされる。
各スライド体22に対応する各スライドガイド30は、リム15の両フランジ18のタイヤ弾性支持体14側の上部に、タイヤ周方向へ所定ピッチでそれぞれ一体的に内部形成されている。各スライドガイド30は、タイヤ半径方向へ長い溝部である。具体的には、図20中において、各スライドガイド30は、その上端部がスライド体22のガイド円板22aより大径な円形で、かつスライドガイド30の開口部分30cのみが下方に向かって除々に幅狭な鍵穴形状の溝部であるとともに、この溝部のうち溝外側壁面30g付近の部分は、スライドガイド30の略全長にわたって、前記円形状の上端部の直径と同じ幅の長孔となっている。また、各スライドガイド30の開口部分30cの下端部(奥部30b)の幅は、スライド体22の直径と略同じである。
さらに、図19において、各スライドガイド30の開口部分30cの厚さは下方へ向かって除々に厚肉となっている。これにより、各スライドガイド30の開口部分30cの内側に法面30dが形成される。しかも、図19において、左側のスライドガイド30の溝外側壁面30gから左側のスライド体22のガイド円板22aまでの距離a1と、トレッド内側補強体50の右側の端面から右側のフランジ18のタイヤ弾性支持体14側の面までの距離b1とは略同じである。また、右側のスライドガイド30の溝外側壁面30gから右側のスライド体22のガイド円板22aまでの距離a2と、トレッド内側補強体50の左側の端面から左側のフランジ18のタイヤ弾性支持体14側の面までの距離b2とは略同じである。この構成から、各スライド体22の外壁面と各スライドガイド30の内壁面との間に傾斜許容領域部31がそれぞれ形成される。
次に、この発明の実施例2に係る車両用タイヤ10Aの作動を説明する。
図19および図20に示すように、車両走行中、接地面からトレッド部12に作用した外力は、トレッド部12だけでなくトレッド内側補強体50も受ける。そのため、車両走行中の路面からの衝撃に対する緩和効果が高まる。
また、車両走行中、トレッド部12が異物aを踏むと、トレッド部12の一部のみに過剰な外力が作用し、この部分が大きく圧縮され、トレッド部12の一部およびトレッド内側補強体50の一部がそれぞれ変形して傾斜する。このとき、スライドガイド30の溝部には、スライド体22に対して特定の支点を中心とした所定角度の揺動、および、スライド体22のスライド方向と直交する方向への所定距離の移動を可能として、トレッド部12の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容領域部31が形成されている。そのため、トレッド部12の傾斜部分において、傾斜許容領域部31によりスライド体22が、外力の入力方向に応じてスライドガイド30の溝部内で、特定の支点を中心とした所定角度で揺動しながらタイヤ半径方向へスライドし、最終的にスライドガイド30の幅が狭くなった奥部(リム側の端部)30bで位置決めされる。
図19および図20に示すように、車両走行中、接地面からトレッド部12に作用した外力は、トレッド部12だけでなくトレッド内側補強体50も受ける。そのため、車両走行中の路面からの衝撃に対する緩和効果が高まる。
また、車両走行中、トレッド部12が異物aを踏むと、トレッド部12の一部のみに過剰な外力が作用し、この部分が大きく圧縮され、トレッド部12の一部およびトレッド内側補強体50の一部がそれぞれ変形して傾斜する。このとき、スライドガイド30の溝部には、スライド体22に対して特定の支点を中心とした所定角度の揺動、および、スライド体22のスライド方向と直交する方向への所定距離の移動を可能として、トレッド部12の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容領域部31が形成されている。そのため、トレッド部12の傾斜部分において、傾斜許容領域部31によりスライド体22が、外力の入力方向に応じてスライドガイド30の溝部内で、特定の支点を中心とした所定角度で揺動しながらタイヤ半径方向へスライドし、最終的にスライドガイド30の幅が狭くなった奥部(リム側の端部)30bで位置決めされる。
これにより、走行中に異物aを踏んだ時のトレッド部12の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部12の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部12の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。また、スライド体22の溝部内でのタイヤ半径方向内側への移動途中、図19上での左右一対のスライド体22のうち、一方のスライド体22のガイド円板22aが、対応するスライドガイド30の開口部分の法面30dにガイドされながら移動する。これにより、異物aの踏み付けによりトレッド部12にタイヤ幅方向への位置ずれが発生しても、それを解消することができる。ここでは、スライド手段16Aとして、トレッド内側補強体50に突設されたスライド体22と、リム15の両フランジ18に設けられ、溝部に傾斜許容領域部31が形成されたスライドガイド30とを有したものを採用したので、構造が簡単でかつ車両用タイヤ10Aの低コスト化が図れる。
