JP4048838B2 - 白色脂肪族ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は白色脂肪族ポリエステルフィルムに関する。特に詳しくは、隠蔽性、筆記性、耐傷付き性が良好で、特にカーボン複写伝票など、印刷や筆記を行う表示基材として有用な脂肪族ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内部に微細な空洞を含有する白色フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート樹脂に、酸化チタンや炭酸カルシウムなどの無機粒子や、ポリエチレンテレフタレート樹脂に非相溶な樹脂を混合製膜した後、二軸方向に延伸して無機粒子や非相溶樹脂を核とした微細な空洞を形成させる方法が知られており、受像フィルム、ラベルなどに使用されている。しかし従来から使用されているこのような白色フィルムは、自然環境下で分解しないか、または分解速度が極めて低いため、使用後放置されたり、土中に埋没処理された場合、半永久的に地上や地中に残存することになる。また、海洋投棄された場合は、景観を損なったり、海洋生物の生活環境を破壊したりする。さらに、焼却処理した場合、その高い燃焼熱によって、焼却炉の劣化を促進するなど、消費の拡大と共に廃棄物処理が社会問題となっている。一方、ポリ乳酸を始めとする脂肪族ポリエステルフィルムは自然環境に廃棄された際に分解すること、例えば土壌中で自然に加水分解した後に微生物によって無害な分解物となることを特徴として開発され、生分解性を有するポリ乳酸からなる白色フィルムとして、ポリ乳酸に非相溶な樹脂を添加したフィルムが提案されている(特開2002−146071)が、このような白色フィルムではフィルム表面が平滑になりすぎるため、鉛筆やペンによる筆記性に劣るものであった。また、添加物が柔らかい樹脂であるため、製膜工程や後加工工程内で金属ガイドなどと接した場合にフィルム傷が発生しやすいという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる課題を解決するために、隠蔽性と筆記性、耐摩耗性を両立した白色脂肪族ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは主として次の構成を有する。すなわち、一般式−O−CHR−CO−(Rは水素または炭素数1〜3のアルキル基)を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステルであり、脂肪族ポリエステルを60〜95重量%、無機粒子を5〜40重量%含有し、光学濃度が0.4以上、白色度が75%以上であることを特徴とする白色脂肪族ポリエステルフィルムである。
【0005】
また、本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムの製造方法は主として次の構成を有する。すなわち、一般式−O−CHR−CO−(Rは水素または炭素数1〜3のアルキル基)を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステルであり、無機粒子を20〜50重量%含有する脂肪族ポリエステルチップと、一般式−O−CHR−CO−(Rは水素または炭素数1〜3のアルキル基)を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステルであり、無機粒子の含有量が5重量%以下である脂肪族ポリエステルチップを混合して溶融押出し、得られた未延伸フィルムを少なくとも1方向に延伸することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の白色脂肪族ポリエステルフィルムの製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明における脂肪族ポリエステルとは、一般式−O−CHR−CO−(Rは水素または炭素数1〜3のアルキル基)を主たる繰り返し単位とする。このような脂肪族ポリエステルとしては、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(2−オキシ酪酸)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの脂肪族ポリエステルは単独で用いても良いが、2種類以上の混合物、共重合体を使用してもかまわない。ポリマー中に不斉炭素を有する物は、L−体、DL−体、D−体といった光学異性体が存在するが、それらのいずれでも良く、また、それら異性体の混合物でも良い。これらフィルムの素材となる上述したポリマーは、対応するα−オキシ酸の脱水環状エステル化合物を開環重合する等公知の方法で製造される。
【0007】
上記脂肪族ポリエステルの中では、ポリ乳酸系ポリエステルが最も好ましい。ここで言うポリ乳酸系ポリエステルとは、ポリ乳酸または乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、もしくはこれらの混合物であり、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、取扱性、加工性、物性を調整する目的で、可塑剤、滑剤、熱安定剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等の添加剤を含有させてもよい。乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸が挙げられ、他のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸が挙げられる。
