JP4049043B2 - 移動体の連結装置 - Google Patents

移動体の連結装置

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本発明は、移動体の連結装置の技術に係わり、更に詳しくは、走行レールに支持されて走行する被搬送物搬送用キャリア等の複数の移動体において、昇降装置で移動体を昇降させることなく互いを連結しおよび切り離すことが可能であって、且つ、連結走行時には移動体単体の長さの連結台数倍にほぼ等しい全長となって互いに密接させて連結可能な移動体の連結装置に関する。
走行レールにキャリアを走行可能に支持し、該走行レールの脇に所定間隔で配設したフリクションローラ式駆動装置の駆動ローラを前記キャリアに接触させて走行駆動させる方式の搬送システム(フリクションコンベアともいう)などにおいては、キャリアの走行態様として、(1)各キャリアを個別に走行させる単独走行、(2)複数のキャリアを列車状に連結して走行させる連結走行、および、(3)先行キャリアを後続キャリアが押すことで互いのキャリアを非連結状態で走行させる非連結密接走行、の3つの走行態様がある。このうち(2)と(3)の走行態様を採用する区間では、隣接するフリクションローラ式駆動装置間に複数のキャリアを収容可能な間隔でフリクションローラ式駆動装置を配置している。そして(2)の走行態様は、例えば被搬送物が1台のキャリアの前後端からはみ出して先行または後続のキャリアの被搬送物と干渉する場合や重量の嵩む被搬送物を搬送する場合などに採用する。一方、(3)の走行態様は、キャリアを滞留させて行う被搬送物の検査や塗装補修などの作業工程や次工程への搬送のタイミング調整を行う区間などに採用する。複数の作業工程が順次直列配置に組まれた一連の生産ラインに被搬送物を供給する場合、各作業工程の内容に応じて、キャリアを単独搬送させたり、連結して搬送させたり、連結されたキャリアを切り離して再び単独搬送可能な状態に戻したり、非連結で密接走行させたりといった異なる走行態様が生産ライン中に混在する。連結走行において、キャリア同士の連結部でフリクションローラ式駆動装置の駆動ローラ接触部に大きなギャップがある場合、衝撃と振動が発生したり接触力即ち摩擦力の低下が生じてスリップしたりといった不安定状態となる。従って、キャリアの連結装置には前記3つの走行形態が可能で且つ必要に応じて連結と切り離しが短時間で行える構造と機能が求められる。
前述のようなキャリア等の複数の移動体を互いに前後に連結するための連結装置の従来例としては、移動体の前後方向の一方の端部に垂直の連結突起を設け、且つ他方の端部に他の移動体に設けた前記連結突起に係合可能な連結穴を設けるとともに、この移動体の走行路における移動体連結地点と連結した移動体の切り離し地点のそれぞれに、走行レールの一部を分割したレール分割部を設け、該走行レール分割部を昇降装置により昇降可能に支持した連結装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この公知例による移動体の連結操作手順は、一方の移動体を前記分割レール部内に位置させてから昇降装置を操作して昇降させ、この移動体と他方の移動体の互いの連結突起と連結穴とが重なる位置に他方の移動体を位置させた後、レールの分割部をもとのレベルに復帰させる。これにより連結突起と連結穴とが係合して移動体同士が連結される。また連結部を切り離す場合の操作手順は、一方の移動体を前記レールの分割部内に位置させ、昇降装置を操作してレールの分割部を昇降させ、一方の移動体の連結突起と他方の移動体の連結穴との係合を解除する。この係合解除後、他方の移動体を移動させて離間させ、昇降装置を操作して分割レールをもとのレベルに復帰させる。このように従来の移動体の連結装置では、キャリアの昇降装置が必要で、連結と切り離しの作業は一旦移動体の走行を停止させて位置調整および移動止めを行ってから分割レールとともに昇降させ、つぎに相手側の移動体を離間方向に移動させ、そして分割レールをもとのレベルに戻して移動止めを解除するというように、待ち時間のタイムロスが長い。また、上記従来例に示された連結構造では、連結走行時の連結された先頭から最後尾の移動体までの全長が単独走行時の移動体の全長を連結台数倍した長さよりも短くなる。つまり単独走行区間と連結走行区間とでフリクションローラ式駆動装置の設置間隔が移動体の連結台数に比例する関係とはならない。従って生産ラインの変更など搬送システムの変更の場合にはフリクションローラ式駆動装置の設置間隔を区間毎に変える調整が必要となり、レールの支持架構や枕木部材の位置変更などの作業が必要となり、効率的な工事ができないといった問題がある。
一方、上記の例とは別に本願出願人が過去に実施した移動体の連結装置の例として、キャリア前後端の一方に上向きの鉤部を有する固定連結具を突設し、他方に下向きの鉤部を有して上下回動可能に支持された揺動連結具を突設して、この揺動連結具をカム部材で揺動操作してキャリア同士の連結と連結解除を行う方式の例もある。この場合、キャリアの連結部に各キャリア前後に突出する連結具の係合部同士の長さに対応するギャップが生じてこのギャップが前述のようにフリクションローラとの円滑な接触の支障になるとともに、連結走行時の先頭から最後尾までの全長が単独走行時の全長を連結台数倍した長さに一致しない。つまり、この後者の連結装置の場合は連結と切り離し時にはキャリアを昇降させる必要がないが、連結走行区間におけるフリクションローラ式駆動装置の設置間隔が単独走行区間におけるフリクションローラ式駆動装置の設置間隔の移動体連結台数比例よりも長い間隔となり、走行レールの支持架構の設置間隔が前記両走行区間でそれぞれ異なり共通化ができない、といった点で前者の連結装置の場合と同様の問題がある。