なお、トレッド内側補強体50に代えて、その内周側の部分がトレッド幅方向の中間部のみとなった幅狭なトレッド内側補強体50Aを採用してもよい(図25)。この場合、幅狭な内周側の部分の両端面には、軸線がトレッド内側補強体50Aの幅方向へ延びたスライド体22が、トレッド内側補強体50Aの周方向へ所定ピッチで配設されている。また、トレッド内側補強体50Aの外周側の部分には、前記埋め込み補強部材19を埋設してもよい(図26)。これにより、トレッド内側補強体50Aの強度を高めることができる。
また、トレッド内側補強体50Aは、実施例1のように、スライド体22がトレッド部12のタイヤ半径方向の内側に延びたタイプのトレッド部12にも適用することができる(図27,図28)。このうち、図27に示すトレッド内側補強体50Aは、内周側の部分が幅狭で、かつ外周側の部分に埋め込み補強部材19が埋設されたものである。このトレッド内側補強体50Aでは、埋め込み補強部材19の内周側の部分にスライド体22の元部が固定されている。図28に示すトレッド内側補強体50Aは、埋め込み補強部材19が埋設され、かつ埋め込み補強部材19の幅方向の両端部にスライド体22の元部が固定されたものである。
なお、トレッド部12は、これを周方向に所定ピッチで縦割りした多数の部分トレッド12Aにより分割形成してもよい(図29)。各部分トレッド12Aは、前記部分内側補強体51の場合と同じように、各部分トレッド12Aは、平面視してタイヤ幅方向へ長い矩形状の板で、各部分トレッド12Aの一方の長辺側の端面にはその端面の全長にわたってT字突起53がそれぞれ一条突設され、各部分トレッド12Aの他方の長辺側の端面には、その端面の全長にわたってT字溝54がそれぞれ一条形成されている。T字突起53およびT字溝54により、隣接する部分トレッド12Aを連結する部分間連結体60が構成される。各隣接する部分トレッド12A間で、T字突起53をT字溝54に掛止することによって、環状のトレッド部12が分解可能に組み立てられる。
なお、トレッド部12は、これを周方向に所定ピッチで縦割りした多数の部分トレッド12Aにより分割形成してもよい(図29)。各部分トレッド12Aは、前記部分内側補強体51の場合と同じように、各部分トレッド12Aは、平面視してタイヤ幅方向へ長い矩形状の板で、各部分トレッド12Aの一方の長辺側の端面にはその端面の全長にわたってT字突起53がそれぞれ一条突設され、各部分トレッド12Aの他方の長辺側の端面には、その端面の全長にわたってT字溝54がそれぞれ一条形成されている。T字突起53およびT字溝54により、隣接する部分トレッド12Aを連結する部分間連結体60が構成される。各隣接する部分トレッド12A間で、T字突起53をT字溝54に掛止することによって、環状のトレッド部12が分解可能に組み立てられる。
さらに、各部分トレッド12Aの内部には、部分トレッド12Aと略同じ平面形状(矩形状)の部分埋め込み補強部材19Aをそれぞれ埋設してもよい(図30,図31)。各部分埋め込み補強部材19Aには、タイヤ周方向へ長い2本1組の横長孔71と、タイヤ幅方向へ長い3本1組の縦長孔72とが、タイヤ幅方向(部分埋め込み補強部材19Aの長さ方向)へ所定ピッチで交互に配設されている。このうち、各横長孔71は、タイヤ周方向へ長さ方向を揃えてそれぞれ形成されている。また、3本の縦長孔72は、タイヤ幅方向へ長さ方向を揃え、かつタイヤ周方向へ所定ピッチでそれぞれ形成されている。
各長孔71,72には、ねじ部の先端がトレッド部12の接地面付近に埋め込まれる短尺なボルト73がそれぞれ装着される。各長孔71,72に対するボルト73の装着本数は、1本でも、2本以上でもよい。使用に際しては、トレッド部12の接地面において、まずボルト73の埋設部分を浅く掘って前記ねじ部の先端部を露出させ、この露出部分に、例えば車両の降雪走行用のスパイクピン(被連結体)74を螺合する(図31)。
各長孔71,72には、ねじ部の先端がトレッド部12の接地面付近に埋め込まれる短尺なボルト73がそれぞれ装着される。各長孔71,72に対するボルト73の装着本数は、1本でも、2本以上でもよい。使用に際しては、トレッド部12の接地面において、まずボルト73の埋設部分を浅く掘って前記ねじ部の先端部を露出させ、この露出部分に、例えば車両の降雪走行用のスパイクピン(被連結体)74を螺合する(図31)。
