JP4052118B2 - クラッチ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クラッチ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車等の車両においては、原動機として搭載される内燃機関から車輪への回転伝達経路上にクラッチ機構を設け、同機構を係合・解放して内燃機関と車輪との間を断接するようにしている。近年、このクラッチ機構の係合・解放をコンピュータ制御を通じて自動的に行うようにした自動車も実用化されている。こうした自動車では、運転者によるアクセル操作に基づく発進を円滑なものとするための発進制御が行われる。
【0003】
上記発進制御としては、例えばアクセル操作量に基づきクラッチ係合力を制御するものが提案されている(特許文献1参照)。即ち、アクセル操作量が大となるほどクラッチ機構の係合力が大とされ、これにより機関回転が車輪側に徐々に伝達されて自動車の発進が円滑に行われる。そして、内燃機関側の回転と車輪側の回転とが一致すると、内燃機関側と車輪側とがクラッチ機構によって直結状態となる。
【0004】
ただし、上記のようにアクセル操作量に基づきクラッチ機構の係合力を制御すると、運転者のアクセル操作に対してクラッチ機構の係合力が過敏に反応し、これがショックに繋がるおそれがある。例えば、発進制御中にアクセル操作量が急に「0」まで小さくされたとすると、それに伴いクラッチ機構の係合力が一気に「0」となって同機構が解放され、クラッチ断ショックが生じることとなる。
【0005】
そこで、上記クラッチ機構の係合力をアイドル回転速度に対する機関回転速度の上昇量に基づき制御することも考えられる。この場合、上記機関回転速度の上昇量が大となるほどクラッチの係合力が大きくされ、これにより内燃機関の回転が徐々に車輪側に伝達されて自動車の発進が円滑に行われる。機関回転速度は、運転者のアクセル操作に対して緩やかに変化することから、同アクセル操作に対してクラッチの係合力が過敏に変化することはなく、上述したクラッチ断ショックが生じることもない。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−21880号公報 (第2頁 段落[0003]、[0004])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記発進制御中にアクセル操作量が例えば急に「0」まで小さくされると、機関出力が小とされて内燃機関側の回転トルクとしてフリクション等に基づくマイナス方向のトルクが作用し、機関回転速度が低下することとなる。また、上記機関回転速度の低下過程においては、内燃機関の回転がクラッチ機構の係合力に対応した分だけ車輪側に伝達され、車輪側の回転トルクとして上記係合力に対応したプラス方向のトルクが作用する。
【0008】
上記アクセル操作によって機関回転速度が低下する際、機関回転速度が車輪側の回転速度よりも高くなっている場合には、機関回転速度が車輪側の回転速度まで低下して一致することとなる。この車輪側の回転速度がアイドル回転速度よりも大きい場合には、上記回転速度一致時点での機関回転速度がアイドル回転速度に対して大きい値となる。従って、この時点でのアイドル回転速度に対する機関回転速度の上昇量に基づき制御されるクラッチ機構の係合力は、上記機関回転速度の低下によってはあまり小さくならずに大きい値のままとなる。
【0009】
以上のような状況のもとでは、上記アクセル操作に伴う機関回転速度の低下によって内燃機関側の回転が車輪側の回転と一致するまでに、クラッチ機構の係合力を適切に低下させられないことから、同係合力に対応した値となる車輪側の回転トルクを適切に「0」に近づけることができない。このため、上記回転の一致によって実現される内燃機関側と車輪側との直結の直前にも、車輪側の回転トルクがプラス方向に大きな値のままとなる。
【0010】
従って、上記直結の直後においては、車輪側の回転トルクがプラス方向の大きな値から、内燃機関側で回転トルクとして作用しているマイナス方向へのトルクに対応した値へと大きく変化する。そして、この車輪側の回転トルクのマイナス方向への大きな変化、及び、その変化に伴う自動車の駆動系のがたつき等によって、自動車に大きなショックが発生するおそれがある。
