以下、本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るタイヤ/ホイールシステムを示す子午線断面図である。子午線断面とは、タイヤ/ホイールシステム10の回転軸(Y軸)と平行かつ回転軸(Y軸)を含む平面で、タイヤ/ホイールシステム10を切ったときの断面である。子午断面において、タイヤ/ホイールシステム10は回転軸(Y軸)に対して軸対象なので、本実施形態では、対象となる一方を図示する。
タイヤ/ホイールシステム10は、中心軸(Y軸)を回転軸として回転する。Y軸は、タイヤ/ホイールシステム10の中心軸かつ回転軸である。タイヤ/ホイールシステム10の中心軸(回転軸)であるY軸に直交し、かつタイヤが接地する路面と平行な軸をX軸、Y軸とX軸とに直交する軸をZ軸とする。Y軸と平行な方向がタイヤ/ホイールシステム10の幅方向である。Y軸を通り、かつY軸に直交する方向がタイヤ/ホイールシステム10の径方向である。また、Y軸を中心とする周方向がタイヤ/ホイールシステム10の周方向である。タイヤ赤道面RPとは、タイヤ/ホイールシステム10の回転軸(Y軸)に直交するとともに、タイヤ/ホイールシステム10の幅方向における中心を通る平面である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面上にあってタイヤ/ホイールシステム10の外周面と前記赤道面とが交差する線である。
図1に示すタイヤ/ホイールシステム10は、第1環状体11と、第2環状体21と、反発力発生部材31とを含む。第1環状体11及び第2環状体21の中心軸は、タイヤ/ホイールシステム10の回転軸(Y軸)と共通する。第1環状体11は、円筒形状の部材であり、スポーク12を介してハブ13に連結される。ハブ13は、車両の車軸に取り付けられる。なお、第1環状体11は、スポーク12の代わりにディスクでハブ13と連結されていてもよい。第1環状体11とハブ13とを連結する部材を連結部材という。
本実施形態において、第1環状体11は、その中心軸(Y軸)と平行な方向において、第1部材11aと第2部材11bとの二つの部材に分割されている。そして、第1部材11aは、ボルト19によって第2部材11bに締結される。このような構造により、タイヤ/ホイールシステム10の組み立て及び分解が容易になる。なお、第1環状体11の分割数は2に限定されるものではなく、3以上であってもよい。また、第1部材11aと第2部材11bとはボルト19によって結合されるが、両者を結合させる手段はこれに限定されるものではない。
本実施形態において、第1環状体11は、金属で製造されるが、これに限定されるものではない。例えば、CFRP(Carbone Fiber Reinforced Plastics)やGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics)等の繊維強化プラスチック等で第1環状体11が製造されてもよい。本実施形態において、第1環状体11は、アルミニウム合金で製造される。金属材料は、これに限定されるものではなく、例えば、鋼(炭素鋼やステンレス鋼等)であってもよい。アルミニウム合金は、鋼と比較して比重が小さいため、タイヤ/ホイールシステム10の質量を小さくできるので好ましい。本実施形態において、第1環状体11の第2部材11bは、スポーク12及びハブ13と一体で製造される。
第1環状体11は、外周部11Iから、径方向外側に向かって突出する一対の第1凸部16a、16bを有する。第1凸部16aは、第1部材11aから突出し、第1凸部16bは、第2部材11bから突出する。本実施形態において、第1凸部16aは第1部材11aと一体で製造され、第1凸部16bは第2部材11bと一体で製造されるが、それぞれが別体として製造された後、溶接やボルト締め等の手段によって一体化されてもよい。例えば、第1凸部16aと第1部材11aとを別体として製造すれば、第1部材11aと第2部材11bとを鋳造や鍛造等により一体で製造することができる。この場合、タイヤ/ホイールシステム10を組み立てたり分解したりする際には、第1凸部16aを第1部材11aに着脱すればよい。
第1環状体11は、外周部11Iに一対の溝11Sa、11Sbを有する。一方の溝11Saは第1部材11aが有し、他方の溝11Sbは第2部材11bが有する。溝11Sa、11Sbは、第1環状体11の周方向に向かって連続して設けられるが、断続的に設けられていてもよい。溝11Sa、11Sbは、後述する第2凸部28a、28bと対向する位置に設けられる。そして、それぞれの溝11Sa、11Sbには、例えば、樹脂で製造されたストッパ47a、47bが取り付けられる。
第2環状体21は、円筒形状の部材であり、第1環状体11の径方向外側に配置される。本実施形態において、第2環状体21は、第1環状体11と同様に金属で製造されるが、これに限定されるものではない。例えば、CFRP(Carbone Fiber Reinforced Plastics)やGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics)等の繊維強化プラスチック等で第2環状体21が製造されてもよい。本実施形態において、第1環状体11は、アルミニウム合金で製造されるが、これに限定されるものではない。理由は第1環状体11に対するものと同様である。
第2環状体21は、外周部23にゴム層22を有する。第2環状体21とゴム層22とが、タイヤ/ホイールシステム10のタイヤに相当する。ゴム層22は、タイヤ/ホイールシステム10のタイヤのトレッド部に相当する。ゴム層22は、円環状の第2環状体21の外周部23を、周方向に向かって一周分覆っている。すなわち、ゴム層は、第2環状体21の外周部23に嵌め込まれるゴム製の輪である。ゴム層22は、径方向に複数種類のゴムを積層してもよい。ゴム層22は中実のゴムであるので、タイヤ/ホイールシステム10のタイヤに相当する第2環状体21とゴム層22とは、非空気入りタイヤに相当するものになる。