また、各部分埋め込み補強部材19Aのタイヤ幅方向の両端には、その全長にわたって、短冊形状の鍔部75の幅方向(タイヤ半径方向)の略中間部がそれぞれ固定されている。これにより、各部分埋め込み補強部材19Aは略I形鋼の形状となる。また、各部分埋め込み補強部材19Aのタイヤ周方向の両端中央部には、前記鍔部75より長尺な別の鍔部75Aが配設されている。各別の鍔部75Aは、一方の鍔部75Aのタイヤ半径方向の一端部と、他方の鍔部75Aのタイヤ半径方向の他端部とが、その全長にわたって均一な幅で切除され、それぞれ掛合板片75aとなる。各部分トレッド12Aのうち、各掛合板片75aの近傍はその全長にわたって除去され、掛合隙間が形成されている。隣接する部分トレッド12A同士の連結は、掛合隙間を介して、互いの掛合板片75a同士を掛合することで行われる。
また、各鍔部75には、その長さ方向へ所定ピッチでねじ孔76がそれぞれ形成されている。各ねじ孔76には、部分埋め込み補強部材19Aを介して、例えば図示しないスライド体22を部分トレッド12Aの幅方向の端面に取り付けるボルト77などが掛合(螺合)される。ボルト77にスライド体22を取り付ける際には、図示しない軸受箱23が用いられる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1から推測可能な範囲であるので説明を省略する。
また、各鍔部75には、その長さ方向へ所定ピッチでねじ孔76がそれぞれ形成されている。各ねじ孔76には、部分埋め込み補強部材19Aを介して、例えば図示しないスライド体22を部分トレッド12Aの幅方向の端面に取り付けるボルト77などが掛合(螺合)される。ボルト77にスライド体22を取り付ける際には、図示しない軸受箱23が用いられる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1から推測可能な範囲であるので説明を省略する。
次に、図32〜図35を参照し、この発明の参考例に係る車両用タイヤを説明する。
図32〜図34に示すように、参考例に係る車両用タイヤ10Bは、スライド体22Aをタイヤ周方向へ長い矩形板材とし、各スライド体22Aのタイヤ半径方向の両端部を、傾斜許容手段100により揺動およびタイヤ幅方向へ移動可能に、トレッド部12およびフランジ18へそれぞれ掛止したものである。
以下、これらの構成体を詳細に説明する。
図32〜図34に示すように、参考例に係る車両用タイヤ10Bは、スライド体22Aをタイヤ周方向へ長い矩形板材とし、各スライド体22Aのタイヤ半径方向の両端部を、傾斜許容手段100により揺動およびタイヤ幅方向へ移動可能に、トレッド部12およびフランジ18へそれぞれ掛止したものである。
以下、これらの構成体を詳細に説明する。
各スライド体22Aは、タイヤ周方向の長さが、トレッド部12を周方向へ36等分した長さ(例えば5〜10cm)より1〜2cm短い平面視して矩形状の板である。スライド体22Aのトレッド部側の辺部には、この辺の全長にわたって軸部22eがそれぞれ形成されている。各軸部22eは、トレッド部12の幅方向の両端部において、長さ方向をタイヤ周方向へ向けた複数の軸支レール83にそれぞれ軸支されている。各軸支レール83は、連結ビス83cを介して、トレッド部12の埋め込み補強部材19に堅固に連結されている。これにより、各スライド体22Aはタイヤ幅方向へ揺動可能となる。なお、各軸支レール83の軸支溝83aは、溝幅が軸部22eの直径より若干大きく形成されている。これにより、スライド体22Aの軸部22eがタイヤ幅方向へ数mm移動できるように構成されている。
各スライド体22Aのリム側の端部でかつその長さ方向の両端部には、ピン孔22dがそれぞれ形成されている。各スライド体22Aの揺動が対応する長孔84とピン孔22dとに、スライドピン80が挿通されている。これにより、各スライド体22Aはそれぞれのタイヤ半径方向への移動が可能となっている。各ピン孔22dのフランジ18側の形成部分は略半球形状に隆起している。これにより、各スライド体22Aとフランジ18との接触面積が小さくなって摩擦抵抗が減少し、各スライド体22Aの揺動が円滑になる。
傾斜許容手段100は、スライド体22Aのピン孔22d,スライド体22Aの軸部22e、スライドピン80,軸支溝83a付きの軸支レール83,長孔84を有している。
各スライド体22Aのリム側の端部でかつその長さ方向の両端部には、ピン孔22dがそれぞれ形成されている。各スライド体22Aの揺動が対応する長孔84とピン孔22dとに、スライドピン80が挿通されている。これにより、各スライド体22Aはそれぞれのタイヤ半径方向への移動が可能となっている。各ピン孔22dのフランジ18側の形成部分は略半球形状に隆起している。これにより、各スライド体22Aとフランジ18との接触面積が小さくなって摩擦抵抗が減少し、各スライド体22Aの揺動が円滑になる。