【0011】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、発進制御中にアクセル操作量が小さくされたとき、車両にショックが発生するのを抑制することのできるクラッチ制御装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、車両に搭載される内燃機関から車輪への回転伝達経路上で係合・解放されて同機関と前記車輪との間を断接するクラッチ機構を備え、アクセル操作に基づく車両の発進時にアイドル回転速度に対する機関回転速度の上昇量に基づき前記クラッチ機構の係合力を制御する発進制御を実行し、前記上昇量が小であるときには前記係合力を小さくするとともに前記上昇量が大であるときには前記係合力を大きくするクラッチ制御装置において、前記発進制御中にアクセル操作量が小さくされて機関回転速度が低下し、これに伴い前記クラッチ機構の係合力が低下するとき、当該係合力の低下速度を大とする制御手段を備えた。
【0013】
上記構成によれば、発進制御中にアクセル操作量が小さくされて機関回転速度が低下するとき、それに伴いクラッチ機構の係合力が低下する際の低下速度が大とされる。このため、上記アクセル操作時に、機関回転速度が車輪側の回転速度よりも高い場合など、アイドル回転速度に対する機関回転速度の上昇量が大きくなっている場合であっても、クランク機構の係合力を速やかに低下させ、同係合力に対応した値となる車輪側の回転トルクを速やかに「0」に近づけることができる。また、上記アクセル操作に伴い機関回転速度が低下する際、車輪側の回転速度がアイドル回転速度よりも大きくなっているとしても、内燃機関側の回転が低下して車輪側の回転と一致したときのクラッチ機構の係合力、即ち車輪側の回転トルクを「0」に近づけることができる。以上により、内燃機関側の回転が車輪側の回転と一致し、内燃機関側と車輪側とがクラッチ機構によって直結状態となったとき、車輪側の回転トルクが上記直結によって内燃機関側のマイナス方向への回転トルクに対応した値に変化しても、同変化が少なくてすむようになる。従って、車輪側の回転トルクの変化、及びそれに伴う車両の駆動系のがたつき等により、自動車に大きなショックが発生するのを抑制することができる。
【0014】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記制御手段は、車輪側の回転速度がアイドル回転速度よりも大きいことを条件に、前記クラッチ機構の係合力の低下速度を大とするものとした。
【0015】
発進制御中にアクセル操作量が小さくされることに伴い機関回転速度が低下し、内燃機関側の回転が車輪側の回転まで低下して一致するとき、クラッチ機構の係合力、即ち車輪側の回転トルクがプラス方向に大きい値となる状況としては、車輪側の回転速度がアイドル回転速度よりも大きくなっているという状況があげられる。従って、発進制御中に車輪側の回転速度がアイドル回転速度よりも高くなっている状況下でアクセル操作量が小さくされたとき、上記内燃機関側の回転と車輪側の回転との一致に伴う自動車のショックが生じることとなる。上記構成によれば、発進制御中にアクセル操作量が小さくされたとき、車輪側の回転速度がアイドル回転速度よりも大きいことを条件に、クラッチ機構の係合力の低下速度が大とされて上記ショックの抑制が図られる。従って、クラッチ機構の係合力の低下速度を大とすることが無駄に行われることはない。
【0016】
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の発明において、前記制御手段は、機関回転速度が車輪側の回転速度よりも所定値以上大きいことを条件に、前記クラッチ機構の係合力の低下速度を大とするものとした。
【0017】
発進制御中にアクセル操作量が小さくされたとき、機関回転速度の低下に伴い内燃機関側の回転が車輪側の回転と一致する条件は、機関回転速度が車輪側の回転速度よりも高くなっていることである。従って、発進制御中に機関回転速度が車輪側の回転速度よりも高くなっている状況下でアクセル操作量が小さくされるとき、上記内燃機関側の回転と車輪側の回転との一致に伴う自動車のショックが生じることとなる。上記構成によれば、発進制御中にアクセル操作量が小さくされたとき、機関回転速度が車輪側の回転速度よりも所定値以上大きいことを条件に、クラッチ機構の係合力の低下速度が大とされて上記ショックの抑制が図られる。従って、クラッチ機構の係合力の低下速度を大とすることが無駄に行われることはない。
【0018】
請求項4記載の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記制御手段は、内燃機関側の回転が車輪側の回転まで低下して一致したとき、前記クラッチ機構の係合力が「0」となるよう、前記クラッチ機構の係合力の低下速度を設定するものとした。