【0008】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは上記脂肪族ポリエステルを60〜95重量%、好ましくは70〜85重量%、無機粒子を5〜40重量%、好ましくは15〜30重量%含有する。脂肪族ポリエステル含有量が60重量%より少ないか、無機粒子の含有量が40重量%より多い場合は、無機粒子の凝集により均一なフィルムを得るのが困難となったり、延伸性に劣ったフィルムとなってしまい、また、無機粒子が脱落しやすくなるため、溶融押出時の口金や製膜工程や後加工工程で脱落粒子による汚れが発生しやすくなってしまう。一方、脂肪族ポリエステル含有量が95重量%より多いか、無機粒子の含有量が5重量%より少ない場合は、良好な隠蔽性および筆記性を達成することが出来ず、また、フィルムが削れやすくなるため、製膜工程内や後加工の工程内でフィルム傷が発生しやすくなってしまうといった問題がある。
【0009】
本発明の白色ポリエステルフィルムに用いる無機粒子は、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルクやシリカ粒子などを用いることができるが、好ましい白色度と光学濃度を有するフィルムを得るためには、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。無機粒子の平均粒子径は0.1〜5μmが好ましい。
【0010】
本発明の白色ポリエステルフィルムに酸化チタンを用いる場合、アナターゼ型、ルチル型、ブルカイト型いずれの結晶形のものも用いることができるが、脂肪族ポリエステル中での分散性、フィルムの白色度が良好なフィルムを得るためには、アナターゼ型もしくはルチル型の酸化チタンを用いることが好ましく、脂肪族ポリエステル中の分散性を向上させるために表面をアルミナ、シリカ等の酸化物で被覆したり、脂肪族ポリオール等で表面処理を施したものを用いることが好ましい。
【0011】
本発明の白色ポリエステルフィルムに炭酸カルシウム粒子を用いる場合、カルサイト型、アラゴナイト型、バテライト型いずれの結晶形のものも使用することができる。
【0012】
本発明の白色ポリエステルフィルムに炭酸バリウム粒子を用いる場合、重晶石から化学反応により製造した沈降性硫酸バリウムを用いることが好ましい。
【0013】
本発明の白色ポリエステルフィルムには本発明の目的を阻害しない範囲で5重量%以下の熱可塑性樹脂や可塑剤を添加することが出来る。また、ポリエチレンテレフタレートやその共重合ポリエステル、ポリプロピレンなどのポリオレフィンを5重量%より少ない範囲で添加することは、好ましい白色度を達成しやすくなるため有効である。
【0014】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは隠蔽性の面から光学濃度が0.6以上、好ましくは0.8以上である必要がある。光学濃度が0.6未満では、隠蔽性が不十分となる。光学濃度の上限は特に限定しないが、一般にフィルムの厚さ50μm換算で1.50以上とすることは困難である。
【0015】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは印字や筆記の鮮明性の面から白色度が75%以上、好ましくは85%以上であることが必要である。白色度が75%より小さい場合は、黒色、青色の鉛筆やペンで筆記した場合の鮮明さが劣るものになってしまう。
【0016】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムの厚さは、ラベルとして用いた場合の減量、軽量化の面から20〜100μmが好ましく、特に25〜50μmが好ましい。厚さがかかる好ましい範囲であると、カーボン複写伝票として用いた場合のカーボン複写性が特に良好となる。
【0017】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは筆記性の面から少なくとも片面の光沢度が40%以下であることが好ましい。光沢度がかかる好ましい範囲であると、筆記性に特に優れたフィルムとすることができる。
【0018】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは、見かけ比重が1.15〜1.35g/cm3、さらには1.25〜1.35であることが好ましい。見かけ比重がかかる好ましい範囲であると、筆記性に優れたフィルムとできる一方、製膜工程内で破れが発生しにくく、耐摩耗性が良好であるため製膜工程や後加工の工程で無機粒子の脱落による工程汚れが発生しにくい。
【0019】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは、良好な耐摩耗性を達成するためには、少なくとも2層以上のフィルムとし、少なくとも一方の表層の無機粒子含有量がフィルム全体の無機粒子含有量より5重量%以上少ないことが好ましい。後加工工程で過酷な耐摩耗性を要求される場合は、無機粒子低濃度含有層を高濃度含有層の両面に積層した3層構成とすることが特に好ましい。無機粒子低濃度含有層の積層厚みは1〜5μm、特に好ましくは1〜3μmである。
【0020】
次に本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。本発明の製造方法においては、無機粒子を20〜50重量%含有する脂肪族ポリエステルチップと、無機粒子の含有量が5重量%以下である脂肪族ポリエステルチップを混合して溶融押出するものである。このように無機粒子の含有率の異なる脂肪族ポリエステルチップを混合して溶融押出する、いわゆるマスターバッチ法を採用しなければ、均質で口金汚れや工程汚れ発生の少ないフィルムを効率よく得ることができない。
【0021】
本発明の製造方法においては、上記のとおりにして得られた未延伸フィルムを少なくとも1方向に延伸するものである。少なくとも1方向に延伸しなければ、フィルム強度が実用上不足する。