傾斜許容手段100は、スライド体22Aのピン孔22d,スライド体22Aの軸部22e、スライドピン80,軸支溝83a付きの軸支レール83,長孔84を有している。
このように構成したので、車両走行中、トレッド部12が異物を踏むと、トレッド部12の一部のみに過剰な外力が作用し、この作用部分が大きく圧縮され、トレッド部12の一部が変形して傾斜する。その際、この傾斜部分において、傾斜許容手段100によりスライド体22Aが、外力の入力方向に応じて軸支レール83内で、特定の支点を中心とした所定角度で揺動するか、スライド体22Aのスライド方向と直交する方向へ移動するか(図34)、これらの両方の動きをしながら、タイヤ半径方向へスライドする。この揺動や移動により、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部12の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部12の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部12の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
なお、図35に示すように、各スライド体22Aに前記長孔84を形成するとともに、各フランジ18に前記ピン孔22dを形成するようにしてもよい。この場合、各フランジ18のピン孔22dの形成部分の内側になだらかな隆起部を設け、各スライド体22Aの長孔84の形成部分に前記隆起部に対応する凹部を形成すれば、各スライド体22Aのタイヤ半径方向のスライドを円滑に行うことができる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1から推測可能な範囲であるので説明を省略する。
なお、図35に示すように、各スライド体22Aに前記長孔84を形成するとともに、各フランジ18に前記ピン孔22dを形成するようにしてもよい。この場合、各フランジ18のピン孔22dの形成部分の内側になだらかな隆起部を設け、各スライド体22Aの長孔84の形成部分に前記隆起部に対応する凹部を形成すれば、各スライド体22Aのタイヤ半径方向のスライドを円滑に行うことができる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1から推測可能な範囲であるので説明を省略する。
次に、図36を参照し、この発明の参考例に係る車両用タイヤを説明する。
図36に示すように、参考例にの車両用タイヤ10Cは、スライド体22Bをタイヤ周方向へ長くかつ先部が略J字形状に屈曲した矩形板材とし、スライドガイド101を、両フランジ18の内側の全長にわたって一体形成された略逆J字形状の溝部とし(スライド体22Bとスライドガイド101とは互いの先部(J字部分)が掛合される)、各スライド体22Bの先部と、両フランジ18の内側(スライドガイド101の先部)との間に、特定の支点を中心とした所定角度の揺動およびスライド体22Bのスライド方向と直交する方向への所定距離の移動を可能とすることで、トレッド部12の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容領域部31を形成したものである。
以下、これらの構成体を詳細に説明する。
各スライド体22Bの元部は、トレッド部12の埋め込み補強部材19の幅方向の両端部にそれぞれ堅固に固定されている。また、各スライド体22Bの先端部の外面には、各スライド体22Bの揺動の幅を規制(調整)する突条部87が、スライド体22Bのタイヤ周方向の全長にわたって配設されている。車両荷重の負荷が作用しないタイヤの上部などでは、スライド体22Bの先端部(突条部を含む)が、スライドガイド101のJ字の湾曲部分に当接してもよい。
図36に示すように、参考例にの車両用タイヤ10Cは、スライド体22Bをタイヤ周方向へ長くかつ先部が略J字形状に屈曲した矩形板材とし、スライドガイド101を、両フランジ18の内側の全長にわたって一体形成された略逆J字形状の溝部とし(スライド体22Bとスライドガイド101とは互いの先部(J字部分)が掛合される)、各スライド体22Bの先部と、両フランジ18の内側(スライドガイド101の先部)との間に、特定の支点を中心とした所定角度の揺動およびスライド体22Bのスライド方向と直交する方向への所定距離の移動を可能とすることで、トレッド部12の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容領域部31を形成したものである。