【0019】
発進制御中にアクセル操作量が小さくされることに基づき内燃機関側の回転が車輪側の回転まで低下して一致するとき、クラッチ機構の係合力が「0」となるよう同係合力が低下させられる。このため、内燃機関側の回転が車輪側の回転と一致し、内燃機関側と車輪側とがクラッチ機構によって直結状態となったとき、車輪側の回転トルクがマイナス方向に大きく変化するのを的確に抑制することができる。
【0020】
請求項5記載の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記制御手段は、内燃機関側の回転が車輪側の回転まで低下して一致したとき、前記クラッチ機構の係合力が車両のクリープトルクを得られる値となるよう、前記クラッチ機構の係合力の低下速度を設定するものとした。
【0021】
発進制御中にアクセル操作量が小さくされることに基づき内燃機関側の回転が車輪側の回転まで低下して一致するとき、クラッチ機構の係合力が車両のクリープトルクを得られる値となるよう同係合力が低下させられる。車両のクリープトルクを得るのに必要なクラッチ機構の係合力は極めて小さい値であるため、この値にクラッチ機構の係合力が調整されているときには、車輪側の回転トルクが僅かにプラス方向の値になるだけである。このため、内燃機関側の回転が車輪側の回転と一致し、内燃機関側と車輪側とがクラッチ機構によって直結状態となったとき、車輪側の回転トルクがマイナス方向に大きく変化するのを的確に抑制することができる。
【0022】
請求項6記載の発明では、請求項3〜5のいずれかに記載の発明において、前記制御手段は、車輪側の回転速度に対する機関回転速度の上昇量に基づき前記クラッチ機構の係合力を制御し、当該上昇量が小さくなるほど前記係合力を小さくするものとした。
【0023】
発進制御中にアクセル操作量が小さくされることに基づき機関回転速度が低下する際、内燃機関側の回転が車輪側の回転に近づくほどクラッチ機構の係合力が小さくされる。従って、内燃機関の回転が車輪側の回転に低下して一致するまでに、車輪側のプラス方向への回転トルクを的確に「0」に向けて小さくすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を自動車のクラッチ制御装置に具体化した一実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
【0025】
図1に示される自動車1においては、エンジン2の回転が変速機3等を介して車輪4に伝達される。このエンジン2から車輪4への回転伝達経路上には、エンジン2と変速機3(車輪4)との間を断接すべく係合・解放されるクラッチ機構5が設けられている。クラッチ機構5の係合・解放は、自動車1に搭載された電子制御装置6を通じて自動的に行われる。
【0026】
電子制御装置6は、エンジン2の運転制御やクラッチ機構5の駆動制御など自動車1の運転に係る各種制御を実行するためのものである。また、電子制御装置6には、以下に示される各種センサからの検出信号が入力される。
【0027】
・エンジン2の出力軸であるクランクシャフト2aの回転に対応した信号を出力するクランクポジションセンサ7。
・変速機3の入力回転速度を検出する入力回転速度センサ8。
【0028】
・自動車1の運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダル9の踏み込み量(アクセル踏込量)を検出するためのアクセルポジションセンサ10。
上記アクセル踏込量はエンジン2に対する出力要求を表すパラメータであり、アクセル踏込量が大きくなるほどエンジン出力が大となるよう電子制御装置6を通じてエンジン2の運転制御が行われる。このエンジン2の運転制御により、要求されるエンジン出力が得られるようになる。また、アクセル踏込量が「0」とされたときには、エンジン2のアイドルスピードコントロールが行われ、これによりエンジン回転速度NEが予め定められたアイドル回転速度NEidle となるようエンジン出力が調整される。なお、エンジン回転速度NEは、クランクポジションセンサ7の検出信号に基づき求められる。
【0029】
アクセル踏込量が「0」であって自動車1が走行停止しているときには、エンジン2側と車輪4側との間での回転伝達が遮断されるよう、クラッチ機構5が解放される。この状態にあって、アクセル踏込量が「0」よりも大きくされると、クラッチ機構5が係合されてエンジン2側の回転が車輪4側に伝達され、自動車1が発進するようになる。
【0030】