ゴム層22の表面、すなわち、タイヤ/ホイールシステム10の最も径方向外側の面は、直接路面に接する面(踏面)24である。本実施形態において、ゴム層22と第2環状体21とは、例えば、接着剤によって固定される。このような構造により、第2環状体21とゴム層22との間で相互に力を伝達できる。本実施形態においては、第2環状体21の外周部23は微少な凹凸を有している。この微少な凹凸により接着領域の表面積が大きくなるので、第2環状体21とゴム層22との接着強度を向上させることができるので好ましい。環状体21とゴム層22とを固定する手段は、接着剤に限定されるものではない。例えば、環状体21とゴム層22とは、接着成分をゴムに加えて加硫することにより接着する、加硫接着であってもよい。
本実施形態において、ゴム層22は、周方向に沿って延在する複数の周方向溝25を有する。このため、踏面24は、複数の周方向溝25によって区画され、かつ周方向に沿って延びる複数の陸部26を有することになる。踏面24の各陸部26には、周方向溝25に交差するラグ溝が設けられていてもよい。本実施形態において、ゴム層22の幅方向における寸法は、第2環状体21の幅方向における寸法と略同じ大きさであるが、前者が後者以下であることが好ましい。このようにすれば、ゴム層22の幅方向両端部における接地圧が過度に高くなることを抑制できるので、ゴム層22の偏摩耗を抑制できる。ゴム層22は、合成ゴムや天然ゴム又はこれらを混合したゴム材料と、当該ゴム材料に補強材として添加される炭素やSiO2等を含む。
第2環状体21は、内周部27から、径方向内側に向かって突出する一対の第2凸部28a、28bを有する。本実施形態において、第2凸部28a、28bは第2環状体21と一体で製造されるが、それぞれが別体として製造された後、溶接やボルト締め等の手段によって一体化されてもよい。
図1に示すように、本実施形態において、第1環状体11が有する第1凸部16a、16bは、第2環状体21が有する第2凸部28a、28bよりも幅方向外側に配置される。なお、第2環状体21が有する第2凸部28a、28bは、第1環状体11が有する第1凸部16a、16bはよりも幅方向外側に配置されてもよい。このような構造であるので、第2凸部28a、28bは、それぞれ第1凸部16a、16bと係り合うことにより、第1環状体11及び第2環状体21の中心軸(Y軸)と平行な方向、すなわち幅方向における第1環状体11と第2環状体21との相対的な移動を規制する。このような構造により、第1環状体11と第2環状体21との分離が回避される。
本実施形態においては、第1凸部16a、16bと第2凸部28a、28bとがそれぞれ互いに径方向へ移動できるように、熱膨張を考慮して両者の隙間48、49が調整される。なお、第1凸部16a、16bと第2凸部28a、28bとの間に隙間があると、両者の接触により音や振動が発生するおそれがある。このため、第1凸部16a、16bと第2凸部28a、28bとの間には、ゴムやフェルト等の防振材料を介在させてもよい。このようにすれば、第1凸部16a、16bと第2凸部28a、28bとが接触したときに、音や振動の発生を抑制できる。
第2環状体21は、ゴム層22よりも弾性率が高い。一般に、ゴム材料の弾性率(縦弾性率)は0.01GPaから0.1GPa程度であるが、第2環状体21の弾性率(縦弾性率)は、材料にもよるが40GPaから200GPa程度である。このように、第2環状体21の弾性率は、ゴム層22の弾性率の数十倍以上である。タイヤ/ホイールシステム10は、第2環状体21として、ゴム層22に対して弾性率が数百倍以上大きいものを用いている。
本実施形態において、タイヤ/ホイールシステム10は、第1環状体11と反発力発生部材31との間の摩擦力及び反発力発生部材31と第2環状体21との間の摩擦力を利用して、第1環状体11と第2環状体21との間で力を伝達する。このため、前記摩擦力に起因する摩擦熱が発生する。この摩擦熱は、第1環状体11及び第2環状体21に伝わる。第2環状体21に伝わった摩擦熱は、第2環状体21の表面から大気中に放出される。本実施形態において、第2環状体21は、複数の放熱孔29を有するので、摩擦熱の放熱面積が向上する。このような構造により、タイヤ/ホイールシステム10は、摩擦熱を効率的に大気中へ放出できるので、第2環状体21の熱膨張を抑制して、安定して機能を発揮することができる。
第2環状体21は、内周部27から径方向内側に向かって突出する凸部37a、37bを有する。凸部37a、37bは、反発力発生部材31の幅方向両側に配置される。凸部37a、37bにより、幅方向に向かう反発力発生部材31の移動が規制される。また、第2環状体21は、凸部37a、37bを有するので、内周部27の表面積を大きくすることができる。このような構造により、タイヤ/ホイールシステム10は、第2環状体21から摩擦熱をより効率よく大気中へ放出することができる。後述するように、反発力発生部材31は、タイヤ/ホイールシステム10の周方向に向かって延在するので、凸部37a、37bも、前記周方向に向かって延在して設けられることが好ましい。なお、凸部37a、37bは、前記周方向に連続して設けられる必要はなく、前記周方向に向かって断続的に設けられてもよい。
反発力発生部材31は、第1環状体11と第2環状体21との間に介在し、かつ第1環状体11及び第2環状体の21周方向に向かって延在する。反発力発生部材31は、圧縮に対して反発力を発生する部材である。タイヤ/ホイールシステム10は、少なくとも一つの反発力発生部材31を有する。反発力発生部材31は、第1環状体11及び第2環状体21の両方に接触している。反発力発生部材31は、断面外側形状が円形であるが、その直径は、第1環状体11と第2環状体21とが最も離れた場合の距離よりも大きいことが好ましい。このような構造により、第1環状体11又は第2環状体21が回転すると、反発力発生部材31は、第1環状体11との間及び第2環状体21との間で摩擦力を発生する。その結果、タイヤ/ホイールシステム10は、反発力発生部材31を介して、第1環状体11と第2環状体21との間で力を伝達できる。
