JP4053287B2 - プレス用リフタ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレス成形後のワークを搬送ラインまでリフトアップさせるプレス用リフタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、生産ラインでは、生産性を向上させるために、いわゆるトランスファプレス装置が使用されている。このトランスファプレス装置は、プレス成型品(以下「ワーク」と称する)をプレス型から、リフタを用いてリフトアップさせ、そのままの姿勢を維持した状態で、フィードバーと、このフィードバーに取付けられた搬送用フィンガ等で構成されたワークフィーダに受け渡し、次工程へ搬送するものである。
【0003】
従って、リフタにより脱型されたワークの姿勢が乱れると、ワークフィーダへの受け渡しが不正確となり、品質及び生産性に悪影響を及ぼしてしまう。そのため、リフタによりリフトアップしたワークを安定した姿勢で、ワークフィーダに受け渡す技術が種々提案されている。
【0004】
ワークをリフトアップする際の姿勢を安定させる技術として、例えば特開平5-200468号公報、或いは特開2001-225129号公報に開示されているように、リフタのワーク受け面に、ワークを吸着する磁石或いはバキュームカップを設け、この磁石或いはバキュームカップによりワークをリフタに吸着した状態でリフトアップさせる技術が知られている。
【0005】
又、上述した特開平5-200468号公報、或いは、実公平5−27221号(実開昭63−11135号)公報には、上型にワークの上面を押圧するピンを設け、リフトアップ時にピンとリフタのワーク受け面とでワークを挟持固定することで、ワークの位置ずれを防止する技術が開示されている。
【0006】
ところで、リフタを昇降動作させるアクチュエータを下型内のリフタ直下に収容して、リフタを直接動作させるものが比較的多く採用されている。
【0007】
しかし、このいわゆる直動タイプのリフタ機構では、下型内にアクチュエータを配設する関係上、成形の形状によってはアクチュエータを配設するためのスペースを確保することが困難な場合も生じ、リフタのレイアウトが制約を受ける不具合が生じるおそれがある。
【0008】
そのため、アクチュエータを下型の外側に配設し、このアクチュエータとリフタとを、ベルクランクやリフタアーム等のリンク機構を介して連設するようにした技術が、上述した特開2001-225129号公報等で提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、アクチュエータを下型の外側に配設した場合、アクチュエータとリフタ本体との間を連設するリンク機構の長さが長くなるため、アクチュエータによりリフタ本体を上昇させる際に、リンク機構がぶれ易くなり、このリンク機構のぶれがリフタ本体に伝達されて、ワーク位置ずれが生じ易くなる。
【0010】
上述した先行技術では、リフタ本体のワーク受け面側に固定機構を設け、或いはリフタ本体のワーク受け面と上型側から延出するピンとでワークを挟持するようにしているため、リフタ本体のぶれが治まらない状態で、ワークを固定した場合は、ワークに位置ずれが発生してしまい、ワークフィーダに対して正しい姿勢で受け渡すことができなくなる。
【0011】
これに対処するに、リフタ本体下面のアクチュエータから離れた部位に、下方へ延出するガイドロッドを固設し、このガイドロッドを、下型に穿設したガイド孔に挿通し、リフトアップの際に、ガイドロッドをガイド孔に支持させた状態で移動させることで、リフタ本体のぶれを抑制することも提案されているが、リフタ本体が上昇端付近に達したときは、ガイドロッドがガイド孔からかなり突出されてしまうため、ガイドロッドを十分支持することが困難となり、ガイドロッド自体が水平方向へぶれ易くなり、ワークをワークフィーダに対して受け渡す際の、リフタ本体の姿勢が不安定になる不具合がある。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑み、簡単な構造で、プレス成形後のワークをワークフィーダに対して安定した姿勢で受け渡すことが可能で、ワーク位置ずれを未然に防止することのできるプレス用リフタ装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、可動型と固定型とでプレス成形されたワークをワーク搬送位置までリフトアップさせるリフタ本体を上記固定型に収納すると共に、該リフタ本体をリンク機構を介して上記固定型の側方に固設されている駆動手段に連設するプレス用リフタ装置おいて、上記リフタ本体の、上記リンク機構の延長方向で且つ上記駆動手段に対して遠位となる部位にストライカを配設し、上記固定型に、上記リフタ本体の上昇端付近で上記ストライカに係合する位置決め用キャッチャを設けたことを特徴とする。