以下、これらの構成体を詳細に説明する。
各スライド体22Bの元部は、トレッド部12の埋め込み補強部材19の幅方向の両端部にそれぞれ堅固に固定されている。また、各スライド体22Bの先端部の外面には、各スライド体22Bの揺動の幅を規制(調整)する突条部87が、スライド体22Bのタイヤ周方向の全長にわたって配設されている。車両荷重の負荷が作用しないタイヤの上部などでは、スライド体22Bの先端部(突条部を含む)が、スライドガイド101のJ字の湾曲部分に当接してもよい。
このように構成したので、外方からトレッド部12に車両の荷重などが伝わると、トレッド部12はタイヤ弾性支持体14の弾性力に抗して、トレッド部12が先端鉤形の板材からなるスライド体22Bと、同じく先端鉤型の板材からなるスライドガイド101によりガイドされながらタイヤ半径方向の内側へ移動する。これにより、トレッド部12がタイヤ半径方向の内側へ正確かつ安定して移動でき、車両の乗り心地の快適さを高めることができる。
また、車両走行中、トレッド部12が異物を踏むと、トレッド部12の一部のみに過剰な外力が作用し、この作用部分が大きく圧縮され、トレッド部12の一部が変形して傾斜する。その際、この傾斜部分において、傾斜許容領域部31によりスライド体22Bの鉤形状となった先部が、外力の入力方向に応じてスライドガイドの鉤形状の先部内で、特定の支点を中心とした所定角度で揺動するか、スライド体22Bのスライド方向と直交する方向へ移動するか、これらの両方の動きをしながら、タイヤ半径方向へスライドする。この揺動や移動により、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部12の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部12の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部12の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1および実施例3から推測可能な範囲であるので説明を省略する。
また、車両走行中、トレッド部12が異物を踏むと、トレッド部12の一部のみに過剰な外力が作用し、この作用部分が大きく圧縮され、トレッド部12の一部が変形して傾斜する。その際、この傾斜部分において、傾斜許容領域部31によりスライド体22Bの鉤形状となった先部が、外力の入力方向に応じてスライドガイドの鉤形状の先部内で、特定の支点を中心とした所定角度で揺動するか、スライド体22Bのスライド方向と直交する方向へ移動するか、これらの両方の動きをしながら、タイヤ半径方向へスライドする。この揺動や移動により、走行中に異物を踏んだ時のトレッド部12の部分的な傾斜がスムーズとなり、この異物踏み付け時のトレッド部12の変形領域が小さくなるとともに、トレッド部12の接地面積が拡大して車両の走行の安定性を高めることができる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1および実施例3から推測可能な範囲であるので説明を省略する。
10,10A〜10C 車両用タイヤ、
11 ホイール、
12,12A トレッド部、
13 リムベース、
14 タイヤ弾性支持体、
15 リム、
16,16A スライド手段、
19,19A 埋め込み補強部材、
22,22A,22B スライド体、
23 軸受箱(連結構造部、軸受構造体)、
30,30A スライドガイド、
30a 開口部、
30b 奥部
31 傾斜許容領域部(傾斜許容手段)、
32 揺動子、
36 トレッド幅変更部材、
50,50A トレッド内側補強体、
51 部分内側補強体、
51a 貫通孔、
55 掛合凹部、
56 スライド棒、
60 部分間連結体、
100 傾斜許容手段。
11 ホイール、
12,12A トレッド部、
13 リムベース、
14 タイヤ弾性支持体、
15 リム、
16,16A スライド手段、
19,19A 埋め込み補強部材、
22,22A,22B スライド体、
23 軸受箱(連結構造部、軸受構造体)、
30,30A スライドガイド、
30a 開口部、
30b 奥部
31 傾斜許容領域部(傾斜許容手段)、
32 揺動子、
36 トレッド幅変更部材、
50,50A トレッド内側補強体、
51 部分内側補強体、
51a 貫通孔、
55 掛合凹部、
56 スライド棒、
60 部分間連結体、
100 傾斜許容手段。
Claims (17)
- 車両用タイヤのホイールと、
該ホイールよりタイヤ半径方向の外方へ離間して配置され、前記車両用タイヤの接地部分を構成するトレッド部と、
該トレッド部と前記ホイールのリムベースとの間に形成される解放された間隙に配置され、前記トレッド部から伝わる車両の荷重を支持するタイヤ弾性支持体と、