同時に、反発力発生部材31は、タイヤ/ホイールシステム10の径方向に向かって圧縮されて変形すると、反発力を発生する。これによって、反発力発生部材31は、タイヤ/ホイールシステム10に作用する荷重を支持することができる。さらに、反発力発生部材31が弾性変形することで、タイヤ/ホイールシステム10に入力される衝撃を吸収する。すなわち、反発力発生部材31は、タイヤ/ホイールシステム10の縦バネとして機能する。反発力発生部材31は、圧縮方向において、タイヤ/ホイールシステム10の縦バネとして必要なバネ定数を有することが好ましい。例えば、反発力発生部材31のバネ定数は、50N/mm以上500N/mm以下が好ましい。
本実施形態において、反発力発生部材31は、例えば、ゴムや可撓性を有する樹脂で製造されたチューブである。反発力発生部材31がゴムで製造される場合、例えば、上述したゴム層22と同様なゴム材料を用いることができる。反発力発生部材31は、繊維で強化されていてもよい。反発力発生部材31は、第1環状体11と第2環状体21との間で力を伝達するため、繊維で強化されていれば、耐久性が向上するので好ましい。なお、反発力発生部材31は、チューブに限定されるものではなく、中実のゴムや樹脂で製造された環状部材であってもよい。また、反発力発生部材31の断面形状は、円形に限定されるものではない。
反発力発生部材31の材料は、特に限定されるものではないが、ゴムや樹脂等を主体とすることが好ましい。一般に、高分子材料は、第1環状体11及び第2環状体21の材料である金属材料や繊維強化プラスチックと比較して弾性率が数十分の一以下である。このため、反発力発生部材31は、第1環状体11と第2環状体21とに挟持されると、変形して、第1環状体11及び第2環状体21の表面との接触面積が大きくなる。その結果、反発力発生部材31は、第1環状体11と第2環状体21との間で、より効率よく力を伝達できる。
本実施形態において、第1環状体11及び第2環状体21の周方向に反発力発生部材31を一周させる場合、無端のチューブとすることが好ましい(以下、同様の例でも同じ)。反発力発生部材31の内部空間31Iには、所定の圧力で気体(空気や窒素)が充填されている。反発力発生部材31に充填される気体の圧力を調整することにより、タイヤ/ホイールシステム10の径方向における反発力発生部材31のバネ定数(圧縮方向におけるバネ定数)を変更できる。その結果、ダイヤ/ホイールシステム10は、縦剛性が変更される。このように、反発力発生部材31にチューブを用いた場合、簡易にタイヤ/ホイールシステム10の縦剛性を変更できるという利点がある。この場合、反発力発生部材31としてのチューブは、バネ特性及び気体漏れの性能に特化できるので、タイヤ/ホイールシステム10の設計が比較的容易になる。また、反発力発生部材31に充填される気体の圧力を調整することにより、反発力発生部材31と第1環状体11及び第2環状体21との間で発生する摩擦力の大きさを調整できる。
本実施形態において、反発力発生部材31は、内部空間31Iに気体を充填又は排出するための弁38を有している。弁38は、第1環状体11が有する貫通孔39に挿通された状態で設置されるが、弁38の設置の態様はこれに限定されるものではない。このような構造により、反発力発生部材31が第1環状体11と第2環状体21との間に配置された状態で、弁38を介して反発力発生部材31に充填された気体の圧力を調整することができる。その結果、保守・点検、気体の補充や、タイヤ/ホイールシステム10の縦剛性の調整が容易になる。
タイヤ/ホイールシステム10が車両に取り付けられた状態で転動すると、車両からの荷重や路面からの衝撃等によって第2環状体21と第1環状体11とが径方向に対して相対的に変位する。この変位は、上述したように反発力発生部材31が変形することにより吸収される。このとき、前記変位が大きいと、第1環状体11が有する第1凸部16a、16bの端部43、45が第2環状体21に衝突したり、第2環状体21が有する第2凸部28a、28bの端部44、46が第1環状体11に衝突したりするおそれがある。このため、タイヤ/ホイールシステム10は、上述したように、第2凸部28a、28bの端部44、46と対向する位置に、ストッパ47a、47bを有する。
前記変位によって第2凸部28a、28bの端部44、46がストッパ47a、47bに衝突しても、ストッパ47a、47bは樹脂なので、衝撃を吸収する。なお、第2凸部28a、28bの端部44、46とストッパ47a、47bとの距離は、第1凸部16a、16bの端部43、45と第2環状体21との距離よりも小さくしておく。このような構造により、第1凸部16a、16bの端部43、45が第2環状体21に直接衝突したり、第2凸部28a、28bの端部44、46が第1環状体11に衝突したりするおそれが低減されるので、前記衝突に起因する騒音を抑制できる。また、第1凸部16a、16bや第2凸部28a、28bの変形を抑制できる。
また、反発力発生部材31としてチューブを用い、内部に気体を充填する場合には、反発力発生部材31に傷等がつくと、反発力発生部材31から気体が漏洩するおそれもある。反発力発生部材31から気体が漏洩すると、反発力発生部材31は、タイヤ/ホイールシステム10に作用する荷重を支持できなくなるおそれがあるが、このような場合、第2凸部28a、28bの端部44、46がストッパ47a、47bに接触するので、第1環状体11が第2環状体21に接触したときの衝撃を抑制できる。さらに、第2凸部28a、28bの端部44、46が樹脂のストッパ47a、47bと接触することにより、両者の間に摩擦力が発生する。このため、第2凸部28a、28bとストッパ47a、47bとの間で力を伝達できる。その結果、反発力発生部材31がタイヤ/ホイールシステム10の荷重を支持できなくなり、第1環状体11と第2環状体21との間で力を伝達できなくなった場合でも、ある程度の距離は走行することができる。