【0014】
このような構成では、プレス成形後のワークをリフトアップさせるべく、固定型の側方に配設されている駆動手段が駆動すると、この駆動手段にリンク機構を介して連設するリフタ本体が上昇し、ワークがリフトアップされる。そして、リフタ本体が上昇端付近に達すると、リフタ本体に設けられているストライカが、固定型に設けられている位置決め用キャッチャに係合して位置決め固定される。この位置決め用キャッチャは、リンク機構の延長方向で且つ駆動手段に対して遠位となる部位に設けられているため、リンク機構のぶれを抑えることができる。
【0015】
この場合、好ましくは、1)上記位置決め用キャッチャの上記ストライカとの係合部に衝撃吸収部材を介装したことを特徴とする。
【0016】
2)上記ストライカをロケートピンとしたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。図1〜図5に本発明の第1実施の形態を示す。ここで、図1は型締め状態のプレス金型の全体構成図、図2は図1の要部左側面図、図3は型開き状態のプレス金型の全体構成図、図4は下型の平面図、図5は位置決め用キャッチャを示し、(a)は平面図、(b)は正面断面図、(c)は(b)の右側面断面図である。
【0018】
プレス金型1は、固定型としての下型2と可動型としての上型3とを有し、下型2の下型本体4が、図示しないボルスタに載置固定され、上型3の上型本体5が昇降動作自在なラム(図示せず)に垂設されている。
【0019】
又、下型本体4の上面にダイ6が固設されており、このダイ6の上方に、上型本体5に対し、スライドプレート7を介して摺動自在に支持されているパッド8が対設されている。パッド8は金属製であり、その当たり面はダイ6の成形面に沿った形状に形成されており、ダイ6とパッド8との間でワークWを狭圧することで、このワークWをダイ6とパッド8との成形面に沿った形状にプレス成形する。尚、図示しないが、このパッド8の上面と上型本体5との間には、パッド8を下方(ダイ6の方向)へ常時押圧するスプリング等の弾性体が介装されている。
【0020】
本実施の形態で示すプレス金型1は、ワークWの全周に対して曲げ加工を施すものであるため、ダイ6の内周に逃げ用凹部6aが形成されている。この凹部6aにリフタ本体9が収納されている。このリフタ本体9は、プレス成形後のワークWをダイ6から脱型させてワークフィーダの受け渡し位置まで、リフトアップさせるもので、リフタ本体9が、リンク機構の一例であるリフタアーム10を介して、下型本体4の外側に固設されている駆動手段としてのアクチュエータ11に連設されている。
【0021】
このアクチュエータ11は、エアシリンダ、油圧シリンダ等で構成されており、所定圧力の作動圧(空気圧、油圧、或いはばね圧等)が常時供給されている。又、このアクチュエータ11に設けられているプランジャ11aの上端に、上型本体5の下面に設けた先行ピン5aが当接されている。プランジャ11aは、作動圧により先行ピン5aを常時押圧しており、従って、このプランジャ11aは上型本体5の昇降動作に追従して一体動作し、又、プランジャ11aが上限に達したとき、図示しない上限ストッパにて弾撥力を維持した状態で停止される。
【0022】
アクチュエータ11のプランジャ11aが上限位置で停止されると、リフタ本体9にてリフトアップされたワークWが、ワークフィーダの受け渡し位置に臨まされる。
【0023】
一方、上型本体5の上死点は、プランジャ11aの上限位置よりも高く設定されており、プランジャ11aが上限に達した後も、上型本体5は上昇し続け、上死点に達したとき停止する。従って、この状態では、先行ピン5aのアクチュエータ11に対する押圧力は介助されている。
【0024】
図2に示すように、このプランジャ11aに水平方向へ延在する支持プレート12が固設されており、この支持プレート12の端部にリフタアーム10の一端が連設されている。又、この支持プレート12の中途に、下方へ延在するガイドロッド13が固設されており、このガイドロッド13の下部が下型本体4に固設されているガイドブッシュ14に進退自在に挿通されて、昇降時のぶれが規制される。
【0025】
リフタアーム10は、平板を加工してコの字状に形成されたもので、上方へ指向された両端の一方が支持プレート12に固設され、他方がリフタ本体9の底面に固設されている。上述したように、本実施の形態で採用するダイ6は、ワークWの全周を曲げ成形するものであるため、リフタアーム10は、下型本体4内を通し、ダイ6の底面側から臨ませる構造となっている。
【0026】
