JP4051725B2 - 空燃比制御方法 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,自動車用内燃機関の空燃比A/Fを精度良く制御することができる空燃比制御方法に関する。
【0002】
【従来技術】
図10に示すごとく,ガソリンを燃料とする自動車用内燃機関の排ガスは,その中に含まれるHC(炭化水素),CO(一酸化炭素),NOx(窒素酸化物)を,同時に浄化することができる三元触媒を用いて浄化されている。
そして,この浄化は,同図に示すごとく空燃比A/Fが14.5,つまり理論空燃比(λ=1)の近傍(W)において,最も効率良く行なわれる。なお,図10におけるRCHは空燃比A/Fがリッチ側を,またLNは空燃比A/Fがリーン(希薄側)を示している。
そこで,従来,上記空燃比A/Fを理論空燃比(λ=1)近くにおいて,制御するために,濃淡電池式空燃比センサ,或いは2セル酸素ポンプ式空燃比センサが用いられている。
【0003】
【解決しようとする課題】
上記濃淡電池式空燃比センサは,図11に示すごとく,酸素イオン伝導性の固体電解質体81と,基準ガスとしての大気を導入した大気室80とを有すると共に,上記固体電解質体81の大気室80側に設けた第1電極82と,内燃機関の排ガスと接触する第2電極83とを有する。なお,同図の符号85は大気室80を形成するためのベース板である。
【0004】
また,上記第2電極83の表面には,多孔質の電極保護層84が設けてある。この濃淡電池式空燃比センサにおいては,排ガス中の酸素濃度と大気室80内の大気中の酸素濃度との濃度差により,上記第1電極82と第2電極83との間に生ずる起電力(V)の変化を検出する。
【0005】
そして,図12に示すごとく,この起電力は,理論空燃比(λ=1)の近くにおいて急峻に変化する。そこで,これを検知し,空燃比A/Fが理論空燃比(λ=1)になるように,内燃機関に供給する燃料と空気との割合を制御する。
【0006】
そして,この濃淡電池式空燃比センサによる空燃比制御方法は,理論空燃比(λ=1)の1ポイントのみを検出し,制御する方式である。この濃淡電池式センサは,上記1ポイント以外(例えばA/Fが14.0あるいは15.0など)を検出するには不向きである。即ち,刻々と変化する空燃比A/F値を連続して検出することができない。そのため,燃焼を正確に理論空燃比で制御することができない。
【0007】
また,濃淡電池式空燃比センサは,理論空燃比(λ=1)に対応する,しきい値94(図12)を設定することによって,理論空燃比(λ=1)と考えられるポイントの基準を定めている。
しかし,濃淡電池式空燃比センサは,第1電極82,第2電極83の活性状態や,電極保護層84の拡散バラツキのため,出力の急峻点が,図12の曲線91,92,93に示すごとく,一定しておらず,急峻点が製品毎にバラツキを生じている。
そのため,センサ特性にバラツキを生じ,理論空燃比(λ=1)の検出ポイントがバラツキ,精確に理論空燃比(λ=1)を検出し,制御することが困難である。
【0008】
一方,上記2セル酸素ポンプ式空燃比センサは,図13に示すごとく,ポンプセル720用の酸素イオン伝導性の固体電解質体72と測定ガス室726と,濃淡電池セル710用の酸素イオン伝導性の固体電解質体71とベース板73a,bとよりなる。そして,上記ポンプセル720用固体電解質体72には,排ガス出入用の空孔725と,固体電解質体72の両面に設けた外側電極721,内側電極722とを有する。
【0009】
また,濃淡電池セル710用の固体電解質体71には,大気室730に面して第1電極711を,上記測定ガス室726に面して第2電極712を有する。なお,側壁78,79も固体電解質体である。また,電気絶縁体からなるベース板73a,bにはヒータ731を配設してある。
そして,上記濃淡電池セル710は,前記濃淡電池式空燃比センサと同様の作用を行なう。一方,上記ポンプセル720は,測定ガス室726内の酸素濃度が常に一定になるように,酸素イオン電流を流すことにより酸素を固体電解質体72内を介して出入させる。