ストッパ47a、47bは、ランフラット機能も有する。ストッパ47a、47bを設ける位置は、本実施形態の例に限定されるものではない。しかし、本実施形態のように、ストッパ47a、47bを第1凸部16a、16bと第2凸部28a、28bと第1環状体11と第2環状体21とで囲まれる空間に配置することにより、ストッパ47a、47bに照射される紫外線の量を激減させることができる。ストッパ47a、47bは、紫外線によって劣化しやすい樹脂なので、紫外線照射量が激減する効果はストッパ47a、47bの長寿命化に対して極めて有効である。
反発力発生部材31は、第1凸部16a、16bと第2凸部28a、28bと第1環状体11と第2環状体21とで囲まれる空間に配置される。このため、タイヤ/ホイールシステム10は、反発力発生部材31に照射される紫外線の量を激減させることができる。反発力発生部材31は、紫外線の照射によって劣化しやすいゴムや樹脂等で製造されるため、タイヤ/ホイールシステム10は、反発力発生部材31の耐久性低下を極めて効果的に抑制して、長期にわたって機能を発揮することができる。
従来の空気入りタイヤは、カーカスやベルト等の繊維材料とゴムとの複合材料であるので、子午断面内における剛性は低い。一方、タイヤ/ホイールシステム10は、金属材料や繊維強化プラスチックで製造される、円筒形状の構造体である第2環状体21を骨格として、第2環状体21にゴム層22が支持される。第2環状体21は、周方向に板状部材が連続した環状の構造体であり、形状の面から、子午断面内における剛性は高い。このため、タイヤ/ホイールシステム10は、子午断面内における剛性が従来の空気入りタイヤよりも高くなる。また、第2環状体21は、子午断面内における剛性が高いことから、第2環状体21の外周部23の子午断面における形状も、高い精度を維持できる。このため、タイヤ/ホイールシステム10は、従来の空気入りタイヤと比較して、接地面の形状を所定の形状に保ちやすい。
また、第2環状体21は、金属や繊維強化プラスチック等で製造されるので、繊維材料の組み合わせと比較すると、様々な形状のものを得ることができる。このため、タイヤ/ホイールシステム10は、第2環状体21の外周部23の子午断面における形状を変更することで、所望の接地形状に調整することも比較的容易である。その結果、タイヤ/ホイールシステム10は、例えば、幅方向における接地圧分布を均一化したり、接地長(周方向における接地面の長さ)を長くして旋回性能を向上させたりすることもできる。
また、タイヤ/ホイールシステム10は、カーカスやベルト層が存在しないため、従来の空気入りタイヤと比較して容易に製造することができる。すなわち、タイヤ/ホイールシステム10は、リング状のゴム層22を第2環状体21の外周部23に取り付け、その後、第2環状体21を第1環状体11に組み付ければ完成する。このため、タイヤ/ホイールシステム10を製造する場合、従来の空気入りタイヤと比較して、製造工程を大幅に自動化できる。
タイヤ/ホイールシステム10は、反発力発生部材31の径方向外側に第2環状体21が配置され、第2環状体21の径方向外側に、路面と接地するゴム層22が取り付けられる。このため、ゴム層22が損傷したとしても、第2環状体21によってゴム層の損傷の影響は食い止められる。その結果、第2環状体21の径方向内側に配置される反発力発生部材31に前記損傷の影響が及ぶことはほとんどなく、走破性に優れる。
タイヤ/ホイールシステム10のゴム層22は、従来の空気入りタイヤのキャップトレッドとアンダトレッドとに相当する部分だけあればよい。このため、タイヤ/ホイールシステム10は、従来の空気入りタイヤと比較して使用するゴムの量を少なくすることができる。その結果、タイヤ/ホイールシステム10は、転がり抵抗を低減させることができる。また、タイヤ/ホイールシステム10は、ゴム層22が摩耗した場合、第2環状体21ごとゴム層22を回収してゴム層22を除去し、第2環状体21を再利用することができる。また、回収したゴム層22付きの第2環状体21のゴム層22を除去して、新しいゴム層22を第2環状体21に取り付けること(リトレッド)も容易である。このように、タイヤ/ホイールシステム10は、環境負荷を低減できる。さらに、ゴム層22のみを取り替えることができるので、第2環状体21はそのままで、異なるトレッドパターンや異なるコンパウンドのゴム層22に交換することもできる。
次に、第1環状体11と第2環状体21と、反発力発生部材31とを組み合わせる手順の一例を説明する。図1に示すように、第1環状体11は、第1部材11aと第2部材11bとの二つの部材を複数のボルト19で結合して組み立てられる。まず、第1部材11aと第2部材11bとを分割した状態で、内周部27に反発力発生部材31を取り付けた第2環状体21を第2部材11bに組み付ける。次に、第1部材11aを第2部材11bに組み付けてから、複数のボルト19で両者を締結する。タイヤ/ホイールシステム10は、第1環状体11が有する第1凸部16a、16bを、第2環状体21が有する第2凸部28a、28bよりも幅方向外側に配置する(逆でも可)が、第1環状体11を幅方向に分割構造とすることで、簡単かつ確実に組み立てることができる。
(第1変形例)
図2は、実施形態1の第1変形例に係るタイヤ/ホイールシステムの断面図である。図2は、タイヤ/ホイールシステムを、赤道面で切ったときの状態を示している。本変形例において、反発力発生部材31Aは、タイヤ/ホイールシステム10Aの周方向に向かって延在しているが、周方向には不連続に、複数の反発力発生部材31Aが配置される。
図2に示すように、第1環状体11Aの外周部11Iからは、周方向において反発力発生部材31Aと係り合う第1係合部14が径方向外側に向かって突出している。また、第2環状体21Aの内周部27からは、反発力発生部材31Aと係り合う第2係合部50が径方向内側に向かって突出している。それぞれの反発力発生部材31Aは、第1係合部14と第2係合部50との間に配置される。