図4に示すように、リフタ本体9は平板を格子状に打ち抜き加工して形成されたものであり、リフタアーム10は、このリフタ本体9のバランスを考慮して、適正な位置に固設されている。又、リフタ本体9の上面の所定部位に、ワーク受け部15が固設されている。このワーク受け部15は、その上面に形成されたワーク受け面15aが、リフタ本体9の上昇、或いは下降により、ダイ6の成形面から出没されるもので、このワーク受け面15aがダイ6の成形面から突出することで、ワークWがリフトアップされる。
【0027】
又、リフタ本体9の、リフタアーム10のほぼ延長方向で、且つアクチュエータ11に対して遠位置である部位に、ストライカの一例であるロケートピン16の一端が固設され、このロケートピン16の他端が、リフタ本体9から内方へ突出されている。
【0028】
ダイ6に形成された凹部6aの、ロケートピン16が突出する部位に、位置決め用キャッチャ17が固設されている。図5に示すように、位置決め用キャッチャ17は、ホルダ18と、このホルダ18に装着固定された衝撃吸収部材19とで構成されている。ホルダ18はハット状に曲げ形成されたもので、両端に屈曲されたフランジ部18aが凹部6aの底面に突設されたボス6bにねじ止めされている。
【0029】
ホルダ18の高さHは、ワーク受け面15aのリフトアップ位置、すなわちアクチュエータ11に設けられているプランジャ11aの上限停止位置に対応して設定されており、プランジャ11aが上限停止位置に達したとき、ロケートピン16が、衝撃吸収部材19に形成された溝部19aに係入されて位置決めされる。この衝撃吸収部材19は、ウレタンゴム等の復元性を有する弾性部材を素材に形成されている。溝部19aの幅は、ロケートピン16の直径とほぼ同じか、それよりもやや大きい寸法で形成されており、ロケートピン16が溝部19aに係入されることで、リフタ本体9のぶれが抑制される。
【0030】
次に、このような構成による本実施の形態の作用について説明する。
型開きされた状態のプレス金型1は、上型3が上死点位置で待機しており、リフタ本体9を昇降動作させるアクチュエータ11は、上型本体5に固設されている先行ピン5aによる押圧が解除され、図示しない上限ストッパにて、弾撥力を維持した状態で、上限位置で停止されている。
【0031】
この状態で、図示しないワークフィーダがワークWを、プレス金型1の型開きされたダイ6とパッド8との間に臨ませ、所定位置に位置決めした状態でセットする。
【0032】
このとき、リフタ本体9に突設されているワーク受け部15の受け面15aは、ダイ6の成形面よりも上方に突出されており、ワークWは、このワーク受け面15aに載置される。リフタ本体9が上限位置にあるとき、このリフタ本体9に固設されているロケートピン16が、ダイ6の凹部6aに固設されている位置決め用キャッチャ17にて保持されているため、ぶれが規制されており、従って、ワークWを安定した姿勢で受け取ることができる。
【0033】
次いで、プレス金型1が起動し、上型3が下型2に向けての下降を開始する。すると、先ず、上型本体5に固設されてる先行ピン5aが、下型本体4に固設されているアクチュエータ11から上方へ突出されているプランジャ11aの上端に当接し、上型本体5の下降動作に伴い、プランジャ11aを押し下げる。
【0034】
すると、プランジャ11aがアクチュエータ11に供給されている作動圧に抗して下降し、このプランジャ11aにリフタアーム10を介して連設するリフタ本体9が同時に下降する。
【0035】
そして、上型本体5が更に下降すると、リフタ本体9の下降によりワーク受け面15aがダイ6に形成されている凹部6a内に待避され、ワークWはダイ6の成形面に着座される。
【0036】
その後、上型本体5に保持されているパッド8がダイ6にワークWを介して当接し、上型本体5の下降伴い、パッド8とダイ6とでワークWをプレス成形する。
【0037】
そして、上型本体5が下死点を通過して上死点へ移行するに伴い、アクチュエータ11のプランジャ11aが先行ピン5aの上昇に追従して突出動作し、このプランジャ11aに連設するリフタ本体9が同時に上昇を開始し、所定にプレス成形されたワークWをリフトアップする。
【0038】
そして、プランジャ11aが上限位置に近接すると、このプランジャ11aに連設するリフタ本体9に固設されているロケートピン16が、位置決め用キャッチャ17のホルダ18の上部に固設されている衝撃吸収部材19に形成された溝部19aに臨まされ、リフタ本体9の上昇に伴い、溝部19aに係入される。
【0039】
そして、プランジャ11aが、図示しない上限ストッパに掛止されて上限位置で停止すると、ロケートピン16が衝撃吸収部材19の溝部19aに位置規制された状態で保持され、リフタ本体9のぶれが抑制される。
【0040】
その結果、ワークWを安定した姿勢で、ワークフィーダに受け渡すことができる。
【0041】