【0010】
そこで,2セル酸素ポンプ式空燃比センサを使用するに当たっては,上記濃淡電池セル710の出力が例えば0.5ボルト(V)となるように,上記ポンプセル720におけるポンプ電流を制御する。そして,このポンプ電流の電流値を検出することによって,外側電極721が接触している排ガス中の酸素濃度あるいは未燃ガス濃度を検出し,その時点の空燃比A/Fを検出している。
この2セル酸素ポンプ式空燃比センサにおいては,図14に示すごとく,センサ出力電流(A)が得られる。
【0011】
しかしながら,この2セル酸素ポンプ式空燃比センサにおいても,上記濃淡電池セル710は,上記濃淡電池式空燃比センサと同様の構成を有しており,本質的に濃淡電池式空燃比センサの作用を利用したものである。
そのため,図14に示すごとく,濃淡電池セル710の部分の前記製品バラツキによって,ポンプセル720の出力値にバラツキを生ずる。つまり,空燃比A/Fに対する出力値をプロットしたとき,理想的な出力値は,図14の曲線95に示すごとく,理論空燃比(λ=1)において電流値ゼロを通ることが要求される。
【0012】
しかし,上記濃淡電池セル710におけるバラツキによって,曲線96,97のごとく,理論空燃比(λ=1)において電流値ゼロを示さないものもある。
そのため,2セル酸素ポンプ式空燃比センサも,濃淡電池式空燃比センサの場合と同様に,理論空燃比(λ=1)の正確な検出が困難であり,空燃比A/Fの精確な制御が困難である。
【0013】
なお,1セルタイプの限界電流式空燃比センサを利用する空燃比制御の方法としては,理論空燃比(λ=1)の制御ではなく,燃費の低減,NOxの低減を目的として,リーン(稀薄)領域における内燃機関の運転制御を行なう方法も提案されている(特開昭58−158553)。
【0014】
一方,近年は,特にアメリカ国カリフォルニア州における排ガス規制が,LEV(HC0.075g/mile,NOx0.2g/mile),ULEV(HC0.040g/mile,NOx0.2g/mile)と厳しくなり,三元触媒による排ガス浄化方法における,理論空燃比(λ=1)近傍の確実な制御が切望されている。
【0015】
本発明はかかる従来の問題点に鑑み,高精度で確実に理論空燃比(λ=1)の制御を行なうことができる空燃比制御方法を提供しようとするものである。
【0016】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,内燃機関に供給する燃料に対する空気の割合(空燃比A/F)を,空燃比センサを用いて,理論空燃比(λ=1)に制御する方法において,
酸素イオン伝導性の固体電解質体と,該固体電解質体上に設けられ,大気と接触させる第1電極及び内燃機関の排ガスと接触させる第2電極とを有し,上記第1電極と第2電極との間に所定の電圧を印加しておき,両電極間に発生する限界電流値を検出する1セルタイプの限界電流式空燃比センサであって,上記空燃比の増分に対する上記限界電流値の増分の傾きが理論空燃比(λ=1)を境にして変化し,理論空燃比(λ=1)のリーン側よりもリッチ側の方が上記傾きが大きいものを用い,
上記第1電極と上記第2電極との間に印加される電圧を,上記空燃比が理論空燃比(λ=1)となる際の限界電流値IpがIp=0となりうる電圧値に設定した上で,
実際の制御時において,上記排ガス中の酸素濃度及び未燃ガス濃度に応じた限界電流値Ipを検出し,該限界電流値IpがIp=0となるように上記空燃比A/Fを制御することにより,
内燃機関の空燃比A/Fを理論空燃比(λ=1)に制御することを特徴とする空燃比制御方法にある。
【0017】
本発明において最も注目すべきことは,上記1セルタイプの限界電流式空燃比センサを用いること,及び該限界電流式空燃比センサにより排ガス中の酸素濃度あるいは未燃ガス濃度に応じた限界電流値Ipを検出し,該限界電流値IpがIp=0となるように空燃比A/Fを制御して,内燃機関の燃焼状態を理論空燃比(λ=1)に制御することである。