このような構造により、反発力発生部材31Aと第1環状体11A及び第2環状体21Aとの間の摩擦力に加え、第1係合部14と反発力発生部材31Aと第2係合部50との間でも力を伝達できる。その結果、タイヤ/ホイールシステム10Aは、第1環状体11Aと第2環状体21Aとの間で、より確実に力を伝達できるとともに、力の伝達において発生する損失も低減できる。
さらに、本変形例では、反発力発生部材31Aを周方向に複数配列しているが、例えば、一つの反発力発生部材31Aが力の伝達機能や衝撃吸収機能を喪失した場合でも、他の反発力発生部材31Aにより前記機能を維持できるので、信頼性が向上する。特に、反発力発生部材31Aとしてチューブを用いた場合は好ましい。本変形例の構成は、以下の例においても、第1環状体と第2環状体との間で動力を伝達する反発力発生部材に対して適用できる。
(第2変形例)
図3は、実施形態1の第2変形例に係るタイヤ/ホイールシステムの子午断面図である。本変形例において、タイヤ/ホイールシステム10Bは、第1部材11Baと第2部材11Bbとを有する第1環状体11Bと第2環状体21Bとの間に、複数(この例では2個)の反発力発生部材31Ba、31Bbを介在させる。反発力発生部材31Ba、31Bbは、上述した反発力発生部材31(図1参照)と同様に、周方向に向かって延在している。なお、上述した反発力発生部材31A(図2参照)のように、反発力発生部材31Ba、31Bbは、周方向に延在し、かつ複数配置されていてもよい。
第1環状体11Bは、幅方向両側に、第1凸部16Ba、16Bbを有する。第1凸部16Ba、16Bbは、第1環状体11Bの径方向外側に突出している。本変形例において、第1凸部16Ba、16Bbは、幅方向内側から外側へ向かうにしたがって、半径が大きくなるような傾斜面16SLa、16SLbを有する。第2環状体21Bは、外周部にゴム層22を有するとともに、幅方向両側に、第2凸部28Ba、28Bbを有する。第2凸部28Ba、28Bbは、第2環状体21Bの径方向内側に突出している。本変形例において、第2凸部28Ba、28Bbは、幅方向内側から外側へ向かうにしたがって、半径が小さくなるような傾斜面28SLa、28SLbを有する。傾斜面16SLaと傾斜面28SLaとは略平行であり、傾斜面16SLbと傾斜面28SLbとは略平行である。
本変形例において、反発力発生部材31Ba、31Bbは、それぞれ第1凸部16Baと第2凸部28Baとの間、第1凸部16Bbと第2凸部28Bbとの間に介在する。このため、反発力発生部材31Baは、傾斜面16SLaと傾斜面28SLaとの間に介在し、反発力発生部材31Bbは、傾斜面16SLbと傾斜面28SLbとの間に介在することになる。反発力発生部材31Ba、31Bbは、第1環状体11Bと第2環状体21Bとの間で圧縮されると、反発力を発生する。それぞれの反発力は、傾斜面16SLa及び傾斜面28SLaと、傾斜面16SLb及び傾斜面28SLbとに伝達される。そして、それぞれの傾斜面16SLa及び傾斜面28SLaと、傾斜面16SLb及び傾斜面28SLbにより、前記反発力から、幅方向の力の成分と径方向の力の成分とが生まれる。このような構造により、タイヤ/ホイールシステム10Bは、反発力発生部材31Ba、31Bbで幅方向のバネ(横バネ)の機能と径方向のバネ(縦バネ)の機能と発揮させることができる。
本変形例において、反発力発生部材31Ba、31Bbは、いずれもチューブを用いており、内部に充填された気体の圧力を調整することができるようにしてもよい。このような構造にすれば、タイヤ/ホイールシステム10Bは、縦剛性と横剛性(幅方向における剛性)とを同時に変更できる。なお、反発力発生部材31Ba、31Bbは、中実の部材であってもよい。
以上、本実施形態及びその変形例は、第1環状体と第2環状体との間に、縦バネとしての機能及び力の伝達機能を有する反発力発生部材を介在させる。このような構造により、複雑なリンク機構等を用いないで簡単な構造で、中実のゴム層(気体が充填されていない)をトレッド部としたタイヤ/ホイール組立体を提供できる。このように、本実施形態及びその変形例は、非空気入りタイヤを有する新たなタイヤ/ホイールシステムを提供できる。本実施形態において、反発力発生部材として、内部空間に気体が充填でき、かつ前記気体の圧力を調整できるチューブを用いれば、タイヤ/ホイールシステムの縦剛性を簡単に調整し、変更できる。本実施形態及びその変形例に係る構成は、以下においても適宜適用できる。
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係るタイヤ/ホイールシステムを示す子午断面図である。本実施形態は、第1環状体11と第2環状体21Cとの間に介在する反発力発生部材は、第1環状体11の外周部11Iと第2環状体21Cの内周部27との間に介在する少なくとも一つの第1反発力発生部材31Cと、第1凸部16a、16bと第2凸部28a、28bとの間に介在する少なくとも一つの第2反発力発生部材32a、32b、32cと、を有する点に特徴がある。実施形態1及びその変形例と共通する構成は、同一の符号を付す。
第1反発力発生部材31Cは、上述した実施形態の反発力発生部材31(図1)に相当し、第1環状体11の外周部11Iと第2環状体21C内周部27との間に介在する。第1反発力発生部材31Cは、圧縮に対して反発力を発生する部材である。第1反発力発生部材31Cは、タイヤ/ホイールシステム10Cの周方向に向かって一周にわたって配置される。図4に示すように、第1反発力発生部材31Cは、第1環状体11の外周部11Iと第2環状体21C内周部27との両方にそれぞれ接触し、両者に挟持される。一方、幅方向において、第1反発力発生部材31Cは、第1環状体11及び第2環状体21Cのいずれにも接触しない。
