JP4053381B2 - 冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶飲料等の被冷却物の冷却媒体として空気を使用する冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動販売機、冷凍・冷蔵ショーケース等に収納されている被冷却物(商品)を冷却する装置としてフロン冷媒を用いたものが一般的となっているが、近年はフロンによるオゾン層の破壊が重要な懸案事項となっており、フロン冷媒に代わる代替冷却媒体が種々検討されている。
【0003】
この代替冷却媒体として、二酸化炭素やプロパン、ブタン等の炭化水素冷媒などが検討されており、これらの冷却媒体を用いてオゾン層の破壊防止、ひいては地球環境の保全を図るようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−155540号公報(第2頁の段落番号[0003])
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、冷媒として二酸化炭素を使用するときは地球温暖化の要因となるし、また、炭化水素冷媒は引火性を有するもの多く、取り扱い上危険なものとなっている。
【0006】
本発明の目的は前記従来の課題に鑑み、安全性はもとより地球環境に最も好適な冷却媒体である空気を用いて被冷却物を冷却する冷却装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するため、請求項1に係る自動販売機の冷却装置は、空気を圧縮する圧縮機と、圧縮機で圧縮された空気から熱を放出させる放熱器と、放熱器で冷却された空気を減圧して膨張させる膨張機と、膨張機で減圧された冷却空気が内部に吹き出される被冷却物冷却器とを備えた自動販売機の冷却装置において、放熱器で冷却された空気を貯留する空気貯留器と、空気貯留器から膨張機に導かれる空気流通を開閉制御する開閉弁とを有し、被冷却物冷却器の内部空間は缶飲料等の被冷却物の個々に対応するよう形成するとともに、冷却を必要とする被冷却物が個々に搬出される毎に、搬出された被冷却物を内部空間に受容し、かつ、開閉弁を開放して内部空間に冷却空気を吹き出して被冷却物を冷却する構造となっている。
【0008】
請求項1の発明によれば、空気が圧縮機で断熱圧縮され、等エントロピ線に沿って変化し高温高圧の空気となる。この高温高圧の空気は放熱器で等圧状態で放熱される。この等圧空気は膨張機で断熱膨張され、等エントロピ線に沿って変化し低温空気となる。この低温空気を被冷却物に送風することにより、被冷却物が冷却される。また、空気貯留器内に放熱空気を予め貯留し、これを開閉弁で流通制御できるため、必要に合わせて被冷却物を冷却することできる。
【0011】
請求項の発明は、請求項1の自動販売機の冷却装置において、被冷却物冷却器として、被冷却物を収容しかつ膨張機で減圧された空気が流通する被冷却物収容器を用いるとともに、被冷却物収容器内の圧力を調整する圧力調整弁を設けた構造となっている。
【0012】
請求項の発明によれば、被冷却物を冷却するときは、これを被冷却物収容器に収容し、減圧された空気を被冷却物収容器内に流通させればよい。また、被冷却物収容器内の圧力が圧力調整弁で調整され、収容器の安全が確保される。
【0013】
請求項の発明の如く、圧縮機の回転駆動軸を膨張機の回転出力軸に連係させ、膨張機の回転出力により圧縮機を回転するようにしても良い。また、請求項の発明の如く、膨張機の回転出力を発電機に伝達して発電機の駆動力として使用するようにしてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1乃至図4は本発明に係る冷却装置の一実施形態を示すもので、図1は冷却装置の空気循環回路図、図2は冷却装置のモリエル線図上に表した空気圧力・エンタルピの変化図、図3は食品収容器の概略構造図、図4は圧縮機と膨張機との連係構造を示す概略図である。
【0015】
この冷却装置は空気を冷媒として使用するもので、図1に示すように、圧縮機1、放熱器2、空気貯留器3、電磁弁4、膨張機5、食品収容器6及び圧力調整弁7を順次連結し、実線矢印に示すように、順次空気を流すようになっている。
【0016】
圧縮機1は外部から空気を吸入しこれを断熱圧縮するもので、この空気圧縮により、外気温度35℃で1気圧の空気(大気)(図1のA,図2のA点)が、等エントロピ線に沿って圧力上昇し、110℃で2.5気圧にする(図1のB,図2のB点)。
【0017】
放熱器2は圧縮機1で高温高圧となった空気を放熱するもので、高温高圧空気が通る熱交換コイル部2aと送風機2bとからなる。ここで、送風機2bにより熱交換コイル部2aに向かって大気を送風するときは、熱交換コイル部2aの内部を通る空気と大気との間で熱交換し、熱交換コイル部2a内の空気の放熱を行う。これにより、空気圧を変えることなく(2.5気圧)、温度を35℃に低下させる(図1のC,図2のC点)。
【0018】
空気貯留器3は放熱器2で放熱された空気を貯留し、また、電磁弁4は空気貯留器3に貯留された空気の流通を開閉制御する。
【0019】
膨張機5は空気貯留器3から流入した空気を減圧して断熱膨張させるものである。また、この膨張機5の断熱膨張により、温度が33℃となり、圧力を1気圧に戻している(図1のD,図2のD点)。また、膨張機5は空気が2.5気圧から1気圧に変動するため、膨張機5として例えばスクロール式の膨張機(図4に示す膨張機)を使用するときは、その差圧により回転力を得ることができる。この回転力をシャフト8を通じて発電機9に出力するときは、発電器9の駆動力として利用される。
【0020】