【0018】
上記の理論空燃比(λ=1)は,燃料として,例えばガソリンを用いる場合には空燃比A/F=14.5である。理論空燃比(λ=1)の具体的制御方法は,実施形態例において説明する。
【0019】
次に,本発明の作用効果につき述べる。
上記限界電流式空燃比センサは,後述する図1に示すごとく,理論空燃比(λ=1)とセンサ出力電流,即ち限界電流値Ipとの関係を示す出力特性線11が理論空燃比(λ=1)と限界電流値Ip=0との交点Aを通る。そして,この関係は,限界電流式空燃比センサの製品が異なっても同じであり,同図に示すごとく,全ての出力特性線11,12,13は上記交点Pを通る。
【0020】
そして,これらの各出力特性線は,略リニアの関係にある。したがって図1に示すごとく,製品間のバラツキが出力特性11〜13のように生じたときにおいてもIp=0では確実に理論空燃比となる。
それ故,このようにして得られた限界電流値Ipに対応して,燃料調整装置から内燃機関への燃料供給量を制御することにより,理論空燃比の制御が正確かつ容易となる。
【0021】
即ち,例えば現時点の空燃比A/Fが15の場合には,そのときの限界電流値Ipを燃料調整装置に送信して,その限界電流値Ipに応じた分だけ多く燃料調整装置より燃料を供給する。
一方,空燃比A/Fが14の場合には,上記と同様にして,限界電流値Ipに応じた分だけ燃料供給量を少なくする。これにより,内燃機関に供給される燃料と空気が理論空燃比(λ=1)に制御される。それ故,排ガス浄化コンバータにおいては,最も効率的にHC,CO,NOxを浄化することができる。
【0022】
したがって,本発明によれば,高精度で確実に理論空燃比(λ=1)の制御を行なうことができる,空燃比制御方法を提供することができる。
【0023】
また,限界電流式空燃比センサは,2セル酸素ポンプ式空燃比センサのごとき測定ガス室(図13の符号726)を持たないため,応答性も良いので,三元触媒が多少劣化しても,良好な排ガス浄化を得ることができる。
【0024】
次に,請求項2の発明のように,上記限界電流式空燃比センサは,排ガス中の酸素濃度が7.5%のときに,限界電流値Ipが10mA以上を出力することが好ましい。これにより,限界電流値の出力が大きくなり,より正確な空燃比A/F制御を行なうことができる。
また,更に好ましくは,排ガス中の酸素濃度が7.5%ときの限界電流値Ipは12mA以上である。なお,上記の「排ガス中の酸素濃度が7.5%のとき」とは,空燃比A/Fが約23(燃料としてガソリンを用いたとき)の場合をいう。
【0025】
次に,請求項3の発明のように,上記1セルタイプの限界電流式空燃比センサは,一端を閉塞し,他端を開放したコップ状の素子を有してなる構造とすることもできる。
この場合には,熱応力の集中を防止し,信頼性の向上を図ることができる。
【0026】
次に,請求項4の発明のように,上記1セルタイプの限界電流式空燃比センサは,三元触媒を入れた排ガス浄化コンバータの下流側に設けることもできる。
この場合には,三元触媒を通過したガスの空燃比状態に応じた限界電流値Ipを検出し,Ip=0となるように空燃比を制御することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかる空燃比制御方法につき,図1〜図4を用いて説明する。
まず,最初にその要点を説明すれば,内燃機関4に供給する燃料に対する空気の割合(空燃比A/F)を,空燃比センサ2を用いて,理論空燃比(λ=1)に制御する方法において,図3に示すごとき1セルタイプの限界電流式空燃比センサを用る。
【0028】
そして,図1に示すごとく,上記排ガス中の酸素濃度あるいは未燃ガス濃度に応じた限界電流値Ipを検出し,該限界電流値IpがIp=0となるように上記空燃比A/Fを制御することにより,内燃機関の空燃比A/Fを理論空燃比(λ=1)に制御する。
【0029】
次に,これらにつき順次説明する。