特開2001−294153号公報(図1〜図4)
本発明が解決しようとする課題は、走行レールに被搬送物搬送用キャリアなどの移動体を走行可能に支持し、例えば該走行レールの脇に所定間隔で配設したフリクションローラ式駆動装置の駆動ローラを前記移動体に接触させて走行駆動させる方式の搬送システムなどにおいて、移動体の単独走行、連結走行、および非連結密接走行のいずれの走行態様にも対応可能で、且つ、連結走行と非連結密接走行のいずれの場合でも、前後に隣接する移動体それぞれの駆動ローラ接触部の前後端が互いに大きなギャップが生じることなくほぼ密接するとともに、連結走行区間ではその区間の始点と終点で移動体を昇降させることなく移動体同士の連結と切り離しが短時間で行え、且つ、連結走行区間以外では先行移動体に後続移動体が接触しても互いの移動体の連結具即ち前部ドッグと後部ドッグとが非連結状態を維持する、といった機能を兼ね備えた移動体の連結装置を提供することにある。そして、フリクションローラ式駆動装置で移動体を走行駆動する方式においては、移動体の非連結走行区間と連結走行区間で前記駆動装置の設置位置が互いに共通の位置に設定できるようにして両区間でのレール支持構造部材とその配置の共通化をはかるとともに、連結部が通過する際に駆動ローラに大きな衝撃が作用しないようにして振動と騒音を抑制できる連結装置にすることにある。なお、本明細書では、移動体の前進方向に向かう側を前方または前側とし、その反対側を後方または後側として説明する。
本発明は、前述の課題解決のために、走行レールに支持されて走行する複数の移動体を互いに連結する連結装置は、前記移動体の各々の後端部に、上下いずれか片側にのみ揺動可能に一端が支持され且つほぼ水平後方に向けた他端に係合部を有する後部ドッグを設ける一方、前記移動体の各々の前端部に、前記後部ドッグの揺動方向と同方向に揺動可能に一端が支持され且つほぼ水平前方に向けた他端に先行移動体の前記後部ドッグが水平状態のときに前記係合部に係合可能な鉤部および該鉤部の上下方向での反対側面に前記後部ドッグに接して該後部ドッグを揺動させる傾斜面を備えた前部ドッグと、該前部ドッグの揺動手段とを設け、更に、前記移動体同士の連結と切り離しのそれぞれの地点の走行レールの脇には、前記揺動手段に接して該揺動手段を駆動するカム部材を配設し、前記移動体が該カム部材を前進方向に通過する際に前記揺動手段が該カム部材で駆動され、前記前部ドッグが後部ドッグに対して係合解除方向とそれに続き係合方向に順次作動するように構成する。これにより、連結装置を各移動体の前後端の互いの当接部を避けて設けることのできる構造とするとともに、移動体を昇降させずに互いを連結と切り離しができ、しかも、連結走行時における先頭移動体の前端から最後尾の移動体の後端までの長さが単独走行時の個々の移動体の前後端間の長さを連結台数倍した長さにほぼ等しくなる関係にする。つまり、フリクションローラ式駆動装置で走行駆動させる場合には、前記駆動装置の設置位置を移動体の非連結走行区間と連結走行区間で互いに共通の位置に設定できるようにして、両区間でのレール支持構造部材とその配置の共通化がはかられるようにする。そして連結走行時や非連結密接走行時には互いの移動体の前後端をギャップが殆ど生じないようにして、振動と騒音を抑制して移動体が円滑に且つ静かに走行するようにする。
前記前部ドッグの揺動手段が、移動体に対し上下動可能に支持されたリンク部材と、このリンク部材の一端に前記走行レールに対し直交方向に設けられた水平軸と、該水平軸の軸端部に回転可能に取り付けたカムローラとを有するとともに、前記リンク部材の他端を前記前部ドッグまたは該前部ドッグと一体的に揺動する部材に回動可能に連結してなる一方、前記カム部材には、長手方向全長に亘って前記カムローラが係合して移動する案内部を備え、且つ、該案内部は、移動体の前進方向に向けて順に、前記前部ドッグを水平状態から離れる方向に傾斜させる傾斜部と、傾斜状態を維持する水平部と、水平状態に戻す傾斜部とを連続して有する構成すると好都合である。またカムローラを複雑な動きで正確に案内させる場合、カム部材の案内部をカムローラを上下から挟む溝状に形成するとよい。そして、前記の前部ドッグと後部ドッグとは、それぞれの自重作用でそれぞれ水平方向に復帰する様に構成し、或いは、前記後部ドッグおよび前部ドッグのうち少なくともいずれか一方のドッグには、当該一方のドッグ若しくは両方のドッグの揺動部または当該一方のドッグ若しくは両方のドッグと連動する部材に対し、当該一方のドッグ若しくは両方のドッグを水平方向に復帰させる強制的な付勢手段を設けると都合がよい。
請求項1に係る発明の移動体の連結装置を、例えばフリクションローラ式駆動装置の駆動ローラを接触させてその接触部に作用する摩擦力で移動体に走行動力を伝達する方式のいわゆるフリクション式コンベアに用いる場合、各移動体の駆動ローラが接触する位置を避けてその上方または下方の前端部に前部ドッグを、その後端部に後部ドッグをそれぞれ設けることで、各移動体の駆動ローラ接触部の前後端を互いに接しさせて移動体を密接走行させることができる。この様にすることで、移動体の連結走行時における先頭移動体の前端から最後尾の移動体の後端までの長さが、単独走行時および非連結密接走行時の個々の移動体の前後端間の長さの連結台数倍の長さにほぼ等しくなるように構成することが可能となる。その結果、連結走行と非連結走行の両区間で、フリクションローラ式駆動装置を設置する位置を互いに共有することができる。前記駆動装置は、一般に走行レールの支持架構または枕木部材などに取り付け部を設けて設置する。