前記トレッド部と前記ホイールのリムとの間に介在して設けられ、前記トレッド部をタイヤ半径方向にスライド自在とするスライド手段を備え、
前記スライド手段は、
前記トレッド部および前記リムの一方に設けられたスライド体と、
前記トレッド部および前記リムの他方に設けられるとともに、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に取り付けられるスライドガイドとを有し、
前記トレッド部に設けられた前記スライド体または前記スライドガイドは、このトレッド部とは別体に形成され、
前記トレッド部には、
前記スライド体または前記スライドガイドに対して、特定の支点を中心とした所定角度の揺動および前記スライド体のスライド方向と直交する方向への所定距離の移動のうち、少なくとも1つを可能とすることで、前記トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容手段が設けられた車両用タイヤ。 - 車両用タイヤのホイールと、
該ホイールよりタイヤ半径方向の外方へ離間して配置され、前記車両用タイヤの接地部分を構成するトレッド部と、
該トレッド部と前記ホイールのリムベースとの間に形成される解放された間隙に配置され、前記トレッド部から伝わる車両の荷重を支持するタイヤ弾性支持体と、
前記トレッド部と前記ホイールのリムとの間に介在して設けられ、前記トレッド部をタイヤ半径方向にスライド自在とするスライド手段を備え、
前記スライド手段は、
前記トレッド部および前記リムの一方に一体または別体で突設されたスライド体と、
前記トレッド部および前記リムの他方に一体または別体で設けられるとともに、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に取り付けられるスライドガイドとを有し、
前記スライドガイドには、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に挿入される孔部が形成され、
該スライドガイドには、前記孔部の内壁面と、該孔部に挿入される前記スライド体の外壁面との間で、前記スライド体に対して特定の支点を中心とした所定角度の揺動を可能とすることで、前記トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容領域部を、前記孔部の開口部を除く部分に有し、
前記スライドガイドには、前記孔部の開口部から前記傾斜許容領域部までの間の部分に、該傾斜許容領域部より小径な部分が形成された車両用タイヤ。 - 車両用タイヤのホイールと、
該ホイールよりタイヤ半径方向の外方へ離間して配置され、前記車両用タイヤの接地部分を構成するトレッド部と、
該トレッド部と前記ホイールのリムベースとの間に形成される解放された間隙に配置され、前記トレッド部から伝わる車両の荷重を支持するタイヤ弾性支持体と、
前記トレッド部と前記ホイールのリムとの間に介在して設けられ、前記トレッド部をタイヤ半径方向にスライド自在とするスライド手段を備え、
前記スライド手段は、
前記トレッド部および前記リムの一方に一体または別体で突設されたスライド体と、
前記トレッド部および前記リムの他方に一体または別体で設けられるとともに、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に取り付けられるスライドガイドとを有し、
前記スライドガイドには、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に挿入される孔部または溝部が形成され、
該スライドガイドには、前記孔部または溝部の内壁面と、該孔部または溝部に挿入された前記スライド体の外壁面との間で、前記スライド体に対して特定の支点を中心とした所定角度の揺動を可能とすることで、前記トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容領域部が設けられ、
前記孔部または溝部の奥部分には、前記スライド体を位置決めする幅狭な位置決め部が形成された車両用タイヤ。 - 車両用タイヤのホイールと、
該ホイールよりタイヤ半径方向の外方へ離間して配置され、前記車両用タイヤの接地部分を構成するトレッド部と、
前記トレッド部と前記ホイールのリムベースとの間に形成される解放された間隙に配置され、前記トレッド部から伝わる車両の荷重を支持するタイヤ弾性支持体と、
前記トレッド部の内周側で該トレッド部を固定するトレッド内側補強体と、
該トレッド内側補強体と前記ホイールのリムとの間に介在して設けられ、前記トレッド内側補強体とともに前記トレッド部をタイヤ半径方向にスライド自在とするスライド手段とを備え、
前記スライド手段は、
