JP4050967B2 - 販売促進用表示具およびその製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧品等の販売促進に用いられる販売促進用表示具およびその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、化粧品販売では、専門の販売員が、店頭あるいは訪問販売先で、化粧品メーカーから配布された化粧品販売促進用のシートにもとづいて、顧客に化粧品の売り込みを行っている。上記販売促進用シートは、通常、長方形の厚紙もしくは薄いプラスチック板からなるシートの表面に、化粧品の種類やその使用方法、肌の状態の模式図等を印刷したもので、販売員は、このシートを顧客に提示しながら、顧客に対するカウンセリングやアドバイス、具体的な化粧品の推奨等を行っている。
【0003】
しかしながら、上記販売促進用シートは、あくまでも印刷物であるため、そこに印刷された写真や模式図等をいかに駆使して説明しても、顧客へのインパクトが弱く、従来から販売員が説明に苦労する場合があった。
【0004】
そこで、よりインパクトを高めた販売促進用シートとして、肌の感触を再現した軟質シート片を備えたもの等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−149105号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このものは、上記軟質シート表面を肌に見立てて、その表面に化粧を付したりクレンジングで洗浄したりすることによって、化粧落としの効果を、顧客に印象的に説明することができる。
【0007】
一方、最近、「肌年齢」という考え方が重視されるようになっており、加齢とともに変化する肌をできるだけ若い状態で維持するのに効果のある基礎化粧品や肌のマッサージ方法が提案されている。
【0008】
そこで、年とともに衰える肌の感触が忠実に再現された肌見本を備えた販売促進用シートがあれば、顧客に、肌の衰えを実感させることができ、訴求効果が高いと思われるが、年代別に微妙に異なる肌の感触を再現することは容易ではなく、そのようなものは実用化されていないのが実情である。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、年代別の肌の感触がリアルに再現された肌見本を備えた販売促進用表示具およびその製法の提供をその目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、肌の状態についての説明に用いられる販売促進用表示具であって、多孔質弾性体からなる下層と合成皮革からなる表面層を備えた肌見本が、年代別に複数個並べられており、上記肌見本のうち、若年用の肌見本として、多孔質弾性体の上下層が高密度スキン層で形成され中間層が多孔質弾性体本来の多孔質層で形成されている肌見本が設けられ、中間の年代用の肌見本として、多孔質弾性体の表面層のみ高密度スキン層で形成され他の部分が多孔質弾性体本体の多孔質層で形成されている肌見本が設けられ、年配用の肌見本として、全体が多孔質弾性体本来の多孔質層で形成されている肌見本が設けられている販売促進用表示具を第1の要旨とする。
【0011】
そして、本発明は、そのなかでも、特に、上記若年用の肌見本として、年代が上がるほど、上下の高密度スキン層の厚みが薄くなるよう設定された複数種類の肌見本が設けられている販売促進用表示具を第2の要旨とし、上記中間の年代用の肌見本として、年代が上がるほど、上部の高密度スキン層の厚みが薄くなるよう設定された複数種類の肌見本が設けられている販売促進用表示具を第3の要旨とする。
【0012】
また、本発明は、上記第1の要旨である販売促進用表示具の製法であって、厚みが、H,H+α,H+β(ただし、α<β)の3種類の多孔質弾性体A〜Cを用意し、厚みH+βの多孔質弾性体Aを、上下方向から熱プレスすることにより、上下の所定厚み部分が高密度スキン層に形成され中間部が多孔質弾性体本来の多孔質層のままである厚みHの圧縮多孔質弾性体A′を得る工程と、厚みH+αの多孔質弾性体Bを、上方からのみ熱プレスすることにより、上部の所定厚み部分が高密度スキン層に形成されその下の部分が多孔質弾性体本来の多孔質層のままである厚みHの圧縮多孔質弾性体B′を得る工程と、上記圧縮多孔質弾性体A′、B′および未圧縮多孔質弾性体Cの各上面に、それぞれ合成皮革を接合することにより3種類の肌見本を作製する工程と、上記圧縮多孔質弾性体A′と合成皮革を接合してなる肌見本を、若年用の肌見本として表示し、上記圧縮多孔質弾性体B′と合成皮革を接合してなる肌見本を、中間の年代用の肌見本として表示し、上記未圧縮多孔質弾性体Cと合成皮革を接合してなる肌見本を、年配用の肌見本として表示するようにした販売促進用表示具の製法を第4の要旨とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の販売促進用表示具の一実施の形態を示している。