つまり、移動体の単独走行区間、連結走行区間、および非連結密接走行区間のいずれの区間においてもレール支持部材をそれぞれ統一間隔で設けることができ、部材の共通化により搬送システムの設置や改造が容易に行える。そして、前後に隣接する各移動体の走行用駆動ローラを接触させる側面の前後端から連結ドッグが突出して互いに干渉するといったことが無い。そのため、互いのキャリア同士を大きなギャップを生じさせることなくほぼ密接状態で連結できる。従って連結非連結に拘わらず移動体が連なって通過する際に、駆動ローラに衝撃や騒音が伴わず円滑に走行させることができる。また、連結走行区間の始点と終点の各位置にカム部材を配置することで、その位置で前部ドッグを揺動作動させて移動体同士の連結と切り離しが行え、しかも、対象の移動体同士をともに長時間停滞させることなくいずれか一方を低速走行させながら連結または切り離しの作業が行える。そして、非連結密接走行区間などで先行移動体に後続移動体が接触しても、後続移動体の前部ドッグの前端傾斜面が先行移動体の後部ドッグを揺動させ非連結状態を維持するので、移動体同士を被連結で密接させて走行させることが可能である。即ち、本発明に係る移動体の連結装置は、以上の全ての作用と機能を兼ね備えており、移動体の単独走行、連結走行、および非連結密接走行のいずれの走行態様にも対応が可能である。
請求項2によれば、移動体の前記前部ドッグの揺動手段を、移動体に対し上下動可能に支持されたリンク部材の一端に設けた水平軸の軸端部にカムローラを回転可能に取り付け、前記リンク部材の他端を前部ドッグと連動揺動するように連結した構成とし、前記カム部材を、長手方向全長に亘って前記カムローラが係合して移動する案内部を備え、且つ、該案内部は、移動体の前進方向に向けて順に、前記前部ドッグを水平状態から離れる方向に傾斜させる傾斜部と、傾斜状態を維持する水平部と、水平状態に戻す傾斜部とを連続して有する構成とした。これにより、前部ドッグの揺動手段のカムローラがカム部材により前部ドッグを強制的且つ正確に揺動制御する作用効果が得られる。そして、前記カム部材は、カムローラ案内部を適宜の軌跡に調整することも可能で、その場合は前部ドッグの後部ドッグに対する係合操作および解除操作のそれぞれの動きに複雑な変化を持たせ、或いは目的に応じた異なるパターンの動きで操作することが可能となるといった作用効果が得られる。このような構成にした場合、カム部材の案内部がカムローラを上下から挟む溝状の形態にすることも可能となり、溝状の案内部にするとカムローラを複雑な動きで案内させる場合、より一層正確且つ安定的に制御できるといった作用効果が得られる。
請求項3によれば、移動体の連結装置の後部ドッグおよび前部ドッグのうち少なくともいずれか一方のドッグには、当該一方のドッグ若しくは両方のドッグの揺動部または当該一方のドッグ若しくは両方のドッグと連動する部材に対し、当該一方のドッグ若しくは両方のドッグを水平方向に復帰させる強制的な付勢手段を設けたので、前部ドッグ先端の前記傾斜面が先行移動体の後部ドッグに当接しない状態では後部ドッグは強制的な付勢手段で常時水平を維持し、前部ドッグは揺動手段が作動しないときはその自重作用または強制的な付勢手段を備える場合は青の付勢手段で常時水平を維持する。そして、走行中の衝撃などで不用意に前部ドッグまたは後部ドッグが揺動しても中間位置に留まることなく水平状態に復帰し、誤作動が防止できる。また、連結解除時の前部ドッグの揺動動作に伴って後部ドッグが揺動することを抑止する作用があり、連結解除がスムーズ且つ確実に行えるといった作用効果がある。そして、互いの係合部の磨耗や変形などで後部ドッグが前部ドッグからの抜け出しが円滑に行われずにつられて回動することを防止し、更に、前部ドッグにも付勢手段を設けた場合、前部ドッグと後部ドッグが不完全結合となった場合でも後続移動体の前進で自動的に前部ドッグを後部ドッグに完全結合させることができるといった作用効果がある。


本発明に係る移動体の連結装置は、自動車や機械装置などの生産ラインに沿って設置された走行レールと、この走行レールに支持されて走行する複数のキャリア(これを「移動体」ともいう)とを有し、このキャリアに被搬送物を吊り下げ支持して搬送する搬送システムなどにおいて、前記キャリアを互いに連結して走行させたり、連結を切り離して単独走行させたり、非連結密接走行させたり、といった複数の走行形態を組み合わせて構成する搬送システムのキャリア同士の連結装置として用いる。本発明を実施するための最良の形態を添付図に例示するが、本発明は、添付図の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載の構成要件を満たす全ての形態を含み、例えばキャリアの上部に被搬送物を載置支持して搬送する床面走行型の搬送システムなども適用対象となる。図1には、本発明に係る移動体の連結装置の実施例を示し、キャリア同士が連結された状態で且つ後続キャリアは前側部分のみを示している。図2は図1における連結装置の部分を拡大した平面図、図3は図1のキャリアの正面の拡大図、図4は図3において前部ドッグが上方回動した状態、をそれぞれ示している。また、図5にはキャリアを連結させる際の作動の説明図を、図6にはキャリアの連結を切り離す際の作動の説明図をそれぞれ示す。更に、図7には、図1のキャリアがフリクションローラ式駆動装置の駆動ローラに接触してその接触部の摩擦力で走行動力を受ける状態を正面から見た状態で示している。