図1は横軸に空燃比A/F,縦軸に限界電流値Ipをとって,3種類の限界電流式空燃比センサの出力特性を示したものである。同図に知られるごとく,センサ出力の限界電流値Ipは,理論空燃比(λ=1)を境として,その前後においても略リニアで,滑らかな変化をしている。
そして,前記従来例に示した濃淡電池式空燃比センサの場合(図11,図12)のように,理論空燃比(λ=1)を境とする急峻な変化はない。
また,2セルポンプ式空燃比センサの場合(図13,図14)のように,製品毎に理論空燃比のときのセンサ出力電流(=0mA)が変わってしまうということもない。
【0030】
それ故,理論空燃比(λ=1)という制御目標からの,空燃比A/Fのズレ量を限界電流値Ipによって正確に検出することができ,その限界電流値Ipを,燃料調整装置に対して,フィードバックし,空燃比A/Fを速い応答性と高精度で制御することができる。また,センサ出力は,安定した大気を基準としているので出力値も安定している。
【0031】
また,図2は,限界電流式空燃比センサにおいて,第1電極と第2電極に印加する印加電圧と,各空燃比A/Fにおける電流値Iとの関係を示したものである。同図より知られるごとく,各空燃比A/Fにおける電流値Iは,印加電圧がある範囲の場合には同じ値を示しており,この値を限界電流値(Ip)と呼ぶ。そのため,印加電圧が多少変動しても限界電流値Ipの出力値は同じに維持され,検出精度が高い。
【0032】
また,空燃比A/F=14.5の場合には,限界電流値Ip=0を示す。そのため,限界電流値Ip=0を基準とする空燃比A/F制御も容易である。
なお,上記の図1は,図2における点線と各空燃比A/Fの限界電流値Ipとの交点の値を,空燃比A/Fと限界電流値Ipとの関係で示したものである。
【0033】
次に,本例にかかる限界電流式空燃比センサを図3に示す。
本例の限界電流式空燃比センサ2は,1セルタイプで,酸素イオン伝導性のコップ状の固体電解質体20と,その内側空洞28内の大気と接触させる第1電極21及び内燃機関の排ガスと接触させる第2電極22とを有する。そして,第1電極21と第2電極22との間に所定の電圧を印加しておき,第1電極21と第2電極22との間に発生する限界電流値を検出するものである。
なお,同図において,大気側の第1電極21は,固体電解質体20の開口端の端子部210まで電気的に接続されている。また,第2電極22は,リード部221を介して端子部220まで電気的に接続されている。
【0034】
また,第2電極22は,限界電流値を発生させるセンサ部25の部分のみ環状に,固体電解質体20に直接設けてあるが,その他の部分は電気絶縁層31を介して固体電解質体との間が絶縁してある。
また,第2電極22の表面には,多孔質の拡散抵抗層23が設けてある。
なお,本例においては,上記固体電解質体20としてはZrO2 −Y2 3 材料を,第1電極,第2電極はPtメッキを用いた。また,センサ部25の幅は約5mmとした。
【0035】
次に,本例の空燃比制御方法のシステム概要を,図4により説明する。
まず,自動車の内燃機関4に対しては,その上流側に吸気管41が,一方内燃機関4の下流側には排気管を介して,三元触媒入りの排ガス浄化コンバータ44が設けられている。更に,排ガスコンバータ44の下流にはマフラー(図示略)に接続した排出パイプ45が設けてある。
【0036】
そして,上記吸気管41には燃料調整装置46が配設されている。また,上記排気管42には,上記限界電流式空燃比センサ2が配設され,このセンサからの出力は空燃比制御装置45に電気的に接続されている。
また,該空燃比制御装置45は,上記燃料調整装置46に電気的に接続されている。
【0037】
空燃比制御に当たっては,まず吸気管41において,燃料調整装置46からの燃料と外気からの空気が混合され,その混合気が内燃機関4に供給され,運転される。また,その排ガスは排ガス浄化コンバータ44に入り,その中のHC,CO,NOxが浄化される。
その間,上記限界電流式空燃比センサ2においては,内燃機関4から排出された排ガス中の酸素濃度あるいは未燃ガス濃度に相当する限界電流値Ipを検出し,その限界電流値Ipは常時空燃比A/F制御装置45に送られている。