前記トレッド内側補強体および前記リムの一方に設けられたスライド体と、
前記トレッド内側補強体および前記リムの他方に設けられるとともに、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に取り付けられるスライドガイドとを有し、
前記トレッド内側補強体に設けられた前記スライド体または前記スライドガイドは、このトレッド内側補強体とは別体に形成され、
前記トレッド内側補強体には、
前記スライド体または前記スライドガイドに対して、特定の支点を中心とした所定角度の揺動および前記スライド体のスライド方向と直交する方向への所定距離の移動のうち、少なくとも1つを可能とすることで、前記トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容手段が設けられた車両用タイヤ。 - 前記車両用タイヤは、リムベースおよびこのリムベースから突設された一対のフランジを含むリムを有するとともに、
前記スライド体は、前記トレッド内側補強体の両フランジとの対向部分に別体で突設され、
前記スライドガイドは、前記両フランジのタイヤ弾性支持体の側に一体または別体で配設され、長さ方向がタイヤ半径方向へ延びた溝部を有し、
前記傾斜許容手段は、前記スライドガイドに形成され、かつ該スライドガイドの内壁面とこれに対応する前記スライド体の外壁面との間で、前記スライドガイドまたは前記スライド体に対して、前記揺動および前記移動のうち、少なくとも1つを可能とする形状の傾斜許容領域部を有した請求項4に記載の車両用タイヤ。 - 前記スライド体は、前記トレッド内側補強体のうちの一方のフランジと対向する面と他方のフランジと対向する面とを貫通して該トレッド内側補強体内に形成された貫通孔に、長さ方向の両端部を前記フランジとの対向面から該フランジへそれぞれ突出状態で挿入される棒材で、
前記スライドガイドは、前記両フランジのタイヤ弾性支持体の側に一体または別体で配設され、かつ長さ方向がタイヤ半径方向へ延びて前記スライド体の長さ方向の端部が挿入される溝部を有し、
前記傾斜許容手段は、前記トレッド内側補強体に形成され、かつ前記貫通孔の内壁面とこれに対応する前記スライド体の外壁面との間で、前記スライド体に対して、前記揺動および前記移動のうち、少なくとも1つを可能とする形状の傾斜許容領域部を有した請求項4に記載の車両用タイヤ。 - 前記スライド体は、先端部が前記フランジへ向かった突出状態で、前記トレッド内側補強体の両フランジとの対向部分に形成された掛合凹部に掛合される突起で、
前記スライドガイドは、前記両フランジのタイヤ弾性支持体の側に一体または別体で配設され、かつ長さ方向がタイヤ半径方向へ延びて前記スライド体の先端部が挿入される溝部を有し、
前記傾斜許容手段は、前記トレッド内側補強体に形成され、かつ前記掛合凹部の内壁面とこれに対応する前記スライド体の外壁面との間で、前記スライド体に対して、前記揺動および前記移動のうち、少なくとも1つを可能とする形状の傾斜許容領域部を有した請求項4に記載の車両用タイヤ。 - 前記スライド体には、両端面を貫通して形成された挿入孔を介して、前記スライド体の長さ方向へスライド自在な揺動子が装着され、
前記傾斜許容手段は、
前記スライドガイドに形成され、かつ該スライドガイドが有する孔部の内壁面と、該孔部に挿入される前記揺動子の外壁面との間で、該揺動子に対して前記揺動を可能とする傾斜許容領域部を有した請求項1または請求項4に記載の車両用タイヤ。 - 車両用タイヤのホイールと、
該ホイールよりタイヤ半径方向の外方へ離間して配置され、前記車両用タイヤの接地部分を構成するトレッド部と、
該トレッド部と前記ホイールのリムベースとの間に形成される解放された間隙に配置され、前記トレッド部から伝わる車両の荷重を支持するタイヤ弾性支持体と、
前記トレッド部の内周側で該トレッド部を固定するトレッド内側補強体と、
該トレッド内側補強体と前記ホイールのリムとの間に介在して設けられ、前記トレッド内側補強体とともに前記トレッド部をタイヤ半径方向にスライド自在とするスライド手段とを備え、
前記スライド手段は、
前記トレッド内側補強体および前記リムの一方に一体または別体で突設されたスライド体と、
前記トレッド内側補強体および前記リムの他方に一体または別体で設けられるとともに、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に挿入される孔部が形成されたスライドガイドとを有し、
該スライドガイドには、前記孔部の内壁面と、該孔部に挿入される前記スライド体の外壁面との間で、前記スライド体に対して特定の支点を中心とした所定角度の揺動を可能とすることで、前記トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容領域部を、前記孔部の開口部を除く部分に有し、