添付の図は、建物の天井などに所定の間隔で設置固定され且つ下方が開口する逆U字状をなすレール支持架構3の内側上部に、長手方向と直交する断面がI字状または横倒しのH字状をなす走行レール2の上部フェース部2bを支持固定して搬送路(レール軌道)を構成する一方、前記走行レール2には、複数のキャリア5をそれぞれ走行レール2に沿って走行移動可能に支持して構成した搬送システム1を示す。キャリア5は、前述の「移動体」を指し、その本体の構成部材であるところの水平の連結部材12に被搬送物(図示しない)を支持固定し、これを生産ラインに沿って設置された上記軌道に沿って順次送るための被搬送物移動手段である。
キャリア5は、走行レール2に支持された前後1対のトロリ6,7と、トロリ6,7に対し垂直の連結ピン13,13により水平回動可能に前後端部を連結された長寸の連結部材12とを有してなる。前後それぞれのトロリ6,7は、左右1対の対向側板を有してなるローラ支持枠8と、ローラ支持枠8の下方に側面視逆三角形に配置した3本の連結ボルト9,9,9aで連結された連結枠10とを有する。そして、ローラ支持枠8,8の内側には、走行レール2の下部水平フェース部の上面に接する左右1対の走行車輪8a,8aを走行レール中央の垂直ウエブ部2aを挟んでそれぞれ回転可能に支持し、且つ、走行車輪8a,8aの前後それぞれに、走行レール2の垂直ウエブ部の両側面に接する1対の水平のサイドローラ8b,8bを回転可能に支持している。これにより、キャリア5は、自重と非搬送物の重量を走行車輪8aで支持し且つ横荷重をサイドローラ8bで支持して走行レールの長手方向に自由に移動可能に支持される。なお連結部材12は、長手方向と直交する断面が略矩形をなし、その左右両脇が前後端部間に亘る真っ直ぐの垂直壁面をなす部材であり、且つその横幅はトロリ6,7それぞれの連結枠10,10の横幅とほぼ同幅に設定している。更に、前側トロリ6の連結枠10の前端および後側トロリ7の連結枠10の後端は、それぞれローラ支持枠8よりも張り出してそれぞれ半円筒状の端部(円弧部)10aが形成されている。そして前側トロリ6の円弧部10aには、先行キャリア5と衝突した際の衝撃緩和のため干渉部材11が取り付けられている。
一方、レール支持架構3は、少なくともキャリア5の全長とほぼ等しいかやや短い距離毎にそれぞれ1個、必要な場合はその中間位置にも適宜設けられる。そしてこのキャリアの全長とほぼ等しい間隔に設けられたレール支持架構3には、図7に概略を示すように、フリクションローラ式駆動装置40を設置するための駆動装置取付部を設ける。該駆動装置取付部は、逆U字状のレール支持架構3の左右いずれか一方の側に設け、且つそのレール支持架構3の他方の側にはリアクションローラ42を回転可能に取り付けるためのローラ取付部を設ける。フリクションローラ式駆動装置40は、モータの出力軸端に減速機を介して駆動ローラ41を取り付けた構造で、駆動ローラ41の外周部には合成ゴムなどの環状の摩擦部材が固着されている。また、リアクションローラは、金属製ホイールの外周部に合成ゴムなどの弾性体材料からなる環状部材が固着された構造である。そして、詳細構造は図示しないが、フリクションローラ式駆動装置40は前記駆動装置取付部に対し、揺動アームを介し駆動ローラ41の外周の内側面が走行レール2のほぼ中心を通る垂直面に接する位置から外側方向に向け限定的に揺動可能に取り付けるとともに、前記揺動アームにはフリクションローラ式駆動装置40を内側方向に向け付勢する付勢手段を備える。また、前記ローラ取付部には、リアクションローラ42を駆動ローラ41と対向する位置に取り付け、その外周の内側面が走行レール2の中心を通る垂直面から、前述のキャリア5の連結部材12の横幅のほぼ半幅外側に位置するように取り付ける。
駆動ローラ41とリアクションローラ42とは同レベルに位置し、キャリア5が移動してこの両ローラ間に侵入した際に、キャリア5の連結部材12の両側の垂直直線状側面を左右から挟む様にして接する関係に設定しておく。このように構成すると、キャリア5が移動して来てキャリア5の端部(円弧部)10aが接すると、端部10aがフリクションローラ式駆動装置の内側付勢力に抗して駆動ローラ41を外側に押し広げ、キャリアの前側トロリ6が駆動ローラ41とリアクションローラ42の間に侵入する。キャリア5のトロリ6の両側面がこの両ローラ41,42に押圧され、且つ駆動ローラ41はモータで回転駆動されるので、その作用でキャリア5は駆動ローラ41の摩擦力を受けて前方に押送力が伝達され、キャリア5は前進走行し、連結部材12の側面と後側トロリ7へと接触面が移る。リアクションローラ42は、駆動ローラ41がキャリア5の側面を押圧する力を支持するバックアップローラの役割をする。
フリクションローラ式駆動装置40とリアクションローラ42とは、キャリア5の走行形態で走行レール2に沿う方向の設置間隔が異なる。該フリクションローラ式駆動装置とリアクションローラとは、単独走行区間ではキャリア5の1台の長さと等しいかまたはそれよりも僅かに短い距離毎にほぼ等間隔で、連結走行区間では連結台数倍の長さと等しいかまたはそれよりも僅かに短い距離毎にほぼ等間隔で、非連結密接走行区間では搬送物の重量により押送可能なキャリア数の前後端間に、または必要に応じてその中間に、それぞれ設置する。
つぎに、上記キャリア5の連結装置14について説明する。連結装置14は、前記走行レール2に支持された複数のキャリア5に対し、それぞれ後側トロリ7の連結枠10の端部10aの上方に後方に向けて後部ドッグ15を設ける一方、それぞれ前側トロリ6の連結枠10の端部10aの上方に前方に向けて前部ドッグ20を先行キャリアの後部ドッグ15に係合可能な位置に設けて構成される。
後部ドッグ15は、左右1対の対向する腕部16の後端部を水平の棒状部材など適宜の部材で連結したコ字状の内部空間からなる係合部17を有してなる。この後部ドッグ15は、腕部16の基端側をパイプ状部材で連結するとともに、該パイプ状部材に支持ピン19を挿通して該支持ピン19をトロリ7の後方に固定し、腕部16の後端側即ち係合部17がほぼ水平状態から上方へのみ揺動が可能に支持する。