【0022】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは、インフレーション法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法などの既存の延伸フィルムの製造法により得ることが出来るが、製膜速度を高速に出来ることから逐次二軸延伸法が好ましい。逐次二軸延伸法での本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムの製造においては、まず真空下で乾燥した上述の無機粒子を多く含有した脂肪族ポリエステルチップと無機粒子を少なく含有した脂肪族ポリエステルチップをブレンドして押出機に供給し、公知の方法でスリット状の口金よりシート状に溶融押し出し、キャスティングドラムに密着させて冷却固化せしめて未延伸フィルムを得る。フィルムの表層に無機粒子を少なく含有した層を設ける場合は、2台以上の押出機を用いて、口金内または口金の上流で溶融ポリマーを合流させ積層未延伸フィルムを得る複合押出が最も好ましい。かかる方法で得た未延伸フィルムを連続して少なくとも一方向に延伸し、更に直交方向に延伸し、熱処理することで、薄膜層の基材との密着性や薄膜層の強靱性を高めることが好ましい。フィルム長手方向の延伸には加熱ロールの周速差を利用したロール延伸が、フィルム幅方向の延伸や二軸延伸後の熱処理には連続クリップを有するテンターを用いることが好ましい。
【0023】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは、インクや他素材と貼り合わせるための接着剤との密着性や帯電防止性などを付与する目的でコーティングによる機能層を設けても良く、白色脂肪族ポリエステルフィルムの製造工程内で行うインラインコーティング法、白色脂肪族ポリエステルフィルムの巻き取り後に行うオフラインコーティング法を用いることができる。
【0024】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは、隠蔽性、白色性の要求される様々な用途に用いることができるが、特に印刷や筆記を行うラベル用途、特にカーボン複写を行う伝票用に好ましく用いることができる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明する。特に代表的な脂肪族ポリエステルであるポリ乳酸を例にとって説明するが、もちろん本発明はこれに限定されない。
[特性の測定方法]
(1)光学濃度
マクベス社製光学濃度計TR927を用いて、フィルム1枚での透過濃度を測定した。光学濃度は隠蔽性の指標となる。
(2)白色度(%)
分光式色差計SE−2000(日本電色工業(株)製)を用いてL,a,b値を求め、JIS L 1015 C法に従い下式を用いて白色度を求めた。
【0026】
白色度(%)=100−((100−L)2+a2+b2)1/2
(3)比重
フィルムを50mm×60mmに切り、高精度電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用いて水中置換法により測定し、比重を求めた。
(4)光沢度(%)
JIS K 7105に規定された方法にしたがって、スガ試験機製デジタル変角光沢度計UGV−5Dを用いて測定した。60度の角度で入射した光線に対する表面の正反射光の割合である鏡面光沢度を測定した。
(5)筆記性
フィルム表面に、硬度Bの鉛筆を用いて200g加重下で3mm間隔で長さ10cmの10本の直線を引き、目視で10本の直線が確認でき、カスレのない場合を優、目視で10本の直線が確認できるが、カスレがある場合を良、目視で10本の直線が確認できない場合を不良とした。
(6)カーボン複写性
フィルムを5枚重ね、それぞれの間にコクヨ(株)製カーボン紙1300−K1を挿入し、ボールペンで文字を筆記し、一番下のフィルム表面にカスレのない文字が筆記できる場合を優、一番下まで転写できるが、カスレが生じる場合を良、5枚目の転写が目視で確認できない場合を不良とした。
(7)耐傷付き性、工程汚れ特性
・耐傷付き性
フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたものをテープ走行試験機を用いてステンレス製ガイドピン(表面粗度Ra:100nm)上を走行させる(走行速度2m/分、巻き付け角90゜、張力100g、走行長さ100mm、走行回数50回)。
【0027】
このとき、フィルムに入った傷を顕微鏡で観察し、幅10μm以上の傷がテープ幅あたり5本未満は優、5本以上10本未満は良、10本以上は不良と判定した。
・工程汚れ特性
また、50回走行後のステンレス製ガイドピン状のフィルム削れによる削れ粉の状態を目視で判定し、ガイドピン表面の全面に白い粉が付着している場合を不良、目視で削れ粉が確認できるが、付着面積がガイドピン表面の5%以下の場合は良、目視で削れ粉が確認できない場合を優とした。
(脂肪族ポリエステル樹脂の準備)
脂肪族ポリエステル樹脂A:重量平均分子量約20万のL−ポリ乳酸(融点170℃)を用いた。
脂肪族ポリエステル樹脂B:脂肪族ポリエステル樹脂Aに対し、公知の二軸押出機を用いて200℃で酸化チタン(石原産業(株)製タイペークCR60−1)を混練し、酸化チタン濃度40重量%のマスターペレットとした。
脂肪族ポリエステル樹脂C:脂肪族ポリエステル樹脂Aに対し、公知の二軸押出機を用いて200℃で炭酸カルシウム粒子(日東粉化工業(株)製NCC45)を混練し、炭酸カルシウム濃度15重量%のマスターペレットとした。
実施例1
脂肪族ポリエステル樹脂チップはそれぞれ真空、120℃の条件下で5時間乾燥して用いた。脂肪族ポリエステル樹脂Aと脂肪族ポリエステル樹脂Bを重量比で5:3でブレンドし、無機粒子含有量が15重量%となるように混合したものを押出機に供給し、Tダイ口金温度200℃でフィルム状に押し出し、25℃に冷却したドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製した。連続して75℃の加熱ロール間で長手方向に3倍延伸た後、一軸延伸フィルムをクリップで把持してテンター内に導き、80℃の温度で加熱しつつ横方向に3.5倍延伸し、幅方向に固定した状態で140℃、10秒間の熱処理を行い、厚さ50μmの白色脂肪族ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性値は表1に示す通り良好なものであった。