【0038】
そして,上記限界電流値Ipが,図1に示すごとく,例えば空燃比A/F15を示す値を検出した際には,その限界電流値Ipに応じて空燃比A/F制御装置45が作動して,上記燃料調整装置46における燃料供給量を多くしていく。
すると,排ガス中の酸素濃度が徐々に減少し,限界電流式空燃比センサにおける限界電流値Ipが0となり,理論空燃比(λ=1)に制御される。
【0039】
逆に空燃比A/Fが14の場合には,これに応じた限界電流値Ipが得られるので,空燃比A/F制御装置45により燃料調整装置46における燃料供給量を少なくしていき,同様にして理論空燃比(λ=1)に制御する。
上記より知られるごとく,本例の空燃比制御方法によれば高精度で,確実に,理論空燃比(λ=1)の制御を行なうことができる。
【0040】
また,実施形態例1における1セルタイプの限界電流式空燃比センサは,一端を閉塞し,他端を開放したコップ状の素子を用いている。
そのため,活性化時間の短縮を図り,ヒータ温度を急激に上昇させても図11に示すような板状素子と比較して,熱応力が集中することがないため,高信頼性を確保できる。そのため,より安定した空燃比制御を行なうことができる。
【0041】
実施形態例2
本例においては,上記実施形態例1に示したコップ型の限界電流式空燃比センサ(図3)を用い図5に示すごとく,その多孔質の拡散抵抗層23の厚さ(μm)と,応答時間(ms)との関係を測定した。また,上記拡散抵抗層は,スピネル粉末をプラズマ溶射することにより構成した。そして,拡散抵抗層のポロシティ(細孔容積cc/g)を種々に変えて,上記測定を行なった。
【0042】
本発明の限界電流式空燃比センサにおいて,応答時間を200ms(ミリ秒)以下とするためには,ポロシティは0.005〜0.020cc/gとすることが良いことが分かる。なお,0.020cc/gよりも大きくなると拡散抵抗層としての働きが不十分になり,限界電流のフラット性が損なわれるおそれがある。
また,拡散抵抗層23の厚さは100〜1000μmとすることが好ましい。100μm未満では,電極保護層として役立ち難く,一方1000μmを越えると耐熱衝撃性が低下するおそれがある。
【0043】
実施形態例3
本例においては,図6〜図9に示すごとく,実施形態例1に示した限界電流式空燃比センサの特性を示している。
まず,図6には電極面積(mm2 )と素子抵抗(Ω)との関係を測定し,固体電解質体の厚さ(mm)をパラメータとして図6にプロットした。
【0044】
また,図7〜図8は,限界電流式空燃比センサの出力電流安定化の様相を示している。
そして,図7は,電極面積(mm2 )と限界電流値との関係を示している。図8は,限界電流式空燃比センサにおける印加電圧と限界電流値との関係を示し,電極面積が小さい場合Bは限界電流値が小さく,一方電極面積が大きい場合Aは限界電流値も大きくなることを示している。
【0045】
また,図9は,電極面積小の場合Bと,大の場合Aとにおける,空燃比A/Fと限界電流値Ipの関係を示している。
これらより,本発明の限界電流式空燃比センサにおいては,電極面積(mm2 )は,20〜100mm2 とすることが好ましいことが分かる。20mm2 未満では素子抵抗が大きく,限界電流値Ipの出力が低く(図6〜図9),一方100mm2 を越えると,内燃機関始動後固体電解質体が活性化するまでの時間が長くなるおそれがある。
【0046】
また,固体電解質体の厚みは0.2〜1mmが好ましいことが分かる。0.2mm未満では,強度に限界があり,一方1.0mmを越えると素子内部抵抗の増大の問題が生ずるおそれがある(図6)。
【0047】
また,本発明においては,1セルタイプの限界電流式空燃比センサを,三元触媒の下流側に設けてもよい。
この場合には,排ガスの浄化を行なう三元触媒を通過したガスの空燃比状態に応じた限界電流値Ipを検出し,Ip=0となるように空燃比を制御することができる。
【0048】