また、前部ドッグ20は、厚板などを用いて形成した部材で、腕部21の前端部に、先行キャリア5の後部ドッグ15が水平状態のときにその係合部17に係合可能な下向きの鉤部22を有するとともに、鉤部22の反対側つまり上部背側に前記後部ドッグ15の係合部17の後方端の前記水平の棒状部材の下面に接して該後部ドッグ15を上方に押し上げて揺動させるための前方傾斜する傾斜面23を備えてなる。この前部ドッグ20は、後部ドッグ15とほぼ同じ高さで前方に向けて設けられ、ほぼ水平状態から後部ドッグ15の係合部17の揺動方向と同方向の上方にのみ揺動可能に腕部21の基端近傍をトロリ6の前方に支持ピン25で支持する。
なお、後部ドッグ15は、腕部16の基端の前記パイプ状部材の中間部に水平後方に突出する突起部18を備え、この突起部18の上面をトロリ7の連結枠10をローラ支持枠8に連結する3本の連結ボルトのうち下段中央の連結ボルト9aの下面に当接させ、腕部16がほぼ水平状態から下方回動しないように規制するとともに、突起部18にはその端部に取り付けた係止ピン18bを介して圧縮付勢された付勢バネ18aの一端を取り付け、付勢バネ18aの他端側(或いは図示はしないがその中間部でもよい)を係止ピン18cで連結枠10に対し回転可能に支持し、腕部16が上方に揺動する際には付勢バネ18aの圧縮作用で腕部16を水平復帰側に強制的に付勢する構成とする。
後部ドッグ15は、上記のような付勢バネ18aを備えることに代えて、例えば図5、図6に示すように、腕部16の基端の前記パイプ状部材の中間部に上方突出する突起部を備え、この突起部の後方側面がトロリ7の連結枠10をローラ支持枠8に連結する3本の連結ボルトのうち上段後方の連結ボルト9の前側面に当接した状態で腕部16を水平に保つとともに、腕部16が上方に揺動した際には、前記突起部の後方側面が前記連結ボルトのうち下段中央の連結ボルト9aに当接して後部ドッグ15が必要量を超えて上方揺動しないように規制し、後部ドッグ15の自重によるモーメント作用で後部ドッグが水平復帰する構成としてもよい。
一方、前部ドッグ20は、腕部21の後端部から後方即ち支持ピン25よりも後方に向け突起部24を形成し、この突起部24がトロリ6の連結枠10をローラ支持枠8に連結する3本の連結ボルトのうち上段前側の連結ボルト9の下側面に当接した状態で腕部21がほぼ水平に保たれ、それよりも下方揺動しないよう規制している。そして突起部24には、後述の揺動操作手段30のリンク部材31がリンクピン31aで回転可能に連結される。このリンク部材31には、上下長手方向に沿って矩形の窓が設けられ、該窓にはまどの内側上端に一端が係止され且つ側面が窓で支えられとともに他端がトロリ6の連結枠10の下面に取り付けたリンク部材支持板で支持された付勢バネ34を設けている。この付勢バネ34は、圧縮状態で取り付けられてリンク部材を上方に付勢している。従って前部ドッグ20は、腕部21が上方に回動した際に付勢バネ34の作用で水平復帰方向に押し戻すように付勢されている。なお、前部ドッグ20は、このような付勢バネ34を設けることに代えて、鉤部22と腕部21の自重によるモーメント作用で腕部21が水平復帰するような設計にしてもよい。
つぎに、前部ドッグ20にはこれをほぼ水平から上方に向けて揺動させる揺動手段30(これを「揺動操作部材30」ともいう)が設けられており、この揺動手段30について説明する。揺動手段30は、添付図に示す実施例においては、前部ドッグ20の後端の突起部24を下方に引き下げ鉤部22を上方に回動(揺動)させる手段であり、前記突起部24の後端に連結した揺動操作部材30を指す。
揺動操作部材30は以下のように構成する。前述のように、細長い板状のリンク部材31をほぼ垂直にして、その中間部をトロリ6の連結枠10の下面に取り付けた支持板を貫通させて上下動可能に且つ水平方向の動きを規制するように支持し、該リンク部材31の上端をリンクピン31aで前部ドッグ20の突起部24に回転可能に連結するとともに、リンク部材31の下端には、左右方向に張り出す水平軸32を設け、該水平軸32の両端にそれぞれカムローラ33,33を回転可能に取り取り付ける。一方、前部ドッグ20は、支持ピン25よりも前側の自重による回転モーメント即ち鉤部22を前部ドッグ15の係合部17に係合しようとするモーメントが、後端の突起部24とそれに連結された揺動操作部材30の自重による前部ドッグ20を前記と逆方向に回転させようとするモーメントよりも十分に大きくなる関係にそれぞれの重量配分を設定するのが好ましい。揺動操作部材30の自重が重く前部ドッグ20を係合部17に係合しようとする作用即ち水平復帰の作用が不十分な場合は、前述の如く(図1参照)リンク部材31を付勢バネ34で上方付勢する。
つぎに、上記の揺動操作部材30を介して前部ドッグ20を上下揺動させるカム部材35について説明する。前記キャリア5,5同士の連結および切り離しのそれぞれの地点の走行レール2の両脇に1対のカム部材35,35を対向配置し、レール支持架構3に適宜の支持部材38を介して固定する。該カム部材35は、L字状アングル材などを用いて形成し、走行レール側に面した側面に張り出し且つカムローラ33が接して転動する案内部36を長手方向全長に亘って設けている。該カム部材35,35の取り付け位置は、キャリア5が通過する際に、キャリア5に支持された揺動操作部材30のカムローラ33,33が案内部36,36の下面に係合して(つまり接して)移動する関係に設定する。