こうしたアクセル操作に基づく自動車1の発進を円滑なものとするため、電子制御装置6を通じて発進制御が行われる。即ち、図5に示されるようにアイドル回転速度NEidle に対するエンジン回転速度NEの上昇量が大となるほどクラッチ機構5の係合力が大きくされ、これによりエンジン2側の回転が徐々に車輪4側に伝達されて自動車1の発進が円滑に行われる。
【0031】
上記のようにエンジン回転速度NEに基づきクラッチ機構5の係合力を制御することで、発進制御中にアクセル踏込量が急に「0」とされたとしても、そのアクセル踏込量の変化に対してエンジン回転速度NEが緩やかに低下するため、クラッチ機構5の係合力が急に「0」となることはない。従って、このときにクラッチ機構5の係合力が急に「0」となって、クラッチ断ショックが生じるのを抑制することができる。
【0032】
ここで、発進制御中にアクセル踏込量が急に「0」とされた場合の各種パラメータの推移を図2に示す。同図の(a)〜(e)は、発進制御中におけるエンジン回転速度NE、変速機3の入力回転速度NI、アクセル踏込量、エンジン2側の回転トルク、クラッチ機構5の係合力、及び車輪4側の回転トルクの推移を示している。
【0033】
同図に示されるように、アクセル踏込量が「0」よりも大きい値に変化すると(タイミングt1)、エンジン出力が大きくなってエンジン2側の回転トルクとしてプラス方向のトルクが作用するとともに、図2(a)に実線で示されるようにエンジン回転速度NEが上昇する。その結果、アイドル回転速度NEidle に対するエンジン回転速度NEの上昇量が徐々に大きくなり、クラッチ機構5の係合力も徐々に大きくなる。このクラッチ機構5の係合力に対応した分だけエンジン2側の回転が車輪4側(具体的には変速機3)に伝達されるため、変速機3の入力回転速度NIがエンジン回転速度NEの上昇に応じて図2(a)に破線で示されるように上昇する。また、このときには車輪側の回転トルクとしてプラス方向のトルクが作用するようになる。
【0034】
こうした状態にあって、アクセル踏込量が急に「0」にされると(タイミングt2)、エンジン出力が小さくなってエンジン2側の回転トルクとしてフリクション等に基づくマイナス方向のトルクが作用し、エンジン回転速度NEが低下することとなる。このエンジン回転速度NEが低下する過程においても、エンジン2側の回転がクラッチ機構5の係合力に対応した分だけ車輪4側に伝達され、車輪4側の回転トルクとして上記係合力に対応したプラス方向のトルクが作用する。その結果、変速機3の入力回転速度NIが例えば図2(a)に破線で示されるように推移することとなる。
【0035】
上記のようにエンジン回転速度NEが低下する際、エンジン回転速度NEが車輪側の回転速度(入力回転速度NI)よりも高くなっている場合には、エンジン回転速度NEが入力回転速度NIまで低下して一致することとなる(タイミングt3)。この入力回転速度NIがアイドル回転速度NEidle よりも高い場合には、上記回転速度一致時点でのエンジン回転速度NEがアイドル回転速度NEidle に対して大きい値となる。従って、この時点でのアイドル回転速度NEidle 対するエンジン回転速度NEの上昇量は、図2(a)に幅Aで示されるように大きい値となる。そして、この上昇量に基づき制御されるクラッチ機構5の係合力は、上記エンジン回転速度NEの低下によっては図2(d)に点鎖線で示されるようにあまり小さくはならずに大きいままとなる。
【0036】
以上のような状況のもとでは、上記アクセル踏込量の急閉に伴うエンジン回転速度NEの低下によってエンジン回転速度NEが入力回転速度NIと一致するまでに、クラッチ機構5の係合力を適切に低下させられないことから、同係合力に対応する車輪側の回転トルクを「0」に近づけることができない。このため、上記回転速度の一致によってエンジン2側と車輪4側とが直結される直前にも、車輪4側の回転トルクが図2(e)に二点鎖線で示されるようにプラス方向に大きな値のままとなる。
【0037】
従って、上記直結の直後(タイミングt3)には、車輪4側の回転トルクがプラス方向の大きな値から、エンジン2側で回転トルクとして作用しているマイナス方向へのトルクに対応した値へと大きく変化することとなる。そして、この車輪4側の回転トルクのマイナス方向への大きな変化、及び、その変化に伴う自動車1の駆動系のがたつき等によって、自動車1に大きなショックが発生する。
【0038】
こうしたショックを抑制するため、本実施形態では、発進制御中のアクセル急閉に伴いクラッチ機構5の係合力が低下する際、その低下速度を大とするアクセル急閉処理を実行する。
【0039】