前記スライドガイドには、前記孔部の開口部から前記傾斜許容領域部までの間の部分に、該傾斜許容領域部より小径な部分が形成された車両用タイヤ。 - 車両用タイヤのホイールと、
該ホイールよりタイヤ半径方向の外方へ離間して配置され、前記車両用タイヤの接地部分を構成するトレッド部と、
該トレッド部と前記ホイールのリムベースとの間に形成される解放された間隙に配置され、前記トレッド部から伝わる車両の荷重を支持するタイヤ弾性支持体と、
前記トレッド部の内周側で該トレッド部を固定するトレッド内側補強体と、
該トレッド内側補強体と前記ホイールのリムとの間に介在して設けられ、前記トレッド内側補強体とともに前記トレッド部をタイヤ半径方向にスライド自在とするスライド手段とを備え、
前記スライド手段は、
前記トレッド内側補強体および前記リムの一方に一体または別体で突設されたスライド体と、
前記トレッド内側補強体および前記リムの他方に一体または別体で設けられるとともに、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に挿入される孔部または溝部が形成されたスライドガイドとを有し、
該スライドガイドには、前記孔部または溝部の内壁面と、該孔部または溝部に挿入された前記スライド体の外壁面との間で、前記スライド体に対して特定の支点を中心とした所定角度の揺動を可能とすることで、前記トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容領域部が設けられ、
前記孔部または溝部の奥部分には、前記スライド体を位置決めする幅狭な位置決め部が形成された車両用タイヤ。 - 前記トレッド部には、該トレッド部を補強する剛体または弾性体からなる埋め込み補強部材が埋設され、
該埋め込み補強部材には、被連結体を前記トレッド部の内周面、外周面および端面のうち、少なくとも1つに連結可能な連結構造部が設けられた請求項1〜請求項10のうち、何れか1項に記載の車両用タイヤ。 - 前記連結構造部は、前記傾斜許容手段の一部を構成し、かつ前記被連結体に着脱自在に取り付けられる軸受構造体で、
該軸受構造体には、前記被連結体への取り付け部分に元部が取り付けられた前記スライド体が、前記元部を中心とした所定角度の揺動および前記スライド体のスライド方向と直交する方向への所定距離の移動のうち、少なくとも1つが可能な状態で軸支されている請求項11に記載の車両用タイヤ。 - 前記トレッド部には、該トレッド部を補強する弾性を有した埋め込み補強部材が埋設された請求項1〜請求項10のうち、何れか1項に記載の車両用タイヤ。
- 前記タイヤ弾性支持体は、弾性力が異なる複数の部分弾性支持体からなる請求項1〜請求項13のうち、何れか1項に記載の車両用タイヤ。
- 前記トレッド部のタイヤ幅方向の少なくとも一端部には、該トレッド部のタイヤ幅方向の長さを変更するトレッド幅変更部材が固定状態または着脱自在に設けられた請求項1〜請求項14のうち、何れか1項に記載の車両用タイヤ。
- 前記トレッド部は、両端部が着脱自在に連結可能な1本の帯状トレッド部または該トレッド部をタイヤ周方向またはタイヤ幅方向に複数に分割した複数個の部分トレッドから構成され、
隣接する各部分トレッドは、部分間連結体により着脱自在に連結される請求項1〜請求項15のうち、何れか1項に記載の車両用タイヤ。 - 車両用タイヤのホイールと、
該ホイールよりタイヤ半径方向の外方へ離間して配置され、前記車両用タイヤの接地部分を構成するトレッド部と、
該トレッド部と前記ホイールのリムベースとの間に形成される解放された間隙に配置され、前記トレッド部から伝わる車両の荷重を支持するタイヤ弾性支持体と、
前記トレッド部の内周側で該トレッド部を固定するトレッド内側補強体と、
前記トレッド部またはトレッド内側補強体と前記ホイールのリムとの間に介在して設けられ、前記トレッド内側補強体とともに前記トレッド部をタイヤ半径方向にスライド自在とするスライド手段とを備え、
前記スライド手段は、
前記トレッド部または前記トレッド内側補強体に別体で突設された板形状のスライド体と、
前記リムに一体または別体で設けられるとともに、前記スライド体がタイヤ半径方向へスライド自在に取り付けられる板形状のスライドガイドとを有し、
前記トレッド部またはトレッド内側補強体には、
前記スライド体に対して、特定の支点を中心とした所定角度の揺動および前記スライド体のスライド方向と直交する方向への所定距離の移動のうち、少なくとも1つを可能とすることで、前記トレッド部の部分的および全体的な傾斜を許容する傾斜許容手段が設けられた車両用タイヤ。
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