そして、カムローラ33がカム部材35の案内部36に案内されて前進移動する過程で、キャリア5の揺動操作部材30が上下動し、前部ドッグ20が後部ドッグ15との係合を解除する方向とそれに続き係合する方向とに順次作動する様にカム部材35の溝部を形成しておく。つまり案内部36には、キャリア5の前進方向に向けて順に、前部ドッグ20を水平状態から上方に向け引き上げ方向に傾斜させる下方傾斜部36aと、傾斜状態を維持する水平部36bと、水平状態に戻す上方傾斜部36cとを備える。そして、下方傾斜部36aの入口端と上方傾斜部36cの出口端とには、それぞれカムローラ33の侵入と抜け出しを円滑に行わせるための案内板37,37をそれぞれ設けている。なお、前記上方傾斜部36cには、図5,6に示すようにカムローラ33を下から支える補助部材を設けて溝状案内部に形成してもよい。このようにすることで、前部ドッグ20の鉤部22と後部ドッグ15の係合部17との相対的位置が完全一致せず僅かに干渉を生ずる場合でも確実に押し込むことができるほか、図示は省略するが、上方傾斜部36cを曲線的に形成して前部ドッグに対し複雑な操作を行わせる場合、カムローラをその曲線に沿って正確且つ強制的に案内することができて都合がよい。
つぎに、上記構成からなる移動体即ちキャリア5およびその連結装置14の作用を説明する。キャリア5は、前述の説明のように、走行レール2に支持され、走行レール2に沿って移動可能である。図示はしないが、キャリア5には、連結部材12に被搬送物支持部材が組み付けられ、適宜の支持具で支持した被搬送物を該被搬送物支持部材に連結固定する。図7に示すように、フリクションローラ式駆動装置40の駆動ローラ41とこれに対向するリアクションローラ42とが走行レール2に沿って適宜の間隔で配置され、キャリア5のトロリ6,7の前後端からその左右側面を経て連結部材12の左右側面に連なる垂直の側面を両側から挟むように設置している。キャリア5は、駆動ローラ41との接触摩擦により前方に押送駆動される。フリクションローラ式駆動装置40とリアクションローラ42は、キャリア5の単独走行区間ではキャリア1台の全長と等しいかそれよりも僅かに短い距離毎にほぼ等間隔で設置され、連結走行区間では前記間隔のキャリア5の連結数倍に等しいかまたはそれよりも短い距離毎にほぼ等間隔で設置され、非連結密接走行区間ではその区間の前後端近傍に、または必要に応じその中間の適宜の位置に追加して、それぞれ設置される。そのため、キャリア5に順次接する駆動ローラ41を駆動することでキャリア5は前方に押送される。
連結走行区間の始点近傍には、走行レール2の左右両脇にカム部材35,35が配置固定されている。図5にキャリア5,5同士を連結する連結装置14の作動を示し、連結作業はこの図の(a),(b),(c)の順に行われる。まず、図5(a)に示す如く、連結走行しようとする先頭側キャリア5を、その後部ドッグ15の係合部17が該カム部材35の水平部36bの中間に位置するように制動停止して待機させて置く。後続キャリア5がこの地点に送られてくると、後続キャリア5の前部ドッグ20の揺動操作部材30のカムローラ33がカム部材35の案内部36に係合する。カムローラ33は、カム部材端部の案内板37に案内されて案内部36に係合し、キャリア5の前進移動につれて下方傾斜部36aに案内されて下方に引かれ、これに伴って前記前部ドッグ20が上方に回動して水平部36bに至り図5の(b)に示す状態となる。この状態で後続キャリアが前進するとトロリ6の前端が先行キャリアのトロリ7の後端に当接する。この当接を後続キャリアのフリクションローラ式駆動装置の電流変化、位置センサ、近接スイッチ、またはエンコーダなど適宜の手段で検知し、先行キャリアの制動機構を解除する。そうすると、先行キャリアは後続キャリア5に押されて互いに密接して前進する。この前進過程でカムローラ33はカム部材35の案内部36の上方傾斜部36cに沿って案内され上方移動し、前部ドッグ20を水平に戻す方向に回動させる。そして、図5の(c)に示す様に、カムローラ33がカム部材前端の案内板37を抜け出る近傍で後続キャリアの前部ドッグ20の鉤部22が先行キャリアの後部ドッグ15の係合部17に係合し、キャリア5,5同士が連結される。キャリアを3台以上連結する場合は、上記のようにして先行キャリアに第2番目のキャリアを連結したあとの第2番のキャリアを先行キャリアとして、この第2番目のキャリアの後部ドッグ15の係合部17がカム部材35の水平部36bの中間に位置する状態で先行キャリアを制動停止させて待機させ、第3番目のキャリアを上記と同様の方法で連結させる。
一方、連結走行区間の終点近傍には、走行レール2の左右両脇にカム部材35,35が配置固定されている。図6にキャリア5同士の連結を切り離す際の連結装置14の作動を示す。切り離し作業はこの図の(a),(b),(c)の順に行われる。まず、連結装置14で連結されたキャリアの先頭キャリアが該カム部材35を通過して第2番目のキャリア5がこのカム部材35の地点に送られてくると、図6の(a)に示す如く第2番目のキャリア5の前部ドッグ20の前記カムローラ33がカム部材35の案内部36に係合する。カムローラ33は、前述の説明と同様に、カム部材35の端部の案内板37に案内されて案内部36に係合し、キャリア5の前進移動につれて下方傾斜部36aに案内されて下方に引かれ、前記前部ドッグ20は上方に回動する。そして、図6の(b)に示す如く、前記カムローラ33が水平部36bに至ると前部ドッグ20の鉤部22が先頭キャリアの後部ドッグ15の係合部17から外れる。この状態で、先頭キャリアを第2番目以後のキャリアよりも早い速度で前進走行させるか、または、第2番目のキャリア5を制動停止させ、図6の(c)に示す如く、先頭のキャリアが第2番目のキャリアから離れた状態で前進するようにする。先頭キャリアが離れて十分に前方移動したことを位置センサ、近接スイッチ、またはエンコーダなど適宜の手段で検知し、第2番目のキャリアを前進駆動させる。この前進過程で第2番目のキャリアのカムローラ33は、カム部材35の案内部36の上方傾斜部36cに沿って案内され上方移動し、前部ドッグ20は水平に戻す方向に回動される。カムローラ33がカム部材前端の案内板37を抜け出る近傍で前部ドッグ20は水平に保たれる。3台以上連結した連結キャリアを切り離す場合は、まず先頭キャリアを上記の手順で切り離したあと、第2番目と第3番目が連結された連結キャリアの前記第2番目を先頭キャリアとして、第3番目のキャリアのカムローラ33をカム部材35に係合させ、前述と同様の方法で連結を解除する。