このように、本実施の形態では、リフタ本体9のリフタアーム10のほぼ延長方向で、且つアクチュエータ11に対して遠位置となる部位にロケートピン16を固設し、リフタ本体9が上限位置に達したときは、このロケートピン16が位置決め用キャッチャ17にて位置決めされるため、ワークフィーダからのワークWの受け取り、及び、ワークフィーダに対するワークWの受け渡しを、安定した姿勢で行なうことができ、製品不良率が低下し、生産性を向上させることができる。
【0042】
又、リフタ本体9にロケートビン16を固設し、一方ダイ6の凹部6aに位置決め用キャッチャ17を固設しただけの簡単な構造であるため、低コストであるばかりでなく、従来のプレス金型に対しても簡単に取付けることが可能となり、高い汎用性を得ることができる。
【0043】
又、図6は本発明の第2実施の形態によるストライカとしてのロケートピン16とキャッチャ17との位置関係を示す斜視図である。
【0044】
本実施の形態では、リフタ本体9の、リフタアーム10の延出方向とほぼ同方向へ延出されている端部にロケートピン16の基部を固設し、このリフタ本体9から突出するロケートピン16を受けるキャッチャ17を、ダイ6の凹部6aに固設したもので、作用効果は第1実施の形態と同様である。
【0045】
又、図7、図8に本発明の第3実施の形態を示す。ここで、図7はリフタ本体に固設したストライカの斜視図、図8はストライカとキャッチャとの位置関係を示す断面正面図である。
【0046】
上述した第1、第2の実施の形態では、ストライカとしてロケートピン16を採用したが、本実施の形態では、L型に曲げ形成した位置決め部材16’をストライカとして採用したもので、位置決め部材16’の上端、すなわち、位置決め用キャッチャ17の衝撃吸収部材19に形成した溝部19aに係入される先端部16a’を丸めて、スムーズに係入されるようにしたもので、作用効果は、第1実施の形態と同様である。
【0047】
又、本実施の形態のように、L字状に曲げ形成した位置決め部材16’をストライカとして採用することで、リフタ本体9に後付けする場合でも、溶接代や止め代を比較的簡単に確保することができるため、取扱性がよい。
【0048】
尚、本実施の形態は上述した各実施の形態に限るものではなく、例えば、ストライカはリフタ本体9に対して2カ所以上設けるようにしても良い。
【0049】
又、ストライカを、上方へ突出するロケートピンとし、ロケートピンをガイドするガイド孔をキャッチャに形成すると共に、キャッチャのロケートピンの基部が着座する部位に衝撃吸収材を敷設するようにしても良い。
【0050】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、簡単な構造で、プレス成形後のワークをワークフィーダに対して安定した姿勢で受け渡すことが可能となり、ワーク位置ずれを未然に防止することができる等、優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施の形態による型締め状態のプレス金型の全体構成図
【図2】同、図1の要部左側面図
【図3】同、型開き状態のプレス金型の全体構成図
【図4】同、下型の平面図
【図5】同、位置決め用キャッチャを示し、(a)は平面図、(b)は正面断面図、(c)は(b)の右側面断面図
【図6】第2実施の形態によるストライカとキャッチャとの位置関係を示す斜視図
【図7】第3実施の形態によるストライカの斜視図
【図8】同、ストライカとキャッチャとの位置関係を示す断面正面図
【符号の説明】
2 下型(固定型)
3 上型(可動型)
9 リフタ本体
10 リフタアーム(リンク機構)
11 アクチュエータ(駆動手段)
16 ロケートピン(ストライカ)
16’ 位置決め部材(ストライカ)
17 位置決め用キャッチャ
19 衝撃吸収部材
W ワーク
Claims (3)
- 可動型と固定型とでプレス成形されたワークをワーク搬送位置までリフトアップさせるリフタ本体を上記固定型に収納すると共に、該リフタ本体をリンク機構を介して上記固定型の側方に固設されている駆動手段に連設するプレス用リフタ装置おいて、
上記リフタ本体の、上記リンク機構の延長方向で且つ上記駆動手段に対して遠位となる部位にストライカを配設し、
上記固定型に、上記リフタ本体の上昇端付近で上記ストライカに係合する位置決め用キャッチャを設けたことを特徴とするプレス用リフタ装置。 - 上記位置決め用キャッチャの上記ストライカとの係合部に衝撃吸収部材を介装したことを特徴とする請求項1記載のプレス用リフタ装置。
- 上記ストライカをロケートピンとしたことを特徴とする請求項1或いは2記載のプレス用リフタ装置。
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