このアクセル急閉処理により、エンジン回転速度NEが入力回転速度NIまで低下して一致したときのクラッチ機構5の係合力を「0」に近づけ、同係合力に対応した値となる車輪4側の回転トルクを「0」に近づけることができる。従って、上記回転速度の一致によってエンジン2側と車輪4側とがクラッチ機構5によって直結状態となったとき、車輪4側の回転トルクがエンジン2のマイナス方向への回転トルクに対応した値に変化しても、同変化が少なくてすむようになる。このため、車輪4側の回転トルクの変化、及びそれに伴う自動車1の駆動系のがたつき等により、自動車1に大きなショックが発生するのを抑制することができる。
【0040】
次に、上記アクセル急閉処理の詳細について説明する。
発進制御中にアクセル踏込量が「0」になると(タイミングt2)、入力回転速度NIがアイドル回転速度NEidle よりも大きく、且つエンジン回転速度NEが入力回転速度NIよりも所定値a以上大きいことを条件に、エンジン回転速度NEの低下に伴うクラッチ機構5の係合力低下の速度が大とされる。
【0041】
即ち、まずタイミングt2にて、そのときのクラッチ機構5の係合力Tc、エンジン回転速度NE、及び入力回転速度NIが、それぞれ初期値Tc0 ,NE0 ,NI0 として設定される。そして、上記のように係合力の低下速度を大とするときには、アイドル回転速度NEidle に対するエンジン回転速度NEの上昇量(図2(a)の幅A)に基づきクラッチ機構5の係合力を制御する代わりに、以下の式(1)を用いて算出される係合力Tcに基づきクラッチ機構5の係合力が制御される。
【0042】
Tc=Tc0 ・{(NE−NI)/(NE0 -NI0 )} …(1)
Tc :係合力
Tc0 :係合力の初期値
NE :エンジン回転速度
NE0 :エンジン回転速度の初期値
NI :入力回転速度
NI0 :入力回転速度の初期値
この係合力Tcは、エンジン回転速度NEが入力回転速度NIに近づくほど小さい値になり、エンジン回転速度NEが入力回転速度NIまで低下して一致したとき(タイミングt3)には、図2(d)に実線で示されるように「0」になる。従って、係合力Tcに基づきクラッチ機構5の係合力を制御することにより、アイドル回転速度NEidle に対するエンジン回転速度NEの上昇量に基づきクラッチ機構5の係合力を制御する場合(図2(d)の二点鎖線)に比べて、上記タイミングt3までの同係合力の低下速度を大とすることができる。
【0043】
タイミングt3においては、エンジン2側の回転と車輪4側の回転とが一致して両者が直結状態となることから、車輪4側の回転トルクがエンジン2側で作用しているマイナス方向へのトルクに対応した値へと変化する。しかし、上記直結直前の車両側の回転トルクが「0」とされているため、同直結前後における車輪4側の回転トルクのマイナス方向への変化が大きなものとなることはない。従って、その車輪4側の回転トルクの変化、及びそれに伴う自動車1の駆動系のがたつき等により、自動車1に大きなショックが発生するのを抑制することができる。
【0044】
次に、発進制御中にクラッチ機構5の係合力を制御する手順について、クラッチ制御ルーチンを示す図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。このクラッチ制御ルーチンは、電子制御装置6を通じて例えば所定時間毎の時間割り込みにて実行される。
【0045】
クラッチ制御ルーチンにおいては、上述したアクセル急閉処理の実行中であるか否かを判断するためのフラグFが「0(非アクセル急閉処理中)」であるか否かが判断される(図3のS101)。ここで肯定判定であれば、発進制御中で(S102:YES)、且つアクセル踏込量の「0」への変化がない(S103:NO)ことを条件に、アイドル回転速度NEidle に対するエンジン回転速度NEの上昇量に基づきクラッチ機構5の係合力が制御される(図4のS109)。一方、発進制御中にアクセル踏込量が「0」に変化したとき(図3のS102、S103で共にYES)、フラグFが「1(アクセル急閉処理中)」に設定される(S104)。
【0046】
フラグFが「1」である間は、入力回転速度NIがアイドル回転速度NEidleよりも大きく(S105:YES)、且つエンジン回転速度NEが入力回転速度NIよりも所定値a以上大きいこと(S106:YES)を条件に、上述したクラッチ機構5の係合力低下速度の増大が行われる(図4のS108)。即ち、上記式(1)を用いて算出される係合力Tcに基づきクラッチ機構5の係合力が制御される。なお、ステップS105とステップS106とのいずれかで否定判定であれば、ステップS109の処理が実行される。