つぎに、非連結密接走行区間などでキャリア同士が衝突する際の連結装置14の作動を説明する。キャリア5の後部ドッグ15は前述のように付勢バネ18aで(或いは自重によるモーメント作用で)腕部16が水平復帰方向に付勢されている。また、前部ドッグ20は前述のように付勢バネ34で(或いは自重によるモーメント作用で)腕部21が水平復帰方向に付勢されている。そして先行キャリア5に後続キャリア5が接近して、先行キャリア5の後部ドッグ15に後続キャリアの前部ドッグ20が接し始める位置で、該前部ドッグ20の傾斜面23が先行キャリアの後部ドッグ15の係合部17の水平棒状部材の下方に侵入して前記の傾斜面23が後部ドッグ15を上方に押し上げる。この状態が図1における後部ドッグを2点鎖線で示した状態である。従って、カム部材35を設置した地点以外で後続キャリアが先行キャリアに接近して互いに接触しても、後続キャリアの前部ドッグ20の鉤部22が先行キャリアの係合部17と係合することが無く非連結状態を維持する。そして後続キャリアの前端部10aに設けた緩衝部材11が先行キャリアの後端部10aとの衝突の際の衝撃を緩和する。このような接触状態から先行キャリア5が前方移動すると、該先行キャリアの後部ドッグ15は後続キャリアの前部ドッグ20の傾斜面23を滑って付勢バネ18aの作用で(或いは自重によるモーメント作用で)下方回動して水平状態に復帰する。
後部ドッグ15の係合部17は、左右1対の腕部16、16の後方端部を水平棒状部材で連結してその内側に前部ドッグ20よりも幅広の空所を有する構造のため、前後のキャリア5,5が連結状態で互いの相対的な上下の傾きを許容する。すなわち走行レール2に緩やかな上下傾斜が存在してもこれに追従させることができる。走行レール2の左右の大きなカーブを通過する際のキャリア5の前後のトロリ6,7と連結部材12との水平方向の相対的回動は連結ピン13の部分の回動で対応できる。また、連結装置14の前後のトロリ7,6間は互いに接近しているので、走行レール2の左右方向のカーブを連結したキャリアが通過する際の連結部における左右回動角度は僅かであり、両者の相対的な回動に対しては係合部17と鉤部22との幅方向の隙間で対応できる。また、キャリア5の前後端部10a,10aが垂直の略円筒状に形成されているので、水平の大きな曲率のカーブを通過する際にも連結したキャリアのトロリ同士の干渉は起こらない。そのため連結部に干渉回避のための余分のギャップを設ける必要が無い。以上の関係から、例えばキャリアが図示のようなフリクションローラ式駆動装置40で駆動する形態の場合でも駆動ローラ41が連結部で衝撃を受ける事がなく円滑に且つ静かに走行させることができる。
なお、後部ドッグ15の突起部18、および前部ドッグ20の突起部24に連動するリンク部材31部材には、後部ドッグおよび前部ドッグをそれぞれ強制的に水平方向に戻そうとする付勢バネ18a,34を設けているので、係合部17や鉤部22の磨耗や変形などで後部ドッグ15の前部ドッグ20からの抜け出しが円滑に行われずにつられて回動するといった誤作動が防止され、また、前部ドッグ20と後部ドッグ15が不完全結合となった場合でも、後続キャリア5の前進で前部ドッグ20が後部ドッグ15に自動的に完全結合する。
添付図に示された実施例と以上の説明から自明のように、後部ドッグと前部ドッグとは、キャリアの前後端の互いに相手側キャリアに接する端部を避けて上部または下部に設ける。そして、後部ドッグは後方に向け、前部ドッグは前方に向け、通常はそれぞれが水平状態を維持し且つ端部を上方または下方のいずれか一方の互いに同方向に限定的に回動可能な状態で支持する。先行キャリアの後部ドッグに後続キャリアが接近した際に、後続キャリアの前部ドッグの鉤部の背後側の傾斜面の先端部が、先行キャリアの後部ドッグの非回動側の面に接して、後部ドッグを回動させる関係に設定する。前部ドッグの揺動操作手段は、前部ドッグに連結して前部ドッグを回動操作側に進退可能にキャリア本体部(例えば連結枠10)に支持し、キャリアの走行レールの脇に設置したカム部材には、キャリアの前進に伴って前部ドッグを後部ドッグから離れる側に回動させる傾斜カム(傾斜案内部)と、離れた状態を維持する水平カム(水平案内部)と、後部ドッグ15側に回動させる傾斜カム(傾斜案内部)とを設ける。つまり、本発明に係る移動体の連結装置は、以上の機能を備える形態を実現すればよく、図示の形態以外にも種々の実施形態が可能である。