上述したように、第1反発力発生部材31Cは、タイヤ/ホイールシステム10Cの縦ばねとして機能する。本実施形態において、第1環状体11と第2環状体21Cとの間で力を伝達する機能は、第2反発力発生部材32a、32b、32cが担うので、第1反発力発生部材31Cは、第1環状体11と第2環状体21Cとの間で力を伝達しなくてもよい。実際は、第1反発力発生部材31Cは、第1環状体11と第2環状体21Cとに接するので、摩擦力により、両者の間において、ある程度の力を伝達する。第1環状体と第2環状体との間における力の伝達と、縦バネ機能とを分離したタイヤ/ホイールシステムにおいて、前記事項は同様である。
第1反発力発生部材31Cは、第1環状体11と第2環状体21Cとの間に少なくとも一つ介在する。図4では、幅方向中央付近に1つの第1反発力発生部材31Cを介在させた例を示しているが、第1反発力発生部材31Cの配置例はこれに限定されない。例えば、幅方向に所定の間隔を設けて2つ以上の第1反発力発生部材31Cを並べて配置してもよい。第2環状体21Cは、内周部27に、第1反発力発生部材31Cの幅方向に向かう移動を規制するための凸部37a、37bを有する点は、実施形態1と同様である。
本実施形態において、タイヤ/ホイールシステム10Cは、3つの第2反発力発生部材32a、32b、32cを有する。第2反発力発生部材32a、32b、32cは、圧縮に対して反発力を発生する部材である。第2反発力発生部材32aは、第1凸部16aと第2凸部28aとの間に介在する。第2反発力発生部材32b、32cは、第1凸部16bと第2凸部28bとの間に介在する。第2反発力発生部材32a、32b、32cは、タイヤ/ホイールシステム10Cの周方向に向かって一周にわたって配置される。第2反発力発生部材32a、32b、32cは、周方向に向かって連続していなくてもよく、断続的に配置されていてもよい。
第1凸部16aと第2凸部28aとの間に介在する第2反発力発生部材32aは、第1凸部16aの表面35と第2凸部28aの表面36とにそれぞれ接触する。このような構造により、第2反発力発生部材32aは、第1凸部16aと第2凸部28aとによって挟持される。第2反発力発生部材32aは、径方向において第1環状体11及び第2環状体21Cと所定の隙間を有するので、第1環状体11と第2環状体21Cとには挟持されない。
第1凸部16bと第2凸部28bとの間に介在する第2反発力発生部材32b、32cは、第1凸部16bの表面35と第2凸部28bの表面36とにそれぞれ接触する。このような構造により、第2反発力発生部材32b、32cは、第1凸部16bと第2凸部28bとによって挟持される。第2反発力発生部材32a、32bは、径方向において第1環状体11及び第2環状体21Cと所定の隙間を有するので、第1環状体11と第2環状体21Cとには挟持されない。
本実施形態において、第2反発力発生部材32a、32bは、中実の部材であり、第2反発力発生部材32cはチューブである。第2反発力発生部材32a、32b、32cは、実施形態1の反発力発生部材31や第1反発力発生部材31Cと同様の材料で製造することができる。後述するように、第2反発力発生部材32a、32b、32cは、摩擦力で力を伝達するので、繊維で強化されていてもよい。
第2反発力発生部材32a、32b、32cは、タイヤ/ホイールシステム10Cの横バネとして機能する。すなわち、第2反発力発生部材32a、32b、32cは、タイヤ/ホイールシステム10Cの幅方向に向かう衝撃を吸収したり、幅方向に向かう荷重(例えば、コーナーリング時の荷重)を支持したりする。同時に、第2反発力発生部材32aは、第1凸部16a及び第2凸部28aとの間で発生する摩擦力により、第1凸部16a及び第2凸部28aとの間で力を伝達する。同様に、第2反発力発生部材32b、32cは、第1凸部16b及び第2凸部28bとの間で発生する摩擦力により、第1凸部16b及び第2凸部28bとの間で力を伝達する。第1凸部16a、16b及び前記第2凸部28a、28bは、それぞれ円環状の板状部材である。このため、第2反発力発生部材32a、32b、32cとの接触面積を確保できるので、力を確実に伝達できる。
本実施形態において、タイヤ/ホイールシステム10Cは、3個の第2反発力発生部材32a、32b、32cが、第2反発力発生部材の数及び配置は上述したものに限定されない。また、第2反発力発生部材32a、32b、32cの断面形状(中心軸と直交する断面の形状)は図4に示す略円形、略矩形に限定されるものではない。第2反発力発生部材32a、32b、32cは、摩擦力で力を伝達するのに適した形状とすることが好ましい。第2反発力発生部材32a、32b、32cは、圧縮方向において、タイヤ/ホイールシステム10Cの横バネとして必要なバネ定数を有することが好ましい。例えば、第2反発力発生部材32a、32b、32cのバネ定数は、30N/mm以上300N/mm以下が好ましい。
第2反発力発生部材32cは、チューブである。第2反発力発生部材32cは、実施形態1の反発力発生部材31と同様に、内部空間に気体が充填されることにより、第1凸部16bと第2凸部28bとに押圧力を与える。第2反発力発生部材32cは、内部に充填される気体の圧力を変更することにより、タイヤ/ホイールシステム10Cの横剛性を変更することができる。第2反発力発生部材32は、内部空間に気体を充填又は排出するための弁41を有している。弁41は、第1環状体11が有する第2部材11bに設けられた貫通孔42に挿通される。このような構造により、第2反発力発生部材32cは、図4に示すように第1凸部16bと第2凸部28bと第1環状体11と第2環状体21Cとで囲まれた空間に収容された状態で、タイヤ/ホイールシステム10Cの外部から弁41を介して第2反発力発生部材32cに充填された気体の圧力を調整することができる。その結果、保守・点検、気体の補充や、タイヤ/ホイールシステム10Cの横剛性の調整が容易になる。
図4に示すように、第1凸部16a、16bの径方向外側における端部43、45は、第2凸部28a、28bの径方向内側における端部44、46よりも径方向外側であることが好ましい。このような構造により、第1凸部16a、16bと第2凸部28a、28bとは、第2反発力発生部材32a、32b、32cを確実に挟持することができる。また、タイヤ/ホイールシステム10Cに幅方向の力が作用した際に、第2環状体21Cが第1環状体11から脱落するといった事態を回避できる。