また,これにより,このIp=0であるλ=1の1ポイントを正確に検出することができるので,三元触媒の浄化能力の高い範囲に相当する空燃比制御を行なうことができ,エミッションの更なる向上に結び付けることができる。
また,触媒自体の劣化により,三元触媒の浄化能力の高い範囲がわずかに変化したような場合であっても,このわずかな変化に対応した出力を行なうことができ,エミッションの悪化を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1にかかる,限界電流式空燃比センサにおける空燃比A/Fと限界電流値Ipとの関係を示す線図。
【図2】実施形態例1にかかる,限界電流式空燃比センサにおける印加電圧と電流値Iとの関係を示す線図。
【図3】実施形態例1にかかる限界電流式空燃比センサの断面説明図。
【図4】実施形態例1における空燃比制御方法のシステム図。
【図5】実施形態例2にかかる,限界電流式空燃比センサにおける拡散抵抗層厚さと応答時間との関係を示す線図。
【図6】実施形態例2にかかる,限界電流式空燃比センサにおける電極面積と素子抵抗との関係を示す線図。
【図7】実施形態例2にかかる,限界電流式空燃比センサにおける電極面積と限界電流値Ipとの関係を示す線図。
【図8】実施形態例2にかかる,限界電流式空燃比センサにおける印加電圧と電流値Iとの関係を示す線図。
【図9】実施形態例2にかかる,限界電流式空燃比センサにおける空燃比A/Fと限界電流値Ipとの関係を示す線図。
【図10】従来例に示した,三元触媒による排ガス浄化率の特性図。
【図11】従来例に示した,濃淡電池式空燃比センサの説明図。
【図12】従来例に示した,濃淡電池式空燃比センサの出力特性図。
【図13】従来例に示した,2セル酸素ポンプ式空燃比センサの説明図。
【図14】従来例に示した,2セル酸素ポンプ式空燃比センサの出力特性図。
【符号の説明】
2...限界電流式空燃比センサ,
20...固体電解質体,
21...第1電極,
22...第2電極,
23...拡散抵抗層,
25...センサ部,
44...排ガスコンバータ,
46...燃料調整装置,

Claims (4)

  1. 内燃機関に供給する燃料に対する空気の割合(空燃比A/F)を,空燃比センサを用いて,理論空燃比(λ=1)に制御する方法において,
    酸素イオン伝導性の固体電解質体と,該固体電解質体上に設けられ,大気と接触させる第1電極及び内燃機関の排ガスと接触させる第2電極とを有し,上記第1電極と第2電極との間に所定の電圧を印加しておき,両電極間に発生する限界電流値を検出する1セルタイプの限界電流式空燃比センサであって,上記空燃比の増分に対する上記限界電流値の増分の傾きが理論空燃比(λ=1)を境にして変化し,理論空燃比(λ=1)のリーン側よりもリッチ側の方が上記傾きが大きいものを用い,
    上記第1電極と上記第2電極との間に印加される電圧を,上記空燃比が理論空燃比(λ=1)となる際の限界電流値IpがIp=0となりうる電圧値に設定した上で,
    実際の制御時において,上記排ガス中の酸素濃度及び未燃ガス濃度に応じた限界電流値Ipを検出し,該限界電流値IpがIp=0となるように上記空燃比A/Fを制御することにより,
    内燃機関の空燃比A/Fを理論空燃比(λ=1)に制御することを特徴とする空燃比制御方法。
  2. 請求項1において,上記限界電流式空燃比センサは,排ガス中の酸素濃度が7.5%のときに,限界電流値Ipが10mA以上を出力することを特徴とする空燃比制御方法。
  3. 請求項1又は2において,上記1セルタイプの限界電流式空燃比センサは,一端を閉塞し,他端を開放したコップ状の素子を有してなることを特徴とする空燃比制御方法。
  4. 請求項1又は2において,上記1セルタイプの限界電流式空燃比センサは,三元触媒を入れた排ガス浄化コンバータの下流側に設けることを特徴とする空燃比制御方法。
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