図示以外の実施形態の一例を説明する。図示は省略するが、キャリアが例えば、前後トロリのトロリフレームにそれぞれ前後2対(それぞれ4個)の走行車輪を有する形態、或いは、前後トロリを連結する連結部材(前述の実施例の説明で符号12の部材)を互いのトロリの前後対向側面ではなく各トロリの中心部に垂直に突出するように設けた連結ピンにそれぞれ水平回動可能に連結するとともに、その連結部材の前端が前側トロリよりも前方に且つ後端が後側トロリよりも後方にそれぞれ突出するようにした形態など、異なる形態のキャリアにも本発明の連結装置が適用できる。そしてこの場合、前部ドッグと後部ドッグとは、前述の実施例と同様にトロリフレームに設けてもよいが、これに代えて、連結部材からトロリフレーム側に向けて突設した前記連結ピンの支持部、または連結部材の前後端部の下側など適宜の箇所に設けることも可能である。一方、図示は省略するが、前部ドッグと後部ドッグの形状を上下反転させて互いをほぼ水平位置から下方に回動するように支持し、且つ互いが自重作用で水平復帰するかまたは付勢バネで強制的に水平復帰する関係に支持する形態も可能である。更に、図示は省略するが、カム部材とカムローラは、前述の説明のように左右1対とせずいずれか片側のみに設ければよく、また、被搬送物との干渉を避け、高さ関係においてキャリアを連結部材(前述の実施例の説明で符号12の部材)よりも走行レール2側に位置する関係に設置してもよい。
本発明に係る移動体の連結装置は、その機能がもたらす作用効果から、例えば自動車工場の生産ラインなどに設置するフリクションローラ式コンベアの被搬送物搬送用キャリアに利用すると最も有効である。本発明の連結装置を用いる移動体としては、添付図に示すような非自走式キャリアのほか、駆動装置を内蔵した自走式キャリアでもよい。搬送システムは大別して、添付図に示すように被搬送物を移動体に吊り下げて搬送するオーバーヘッド型の搬送システムと、走行レールと移動体とカム部材などの相対関係を上下逆配置の構成にして走行レールを床面近傍に設置し、被搬送物を移動体の上に載置支持して搬送するフロア型搬送システムの2つの形態があるが、本発明に係る移動体の連結装置はこのいずれに対しても利用可能である。本発明の連結装置は、移動体の走行経路中に移動体を単独走行させる区域と、連結走行させる区域と、非連結密接走行させる区域とが組み合わされて構成される搬送システムの移動体の連結装置に用いるのが理想的な利用形態である。
本発明に係る移動体の連結装置の実施例を示す図で、キャリア同士が連結された状態で且つ後続キャリアは前側部分のみを示している。 図1における連結装置の部分を拡大して示す平面図である。 図1のキャリアの正面を拡大して示す図である。 図3において、前部ドッグが上方回動した状態を示す図である。 キャリアを連結させる際の作動説明図で、(a),(b),(c)の順序で作動する。 キャリアの連結を切り離す際の作動説明図で、(a),(b),(c)の順序で作動する。 図1のキャリアがフリクションローラ式駆動装置に接触する状態を正面から見た部分図である。
符号の説明
1 搬送システム
2 走行レール
2a ウエブ
2b フェイス
3 レール支持架構
5 キャリア(移動体)
6,7 トロリ
8 ローラ支持枠
8a 走行車輪
8b サイドローラ
9,9a 連結ボルト
10 連結枠
10a 円弧部(端部)
11 緩衝部材
12 連結部材
13 連結ピン
14 連結装置
15 後部ドッグ
16 腕部
17 係合部
18 突起部
18a 付勢バネ
18b,18c 係止ピン
19 支持ピン
20 前部ドッグ
21 腕部
22 鉤部
23 傾斜面
24 突起部
25 支持ピン
30 揺動手段(揺動操作部材)
31 リンク部材
31a リンクピン
32 水平軸
33 カムローラ
34 付勢バネ
35 カム部材
36 案内部
36a 下方傾斜部
36b 水平部
36c 上方傾斜部
37 案内板
38 支持部材
40 フリクションローラ式駆動装置
41 駆動ローラ
42 リアクションローラ

Claims (3)

  1. 走行レールに支持されて走行する複数の移動体の各々の後端部に、上下いずれか片側方向にのみ揺動可能に一端が支持され且つほぼ水平後方に向けた他端に係合部を有する後部ドッグを設ける一方、前記移動体の各々の前端部に、前記後部ドッグの揺動方向と同方向に揺動可能に一端が支持され且つほぼ水平前方に向けた他端に先行移動体の前記後部ドッグが水平状態のときに前記係合部に係合可能な鉤部および該鉤部の上下方向での反対側面に前記後部ドッグに接して該後部ドッグを揺動させる傾斜面を備えた前部ドッグと、該前部ドッグの揺動手段とを設け、更に、前記移動体同士の連結と切り離しのそれぞれの地点の走行レールの脇には、前記揺動手段に接して該揺動手段を駆動するカム部材を配設し、前記移動体が該カム部材を前進方向に通過する際に前記揺動手段が該カム部材で駆動され、前記前部ドッグが後部ドッグに対して係合解除方向とそれに続き係合方向に順次作動するように構成した移動体の連結装置。
  2. 前記前部ドッグの揺動手段が、移動体に対し上下動可能に支持されたリンク部材と、このリンク部材の一端に前記走行レールに対し直交方向に設けられた水平軸と、該水平軸の軸端部に回転可能に取り付けたカムローラとを有するとともに、前記リンク部材の他端を前記前部ドッグまたは該前部ドッグと一体的に揺動する部材に回動可能に連結してなる一方、前記カム部材には、長手方向全長に亘って前記カムローラが係合して移動する案内部を備え、且つ、該案内部は、移動体の前進方向に向けて順に、前記前部ドッグを水平状態から離れる方向に傾斜させる傾斜部と、傾斜状態を維持する水平部と、水平状態に戻す傾斜部とを連続して有する構成としてなる、請求項1に記載の移動体の連結装置。
  3. 前記後部ドッグおよび前部ドッグのうち少なくともいずれか一方のドッグには、当該一方のドッグ若しくは両方のドッグの揺動部または当該一方のドッグ若しくは両方のドッグと連動する部材に対し、当該一方のドッグ若しくは両方のドッグを水平方向に復帰させる強制的な付勢手段を設けてなる、請求項1または2に記載の移動体の連結装置。
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