この販売促進用表示具は、長方形状の厚紙を三つ折りすることにより、ベース部1と、立ち上がり部2と、カバー部3とを備えた冊子形状になっている。そして、上記カバー部3の表面には、「<皮フの弾力イメージモデルツール>」という見出し4が表示されている。また、上記カバー部3とベース部1の、互いに対峙する内側面3a,1aの左側には、図2に示すように、両方の面3a,1aをつなぐリボンテープ5が設けられており、カバー部3が完全に後ろに倒れてしまわないようになっている。
【0015】
上記カバー部3を開くと、図3に示すように、その内側面3aの上部に、「<皮フ断面図>」という見出し6が表示されており、その下の左側には、「美しい皮フ」という小見出し7とともに、弾力のある美しい肌の模式的な皮膚断面図8が表示されている。また、その右側には、「おとろえがちな皮フ」という小見出し9とともに、弾力が低下して衰えた肌の模式的な皮膚断面図10が表示されている。なお、11は、リボンテープ5の一端をカバー部3に固定する止め金具である。また、鎖線X,Yは、立ち上がり部2との境界線となる谷折り線である。
【0016】
また、上記カバー部3の内側面3aと一続きになっているベース部1の内側面1aには、図4に示すように、上段に、20代、30代、40代、50代、60代の5つの年代の、典型的な肌の状態(頬の部分)を示すカラー写真12〜16が横一列に並べて表示されており、各カラー写真12〜16の下に、その年代の典型的な肌の感触を備えた肌見本17〜21が、それぞれ貼着されている。そして、その下に、「ひとさし指と中指で、上から押さえるようにふれてください。」という説明文が表示されている。なお、23は、リボンテープ5の一端をベース部1に固定する止め金具である。
【0017】
上記5種類の肌見本17〜21は、多孔質弾性体からなる下層と、合成皮革からなる表面層の2層を積層一体化したもので、下層である多孔質弾性体として、それぞれ圧縮特性の異なるものを用いることにより、合成皮革の表面を指で押圧したときの感触が、各年代層の肌の感触に略等しくなるよう設定されている。
【0018】
より詳しく説明すると、まず、20代の肌見本17は、図5(a)に示すように、厚み0.5mmの合成皮革(東レコーテックス社製、ドミーシートA−1、以下同じ)からなる表面層17aと、厚み10mmのウレタン発泡体からなる下層17bとが、ホットメルト接着剤(図示せず)を介して積層一体化された構造になっている。
【0019】
上記下層17bのウレタン発泡体は、厚み22mmのウレタン発泡体(ブリジストン化成品大阪社製、HF、以下同じ)に対し、上下方向から熱プレス(190℃)をかけて、厚み10mmに圧縮したもので、上下の厚み3mmの部分が、それぞれ高密度スキン層30に形成され、中間の厚み4mmの部分が、本来のウレタン発泡体のままの発泡層31に形成されている。これにより、下層17b全体の平均密度は、0.068g/cm3 となり、上下の高密度スキン層30と中間の発泡層31とのバランスにより、表面層17aの表面を押圧したときの感触が、20代の弾力ある肌に極めて近いものとなっている。
【0020】
また、30代の肌見本18も、図5(b)に示すように、上記肌見本17と同様、厚み0.5mmの合成皮革からなる表面層18aと、厚み10mmのウレタン発泡体からなる下層18bとが積層一体化された構造になっているが、上記下層18bは、厚み18mmのウレタン発泡体に対し、上下方向に熱プレス(190℃)をかけて、厚み10mmに圧縮したものである。このため、上下の厚み2mmの部分が、それぞれ高密度スキン層30に形成され、中間の厚み6mmの部分が、本来のウレタン発泡体のままの発泡層31に形成されている。これにより、下層18b全体の平均密度は、0.056g/cm3 となり、上下の高密度スキン層30と中間の発泡層31とのバランスにより、表面層18aの表面を押圧したときの感触が、30代の、やや弾力が低下した肌に極めて近いものとなっている。
【0021】