食品収容器(被冷却物収容器)6は箱状に形成されたもので、図3に示すように、内部に被冷却物、例えば缶飲料Sを収容できるようになっている。また、食品収容器6の側壁6aには膨張機5から給送された空気を多数に亘って分岐する分岐管6bが設置されており、この分岐管6bを通じて缶商品S全体に膨張空気が吹き出されるようになっている。一方、側壁6aと対向する側壁6cには複数(図3では三つ股)となっている集合管6dが設置されており、この集合管6dを通じて食品収容器6内の空気を圧力調整弁7側に流出させている。
【0021】
圧力調整弁7は食品収容器6内の圧力を調整するもので、食品収容器6の下流に設置して食品収容器6の損壊を防止している。また、この圧力調整弁7を通過した空気は外部に放出されることとなる。
【0022】
本実施形態によれば、圧縮機1で吸入された空気(大気)が断熱圧縮され、更に放熱器2で放熱されて空気貯留器3に貯留される。この貯留された空気は膨張機5により断熱膨張され冷却空気となる。そして、この冷却空気により缶飲料Sが冷却される。このように、缶飲料Sの冷却媒体として空気が用いられているため、地球環境に最適な冷却媒体で冷却されることとなる。
【0023】
また、空気貯留器3に一旦貯留された冷却媒体が用いられ、また、冷却を必要とするときは電磁弁4を開放すればよいため、缶飲料Sを適宜冷却することができる。
【0024】
更に、冷却を必要とする缶飲料Sのみを食品収容器6に収容すればよく、従来の自動販売機の如く無用に多数の缶飲料Sを冷却する必要がない。
【0025】
更にまた、膨張機4で得られる回転出力が発電機9の駆動力として利用されるため、電気エネルギーを得ることができ、省エネが実現される。
【0026】
図4は膨張機5の回転出力利用例の他の例を示すものである。前記実施形態では膨張機5の回転出力を発電機9の駆動力として利用しているが、ここでは、圧縮機1の駆動力として利用している。
【0027】
即ち、圧縮機1及び膨張機5は図4に示すように共にスクロール式の圧縮・膨張機構を採用している。まず、圧縮機1はガス吸入口11を外側にガス吐出口12を中央にそれぞれ有するもので、旋回スクロール13を図4の矢印方向(図4に向かって右回り)に回転してガス吸入口11から流入した空気を固定スクロール14との間で圧縮し、ガス吐出口12から吐出する構成となっている。
【0028】
一方、膨張機5は前記圧縮機1とは逆の構成、即ちガス吐出口51を外側にガス吸入口52を内側にそれぞれ有し、旋回スクロール53を図4の矢印方向(図4に向かって左回り)に回転してガス吸入口52から流入した空気を固定スクロール54との間で膨張させ、ガス吐出口51から吐出する構成となっている。
【0029】
更に、圧縮機1の回転駆動軸と膨張機5の回転出力軸は図4に示すようにシャフト10で連結しており、膨張機5の駆動により圧縮機1が駆動する構成となっている。
【0030】
このように構成することにより、膨張機5の回転出力が圧縮機1の駆動力に利用され、これまた、省エネが実現される。
【0031】
なお、前記実施形態では膨張機5と発電機9、膨張機5と圧縮機1をそれぞれシャフト8,10で直結連係しているが、継手等を介して連結してもよいことは勿論である。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、被冷却物の冷却媒体として空気を用いており、地球環境に最適な冷却媒体となっている。また、空気貯留器内に放熱空気を予め貯留し、これを開閉弁で流通制御できるため、必要に合わせて被冷却物を冷却することできる。
【0034】
請求項の発明によれば、被冷却物収容器内の圧力が圧力調整弁で調整され、収容器の安全が確保される。
【0035】
請求項の発明によれば、膨張機の回転出力を発電機の駆動力として、また、請求項の発明によれば、膨張機の回転出力を圧縮機の駆動力として利用することができるため、省エネを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷却装置の空気循環回路図
【図2】冷却装置のモリエル線図上に表した空気圧力・エンタルピの変化図
【図3】食品収容器の概略構造図
【図4】圧縮機と膨張機との連係構造を示す概略図
【符号の説明】
1…圧縮機、2…放熱器、3…空気貯留器、4…電磁弁、5…膨張機、6…食品収容器、7…圧力調整弁、8,10…シャフト、9…発電機。

Claims (4)

  1. 空気を圧縮する圧縮機と、
    前記圧縮機で圧縮された空気から熱を放出させる放熱器と、
    前記放熱器で冷却された空気を減圧して膨張させる膨張機と、
    前記膨張機で減圧された冷却空気が内部に吹き出される被冷却物冷却器とを備えた自動販売機の冷却装置において、
    前記放熱器で冷却された空気を貯留する空気貯留器と、該空気貯留器から前記膨張機に導かれる空気流通を開閉制御する開閉弁とを有し、
    前記被冷却物冷却器の内部空間は缶飲料等の被冷却物の個々に対応するよう形成するとともに、冷却を必要とする被冷却物が個々に搬出される毎に、搬出された被冷却物を該内部空間に受容し、かつ、前記開閉弁を開放して該内部空間に冷却空気を吹き出して該被冷却物を冷却する
    ことを特徴とする自動販売機の冷却装置。
  2. 前記被冷却物冷却器として、被冷却物を収容しかつ前記膨張機で減圧された空気が流通する被冷却物収容器を用いるとともに、該被冷却物収容器内の圧力を調整する圧力調整弁を設けた
    ことを特徴とする請求項1記載の自動販売機の冷却装置。
  3. 前記圧縮機の回転駆動軸は前記膨張機の回転出力軸に連係した
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動販売機の冷却装置。
  4. 前記膨張機の回転出力軸は発電機の回転軸に連係した
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動販売機の冷却装置。
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