【0047】
また、「1(アクセル急閉処理中)」に設定されているフラグFは、発進制御が終了したとき(図3のS102:NO)、「0(非アクセル急閉処理中)」にリセットされる(S107)。
【0048】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)発進制御中にアクセル踏込量が「0」に変化してエンジン回転速度NEが低下するとき、それに伴いクラッチ機構5の係合力が低下する際の低下速度が大とされる。これにより、エンジン回転速度NEが入力回転速度NIへと低下して一致するまでにクラッチ機構5の係合力を「0」に近づけることができる。従って、上記回転速度の一致によってエンジン2側と車輪4側とがクラッチ機構5によって直結状態となったとき、車輪4側の回転トルクがエンジン2のマイナス方向への回転トルクに対応した値に変化しても、同変化が少なくてすむようになる。このため、車輪4側の回転トルクの変化、及びそれに伴う自動車1の駆動系のがたつき等により、自動車1に大きなショックが発生するのを抑制することができる。
【0049】
(2)上記回転速度の一致直前において車輪4側の回転トルクがプラス方向に大きい状態となり、同直結直後に自動車1の大きなショックを招くおそれがある状況としては、入力回転速度NIがアイドル回転速度NEidle よりも大きくなっているという状況があげられる。即ち、この場合は上記回転速度の一致時点でのエンジン回転速度NEが高い値となることから、アイドル回転速度NEidle に対するエンジン回転速度NEの上昇量に基づきクラッチ機構5の係合力を制御していると、当該一致時点での係合力が図2(d)に二点鎖線で示されるように大きいままとなる。そして、同係合力に対応する値である車輪4側の回転トルクがプラス方向に大きい状態となるのである。これの抑制を目的とした上記係合力の低下速度増大は、入力回転速度NIがアイドル回転速度NEidle よりも大きいことを条件に実行されるため、同低下速度増大が無駄に行われるのを回避することができる。
【0050】
(3)発進制御中にアクセル踏込量が「0」に変化してエンジン回転速度NEが低下するとき、エンジン回転速度NEが入力回転速度NIと一致する条件は、エンジン回転速度NEが入力回転速度NIよりも高くなっていることである。即ち、この場合、エンジン回転速度NEがその低下に伴いいずれは入力回転速度NIと一致し、同一致時点において係合力が図2(d)に二点鎖線で示されるように大きいままであれば、同係合力に対応する値である車輪4側の回転トルクもプラス方向に大きい状態となるのである。これの抑制を目的とした上記係合力の低下速度増大は、エンジン回転速度NEが入力回転速度NIよりも所定値a以上大きいことを条件に実行されるため、同低下速度増大が無駄に行われるのを回避することができる。
【0051】
(4)上記係合力の低下速度増大は、上記式(1)を用いて算出される係合力Tcに基づきクラッチ機構5の係合力を制御することによって実現される。この係合力Tcついては、式(1)から分かるようにエンジン回転速度NEが入力回転速度NIに近づくほど、即ち入力回転速度NIに対するエンジン回転速度NEの上昇量が小さいほど小さい値になる。そして、係合力Tcは、エンジン回転速度NEが入力回転速度NIと一致したとき、即ち上記上昇量が「0」になったときに「0」になる。この係合力Tcに基づきクラッチ機構5の係合力を制御することで、上記回転速度の一致時点までにクラッチ機構5の係合力を的確に「0」へと低下させ、車輪側の回転トルクを「0」とすることができる。従って、上記回転速度の一致によってエンジン2側と車輪4側とがクラッチ機構5によって直結状態となったとき、車輪4側の回転トルクがマイナス方向に大きく変化するのを的確に抑制することができる。
【0052】
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・式(1)を用いて求められる係合力Tcに基づきクラッチ機構5の係合力を制御することで、その係合力の低下速度を増大させたが、本発明はこれに限定されない。例えば、発進制御中のアクセル急閉から所定時間が経過するまでの間、上記係合力の低下速度を増大させるようにしてもよい。なお、この場合、上記所定時間としては、アクセル急閉から上記回転速度一致時点までの時間に対応したものを用いることが好ましい。
【0053】