さらに、40代の肌見本19も、図5(c)に示すように、上記肌見本17,18と同様、厚み0.5mmの合成皮革からなる表面層19aと、厚み10mmのウレタン発泡体からなる下層19bとが積層一体化された構造になっているが、上記下層19bは、厚み16.5mmのウレタン発泡体に対し、上下方向に熱プレス(190℃)をかけて、厚み10mmに圧縮したものである。このため、上下の厚み1.5mmの部分が、それぞれ高密度スキン層30に形成され、中間の厚み7mmの部分が、本来のウレタン発泡体のままの発泡層31に形成されている。これにより、下層19b全体の平均密度は、0.051g/cm3 となり、上下の高密度スキン層30と中間の発泡層31とのバランスにより、表面層19aの表面を押圧したときの感触が、40代の、さらに弾力が低下した肌に極めて近いものとなっている。
【0022】
そして、50代の肌見本20も、図5(d)に示すように、上記肌見本17〜19と同様、厚み0.5mmの合成皮革からなる表面層20aと、厚み10mmのウレタン発泡体からなる下層20bとが積層一体化された構造になっているが、上記下層20bは、厚み13.5mmのウレタン発泡体に対し、上方向のみから熱プレス(190℃)をかけて、厚み10mmに圧縮したものである。このため、上部の厚み2mmの部分が高密度スキン層30に形成され、それ以外の部分(厚み8mm)が、本来のウレタン発泡体のままの発泡層31に形成されている。これにより、下層20b全体の平均密度は、0.042g/cm3 となり、高密度スキン層30と中間の発泡層31とのバランスにより、表面層20aの表面を押圧したときの感触が、50代の、かなり弾力が低下した肌に極めて近いものとなっている。
【0023】
また、60代の肌見本21も、図5(e)に示すように、上記肌見本17〜20と同様、厚み0.5mmの合成皮革からなる表面層21aと、厚み10mmのウレタン発泡体からなる下層21bとが積層一体化された構造になっているが、上記下層21bは、厚み10mmのウレタン発泡体を、熱プレスをかけることなく、そのまま用いている。このため、下層21b全体が発泡層31で形成されており、その平均密度は、0.031g/cm3 となり、表面層21aの表面を押圧したときの感触が、60代の、さらに弾力が低下して衰えた肌に極めて近いものとなっている。
【0024】
したがって、化粧品販売員が、店頭もしくは訪問販売先において、加齢による肌の衰えを顧客に説明する場合に、上記販売促進用表示具の肌見本17〜21を、顧客に順次触らせるだけで、肌の弾力がどのように変化していくかを顧客に実感させることができ、訴求効果が高い。
【0025】
なお、上記の例では年代を、20代、30代、40代、50代、60代の5種類に区分して、それぞれに対応する肌見本17〜21を設けたが、年代の区分方法や、用意する肌見本の数は、特に限定するものではない。ただし、本発明の販売促進用表示具は、肌の衰えを顧客に実感させるためのものであり、少なくとも若年用、中間(中年)用、年配用の3種類を用意することが好適である。なお、どの年代を「若年」といい、どの年代を「年配」というかについては、相対的なものであり、特定の年代を指定するものではない。
【0026】
また、上記の例では、5つの肌見本17〜21の表面層17a〜21aとして、同一の合成皮革を用いたが、若年用の肌見本17には、表面のきめの細かい合成皮革を用い、年代が上がるほど、表面のきめがより粗い合成皮革を用いて、よりリアルな手触りとなるようにしてもよい。そして、合成皮革の厚みは、特に限定するものではないが、通常、0.2〜1.0mm、なかでも0.4〜0.6mmに設定することが、肌の感触を再現する上で好適である。
【0027】
さらに、上記の例では、肌見本17〜21の下層17b〜21bとして、ウレタン発泡体を用いたが、材質は、これに限定されるものではなく、多孔質弾性体であれば、どのようなものであっても差し支えない。例えば、ウレタン発泡体以外に、スチレン発泡体、シリコーン発泡体、ポリエチレン発泡体等を用いることができる。なかでも、上記ウレタン発泡体が好適である。
【0028】
そして、上記の例では、肌見本17〜21の弾力性に差異をつけるために、材料であるウレタン発泡体の上下部もしくは上部に、熱プレスにより高密度スキン層を形成して、その部分の密度を高めるようにしているが、どの程度の弾力をつけるかは、上記高密度スキン層の厚みによって調整することが好適である。高密度スキン層の厚みが厚ければ厚いほど、ウレタン発泡体からなる下層17b〜21bの平均密度が高くなり、弾力の強い、張りのある肌となる。
【0029】
もちろん、高密度スキン層を形成するのではなく、多孔質弾性体全体の発泡倍率等を調整することにより弾力の程度を変えるようにしてもよいが、上下部もしくは上部に高密度スキン層を設け、残部に多孔質弾性体本来の多孔質層を残した構成にする方が、実際の肌の感触により近いものとなり、好適である。
【0030】