【0028】
【表1】
実施例2
脂肪族ポリエステル樹脂Aと脂肪族ポリエステル樹脂Bを重量比で3:1とし、無機粒子含有量が10重量%となるように混合し、製膜速度を変更してフィルム厚さを25μmとした以外は実施例1と同様にして白色脂肪族ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性値は表1に示す通り良好なものであった。
実施例3
脂肪族ポリエステル樹脂Cを単独で用いた以外は実施例1と同様にして白色脂肪族ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性値は表1に示す通り良好なものであった。
実施例4
2台の押出機を用い、主層は脂肪族ポリエステル樹脂Aと脂肪族ポリエステル樹脂Bを重量比で1:1で混合し無機粒子含有量を20重量%とし、副層は脂肪族ポリエステル樹脂Aと脂肪族ポリエステル樹脂Bを重量比で7:1で混合し無機粒子含有量を5重量%とし、主層の両面に最終フィルムででそれぞれ3μmの厚さとなるように副層を積層した以外は実施例1と同様にして白色脂肪族ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性値は表1に示す通り良好なものであった。
比較例1
脂肪族ポリエステル樹脂Aと脂肪族ポリエステル樹脂Bを重量比で9:1とし、無機粒子含有量が4重量%となるように混合し、製膜速度を変更してフィルム厚さを150μmとした以外は実施例1と同様にして白色脂肪族ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性値は表1の通り、厚みが大きいため光学濃度、白色度は良好であったが、筆記性、カーボン複写性、耐傷付き性に劣るものであった。
比較例2
二軸押出機に、脂肪族ポリエステル樹脂Aとシリカ粒子(富士シリシア化学(株)製サイリシア)を直接混合供給し、無機粒子含有量を5重量%、フィルム厚みを25μmとした以外は実施例1と同様にして脂肪族ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性値は表1に示す通り光学濃度を満たさず筆記性、カーボン複写性、耐傷付き性に劣るものであった。
比較例3
二軸押出機に、脂肪族ポリエステル樹脂Aとポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合ポリエステル(イソフタル酸共重合率:17モル%)を重量比で9:1に混合して供給した以外は実施例1と同様にして脂肪族ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性値は表1に示す通り、光学濃度、白色度は良好であるが、無機粒子を含有しないため筆記性、カーボン複写性、耐傷付き性に劣るものであった。
【0029】
【発明の効果】
隠蔽性、筆記性、耐傷付き性が良好で、特にカーボン複写伝票など、印刷や筆記を行う表示基材として有用な白色脂肪族ポリエステルフィルムを得ることができる。
Claims (9)
- 一般式−O−CHR−CO−(Rは水素または炭素数1〜3のアルキル基)を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステルであり、脂肪族ポリエステルを60〜95重量%、無機粒子を5〜40重量%含有し、光学濃度が0.4以上、白色度が75%以上であることを特徴とする白色脂肪族ポリエステルフィルム。
- 無機粒子が酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムのうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の白色脂肪族ポリエステルフィルム。
- 脂肪族ポリエステルがポリ乳酸系ポリエステルであることを特徴とする請求項1または2に記載の白色脂肪族ポリエステルフィルム。
- フィルムの厚さが10〜100μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の白色脂肪族ポリエステルフィルム。
- 見かけ比重が1.15〜1.30g/cm3であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の白色脂肪族ポリエステルフィルム。
- 少なくとも片面の光沢度が50%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の白色脂肪族ポリエステルフィルム。
- 少なくとも2層からなり、少なくとも一方の表層の無機粒子含有量がフィルム全体の無機粒子含有量より5重量%以上少ないことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の白色脂肪族ポリエステルフィルム。
- カーボン複写伝票用に用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の白色脂肪族ポリエステルフィルム。
- 一般式−O−CHR−CO−(Rは水素または炭素数1〜3のアルキル基)を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステルであり、無機粒子を20〜50重量%含有する脂肪族ポリエステルチップと、一般式−O−CHR−CO−(Rは水素または炭素数1〜3のアルキル基)を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステルであり、無機粒子の含有量が5重量%以下である脂肪族ポリエステルチップを混合して溶融押出し、得られた未延伸フィルムを少なくとも1方向に延伸することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の白色脂肪族ポリエステルフィルムの製造方法。
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