・上記回転速度の一致時点までにクラッチ機構5の係合力が「0」となるよう同係合力の低下速度を増大させたが、必ずしも上記一致時点で係合力が「0」となっている必要はなく、僅かであれば「0」よりも大きい値になっていてもよい。この場合、例えば上記一致時点の係合力が自動車1のクリープトルクを得られる値となるよう係合力の低下速度を増大させることが考えられ、これを実現するために係合力Tcの算出に式(1)に代えて以下の式(2)を用いることが考えられる。
【0054】
Tc=Tc0 ・{(NE−NI)/(NE0 -NI0 )}+C …(1)
Tc :係合力
Tc0 :係合力の初期値
NE :エンジン回転速度
NE0 :エンジン回転速度の初期値
NI :入力回転速度
NI0 :入力回転速度の初期値
C :クリープトルク相当値
・アクセル急閉処理の実行条件として、発進制御中にアクセル踏込量が「0」に変化することという条件があるが、アクセル踏込量の「0」への変化に限定する必要はなく、例えば発進制御中にアクセル踏込量が「0」以外の値に小さくなることという条件に代えてもよい。
【0055】
・クラッチ機構5の係合力の低下速度を増大させる際の条件、即ち入力回転速度NIがアイドル回転速度NEidle よりも大きいという条件を省略したり、エンジン回転速度NEが入力回転速度NIよりも所定値a以上大きいという条件を省略したりしてもよい。
【0056】
・上記条件の所定値aという値を例えば「0」に設定してもよい。この場合、エンジン回転速度NEが入力回転速度NIより少しでも大きければ、上記条件が満たされることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のクラッチ制御装置が適用される自動車全体を示す略図。
【図2】(a)〜(e)は、発進制御中におけるエンジン回転速度、変速機の入力回転速度、アクセル踏込量、エンジン側の回転トルク、クラッチ機構の係合力、及び車輪側の回転トルクの推移を示すタイムチャート。
【図3】発進制御中にクラッチ機構の係合力を制御する手順を示すフローチャート。
【図4】発進制御中にクラッチ機構の係合力を制御する手順を示すフローチャート。
【図5】アイドル回転速度に対するエンジン回転速度の上昇量とクラッチ機構の係合力との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1…自動車、2…エンジン、2a…クランクシャフト、3…変速機、4…車輪、5…クラッチ機構、6…電子制御装置(制御手段)、7…クランクポジションセンサ、8…入力回転速度センサ、9…アクセルペダル、10…アクセルポジションセンサ。

Claims (6)

  1. 車両に搭載される内燃機関から車輪への回転伝達経路上で係合・解放されて同機関と前記車輪との間を断接するクラッチ機構を備え、アクセル操作に基づく車両の発進時にアイドル回転速度に対する機関回転速度の上昇量に基づき前記クラッチ機構の係合力を制御する発進制御を実行し、前記上昇量が小であるときには前記係合力を小さくするとともに前記上昇量が大であるときには前記係合力を大きくするクラッチ制御装置において、
    前記発進制御中にアクセル操作量が小さくされて機関回転速度が低下し、これに伴い前記クラッチ機構の係合力が低下するとき、当該係合力の低下速度を大とする制御手段を備える
    ことを特徴とするクラッチ制御装置。
  2. 前記制御手段は、車輪側の回転速度がアイドル回転速度よりも大きいことを条件に、前記クラッチ機構の係合力の低下速度を大とする
    請求項1記載のクラッチ制御装置。
  3. 前記制御手段は、機関回転速度が車輪側の回転速度よりも所定値以上大きいことを条件に、前記クラッチ機構の係合力の低下速度を大とする
    請求項1又は2記載のクラッチ制御装置。
  4. 前記制御手段は、内燃機関側の回転が車輪側の回転まで低下して一致したとき、前記クラッチ機構の係合力が「0」となるよう、前記クラッチ機構の係合力の低下速度を設定する
    請求項1〜3のいずれかに記載のクラッチ制御装置。
  5. 前記制御手段は、内燃機関側の回転が車輪側の回転まで低下して一致したとき、前記クラッチ機構の係合力が車両のクリープトルクを得られる値となるよう、前記クラッチ機構の係合力の低下速度を設定する
    請求項1〜3のいずれかに記載のクラッチ制御装置。
  6. 前記制御手段は、車輪側の回転速度に対する機関回転速度の上昇量に基づき前記クラッチ機構の係合力を制御し、当該上昇量が小さくなるほど前記係合力を小さくする
    請求項3〜5のいずれかに記載のクラッチ制御装置。
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