なお、各肌見本17〜21における多孔質弾性体の平均密度は、0.075〜0.025g/cm3 の間で、段階的に設定することが好適である。すなわち、平均密度が0.075g/cm3 より高くなると、肌としては感触が硬くなりすぎるおそれがあり、逆に、平均密度が0.025g/cm3 より低くなると、あまりにも弾力がなく、年配の肌としても適さなくなるおそれがあるからである。
【0031】
そして、上記の例では、多孔質弾性体からなる下層17b〜21bと、合成皮革からなる表面層17a〜21aとが、ホットメルト接着剤により接合一体化された構造になっているが、接着剤の種類は、特に限定するものではない。また、接着剤を用いず、多孔質弾性体の表面を軽く熱溶融させ、合成皮革と直接接合するようにしてもよい。
【0032】
さらに、本発明の販売促進用表示具は、上記の例のように、厚紙からなる折り畳み冊子の構成に限らず、1枚のシートタイプのものであっても、壁面にかけるパネルタイプのものであってもよい。また、化粧品陳列棚の棚板等に直接、肌見本17〜21を並べて表示するようにしてもよい。
【0033】
そして、上記の例では、肌見本17〜21を並べたベース部1を覆うカバー部3(図1参照)の内側面に、図3に示すように、美しい皮膚と衰えた皮膚の2種類の模式的な皮膚断面図8,10を表示したが、表示内容は、加齢に伴う肌の変化を顧客に認識させるものであれば、どのようなものでもよい。もちろん、このような表示部を設けることは任意である。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明の販売促進用表示具は、年代別の肌の感触がリアルに再現された特殊な肌見本を備えているため、化粧品販売員が、店頭もしくは訪問販売先において、加齢による肌の衰えを顧客に説明する場合に、上記販売促進用表示具の肌見本を、顧客に順次触らせるだけで、肌の弾力がどのように変化していくかを顧客に実感させることができ、訴求効果が高い。
【0035】
また、本発明の販売促進用表示具の製法によれば、上記販売促進用表示具のなかでも、特に、肌の感触が実際に近いものを、簡単な方法で安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す斜視図である。
【図2】 上記実施例の左側面図である。
【図3】 上記実施例の部分的な説明図である。
【図4】 上記実施例の部分的な説明図である。
【図5】 (a)〜(e)は、いずれも上記実施例の使用態様の説明図である。
【符号の説明】
17〜21 肌見本
Claims (4)
- 肌の状態についての説明に用いられる販売促進用表示具であって、多孔質弾性体からなる下層と合成皮革からなる表面層を備えた肌見本が、年代別に複数個並べられており、上記肌見本のうち、若年用の肌見本として、多孔質弾性体の上下層が高密度スキン層で形成され中間層が多孔質弾性体本来の多孔質層で形成されている肌見本が設けられ、中間の年代用の肌見本として、多孔質弾性体の表面層のみ高密度スキン層で形成され他の部分が多孔質弾性体本体の多孔質層で形成されている肌見本が設けられ、年配用の肌見本として、全体が多孔質弾性体本来の多孔質層で形成されている肌見本が設けられていることを特徴とする販売促進用表示具。
- 上記若年用の肌見本として、年代が上がるほど、上下の高密度スキン層の厚みが薄くなるよう設定された複数種類の肌見本が設けられている請求項1記載の販売促進用表示具。
- 上記中間の年代用の肌見本として、年代が上がるほど、上部の高密度スキン層の厚みが薄くなるよう設定された複数種類の肌見本が設けられている請求項1または2記載の販売促進用表示具。
- 請求項1記載の販売促進用表示具の製法であって、厚みが、H,H+α,H+β(ただし、α<β)の3種類の多孔質弾性体A〜Cを用意し、厚みH+βの多孔質弾性体Aを、上下方向から熱プレスすることにより、上下の所定厚み部分が高密度スキン層に形成され中間部が多孔質弾性体本来の多孔質層のままである厚みHの圧縮多孔質弾性体A′を得る工程と、厚みH+αの多孔質弾性体Bを、上方からのみ熱プレスすることにより、上部の所定厚み部分が高密度スキン層に形成されその下の部分が多孔質弾性体本来の多孔質層のままである厚みHの圧縮多孔質弾性体B′を得る工程と、上記圧縮多孔質弾性体A′、B′および未圧縮多孔質弾性体Cの各上面に、それぞれ合成皮革を接合することにより3種類の肌見本を作製する工程と、上記圧縮多孔質弾性体A′と合成皮革を接合してなる肌見本を、若年用の肌見本として表示し、上記圧縮多孔質弾性体B′と合成皮革を接合してなる肌見本を、中間の年代用の肌見本として表示し、上記未圧縮多孔質弾性体Cと合成皮革を接合してなる肌見本を、年配用の肌見本として表示するようにしたことを特徴とする販売促進用表示具の製法。
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