タイヤ/ホイールシステム10Cは、第2環状体21Cと第1環状体11との径方向における相対的な変位が発生した場合、当該変位を第1反発力発生部材31Cが受けることができる。また、タイヤ/ホイールシステム10Cは、第2環状体21Cと第1環状体11との幅方向における相対的な変位が発生した場合、当該変位を第2反発力発生部材32a、32b、32cが受けることができる。このような構造により、第1反発力発生部材31Cがタイヤ/ホイールシステム10Cの縦バネ機能を担い、第2反発力発生部材32a、32b、32cが横バネ機能を担う。
第1反発力発生部材31C及び少なくとも一つの第2反発力発生部材をチューブとし、当該チューブの内部空間に充填された気体の圧力をそれぞれ個別に調整できるようにする。このような構造によれば、タイヤ/ホイールシステム10Cの縦剛性と横剛性とを、それぞれ別個に調整することができる。タイヤ/ホイールシステム10Cの縦剛性は、乗り心地に影響を与え、横剛性は車両の操縦安定性や走行安定性に影響を与える。このため、走行条件に合わせてタイヤ/ホイールシステム10Cの縦剛性と横剛性とを個別に調整して、走行性能を優先させたり、乗り心地を優先させたり、走行性能と乗り心地とのバランスを取ったりすることができる。また、本実施形態では、図4に示すように、チューブの第2反発力発生部材32cと、中実の部材である第2反発力発生部材32a、32bとを組み合わせる。このようにすると、横剛性をより広い範囲で調整することができる。
以上、本実施形態では、第1環状体と第2環状体との間に介在し、縦バネの機能を発揮する第1反発力発生部材として、及び第1環状体と第2環状体との間に介在し、横バネ及び力伝達の機能を発揮する第2反発力発生部材の少なくとも一つとして、内部に気体を保持でき、かつその圧力を調整できるチューブを用いる。すなわち、本実施形態では、タイヤ/ホイールシステムの縦バネの機能と横バネの機能とを分離する。このような構造により、タイヤ/ホイールシステムの縦剛性と横剛性とを別個に調整できる。また、第1環状体と第2環状体とを別個に設計することにより、縦バネと横バネとを別個に設計して、それぞれに適切な性能を持たせやすくなる。さらに、本実施形態に係るタイヤ/ホイールシステムは、第1環状体に動力伝達機能を持たせないようにすることができる。この場合、反発力発生部材31としてのチューブは、バネ特性及び気体漏れの性能に特化できるので、第1環状体の設計が比較的容易になる。本実施形態に係る構成は、以下においても適宜適用できる。
(実施形態3)
図5は、実施形態3に係るタイヤ/ホイールシステムを示す子午断面図である。本実施形態は、第1環状体11と第2環状体21Dとの間に介在する反発力発生部材は、第1凸部16a、16bと第2凸部28Da、28Dbとの間に介在する少なくとも一つの第2反発力発生部材32Da、32Dbである点に特徴がある。実施形態1及びその変形例、並びに実施形態2と共通する構成は、同一の符号を付す。
本実施形態において、タイヤ/ホイールシステム10Dは、2つの第2反発力発生部材32Da、32Dbを有する。これらは、圧縮に対して反発力を発生する部材である。第2反発力発生部材32Daは、第1凸部16aと第2環状体21Dが有する第2凸部28Daとの間に介在する。第2反発力発生部材32Dbは、第1凸部16bと第2環状体21Dが有する第2凸部28Dbとの間に介在する。第2反発力発生部材32a、32bは、タイヤ/ホイールシステム10Dの周方向に向かって一周にわたって配置される。第2反発力発生部材32a、32bは、周方向に向かって連続していなくてもよく、断続的に配置されていてもよい。
第1凸部16aと第2凸部28Daとの間に介在する第2反発力発生部材32aは、第1凸部16aの表面35と第2凸部28Daの表面36とにそれぞれ接触する。さらに、第2反発力発生部材32aは、第2環状体21Dの凸部内周面28Dcと第1環状体11の外周部11Iとにそれぞれ接触する。その結果、第2反発力発生部材32aは、第1凸部16aと第2凸部28Daと第1環状体11と第2環状体21Dとによって挟持される。
第1凸部16bと第2凸部28Dbとの間に介在する第2反発力発生部材32bは、第1凸部16bの表面35と第2凸部28Dbの表面36とにそれぞれ接触する。さらに、第2反発力発生部材32bは、第2環状体21Dの凸部内周面28Ddと第1環状体11の外周部11Iとにそれぞれ接触する。その結果、第2反発力発生部材32bは、第1凸部16bと第2凸部28Dbと第1環状体11と第2環状体21Dとによって挟持される。
上記構造により、第2反発力発生部材32aは、第1凸部16aと第2凸部28Daと第1環状体11と第2環状体21Dとの間に発生する摩擦力により、第1環状体11と第2環状体21Dとの間で力を伝達する。同様に、第2反発力発生部材32bは、第1凸部16bと第2凸部28Dbと第1環状体11と第2環状体21Dとの間に発生する摩擦力により、第1環状体11と第2環状体21Dとの間で力を伝達する。また、第2反発力発生部材32a、32bは、それぞれ第1環状体11と第2環状体21Dとの間に介在するので、タイヤ/ホイールシステム10Dの径方向における荷重を支持したり、衝撃を吸収したりする。このように、第2反発力発生部材32a、32bは、タイヤ/ホイールシステム10Dの縦バネとして機能する。さらに、第2反発力発生部材32a、32bは、それぞれ第1凸部16aと第2凸部28Daとの間、第1凸部16bと第2凸部28Dbとの間に介在するので、タイヤ/ホイールシステム10Dの幅方向における荷重を支持したり、衝撃を吸収したりする。このように、第2反発力発生部材32a、32bは、タイヤ/ホイールシステム10Dの横バネとしても機能する。
本実施形態において、第2反発力発生部材32a、32bはいずれもチューブである。第2反発力発生部材32a、32b、32cは、実施形態1の反発力発生部材31や第1反発力発生部材31Cと同様の材料で製造することができる。第2反発力発生部材32a、32bは、摩擦力で力を伝達し、かつタイヤ/ホイールシステム10Dの縦バネ及び横バネとしても機能する。このため、繊維で強化されていてもよい。本実施形態において、タイヤ/ホイールシステム10Dは、チューブの第2反発力発生部材32a、32bを有するので、内部空間に充填される気体の圧力を調整することにより、タイヤ/ホイールシステム10Dの縦剛性及び横剛性を同時に変更することができる。
本実施形態は、2個の第2反発力発生部材32a、32bが、第1環状体11と第2環状体21Dとの間における力の伝達機能と、タイヤ/ホイールシステム10Dの縦バネ及び横バネとしての機能とを担う。このため、タイヤ/ホイールシステム10Dが有する反発力発生部材の数を、実施形態2と比較して少なくすることができる。
(実施形態4)
図6は、実施形態4に係るタイヤ/ホイールシステムを示す子午断面図である。実施形態4のタイヤ/ホイールシステム10Eは、実施形態2のタイヤ/ホイールシステム10C(図4参照)と同様であるが、第1反発力発生部材及び第2反発力発生部材の種類及び個数を、実施形態2と異ならせた点が異なる。他の構成は実施形態2と同様である。
図6に示すように、タイヤ/ホイールシステム10Eは、2つの第1反発力発生部材31Ea、31Ebを有している。第1反発力発生部材31Ea、31Ebは、幅方向に所定の間隔をもって並べて配置されている。第1反発力発生部材31Eaはチューブである。第1反発力発生部材31Eaは、実施形態1の反発力発生部材31をチューブとした場合と同様の構造である。第1反発力発生部材31Eaは、第1部材11Eaと第2部材11Ebとを有する第1環状体11Eの外周部11Iと第2環状体21Eの内周部27とにそれぞれ接触する。このような構造により、第1反発力発生部材31Eaは、第1環状体11Eと第2環状体21Eとに挟持される。一方、第1反発力発生部材31Eaは、幅方向において、第1環状体11E及び第2環状体21Eには接触しないように配置される。また、第1反発力発生部材31Eaは、第2環状体21Eの内周部27が有する凸部37a、37bによって、幅方向の移動が規制される。
第1反発力発生部材31Ebは、中実の部材である。第1反発力発生部材31Ebは、実施形態1の反発力発生部材31の材料と同様の材料で製造される。第1反発力発生部材31Ebは、第1環状体11Eの周方向に向かって延在し、第1環状体11Eを一周している。図6に示すように、第1反発力発生部材31Eaの断面形状(中心軸と直交する断面の形状)及び第1反発力発生部材31Ebの断面外形状(中心軸と直交する断面の外形状)は円形である。本実施形態において、第1反発力発生部材31Ebの外径は、第1反発力発生部材31Eaの外径よりも小さい。このため、第1反発力発生部材31Ebは第1環状体11Eの外周部11Iにのみ接触し、第2環状体21Eの内周部27との間には、径方向において所定間隔dを有している。また、第1反発力発生部材31Ebは、第1反発力発生部材31Eaと同様に、幅方向においては第1環状体11E及び第2環状体21Eのいずれにも接触しないように配置される。さらに、第1反発力発生部材31Ebは、第1環状体11Eの外周部11Iが有する凸部37c、37dによって、幅方向の移動が規制される。
第1反発力発生部材31Ea、31Ebは、実施形態1と同様に、タイヤ/ホイールシステム10Eの縦バネとして機能する。この縦バネの機能について説明する。第1反発力発生部材31Eaが第1環状体11Eと第2環状体21Eとに挟持されているので、径方向の入力により、最初に第1反発力発生部材31Cが変形する。第1環状体11Eと第2環状体21Eとの径方向における相対的な変位が所定間隔dに達すると、第2環状体21Eは第1反発力発生部材31Ebに接触する。すると、タイヤ/ホイールシステム10Eの径方向におけるバネ定数は、第1反発力発生部材31Eaのバネ定数と第1反発力発生部材31Ebのバネ定数との和になる。その結果、タイヤ/ホイールシステム10Eは、前記変位の大きさによって、縦剛性が変化する。具体的には、タイヤ/ホイールシステム10Eは、変位が小さいときは比較的縦剛性は小さいが、変位がある値を超えると、縦剛性は急激に大きくなる。これにより、タイヤ/ホイールシステム10Eは、大きな変位の径方向の入力に対しては、径方向の変形が抑制されるので、操縦安定性の低下が抑制される。一方、タイヤ/ホイールシステム10Eは、小さな変位の径方向の入力に対しては、径方向に変形しやすくなるので、乗り心地が改善される。
本実施形態において、第2反発力発生部材32a、32dは、それぞれ第1凸部16aと第2凸部28Daとの間、第1凸部16bと第2凸部28Dbとの間に介在する。第2反発力発生部材32aは、第1凸部16a及び第2凸部28Daとの間で発生する摩擦力により第1環状体11Eと第2環状体21Eとの間で力を伝達する。また、第2反発力発生部材32dは、圧縮に対して反発力を発生する部材であり、第1凸部16b及び第2凸部28Dbとの間で発生する摩擦力により第1環状体11Eと第2環状体21Eとの間で力を伝達する。このように、本実施形態において、第2反発力発生部材32a、32bが第1環状体11と第2環状体21Cとの間で力を伝達するので、第1反発力発生部材31Ea、31Ebは、第1環状体11Eと第2環状体21Eとの間で力を伝達しなくてもよい。
さらに、第2反発力発生部材32a、32bは、タイヤ/ホイールシステム10Eの横バネとしても機能する。本実施形態において、第2反発力発生部材32aは中実の部材であり、第2反発力発生部材32bはチューブである。第2反発力発生部材32bとしてのチューブの内部空間に充填される気体の圧力を調整することにより、タイヤ/ホイールシステム10Eの横剛性を変更することができる。また、前記気体の圧力を調整することにより、第2反発力発生部材32aと第1凸部16a及び第2凸部28Daとの間、第2反発力発生部材32bと第1凸部16b及び第2凸部28Dbとの間に発生する摩擦力の大きさを変更することができる。